JP4262279B2 - シガレット用フィルタおよびそれを備えたシガレット - Google Patents
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Description
本発明は、シガレット用フィルタおよびそれを備えたシガレットに係り、特に、主流煙中の窒素酸化物(NOx)除去効率に優れたシガレット用フィルタおよびそれを備えたシガレットに関する。
現在、シガレットには種々の要求がなされている。その1つに、シガレットの主流煙中のNOx量を低減させることがある(特開2002−119270号公報)。特開2002−119270号公報には、フィルタを構成するフィラメントにプロシアニジン類を含有させたタバコフィルタが記載されている。
しかしながら、従来のタバコフィルタは、主流煙からNOxを満足し得る程度には除去することができないことがわかった。
したがって、本発明は、タバコ主流煙から効率的に窒素酸化物を除去し得るシガレット用フィルタ、およびこのフィルタを備えたシガレットを提供することを目的とする。
本発明によれば、2−フェニル−4,4,5,5−テトラメチルイミダゾリン−3−オキシド−1−オキシルが添着されたシガレット用フィルタ素材を含むシガレット用フィルタが提供される。
さらに、本発明によれば、本発明のシガレット用フィルタを備えたシガレットが提供される。
以下、本発明をより詳しく説明する。
本発明のシガレット用フィルタは、シガレット用フィルタ素材に2−フェニル−4,4,5,5−テトラメチルイミダゾリン−3−オキシド−1−オキシル(PTIO)を添着したものである。
本発明のシガレット用フィルタにおいて窒素酸化物除去の有効成分であるPTIOは、それ自体既知の化合物である(例えば、特開平9−43153号公報参照)。
本発明のシガレット用フィルタにおいてフィルタ素材としては、セルロースアセテート繊維トウ、フィルタ紙、活性炭等の多孔質粒状担体を用いることができる。素材としてセルロースアセテート繊維トウを用いる場合には、PTIOを繊維トウに噴霧することによって添着させることができる。フィルタ紙を用いる場合には、PTIOをフィルタ紙に含浸させることができる。こうして得られたフィルタ素材を通常の手法によりラッパーで巻き取って、シガレットの一端に接続することができる。
フィルタ素材として活性炭等の多孔質粒状担体を用いる場合には、多孔質担体粒子にPTIOを添着させた後、得られたPTIO担持粒子をいわゆるキャビティ充填するか、トウに添加する。キャビティ充填についてより具体的には、フィルタ巻取紙管の両端部にプレーンフィルタを設け、それらプレーンフィルタの間のキャビティにPTIO担持粒子を充填する。一方、トウ添加については、市販シガレットのチャコールフィルタと同様の手法で、アセテートフィルタの繊維の間に、PTIO担持粒子を分散させる。
PTIOは、フィルタ素材100重量部あたり、3〜10重量部添着させることが好ましく、5〜7重量部添着させることが特に好ましい。PTIOは、実際の喫煙状態に相当する湿潤状態でもシガレット主流煙中のNOおよびNOxを有意に低減させる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はそれら実施例により限定されるものではない。
<PTIO添着活性炭の調製>
PTIO(和光純薬工業(株)製、CAS:18390−00−6)10mg、30mg、50mgおよび100mgを、それぞれ、エタノール2490mg、2470mg、2450mgおよび2400mgに完全に溶解し、それぞれ、濃度0.4重量%、1.2重量%、2重量%および4重量%のPTIOエタノール溶液を調製した。各エタノール溶液に、予め200℃で真空加熱乾燥したヤシ殻活性炭(日本エンバイロケミカルズ社製;比表面積:約1200m2/g)1gを加え、試験管ミキサーで60秒間撹拌した。その後、50℃の水浴中で、窒素ガスを噴入しながら溶媒エタノールを除去し、120℃で真空加熱乾燥し、PTIO添着活性炭を得た。PTIO濃度0.4重量%のエタノール溶液を用いて得られたPTIO添着活性炭は、活性炭重量の1%に相当するPTIOが添着され(PTIO添着活性炭I)、PTIO濃度1.2重量%のエタノール溶液を用いて得られたPTIO添着活性炭は、活性炭重量の3%に相当するPTIOが添着され(PTIO添着活性炭II)、PTIO濃度2重量%のエタノール溶液を用いて得られたPTIO添着活性炭は、活性炭重量の5%に相当するPTIOが添着され(PTIO添着活性炭III)、PTIO濃度4重量%のエタノール溶液を用いて得られたPTIO添着活性炭は、活性炭重量の10%に相当するPTIOが添着されている(PTIO添着活性炭IV)ことが測定された。
PTIO(和光純薬工業(株)製、CAS:18390−00−6)10mg、30mg、50mgおよび100mgを、それぞれ、エタノール2490mg、2470mg、2450mgおよび2400mgに完全に溶解し、それぞれ、濃度0.4重量%、1.2重量%、2重量%および4重量%のPTIOエタノール溶液を調製した。各エタノール溶液に、予め200℃で真空加熱乾燥したヤシ殻活性炭(日本エンバイロケミカルズ社製;比表面積:約1200m2/g)1gを加え、試験管ミキサーで60秒間撹拌した。その後、50℃の水浴中で、窒素ガスを噴入しながら溶媒エタノールを除去し、120℃で真空加熱乾燥し、PTIO添着活性炭を得た。PTIO濃度0.4重量%のエタノール溶液を用いて得られたPTIO添着活性炭は、活性炭重量の1%に相当するPTIOが添着され(PTIO添着活性炭I)、PTIO濃度1.2重量%のエタノール溶液を用いて得られたPTIO添着活性炭は、活性炭重量の3%に相当するPTIOが添着され(PTIO添着活性炭II)、PTIO濃度2重量%のエタノール溶液を用いて得られたPTIO添着活性炭は、活性炭重量の5%に相当するPTIOが添着され(PTIO添着活性炭III)、PTIO濃度4重量%のエタノール溶液を用いて得られたPTIO添着活性炭は、活性炭重量の10%に相当するPTIOが添着されている(PTIO添着活性炭IV)ことが測定された。
<シガレットサンプルの作製>
タバコロッドとして、市販のアメリカンブレンドタバコロッドを用いた。このタバコロッドの一端に上で得たPTIO添着活性炭をキャビティ充填してなるフィルタプラグを取り付けた。フィルタプラグは、両端に5mm長のプレーンフィルタ(セルロースアセテート繊維トウからなる)を取り付け、それらプレーンフィルタの間のキャビティにPTIO添着活性炭粒子を0mg、50mg、100mg、および200mg最密充填させたものであり、ベンチレーション孔は設けなかった。
タバコロッドとして、市販のアメリカンブレンドタバコロッドを用いた。このタバコロッドの一端に上で得たPTIO添着活性炭をキャビティ充填してなるフィルタプラグを取り付けた。フィルタプラグは、両端に5mm長のプレーンフィルタ(セルロースアセテート繊維トウからなる)を取り付け、それらプレーンフィルタの間のキャビティにPTIO添着活性炭粒子を0mg、50mg、100mg、および200mg最密充填させたものであり、ベンチレーション孔は設けなかった。
<NOおよびNOx量の測定>
得られたシガレットサンプルを喫煙器(Borgwaldt社製RM26)にセットし、下記条件で燃焼させた。
得られたシガレットサンプルを喫煙器(Borgwaldt社製RM26)にセットし、下記条件で燃焼させた。
吸煙容量 17.5mL/パフ
パフ時間 2秒/パフ
パフ間隔 58秒
パフ回数 7回
7回のパフ(吸煙)および空パフ(燃焼終了後1回)それぞれについて、ケンブリッジフィルターを通過した煙を20倍に希釈(予め17.5mL×19=332.5mLの窒素ガスを注入したアルミバッグに捕集)し、化学発光法によりNOおよびNOxの濃度を測定した。得られた濃度からNOおよびNOxの重量を算出し、全パフと空パフにおける算出重量値を合計してシガレット1本当りのデリバリー量とした。比較として、PTIOを添着しなかった活性炭を用いて同様のシガレットサンプルを作製し、同様にしてシガレット1本当りのデリバリー量を求めた。NOおよびNOxの低減率は、フィルタを接続しない両切シガレットについて同様に求めた1本当りのNOおよびNOxデリバリー量を基準として算出した。NOの低減率(%)を図1に示す。図1において、線aは、PTIO添着活性炭Iを用いた場合の結果を、線bは、PTIO添着活性炭IIを用いた場合の結果を、線cは、PTIO添着活性炭IIIを用いた場合の結果を、線dは、PTIO添着活性炭IVを用いた場合の結果を、そして線eは、PTIO無添着活性炭を用いた場合の結果を示す。
パフ時間 2秒/パフ
パフ間隔 58秒
パフ回数 7回
7回のパフ(吸煙)および空パフ(燃焼終了後1回)それぞれについて、ケンブリッジフィルターを通過した煙を20倍に希釈(予め17.5mL×19=332.5mLの窒素ガスを注入したアルミバッグに捕集)し、化学発光法によりNOおよびNOxの濃度を測定した。得られた濃度からNOおよびNOxの重量を算出し、全パフと空パフにおける算出重量値を合計してシガレット1本当りのデリバリー量とした。比較として、PTIOを添着しなかった活性炭を用いて同様のシガレットサンプルを作製し、同様にしてシガレット1本当りのデリバリー量を求めた。NOおよびNOxの低減率は、フィルタを接続しない両切シガレットについて同様に求めた1本当りのNOおよびNOxデリバリー量を基準として算出した。NOの低減率(%)を図1に示す。図1において、線aは、PTIO添着活性炭Iを用いた場合の結果を、線bは、PTIO添着活性炭IIを用いた場合の結果を、線cは、PTIO添着活性炭IIIを用いた場合の結果を、線dは、PTIO添着活性炭IVを用いた場合の結果を、そして線eは、PTIO無添着活性炭を用いた場合の結果を示す。
図1に示す結果からPTIO添着活性炭粒子を含むフィルタは、PTIOを含まない活性炭粒子に比べてNO量を有意に減少させることがわかる。特に、PTIOを3〜10重量%担持した活性炭は、NOの低減効果が有意に高い。なお、NOxの低減率も上記NOの低減率と同様の傾向を示した。
実施例1で調製したPTIO添着活性炭IIを、温度22℃、相対湿度60%の下で平衡に達するまで吸湿処理し、吸湿PTIO添着活性炭IIIを得た。この吸湿PTIO添着活性炭IIIを用いた以外は、実施例1と同様にシガレットを作製し、主流煙中のNO低減率を求めた。結果を図2に示す。図2において、線aは、吸湿PTIO添着活性炭IIIを用いた場合の結果を、線bは、PTIOを添着しなかった以外は同様に吸湿処理した活性炭を用いた場合の結果を示す。図2に示す結果から、吸湿処理を行うと、NO低減率が乾燥PTIO添着活性炭IIIの場合(実施例1)よりもやや低下するが、活性炭単独よりもNO量を有意に減少させ、実際の喫煙(フィルタベンチレーション50%相当)を想定した場合でも、PTIOはNO量を減少させる効果を十分に奏するものであることがわかる。なお、ここでも、NOxの低減率は上記NOの低減率と同様の傾向を示した。
実施例1で作製したシガレットサンプルを、吸煙容量を35mL/パフとした以外は実施例1と同様の条件下で燃焼させた。PTIO無添着の活性炭を用いたシガレットサンプルについても吸煙容量35mL/パフで燃焼させ、主流煙中のNO低減率を算出した。結果を図3に示す。図3において、線aは、PTIO添着活性炭IIIを用いた場合の結果を、線bは、PTIO無添着活性炭を用いた場合の結果を示す。図3に示す結果から、吸煙容量を増すことにより、実施例1の場合と比較して、NO低減率は低下するものの、PTIO添着活性炭IIIを用いたサンプルは、PTIO無添着の活性炭を用いたシガレットサンプルよりも有意に高いNO低減率を示すことがわかる。なお、NOx低減率もNO低減率と同様の傾向を示した。
実施例2と同様のシガレットサンプル(吸湿PTIOを使用)を実施例3の条件と同じ条件で燃焼させ、NO低減率を算出した。PTIO無添着の活性炭を用いたシガレットサンプルについてもNO低減率を算出した。結果を図4に示す。図4において、線aは、PTIO添着活性炭を用いた場合の結果を、線bは、PTIO無添着活性炭を用いた場合の結果を示す。図4に示す結果から、吸煙容量を増すことにより、実施例2の場合と比較して、NO低減率は低下するものの、PTIO添着活性炭を用いたサンプルは、PTIO無添着の活性炭を用いたシガレットサンプルよりも有意に高いNO低減率を示すことがわかる。なお、ここでも、NOx低減率はNO低減率と同様の傾向を示した。
以上述べたように、本発明のシガレット用フィルタは、タバコ主流煙から効率的に窒素酸化物を除去し得る。
Claims (4)
- 2−フェニル−4,4,5,5−テトラメチルイミダゾリン−3−オキシド−1−オキシルが添着されたシガレット用フィルタ素材を含むシガレット用フィルタ。
- 前記フィルタ素材が活性炭粒子からなることを特徴とする請求項1に記載のシガレット用フィルタ。
- 2−フェニル−4,4,5,5−テトラメチルイミダゾリン−3−オキシド−1−オキシルが、フィルタ素材100重量部につき、3〜10重量部の割合で添着されている請求項1に記載のシガレット用フィルタ。
- 請求項1に記載のシガレット用フィルタを備えたシガレット。
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