JP4262865B2 - 加圧成形装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワークに対して型により圧力を加えて所定の形状に成形する加圧成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワーク(被加圧成形物)を型で囲い、加圧して所定の形状に成形する加圧成形装置が知られている。ワークとして例えば積層コンデンサなどの積層電子部品がある。積層コンデンサは、所定形状の導電体のシートとセラミックグリーンシートを交互に積層し、積層方向に加圧し、同時に加熱して各層間のバインダを硬化させ、さらにセラミックを焼成して製造される。所定形状の導電体が電極となり、焼成されたセラミック層が絶縁体となる。実際には、これを所定の形状に切り出して、回路素子として使用する。
【0003】
しかし、導電体シートとセラミックグリーンシートの積層体の表面とこれに当接する型の面の平行度が保たれていない場合、また積層体表面に凹凸がある場合など、積層体表面全体に均一に加圧することができない場合があった。均一に加圧されない場合、積層体各層の圧着不良を起こし、層はがれを生じ、不良品となってしまう。加圧力を大きくしたり、積層体の面の平行度を厳密に管理するなどの方法により、圧着不良を減少させることもできるが、前者によれば、加圧装置の大型化を招き、後者によれば、生産効率の低下が懸念される。
【0004】
この問題を解決する方法として、特開平10−85996号公報には、型の、積層体に接触する面を柔軟弾性部材により構成し、均一に加圧可能とする技術が開示されている。
【0005】
図4には、柔軟部を有する加圧型の一例が示されている。この図は、対向するもう一つの加圧型上に載置された被加圧成形物に対し上方から降下し圧力を加える加圧型100を示している。加圧型100は、金属などの剛体で形成された剛体部102を有している。加圧型100の被加圧成形物を押圧する部分には、剛体部102に窪みが設けられ、ここに柔軟材料で形成された柔軟部104が設けられている。この柔軟部104の表面が被加圧成形物を押圧し、被加圧成形部材の表面が傾斜していたり、凹凸があったりした場合にも、均一な圧力を発生させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図4に示したような加圧型を、前述の積層コンデンサの製造のような加熱工程を含むものに用いる場合、柔軟部104の熱膨張率は剛体部102のそれより大きいので、加熱により柔軟部104が熱膨張して、図5に示すように剛体部102から、湾曲して浮いた状態となるという問題があった。高温時を想定して、柔軟部104の寸法を小さくしておくと、装置の運転していないときなどの低温時に隙間ができ、柔軟部104が剛体部102に確実に固定されないという問題が生じる。
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するためになされたものであり、柔軟部を剛体部に確実に固定しつつ、高温時においても熱膨張率の差によって柔軟部が湾曲などの変形を生じない、加圧成形装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、本発明にかかる加圧成形装置は、複数の加圧型で被加圧成形物を囲み、加圧成形を行う加圧成形装置であって、被加圧成形物を載置する第1加圧型と、前記第1加圧型と協働して、被加圧成形物に圧力を加える第2加圧型と、を有し、前記第1および第2加圧型の少なくとも一方は、剛体により形成され、枠により挟まれた凹部を有する剛体部と、前記凹部内に収められ、表面が被加圧成形物に接触する柔軟部材により形成された柔軟部と、を有し、さらに、前記柔軟部と前記枠の対向する双方の面の少なくとも一方は、他方の面に向かって突出し、当接する凸部を有している。
【0009】
低温時は前記凸部の先端が剛体部と柔軟部の接触部となり、柔軟部が剛体部に保持される。高温時には、柔軟部の熱膨張により前記凸部または凸部に対向する部分がつぶれ、熱膨張分を吸収し、柔軟部が剛体部の枠から浮き上がることが防止される。
【0010】
また、前記剛体部は、枠により囲まれた窪みを有するものとすることができる。この場合、前記柔軟部は前記窪みに収めることができる。
【0011】
また、前記凸部は、前記柔軟部の対称点または軸に関し対向する二つの位置において、一方の位置に凸部が設けられている場合、他方には凸部が設けられていないようにすることができる。前記柔軟部の形状が、例えば、前記被加圧成形物に接触する面に平行な断面の形状が方形である場合、前記方形の対向する辺どうしは、一方の凸部が設けられた部分に対向する他方の部分には凸部が設けられていないようにすることができる。また、前記柔軟部材の形状が、前記と同様の断面において、例えば円形であれば、円の中心に対して対称な2点、言い換えれば、直径の両端部において、一方に凸部があれば、他方には凸部がないように、凸部を配置することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。図1は、本実施形態の加圧成形装置の主要構成が示されている。ワーク10は、前述の積層電子部品である積層コンデンサである。ワーク10は、下型12上に載置される。ワーク10の上方には、これらに対向する面に柔軟で、弾性を有する部材で形成された柔軟部14が配置された上型16が位置する。柔軟部14のワーク10に当接する面は、ワークの外形より外側に拡がった大きな面である。上型16は、剛体で形成された剛体部18とこれに結合された前記柔軟部14を含む。剛体部18は、ワーク10に対向する面に、柔軟部材を収容するための窪み20が形成されている。また、この窪み20の縁に相当する枠22が形成されている。この窪み20に柔軟部材が収められることによって、前述の柔軟部14が形成される。また、前記の枠22は、柔軟部14の図中側方周囲を全周にわたって囲っている。
【0013】
図2および図3には、上型16の柔軟部14の形状の一例が示されている。図2が正面図、図3が右側面図である。図示されるように、柔軟部14は、全体としてほぼ直方体である。詳細には、本体24は、その辺、頂点付近に丸みが付けられているほぼ直方体であり、本体24の側面には凸部26a,26b,26cが設けられている。凸部26aと、凸部26b,26cとは、図2に表れる本体24のほぼ方形の対向する二辺28a,28bにそれぞれ配置されている。また、このほぼ方形は、これらの辺に平行な対称軸Sを有している。凸部26aの、対称軸Sに関する対称位置を避けて凸部26b,26cが設けられている。言い換えれば、対向する二辺28a,28bに設けられる凸部26a,26b,26cは、互いに対向する位置とならないように配置されている。さらに言えば、辺28b上の、凸部26aに対向する位置は、凸部26b,26cの間の凹部または引き下がった部分となっている。逆に、辺28a上の、凸部26b,26cに対向する位置は、凸部26a両側の引き下がった部分となっている。この凸部26a,26b,26cが、低温時において、剛体部18の枠22に当接し、剛体部18を若干押圧するので、上型16に柔軟部14に保持する。一方で、辺28a,28bの凸部が設けられていない部分には、低温時において、枠22との間に隙間が形成されている。
【0014】
前述のように、ワーク10(積層コンデンサ)の製造過程においては、上型16に内蔵されるヒータにより加熱を行うので、柔軟部14は、150℃程度の耐熱性を要求される。このような耐熱性を有し、かつ柔軟な材料としては、シリコンゴム、フッ素ゴム、天然ゴムなどがあるが、これらの熱膨張量は、室温から150℃で、10〜15%である。これは、金属等で形成される剛体部18に比して非常に大きなものである。このため、前述のような柔軟部14の浮き上がりが生じる場合があるが、本実施形態の場合、凸部26a,26b,26cのつぶれと、これらが設けられていない部分の柔軟部14と枠22の隙間とにより、熱膨張が吸収され浮き上がりが防止される。また、凸部26aと、凸部26b,26cとは、前述のように互いに対向する位置とならないように配置されており、各凸部26a,26b,26cの反対側の柔軟部14の縁部は、低温時は剛体部18と間隙を有している。加熱により柔軟部14が熱膨張しても、前記間隙により熱膨張分が吸収され、柔軟部が湾曲し、浮き上がることを防止することができる。
【0015】
また、加熱を行う際には、剛体部18の熱の少なくとも一部が、凸部と枠22との接触面を介して、柔軟部14に伝達する。したがって、凸部の枠22と接触する面はなるべく広い面積を有することが好ましい。このことと、前述の熱膨張の吸収の両方を満足させるためには、対向する辺において、凸部が互い違いに設けられるようにすればよい。
【0016】
柔軟部の形状は方形に限定されず、例えば円形であってもよい。円形の場合、凸部は、円の中心に対して対向する円周上の二点に同時に設けられないようにすることが好ましい。
【0017】
また、柔軟部は、全周を枠22に囲まれなくともよく、この場合は凹部に収められる。例えば、ほぼ方形の柔軟部であれば、対向する2辺のみ枠に接し、枠の間の凹部に収められる。そして、少なくとも加圧時には、柔軟部の他の2辺は上型、下型以外の第3の型により接するようにする。
【0018】
さらに、前述の実施形態において、柔軟部に凸部を設けたが、逆に枠に凸部を設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の加圧成形装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】 柔軟部の形状を示す正面図である。
【図3】 図2に示す柔軟部の右側面図である。
【図4】 従来の加圧成形装置の柔軟部を有する型の一例を示す図である。
【図5】 柔軟部が型から浮き上がった状態の例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 ワーク、12 下型、14 柔軟部、16 上型、18 剛体部、20窪み、22 枠、26a,26b,26c 凸部。
Claims (3)
- 複数の加圧型で被加圧成形物を囲み、加圧成形を行う加圧成形装置であって、
被加圧成形物を載置する第1加圧型と、
前記第1加圧型と協働して、被加圧成形物に圧力を加える第2加圧型と、
を有し、
前記第1および第2加圧型の少なくとも一方は、
剛体により形成され、枠により挟まれた凹部を有する剛体部と、
前記凹部内に収められ、表面が被加圧成形物に接触する柔軟部材により形成された柔軟部と、
を有し、
前記柔軟部と前記枠の対向する双方の面の少なくとも一方は、他方の面に向かって突出し、当接する凸部を有し、
前記凸部は、前記柔軟部の対称点または軸に関し対向する二つの位置において、一方の位置に凸部が設けられている場合、他方には凸部が設けられていない、
加圧成形装置。 - 複数の加圧型で被加圧成形物を囲み、加圧成形を行う加圧成形装置であって、
被加圧成形物を載置する第1加圧型と、
前記第1加圧型と協働して、被加圧成形物に圧力を加える第2加圧型と、
を有し、
前記第1および第2加圧型の少なくとも一方は、
剛体により形成され、枠により挟まれた凹部を有する剛体部と、
前記凹部内に収められ、表面が被加圧成形物に接触する柔軟部材により形成された柔軟部と、
を有し、
前記柔軟部と前記枠の対向する双方の面の少なくとも一方は、他方の面に向かって突出し、当接する凸部を有し、
前記柔軟部は、前記被加圧成形物に接触する面に平行な断面の形状がほぼ方形であり、前記ほぼ方形の対向する辺どうしは、一方の凸部が設けられた部分に対向する他方の部分には凸部が設けられていない、
加圧成形装置。 - 請求項1または2に記載の加圧成形装置において、前記剛体部は、枠により囲まれた窪みを有し、前記柔軟部は前記窪み内に収められている、加圧成形装置。
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JP2000188242A JP4262865B2 (ja) | 2000-06-22 | 2000-06-22 | 加圧成形装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002001597A JP2002001597A (ja) | 2002-01-08 |
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JP4262865B2 true JP4262865B2 (ja) | 2009-05-13 |
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ID=18688065
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2000188242A Expired - Lifetime JP4262865B2 (ja) | 2000-06-22 | 2000-06-22 | 加圧成形装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP4262865B2 (ja) |
-
2000
- 2000-06-22 JP JP2000188242A patent/JP4262865B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP2002001597A (ja) | 2002-01-08 |
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