JP4259901B2 - アンテナ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンテナ及び製造方法に係り、特に、平面アンテナの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高度情報化社会を背景に無線を利用した通信システムが汎用されており、とりわけ情報量の多いマイクロ波やミリ波領域を使用した通信システムの発展が著しい。このような通信システムにおいて、平面アンテナは短波長無線システムの入出力装置として好適であり、例えば、無線LANや自動車における衝突防止用レーダのように複数の分野での応用が期待されている。ところでアンテナの大きさは電磁波の波長の大きさにあわせて作る必要があり、波長を短波長化すると入出力装置であるアンテナの形状も小型化する必要がある。これにより、近年のアンテナではアンテナの寸法精度も微細加工技術が要求されるようになっている。
【0003】
アンテナとMMIC(モノリシックマイクロ波集積回路)を一体化したときの調整や個別の要求課題を解決する方法は、例えば、特許文献1に提案されている。特許文献1は、アンテナとは異なる無給電素子を非直流的に結合しながらアンテナ特性を変更できるようにしているが、これは製造工程における特性のバラツキを調整により取り除くことを目的としている。精密な加工技術によりアンテナを形成し、製造工程のバラツキは抑えて特性の向上を目指すことで製造工程のバラツキも少ないものにすることが望ましい。そのためミリ波領域の短波長アンテナを大量に供給するためには、無調整による特性確保が必要になっている。
【0004】
MMICのような回路素子をアンテナに接続する手法については、スロットを介してアンテナとMMICを結合することが既に提案されている(例えば、特許文献2を参照のこと)。特許文献2によれば、そのためにはMMICのパッケージに穴をあけなければならない。アンテナ部はパッケージの外側にて電磁的に結合する。従って、アンテナ部は本質的にシールドされないため2個以上のアンテナ部を有する複合アンテナとして形成する場合には、アンテナ相互干渉を含め、側面からの外部電磁界との干渉が考慮されていない。
【0005】
回路からの不要輻射がアンテナパターン特性に影響を与えるため、アンテナ側と回路側を基板の表裏関係に設けて一体化することも既に提案されている(例えば、特許文献3を参照のこと)。複数のアンテナを配置できるように工夫したものであるがアンテナと回路とは一体化しているため、アレイ化するためには一体化したデバイスを複数並べる必要があり、アンテナの低価格化は困難である。また、アンテナ単体で放射特性を設計できないため構成が複雑になる問題があった。
【特許文献1】
特開平9−83240号公報
【特許文献2】
特開平8−250913号公報
【特許文献3】
特開平6−77729号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ミリ波用とする短波長化に適用可能なアンテナに関し、従来の製造方法では高精度且つ安価で生産性に優れた平面アンテナを提供することが困難になってきた。従来ではエッチング技術を用いてアンテナのスロットパターンを形成していたが、微細加工精度がそのアンテナ特性に大きく影響を与えるため、エッチング技術では精度良く大量に生産できないという欠点を有する。
【0007】
また、ミリ波においては誘電体材料の損失が大きく、構造的に損失の少ない導波管タイプの平面アンテナが注目されている。しかし、導波管給電は能動回路の入出力端子であるストリップラインとの整合が困難であり、インピーダンス整合回路を必要としている。また誘電体損失が少ない誘電体として非晶質ポリオレフィンが知られるが、この有機材料は半田付けできるほどに耐熱性はなく、給電のためのはんだ付けによる配線ができないという問題があった。
【0008】
更に、ミリ波のように波長が短い信号は、電子回路の配線のためワイヤボンディングすると配線のワイヤがアンテナとして機能し回路間のクロストークを発生させアイソレーションが取りにくいという問題がある。
【0009】
そこで、このような課題を解決する新規かつ有用な平面アンテナ構造及びその製造方法を提供することを本発明の概括的目的とする。
【0010】
より特定的には、本発明は、短波長に適用可能の平面アンテナであって、寸法精度によく安価かつ生産性に優れる平面アンテナ及びその製造方法を提供することを例示的目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての平面アンテナは、同一基板上に一体に形成された複数のアンテナ部を含む平面アンテナであって、各アンテナ部は、誘電体を導体で被覆し、前記誘電体の導体被覆面の一部に前記導体で覆われないパターンを有し、前記複数のアンテナ部の前記パターンは、それぞれ異なる方向の輻射偏波面を有することを特徴とする。かかる平面アンテナは、複数のアンテナ部を有する複合アンテナであり、これら複数のアンテナ部を同一基板に一体に形成するために製造が容易であると共に異なる輻射偏波面を有することで相互の放射電磁界のクロストークを低減することができる。平面アンテナは、スロットアンテナ、パッチアンテナなどを含む。前記複数のアンテナ部は、例えば、送信用アンテナ部と受信用アンテナ部であってもよいし、2種類の送信用アンテナなどであってもよい。前記異なる方向の輻射偏波面は、異なる円偏波又は直線偏波を使用してもよい。
【0012】
本発明の別の側面としての平面アンテナは、同一基板上に配置された複数のアンテナ部を有するアンテナ層と、前記アンテナ層に信号を送信又は前記アンテナ層から信号を受信する、能動素子を有する電子回路を含む能動層と、前記アンテナ層と前記電子回路とを接触又は電磁結合によって接続し、前記アンテナ層から前記能動層又は前記能動層から前記アンテナ層に前記信号を伝送する結合層と、前記能動層と前記結合層を電磁的に分離する分離帯とを更に有することを特徴とする。かかる平面アンテナは、分離帯が(例えば、送受信用の)アンテナ部のアイソレーションを確保している。
【0013】
本発明の更に別の側面としての平面アンテナは、アンテナ層と、前記アンテナ層に信号を送信又は前記アンテナ層から信号を受信する、能動素子を有する電子回路を含む能動層と、前記アンテナ層と前記電子回路とを接触又は電磁結合によって接続し、前記アンテナ層から前記能動層又は前記能動層から前記アンテナ層に前記信号を伝送する結合層と、前記アンテナ層、前記結合層、前記能動層からなる積層構造を収納すると共に位置合わせを行う筐体を更に有することを特徴とする。かかる平面アンテナは、アンテナ層(の給電孔)と能動層の電子回路(の入出力パターン)との位置合わせを筐体を利用して行うことができる。特に、後述するように、積層構造が機械的に結合されておらず、単に重ねられた構造である場合には、各層の位置合わせが信号伝達においては重要であり、筐体構造においてこの位置合わせを確保することができる。また、筐体は、積層構造を外部環境からシールドしてアンテナ特性や給電特性の安定化を図ることができる。
【0014】
本発明の更に別の側面としての平面アンテナは、導波管構造を有するアンテナ層と、前記アンテナ層に信号を送信又は前記アンテナ層から信号を受信する、能動素子を有する電子回路を含む能動層と、前記アンテナ層と前記電子回路とを接触又は電磁結合によって接続し、前記アンテナ層から前記能動層又は前記能動層から前記アンテナ層に前記信号を伝送すると共に前記アンテナ層と前記電子回路との整合を行うためのインピーダンス変換回路として機能する結合層とを有することを特徴とする。例えば、平面アンテナがスロットアンテナの場合は、伝送効率の良い導波管型伝送路を使用するため、ストリップラインで入出力する回路素子との整合が困難となる。伝送導波管のインピーダンスと回路素子の入出力インピーダンスの整合は、簡単に接続できずインピーダンス変換回路を用いて整合する必要がある。そのため平面アンテナと回路素子を載せた基板との間に誘電体を充填して整合を図る必要がある。誘電体による結合層は半田付けなどの機械的結合を必要とせず、アンテナと回路基板との電磁波結合のみを目的として設けられる。
【0015】
本発明の更に別の側面としての平面アンテナは、アンテナ層と、前記アンテナ層に信号を送信又は前記アンテナ層から信号を受信する、能動素子を有する電子回路を含む能動層と、前記アンテナ層と前記電子回路とを接触又は電磁結合によって接続し、前記アンテナ層から前記能動層又は前記能動層から前記アンテナ層に前記信号を伝送する結合層と、前記能動層は、前記能動素子を収納する凹部を有する基板を有することを特徴とする。これにより、回路素子の配線距離を短縮することができる。前記凹部は前記能動層の前記結合層側に形成されてもよい。これにより、能動層とアンテナ層との距離を短くすることができる。
【0016】
本発明の別の側面としての平面アンテナは、アンテナ層と、前記アンテナ層に信号を送信又は前記アンテナ層から信号を受信する、能動素子を有する電子回路を含む能動層と、前記アンテナ層と前記電子回路とを接触又は電磁結合によって接続し、前記アンテナ層から前記能動層又は前記能動層から前記アンテナ層に前記信号を伝送する結合層と、前記能動層は、前記電子回路を収納する凹部を前記結合層側に有する基板を有することを特徴とする。電子回路を基板の内側(即ち、結合層側)に配置することにより、外部干渉を受けにくくなると共に、アンテナ層の給電パターンとの距離が短くなるので整合が安定し、かつ、容易になる。
【0017】
上記平面アンテナにおいては、前記結合層は、前記アンテナ層と前記電子回路とを接続するためにスルーホールを用いた回路構成としてもよい。
【0018】
本発明の別の側面としての製造方法は、誘電体を導体で被覆した導波管構造を有する平面アンテナの製造方法であって、前記誘電体と給電部用の凹部を射出成形法あるいはホットエンボス成形法により一体に成形するステップと、前記凹部の内面に導電性材料を付着して電極を形成するステップとを有することを特徴とする。かかる製造方法は、射出成形方法又はホットエンボス成形法によって給電部を高精度に作成することができ、整合条件のバラつきを防止することができる。前記電極形成ステップは、前記凹部の周囲に前記電極に接続され、前記導電性材料によって構成される給電パターンを前記電極と共に一体的に形成してもよい。同一プロセスによる形成により製造効率を高めることができる。
【0019】
前記誘電体の導体被覆面の一部に前記導体で覆われないパターンを射出成形あるいはホットエンボス成形法によって形成するステップを更に有してもよい。これにより、導体で覆われないパターンも射出成形法により一体に成形することが可能であり、パターンをサブミクロン単位の高精度で誘導体に一体に形成することができる。この結果、短波長化に好適な小型のアンテナを寸法精度よく製造することができる。更に、射出成形法で誘導体を作成することは一度所定のパターンを含む誘導体の金型を作成してしまえばアンテナの量産が容易であり、安価にアンテナを成形することができる。成形ステップにより成形されたパターンは凸型形状又は凹型形状を有することができるが、導体が被覆される領域を凸型形状又は凹型形状としてもよい。
【0020】
本発明の別の製造方法は、アンテナ層と、前記アンテナ層に信号を送信又は前記アンテナ層から信号を受信する、能動素子を有する電子回路を含む能動層と、前記アンテナ層と前記電子回路とを接触又は電磁結合によって接続し、前記アンテナ層から前記能動層又は前記能動層から前記アンテナ層に前記信号を伝送する結合層とを有する平面アンテナの製造方法であって、前記能動層の前記結合層側に凹部を形成するステップと、前記凹部に前記能動素子又は前記電子回路を収納することを特徴とする。かかる製造方法は、能動層(の基板)に能動素子又は電子回路を収納する凹部を設けているので、上述した特徴を有する平面アンテナを製造することができる。
【0021】
本発明の別の製造方法は、アンテナ層と、前記アンテナ層に信号を送信又は前記アンテナ層から信号を受信する、能動素子を有する電子回路を含む能動層と、前記アンテナ層と前記電子回路とを接触又は電磁結合によって接続し、前記アンテナ層から前記能動層又は前記能動層から前記アンテナ層に前記信号を伝送する結合層とを有する平面アンテナの製造方法であって、前記結合層に凹部を形成するステップと、前記凹部に前記能動素子を収納することを特徴とする。かかる製造方法は、能動層に凹部を設けることが困難である場合などに、結合層に凹部を設けて回路素子を実装する。結合層は、例えば、誘電体から構成されるが、アンテナとの接続に支障が無い範囲で収納領域として利用することができる。結合層は成形可能な誘電体を用いることで容易に凹部加工を行うことができるため、配線の最短距離化に有用である。
【0022】
本発明の別の製造方法は、アンテナ層と、前記アンテナ層に信号を送信又は前記アンテナ層から信号を受信する、能動素子を有する電子回路を含む能動層と、前記アンテナ層と前記電子回路とを接触又は電磁結合によって接続し、前記アンテナ層から前記能動層又は前記能動層から前記アンテナ層に前記信号を伝送する結合層とを有する平面アンテナの製造方法であって、前記アンテナ層、前記結合層、前記能動層をそれぞれ別個に作成するステップと、前記アンテナ層、前記結合層、前記能動層からなる積層構造をこの順番で重ね合わせて位置合わせを行う筐体に収納するステップとを有することを特徴とする。かかる製造方法は、三層を重ねるステップと筐体で位置合わせを行うステップとを有し、機械的な結合(例えば、アンテナ層と能動層との半田付け)を行わないので製造が容易であると共にアンテナ層が機械的結合に向かない(例えば、半田付け温度よりも低いガラス転移温度を有する材料から構成される)場合にも製造を行うことができる。前記作成ステップは、前記アンテナ層を射出成形あるいはホットエンボス成形法を使用して作成してもよい。これにより、アンテナ層の(パターンや給電孔などの)作成精度を高めることができる。
【0023】
本発明の別の側面としての機能装置は、第1の層と、前記第1の層に信号を送信又は前記第1の層から信号を受信する、能動素子を有する電子回路を含む第2の層と、前記第1の層と前記電子回路とを接触又は電磁結合によって接続し、前記第1の層から前記第2の層又は前記第2の層から前記第1の層に前記信号を伝送する第3の層と、前記第1の層はガラス転移温度が半田付け温度よりも低い材料から構成されることを特徴とする。かかる機能装置は、半田付けのできない第1の層(例えば、アンテナ層)を第2の層に第3の層を介して結合することによって第1の層の動作を確保している。
【0024】
例えば、第1の層がアンテナ層である場合、アンテナ部を構成する誘電体材料は誘電損失を減らすために低い誘電体損(tanδ)を有する材料を使用する。更に、製造に適した手段として成形を用いる場合には高分子有機材料を使用することが考えられる。高分子有機材料の軟化温度は100〜200℃程度であり、ホットエンボス成形ではこの温度範囲で成形することになる。また、生産性の良い射出成形の場合には、樹脂を完全に溶融するために、300〜400℃程度まで昇温する。しかし、通常の回路を作成するに用いられる半田の溶融温度は樹脂の溶融温度である300〜400℃程度の温度が必要であり、この温度では誘電体の変形を伴うために半田による接続は行えない。そのためアンテナ部と能動層との電気接続は半田のような機械的に結合させたものではなく、電磁結合や接触により充分な接続が可能な状態を作る。使用する周波数帯域が高周波であり信号の伝達には必ずしも機械的結合を必要としない。また、第2の層は、テフロン基板やエポキシ基板のように、熱的に耐久性のある基板を用いることができる。
【0025】
本発明の別の側面としての機能装置は、第1の層と、前記第1の層に信号を送信又は前記第1の層から信号を受信する、能動素子を有する電子回路を含む第2の層と、前記第1の層と前記電子回路とを接触又は電磁結合によって接続し、前記第1の層から前記第2の層又は前記第2の層から前記第1の層に前記信号を伝送する第3の層とを有し、当該第3の層は、それぞれ異なる機能を有する複数種類の中から選択されることを特徴とする。かかる機能装置は、第2の層を交換することによって異なる機能を実現することができる。
【0026】
前記第1の層は複数の素子を含み、前記第3の層は、前記複数の素子の動作周波数を選択するフィルタ回路、複数の素子に入力を分配する分配回路、複数の素子からの出力を合成する合成回路として機能するパターンを有してもよい。
【0027】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は添付図面を参照して説明される好ましい実施例において明らかにされるであろう。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の一側面としての複合平面アンテナ1について説明する。ここで、図1(a)は、複合平面アンテナ1の平面図、図1(b)は図1(a)のAA’断面図である。複合平面アンテナ1は、アンテナ層10と、結合層30と、MMIC層50と、分離帯70と、金属ケース90とを有する。アンテナ層10と、結合層30と、MMIC層50からなる積層構造は重ね合わされて積層されて金属ケース90に収納されて位置決めされている。
【0029】
アンテナ層10は、本実施形態では、複数のアンテナ部11A及び11Bを有するが、本発明は、単独のアンテナ部に適用されることを排除するものではない。なお、11などアルファベットのない参照番号は、特に断らない限り、大文字のアルファベットを付した参照番号11Aなどを総括するものとする。本実施形態では、アンテナ部11Aは、例えば、送信用アンテナ部、11Bは受信用アンテナ部であり、または、その逆の場合もあるが、本発明は、例えば、2つとも送信用又は受信用アンテナ部が構成されることを排除するものではない。複数のアンテナ部11は、同一基板上(本実施形態では更に同一平面上)に一体に形成されている。これらのアンテナ部11が同一基板上に一体に形成されることによって一度に製造可能であるという特長を有する。
【0030】
各アンテナ部11はラジアルスロットアンテナで構成される導波管構造を有する。導波管構造は、誘電体12を導体13で被覆し、スルーホール14によってアンテナ範囲が規定されている。誘電体12の導体被覆面の一部には導体13で覆われないアンテナパターン15A及び15Bが形成され、かかるパターン15A及び15Bは、輻射偏波面により異なるパターンを設ける。本実施形態では、異なる方向の輻射偏波面として円偏波により放射及び受信をしているが、互いに直交する直線偏波パターンを使用してもよい。異なる方向の輻射偏波面は、アンテナ部11A及び11Bの相互電磁干渉を低減している。
【0031】
スルーホール14は、アンテナ層10の表面と裏面を電気的に接続して電磁壁を形成し、アンテナ部11をアンテナとして機能させる。
【0032】
アンテナ層10は、誘電率が比較的小さく(εr=2.0〜2.9程度)、また誘電体損(tanδ)の少ない(tanδは0.001以下)高分子有機材料から構成されており、ガラス転移温度が低く百数十度程度から軟化してしまい、半田付け温度よりも低い。このため、アンテナ層10に半田付けすることはできない。しかし、アンテナ層10と高周波能動回路であるMMIC層50を電気接続するために半田付けのような機械的な結合により行うのではなく、使用する周波数領域によっては無接触あるいは接触しても機械的な結合力を必要とせず信号の伝達が行える特徴がある。
【0033】
アンテナ給電構造として、アンテナ中心部に電極を設けて給電する場合を例に説明する。本実施形態では、アンテナ層10の各アンテナ部は、輻射面に対向する裏面に給電部を有する。給電部は、電極16とこれと電気的に接続した給電パターン17とを有する。図1に示す平面アンテナ1においては、ラジアルラインスロットアンテナの中心部に給電整合に必要な特定の深さに埋め込んだ電極16を設け、電極16に付随する給電パターン17を形成している。
【0034】
図2(b)に、図1と同様の給電パターンの平面図を示す。なお、図2(b)の最外形の円はスルーホール14を表している。スルーホール14の外側は導体膜があってもよいし、なくてもよいが、導体膜がある方が成膜を選択せずに行えるために製造が容易になるという利点がある。外周破線円の内側の破線2本は、導電膜を削除した結果、誘電体表面が露呈し、電気的には断絶した状態になっている。この部分は断面図で明らかなように成形により突起を形成した部分であって、後に詳述するアンテナパターンと同様に突起部に形成された導電膜を削除して給電パターン17とを分離する。給電パターン17より凹部に形成される面を持つ電極16と給電パターン17は同時に成膜することにより電気的な接続は必然的に得られる。
【0035】
なお、裏面の給電構造は誘電体12に突入した電極16を形成するため、成形により孔を形成し、その中に導電膜を形成し電極ポール16を形成する。
従来、ドリルで穴あけする場合の工作精度は数10μmであったが、これに比べて数μm以下と大幅に向上する。高精度に電極ポール16の位置、深さ、太さなどを制御することができるため、成形(特に、射出成形やホットエンボス成形)による給電部の製造は、高精度の整合を確保することができるという特長を有する。
成形では電極16の周りに結合するためのパターンを作るため突起上の領域を設ける。アンテナ層10の給電口側全体に導電膜を形成した後に、面研磨を行い、突起部以外の領域に導電膜層が残るように加工して給電パターンを作成する。当然のことながら電極ポール内側の導電膜形成と同時に結合するためのパターン導電膜を形成することができる。必要に応じて作業プロセスを分割することはできるが、同一プロセスで形成した方が効率的である。
【0036】
電極16が形成される凹部は、アンテナパターン15と共に成形により一体になされてもよい。導体で覆われないパターン15も成形法により一体に成形することが可能であり、パターン15をミクロン単位の高精度で誘電体12に一体に形成することができる。この結果、短波長化に好適な小型のアンテナを寸法精度よく製造することができる。更に、成形法で誘電体を作成することは一度所定のパターンを含む金型を作成してしまえばアンテナの量産が容易であり、安価にアンテナを成形することができる。成形ステップにより成形されたパターンは凸型形状又は凹型形状を有することができるが、導体が被覆される領域を凸型形状又は凹型形状としてもよい。
【0037】
MMIC層50は、基板52と、基板52に搭載され、アンテナ層10に給電するための能動素子56を有する電子回路54とを有している。本実施形態では、基板52は、機械的結合としての半田付けを行うことができる、例えば、フッ化樹脂基板のように耐熱温度の高い基板から構成されている。電子回路54は、基板52の外側(即ち、結合層30とは対抗する面)に形成された凹部に収納されている。
【0038】
図1では、MMIC層50の能動素子56の結合パターンは、基板52の表面に形成されている。かかるパターンは、例えば、フッ化樹脂基板としての基板52上に導体膜を形成し、その後、エッチングにより導体部を残すことによって形成することができる。このため、MMIC層52と結合層30との間には、結合パターンを受容する空気層40が存在する。
【0039】
図2に示す複合平面アンテナ1Aは図1に示す複合平面アンテナ1と以下の点が相違している。即ち、図2に示す複合平面アンテナ1Aは、MMIC層50Aの能動素子56Aの結合パターンは、基板52Aの中に埋め込まれている。回路54Aの構成は実質的には回路54と同様である。ここで、図2(a)は、複合平面アンテナ1Aの断面図であり、図2(b)は、図2(a)のCC’断面図である。能動素子56Aは、例えば、成形による圧入により基板52Aに埋め込まれる。
【0040】
このように、基板52Aに凹部を形成して能動素子56Aを収納することにより、MMIC層50Aの厚さをMMIC層50よりも薄くして平面アンテナ1Aを平面アンテナ1よりも薄型にすることができる。更に、凹部がMMIC層50Aの結合層30側に形成されるとMMIC層50Aとアンテナ層10との距離を短くすることができる。また、図1(b)に示すMMIC層50と結合層30との間に存在する空気層40を除去することができるので誘電率の変化とそれによる電界の乱れを防止して好ましいアンテナ特性を維持することができる。
【0041】
図3に、異なるMMIC層50Bを有する複合平面アンテナ1Bを示す。図3(a)は、複合平面アンテナ1Bの平面図、図3(b)は図3(a)のFF’断面図である。図3(b)に示すように、平面アンテナ1BにおけるMMIC層50Bは、図2(a)と比較すると、電子回路54Bを結合層30B側(即ち、基板52Bの内側に)に設けている。このため、基板52Bの内側には回路54Bを収納するための凹部が形成されている。電子回路54Bを基板52Bの内側(即ち、結合層30B側)に配置することにより、外部干渉を受けにくくなると共に、アンテナ層10の給電パターンとの距離が短くなるので整合が安定し、かつ、容易になる。波長に対して配線長くなるとアンテナとして機能し始めて、回路間の不要な結合をもたらす場合があり、アイソレーションが確保できない等の不具合を生じる。回路動作の安定化のために、回路配線はできるだけ短いことが好ましい。
【0042】
図1に示すように、電子回路54を結合層30と対向する側の基板52に埋め込むと、部品の大きさ制約から解放され一部平面から飛び出しても実装可能であるが、結合層30への結合パターンとの接続が必要であり、RF線路が長くなる傾向にある。一方、図3に示すように、電子回路54Bを結合層30Bと対向する側の基板52Bに埋め込むと、実装上の制約があるもののRF回路の入出力は最短で接続されるため外部からの干渉も無く安定した動作が期待できる。埋め込み位置は、システムとしての要求仕様に関するため必要に応じて選択することができる。
【0043】
結合層30は、アンテナ層10と電子回路52とを接触又は電磁結合によって接続し、本実施形態では誘電体から構成されている。結合層30は、MMIC層50の入出力信号をアンテナ層10に伝播する機能を有する。結合層30により、半田付け温度よりもガラス転移温度が低い材料から構成されるアンテナ層10を半田付け温度よりもガラス転移温度が高い材料から構成されるMMIC層50とを接続することができる。また、結合層30は、後述するように、幾つかの機能を有するが、その第一の目的はアンテナと電子回路52の接続を容易にすることであり、整合回路としての機能が重要である。例えば、結合層30の両面に後述するパターン32を設けるにしてもその設計は整合条件を満たすように行わればならない。
【0044】
まず、導波管伝送路を使用するラジアルスロットアンテナでは給電部における入力インピーダンスが大きくなり整合回路が重要である。能動素子回路52の入出力インピーダンスとの整合を図るため、結合層30は一定の厚みを有する誘電体から構成されてアンテナ層10と電子回路52を電磁結合する。
【0045】
結合層30はアンテナ層10と電気回路52との整合を取る目的に加えて、複合平面アンテナとしての汎用性を付加することができる。つまり電気回路52を搭載するMMIC層50は各種機能により様々な回路を用意することになる。例えば、アレイアンテナ構成のための位相回路やダイバーシティ回路等の機能的に異なる回路をアンテナと合わせ複合した機能をもたらす効果がある。
【0046】
図3に示す複合平面アンテナ1Bにおいては、結合層30Bは、カップリング用のパターン32を有している。結合層30Bにパターン32を設けることによって新たな受動素子を設けることができる。かかるパターン32により、結合層30Bは、整合機能、複数のアンテナ部11の出力を選択する選択回路、複数のアンテナ部11に入力を分配する分配回路、複数のアンテナ部11からの出力を合成する合成回路として機能することができる。図1などではMMIC層50とアンテナ部11とは一対一に対応しているが、パターン32によっては、MMIC層50とアンテナ部11とは一対n(nは2以上の自然数)に対応してもよい。例えば、n個のアンテナ部11からの受信した情報をパターン32が合成して一の電子回路54Bにおいて処理することができる。
【0047】
図9に結合層30が分波回路として動作する際のフィルタの例を示す。分波回路は複数のフィルタ37で分別する回路であり、電磁波の周波数により図示しない出力ポートを選択するものである。MMIC層50は、広帯域で動作するが、アンテナの比帯域が狭い場合には周波数ごとに輻射するアンテナを選択することでシステムとしての輻射効率を上げる効果がある。このようなフィルタ37を選択周波数ごとに設置することによって複数のアンテナ部を有する平面アンテナを実現することができる。
【0048】
図10に結合層30が複数のアンテナを制御する分配回路として動作する例を示す。これは分配回路の分岐ポートにラジアルラインスロットアンテナを配置したところを重ねて表示したもので、このとおりのパターンとして機能するものではない。即ち、分配回路は結合層に構成し、アンテナはアンテナ層に構成するもので、図1や図2と同じ積層構成で成り立つものであるが便宜上重ねて表示し動作を説明するものである。
【0049】
図10(a)においては、結合層30は、分配器入力ポート38Aと、2つの分配器出力ポート38Bと、バランスダミーロード39とを有している。ここでは、2つの分配された電力を同位相で出力することができるウィルキンソン分配回路の例を示しているが、必要に応じて複数のポートへの分配を行うことにより、分配数に応じたアンテナを有するアンテナアレーを構築することができる。同位相で分配することによってアレイアンテナとして位相合成してビーム形成するが、意識的に特定のアンテナへの分配電力又は各アンテナ給電毎に位相差を設けて分配することによって放射パターン指向性を機能的に設計することができる。なお、ウィルキンソン分配回路は当業界で周知であるので詳しい説明は省略する。
【0050】
図10(b)に示すように、分配回路の出力ポート38Bには2つのアンテナ部11が結合される。各アンテナ部11はラジアルラインスロットアンテナとして構成されている。これらのアンテナから輻射する電磁波位相面は揃えた放射パターンを形成する。ここでは、ラジアルラインスロットアンテナで説明したが、その他の平面アンテナ(例えば、パッチアンテナ)で構成してもよい。分割数が増えるに従って、これに接続するアンテナの数も増えることになる。輻射する場合を例に説明したが、受信アンテナとして動作する場合は今まで説明してきた分配回路は合成回路として動作することはいうまでもない。バランスダミーロード39は、負荷としてのアンテナが相互に非平衡状態になったときに電流が流れ、各ポート間のアイソレーションを確保する。
【0051】
分離帯70は、必要に応じて金属ケース90内に設けられ、図1に示すように各層に置ける平面的なアイソレーションを確保し、回路間のシールドを維持している。
【0052】
金属ケース90は、アンテナ層10、結合層30、MMIC層からなる積層構造を保持する。これにより、積層構造を外部環境からシールドしてアンテナ特性や給電特性の安定化を図ることができると共に、各層の位置合わせを行うことができる。アンテナ層10の給電点位置ずれはアンテナの指向性を変形させ、MMIC層50との位置合わせは結合効率に影響を与えるため、金属ケース90により両者の高精度な結合を行うことができる。
【0053】
以上、ラジアルラインスロットアンテナによる複合アンテナを例に説明したが、平面アンテナはマイクロストリップアンテナのように導波管構成である必要性はなく、様々なアンテナ構造とMMICに代表される電気回路54との接続において、立体的な構成に接続していくことによって小型で精度の良い複合アンテナを構成することができる。
【0054】
図4に、平面アンテナ給電口の別例を示している。給電口のパターンはアンテナの種類、整合条件、整合方法、使用周波数によって変化する。図4は、角型導波管伝送スロットラインアンテナ1Cにより構成する例を示している。ここで、図4(a)は、角型導波管伝送スロットラインアンテナ1Cの平面図、図4(b)は、図4(a)のBB’断面図である。図4(c)は、図4(b)のDD’断面図である。図4(d)は、図4(b)のEE’断面図である。本発明は、給電位置が中心の一点の場合も直線状に並んだ平行給電の場合にも適用することができる。ここではミリ波を想定した角型窓電磁結合給電を意識したパターンを示す。結合層30Cは電磁エネルギーの横方向拡散を防止するため、波長に対して充分に小さい例えばλ/6以下の長さ間隔で配列して厚み方向にスルーホール壁34を設け、スルーホール壁34で囲まれた領域の外側には給電口の面からの高さ(面研磨した残りの凸部高さ)よりも厚い導電膜を形成した様子を示している。
【0055】
アンテナ層10CとMMIC層50Cに囲まれた結合層30Cは給電口とMMIC層50Cの結合パターンに挟まれた誘電体空間をなしており、効率よい給電のための整合回路を形成することができる。必要に応じて共振器としての機能を有してもよい。図4(c)は、アンテナ層10Cの給電側パターンを示している。給電口以外の部分は導電膜で覆われ、給電口のみ導電膜のない領域である。また点線で表示したスルーホール34はアンテナの放射パターンに連動して形成しており、電気回路動作としてはスルーホール34領域の外側ではアンテナ機能としての意味合いはなく導体膜を必ずしも必要としない。
【0056】
図4(d)は、MMIC層50Cと結合層30Cの境界に存在するパターンを示している。このパターンを結合層に設ける例を示している。結合層の結合窓はMMIC層の結合パターンを受取る窓であってスルーホール36で結合層30Cの両面を電気的に接続しており図4(c)の説明と同様に電磁波に対する電気壁として動作する。
【0057】
図5乃至図7は、図1に示すアンテナ部11に適用可能なラジアルラインスロットアンテナ11Dを示している。ここで、図5は、平面アンテナ1Dの表面の概略斜視図である。図6は、アンテナ部11Dの裏面の概略斜視図である。図7は、アンテナ部11Dの概略断面図である。
【0058】
アンテナ部11Dは、平板状の誘電体からなる基板12Dと、基板12Dの表面を被覆する導体(膜)13Dとを有し、導体13Dで覆われない基板12Dの所定の位置に所定のパターン15Dを有する共振スロットを形成する。図7に示すように、基板12Dには導体膜13Dが表皮効果を考慮して所定の厚さに形成されている。但し、アンテナ部11Dにおいて、導体膜13Dは基板12Dのスロットパターン15D及び給電用スロットパターン18Dには形成されておらず、この所定の領域をスロットとすることでアンテナとして機能する。なお、図5乃至図7は、スロットパターン15D及び給電用スロットパターン18Dはその大きさが誇張しかつ一部省略して描かれている。
【0059】
アンテナ部11Dは、例示的に、直径30乃至50mm、厚さ1mmのディスク形状を有し、小型のラジアルスロットアンテナとして実現されている。しかし、アンテナ部11Dはこれに限定されるものではなく、例えば、パッチアンテナ、マイクロストリップアンテナなど導体被覆面の一部に導体を被覆しない領域を有する誘導体として構成されるいかなるアンテナに適用することができ、その大きさも限定されない。アンテナ部11Dは、小型であっても寸法精度よく製造することができるという長所を有する。
【0060】
基板12Dは所定の厚みを有し、かかる厚み部分が導波路となって各スロットへの給電回路として機能する。図5乃至図7に示されるように、アンテナ部11Dは表面(放射面)側にスロットパターン15Dが、裏面(給電面)側に給電用スロットパターン18Dが凸型形状としてそれぞれ基板12Dと一体に構成されている。但し、給電用パターン18Dは凹型形状となるように構成されてもよい。基板12Dは、表パターン成形基板(例えば、スロットパターン15Dを有する基板)と裏パターン成形基板(例えば、給電用スロットパターン18Dを有する基板)を別々に成形し、その後両基板を貼り合わせて一体化する製造工程をとることもできる。もちろん、基板12Dは、表裏パターン(スロットパターン15D及び給電用スロットパターン18D)から一体形成される基板と製造できることは言うまでもない。
【0061】
導体膜13Dが形成されないスロットパターン15D及び給電用スロットパターン18Dは、基板12Dに一体に構成されている。本実施形態においてスロットパターン15D及び給電用パターン18Dを含む基板12Dは誘電体、例えば、作用周波数領域で低誘電体損の材料である樹脂を用い射出成形法あるいはホットエンボス成形法により一体に成形されている。射出成形法はサブミクロン精度でスロットパターン15D及び給電用スロットパターン18Dを成形することができる。例えば、射出成形によって成形される例示的なものとして光ディスクが上げられるが、かかる光ディスク(例えば、DVD)では、幅0.3μm、長さ0.4μm、深さ0.04μmのピットを高精度で成形することができる。このような高精度にて成形可能な成形技術を本発明の基板12Dを用いることは寸法精度のよいアンテナ部11Dのスロットとなり、短波長化に好適な小型のアンテナ部11Dを精度良く成形することができる。また、射出成形法による誘電体成形技術を用い、スロットパターン15D及び給電用スロットパターン18Dを含む基板12Dの金型を作成してアンテナ部11Dの量産が容易であり、安価にアンテナ部11Dを製造することができる。
【0062】
スロットパターン15Dはアンテナ部11Dのスロットとして機能する導電膜13Dを被覆しない領域を形成するためのパターンである。スロットパターン15Dは複数アレイ化して配置される。このようなアレイアンテナでは、各アレイの寸法及び形状と、アレイ間の位置関係を高精度に維持する必要があるが、射出成形により基板12と一体に形成されるスロットパターン15Dは寸法精度良く形成されているためアンテナ部11Dの指向性を良好に維持することが可能となる。スロット15Dが凸形状を有するので、導体被覆膜を固定し、熱膨張、収縮あるいはそれの繰り返しによる環境条件においてもアンテナの所定パターンが相対的な位置ずれを起こしにくく、共振スロット15Dの形状も一定に保たれることにより、寒暖や吸湿等の環境変化にかかわらず安定したアンテナ特性を維持することができる。このようなアレイアンテナは、例えば、50GHz以上の高周波用アレイアンテナとして動作することができる。誘電体基板の膨張係数を7x10−5(/℃)とすると、例えば、温度範囲として−10〜+50℃)で動作させる場合にアレイアンテナ間隔の伸縮は4.2x10−3程度になる。アレイアンテナにおける素子間隔ずれ量として計算すると50GHzにおける誘電体内波長λgは、比誘電率を2.5とした場合に3.8mmであって、温度伸縮による誘電体内波長に対する割合は0.001λgである。アンテナ素子間の寸法精度を0.01λg以内に収めることを考慮すれば約10波長分の長さを有するアレイアンテナの構成を可能にする。これは最大約78素子のアンテナ素子を構成することに相当し、アンテナの指向性と利得を自由に設計できる。スロットパターン15Dは一対のT字状パターンより構成され、基板12D上にスパイラル状に形成されるが、同心円状に配置されてもよい。
【0063】
スロット15Dのパターンの中心と給電中心(電位的意味の中心)のずれが、例えば、λ/50以内であることが好ましい。共振スロット15Dからの放射電磁波の位相のずれを抑えることにより、それら放射電磁波が合成されることにより形成される放射パターンが良好なものとなる。
【0064】
断面凸形状を有するパターン18Dは、電波の出入り口として機能してもよい。パターン18Dは、パターン15Dの中心と一致しているので熱膨張、収縮あるいはそれの繰り返しなどの環境の変化があっても表裏のパターンが相対的に位置ずれをおこしにくく、安定した特性を持続することができる。また、パターン18Dは凹部であってもよいが、凸部であることが好ましい。これにより、凸部を利用したインピーダンス整合を図ることができる。
【0065】
導電膜13Dは基板12D上に設けられる導体部分であり、表皮効果の影響を受けないようにしかるべく所定の厚さに形成されている。導電材料としては銅や銀、ニッケルが一般的であるが、導電膜13Dは必要に応じて導体を複層構造とすることができる。図示しないが、基板12Dに直接形成される導体膜13Dは無電解で構築する部分であり無電解メッキ処理、スパッタリング法や蒸着法により形成可能であり、クロムやニッケル、銅、銀、金などで構成される(第1の導体)。そして、次に覆う導体は電気メッキ処理による部分で導体膜13Dの厚みの大部分を構成する(第2の導体)。かかる導体は電流密度や電解液温度でその密度や電気特性も異なる。上述したように、導体膜13D、即ち第2の導体は表皮効果を避けるべく厚みを確保するため電流値やメッキ時間の制御で導体厚みをコントロールされている。なお、この層をさらに複層膜として、電流の多く流れる誘電体との界面層は銀や銅の層として形成し誘電体から遠く位置する層はコストや耐酸性などを考慮して金やニッケル材料を使うことも可能である。
【0066】
図8は射出成形等により誘電体樹脂にパターンを転写する様子を図式的に説明する図である。アンテナの輻射面側と給電面側を同時に成形する。こうすることで給電口18Dと輻射パターン15Dの中心部を位置合わせできる。無調整で対象性の良い放射パターンを有するアンテナを大量に生産可能である。予め樹脂材料を用いて平板を作っておき、パターンS1,S2をホットスタンピングで作ることも可能である。いずれにせよ、成形により寸法やスロットの大きさが精密に輻射されるため無調整で特性の良いアンテナが生産できる。なお、アンテナ部11Dには、本出願人による特願2002−204801において開示されたものを適用することができる。同出願の内容は、ここで参照して結合する。
【0067】
以上説明したアンテナ構造は、機能別に独自に各層設計可能であり、必要とする特性と実現するに必要な条件とを整理して設計することを可能とし、しかも一体に形成することができる。これらのアンテナは射出成形法で量産が容易であり、安価にアンテナを作成することができる。
【0068】
本発明のアンテナ1は、特にミリ波帯(周波数30乃至300GHz、波長1乃至10mmの電波)に適した小型な平面アンテナである。この60GHz帯は、空中における減衰が大きく遠くまで到達しないなどの物理特性を有し、大伝送容量で低コストな多様な無線システムに適用可能である。例えば、自動車衝突防止用のレーダ、短距離通信システム、無線LAN、及び家庭の屋内配線の無線化などに好適である。
【0069】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はその要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、短波長に適用可能の積層構造アンテナであって、寸法精度によく安価かつ生産性に優れる平面アンテナ及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の平面アンテナを示す平面図及び断面図である。
【図2】 本発明の別の実施形態の平面アンテナを示す平面図及び断面図である。
【図3】 本発明の別の実施形態の平面アンテナを示す平面図及び断面図である。
【図4】 本発明の別の実施形態の平面アンテナを示す平面図及び断面図である。
【図5】 図1に示すアンテナ部に適用可能なアンテナの表面の概略斜視図である。
【図6】 図5に示すアンテナの裏面の概略斜視図である。
【図7】 図5に示す平面アンテナの概略断面図である。
【図8】 図5に示す平面アンテナの製造方法を説明するための図である。
【図9】 図1に示す結合層の別の機能を説明するための平面図である。
【図10】 図1に示す結合層の更に機能を説明するための平面図である。
【符号の説明】
1、1A−1C 平面アンテナ
10 アンテナ層
11A、11B アンテナ部
12 誘電体
13 導体
14、34、36 スルーホール
16 電極
17 給電パターン
30 結合層
32 パターン
40 空気層
50 MMIC層
52 基板
54 電子回路
56 能動素子
70 分離帯
90 金属ケース

Claims (6)

  1. 同一基板上に一体に形成された複数のアンテナ部を含む平面アンテナであって、
    各アンテナ部は、導体で被覆された誘電体からなり、
    各アンテナ部の前記誘電体、前記導体で覆われないパターン集合体および給電部が、前記誘電体表面に立体的形状として一体に形成され、
    前記複数のアンテナ部の前記パターン集合体は、それぞれ異なる方向の輻射偏波面を有し、
    かつ、それぞれの異なる輻射偏波面ごとに別個の前記給電部を有することを特徴とする平面アンテナ。
  2. 前記複数のアンテナ部は送信用アンテナ部と受信用アンテナ部を含むことを特徴とする請求項1記載の平面アンテナ。
  3. 前記アンテナ部は、右旋偏波を輻射又は受信するアンテナパターン集合体と、左旋偏波を輻射又は受信するアンテナパターン集合体を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の平面アンテナ。
  4. 前記アンテナ部は、直線偏波を輻射又は受信するアンテナパターン集合体と、当該直線旋偏波に直交した直線偏波を輻射又は受信するアンテナパターン集合体とを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の平面アンテナ。
  5. 誘電体を導体で被覆した導波管構造を有する平面アンテナの製造方法であって、
    前記誘電体と輻射偏波面を有して前記導体で覆われないアンテナパターン集合体と給電部と、を射出成形法あるいはホットエンボス成形法により一体に成形し、かつ、前記パターン集合体と前記給電部を前記誘電体表面に対して立体的形状として一体に成形するステップと、
    前記給電部に導電性材料を付着して電極を形成するステップとを有することを特徴とする平面アンテナの製造方法。
  6. 前記給電部形成ステップは、前記給電部の周囲に前記電極に接続され、前記導電性材料によって構成される給電パターンを前記電極と共に一体的に形成することを特徴とする請求項記載の方法。
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