JP4260901B2 - メモリへのデータの疑似整合転送の方法と装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は一般にコンピューターメモリ内のデータ転送に関し、特にメモリへデータを疑似整合して転送(以下、データ疑似整合転送という)する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピューターシステムにおいては入出力バス(I/Oバス)を介してしばしばプロセッサ、メモリおよび周辺デバイス間でデータが転送される。従来はISA、EISAあるいはマイクロチャンネル(登録商標)バスの様な標準化されたバスを使っていろいろのプラットフォームおよびいろいろのプロセッサにまたがる周辺デバイスに一つの共通I/Oインターフェースを与えていた。しかしながらこれらのバスにまたがるデータ転送には多くの問題がある。
【0003】
バスにまたがるデータ転送に関わる問題の一つは、データの未整合転送(unalignment transfer of data)である。未整合転送は一ブロックのデータバイトがソースおよびまたはデスティネーション(目標)における一ワードもしくはダブルワードの境界(boudary)に整合されていないときに起きる。そのような不整合は転送中にバイトブロックをシフトし、およびまたはマスキングを行なう点でプロセッサまたはデバイスに著しいオーバーヘッドを起こしかねない。例えばインテル(登録商標)386および486プロセッサ内の未整合転送は等価な整合転送に比べて50%ないし250%遅くなることがある。したがって、メモリへの未整合データ転送を最適化するための方法および装置を与える必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の先行技術における限界を克服するため、かつ本明細書の以下の記載から明らかになる他の制限を克服するため、本発明はメモリへのデータの疑似整合転送を与える方法および装置を与える。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明は、入出力バスを介して周辺デバイスに複数のデータバイトを転送するための手段と、前記転送されるデータバイトの整合情報を有する制御ヘッダのフォーマット化と送信を行なう手段と、を備えたプロセッサと、前記周辺デバイスに接続され、前記プロセッサから転送された前記データバイトと、当該データバイトの一部であるか又は整合転送に伴って担持される余分のバイトであるか否かを示すマスクビット情報を含む前記制御ヘッダと、を受信して当該転送されたデータバイトが再整合を必要とするか否かを決定し、前記整合情報を有する制御ヘッダに基づいて前記再整合を実行するために前記転送されたデータバイトの再整合を行なうための整合手段と、を含み、前記制御ヘッダは、前記転送されるデータバイトのソースアドレス、デスティネーションアドレス、バイト長及び制御ワードを含むコンピューターシステムを提供するものである。
【0006】
【実施例】
好ましい実施例に関する以下の説明では添付の図面を参照して本発明を実施した特定の実施例を示す。本発明の範囲を逸脱することなく他の実施例を実施しうること、および構造上の変更をなしうることを了解されたい。
【0007】
引用する図面において類似の参照番号は対応する部分を表す。
【0008】
概観
データ転送を行なうための最も効率的なインテル386/486(登録商標)のインストラクション(命令)は「REP MOVSD」であるが、これは「REPeat MOVe String Double word」を意味する略号である。この命令が最も効率的に実行されるためにはソースおよびデスティネーションの両アドレスがダブルワードに整合されていること、すなわち32ビット境界に整合されていることが必要である。バイト(8-ビット)およびワード(16-ビット)の転送も許容されており、サポートされているが、それほど効率的ではない。その理由はI/Oバスが32ビット幅であるからである。しかしながら多くのアプリケーションは必ずしもデータブロックをダブルワードに整合させていない。なぜならば多くのアプリケーションは通常、データブロックにこれをストリングバイトとしてアクセスするからである。
【0009】
本発明はデータが未整合である場合でもメモリへの高速な整合データ転送を可能にする。すなわち本発明はデータを疑似整合してメモリへ転送する方法と装置を与える。その場合、本発明で追加するソフトウェアおよびハードウェアがあたかもデータが整合されているかのごとくに未整合データの転送を行なう。このソフトウェアは周辺デバイス内のハードウェアに命令を発生する。この命令は当該周辺デバイスが未整合転送されたバイトを結合し、回転し、マスクして確実にそれらのバイトが周辺デバイス内に適切に整合させる。
【0010】
整合転送および未整合転送
図1および図2はデータの整合転送とデータの未整合転送の相異を示す例である。図1は整合した転送を示し、図2は未整合の転送を示す。図1および図2の両方とも、各ブロックは一バイトのデータを表し、四バイトからなる各水平グループによりダブルワードに整合された境界を示す。
【0011】
図1は典型的なダブルワードの整合転送を示す。図示するようにソースメモリ内における各データワードS0-S3、S4-S7、S8-S11、S12-S15はデスティネーションメモリ内の対応するダブルワードD0-D3、D4-D7、D8-D11、D12-D15に転送されるときに変更を受けない。 従ってこの転送は転送の際にデータのダブルワード整合を維持する。
【0012】
図2はデータの未整合転送を示す。図に示すようにソースメモリ内の各バイトS0-S15はデスティネーションメモリ内の対応するバイトD0-D15に転送される際にダブルワードの相対位置を変更する。典型的な場合、整合上の変化を処理するため、バイトの結合、回転およびマスキングが必要となろう。しかしながらこれらの機能は通常、プロセッサにより非常に非能率的な方法で行なわれる。
【0013】
ハードウェア環境
図3は本発明の一般的なハードウェア環境を例示するブロック線図である。プロセッサ10は例えばインテル386もしくは486プロセッサであるが、これはI/Oバス14を介してビデオ回路12に結合される。このI/Oバス14はプロセッサ10とビデオ回路12との間のアドレスデータおよび制御信号の転送を行なう。ビデオ回路12の主な目的はビデオメモリ16とCRT18を制御することである。ビデオメモリ16はプロセッサ10から送られるデータを格納する。このデータは後でCRT18に書き込まれる。ビデオ回路12はプロセッサ10からビデオメモリ16へのデータ転送とビデオメモリ16からCRT18へのデータ転送との間の調停(arbitration)を行なう。
【0014】
ビデオ回路
図4はビデオ回路12を拡大して示すブロック線図である。ビデオ回路12は調停論理回路20、CRTコントローラ論理回路22、マルチプレクサ24および整合論理回路(alignment logic)26を含む。調停論理回路20はマルチプレクサ24を制御して調停論理回路20とプロセッサ10との間を調停し、それによりプロセッサ10、ビデオメモリ16およびCRT18へのデータ転送およびこれらからのデータ転送を制御する。CRTコントローラ論理回路22はCRT18上にデータを表示するため、ビデオメモリ16からデータの読み出しに必要なアドレスを与える。整合論理回路26はプロセッサ10からの転送データを確実にビデオメモリ16内に正しく整合させる。整合転送には結合も回転もマスキングも必要ないが、何らかの整合が実際に必要とされるか否かに関わらず、各データ転送について整合論理回路26が使用される。すべてのデータ転送が整合論理回路26を通して行なわれるというこの条件がすべてのタイミング問題を解決し、制御論理回路を簡単化する。
【0015】
整合論理回路
図5は、本発明の整合論理回路26のコンポーネントを例示するブロック線図である。データは図5の左側にある四つのバスDATA IN(DIN)で整合論理回路26に入る。各 DIN バスは、8ビットバイトのデータを含む。マスク情報は、図5の左側にあるバスMask In(MIN)で整合論理回路26に入る。この場合、MINバスの各四つの信号は対応するMINバス上の8ビットバイトデータに対するマスクビットを含む。このマスクビットは、当該バイトが所望のデータの一部であるか、あるいは単に疑似整合転送に伴って担持される余分のバイトであるか否かを示すためのものである。制御信号もまた図5の左側にあるALIGN LAT LO、DIR RIGHT、およびROTATE[1:0]信号線から整合論理回路26に入る。
【0016】
ブロック28a-28dはタイミングをとる目的で設けられた遅延ブロックである。ブロック30a-30dはそれぞれのDINバスから来る各8ビットデータバイトおよびMIN信号線から来る単一マスクビットをラッチングすることができる9ビットレジスタで、このラッチングはビデオ回路12により発生されたALIGN LAT LO信号によりクロックされるときに行なわれる。ブロック32a-32dはDINバス上にある現在のデータと、DINバス上に前回あったデータを表すブロック30a-30dとの間の選択を行なう2:1マルチプレクサである。この選択により、二つのシーケンシャルダブルワードからデータバイトを選択的に組み合わせて出力ダブルワードとすることが可能となる。ブロック32a-32dに対して設けられた選択論理回路34は、表IA-IDに示すブール代数論理で記述されるDIR RIGHT信号およびROTATE[1:0]信号で駆動されるNANDゲートおよびNORゲートで構成される。ブロック36a-36dは、出力ダブルワード内のバイトを回転するため、四つのマルチプレクサ32a-32dの任意の一出力から負荷することができる9ビットレジスである。ブロック36a-36dに対して設けられた選択論理回路38は、表IIに示すブール代数により記述されるROTATE[1:0]制御信号により駆動されるNORゲートで構成される。ブロック36a-36dに対する選択論理回路38は、「バレルシフティング(barrel shifting)」の機能を果たす。この場合、各ブロック32a-32dから得られるバイトを任意のブロック36a-36dの中に格納することができる。ROTATE[1:0]信号はバイトの回転、すなわちいずれのブロック32a-32dのバイトを各ブロック36a-36d中に格納されるべきか、を示す。
【0017】
データは図5の右側にある四つのバスData Out(DOUTバス)において整合論理回路26から出る。この場合、各DOUTバスは8ビットデータバイトを含む。マスク情報もまた図5の右側にあるMask Outバス(MOUTバス)から整合論理回路26を出る。この場合、MOUTバス内の四つの信号は各々、対応するDOUTバス上の8ビットデータバスをビデオメモリ16内に格納すべきか否かを示す。
【0018】
ソフトウェア ドライバ モジュール
図6は本発明のソフトウェアドライバモジュールが使用する論理を例示するブロック線図である。このソフトウェアドライバモジュールはプロセッサ10上で実行され、プロセッサ10から送られるデータの疑似整合転送を制御する。ブロック40はデータブロックをプロセッサ10からビデオメモリ16に移動させる旨のアプリケーションリクエストを受信するドライバモジュールを表す。この場合、当該データブロックはその開始バイトアドレスとバイト長により同定される。
【0019】
ブロック42は当該転送のための制御ヘッダを計算しフォーマット化するドライバモジュールを表す。この制御ヘッダは当該ソースアドレス、デスティネーションアドレス、バイト長、および制御ワードを含む。各整合制御ワードは対応するダブルワードに対するROTATE[1:0]、DIR RIGHTおよびMIN[3:0]信号を表す7ビットを含む。上述したように、制御ヘッダ中のROTATE[1:0]ビット、DIR RIGHTビットおよびMIN[3:0]ビットは整合論理回路26に、転送の真性、すなわち当該バイトが回転されるべきか否か、回転の方向、および余分のバイトのマスキング、を通知する。例えば図2に示すデータの転送は五つのシーケンシャルダブルワードを転送することと、一バイトの右回転が必要であろう。さらに、S15の左の二つの余分のバイトおよびS0の右の余分の二バイトがマスクされることになろう。
【0020】
ブロック44は整合した転送が確実に行われるように、プロセッサ10に与えられるソースアドレス、デスティネーションアドレスおよびバイト長を修正するドライバモジュールを表す。ブロック46は、プロセッサ10に命令してプロセッサ10がビデオ回路12に制御ヘッダおよび疑似整合データブロック(pseudo-aligned data block)を転送させるドライバモジュールを表す。
【0021】
ビデオ回路12はステートマシン(state machine)とFIFOとを含む。これらのFIFOは、プロセッサ10からの転送を緩衝(buffer)してからALIGN LAT LO信号、DIR RIGHT信号およびROTATE[1:0]制御信号線のみならずDINバス信号およびMINバス信号を整合論理回路26中に送る。そのようなステートマシンおよびFIFOの設計は本技術分野でよく知られているのでここには之以上詳細に述べない。
【0022】
結論
要約すると、本発明はメモリへデータを疑似整合して転送する方法および装置を開示する。通常、周辺デバイスに結合される整合論理回路がプロセッサから複数のデータバイトを受信する。この整合論理回路は、当該データバイトが再整合を必要とするか否かを決定するためのデータバイトと共に転送される制御ヘッダを使用する。再整合を実行するため、整合論理回路は制御ヘッダにより示される通りに当該データバイトを結合し、回転し、マスキングする。
【0023】
本発明の好ましい実施例に関する上記の説明は例示および説明のために示したに過ぎない。上記説明が本発明を言い尽したものではなく、また開示した通りのものに本発明を限定するものでもない。上の教示に照らして多数の設計変更および修正が可能である。例えば以下の節は本発明を達成する代わりの方法および装置を記述している。
【0024】
当業者はメモリを有する任意のデバイスに本発明を適用することができ、ビデオコントローラに限定されないことが認識できよう。本明細書で引用したビデオをコントローラは単に例示の目的のための物であって、これですべての適用対象を言い尽したのではなく、また開示した形態のものに限定されるものではない。
【0025】
当業者はいろいろの構成のデバイスおよび諸コンポーネントを具備したシステムに本発明を適用することができることが認識できよう。本明細書で引用した構成のデバイスおよび諸コンポーネントは単に例示の目的のための物であって、これですべての適用対象を言い尽したのではなく、また開示した形態のものに限定されるものではない。
【0026】
当業者はいろいろのバット幅のI/Oバスに本発明を適用することができることが認識できよう。本明細書で引用したビット幅は単に例示の目的のための物であって、これですべての適用対象を言い尽したのではなく、また開示した形態のものに限定されるものではない。
【0027】
当業者はいろいろのインストラクションの集合を具備したいろいろのプロセッサに本発明を適用することができることが認識できよう。本明細書で引用したプロセッサおよびインストラクションの集合は単に例示の目的のための物であって、これですべての適用対象を言い尽したのではなく、また開示した形態のものに限定されるものではない。
【0028】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明はデータが未整合である場合でも本発明で追加するソフトウェアおよびハードウェアを使用して、あたかもデータが整合されているかのごとくに未整合データの転送を行なう。この場合このソフトウェアは周辺デバイス内のハードウェアに命令を発生し、この命令によって当該周辺デバイスが未整合転送されたバイトを結合し、回転し、マスクして確実にそれらのバイトが周辺デバイス内に適切に整合させる。このため、本発明によりメモリへの高速なデータ転送が可能となる。
【0029】
【図面の簡単な説明】
【図1】 プロセッサとビデオメモリ間の整合した転送の一例である。
【図2】 プロセッサとビデオメモリ間の未整合転送の一例である。
【図3】 本発明の一般的なハードウェア環境を例示するブロック線図である。
【図4】 本発明のビデオ回路を拡大したブロック線図である
【図5】 本発明の整合論理回路の諸コンポーネントを例示するブロック線図である。
【図6】 本発明のソフトウェアドライバーモジュールで使用する論理回路を例示するブロック線図である。
【符号の説明】
10 プロセッサ
12 ビデオ回路
14 I/Oバス
16 ビデオメモリ
18 CRT
20 調停論理回路
22 CRTコントローラ論理回路
24 マルチプレクサ
26 整合論理回路
28 遅延ブロック
30 9ビットレジスタ
32 2:1マルチプレクサ
34 選択論理回路
36 9ビットレジス
38 選択論理回路
Claims (3)
- 入出力バスを介して周辺デバイスに複数のデータバイトを転送するための手段と、前記転送されるデータバイトと、当該データバイトの一部であるか又は整合転送に伴って担持される余分のバイトであるか否かを示すマスクビット情報を含む整合情報を有する制御ヘッダのフォーマット化と送信を行なう手段と、を備えたプロセッサと、
前記周辺デバイスに接続され、前記プロセッサから転送された前記データバイトと前記整合情報を有する制御ヘッダを受信して当該転送されたデータバイトが再整合を必要とするか否かを決定し、前記制御ヘッダに基づいて前記再整合を実行するために前記転送されたデータバイトの再整合を行なうための整合手段と、を含み、
前記制御ヘッダは、前記転送されるデータバイトのソースアドレス、デスティネーションアドレス、バイト長及び制御ワードを含むコンピューターシステム。 - 入出力バスを介して周辺デバイスに複数のデータバイトを転送するための手段と、前記転送されるデータバイトと、当該データバイトの一部であるか又は整合転送に伴って担持される余分のバイトであるか否かを示すマスクビット情報を含む整合情報を有する制御ヘッダのフォーマット化と送信を行なう手段と、を備えたプロセッサと、
前記周辺デバイスに接続され、前記プロセッサから転送された前記データバイトと前記整合情報を有する前記制御ヘッダを受信して当該転送されたデータバイトが再整合を必要とするか否かを決定し、前記制御ヘッダに基づいて前記再整合を実行するために前記転送されたデータバイトの再整合を行なうための整合手段と、を含み
前記制御ヘッダは、前記転送されるデータバイトのソースアドレス、デスティネーションアドレス、バイト長、前記転送されるデータバイトの回転及びその方向を含む前記整合情報を有し、
前記整合手段は、前記制御ヘッダを解釈する手段を有し、前記転送されたデータバイトの回転による整合処理を行なうことを特徴とする請求項1に記載のコンピューターシステム。 - コンピューターシステムにおけるデータ転送方法であって、
プロセッサから周辺デバイスに対して出入力バスを介して複数のデータバイトを転送するステップと、
前記転送されるデータバイトのソースアドレス、デスティネーションアドレス及びバイト長を含む、前記転送されるデータバイトと、当該データバイトの一部であるか又は整合転送に伴って担持される余分のバイトであるか否かを示すマスクビット情報を含む整合情報を有する制御ヘッダのフォーマット化と送信を行なうステップと、
転送された前記データバイトの整合処理を行なうステップと、の各ステップを有し、
前記整合処理を行なうステップは、
前記プロセッサから、前記転送されるデータバイトを受信するステップと、
当該転送されたデータバイトが前記整合情報により再整合を必要とするか否かを決定するステップと、
前記制御ヘッダに基づいて前記再整合を実行するために前記転送されたデータバイトの再整合を行なうステップと、の各ステップを含むことを特徴とするデータ転送方法。
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