以下、図面を参照しながら本実施の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係る無線通信システムを構成する第1の無線通信装置の構成例を示し、図2は本実施形態に係る無線通信システムを構成する第2の無線通信装置の構成例を示している。
図1において、第1の無線通信装置は、大きく分けて送信部1、制御部2、受信部3から構成されている。
送信部1は、アンテナ101、無線処理回路102、第2の符号乗算回路103、パイロット挿入回路104、データ多重回路105、第1の符号乗算回路106、変調回路107、S/P回路108、誤り訂正符号化回路109、データ分配回路110を含む。
図1では、2本のアンテナ101が設けられている。従って、空間分割多重数の最大値が「2」である。また、無線処理回路102、第2の符号乗算回路103、パイロット挿入回路104、データ多重回路105は、それぞれ2つずつ設けられている。
2本のアンテナ101のそれぞれを区別する場合には、アンテナ101−1、101−2とする。2つの無線処理回路102のそれぞれを区別する場合には、無線処理回路102−1、102−2とする。2つの第2の符号乗算回路103のそれぞれを区別する場合には、第2の符号乗算回路103−1、103−2とする。2つのパイロット挿入回路104のそれぞれを区別する場合には、パイロット挿入回路104−1、104−2とする。2つのデータ多重回路105のそれぞれを区別する場合には、データ多重回路105−1、105−2とする。
図1では、多重されるデータ系列の最大数はNの場合を示してしる。従って、符号分割多重のために用いる符号は最大N個ある。また、第1の符号乗算回路106、変調回路107、S/P回路108、誤り訂正符号化回路109は、それぞれN個ずつ設けられている。
N個の第1の符号乗算回路106のそれぞれを区別する場合には、第1の符号乗算回路106−1…106−Nとする。N個の変調回路107のそれぞれを区別する場合には、変調回路107−1…107−Nとする。N個のS/P回路108のそれぞれを区別する場合には、S/P回路108−1…108−Nとする。N個の誤り訂正符号化回路109のそれぞれ区別する場合には、誤り訂正符号化回路109−1…109−Nとする。
受信部3は、アンテナ301、無線処理回路302、復調回路303、誤り訂正復号回路304を含む。
図2において、第2の無線通信装置は、大きく分けて送信部4、制御部5、受信部6から構成されている。
送信部4は、アンテナ401、無線処理回路402、変調回路403、誤り訂正符号化回路404を含む。受信部6は、アンテナ601、無線処理回路602、同期回路603、符号乗算回路604、伝送路推定回路605、合成回路606、分離回路607、復調回路608、P/S回路609、誤り訂正復号回路610、受信状態測定回路611を含む。
図2では、2本のアンテナ601が設けられている。また、無線処理回路602、同期回路603、符号乗算回路604、伝送路推定回路605は、それぞれ2つずつ設けられている。
2本のアンテナ601のそれぞれを区別する場合には、アンテナ601−1、602−2とする。2つの無線処理回路602のそれぞれ区別する場合には、無線処理回路602−1、602−2とする。2つの同期回路603のそれぞれを区別する場合には、同期回路603−1、603−2とする。2つの符号乗算回路604のそれぞれを区別する場合には、符号乗算回路604−1、604−2とする。2つの伝送路推定回路605のそれぞれを区別する場合には、伝送路推定回路605−1、605−2とする。
なお、図1及び図2では空間分割多重数すなわちアンテナ数、及びこれに対応する各回路が2つの場合を示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、任意の数にて構成することが可能である。
図1の第1の無線通信装置の送信部1の動作について説明する。データ分配回路110は上位I/Fから入力された最大数Nの複数のデータ系列を、各データ系列に対応する各誤り訂正符号化回路109に分配する。N個の誤り訂正符号化回路109のそれぞれは、入力されたデータ系列に対して、制御部2により設定された各データ系列に対応する符号化方式及び符号化率で誤り訂正符号化を行い、誤り訂正符号化データ系列を生成する。誤り訂正符号化データ系列は、対応するS/P回路108へ出力される。
N個のS/P回路108のそれぞれは、入力された誤り訂正符号化データ系列を、制御部2により設定された所定の空間分割多重数、すなわち送信に利用されるアンテナ101の数に対応した数(空間分割多重数、ここでは最大「2」)のデータ系列(パラレルデータ)に変換(S/P変換)する。各データ系列は、対応する各変調回路107に出力される。
N個の変調回路107のそれぞれは、入力された各データ系列に対して、制御部2で設定された各データ系列に対応する変調方式により変調を行い、各変調信号を生成する。各変調信号は、対応する第1の符号乗算回路106へ出力される。
N個の第1の符号乗算回路106には、それぞれが直交する異なるN個の拡散符号がそれぞれ割り当てられている。N個の第1の符号乗算回路106のそれぞれは、入力された各変調信号に対して、制御部2で設定された各変調信号に対応する拡散率に基づき、当該第1の符号乗算回路106に割り当てられた符号を乗算することにより、入力された各変調信号を符号拡散し、各符号拡散信号を生成する。なお、符号数は最大データ多重数Nに対応する。第1の符号乗算回路106で生成された、各符号拡散信号は、空間分割多重数に応じた異なるデータ多重回路105へ出力される。
アンテナ101の数(ここでは2つ)に等しい数のデータ多重回路105のそれぞれは、入力された最大数Nの符号拡散信号を加算することで多重化し、多重化信号を生成する。多重化信号は、対応するパイロット挿入回路104へ出力される。
アンテナ101の数(ここでは2つ)に等しい数のパイロット挿入回路104のそれぞれは、入力された多重化信号に対して、所定の信号パターンを有する既知シンボル列を加算し、対応する第2の符号乗算回路103へ出力する。
アンテナ101の数(ここでは2つ)に等しい数の第2の符号乗算回路103のそれぞれは、入力された既知シンボル列の挿入された多重化信号に対して、擬似ランダム系列に代表されるスクランブル符号を乗算し、対応する無線処理回路102へ出力する。
アンテナ101の数(ここでは2つ)に等しい数の無線処理回路102のそれぞれは、入力された信号に対して、D/A(Digital to Analog)変換、直交変調、アップコンバード、帯域制限、電力増幅等の所定の無線処理を行って、無線信号を生成する。当該無線信号はアンテナ101より無線通信路へ送信される。
図2の第2の無線通信装置の受信部6の動作について説明する。2本のアンテナ601のそれぞれは、無線通信路から受信した無線信号を、各アンテナ601に対応する各無線処理回路602へ出力する。
2つの無線処理回路602のそれぞれは、入力された無線信号に対して帯域制限、ダウンコンバート、直交復調、A/D(Analog to Digital)変換等の所定の無線処理を行い、その結果を、各無線処理回路602に対応する各同期回路603、各符号乗算回路604、各伝送路推定回路605へ出力する。
無線処理回路602−1、同期回路603−1、符号乗算回路604−1、伝送路推定回路605−1は、アンテナ601−1で受信された信号を処理する。無線処理回路602−2、同期回路603−2、符号乗算回路604−2、伝送路推定回路605−2は、アンテナ601−2で受信された信号を処理する。
同期回路603−1は、無線処理回路602−1から出力された信号に含まれる上記既知シンボル列を用いて、アンテナ601−1で受信された、様々な経路(マルチパス)を経て到来する信号のタイミングを検出する。同様に、同期回路603−2は、無線処理回路602−2から出力された信号に含まれる上記既知シンボル列を用いて、アンテナ601−2で受信された、マルチパス伝搬路を経て到来する信号のタイミングを検出する。各同期回路603は、各到来信号のタイミング(マルチパスタイミング)を各同期回路603に対応する伝送路推定回路605、符号乗算回路604にそれぞれ出力する。
符号乗算回路604−1は、対応する同期回路603−1から通知されたマルチパスタイミングを基に、検出されたマルチパスの数「L1」(L1<=M)に等しい数の乗算回路を用いて、入力された各信号に対して、スクランブル符号及び直交符号を乗算し、結果を合成回路606へ出力する。同様に、符号乗算回路604−2は、対応する同期回路603−2から通知されたマルチパスタイミングを基に、検出されたマルチパスの数「L2」(L2<=M)に等しい数の乗算回路を用いて、入力された各信号に対して、スクランブル符号及び当該第2の無線通信装置に対応する直交符号を乗算し、結果を合成回路606へ出力する。
伝送路推定回路605−1は、対応する同期回路603−1から通知されたマルチパスタイミングを基に、検出されたL1個のマルチパスのそれぞれについて、前記既知シンボル列を用いて伝送路推定を行う。伝送路推定結果は、合成回路606及び分離回路607に通知すると共に、受信状態測定回路611にも出力される。同様に、伝送路推定回路605−2は、対応する同期回路603−2から通知されたマルチパスタイミングを基に、検出されたL2個のマルチパスのそれぞれについて、前記既知シンボル列を用いて伝送路推定を行う。伝送路推定結果は、合成回路606及び分離回路607に通知すると共に、受信状態測定回路611にも出力される。
合成回路606は入力された信号と通知された伝送路推定値を基に、第2の無線通信装置の受信部6のアンテナ601−1で受信された複数の到来信号を合成し、アンテナ601−1で受信された信号を生成する。また、アンテナ601−2で受信された複数の到来信号を合成して、アンテナ601−2で受信された信号を生成する。生成された2つの信号は分離回路607へ出力される。
分離回路607は入力された2つの信号と通知された伝送路推定値を基に、2つの信号から、空間的に多重されている、第1の無線通信装置のアンテナ101−1から送信された信号及びアンテナ101−2から送信された信号をそれぞれ分離し、これら2つの信号を復調回路608へ出力する。
復調回路608は、入力された2つの信号に対して、所定の変調方式に対応する復調方式にて復調を行って、その結果得られた2系列の復調データをP/S回路609に出力する。P/S回路609は入力された2系列の復調データをP/S変換し、その結果得られる1系列のデータを誤り訂正復号回路610に出力する。誤り訂正復号回路610は、入力されたデータに対して、所定の符号化方式及び符号化率に基づき復号を行い、その結果得られるデータを上位I/Fに出力する。
受信状態測定回路611は、入力された伝送路推定値を基に、受信状態として、符号分割多重に起因する干渉信号の大きさを示す所望信号電力対干渉及び雑音電力比(SINR)や、空間分割多重に起因する干渉信号の大きさを示す空間相関などを測定し、これら測定結果を含む受信状態情報を第1の無線通信装置へ送信するために制御部5へ出力する。
なお、ここでは、第2の無線通信装置に割り当てられている直交符号が1つである場合(第1の無線通信装置で多重されるN系列のデータのうちの1系列を受信する場合)を示したが、複数の直交符号が割り当てられている場合(第1の無線通信装置で多重されるN系列のデータのうちの複数の系列を受信する場合)には、符号乗算回路604、合成回路606、分離回路607、復調回路608を、割当たられている直交符号の数に等しい数だけ設けることで容易に実現することが可能である。
制御部5は、受信状態測定回路611から入力された受信状態情報を送信部4へ出力する。なお、受信状態情報に基づき決定された適応制御情報を送信部4へ出力してもよい。
次に、送信部4について説明する。誤り訂正符号化回路404は、上位I/Fから入力された送信データに対して、所定の符号化方式及び符号化率で誤り訂正符号化を行い、その結果得られるデータを変調回路403に出力する。変調回路403は、入力されたデータに対して、所定の変調方式により変調を行い、その結果得られる信号を無線処理回路402へ出力する。無線処理回路402は、入力された信号に対して、D/A変換、直交変調、アップコンバード、帯域制限、電力増幅等の所定の無線処理を行い無線信号を生成し、当該無線信号はアンテナ401から無線通信路へ送信される。
次に、図1の第1の無線通信装置の受信部3について説明する。アンテナ301は無線通信路から受信した無線信号を無線処理回路302へ出力し、無線処理回路302は入力された無線信号に対して帯域制限、ダウンコンバート、直交復調、A/D変換等の所定の無線処理を行い、その結果得られる信号を復調回路303へ出力する。復調回路303は、入力された信号を所定の変調方式に対応する復調方式にて復調する。復調した結果得られたデータが受信状態情報あるいは当該受信状態情報に基づき決定された適応制御情報である場合には、当該データを制御部2へ出力する。復調した結果得られたデータが、受信状態情報あるいは適応制御情報以外のデータである場合には、当該データは誤り訂正復号回路304に出力する。誤り訂正復号回路304は、入力されたデータに対して、所定の符号化方式及び符号化率に基づき復号を行い、その結果得られるデータを上位I/Fに出力する。
図1の第1の無線通信装置の制御部2について説明する。制御部2は復調回路303から入力された受信状態情報あるいは適応制御情報、すなわち、図2の第2の無線通信装置から送信された受信状態情報あるいは適応制御情報を用いて、送信部1を制御する。前述のように、受信状態情報とは、第2の無線通信装置で測定された、符号分割多重に起因する干渉の大きさを示す情報(SINR)、及び空間分割多重に起因する干渉の大きさを示す情報(空間相関)とが含まれている。この時、送信部1に対する制御とは、例えば、変調方式、符号化率、データ多重数、拡散率、送信アンテナ数、送信電力、送信方式等を制御することである。
図1の第1の無線通信装置(以下、送信装置)から送信される信号を、図2の第2の無線通信装置(受信装置)で受信する場合、受信装置において符号分割多重に起因する干渉の大きさと空間分割多重に起因する干渉の大きさを区別して測定し、これを送信装置へ通知するため、結果として送信装置が2種類の干渉の大きさに応じて適応制御を行うことが可能となる。
図3は、図1の第1の無線通信装置における第2の符号乗算回路103、パイロット挿入回路104、データ多重回路105、第1の符号乗算回路104の動作をより詳細に説明するための図である。
第1の符号乗算回路106−1、106−2、…106−Nのそれぞれには、所定の拡散率を有する符号(1)、符号(2)、…符号(N)がそれぞれ割り当てられている。なお、各符号は、N個の受信装置(第2の無線通信装置)のそれぞれに対応する。
第1の符号乗算回路106−1、106−2、…106−Nは、それぞれに対応する変調回路107−1〜107−Nから出力された所定の空間分割多重数(例えば、ここでは例えば「2」)に等しい数の変調信号に対して、符号(1)、(2)、…(N)をそれぞれ乗算し、符号拡散信号を生成する。
各第1の符号乗算回路106で生成された2つの符号拡散信号は、データ多重回路105−1、105−2へそれぞれ出力される。よって、データ分配回路110に入力される空間分割多重されるN個の複数のデータ系列のそれぞれは、同一の符号により拡散されることとなる。なお、符号(1)、(2)、…(N)はそれぞれが直交する異なる符号である。
データ多重回路105−1は、入力されたN個の符号拡散信号を加算することで、アンテナ101−1で送信するための多重化信号を生成する。生成された多重化信号は、パイロット挿入回路104−1へ出力される。データ多重回路105−2は、入力されたN個の符号拡散信号を加算することで、アンテナ101−2で送信するための多重化信号を生成する。生成された多重化信号は、パイロット挿入回路104−2へ出力される。
パイロット挿入回路104−1、104−2のそれぞれには、所定のパターンの既知シンボル列(パイロット信号)が予め記憶されている。パイロット挿入回路104−1は、入力された多重化信号に対して、予め記憶している既知シンボル列を加算することで当該既知シンボル列を挿入して、第2の符号乗算回路103−1へ出力する。パイロット挿入回路104−2は、入力された多重化信号に対して、予め記憶している既知シンボル列を加算することで当該既知シンボル列を挿入して、第2の符号乗算回路103−2へ出力する。
第2の符号乗算回路103−1、103−2のそれぞれは、入力された(既知シンボル列の加算(挿入)された)多重化信号に対して擬似ランダム系列のようなスクランブル符号を乗算して、無線処理回路102−1、102−2へそれぞれ出力する。
パイロット挿入回路104−1、104−2で加算される各既知シンボル列は、受信側の第2の無線通信装置の任意の1つのアンテナで受信した信号から、送信側の第1の無線通信装置の各アンテナで送信された信号を分離することができるようなパターンを有する。すなわち、パイロット挿入回路104−1、104−2で加算される各既知シンボル列は、第2の無線通信装置で受信された信号が、第1の無線通信装置のアンテナ101−1、101−2のうちのどのアンテナから送信される信号であるかを識別するために用いられる。
例えば、Aを任意のシンボル、シンボルAと直交するシンボルを−Aとする。パイロット挿入回路104−1で挿入される既知シンボル列は、(A,A)というパターンを有し、パイロット挿入回路104−2で挿入される既知シンボル列は、(A,−A)というパターンを有する。
なお、既知シンボル列のパターンはこの限りでなく、例えばパイロット挿入回路104−1では(A,A,A,A)というパターンの既知シンボル列を挿入し、パイロット挿入回路104−2では(A,A,−A,−A)という既知シンボル列を挿入してもよい。
次に、図4を参照して、上述した第2の無線通信装置の伝送路推定回路605について説明する。ここでは、上述した第1の無線通信装置のパイロット挿入回路104−1が(A,A)なるシンボルパターンを有する既知シンボル列を挿入し、パイロット挿入回路104−2が(A,−A)なるシンボルパターンを有する既知シンボル列を挿入する場合を例にとり説明する。
伝送路推定回路605は、同期回路603から通知されたマルチパスタイミングを基に、検出されたマルチパスのそれぞれについて、前記既知シンボル列を用いて伝送路推定を行う。同期回路603でL((L1=L2=L<=M))個のマルチパスを検出した場合には、それぞれついて伝送路推定を行う。これは同時にL個の伝送路推定回路605が動作することを意味している。
伝送路推定回路605は、第1の無線通信装置(送信装置)で送信に用いられた各アンテナ、及び第2の無線通信装置(受信装置)で受信に用いられた各アンテナに対する全てのマルチパスに対して、伝送路推定を行い、伝送路推定結果を求める。よって、全部で、「第1の無線通信装置で送信に用いられたアンテナ数」×「第2の無線通信装置で受信に用いられたアンテナ数」×「検出されたマルチパスの数」の数の伝送路推定結果が得られることとなる。
なお、ここでは、送信装置のアンテナをT、受信装置のアンテナをSとすると、アンテナTから送信されてアンテナSで受信されたu(u<=M)番目のマルチパスに対応する伝搬路rTS(u)の伝送路推定結果をhTS(u)と表すこととする。たとえば、第1の送信アンテナ101−1で送信され、第1の受信アンテナ601−1で受信された1番目のマルチパスに対応する伝搬路はr11(1)、伝送路推定結果はh11(1)と表し、第2の送信アンテナ101−2で送信され、第2の受信アンテナ601−2で受信された1番目のマルチパスに対応する伝搬路はr22(1)、伝送路推定結果はh22(1)と表し、第1の送信アンテナ101−1で送信され、第2の受信アンテナ601−2で受信された3番目のマルチパスに対応する伝搬路はr12(3)、伝送路推定結果はh12(3)と表す。
また、後述する、伝搬路rTS(u)の伝送路推定結果hTS(u)の平均hTS(u)_AVと上記hTS(u)とを区別するために、hTS(u)を伝搬路rTS(u)の第1の伝送路推定結果、hTS(u)_AVを伝搬路rTS(u)の第2の伝送路推定結果と称する。
ここでは、図4を参照して、アンテナ601−1及びアンテナ601−2のそれぞれで受信されたL個の到来信号のうち1番目の到来信号について、伝送路推定回路605−1及び605−2が伝送路推定を行う場合について説明する。
また、伝送路推定回路605−1及び605−2の構成は同一であるため、ここでは、まず、アンテナ601−1で受信された、1番目の到来信号について伝送路推定を行う伝送路推定回路605−1について説明する。
伝送路推定回路605−1は、同期回路603より通知されるマルチパスタイミングに同期して、無線処理回路602−1から入力された信号に対して、まず、乗算回路701で第1の無線通信装置の第2の符号乗算回路103で乗算されたスクランブル符号と同一の符号を乗算する。ここでは、この乗算結果の単位をチップと称する。
続いて、加算回路702では、乗算回路701から出力された乗算結果を所定のPSF(Pilot Spreading Factor)チップ、すなわちスクランブル符号のレートと第1の無線通信装置のパイロット挿入回路104で挿入された既知シンボル列のレート比に対応するチップ数を加算する。ここでは、加算回路702から出力される加算結果の単位をシンボルと称する。すなわち1シンボル=PSFチップである。
振幅調整回路703では、加算回路702から出力された加算結果に対して、振幅を調整する。この振幅の調整は、例えば加算結果をPSFで除算することで実現する。振幅調整回路703から出力される各シンボルは、加算回路704aと減算回路704bに入力される。
加算回路704aでは、連続して2シンボル入力されると、この2シンボルを加算する。また、減算回路704bでは、連続して2シンボル入力されると、この2シンボル間で減算を行う。
振幅調整回路705aでは、加算回路704aから出力された加算結果に対して振幅の調整を行い、その結果得られる伝搬路r11(1)の第1の伝送路推定結果h11(1)を受信状態測定回路611と平均回路706aへ出力する。振幅調整回路705bでは、減算回路704bから出力された減算結果に対して振幅の調整を行い、その結果得られる伝搬路r21(1)の第1の伝送路推定結果h21(1)を受信状態測定回路611と平均回路706bへ出力する。
振幅調整回路705aでは、2つのシンボルの加算を行っていることから、例えば、加算結果を「2」で除することで、振幅の調整を行う。同様に、振幅調整回路705bでは、2つのシンボル間で減算を行っていることから、例えば、減算結果を「2」で除することで、振幅の調整を行う。
第1の無線通信装置の第1のアンテナ101−1より(A,A)なる2つのシンボルを有する既知シンボル列が送信され、第2のアンテナ101−2より(A,−A)なる2つのシンボルを有する既知シンボル列が送信されている場合、上述のように、加算回路704aで2シンボルを加算すると、第1のアンテナ101−1で送信された既知シンボル列が「2A」なる既知シンボル信号として検出されるが、第2のアンテナ101−2で送信された既知シンボル列は「0」となり検出されない。逆に、上述のように、減算回路704bで2シンボルを減算すると、第2のアンテナ101−2で送信された既知シンボル列が「2A」なる既知シンボル信号として検出されるが、第1のアンテナ101−1で送信された既知シンボル列は「0」となり検出されない。
すなわち、振幅調整回路705aから出力されるものは、第1の無線通信装置の第1のアンテナ101−1から送信され、第2の無線通信装置の第1のアンテナ601−1で受信された既知シンボル列の既知シンボル信号「A」である。また、振幅調整回路705bから出力されるものは、第1の無線通信装置の第1のアンテナ101−2から送信され、第2の無線通信装置の第2のアンテナ601−2で受信された既知シンボル列の既知シンボル信号「A」である。
このように、伝送路推定回路705aは、第2の無線通信装置の第1のアンテナ601−1及び第2のアンテナ602−2で受信された各到来信号から抽出された既知シンボル信号「A」を、各伝搬路の第1の伝送路推定結果として出力する。
平均回路706aでは、振幅調整のなされた加算結果(すなわち、既知シンボル信号「A」)が予め定められた数得られたときに、それらの加算平均を算出する。この既知シンボル信号「A」の加算平均が、伝搬路r11(1)の第2の伝送路推定結果h11(1)_AVである。第2の伝送路推定結果は、合成回路606及び分離回路607に通知され、さらに受信状態測定回路611に出力される。同様に、平均回路706bでは、振幅調整のなされた加算結果(すなわち、既知シンボル信号「A」)が予め定められた数得られたときに、それらの加算平均を算出し、伝搬路r21(1)の第2の伝送路推定結果h21(1)_AVを得る。第2の伝送路推定結果は、合成回路606及び分離回路607に通知され、さらに受信状態測定回路611に出力される。
伝送路推定回路605−2は、アンテナ601−2で受信された、1番目の到来信号について、上記伝送路推定回路605−1と同様にして、伝搬路r12(1)の第1の伝送路推定結果h12(1)及び第2の伝送路推定結果h12(1)_AV、伝搬路r22(1)の第1の伝送路推定結果h22(1)及び第2の伝送路推定結果h22(1)_AVを算出する。
なお、上述の動作例では2シンボル単位として加算及び減算を行っているため、双方の結果に対する振幅の調整は、「2」で除算することで実現するとしている。しかし、例えば第1の無線通信装置におけるパイロット挿入回路104−1、104−2が、(A,A,A,A)及び(A,A,−A,−A)というシンボルパターンを有する既知シンボル列をそれぞれ挿入している場合には、加算回路704a、減算回路704bでは、4シンボル単位で加算及び減算を行う。そして、振幅調整回路705a、705bでは、加算回路704aでの加算結果、減算回路704での減算結果に対し、「4」で除算することで、振幅の調整を行う。
この場合も、振幅調整回路705aから出力されるものは、第1の無線通信装置の第1のアンテナ101−1から送信され、第2の無線通信装置の第1のアンテナ601−1で受信された既知シンボル列の既知シンボル信号「A」であり、また、振幅調整回路705bから出力されるものは、第1の無線通信装置の第1のアンテナ101−2から送信され、第2の無線通信装置の第2のアンテナ601−2で受信された既知シンボル列の既知シンボル信号「A」である。
次に、図5を参照して、上述した第2の無線通信装置における受信状態測定回路611について説明する。受信状態測定回路611には、図4の伝送路測定回路605−1、605−2で算出された各伝送路rTS(u)の第1の伝送路推定結果hTS(u)及び第2の伝送路推定結果hTS(u)_AVが入力される。なお、u=1〜Lである。
受信状態測定回路611の第1の合成回路801aは、第1の無線通信装置の第1のアンテナ101−1で送信され、第2の無線通信装置の第1のアンテナ601−1で受信された各伝搬路r11(1)〜r11(L)のそれぞれの第1の伝送路推定結果h11(1)〜h11(L)を、第2の伝送路推定結果h11(1)_AV〜h11(L)_AVを用いて、合成回路606と同一の方法で合成する。すなわち、第1の無線通信装置の第1のアンテナ101−1から第2の無線通信装置の第1のアンテナ601−1までの伝搬路r11(1)〜r11(L)を経て伝搬されてきた各既知シンボル列から既知シンボル信号「A」を合成する。
同様に、第2の合成回路801bは、第1の無線通信装置の第1のアンテナ101−1で送信され、第2の無線通信装置の第2のアンテナ601−2で受信された各伝搬路r12(1)〜r12(L)のそれぞれの第1の伝送路推定結果h12(1)〜h12(L)を、第2の伝送路推定結果h12(1)_AV〜h12(L)_AVを用いて、合成回路606と同一の方法で合成する。すなわち、第1の無線通信装置の第1のアンテナ101−1から第2の無線通信装置の第2のアンテナ601−2までの伝搬路r12(1)〜r12(L)を経て伝搬されてきた各既知シンボル列から既知シンボル信号「A」を合成する。
第3の合成回路801cは、第1の無線通信装置の第2のアンテナ101−2で送信され、第2の無線通信装置の第1のアンテナ601−1で受信された各伝搬路r21(1)〜r21(L)のそれぞれの第1の伝送路推定値h21(1)〜h21(L)を、第2の伝送路推定値h21(1)_AV〜h21(L)_AVを用いて、合成回路606と同一の方法で合成する。すなわち、第1の無線通信装置の第2のアンテナ101−2から第2の無線通信装置の第1のアンテナ601−1までの伝搬路r21(1)〜r21(L)を経て伝搬されてきた各既知シンボル列から既知シンボル信号「A」を合成する。
第4の合成回路801dは、第1の無線通信装置の第2のアンテナ101−2で送信され、第2の無線通信装置の第2のアンテナ601−2で受信された各伝搬路r22(1)〜r22(L)のそれぞれの第1の伝送路推定結果h22(1)〜h22(L)を、第2の伝送路推定結果h22(1)_AV〜h22(L)_AVを用いて、合成回路606と同一の方法で合成する。すなわち、第1の無線通信装置の第2のアンテナ101−2から第2の無線通信装置の第2のアンテナ601−2までの伝搬路r22(1)〜r22(L)を経て伝搬されてきた各既知シンボル列から既知シンボル信号「A」の信号を合成する。
第1のSINR測定回路802aは、第1の合成回路801aから出力された既知シンボル信号「A」の合成結果を基に、第1の無線通信装置の第1のアンテナ101−1で送信され、第2の無線通信装置の第1のアンテナ601−1で受信された信号の所望信号電力対干渉及び雑音電力比(SINR)を計算する。
第2のSINR測定回路802bは、第2の合成回路801bから出力された既知シンボル信号「A」の合成結果を基に、第1の無線通信装置の第1のアンテナ101−1で送信され、第2の無線通信装置の第2のアンテナ601−2で受信された信号のSINRを計算する。
第3のSINR測定回路802cは、第3の合成回路801cから出力された既知シンボル信号「A」の合成結果を基に、第1の無線通信装置の第2のアンテナ101−2で送信され、第2の無線通信装置の第1のアンテナ601−1で受信された信号のSINRを計算する。
第4のSINR測定回路802dは、第14合成回路801dから出力された既知シンボル信号「A」の合成結果を基に、第2の無線通信装置の第2のアンテナ101−2で送信され、第2の無線通信装置の第2のアンテナ601−2で受信された信号のSINRを計算する。
相関測定回路803は、第1の合成回路801a〜第4の合成回路801dから出力された既知シンボル信号「A」の合成結果を基に、空間相関(ρ)を算出する。
第1のSINR測定回路802a〜第4のSINR測定回路802dでは、次式(1)から、第1の無線通信装置のm番目の送信アンテナから送信され、第2の無線通信装置のn番目の受信アンテナで受信された信号のSINRmnを算出する。なお、ここで、第1の無線通信装置の1番目の送信アンテナはアンテナ101−1、2番目の送信アンテナはアンテナ101−2であり、第2の無線通信装置の1番目の受信アンテナはアンテナ601−1、2番目の受信アンテナはアンテナ601−2である。
式(1)において、Pmnは第1の無線通信装置のm番目の送信アンテナから送信され、第2の無線通信装置のn番目の受信アンテナで受信された既知シンボル列の既知シンボル信号「A」の合成結果を示し、Nは任意の整数であり、SINRmnの算出に用いる既知シンボル「A」の合成結果の数である。なお、ここでは、n=1,2、m=1、2である。
第1のSINR測定回路802a〜第4のSINR測定回路802aでは、式(1)を用いて、SINR11、SINR12、SINR21、SINR22 をそれぞれ算出する。
相関測定回路802では、次式(2)から、第1の無線通信装置のx番目の送信アンテナから送信された信号系列と第1の無線通信装置のy番目の送信アンテナから送信された信号系列との空間相関ρ
xyを算出する。なお、nは第2の無線通信装置が有するアンテナ数である。ここでは、第1の無線通信装置の1番目のアンテナ101−1から送信された信号と、2番目のアンテナ101−1から送信された信号との空間相関ρ
12が算出される。
平均回路804は、第1のSINR測定回路802a〜第4のSINR測定回路802dのそれぞれで算出された、第1のアンテナ101−1と第1のアンテナ601−1との間の伝送路(伝搬経路)におけるSINR11、第1のアンテナ101−1と第2のアンテナ601−2との間の伝送路(伝搬経路)におけるSINR12、第2のアンテナ101−2と第1のアンテナ601−1との間の伝送路(伝搬経路)におけるSINR21、第2のアンテナ101−2と第2のアンテナ601−2との間の伝送路(伝搬経路)におけるSINR22 の加算平均、すなわち、第1の無線通信装置と第2の無線通信装置との間の伝送路(伝搬経路)のSINRを算出する。
平均回路804で算出された、第1の無線通信装置と第2の無線通信装置との間の伝送路のSINR、相関測定回路803で算出された空間相関ρ12を含む受信状態情報は制御部5へ出力される。なお、受信状態情報には、平均回路804で算出されたSINRの代わりに、あるいは、平均回路804で算出されたSINRとともに、第1のSINR測定回路802a〜第4のSINR802dのそれぞれで算出されたSINR11、SINR12、SINR21、SINR22 が含まれていてもよい。
図16に示すように、第1の無線通信装置(以下、簡単に基地局と呼ぶ)BS1と、第1及び第2の無線通信装置(以下、簡単に端末と呼ぶ)TE1及びTE2が通信を行っているとする。端末TE2は、基地局BS1及びBS2のそれぞれの通信エリアが重なり合うエリアに存在する。このとき、基地局BS2から送信される信号と、基地局BS1から送信される信号が同一の周波数帯域である場合、基地局BS2から送信される信号は、基地局BS1から端末TE2へ送信される信号に対し、符号分割多重に起因する干渉信号となる。この干渉信号の影響は、上記SINRの値に表れ、干渉信号の影響が大きいほどSINRの値は小さくなり、干渉信号の影響が小さいほどSINRの値は大きくなる。
また、第1の無線通信装置が複数の送信アンテナを用いて送信を行う場合、当該複数の送信アンテナのうちの1つから送信される信号に対し、他の送信アンテナから送信される信号が干渉信号となる。この干渉信号の影響は、上記空間相関の値に表れ、干渉信号の影響が大きいほど、空間相関は大きくなり、干渉信号の影響が小さいほど、空間相関は小さくなる。
このように、第1のSINR測定回路802aから第4のSINR測定回路802dで測定されるSINR11、SINR12、SINR21、SINR22、平均回路804で算出されたSINRからは、各送信アンテナから送信される各信号の受ける干渉の大きさ、すなわち、符号分割多重に起因する干渉信号の大きさを特定できる。また、相関測定回路803で測定される空間相関からは、各送信アンテナから送信される信号間の干渉の大きさ、すなわち、空間分割多重に起因する干渉信号の大きさを特定できる。
従って、制御部5が、受信状態測定回路611から出力される上述の2つの測定結果を含む受信状態情報を第1の無線通信装置へ通知することにより、第1の無線通信装置は、上述の2つの測定結果を用いて、異なる要因の干渉の大きさに応じて、適応制御を行うことができる。
すなわち、空間相関が大きいほど、第2の無線通信装置では、第1の無線通信装置で送信に用いるアンテナ数(送信アンテナ数)に起因する干渉が大きい受信状態であるから、送信アンテナ数を減らす方が好ましい。送信アンテナ数を減らすことにより、各アンテナにおける送信電力を大きくすることができる。その結果、SINRの値が大きくなることが期待できるが、送信アンテナ数が少ない分、第1の無線通信装置から第2の無線通信装置への伝送レートが下がる。
空間相関が所定の閾値(Sth)以下の場合には、第2の無線通信装置では、第1の無線通信装置で送信に用いるアンテナ数(送信アンテナ数)に起因する干渉の影響はほとんど無視できるような受信状態であるから、伝送レートを上げるためにも、送信アンテナ数はできるだけ多い方が好ましい。送信アンテナ数を増やすことにより、各アンテナに割り当てる送信電力を小さくする必要がある。その結果、SINRの値が小さくなることもあり得る。
また、拡散率が高くなるほど、SINRの値は大きくなるが、拡散率が高くなるほど伝送レートは下がる。拡散率が低いほど、符号拡散多重に起因する干渉信号の影響を受けやすくなり、SINRの値は小さくなるが、拡散率が低くなるほど伝送レートは上がる。
従って、送信アンテナ数を少なくする場合には、伝送レートをできるだけ下げないようにするために、送信アンテナ数を少なくした分(SINRの値が増加する分)、拡散率を低くすることが望ましい。しかし、拡散率が低いほど、符号拡散多重に起因する干渉信号の影響を受けやすくなる。
また、送信アンテナ数を増加する場合には、各アンテナに割り当てる送信電力が少なくなるために、SINRの値が小さくなることもあり得る。
そこで、第2の無線通信装置の制御部5では、図6及び図8に示すように、送信アンテナ数に起因する干渉を低減するために、送信アンテナ数を減らし、その分増加するSINRの値に基づき、拡散率を決定する。SINRが増加する分、拡散率を低くすることができるので、より高い伝送レートを確保することができるのである。また、送信アンテナに起因する干渉が小さい場合には、送信アンテナ数を増やす。符号分割多重に起因する干渉が大きい場合(SINRが所定の第1の閾値(Cthmin)未満の場合)には、SINRが第1の閾値以上になるまで拡散率を上げ、符号分割多重に起因する干渉を低減する。また、符号分割多重に起因する干渉がほとんどない場合(SINRが十分に大きい場合)には、拡散率を下げる。
図6〜図8を参照して、第1の無線通信装置の制御部2の動作について詳細に説明する。ここでは、第1の無線通信装置の送信部1のアンテナ数が「2」、PSFが「256」である場合を例にとり説明する。
図6は、制御部2の動作の概略を説明するためのフローチャートである。制御部2は、第2の無線通信装置との間で通信を開始すると、当該第2の無線通信装置から要求された通信品質等から、拡散率(SF)及びデータ多重数を決定する(ステップS1)。そして、決定された拡散率及びデータ多重数を考慮して、第2の無線通信端末から通知されるSINRから変調方式及び符号化率を決定するために、最適なSINR、変調方式(Mod)、符号化率(R)の組合せを示した、図7に示すようなテーブルMを作成する(ステップS2)。
図7に示したテーブルMでは、SINRと変調方式(Mod)と符号化率(R)を含む各組合せに対しインデックス番号(No)を付して示している。なお、ここでは、拡散率を「16」、データ多重数を「1」と決定した場合を例に説明する。
以後、制御部2は、第2の無線通信装置から受信状態情報が通知されているかを定期的に確認する(ステップS3)。
受信状態情報が通知されている場合、当該受信状態情報に含まれる空間相関を用いて送信するアンテナ数を決定する(ステップS4)。具体的には、空間相関が所定の閾値(Sth)よりも大きい場合には、空間分割多重に起因する干渉が大きいと判定し、ステップS5へ進む。
ステップS5では、送信に用いるアンテナ数を「1」とする。これに伴い、送信に用いるアンテナ数を減らした分だけ、送信電力を大きくする。例えば、ここでは、2つのアンテナを用いて送信を行う場合の各アンテナの送信電力をPとすると、1つのアンテナを用いて送信を行う場合には2Pとする。
一方、ステップS4において、空間相関が所定の閾値(Sth)以下である場合には、ステップS8へ進み、送信に用いるアンテナ数を「2」とする。これに伴い各アンテナでの送信電力をPとし、ステップS9へ進む。
ステップS5において、送信に用いるアンテナの数を「1」と決定した場合、ステップS6へ進み、送信に用いるアンテナを選択する。この場合、第2の無線通信装置から通知される受信状態情報が、送信アンテナ及び受信アンテナ別の4つの伝搬経路のそれぞれに対応するSINR(SINR11、SINR12、SINR21、SINR22)を含む場合、アンテナ101−1及び1010−2のうち、両者に関するSINRを比較して、SINRが大きい方のアンテナを選択する。
ステップS5で各アンテナにおける送信電力を大きくすることに伴い、その後のSINRも大きくなることが予想される。そこで、ステップS7へ進み、受信状態情報により通知されているSINRの値を、送信電力を大きくした分、大きくし、ステップS9へ進む。
ステップS9では、受信状態情報に含まれているSINR、あるいはステップS7でSINRを補正した場合には、補正されたSINRを用いて、図8に示すような拡散率決定処理を行う。
図8において、まず、ステップS21において、受信状態情報に含まれているSINR、あるいはステップS7でSINRを補正した場合には、補正されたSINRと所定の閾値Cthminとを比較し、SINRが閾値Cthminよりも小さい場合、符号分割多重に起因する干渉が大きいと判定し、ステップS22へ進む。
ステップS22では、拡散率を高くする。一般に、拡散率が高くなるほど、SINRは大きくなる。そこで、拡散率を高くした分だけ、SINRの値を大きくする。例えば、拡散率(SF)を2倍とし、SINRを「3dB」だけ大きくなるように修正する。そして、再びステップS21へ戻り、この修正されたSINRが閾値Cthmin以上になるまで、ステップS22の処理を繰り返す。
ここで、閾値Cthminは、図7のテーブルM上で最小のSINRよりも小さく設定する。つまり、SINRが所定の範囲を逸脱する程度まで小さくなった場合に、拡散率を増加させ、拡散による利得を大きくすることで受信状態を改善させることとなる。この時、拡散率の最大値はPSFとなる。
ステップS21で、SINRが閾値Cthmin以上のときには、ステップS23へ進む。ステップS23では、SINRと所定の閾値Cthmaxとを比較し、SINRが閾値Cthmaxよりも大きい場合、ステップS24へ進む。
ステップS24では、拡散率(SF)を低くし、拡散率を低くした分だけSINRの値を小さくする。例えば、拡散率を1/2とし、SINRを「3dB」だけ小さくする。そして、再びステップS23へ戻り、この修正されたSINRが閾値Cthmaxより小さくなるまで、ステップS24の処理を繰り返す。
ここで、閾値Cthmaxは、図7のテーブルM上で最大のSINRよりも大きく設定する。つまり、SINRが所定の範囲を逸脱する程度まで大きくなった場合に、拡散率を減少させることで伝送レートを向上させることとなる。この時、拡散率の最小値は任意に決定される。
図6の説明に戻る。上述のように、送信アンテナ数及び拡散率を決定するための処理(図6、図8)により、受信状態情報にて通知されたSINRは修正される。そこで、ステップS10では、図7のテーブルMを参照して、この修正されたSINRの値に対応する、最適な変調方式及び符号化率を決定する。なお、上記ステップS3〜ステップS10の処理は、第1の無線通信装置と第2の無線通信装置とが通信を行っている間、継続して行われる(ステップS11)。
第1の無線通信装置の制御部2は、第2の無線通信装置から送信される受信状態情報を基に、図6及び図8に示した処理を行って、当該第2の無線通信装置に対し、誤り訂正符号化回路109における符号化率、変調回路107における変調方式、第1の符号乗算回路106における拡散率、送信アンテナ数、送信電力などのパラメータを決定し、送信部1の上記各部をこの決定された各パラメータに従って動作するよう制御(適応制御)する。
なお、上記説明では、第1の無線通信装置の制御部2が、第2の無線通信装置より通知された受信状態情報を基に適応制御を実施しているが、第2の無線通信装置の制御部5が受信状態情報を基に、図6及び図8に示した処理を行い、この結果得られたパラメータ(誤り訂正符号化回路109における符号化率、変調回路107における変調方式、第1の符号乗算回路106における拡散率、送信アンテナ数、送信電力などのパラメータ)を含む適応制御情報を第1の無線通信装置に通知してもよい。この場合、第1の無線通信装置の制御部2は、第2の無線通信装置から通知された適応制御情報に従って、送信部1の上記各部を適応制御する。
以上説明したように、上記第1の実施形態によれば、第2の無線通信装置の受信部6において、第1の無線通信装置の送信アンテナ及び第2の無線通信装置の受信アンテナ別の複数(ここでは、例えば4つ)の伝搬経路により伝搬された各受信信号から、既知シンボル信号を抽出する。そして、この抽出された各伝搬経路に対応する既知シンボル信号を用いて、各送信アンテナから送信される各信号が受ける干渉の大きさ(符号分割多重に起因する干渉の大きさ(SINR))、及び各送信アンテナから送信される信号間の干渉の大きさ(空間分割多重に起因する干渉の大きさ(空間相関))をそれぞれ測定し、第1の無線通信装置の制御部2あるいは第2の無線通信装置の制御部5へ通知する。制御部2あるいは制御部5では、通知された符号分割多重に起因する干渉の大きさ(SINR)及び空間分割多重に起因する干渉の大きさ(空間相関)を用いて、空間分割多重に起因する干渉が大きい場合には、送信アンテナ数を減らし、その分増加するSINRの値を推定し、推定されたSINRに基づき拡散率を決定する。また、空間分割多重に起因する干渉が小さい場合には、送信アンテナ数を増やし、通知されたSINRの値に基づき拡散率を決定する。
この結果、第1の無線通信装置は、空間分割多重に起因する干渉及び符号分割多重に起因する干渉を低減し、伝送レートの低下を極力抑えることのできる最適な送信アンテナ数と拡散率を決定することができる。さらに、決定された拡散率で符号拡散され、決定された数の送信アンテナで送信された各送信信号が受ける干渉の大きさを推定し、この推定された干渉の大きさを基に(図7に示すテーブルから)変調方式、符号化率を決定することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
図9は第1の無線通信装置の他の構成例を示したもので、図10は第2の無線通信装置の他の構成例を示したものでる。
図9において、第1の無線通信装置は、送信部7、制御部8、受信部9により構成される。なお、図9の送信部7では、図1の送信部1と同一部分には同一符号を付している。図9の送信部7では、図1の送信部1のパイロット挿入回路104が、パイロット挿入回路904に置き換わっている。図9の受信部9の構成は、図1の受信部3と同様である。また、図9の制御部11の処理動作が図1の制御部2の処理動作と異なる。
図10において、第2の無線通信装置は、送信部10、制御部11、受信部12により構成される。なお、図10の受信部12では、図2の受信部6と同一部分には同一符号を付している。図10の受信部12では、図2の受信部6の伝送路推定回路605、分離回路607、受信状態測定回路611が、伝送路推定回路1205、分離回路1207、第1の受信状態測定回路1211にそれぞれ置き換わり、図10の受信部12では、さらに、第2の受信状態測定回路1212が追加されている。図10の送信部10の構成は、図2の送信部4と同様である。また、図10の制御部11の処理動作が、図2の制御部5の処理動作と異なる。
以下、第1の実施形態と異なる部分について説明する。
なお、図9及び図10では、空間分割多重数(すなわち、アンテナ数)が「2」、各アンテナに対応する回路が2つずつある場合を例にとり示しているが、この場合に限らず、任意の数にて構成することが可能である。
まず、図9の送信部7のパイロット挿入回路904について説明する。各アンテナに対応する2つのパイロット挿入回路904(904−1、904−2)のそれぞれは、入力された多重化信号に対して、所定の信号パターンを有する第1の既知シンボル列及び第2の既知シンボル列を加算し、対応する第2の符号乗算回路103へ出力する。
図11は、図9の第1の無線通信装置における第2の符号乗算回路103、パイロット挿入回路904、データ多重回路105、第1の符号乗算回路106の動作をより詳細に説明するための図である。
パイロット挿入回路904−1、904−2のそれぞれには、図11に示すようなパターンを有する第1及び第2の既知シンボル列(パイロット信号)が予め記憶されている。
例えば、Aを任意のシンボル、シンボルAと直交するシンボルを−Aと表す。パイロット挿入回路904−1は、入力された多重化信号に対して、「A、A、A、A」なるパターンを有する第1の既知シンボル列と「A、−A、A、−A」なるパターンを有する第2の既知シンボル列を加算することで当該第1及び第2の既知シンボル列を挿入して、第2の符号乗算回路103−1へ出力する。パイロット挿入回路904−2は、入力された多重化信号に対して、「A、A、−A、−A」なるパターンを有する第1の既知シンボル列と「A、−A、A、−A」なるパターンを有する第2の既知シンボル列を加算することで当該第1及び第2の既知シンボル列を挿入して、第2の符号乗算回路103−1へ出力する。
パイロット挿入回路904−1で加算される第1の既知シンボル列と、パイロット挿入回路904−2で加算される第1の既知シンボル列は、受信側の第2の無線通信装置の任意の1つのアンテナで受信した信号から、送信側の第2の無線通信装置の各アンテナで送信された信号を分離することができるようなパターンを有する。すなわち、パイロット挿入回路904−1、904−2で加算される各第1の既知シンボル列は、第2の無線通信装置で受信された信号が、第1の無線通信装置のアンテナ101−1、101−2のうちのどのアンテナから送信される信号であるかを識別するために用いられる。
パイロット挿入回路904−1で加算される第2の既知シンボル列のシンボルパターンと、パイロット挿入回路904−2で加算される第2の既知シンボル列のシンボルパターンは、同一である。しかも、第2の既知シンボル列のシンボルパターンは、パイロット挿入回路904−1で加算される第1の既知シンボル列のシンボルパターン及びパイロット挿入回路904−2で加算される第1の既知シンボル列のシンボルパターンと、それぞれ互いに直交する。
なお、第1の既知シンボル列は伝送路推定及び符号分割多重に起因する干渉信号の大きさを特定する為の所望信号電力対干渉及び雑音電力比(SINR)の測定に用い、第2の既知シンボル列は空間分割多重に起因する干渉信号の大きさを特定する為の所望信号電力対干渉及び雑音電力比(SINR)の測定に用いる。
また、第2の既知シンボル列を加えることは、前述のような受信対象となる直交符号が複数存在する場合に相当する。よって、図10の受信部12の符号乗算回路604、合成回路606び及び分離回路1207のそれぞれは、第2の既知シンボル列に対応する符号乗算回路604、合成回路606及び分離回路1207を含む。
続いて、図10の受信部12の伝送路推定回路1205について説明する。2つの伝送路推定回路1205−1、1205−2の構成は、図4の伝送路推定回路605−1、605−2とそれぞれ同一である。
2つの伝送路推定回路1205(1205−1、1205−2)のそれぞれは、2つの同期回路603(603−1、603−2)のそれぞれから通知されたマルチパスタイミングを基に、検出されたマルチパスのそれぞれについて、前記第1の既知シンボル列を用いて、第1の実施形態と同様に伝送路推定を行う(図4参照)。各伝送路推定回路1205は、各同期回路603でL個のマルチパスを検出した場合には、それぞれついて伝送路推定を行う。そして、各伝送路推定回路1205は、伝送路rTS(u)の第1の伝送路推定結果hTS(u)を第1の受信状態測定回路1211へ出力し、第2の伝送路推定結果hTS(u)_AVを合成回路606、分離回路1207及び第1の受信状態測定回路1211へ出力する。
ここで、図4の第1のアンテナ601−1で受信された信号について伝送路推定を行う伝送路推定回路1205−1(図3の605−1)の動作を例にとり説明する。第1の無線通信装置におけるパイロット挿入回路904−1が(A,A,A,A)というシンボルパターンを有する既知シンボル列を挿入し、パイロット挿入回路904−2が(A,A,−A,−A)というシンボルパターンを有する既知シンボル列を挿入している。従って、図4の伝送路推定回路1205−1(図3の605−1)の加算回路704a、減算回路704bでは、4シンボル単位で加算及び減算を行う。そして、振幅調整回路705a、705bでは、加算回路704aでの加算結果、減算回路704での減算結果に対し、「4」で除算することで、振幅の調整を行う。
すなわち、図4の加算回路704aで4シンボルを加算すると、第1のアンテナ101−1で送信された第1の既知シンボル列が「4A」として検出されるが、第2のアンテナ101−2で送信された第1の既知シンボル列は「0」となり検出されない。逆に、減算回路704bで4シンボルを減算すると、第2のアンテナ101−2で送信された第1の既知シンボル列が「4A」として検出されるが、第1のアンテナ101−1で送信された第1の既知シンボル列は「0」となり検出されない。
振幅調整回路705aから出力されるものは、第1の無線通信装置の第1のアンテナ101−1から送信され、第2の無線通信装置の第1のアンテナ601−1で受信された第1の既知シンボル列の既知シンボル信号「A」である。また、振幅調整回路705bから出力されるものは、第1の無線通信装置の第1のアンテナ101−2から送信され、第2の無線通信装置の第2のアンテナ601−2で受信された第1の既知シンボル列の既知シンボル信号「A」である。
このように、伝送路推定回路1205aは、第2の無線通信装置の第1のアンテナ601−1及び第2のアンテナ602−2で受信された各到来信号から抽出された第1の既知シンボル列の既知シンボル信号「A」を、各伝搬路の第1の伝送路推定結果として出力する。
平均回路706aでは、振幅調整のなされた加算結果(すなわち、シンボル「A」の信号)が予め定められた数得られたときに、それらの加算平均を算出する。この既知シンボル信号「A」の加算平均が、伝搬路r11(u)の第2の伝送路推定結果h11(u)_AVである。同様に、平均回路706bでは、振幅調整のなされた加算結果(すなわち、既知シンボル信号「A」)が予め定められた数得られたときに、それらの加算平均を算出し、伝搬路r21(u)の第2の伝送路推定結果h21(u)_AVを得る。
伝送路推定回路1205−2は、アンテナ601−2で受信された、u番目の到来信号について、上記伝送路推定回路1205−2と同様にして、伝搬路r12(u)の第1の伝送路推定結果h12(u)及び第2の伝送路推定結果h12(u)_AV、伝搬路r22(u)の第1の伝送路推定結果h22(u)及び第2の伝送路推定結果h22(u)_AVを算出する。
次に、図10の受信部12の分離回路1207について説明する。分離回路1207には、合成回路606から、アンテナ601−1で受信された信号及びアンテナ601−2で受信された信号と、アンテナ601−1で受信された信号の第2の既知シンボル列及びアンテナ601−2で受信された信号の第2の既知シンボル列とが入力する。
分離回路1207は、入力されたアンテナ601−1で受信された信号及びアンテナ601−2で受信された信号と、通知された伝送路推定値とを基に、この2つの信号から、空間的に多重されている、第1の無線通信装置のアンテナ101−1から送信された信号及びアンテナ101−2から送信された信号をそれぞれ分離し、これら2つの信号を復調回路608へ出力する。
また、分離回路1207は、入力されたアンテナ601−1で受信された信号の第2の既知シンボル列及びアンテナ601−2で受信された信号の第2の既知シンボル列と、通知された伝送路推定値とを基に、この2つの信号から、空間的に多重されている、第1の無線通信装置のアンテナ101−1から送信された第2の既知シンボル列を有する信号及びアンテナ101−2から送信された第2の既知シンボル列を有する信号をそれぞれ分離し、これら2つの信号を第2の受信状態測定回路1212へ出力する。
図10の受信部12の第1の受信状態測定回路1211について説明する。第1の受信状態測定回路1211の構成は、図12に示すように、図5の構成から相関測定回路803が除かれている以外は、図5と同様である。第1の受信状態測定回路1211には、伝送路推定回路1205から出力された、伝搬路rTS(u)の第1の伝送路推定結果hTS(u)及び第2の伝送路推定結果hTS(u)_AVが入力される。
第1の受信状態測定回路1211では、符号分割多重に起因する干渉信号の大きさを示す所望信号電力対干渉及び雑音電力比(SINR_C)が算出される。すなわち、第1のSINR測定回路802a〜第4のSINR測定回路802aでは、式(1)を用いて、第1のアンテナ101−1と第1のアンテナ601−1との間の伝送路(伝搬経路)におけるSINR_C11、第1のアンテナ101−1と第2のアンテナ601−2との間の伝送路(伝搬経路)におけるSINR_C12、第2のアンテナ101−2と第1のアンテナ601−1との間の伝送路(伝搬経路)におけるSINR_C21、第2のアンテナ101−2と第2のアンテナ601−2との間の伝送路(伝搬経路)におけるSINR_C22をそれぞれ算出する。
また、平均回路804では、これらの加算平均、すなわち、第1の無線通信装置と第2の無線通信装置との間の伝送路(伝搬経路)の符号分割多重に起因する干渉信号の大きさを示すSINR_Cを算出する。
平均回路804で算出されたSINR_C、あるいは、SINR_CとともにSINR_C11、SINR_C12、SINR_C21、SINR_C22 が制御部11に出力される。
次に、図10の受信部12の第2の受信状態測定回路1212について説明する。第2の受信状態測定回路1212には、分離回路1207で抽出された、(第2の無線通信装置で受信された)第1の無線通信装置のアンテナ101−1から送信された第2の既知シンボル列を有する信号p(1)及びアンテナ101−2から送信された第2の既知シンボル列を有する信号p(2)が入力される。第2の受信状態測定回路1212では、これら2つの信号p(1)、p(p)を用いて、空間分割多重に起因する干渉信号の大きさを測定するための所望信号電力対干渉及び雑音電力比(SINR_S)を測定し、得られたSINR_Sを制御部11に出力する。
第2の受信状態測定回路1212の構成例を図13に示す。
図13において、第1のSINR測定回路1212aには、第1の無線通信装置のアンテナ101−1から送信された第2の既知シンボル列を有する信号p(1)が入力され、この信号p(1)から、所望信号電力対干渉及び雑音電力比SINR_Sp(1)を算出する。
第2のSINR測定回路1212bには、第1の無線通信装置のアンテナ101−2から送信された第2の既知シンボル列を有する信号p(2)が入力され、この信号p(2)から、所望信号電力対干渉及び雑音電力比SINR_Sp(2)を算出する。
平均回路1212cは、SINR_Sp(1)とSINR_Sp(2)の加算平均を算出し、その結果得られたSINR_Sを制御部11へ出力する。
なお、制御部11は、平均回路1212cからの出力であるSINR_Sとともに、第1及び第2のSINR測定回路1212a、1212bで求めたSINR_Sp(1)とSINR_Sp(2)を制御部11へ出力してもよい。
第1の受信状態測定回路1211で算出されるSINR_Cは、符号分割多重に起因する干渉信号の大きさを特定するために用いることが可能であり第2の受信状態測定回路1212で算出されるSINR_Sは、空間分割多重に起因する干渉信号の大きさを特定するために用いることが可能である。よって、制御部11が第1及び第2の受信状態測定回路1211、1212から通知されたSINR_C、SINR_Sを含む受信状態情報を第1の無線通信装置に通知することで、第1の無線通信装置では、異なる要因の干渉信号が存在する場合においても、それぞれの大きさに応じて、適応制御を行うことが可能となる。
SINR_CとSINR_Sの差が大きいほど、第2の無線通信装置では、空間分割多重に起因する干渉が大きい受信状態であり、SINR_CとSINR_Sの差が小さいほど、第2の無線通信装置では、空間分割多重に起因する干渉が小さい受信状態である。また、SINR_Cの値が小さいほど、第2の無線通信装置では、符号分割多重に起因する干渉が大きい受信状態であり、SINR_Cの値が大きいほど、第2の無線通信装置では、符号分割多重に起因する干渉が小さい受信状態である。
また、空間分割多重に起因する干渉を低減するためには、送信アンテナ数を減らし、符号分割多重に起因する干渉を低減するためには、拡散率を高くすればよい。
図14及び図15に示すフローチャートを参照して、図9の第1の無線通信装置における制御部8の動作について詳細に説明する。ここでは、第1の無線通信装置の送信部7におけるアンテナ数を「2」とし、PSFを「256」とする場合を例に説明する。
図14は、制御部8の動作の概略を説明するためのフローチャートである。制御部8は、第2の無線通信装置との間で通信を開始すると、当該第2の無線通信装置から要求された通信品質等から、拡散率(SF)及びデータ多重数を決定する(ステップS101)。そして、決定された拡散率とデータ多重数の関係を考慮して、第2の無線通信端末から通知されるSINRから変調方式及び符号化率を決定するために、最適なSINR、変調方式(Mod)、符号化率(R)の組合せを示した、図7に示すようなテーブルMを作成する(ステップS102)。なお、第2の実施形態の場合、図7の「SINR」という項目は、「SINR_S」となる。ここでは、拡散率を「16」、データ多重数を「1」と決定した場合を例に説明する。
以後、制御部8は、第2の無線通信装置から受信状態情報が通知されているかを定期的に確認する(ステップS103)。
受信状態情報が通知されている場合、当該受信状態情報に含まれるSINR_C及びSINR_Sを用いて送信するアンテナ数を決定する(ステップS4)。
具体的には、SINR_CとSINR_Sの差が所定の閾値(Dth)よりも大きい場合には、ステップS105へ進み、送信するアンテナ数を「1」とする。これに伴い、送信に用いるアンテナ数を減らした分だけ、送信電力を大きくする。例えば、ここでは、2つのアンテナを用いて送信を行う場合の各アンテナの送信電力をPとすると、1つのアンテナを用いて送信を行う場合には2Pとする。
一方、ステップS104において、SINR_CとSINR_Sの差が所定の閾値(Dth)以下の場合には、ステップS108へ進み、送信に用いるアンテナ数を「2」とする。これに伴い各アンテナでの送信電力をPとし、ステップS109へ進む。
ステップS105において、送信に用いるアンテナの数を「1」と決定した場合、ステップS106へ進み、送信に用いるアンテナを選択する。この場合、この場合、第2の無線通信装置から通知される受信状態情報が、送信アンテナ別に求めたSINR_S(SINR_Sp(1)、SINR_Sp(2))を含む場合、アンテナ101−1及び1010−2のうち、SINR_Sが大きい方のアンテナを選択する。
ステップS105で各アンテナにおける送信電力を大きくすることに伴い、その後のSINR_Sも大きくなることが予想される。そこで、ステップS107へ進み、受信状態情報により通知されているSINR_Sの値を、送信電力を大きくした分、大きくし、ステップS109へ進む。
ステップS109では、受信状態情報に含まれているSINR_S、あるいはステップS107でSINR_Sを補正した場合には、補正されたSINR_Sを用いて、図15に示すような拡散率決定処理を行う。
図15において、まず、ステップS121において、受信状態情報に含まれているSINR_S、あるいはステップS107でSINR_Sを補正した場合には、補正されたSINR_Sと所定の閾値Cthminとを比較し、SINR_Sが閾値Cthminよりも小さい場合、符号分割多重に起因する干渉が大きいと判定し、ステップS122へ進む。
ステップS122では、拡散率を高くし、拡散率を高くした分だけ、SINR_Sの値を大きくする。例えば、拡散率(SF)を2倍とし、SINR_Sを「3dB」だけ大きくなるように修正する。そして、再びステップS121へ戻り、この修正されたSINR_Sが閾値Cthmin以上になるまで、ステップS122の処理を繰り返す。
ここで、閾値Cthminは、図7のテーブルM上で最小のSINR_Sよりも小さく設定する。つまり、SINR_Sが所定の範囲を逸脱する程度まで小さくなった場合に、拡散率を増加させ、拡散による利得を大きくすることで受信状態を改善させることとなる。この時、拡散率の最大値はPSFとなる。
ステップS121で、SINR_Sが閾値Cthmin以上のときには、ステップS123へ進む。ステップS123では、SINR_Sと所定の閾値Cthmaxとを比較し、SINR_Sが閾値Cthmaxよりも大きい場合、ステップS124へ進む。
ステップS124では、拡散率(SF)を低くし、拡散率を低くした分だけSINRの値を小さくする。例えば、拡散率を1/2とし、SINR_Sを「3dB」だけ小さくする。そして、再びステップS123へ戻り、この修正されたSINR_Sが閾値Cthmaxより小さくなるまで、ステップS124の処理を繰り返す。
ここで、閾値Cthmaxは、図7のテーブルM上で最大のSINRよりも大きく設定する。つまり、SINRが所定の範囲を逸脱する程度まで大きくなった場合に、拡散率を減少させることで伝送レートを向上させることとなる。この時、拡散率の最小値は任意に決定される。
図14の説明に戻る。上述のように、送信アンテナ数及び拡散率を決定するための処理(図14、図15)により、受信状態情報にて通知されたSINR_Sは修正される。そこで、ステップS110では、図7のテーブルMを参照して、この修正された(推定された)SINR_Sの値に対応する、最適な変調方式及び符号化率を決定する。なお、上記ステップS103〜ステップS110の処理は、第1の無線通信装置と第2の無線通信装置とが通信を行っている間、継続して行われる(ステップS111)。
第1の無線通信装置の制御部2は、第2の無線通信装置から送信される受信状態情報を基に、図14及び図15に示した処理を行って、当該第2の無線通信装置に対し、誤り訂正符号化回路109における符号化率、変調回路107における変調方式、第1の符号乗算回路106における拡散率、送信アンテナ数、送信電力などのパラメータを決定し、送信部7の上記各部をこの決定された各パラメータに従って動作するよう制御(適応制御)する。
なお、上記説明では、第1の無線通信装置の制御部8が、第2の無線通信装置より通知された受信状態情報を基に適応制御を実施しているが、第2の無線通信装置の制御部11が受信状態情報を基に、図14及び図15に示した処理を行い、この結果得られたパラメータ(誤り訂正符号化回路109における符号化率、変調回路107における変調方式、第1の符号乗算回路106における拡散率、送信アンテナ数、送信電力などのパラメータ)を含む適応制御情報を第1の無線通信装置に通知してもよい。この場合、第1の無線通信装置の制御部8は、第2の無線通信装置から通知された適応制御情報に従って、送信部7の上記各部を適応制御する。
以上説明したように、上記第2の実施形態によれば、第2の無線通信装置の受信部12において、符号分割多重に起因する干渉の大きさ(SINR_C)及び空間分割多重に起因する干渉の大きさ(SINR_S)をそれぞれ測定し、第1の無線通信装置の制御部8あるいは第2の無線通信装置の制御部11へ通知する。制御部8あるいは制御部11では、通知された符号分割多重に起因する干渉の大きさ(SINR_C)と空間分割多重に起因する干渉の大きさ(SINR_S)との差分が予め定められた閾値Dthより大きい場合には、送信アンテナ数を減らし、その分増加するSINR_Sの値を推定し、この推定されたSINR_Sに基づき拡散率を決定する。また、上記差分が閾値Dth以下の場合には、送信アンテナ数を増やし(あるいは最大の送信アンテナ数に決定する)、通知されたSINRの値に基づき拡散率を決定する。
この結果、第1の無線通信装置は、空間分割多重に起因する干渉及び符号分割多重に起因する干渉を低減し、伝送レートの低下を極力抑えることのできる最適な送信アンテナ数と拡散率を決定することができる。さらに、決定された拡散率で符号拡散され、決定された数の送信アンテナで送信された各送信信号が受ける干渉の大きさを推定し、この推定された干渉の大きさを基に(図7に示すテーブルから)変調方式、符号化率を決定することができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1…送信部、2…制御部、3…受信部、101…アンテナ、102…無線処理回路、103…第2の符号乗算回路103、104…パイロット挿入回路、105…データ多重回路、106…第1の符号乗算回路、107…変調回路、108…S/P回路、109…誤り訂正符号化回路、110…データ分配回路、4…送信部、5…制御部、6…受信部、601…アンテナ、602…無線処理回路、603…同期回路、604…符号乗算回路、605…伝送路推定回路、606…合成回路、607…分離回路、608…復調回路、609…P/S回路、610…誤り訂正復号回路、611…受信状態測定回路。