JP4263124B2 - 半導体素子の製造方法 - Google Patents

半導体素子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4263124B2
JP4263124B2 JP2004090042A JP2004090042A JP4263124B2 JP 4263124 B2 JP4263124 B2 JP 4263124B2 JP 2004090042 A JP2004090042 A JP 2004090042A JP 2004090042 A JP2004090042 A JP 2004090042A JP 4263124 B2 JP4263124 B2 JP 4263124B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
single crystal
silicon substrate
crystal silicon
type single
electrolytic solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004090042A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005277208A (ja
Inventor
和哉 村田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sanyo Electric Co Ltd filed Critical Sanyo Electric Co Ltd
Priority to JP2004090042A priority Critical patent/JP4263124B2/ja
Publication of JP2005277208A publication Critical patent/JP2005277208A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4263124B2 publication Critical patent/JP4263124B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/547Monocrystalline silicon PV cells

Landscapes

  • Weting (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)

Description

本発明は、半導体素子の製造方法に関し、特に、表面に凹凸形状が形成されたシリコン半導体を含む半導体素子の製造方法に関する。
従来、半導体素子の一例として、光起電力素子が知られている。この従来の光起電力素子の製造方法として、表面に光閉じ込めのための凹凸形状が形成された単結晶シリコン基板を含む光起電力素子の製造方法が種々知られている。このように単結晶シリコン基板の表面に凹凸形状を形成することにより、より多くの入射光が閉じ込められるので、光起電力素子の受光効率を向上させることが可能になる。
従来の一例による光起電力素子の製造方法では、NaOHやKOHなどのアルカリ水溶液にイソプロピルアルコール(IPA)を混合した電解液を用いて単結晶シリコン基板の表面をエッチングすることにより、単結晶シリコン基板の表面に光閉じ込めのための凹凸形状を形成している。この従来の一例による光起電力素子の製造方法によって、単結晶シリコン基板の表面に凹凸形状を形成した場合には、単結晶シリコン基板の光閉じ込め効果の指標である600nmの波長の光に対する反射率は12.5%程度になる。なお、600nmの波長の光は、可視光の代表的な波長の光であり、この600nmの波長の光に対する反射率が低くなるほど、光起電力素子の光閉じ込め効果が高くなることを意味する。
上記した従来の一例による光起電力素子の製造方法では、単結晶シリコン基板の600nmの波長の光に対する反射率は12.5%程度になるので、単結晶シリコン基板の光閉じ込め効果が十分ではない。
そこで、従来、反射率をより小さくすることにより、より良好な光閉じ込め効果を得ることが可能な光起電力素子の製造方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
この特許文献1において提案された従来の他の例による光起電力素子の製造方法では、配線で接続した単結晶シリコン基板と白金電極とをフッ酸電解液中に入れた状態で、単結晶シリコン基板を正極とするとともに、白金電極を負極として通電することによって、単結晶シリコン基板の表面に凹凸形状を形成している。この従来の他の例による光起電力素子の製造方法では、単結晶シリコン基板の600nmの波長の光に対する反射率を10%以下にすることが可能である。
特開2002−314110号公報
しかしながら、上記特許文献1において提案された光起電力素子の製造方法では、単結晶シリコン基板と白金電極とに通電を行うための配線を接続する必要があるので、単結晶シリコン基板の表面に光閉じ込めのための凹凸形状を形成するプロセスが複雑化するという問題点があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、プロセスを複雑化させることなく、シリコン半導体の光閉じ込め効果を向上させることが可能な半導体素子の製造方法を提供することである。
課題を解決するための手段および発明の効果
上記目的を達成するために、本発明の一の局面における半導体素子の製造方法は、過酸化水素及びオゾンの少なくとも一方が添加されたフッ化水素を含有する電解液に、銀、銅、白金、銀化合物および白金化合物からなるグループより選択される少なくとも1つの金属材料を溶解させる工程と、前記金属材料が溶解された電解液に、シリコン半導体を接触させることにより、前記シリコン半導体の表面に凹凸形状を形成する工程とを備え、前記電解液に前記シリコン半導体を接触させる工程においてバブリングを行うことにより、当該工程中に発生する気泡を前記シリコン半導体の表面から除去することを特徴とする。
この一の局面による半導体素子の製造方法では、上記のように、過酸化水素及びオゾンの少なくとも一方が添加されたフッ化水素を含有する電解液に、銀、銅、白金、銀化合物および白金化合物からなるグループより選択される少なくとも1つの金属材料を溶解させた後、その電解液に、シリコン半導体を接触させることによりシリコン半導体の表面に凹凸形状を形成すると共に、電解液にシリコン半導体を接触させる工程においてバブリングを行うことにより、工程中に発生する気泡をシリコン半導体の表面から除去することによって、NaOHやKOHなどのアルカリ水溶液にイソプロピルアルコールを混合した電解液にシリコン半導体を接触させることによりシリコン半導体の表面に凹凸形状を形成する従来の方法に比べて、シリコン半導体の表面に形成する凹凸形状の断面における凹部の幅に対する深さの比をより大きくすることができるので、その幅に対する深さの比がより大きく形成された凹凸形状によってシリコン半導体の光閉じ込め効果を向上させることができる。また、上記の金属材料が溶解された電解液に、シリコン半導体を接触させることにより、通電を行うことなく、シリコン半導体の表面に凹凸形状を形成することができるので、シリコン半導体に通電を行うための配線を接続する必要がないので、シリコン半導体の表面に凹凸形状を形成するプロセスが複雑化することがない。これらの結果、プロセスを複雑化させることなく、シリコン半導体の光閉じ込め効果を向上させることができる。
上記一の局面による半導体素子の製造方法において、好ましくは、電解液に金属材料を溶解させる工程は、フッ化物を含有する電解液に、金属材料に加えて、過酸化水素およびオゾンの少なくとも一方を添加する工程を含む。このように構成すれば、金属材料が溶解された電解液のシリコン半導体に対するエッチングレートを大きくすることができるので、その電解液にシリコン半導体を接触させてシリコン半導体の表面をエッチングすることにより凹凸形状を形成する場合に、エッチング時間を短縮することができる。すなわち、金属材料が溶解された電解液に過酸化水素およびオゾンのいずれか一方を添加することにより、電解液中の金属材料のイオン化が促進されると考えられるので、イオン化された金属材料がシリコン半導体の表面に付着することによって生じるエッチング反応が促進されると考えられる。これにより、金属材料が溶解された電解液のシリコン半導体に対するエッチングレートが大きくなるので、エッチング時間が短縮されると考えられる。その結果、シリコン半導体の表面に凹凸形状を形成する際の加工時間を短縮することができる。
上記一の局面による半導体素子の製造方法において、フッ化物は、フッ化水素およびフッ化アンモニウムの少なくとも一方を含む。このように構成すれば、金属材料が溶解された電解液にシリコン半導体を接触させることにより、容易に、シリコン半導体の表面をエッチングすることができるので、容易に、シリコン半導体の表面に凹凸形状を形成することができる。
上記一の局面による半導体素子の製造方法において、金属材料が溶解された電解液中の金属材料の含有量は、3.0×10−7mol/l以上1.1×10−3mol/l以下である。このような含有量で金属材料が溶解された電解液を用いてシリコン半導体の表面に凹凸形状を形成した場合には、600nmの波長の光に対して12.5%以下の反射率を有するシリコン半導体を形成することができるので、容易に、シリコン半導体の光閉じ込め効果を向上させることができる。
上記一の局面による半導体素子の製造方法において、好ましくは、シリコン半導体は、所定量の不純物を含有することにより所定の導電率を有しており、シリコン半導体の表面に凹凸形状を形成する工程に先立って、シリコン半導体の表面に、不純物を導入することにより、シリコン半導体の導電率よりも高い導電率を有する不純物領域を形成する工程をさらに備えている。このように構成すれば、シリコン半導体の導電率よりも高い導電率を有する不純物領域では、電解液中でイオン化した金属材料が不純物領域の表面に付着した後、不純物領域中のシリコンとイオン化した金属材料とによって生じるエッチング反応が促進されると考えられるので、エッチング時間を短縮することができる。これにより、シリコン半導体の表面に凹凸形状を形成する際の加工時間をより短縮することができる。
上記一の局面による半導体素子の製造方法において、好ましくは、シリコン半導体の表面に凹凸形状を形成する工程の後、凹凸形状が表面に形成されたシリコン半導体の表面をエッチングする工程をさらに備えている。このように構成すれば、シリコン半導体の表面に凹凸形状を形成する際にシリコン半導体と電解液との反応によりシリコン半導体の表面上に生成される生成物を除去することができるので、凹凸形状が形成されたシリコン半導体の表面上に半導体層を積層する場合に、その半導体層とシリコン半導体との接合がシリコン半導体の表面上の生成物によって阻害されるのを抑制することができる。これにより、シリコン半導体の表面上に半導体層を形成しやすくすることができる。
この場合において、好ましくは、金属材料が溶解された電解液中の金属材料の含有量は、8.2×10−7mol/l以上5.9×10−4mol/l以下である。このような含有量で金属材料が溶解された電解液を用いて、シリコン半導体の表面に凹凸形状を形成した場合には、600nmの波長の光に対して約3%の低い反射率を有する凹凸形状を形成することができるので、凹凸形状が形成されたシリコン半導体の表面をさらにエッチングして、シリコン半導体の表面に形成された凹凸形状の断面における凹部の幅に対する深さの比が小さくなった場合にも、600nmの波長の光に対して反射率が12.5%以上になるのを抑制することができる。
上記一の局面による半導体素子の製造方法において、好ましくは、シリコン半導体は、光起電力素子に使用されるシリコン半導体である。このように構成すれば、プロセスを複雑化させることなく、光起電力素子の光閉じ込め効果を向上させることができるので、プロセスを複雑化させることなく、光起電力素子の受光効率を向上させることができる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。以下に示す実施例1〜5では、種々の電解液を用いてエッチングすることにより、上記のような光閉じ込めのための凹凸形状を単結晶シリコン基板の表面に形成する実験を行った。
(実施例1)
この実施例1では、n型単結晶シリコン基板の表面を銀(Ag)を含有する電解液を用いてエッチングすることにより、実施例1−1および1−2によるn型単結晶シリコン基板を作製するとともに、上記した従来の電解液を用いてエッチングすることにより、比較例1−1によるn型単結晶シリコン基板を作製した。なお、このn型単結晶シリコン基板は、本発明の「シリコン半導体」の一例である。そして、その作製したn型単結晶シリコン基板について、反射率スペクトルを測定した。以下、詳細に説明する。
(実施例1−1)
図1〜図3は、本発明の実施例1−1によるn型単結晶シリコン基板の作製プロセスを説明するための模式図である。図1〜図3を参照して、実施例1−1によるn型単結晶シリコン基板の作製プロセスについて説明する。
まず、n型シリコンのインゴッドをスライスすることにより形成された(100)面を有するn型単結晶シリコン基板(抵抗率:1Ωcm)を準備した。そして、n型単結晶シリコン基板を10質量%の水酸化ナトリウムを含有する水溶液(温度:85℃)に浸漬することにより、n型シリコンのインゴッドをスライスした際にダメージが与えられたn型単結晶シリコン基板の表面領域を除去した。これにより、n型単結晶シリコン基板の表面を平坦化した。
次に、10質量%のフッ化水素(HF)を含有する水溶液と、30質量%の過酸化水素(H)を含有する水溶液とを10:1の体積比で混合した後、3.0×10−4mol/lの銀(Ag)を添加することによって電解液を調製した。なお、電解液中では銀(Ag)が溶解することにより、電解液中には銀イオン(Ag)が存在する。その後、室温に保持した電解液中に、上記の表面を平坦化したn型単結晶シリコン基板を浸漬することによりn型単結晶シリコン基板の表面を徐々にエッチングした。このエッチングの際には気泡が発生した。この気泡によってn型単結晶シリコン基板の表面が覆われて、n型単結晶シリコン基板と電解液との反応が阻害されるのを抑制するために、N(窒素)バブリングによって気泡を除去した。具体的には、N(窒素)バブリングは、N(窒素)の泡を電解液中に放出することにより、n型単結晶シリコン基板の表面を覆う気泡を窒素(N)の泡とともに除去することによって行った。
そして、n型単結晶シリコン基板を電解液中に40分間浸漬した後、電解液中からn型単結晶シリコン基板を取り出してその表面を観察した。これにより、n型単結晶シリコン基板の表面に円形の平面形状とU字状の断面形状とを有する凹部を含む凹凸形状が形成されているのを確認した。また、この凹部の内壁面には、微小な凹凸形状が多数形成されているのが観察された。上記のようにして、実施例1−1によるn型単結晶シリコン基板を作製した。
なお、実施例1−1によるn型単結晶シリコン基板の表面の凹凸形状は、以下のようなプロセスによって形成されると考えられる。すなわち、まず、図1に示すように、n型単結晶シリコン基板の表面に電解液中の銀イオン(Ag)が付着する。この銀イオン(Ag)からn型単結晶シリコン基板へ陽子(e)が移動することにより、以下の反応式(1)に示す反応が生じると考えられる。
Si+2HF+2e→SiF+2H・・・(1)
上記反応式(1)に示した反応により、n型単結晶シリコン基板の表面の銀イオン(Ag)に対応する領域にSiFが生成される。そして、この生成されたSiFと電解液中のフッ化水素(HF)とによって、以下の反応式(2)に示す反応が生じると考えられる。
SiF+2HF→SiF+H・・・(2)
上記反応式(2)に示した反応によって、n型単結晶シリコン基板の表面の銀イオン(Ag)に対応する領域にSiFが生成される。そして、この生成されたSiFと電解液中のフッ化水素(HF)とによって、以下の反応式(3)に示す反応が生じると考えられる。
SiF+2HF→HSiF(ガス)・・・(3)
上記反応式(3)に示した反応により生成されたHSiFはガスであるので、電解液中に気泡となって放出される。これにより、n型単結晶シリコン基板の表面の銀イオン(Ag)に対応する領域がエッチングされて、図2に示すような円形の平面形状とU字状の断面形状とを有する凹部が複数形成されると考えられる。なお、図2に示すような円形の平面形状とU字状の断面形状とを有する凹部が形成されるのは、上記のプロセスでは、n型単結晶シリコン基板の表面に対して等方的にエッチングが行われることによると考えられる。このようにして、n型単結晶シリコン基板の表面に凹凸形状が形成されると考えられる。
(実施例1−2)
この実施例1−2では、上記実施例1−1によるn型単結晶シリコン基板の凹凸形状が形成された表面をさらにエッチングすることによって、実施例1−2によるn型単結晶シリコン基板を作製した。具体的には、上記実施例1−1によるn型単結晶シリコン基板を5質量%の水酸化ナトリウム(NaOH)を含有する水溶液(室温)中に15分間浸漬することにより、凹凸形状が形成されたn型単結晶シリコン基板の表面をエッチングした。これにより、n型単結晶シリコン基板の表面上に生成されたSiFやSiFなどの生成物(上記反応式(1)および(2)参照)を除去するとともに、n型単結晶シリコン基板の表面に形成された凹凸形状の断面における凹部の幅に対する深さの比を少し小さくした。また、この水酸化ナトリウム水溶液によるエッチングは異方性エッチングであるので、実施例1−1により形成された円形の平面形状とU字状の断面形状とを有する凹部(図2参照)は、図3に示すような凹部になった。各々の凹部は、立体的に見ると、四角錘(ピラミッド)の頂点を下向きにした逆ピラミッド構造(逆四角錘形状)を有する。上記のようにして実施例1−2によるn型単結晶シリコン基板を作製した。
(比較例1−1)
この比較例1−1では、従来の電解液と同様の構成を有する電解液を用いて、n型単結晶シリコン基板の表面をエッチングすることにより比較例1−1によるn型単結晶シリコン基板を作製した。具体的には、3質量%の水酸化ナトリウム(NaOH)を含有する水溶液にイソプロピルアルコール(IPA)を10質量%添加した電解液を用いて、75℃の温度で30分間、n型単結晶シリコン基板の表面をエッチングした。なお、電解液に添加したイソプロピルアルコール(IPA)は、エッチング中に揮発していくので、少量のイソプロピルアルコール(IPA)を電解液に追加しながらエッチングを行った。これにより、n型単結晶シリコン基板の表面に、ピラミッド構造(四角錘形状)の凸部を含む凹凸形状を形成した。これ以外は、上記実施例1−1と同様にして比較例1−1によるn型単結晶シリコン基板を作製した。
次に、上記のようにして作製した実施例1−1、1−2および比較例1−1によるn型単結晶シリコン基板について反射率スペクトルを測定した。その結果が図4および図5に示されている。
図4を参照して、実施例1−1では、可視光の代表的な波長の光である600nmの波長の光に対する反射率は、1.0%の非常に低い値になることがわかる。すなわち、フッ化水素(HF)、過酸化水素(H)および銀(Ag)を含有する電解液を用いてエッチングを行った場合(実施例1−1)には、n型単結晶シリコン基板の表面に形成される円形の平面形状とU字状の断面形状とを有する凹部を含む凹凸形状によって良好な光閉じ込め効果が得られることが判明した。ただし、実施例1−1では、n型単結晶シリコン基板の表面に凹凸形状を形成するエッチングの際の生成物(SiFおよびSiF)がn型単結晶シリコン基板の表面に存在するとともに、n型単結晶シリコン基板の表面に形成された凹凸形状の断面における凹部の幅に対する深さの比が大きすぎることにより、n型単結晶シリコン基板を用いて光起電力素子を作製する際に、n型単結晶シリコン基板の表面上に非晶質シリコン層を形成するのが困難になるとともに、pin接合を形成するのが困難になると考えられる。
また、図5から、実施例1−2による600nmの波長の光に対する反射率(10.2%)は、比較例1−1による600nmの波長の光に対する反射率(12.5%)に比べて、小さいことがわかる。すなわち、フッ化水素(HF)、過酸化水素(H)および銀(Ag)を含有する電解液を用いてエッチングを行うことにより凹凸形状が形成されたn型単結晶シリコン基板の表面を、さらに水酸化ナトリウム水溶液でエッチングした場合(実施例1−2)には、水酸化ナトリウム(NaOH)およびイソプロピルアルコール(IPA)を含有する従来の電解液を用いてエッチングを行った場合(比較例1−1)に比べて、n型単結晶シリコン基板の光閉じ込め効果を向上させることができることが判明した。これは、次の理由によると考えられる。すなわち、フッ化水素(HF)、過酸化水素(H)および銀(Ag)を含有する電解液を用いてエッチングを行うことにより凹凸形状が形成されたn型単結晶シリコン基板の表面を、さらに水酸化ナトリウム水溶液でエッチングした場合には、n型単結晶シリコン基板の表面に形成される凹凸形状の断面における凹部の幅に対する深さの比が、従来の電解液を用いてエッチングした場合の表面に形成される凹凸形状の断面における凹部の幅に対する深さの比に比べて大きくなると考えられる。これにより、フッ化水素(HF)、過酸化水素(H)および銀(Ag)を含有する電解液を用いてエッチングを行うことにより凹凸形状が形成されたn型単結晶シリコン基板の表面を、さらに水酸化ナトリウム水溶液でエッチングした場合には、従来の電解液を用いてエッチングした場合に比べて、n型単結晶シリコン基板の表面に形成される凹凸形状の断面における凹部の幅に対する深さの比が大きくなるので、n型単結晶シリコン基板の光閉じ込め効果が向上したと考えられる。
また、図4および図5から、実施例1−2による600nmの波長の光に対する反射率(10.2%)は、実施例1−1による600nmの波長の光に対する反射率(1.0%)に比べて大きいことがわかる。これにより、凹凸形状が形成されたn型単結晶シリコン基板の表面をさらに水酸化ナトリウム水溶液でエッチングした場合には、n型単結晶シリコン基板の光閉じ込め効果が低下することが判明した。これは、凹凸形状が形成されたn型単結晶シリコン基板の表面をさらに水酸化ナトリウム水溶液でエッチングすることにより、凹凸形状の断面における凹部の幅に対する深さの比が小さくなると考えられ、その結果、n型単結晶シリコン基板の光閉じ込め効果が低下したと考えられる。なお、実施例1−2では、実施例1−1に比べて、光閉じ込め効果が低下する一方、n型単結晶シリコン基板の表面上に生成されたSiFやSiFの生成物を除去するとともに、n型単結晶シリコン基板の表面の凹凸形状の断面における凹部の幅に対する深さの比を少し小さくすることができる。これにより、実施例1−2によるn型単結晶シリコン基板を用いて光起電力素子を作製する場合に、n型単結晶シリコン基板上に、容易に、非晶質シリコン層を形成することができるとともに、pin接合を容易に形成することができる。また、実施例1−2では、実施例1−1に比べて、光閉じ込め効果が低下するものの、従来の電解液を用いて凹凸形状を形成した比較例1−1に比べて、光閉じ込め効果は向上した。したがって、実施例1−2のように本発明の電解液を用いて形成したn型単結晶シリコン基板の凹凸形状の表面を、さらに水酸化ナトリウム水溶液でエッチングすることは、n型単結晶シリコン基板による光閉じ込め効果を向上させ、かつ、光起電力素子を容易に作製するために好ましいことが判明した。
(実施例2)
この実施例2では、n型単結晶シリコン基板の表面に高濃度のn型不純物領域を形成した後、凹凸形状を形成した実施例2−1および実施例2−2によるn型単結晶シリコン基板と、上記した従来の電解液を用いてエッチングすることにより凹凸形状を形成した比較例2−1によるn型単結晶シリコン基板とを作製した。そして、その作製したn型単結晶シリコン基板について、反射率スペクトルを測定した。
(実施例2−1)
この実施例2−1では、n型単結晶シリコン基板の表面を平坦化した後、そのn型単結晶シリコン基板の表面にリンを熱拡散させることによって、n型単結晶シリコン基板の表面近傍のn型不純物の濃度を上昇させた。これにより、n型単結晶シリコン基板の表面にn型単結晶シリコン基板の導電率よりも高い導電率を有するn型の高濃度不純物領域を形成した。次に、10質量%のフッ化水素(HF)を含有する水溶液と、30質量%の過酸化水素(H)を含有する水溶液とを10:1の体積比で混合した後、2.0×10−5mol/lの銀(Ag)を添加することによって電解液を調製した。その後、電解液中に上記のn型の高濃度不純物領域を形成したn型単結晶シリコン基板を30分間浸漬することにより、n型単結晶シリコン基板の表面に凹凸形状を形成した。これ以外は、上記実施例1−1と同様にして実施例2−1によるn型単結晶シリコン基板を作製した。
(実施例2−2)
この実施例2−2では、上記実施例2−1によるn型単結晶シリコン基板を40℃の温度に保持した5質量%の水酸化ナトリウム(NaOH)を含有する水溶液中に3分間浸漬することにより、凹凸形状が形成されたn型単結晶シリコン基板の表面をエッチングした。このように、エッチングに用いる水溶液の温度を上昇させることにより、短時間でエッチングを行うことが可能である。これ以外は、上記実施例1−2と同様にして実施例2−2によるn型単結晶シリコン基板を作製した。
(比較例2−1)
この比較例2−1では、上記比較例1−1と同様にして、比較例2−1によるn型単結晶シリコン基板を作製した。
次に、上記のようにして作製した実施例2−1、2−2および比較例2−1によるn型単結晶シリコン基板について反射率スペクトルの測定を行った。その結果が図6および図7に示されている。
図6を参照して、実施例2−1では、可視光の代表的な波長の光である600nmの波長の光に対する反射率は、2.5%の低い値になることがわかる。すなわち、n型単結晶シリコン基板の表面にn型単結晶シリコン基板の導電率よりも高い導電率を有するn型の高濃度不純物領域を形成した後、フッ化水素(HF)、過酸化水素(H)および銀イオン(Ag)を含有する電解液を用いてエッチングを行った場合(実施例2−1)には、n型単結晶シリコン基板の表面に形成される凹凸形状によって、良好な光閉じ込め効果が得られることが判明した。ただし、実施例2−1では、上記実施例1−1と同様の理由により、n型単結晶シリコン基板を用いて光起電力素子を作製する際に、n型単結晶シリコン基板の表面上に非晶質シリコン層を形成するのが困難であるとともに、pin接合を形成するのが困難になると考えられる。
また、この実施例2−1では、電解液中の銀(Ag)の添加量(実施例2−1:2×10−5mol/l)が実施例1−1による銀(Ag)の添加量(3×10−4mol/l)に比べて小さい場合であっても、実施例1−1によるエッチング時間(40分間)よりも短いエッチング時間(実施例2−1:30分間)で、n型単結晶シリコン基板の600nmの波長の光に対する反射率を2.5%の小さい値にすることができることが判明した。これは、次の理由によると考えられる。すなわち、実施例2−1では、n型単結晶シリコン基板の表面にn型単結晶シリコン基板の導電率よりも高い導電率を有するn型の高濃度不純物領域を形成することによって、凹凸形状を形成する際のエッチング反応(上記反応式(1)参照)において、高濃度不純物領域上に付着した銀イオン(Ag)から陽子(e)が高濃度不純物領域のシリコンへ移動しやすくなると考えられる。これにより、エッチング反応が促進されるので、電解液中の銀(Ag)の添加量が小さい場合であっても、短いエッチング時間(30分間)で、n型単結晶シリコン基板の600nmの波長の光に対する反射率を2.5%の小さい値にすることができたと考えられる。
また、n型の高濃度不純物領域では、ダングリングボンドを含むシリコン原子や、リンと結合したシリコン原子が増加する。このようなダングリングボンドを含むシリコン原子や、リンと結合したシリコン原子は、エッチングによって除去されやすいので、このような理由によっても、電解液中の銀(Ag)の添加量が小さい場合であっても、短いエッチング時間で、n型単結晶シリコン基板の600nmの波長の光に対する反射率を小さい値にすることができたと考えられる。
また、図7から、実施例2−2による600nmの波長の光に対する反射率(10.4%)は、比較例2−1による600nmの波長の光に対する反射率(12.5%)に比べて、小さいことがわかる。すなわち、n型単結晶シリコン基板の表面にn型単結晶シリコン基板の導電率よりも高い導電率を有するn型の高濃度不純物領域を形成した後、フッ化水素(HF)、過酸化水素(H)および銀イオン(Ag)を含有する電解液を用いてエッチングを行うことにより凹凸形状が形成されたn型単結晶シリコン基板の表面を、さらに水酸化ナトリウム水溶液でエッチングした場合(実施例2−2)には、水酸化ナトリウム(NaOH)およびイソプロピルアルコール(IPA)を含有する従来の電解液を用いてエッチングを行った場合(比較例2−1)に比べて、n型単結晶シリコン基板の光閉じ込め効果を向上させることができることが判明した。これは、n型単結晶シリコン基板の表面にn型単結晶シリコン基板の導電率よりも高い導電率を有するn型不純物領域を形成した後、フッ化水素(HF)、過酸化水素(H)および銀イオン(Ag)を含有する電解液を用いてエッチングを行うことにより凹凸形状が形成されたn型単結晶シリコン基板の表面を、さらに水酸化ナトリウム水溶液でエッチングした場合には、上記実施例1−2と同様の理由により、従来の電解液を用いてエッチングを行った場合に比べて、n型単結晶シリコン基板の表面に形成される凹凸形状の断面における凹部の幅に対する深さの比が大きくなることに起因して、n型単結晶シリコン基板の光閉じ込め効果が向上したと考えられる。
上記の結果から、n型単結晶シリコン基板の表面にn型単結晶シリコン基板の導電率よりも高い導電率を有するn型の高濃度不純物領域を形成することが、n型単結晶シリコン基板の表面に光閉じ込めのための凹凸形状を形成する際の加工時間を短縮するために好ましいことが判明した。
(実施例3)
この実施例3では、種々の電解液を用いて、n型単結晶シリコン基板およびp型単結晶シリコン基板の表面をエッチングして凹凸形状を形成することにより、実施例3−1〜3−9による単結晶シリコン基板を作製した。そして、その実施例3−1〜3−9による単結晶シリコン基板の表面をエッチングして凹凸形状を形成する際のエッチングレートを測定した。
(実施例3−1)
この実施例3−1では、10質量%のフッ化水素(HF)を含有する水溶液に2×10−5mol/lの塩化銀(I)(AgCl)を添加した電解液を用いて、105cmの表面積を有するn型単結晶シリコン基板(抵抗率:1.1Ωcm)の表面をエッチングすることにより凹凸形状を形成した。これ以外は、上記実施例1−1と同様にして実施例3−1によるn型単結晶シリコン基板を作製した。
(実施例3−2)
この実施例3−2では、10質量%のフッ化水素(HF)を含有する水溶液と、30質量%の過酸化水素(H)を含有する水溶液とを10:1の体積比で混合した後、2×10−5mol/lの塩化銀(I)を添加することによって、電解液を調製した。そして、この電解液を用いて、n型単結晶シリコン基板の表面をエッチングすることにより凹凸形状を形成した。これ以外は、上記実施例3−1と同様にして実施例3−2によるn型単結晶シリコン基板を作製した。
(実施例3−3)
この実施例3−3では、10質量%のフッ化水素(HF)を含有する水溶液中にオゾンの泡を放出することによって、水溶液中にオゾンを溶解させた。その後、その水溶液に2×10−5mol/lの塩化銀(I)を添加することによって、電解液を調製した。そして、この電解液を用いて、n型単結晶シリコン基板の表面をエッチングすることにより凹凸形状を形成した。これ以外は、上記実施例3−1と同様にして実施例3−3によるn型単結晶シリコン基板を作製した。
(実施例3−4)
この実施例3−4では、n型単結晶シリコン基板をエッチングするのに先立って、上記実施例2−1と同様のプロセスにより、n型単結晶シリコン基板の表面近傍にn型単結晶シリコン基板の導電率よりも高い導電率を有するn型の高濃度不純物領域を形成した。これ以外は、上記実施例3−1と同様にして実施例3−4によるn型単結晶シリコン基板を作製した。
(実施例3−5)
この実施例3−5では、n型単結晶シリコン基板をエッチングするのに先立って、上記実施例2−1と同様のプロセスにより、n型単結晶シリコン基板の表面近傍にn型単結晶シリコン基板の導電率よりも高い導電率を有するn型の高濃度不純物領域を形成した。これ以外は、上記実施例3−2と同様にして実施例3−5によるn型単結晶シリコン基板を作製した。
(実施例3−6)
この実施例3−6では、n型単結晶シリコン基板をエッチングするのに先立って、上記実施例2−1と同様のプロセスにより、n型単結晶シリコン基板の表面近傍にn型単結晶シリコン基板の導電率よりも高い導電率を有するn型の高濃度不純物領域を形成した。これ以外は、上記実施例3−3と同様にして実施例3−6によるn型単結晶シリコン基板を作製した。
(実施例3−7)
この実施例3−7では、(100)面を有するp型単結晶シリコン基板(抵抗率:0.7Ωcm)の表面を、上記実施例3−1と同様の電解液を用いてエッチングすることにより凹凸形状を形成するとともに、上記実施例3−1と同様にして実施例3−7によるp型単結晶シリコン基板を作製した。
(実施例3−8)
この実施例3−8では、(100)面を有するp型単結晶シリコン基板(抵抗率:0.7Ωcm)の表面を、上記実施例3−2と同様の電解液を用いてエッチングすることにより凹凸形状を形成するとともに、上記実施例3−2と同様にして実施例3−8によるp型単結晶シリコン基板を作製した。
(実施例3−9)
この実施例3−9では、(100)面を有するp型単結晶シリコン基板(抵抗率:0.7Ωcm)の表面を、上記実施例3−3と同様の電解液を用いてエッチングすることにより凹凸形状を形成するとともに、上記実施例3−3と同様にして実施例3−9によるp型単結晶シリコン基板を作製した。
上記のようにして、実施例3−1〜3−6によるn型単結晶シリコン基板と、実施例3−7〜3−9によるp型単結晶シリコン基板とを作製するとともに、各単結晶シリコン基板をエッチングして凹凸形状を形成する際のエッチングレート(エッチング速度)を測定した。なお、このエッチングレートの測定では、エッチングによって減少した単結晶シリコン基板の質量を測定するとともに、その測定した減少分の質量から以下に示す式(4)を用いてエッチングレートを算出した。
エッチングレート(μm/hour)=単結晶シリコン基板の減少分の質量(g)/単結晶シリコン基板の密度(2.33g/cm)/単結晶シリコン基板の表面積(105cm)/エッチング時間(hour)・・・(4)
上記式(4)により算出したエッチングレートを以下の表1に示す。
Figure 0004263124
上記表1から、実施例3−1によるエッチングレート(0.30μm/hour)よりも、実施例3−2によるエッチングレート(2.33μm/hour)は大きいとともに、実施例3−3によるエッチングレート(3.79μm/hour)はさらに大きいことがわかる。また、実施例3−4によるエッチングレート(0.45μm/hour)よりも、実施例3−5によるエッチングレート(2.99μm/hour)は大きいとともに、実施例3−6によるエッチングレート(4.36μm/hour)はさらに大きいことがわかる。また、実施例3−7によるエッチングレート(0.23μm/hour)よりも、実施例3−8によるエッチングレート(2.17μm/hour)は大きいとともに、実施例3−9によるエッチングレート(4.02μm/hour)はさらに大きいことがわかる。これにより、10質量%のフッ化水素(HF)を含有する水溶液に2×10−5mol/lの塩化銀(I)を添加した電解液(実施例3−1、3−4および3−7)によるエッチングレートに比べて、10質量%のフッ化水素(HF)を含有する水溶液と、30質量%の過酸化水素(H)を含有する水溶液とを10:1の体積比で混合した後、2×10−5mol/lの塩化銀(I)を添加した電解液(実施例3−2、3−5および3−8)によるエッチングレートは大きくなるとともに、10質量%のフッ化水素(HF)を含有する水溶液にオゾンを溶解させた後、2×10−5mol/lの塩化銀(I)を添加した電解液(実施例3−3、3−6および3−9)によるエッチングレートは、さらに大きくなることがわかった。
上記の結果は、以下の理由によると考えられる。すなわち、電解液に過酸化水素(H)を添加した場合には、電解液中の銀(Ag)のイオン化が促進されるとともに、オゾンを添加した場合には、銀(Ag)のイオン化がより促進される。これにより、シリコン基板の表面に銀イオン(Ag)が付着することによって生じるエッチング反応(実施例1−1による反応式(1)〜(3)参照)が、過酸化水素(H)を電解液に添加した場合には促進されるとともに、オゾンを電解液に添加した場合にはより促進されると考えられる。その結果、過酸化水素(H)およびオゾンを添加しない電解液(実施例3−1、3−4および3−7)によるエッチングレートに比べて、過酸化水素(H)を添加した電解液(実施例3−2、3−5および3−8)によるエッチングレートは大きくなるとともに、オゾンを添加した電解液(実施例3−3、3−6および3−9)によるエッチングレートはさらに大きくなったと考えられる。上記の結果から、n型またはp型のシリコン基板を過酸化水素(H)を添加した電解液を用いてエッチングする場合には、エッチング時間を短縮することができるとともに、オゾンを添加した電解液を用いてエッチングする場合には、エッチング時間をより短縮することができることが判明した。これにより、n型またはp型のシリコン基板の表面に光閉じ込めのための凹凸形状を形成する際の加工時間を短縮するためには、過酸化水素(H)を添加した電解液を用いてエッチングするのが好ましく、オゾンを添加した電解液を用いてエッチングするのがより好ましいことが判明した。
また、上記表1から、n型単結晶シリコン基板の導電率よりも高い導電率を有するn型の高濃度不純物領域を表面に形成したn型単結晶シリコン基板に対する各電解液によるエッチングレート(実施例3−4:0.45μm/hour、実施例3−5:2.99μm/hour、実施例3−6:4.36μm/hour)は、対応する高濃度不純物領域を有しないn型単結晶シリコン基板に対する各電解液によるエッチングレート(実施例3−1:0.30μm/hour、実施例3−2:2.33μm/hour、実施例3−3:3.79μm/hour)よりも大きいことがわかる。この結果は、上記実施例2−1において、電解液の銀(Ag)の添加量が少ない場合にも短時間のエッチングでn型単結晶シリコン基板の反射率が低下したのと同様の理由によると考えられる。
また、上記表1から、p型単結晶シリコン基板に対する各電解液によるエッチングレート(実施例3−7:0.23μm/hour、実施例3−8:2.17μm/hour、実施例3−9:4.02μm/hour)は、対応する高濃度不純物領域を有しないn型単結晶シリコン基板に対する各電解液によるエッチングレート(実施例3−1:0.30μm/hour、実施例3−2:2.33μm/hour、実施例3−3:3.79μm/hour)と同じ程度になることがわかった。
(実施例4)
この実施例4では、塩化銅(I)を添加した電解液を用いてエッチングを行うことにより凹凸形状を形成した実施例4−1によるn型単結晶シリコン基板と、上記した従来の電解液を用いてエッチングすることにより凹凸形状を形成した比較例4−1によるn型単結晶シリコン基板とを作製した。そして、その作製したn型単結晶シリコン基板について、反射率スペクトルを測定した。
(実施例4−1)
この実施例4−1では、10質量%のフッ化水素(HF)を含有する水溶液と、30質量%の過酸化水素(H)を含有する水溶液とを10:1の体積比で混合した後、1×10−3mol/lの塩化銅(I)(CuCl)を添加することによって、電解液を調製した。そして、この電解液中にn型単結晶シリコン基板を20分間浸漬することにより、n型単結晶シリコン基板の表面をエッチングして凹凸形状を形成した。この際、n型単結晶シリコン基板の表面に銅が析出することにより、n型単結晶シリコン基板の表面が徐々に茶色に変色するのを確認した。この後、アンモニア、過酸化水素水および水を1:1:10の体積比で混合した水溶液を80℃に加熱した後、この水溶液中に表面に銅が析出したn型単結晶シリコン基板を10分間浸漬した。これにより、n型単結晶シリコン基板の表面に析出した銅を除去した。これ以外は、上記実施例1−1と同様にして実施例4−1によるn型単結晶シリコン基板を作製した。なお、この実施例4−1による凹凸形状を形成するためのエッチングでは、上記実施例1−1による凹凸形状を形成するためのエッチング反応(実施例1−1による反応式(1)〜(3)参照)と同様の反応が生じると考えられる。
(比較例4−1)
この比較例4−1では、上記比較例1−1と同様にして比較例4−1によるn型単結晶シリコン基板を作製した。
次に、上記のようにして作製した実施例4−1および比較例4−1によるn型単結晶シリコン基板について反射率スペクトルを測定した。図8には、その結果が示されている。
図8を参照して、可視光の代表的な波長の光である600nmの波長の光に対する実施例4−1による反射率(11.8%)は、比較例4−1による反射率(12.5%)に比べて小さいことがわかる。これにより、フッ化水素(HF)および過酸化水素(H)を含有する水溶液に塩化銅(I)を添加した電解液を用いてエッチングを行う場合(実施例4−1)には、従来の水酸化ナトリウム(NaOH)とイソプロピルアルコール(IPA)とを添加した電解液を用いてエッチングを行う場合(比較例4−1)に比べて、n型単結晶シリコン基板の光閉じ込め効果を向上させることができることが判明した。
これは、次の理由によると考えられる。すなわち、フッ化水素(HF)および過酸化水素(H)を含有する水溶液に塩化銅(I)を添加した電解液を用いてエッチングした場合(実施例4−1)には、n型単結晶シリコン基板の表面に形成される凹凸形状の断面における凹部の幅に対する深さの比が、従来の電解液を用いてエッチングを行った場合(比較例4−1)の表面に形成される凹凸形状の断面における凹部の幅に対する深さの比に比べて大きくなると考えられる。これにより、フッ化水素(HF)および過酸化水素(H)を含有する水溶液に塩化銅(I)を添加した電解液を用いてエッチングした場合には、従来の電解液を用いてエッチングを行った場合に比べて、n型単結晶シリコン基板の光閉じ込め効果が向上したと考えられる。
なお、この実施例4−1のように、フッ化水素(HF)および過酸化水素(H)を含有する水溶液に塩化銅(I)を溶解させた電解液を用いてエッチングを行う場合には、n型単結晶シリコン基板の反射率があまり小さくならないので、n型単結晶シリコン基板の表面に凹凸形状を形成した後、凹凸形状が形成された表面をさらにエッチングすることなく、光起電力素子に使用するのが好ましい。
(実施例5)
この実施例5では、銀(Ag)の添加量を変化させた電解液を用いて、n型単結晶シリコン基板の表面をエッチングすることにより実施例5−1〜5−13によるn型単結晶シリコン基板を作製するとともに、その作製したn型単結晶シリコン基板について反射率スペクトルを測定した。
(実施例5−1)
この実施例5−1では、10質量%のフッ化水素(HF)を含有する水溶液と、30質量%の過酸化水素(H)を含有する水溶液とを10:1の体積比で混合した後、1.0×10−8mol/lの過塩素酸銀(AgClO)を添加することによって、電解液を調製した。そして、この電解液中に(100)面を有するn型単結晶シリコン基板(抵抗率:2.5Ωcm)を15分間浸漬した。これ以外は、上記実施例1−1と同様にして実施例5−1によるn型単結晶シリコン基板を作製した。なお、この実施例5−1によるn型単結晶シリコン基板の表面には、凹凸形状が形成されなかった。
(実施例5−2)
この実施例5−2では、10質量%のフッ化水素(HF)を含有する水溶液と、30質量%の過酸化水素(H)を含有する水溶液とを10:1の体積比で混合した後、1.4×10−7mol/lの過塩素酸銀(AgClO)を添加することによって、電解液を調製した。これ以外は、上記実施例5−1と同様にして実施例5−2によるn型単結晶シリコン基板を作製した。なお、この実施例5−2によるn型単結晶シリコン基板の表面には、凹凸形状が形成されなかった。
(実施例5−3)
この実施例5−3では、10質量%のフッ化水素(HF)を含有する水溶液と、30質量%の過酸化水素(H)を含有する水溶液とを10:1の体積比で混合した後、4.0×10−7mol/lの過塩素酸銀(AgClO)を添加することによって、電解液を調製した。これ以外は、上記実施例5−1と同様にして実施例5−3によるn型単結晶シリコン基板を作製した。なお、この実施例5−3によるn型単結晶シリコン基板の表面には、凹凸形状が形成されているのが確認できた。
(実施例5−4)
この実施例5−4では、10質量%のフッ化水素(HF)を含有する水溶液と、30質量%の過酸化水素(H)を含有する水溶液とを10:1の体積比で混合した後、8.2×10−7mol/lの過塩素酸銀(AgClO)を添加することによって、電解液を調製した。これ以外は、上記実施例5−1と同様にして実施例5−4によるn型単結晶シリコン基板を作製した。なお、この実施例5−4によるn型単結晶シリコン基板の表面には、凹凸形状が形成されているのが確認できた。
(実施例5−5)
この実施例5−5では、10質量%のフッ化水素(HF)を含有する水溶液と、30質量%の過酸化水素(H)を含有する水溶液とを10:1の体積比で混合した後、5.1×10−6mol/lの過塩素酸銀(AgClO)を添加することによって、電解液を調製した。これ以外は、上記実施例5−1と同様にして実施例5−5によるn型単結晶シリコン基板を作製した。なお、この実施例5−5によるn型単結晶シリコン基板の表面には、凹凸形状が形成されているのが確認できた。
(実施例5−6)
この実施例5−6では、10質量%のフッ化水素(HF)を含有する水溶液と、30質量%の過酸化水素(H)を含有する水溶液とを10:1の体積比で混合した後、7.3×10−5mol/lの過塩素酸銀(AgClO)を添加することによって、電解液を調製した。これ以外は、上記実施例5−1と同様にして実施例5−6によるn型単結晶シリコン基板を作製した。なお、この実施例5−6によるn型単結晶シリコン基板の表面には、凹凸形状が形成されているのが確認できた。
(実施例5−7)
この実施例5−7では、10質量%のフッ化水素(HF)を含有する水溶液と、30質量%の過酸化水素(H)を含有する水溶液とを10:1の体積比で混合した後、1.8×10−4mol/lの過塩素酸銀(AgClO)を添加することによって、電解液を調製した。これ以外は、上記実施例5−1と同様にして実施例5−7によるn型単結晶シリコン基板を作製した。なお、この実施例5−7によるn型単結晶シリコン基板の表面には、凹凸形状が形成されているのが確認できた。
(実施例5−8)
この実施例5−8では、10質量%のフッ化水素(HF)を含有する水溶液と、30質量%の過酸化水素(H)を含有する水溶液とを10:1の体積比で混合した後、3.0×10−4mol/lの過塩素酸銀(AgClO)を添加することによって、電解液を調製した。これ以外は、上記実施例5−1と同様にして実施例5−8によるn型単結晶シリコン基板を作製した。なお、この実施例5−8によるn型単結晶シリコン基板の表面には、凹凸形状が形成されているのが確認できた。
(実施例5−9)
この実施例5−9では、10質量%のフッ化水素(HF)を含有する水溶液と、30質量%の過酸化水素(H)を含有する水溶液とを10:1の体積比で混合した後、5.9×10−4mol/lの過塩素酸銀(AgClO)を添加することによって、電解液を調製した。これ以外は、上記実施例5−1と同様にして実施例5−9によるn型単結晶シリコン基板を作製した。なお、この実施例5−9によるn型単結晶シリコン基板の表面には、凹凸形状が形成されているのが確認できた。
(実施例5−10)
この実施例5−10では、10質量%のフッ化水素(HF)を含有する水溶液と、30質量%の過酸化水素(H)を含有する水溶液とを10:1の体積比で混合した後、1.2×10−3mol/lの過塩素酸銀(AgClO)を添加することによって、電解液を調製した。これ以外は、上記実施例5−1と同様にして実施例5−10によるn型単結晶シリコン基板を作製した。なお、この実施例5−10によるn型単結晶シリコン基板の表面には、析出した銀(Ag)が付着した領域と、銀(Ag)が付着することなく凹凸形状が形成されている領域とが混在しているのが確認できた。
(実施例5−11)
この実施例5−11では、10質量%のフッ化水素(HF)を含有する水溶液と、30質量%の過酸化水素(H)を含有する水溶液とを10:1の体積比で混合した後、2.0×10−3mol/lの過塩素酸銀(AgClO)を添加することによって、電解液を調製した。これ以外は、上記実施例5−1と同様にして実施例5−11によるn型単結晶シリコン基板を作製した。なお、この実施例5−11によるn型単結晶シリコン基板の表面には、析出した銀(Ag)が付着した領域と、銀(Ag)が付着することなく凹凸形状が形成されている領域とが混在しているのが確認できた。
(実施例5−12)
この実施例5−12では、10質量%のフッ化水素(HF)を含有する水溶液と、30質量%の過酸化水素(H)を含有する水溶液とを10:1の体積比で混合した後、2.4×10−3mol/lの過塩素酸銀(AgClO)を添加することによって、電解液を調製した。これ以外は、上記実施例5−1と同様にして実施例5−12によるn型単結晶シリコン基板を作製した。なお、この実施例5−12によるn型単結晶シリコン基板の表面は、全体にわたって、析出した銀(Ag)で覆われていることが確認できた。
(実施例5−13)
この実施例5−13では、10質量%のフッ化水素(HF)を含有する水溶液と、30質量%の過酸化水素(H)を含有する水溶液とを10:1の体積比で混合した後、4.8×10−3mol/lの過塩素酸銀(AgClO)を添加することによって、電解液を調製した。これ以外は、上記実施例5−1と同様にして実施例5−13によるn型単結晶シリコン基板を作製した。なお、この実施例5−13によるn型単結晶シリコン基板の表面は、全体にわたって、析出した銀(Ag)で覆われていることが確認できた。
次に、上記のように作製した実施例5−1〜5−13によるn型単結晶シリコン基板について、反射率スペクトルの測定を行った。そして、反射率スペクトルの測定結果から、600nmの波長の光に対する反射率の値を読み取った。その結果が図9に示されている。
図9を参照して、銀(Ag)の添加量が3.0×10−7mol/l〜1.1×10−3mol/lの範囲の電解液によってエッチングしたn型単結晶シリコン基板の600nmの波長の光に対する反射率は、従来の水酸化ナトリウム(NaOH)とイソプロピルアルコール(IPA)とを添加した電解液を用いてエッチングしたn型単結晶シリコン基板の600nmの波長の光に対する反射率(12.5%)以下になることがわかる。すなわち、電解液への銀(Ag)の添加量が3.0×10−7mol/l〜1.1×10−3の範囲では、従来の電解液を用いてエッチングを行う場合に比べて、n型単結晶シリコン基板の光閉じ込め効果を向上させることができることが判明した。また、電解液中の銀(Ag)の添加量が上記の範囲に対応するn型単結晶シリコン基板(実施例5−3〜5−9)では、表面に凹凸形状が形成されることがわかった。
また、図9を参照して、銀(Ag)の添加量が8.2×10−7mol/l〜5.9×10−4の範囲の電解液を用いてn型単結晶シリコン基板をエッチングした場合(実施例5−4〜5−9)の600nmの波長の光に対する反射率は、3%程度になることがわかる。この場合には、反射率が3%程度の小さい値になっているので、凹凸形状を形成したn型単結晶シリコン基板の表面をさらにエッチングすることにより、n型単結晶シリコン基板の表面上に生成されたSiFやSiFなどの生成物を除去するとともに、n型単結晶シリコン基板の表面に形成された凹凸形状の断面における凹部の幅に対する深さの比を少し小さくした後、光起電力素子に使用するのが好ましい。このように、凹凸形状を形成したn型単結晶シリコン基板の表面をさらにエッチングした場合にも、従来の電解液を用いて凹凸形状を形成した場合のn型単結晶シリコン基板の反射率(12.5%)よりも、反射率を小さくすることが可能であると考えられる。
また、図9からわかるように、銀(Ag)の添加量が1.0×10−8mol/l〜1.4×10−7の範囲の電解液によってエッチングしたn型単結晶シリコン基板(実施例5−1および5−2)の600nmの波長の光に対する反射率は、31%になった。また、この場合には、n型単結晶シリコン基板の表面に凹凸形状は形成されなかった。これは、電解液中の銀(Ag)の添加量が少ないため、n型単結晶シリコン基板の表面に凹凸形状を形成するエッチング反応が生じるのが抑制されたためであると考えられる。
また、図9からわかるように、銀(Ag)の添加量が1.2×10−3mol/l〜2.0×10−3の範囲の電解液によってエッチングしたn型単結晶シリコン基板(実施例5−10および5−11)の600nmの波長の光に対する反射率は、15%〜20%になった。また、この場合には、n型単結晶シリコン基板の表面に析出した銀(Ag)が付着した領域と、銀(Ag)が付着することなく凹凸形状が形成された領域とが混在した。このようにn型単結晶シリコン基板の表面に析出した銀(Ag)が付着するのは、電解液中の銀(Ag)の添加量が多いことによると考えられる。なお、銀(Ag)の添加量が上記の範囲の電解液によってエッチングしたn型単結晶シリコン基板では、n型単結晶シリコン基板よりも反射率の高い銀(Ag)が表面に付着することにより反射率が大きくなったと考えられる。したがって、この場合には、上記実施例4−1と同様にして、n型単結晶シリコン基板の表面に付着した銀(Ag)を除去することにより、n型単結晶シリコン基板の反射率を従来の電解液を用いてn型単結晶シリコン基板の表面に凹凸形状を形成した場合の反射率(12.5%)よりも小さくすることも可能である。
また、図9からわかるように、銀(Ag)の添加量が2.4×10−3mol/l〜4.8×10−3の範囲の電解液を用いてエッチングしたn型単結晶シリコン基板(実施例5−12および5−13)の600nmの波長の光に対する反射率は、40%になった。また、この場合には、n型単結晶シリコン基板を電解液に浸漬すると、すぐにn型単結晶シリコン基板の表面が銀(Ag)で覆われることがわかった。これは、電解液中の銀(Ag)の添加量が多すぎることによると考えられる。また、エッチング後のn型単結晶シリコン基板の600nmの波長の光に対する反射率が、40%の非常に高い反射率になったのは、n型単結晶シリコン基板の表面を覆う銀(Ag)の反射率によると考えられる。
図10には、上記実施例1〜5により作製したn型単結晶シリコン基板を使用した光起電力素子の一例が示されている。
図10を参照して、この光起電力素子では、(100)面を有するn型単結晶シリコン基板1の上面上にi型非晶質シリコン層2、p型非晶質シリコン層3および透明導電膜4が順次積層されるとともに、n型単結晶シリコン基板1の下面上にi型非晶質シリコン層5、n型非晶質シリコン層6および透明導電膜7が順次積層されている。また、表面側の透明導電膜4の上面上には、表面側集電極8が設けられているとともに、裏面側の透明導電膜7の下面上には、裏面側集電極9が設けられている。また、n型単結晶シリコン基板1の上面および下面には、凹凸形状1aが形成されている。この凹凸形状1aによりn型単結晶シリコン基板に入射した光を閉じ込めることによって、光起電力素子の受光効率を向上させて出力特性を向上させている。
なお、今回開示された実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施例では、半導体素子の一例としての光起電力素子に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、光起電力素子以外の半導体素子に本発明を適用してもよい。
また、上記実施例では、n型単結晶シリコン基板の上面上にi型非晶質シリコン層を介してp型非晶質シリコン層を形成するとともに、n型単結晶シリコン基板の下面上にi型非晶質シリコン層を介してn型非晶質シリコン層を形成した光起電力素子を例にとって説明したが、本発明はこれに限らず、上記以外の種々の構成を有する光起電力素子について本発明を適用することができる。
また、上記実施例では、銀(Ag)、塩化銀(I)、過塩素酸銀(AgClO)および塩化銅(I)のいずれか1つの金属材料を添加した電解液を用いて、シリコン基板をエッチングしたが、本発明はこれに限らず、上記以外の水素よりもイオン化傾向が小さい金属を添加した電解液を用いて、シリコン基板をエッチングしてもよい。たとえば、銅、白金、塩化銀および過塩素酸銀以外の銀化合物、塩化銅(I)以外の銅化合物および白金化合物からなるグループより選択される少なくとも1つの金属材料を添加した電解液を用いてシリコン基板をエッチングしてもよい。この場合にも、上記実施例と同様、シリコン基板の表面に光閉じ込めのための凹凸形状をすることができると考えられる。なお、上記の白金化合物の一例としては、ヘキサクロロ白金(IV)酸カリウム(K[PtCl])などが挙げられる。
また、上記実施例2では、n型単結晶シリコン基板の表面にリンを熱拡散することによりn型単結晶シリコン基板の導電率よりも高い導電率を有するn型の高濃度不純物領域を形成したが、本発明はこれに限らず、熱拡散以外の方法によりn型単結晶シリコン基板の表面に不純物を導入することにより、n型単結晶シリコン基板の導電率よりも高い導電率を有する不純物領域を形成してもよい。たとえば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などにより、n型単結晶シリコン基板の表面上に上記の不純物領域を形成してもよい。また、n型単結晶シリコン基板の代わりに、p型単結晶シリコン基板の表面に、p型単結晶シリコン基板の導電率よりも高い導電率を有するn型の不純物領域を形成してもよい。
本発明の実施例1−1によるn型単結晶シリコン基板の作製プロセスを説明するための模式図である。 本発明の実施例1−1によるn型単結晶シリコン基板の作製プロセスを説明するための模式図である。 本発明の実施例1−1によるn型単結晶シリコン基板の作製プロセスを説明するための模式図である。 本発明の実施例1−1によるn型単結晶シリコン基板の反射率スペクトルを示した図である。 本発明の実施例1−2および比較例1−1によるn型単結晶シリコン基板の反射率スペクトルを示した図である。 本発明の実施例2−1によるn型単結晶シリコン基板の反射率スペクトルを示した図である。 本発明の実施例2−2および比較例2−1によるn型単結晶シリコン基板の反射率スペクトルを示した図である。 本発明の実施例4−1および比較例4−1によるn型単結晶シリコン基板の反射率スペクトルを示した図である。 エッチングに用いる電解液中の銀(Ag)の添加量とエッチングされたn型単結晶シリコン基板の反射率との関係を示した相関図である。 本発明の実施例1〜5によるn型単結晶シリコン基板を使用した光起電力素子の構成を示した断面図である。
符号の説明
1 n型単結晶シリコン基板(シリコン半導体)
1a 凹凸形状
2 i型非晶質シリコン層
3 p型非晶質シリコン層
4 透明導電膜
5 i型非晶質シリコン層
6 n型非晶質シリコン層
7 透明導電膜
8 表面側集電極
9 裏面側集電極

Claims (6)

  1. 過酸化水素及びオゾンの少なくとも一方が添加されたフッ化水素を含有する電解液に、銀、銅、白金、銀化合物および白金化合物からなるグループより選択される少なくとも1つの金属材料を溶解させる工程と、
    前記金属材料が溶解された電解液に、シリコン半導体を接触させることにより、前記シリコン半導体の表面に凹凸形状を形成する工程とを備え
    前記電解液に前記シリコン半導体を接触させる工程においてバブリングを行うことにより、当該工程中に発生する気泡を前記シリコン半導体の表面から除去することを特徴とする、
    半導体素子の製造方法。
  2. 前記金属材料が溶解された電解液中の前記金属材料の含有量は、3.0×10−7mol/l以上1.1×10−3mol/l以下である、請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
  3. 前記シリコン半導体は、所定量の不純物を含有することにより所定の導電率を有しており、
    前記シリコン半導体の表面に凹凸形状を形成する工程に先立って、前記シリコン半導体の表面に、不純物を導入することにより、前記シリコン半導体の導電率よりも高い導電率を有する不純物領域を形成する工程をさらに備えた、請求項1または2のいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
  4. 前記シリコン半導体の表面の凹凸形状を形成する工程の後、前記凹凸形状が形成されたシリコン半導体の表面をエッチングする工程をさらに備えた、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
  5. 前記金属材料が溶解された電解液中の前記金属材料の含有量は、8.2×10−7mol/l以上5.9×10−4mol/l以下である、請求項4に記載の半導体素子の製造方法。
  6. 前記シリコン半導体は、光起電力素子に使用されるシリコン半導体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
JP2004090042A 2004-03-25 2004-03-25 半導体素子の製造方法 Expired - Fee Related JP4263124B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004090042A JP4263124B2 (ja) 2004-03-25 2004-03-25 半導体素子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004090042A JP4263124B2 (ja) 2004-03-25 2004-03-25 半導体素子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005277208A JP2005277208A (ja) 2005-10-06
JP4263124B2 true JP4263124B2 (ja) 2009-05-13

Family

ID=35176513

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004090042A Expired - Fee Related JP4263124B2 (ja) 2004-03-25 2004-03-25 半導体素子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4263124B2 (ja)

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB0601318D0 (en) * 2006-01-23 2006-03-01 Imp Innovations Ltd Method of etching a silicon-based material
CN101573801B (zh) * 2007-10-24 2011-04-20 三菱电机株式会社 太阳能电池的制造方法
US8815104B2 (en) 2008-03-21 2014-08-26 Alliance For Sustainable Energy, Llc Copper-assisted, anti-reflection etching of silicon surfaces
US8729798B2 (en) 2008-03-21 2014-05-20 Alliance For Sustainable Energy, Llc Anti-reflective nanoporous silicon for efficient hydrogen production
US20090236317A1 (en) * 2008-03-21 2009-09-24 Midwest Research Institute Anti-reflection etching of silicon surfaces catalyzed with ionic metal solutions
US9034216B2 (en) 2009-11-11 2015-05-19 Alliance For Sustainable Energy, Llc Wet-chemical systems and methods for producing black silicon substrates
US8828765B2 (en) 2010-06-09 2014-09-09 Alliance For Sustainable Energy, Llc Forming high efficiency silicon solar cells using density-graded anti-reflection surfaces
JP2014512673A (ja) 2011-03-08 2014-05-22 アライアンス フォー サステイナブル エナジー リミテッド ライアビリティ カンパニー 向上された青色感度を有する効率的なブラックシリコン光起電装置
US8883543B2 (en) 2011-05-17 2014-11-11 Sumco Corporation Method of producing wafer for solar cell, method of producing solar cell, and method of producing solar cell module
JP5724614B2 (ja) * 2011-05-17 2015-05-27 株式会社Sumco 太陽電池用ウェーハの製造方法、太陽電池セルの製造方法、および太陽電池モジュールの製造方法
JP5880055B2 (ja) * 2012-01-12 2016-03-08 株式会社Sumco 太陽電池用ウェーハの製造方法、太陽電池セルの製造方法、および太陽電池モジュールの製造方法
JP5724718B2 (ja) * 2011-07-25 2015-05-27 株式会社Sumco 太陽電池用ウェーハの製造方法、太陽電池セルの製造方法、および太陽電池モジュールの製造方法
CN104993019A (zh) * 2015-07-09 2015-10-21 苏州阿特斯阳光电力科技有限公司 一种局部背接触太阳能电池的制备方法
JP6630827B2 (ja) * 2016-06-30 2020-01-15 株式会社カネカ 結晶シリコン系太陽電池およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005277208A (ja) 2005-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4263124B2 (ja) 半導体素子の製造方法
US8883543B2 (en) Method of producing wafer for solar cell, method of producing solar cell, and method of producing solar cell module
JP5284458B2 (ja) イオン性金属溶液を用いて触媒処理されたシリコン表面の反射防止エッチング
US20090038682A1 (en) Semiconductor substrate for solar cell, method for manufacturing the same, and solar cell
JP2008153670A (ja) 光起電力電池を製造する方法
US20130255772A1 (en) Method for the wet-chemical etching back of a solar cell emitter
US20200220033A1 (en) Metal-assisted etch combined with regularizing etch
TW201724232A (zh) 針對單晶矽基板的織構化方法
JP2007299844A (ja) 光電変換素子の製造方法
TWI401810B (zh) 太陽能電池
TW200901484A (en) Method for the manufacture of a solar cell and the resulting solar cell
JP3695932B2 (ja) 凹凸基板の製造方法
JP2004172271A (ja) 太陽電池の製造方法及び太陽電池
US9276153B2 (en) Solar cell wafer and method of producing the same
JP2013225619A (ja) 太陽電池用ウェーハの製造方法および太陽電池セルの製造方法
CN103828064B (zh) 太阳能电池用晶片、太阳能电池用晶片的生产方法、太阳能电池的生产方法和太阳能电池模块的生产方法
JP2012256713A (ja) 太陽電池の製造方法
JP2003101055A (ja) 太陽電池の製造方法
JP3967911B2 (ja) 太陽電池素子の製造方法
JP5172993B2 (ja) テクスチャ構造の形成方法および太陽電池の製造方法
JP2013004721A (ja) 太陽電池用ウェーハの製造方法、太陽電池セルの製造方法、および太陽電池モジュールの製造方法
JP2009290013A (ja) 太陽電池の製造方法および太陽電池
JP5724718B2 (ja) 太陽電池用ウェーハの製造方法、太陽電池セルの製造方法、および太陽電池モジュールの製造方法
JP2007266649A (ja) 太陽電池素子の製造方法
JP5724614B2 (ja) 太陽電池用ウェーハの製造方法、太陽電池セルの製造方法、および太陽電池モジュールの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060810

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060822

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061012

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061101

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061220

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070123

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090210

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120220

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4263124

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120220

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120220

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130220

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130220

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140220

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees