JP4259832B2 - 直流電圧発生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流電圧発生装置に係り、特に、小容量ユニットを複数台並列接続した構成により直流電力を供給し、負荷装置が短絡した時の流入エネルギを許容値以内に制限する高信頼性の直流電圧発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
共振型コンバータを複数台並列接続した従来の直流電圧発生装置を図8の回路図を参照して説明する。
図に示すように、共振型コンバータ1〜nは、直流電源1に接続された第1〜第4のスイッチング素子2a〜2dと、これら各スイッチング素子と逆並列に接続された環流用ダイオード3a〜3dで構成されるインバータ部と、共振用コンデンサ4と、昇圧用トランス5と、全波整流器6とで構成されている。
【0003】
インバータ部の第1と第4のスイッチング素子を同時に点弧することにより共振用コンデンサ4と昇圧用トランス5の洩れインダクタンスによって構成される共振回路に共振電流が流れ、昇圧用トランス5によって昇圧され、全波整流器6によって整流され、整流された電荷によって平滑コンデンサ7を充電し電圧を発生させる。次に、インバータ部の第2と第3のスイッチング素子を同時に点弧することにより、前述と同様の共振電流が流れる。この動作を繰り返すことにより負荷装置8に対して直流電力を供給する。
【0004】
図中の負荷装置8は四極管や、クライストロンといった真空管等の負荷であり、このような真空管負荷では、真空管内部でしばしば短絡が発生する。この時真空管内部に流入するエネルギを許容値以下にしないと、装置の破損に至る。
【0005】
従来の直流電圧発生装置では、クローバ回路9と呼ばれる短絡保護回路を負荷装置8と並列に接続し、負荷装置8で短絡が発生した時、クローバ回路9を動作させ、クローバ回路9に短絡電流を流すことにより負荷装置8へのエネルギ流入量を制限していた。
【0006】
また、出力電圧に重畳するリップル電圧は負荷装置8の出力の安定性を低下させるため、極力抑える必要がある。このため、出力の直流電圧に重畳するリップル電圧を抑制するため、従来の直流電圧発生装置では平滑コンデンサ7の容量を大きくすることで対応していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、従来の直流電圧発生装置では、負荷装置での短絡電流によるエネルギ流入量を制限する目的でクローバ回路を接続していた。しかし、クローバ回路の寿命や誤動作による信頼性の低下、クローバ回路の設置に伴い直流電圧発生装置の小型化が困難であった。
【0008】
また、出力の直流電圧に重畳するリップル電圧を抑制するための平滑コンデンサは、高電圧で周波数特性の良いコンデンサを製作することが困難であり、さらに出力電圧に重畳するリップル電圧が増大するという問題が生じていた。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、その課題は、平滑コンデンサと、負荷装置との間に適当な抵抗値をもつ抵抗体を接続することで定常時に発生する損失を抑制し、かつ負荷装置短絡時のエネルギ流入量を許容値以下に制限したままクローバ回路を除くことで高信頼な直流電圧発生装置を提供することにある。
【0010】
また、直流電圧に重畳するリップル電圧を平滑コンデンサと負荷装置との間にインダクタを接続することで、低減するようにした直流電圧発生装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、直流電源と、
第1のスイッチング素子を正極側、第2のスイッチング素子を負極側とする第1のスイッチ直列接続回路と、第3のスイッチング素子を正極側、第4のスイッチング素子を負極側とする第2のスイッチ直列接続回路とが並列接続され、前記各スイッチ直列接続回路の正極側が前記直流電源の正極に接続され、前記各スイッチ直列接続回路の負極側が前記直流電源の負極に接続され、前記第1〜第4のスイッチング素子にそれぞれ環流用ダイオードが逆並列接続されたインバータ回路と、前記第1及び第2のスイッチング素子の相互接続点と前記第3及び第4のスイッチング素子の相互接続点との間に、キャパシタンスを介して1次巻線が接続されたトンランスと、前記トランスの2次巻線に接続された全波整流回路とで構成される単位構成の共振型コンバータと、
前記単位構成の共振型コンバータの入力を複数台、前記直流電源に並列接続し、前記単位構成の共振型コンバータの出力を並列接続し、複数台の共振型コンバータの出力に出力電圧平滑化のための平滑コンデンサを並列に接続した直流電圧発生装置において、
前記平滑コンデンサの片側の端子と負荷装置との間に抵抗を直列接続し、この抵抗の抵抗値Rを、
負荷装置が短絡した時の短絡電流をI(t)、短絡時に発生する負荷装置内のアーク電圧をV(I)、負荷装置に流入するエネルギの最大許容値をEmaxとした時、
max >∫(I(t)×V(I))dt
を満足するRとしたことを特徴とする。
【0012】
これによると、負荷装置で短絡が発生した時のエネルギを抵抗で消費し、負荷装置に流入するエネルギを許容値以下に制限することが可能となる。このため、クローバ回路を除くことができ、直流電圧発生装置の信頼性を向上させ、装置を小型化することが可能となる。
【0013】
また、直流電源と、
第1のスイッチング素子を正極側、第2のスイッチング素子を負極側とする第1のスイッチ直列接続回路と、第3のスイッチング素子を正極側、第4のスイッチング素子を負極側とする第2のスイッチ直列接続回路とが並列接続され、前記各スイッチ直列接続回路の正極側が前記直流電源の正極に接続され、前記各スイッチ直列接続回路の負極側が前記直流電源の負極に接続され、前記第1〜第4のスイッチング素子にそれぞれ環流用ダイオードが逆並列接続されたインバータ回路と、前記第1及び第2のスイッチング素子の相互接続点と前記第3及び第4のスイッチング素子の相互接続点との間に、キャパシタンスを介して1次巻線が接続されたトンランスと、前記トランスの2次巻線に接続された全波整流回路とで構成される単位構成の共振型コンバータと、
前記単位構成の共振型コンバータの入力を複数台、前記直流電源に並列接続し、前記単位構成の共振型コンバータの出力を並列接続し、複数台の共振型コンバータの出力に出力電圧平滑化のための平滑コンデンサを並列に接続し、内部短絡を発生する虞のある負荷装置に直流電力を供給する直流電圧発生装置において、
前記平滑コンデンサの片側の端子と負荷装置との間に抵抗とインダクタを直列接続し、この抵抗の抵抗値Rを、
負荷装置が短絡した時の短絡電流I(t)、短絡時に発生する負荷装置内のアーク電圧をV(I)、負荷装置に流入するエネルギの最大許容値をEmaxとした時、
max >∫(I(t)×V(I))dt
を満足するRとしたことを特徴とする。
【0014】
これによると、上記の効果に加えて、接続したインダクタンスにより短絡電流の電流波高値を小さくすることができ、直流電圧に重畳するリップル電圧を抑制することができるので、負荷装置の出力を安定化することができる。
【0015】
請求項1の発明は、直流電源と、
第1のスイッチング素子を正極側、第2のスイッチング素子を負極側とする第1のスイッチ直列接続回路と、第3のスイッチング素子を正極側、第4のスイッチング素子を負極側とする第2のスイッチ直列接続回路とが並列接続され、前記各スイッチ直列接続回路の正極側が前記直流電源の正極に接続され、前記各スイッチ直列接続回路の負極側が前記直流電源の負極に接続され、前記第1〜第4のスイッチング素子にそれぞれ環流用ダイオードが逆並列接続されたインバータ回路と、前記第1及び第2のスイッチング素子の相互接続点と前記第3及び第4のスイッチング素子の相互接続点との間に、キャパシタンスを介して1次巻線が接続されたトンランスと、前記トランスの2次巻線に接続された全波整流回路とで構成される単位構成の共振型コンバータと、
前記単位構成の共振型コンバータの入力を複数台、前記直流電源に並列接続し、前記単位構成の共振型コンバータの出力を並列接続し、複数台の共振型コンバータの出力に出力電圧平滑化のための平滑コンデンサを並列に接続し、内部短絡を発生する虞のある負荷装置に直流電力を供給する直流電圧発生装置において、
前記平滑コンデンサの片側の端子と負荷装置との間に抵抗とインダクタを直列接続し、負荷装置の短絡電流を検出する電流検出手段と、前記短絡電流が流れた時に可変抵抗の抵抗値を変化させる抵抗値可変手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項1に記載の発明によると、定常状態の時と負荷装置が短絡した時の状態に応じて抵抗値を可変とすることにより、定常時抵抗による発生損失を低減し、負荷装置の短絡時は負荷装置への流入エネルギを制限することが可能となる。
【0017】
また、接続したインダクタンスにより短絡電流の電流波高値を小さくすることができ、直流電圧に重畳するリップル電圧を抑制することができるので、負荷装置の出力を安定化することができる。
【0018】
請求項2の発明は、直流電源と、
第1のスイッチング素子を正極側、第2のスイッチング素子を負極側とする第1のスイッチ直列接続回路と、第3のスイッチング素子を正極側、第4のスイッチング素子を負極側とする第2のスイッチ直列接続回路とが並列接続され、前記各スイッチ直列接続回路の正極側が前記直流電源の正極に接続され、前記各スイッチ直列接続回路の負極側が前記直流電源の負極に接続され、前記第1〜第4のスイッチング素子にそれぞれ環流用ダイオードが逆並列接続されたインバータ回路と、前記第1及び第2のスイッチング素子の相互接続点と前記第3及び第4のスイッチング素子の相互接続点との間に、キャパシタンスを介して1次巻線が接続されたトンランスと、前記トランスの2次巻線に接続された全波整流回路とで構成される単位構成の共振型コンバータと、
前記単位構成の共振型コンバータの入力を複数台、前記直流電源に並列接続し、前記単位構成の共振型コンバータの出力を並列接続し、複数台の共振型コンバータの出力に出力電圧平滑化のための平滑コンデンサを並列に接続し、内部短絡を発生する虞のある負荷装置に直流電力を供給する直流電圧発生装置において、
前記平滑コンデンサの片側の端子と負荷装置との間に、スイッチと抵抗を直列接続したものを複数列接続し、前記スイッチと抵抗との並列接続にインダクタを直列接続し、負荷装置の短絡電流を検出する電流検出手段と、前記短絡電流が流れた時にスイッチを開閉するスイッチ開閉手段を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項2記載の発明によると、定常状態の時と負荷装置が短絡した時の状態に応じて抵抗値を可変とする手段を、スイッチの開閉によって実現しているため、請求項1の効果を損うことなく、高速に抵抗値を変化させることができ、負荷装置へのエネルギ流入量を小さくすることができる。
【0020】
請求項3記載の発明は、請求項2または請求項2記載の直流電圧発生装置において、
負荷装置が短絡した時の短絡電流をI(t)、短絡時に発生する負荷装置内のアーク電圧をV(I)、負荷装置に流入するエネルギの最大許容値をEmaxとした時、抵抗値Rは負荷短絡時、
max >∫(I(t)×V(I))dt
を満足するRとし、定常状態では前記式を満足する最低の抵抗値以下としたことを特徴とする。
【0021】
請求項3記載の発明によると、請求項1または請求項2のいずれかの直流電圧発生装置においては、接続する抵抗の抵抗値を前述の値とすることにより、負荷装置で短絡が発生した時は負荷装置に流入するエネルギを許容値以下にすることができ、定常状態の時抵抗で発生する損失を低減することができる。
【0022】
請求項4記載の発明は、直流電源と、
第1のスイッチング素子を正極側、第2のスイッチング素子を負極側とする第1のスイッチ直列接続回路と、第3のスイッチング素子を正極側、第4のスイッチング素子を負極側とする第2のスイッチ直列接続回路とが並列接続され、前記各スイッチ直列接続回路の正極側が前記直流電源の正極に接続され、前記各スイッチ直列接続回路の負極側が前記直流電源の負極に接続され、前記第1〜第4のスイッチング素子にそれぞれ環流用ダイオードが逆並列接続されたインバータ回路と、前記第1及び第2のスイッチング素子の相互接続点と前記第3及び第4のスイッチング素子の相互接続点との間に、キャパシタンスを介して1次巻線が接続されたトンランスと、前記トランスの2次巻線に接続された全波整流回路とで構成される単位構成の共振型コンバータと、
前記単位構成の共振型コンバータの入力を複数台、前記直流電源に並列接続し、前記単位構成の共振型コンバータの出力を並列接続し、複数台の共振型コンバータの出力に出力電圧平滑化のための平滑コンデンサを並列に接続し、内部短絡を発生する虞のある負荷装置に直流電力を供給する直流電圧発生装置において、
前記平滑コンデンサの高圧側端子と負荷装置との間に、ヒューズと第1抵抗を直列接続したものを第2抵抗と並列に接続し、さらに、インダクタンスを直列接続したことを特徴とする。
【0023】
請求項4記載の発明によると、ヒューズの溶断によって抵抗値を変化させるため、請求項1または請求項2に示す抵抗値可変手段や、スイッチ可変手段などの回路を省略できるため容易に抵抗値を変化させることができ、定常状態での抵抗による発生損失を低減し、負荷装置の短絡時は負荷装置への流入エネルギを制限することが可能となる。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の直流電圧発生装置において、
ヒューズは負荷装置が短絡した時の短絡電流によって溶断し、この負荷装置が短絡した時の短絡電流をI(t)、短絡時に発生する負荷装置内のアーク電圧をV(I)、負荷装置に流入するエネルギの最大許容値をEmaxとした時、
負荷短絡が発生し、ヒューズが溶断した後の抵抗値Rは、
max >∫(I(t)×V(I))dt
を満足するRとし、定常状態では前記式を満足する最低の抵抗値以下としたことを特徴とする。
【0025】
請求項5記載の発明によると、前記ヒューズおよび抵抗値を選定することにより、請求項4に記載の効果を損うことなく、負荷装置が定常時は抵抗による発生損失を低減することができ、負荷装置で短絡が発生した時は負荷装置に流入するエネルギを許容値以下にすることができる。
【0026】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の直流電圧発生装置において、
平滑コンデンサと、負荷装置との間に接続されるインダクタのインダクタンス値Lは、重畳するリップル電圧の除去したい周波数fにおける平滑コンデンサのインピーダンスをZ(f)、接続されるインダクタンスのインピーダンスをZ(f)とすると、周波数f以上において
(f)<Z(f)
を満足するインダクタンス値としたことを特徴とする。
【0027】
請求項6記載の発明によると、平滑コンデンサと、負荷装置との間に接続するインダクタのインダクタンス値を前述のようにすることにより、直流電圧に重畳するリップル電圧は効果的に平滑コンデンサにより吸収することができ、負荷装置に発生するリップル電圧を抑制することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照し説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の回路図であり、既に説明した従来装置の図8と同一の要素には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0029】
図に示すように、本実施形態では平滑コンデンサ7の片側の端子と負荷装置8との間に抵抗10を直列接続し、この抵抗10の抵抗値Rを、負荷装置8が短絡した時の短絡電流をI(t)、負荷装置8に流入するエネルギの最大許容値をEmaxとした時、
max >∫(I(t)×V(I))dt
を満足するRとするものである。
【0030】
実際にアーク電圧を
(I)=25+34/8000×I(t)…(1)
として解析した結果を図2に示す。例えば図2から負荷装置8の許容流入エネルギが30J以下であるとき、抵抗値として1Ω以上であれば良いことを示している。
【0031】
式(1)については、IEE VOL. 54 NO.1 JANUARY,1996 pp23−32 「Triggered VACUUM GAP J.M.」LAFFERTY著 参照
図3は、本発明の第2実施形態の回路図であり、既に説明した図1の第1実施形態と同一要素には同一符号を付してその説明は省略する。
図に示すように、本実施形態では平滑コンデンサ7の片側の端子と負荷装置8との間に抵抗10とインダクタ11を直列に接続している。負荷装置8内のアーク電圧をVa(I)、負荷装置8に流入するエネルギの最大許容値をEmaxとした時、上記式(1)を満足するRとするものである。
【0032】
インダクタンスLを挿入することにより、負荷装置に定常電流Iが流れている時の蓄積エネルギEが、平滑コンデンサに蓄えられているエネルギに加え、
=1/2×L×I
増加するため、接続する抵抗値Rは、図2に示すように負荷装置8に流入するエネルギ量を同じにするためには、図1の抵抗値Rに比べて大きな抵抗を接続する必要がある。
【0033】
しかし、直列接続したインダクタ11の影響により、図4に示すように短絡電流の波高値が抑制され、負荷装置8の最大電流許容値に対する責務は低減することができる。
また、インダクタ11を直列接続することにより直流電圧に重畳するリップル電圧を低減することができる。
【0034】
図5は、本発明の第3実施形態の回路図であり、既に説明した図1の第1実施形態と同一要素には同一符号を付してその説明は省略する。
図に示すように、本実施形態では、平滑コンデンサ7の片側の端子と負荷装置8との間に、インダクタ11と可変抵抗12を直列接続したものである。可変抵抗12は、負荷装置の短絡電流を電流検出手段13を用いて検出し、抵抗値可変手段14によって抵抗値を変化させる。
【0035】
図6は、本発明の第4実施形態の回路図であり、既に説明した図1の第1実施形態と同一要素には同一符号を付してその説明は省略する。
図に示すように、本実施形態では、平滑コンデンサ7の片側の端子と負荷装置8との間にスイッチ15(a,b,c…)と抵抗16(a,b,c…)を直列に接続したものを複数並列接続し、前記スイッチ15xと抵抗16xとの並列接続に、インダクタンス11を直列接続し、前記スイッチは負荷装置8の短絡電流を電流検出手段13を用いて検出し、スイッチ開閉手段17によってスイッチを開閉する。
【0036】
本実施例ではスイッチと抵抗の直列接続を4並列した時を示している。定常時は全てのスイッチを閉じた状態とし、負荷装置で短絡が発生した時3個のスイッチを開いた状態とすると抵抗値は
R/4→R
に高速に変化させることが可能である。
【0037】
本発明の第5実施形態は、図5の第3実施形態及び図6の第4実施形態において負荷装置が定常状態の時、上記式(1)を満足する抵抗値以下とし、負荷装置で短絡が発生した時は、定常時抵抗で発生する損失を低減することができ、負荷装置が短絡した時は上記式(1)を満足する抵抗値とすることで負荷装置に流入するエネルギを許容値以下にすることが可能となる。
【0038】
図7は、本発明の第6実施形態の回路図であり、既に説明した図1の第1実施形態と同一要素には同一符号を付してその説明は省略する。
図に示すように、本実施形態では、平滑コンデンサ7の片側端子と負荷装置8との間に抵抗値RF1の抵抗18aと、ヒューズ19と抵抗値RF2の抵抗18bとの直列接続とを並列接続し、ヒューズFは負荷装置8の短絡電流によって溶断することにより、定常状態と負荷装置8が短絡した時の抵抗値を
1/{(1/RF)+(1/RF)}→RF(RF>RF)に変化させることが可能である。このときRFの値を上記式(1)を満足する値とすることで、定常時抵抗で発生する損失を低減することができ、負荷装置8が短絡した時は負荷装置に流入するエネルギを許容値以下にすることが可能となる。
【0039】
本発明の第7実施形態では、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のインダクタのインダクタンス値Lを、直流電圧に重畳するリップル電圧の除去したい周波数f以上において、平滑コンデンサのインピーダンスをZ(f)、接続するインダクタのインピーダンスをZ(f)とすると、
(f)<Z(f)
とすることにより、効果的にリップル電圧を除去することができる。ここで、平滑コンデンサ容量をC、インダクタのインダクタンスをLとすると、周波数fにおけるZ(f)、Z(f)は次のように表すことができる。
【0040】
(f)=1/(2×π×f×C)
(f)=2×π×f×L
従って、Lの値を
L>1/(2×π×f)2
とすることにより効果的にリップル電圧を除去することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の直流電圧発生装置によれば、平滑コンデンサと、負荷装置との間に適当な抵抗値をもつ抵抗を接続することで定常時に発生する損失を抑制し、かつ負荷装置短絡時のエネルギ流入量を許容値以下に制限したままクローバ回路を除くことで高信頼な直流電圧発生装置を供給することが可能となる。また、直流電圧に重畳するリップル電圧を平滑コンデンサと負荷装置との間にインダクタを接続することで、低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態の回路図。
【図2】 図1において、抵抗値と負荷装置流入エネルギの関係を示すグラフ。
【図3】 本発明の第2実施形態の回路図。
【図4】 図3において、インダクタンスの有無による短絡電流波形の影響を示すグラフ。
【図5】 本発明の第3実施形態の回路図。
【図6】 本発明の第4実施形態の回路図。
【図7】 本発明の第6実施形態の回路図。
【図8】 従来の直流電圧発生装置の回路図。
【符号の説明】
1…直流電源、2a〜2d…第1〜第4のスイッチング素子、3a〜3d…環流用ダイオード、4…共振用コンデンサ、5…昇圧用トランス、6…全波整流器、7…平滑コンデンサ、8…負荷装置、9…クローバ回路、10,15,18a,18b…抵抗、11…インダクタ、12…可変抵抗、13…電流検出手段、14…抵抗値可変手段、16…スイッチ、17…スイッチ開閉手段、19…ヒューズ。

Claims (6)

  1. 直流電源と、
    第1のスイッチング素子を正極側、第2のスイッチング素子を負極側とする第1のスイッチ直列接続回路と、第3のスイッチング素子を正極側、第4のスイッチング素子を負極側とする第2のスイッチ直列接続回路とが並列接続され、前記各スイッチ直列接続回路の正極側が前記直流電源の正極に接続され、前記各スイッチ直列接続回路の負極側が前記直流電源の負極に接続され、前記第1〜第4のスイッチング素子にそれぞれ環流用ダイオードが逆並列接続されたインバータ回路と、前記第1及び第2のスイッチング素子の相互接続点と前記第3及び第4のスイッチング素子の相互接続点との間に、キャパシタンスを介して1次巻線が接続されたトンランスと、前記トランスの2次巻線に接続された全波整流回路とで構成される単位構成の共振型コンバータと、
    前記単位構成の共振型コンバータの入力を複数台、前記直流電源に並列接続し、前記単位構成の共振型コンバータの出力を並列接続し、複数台の共振型コンバータの出力に出力電圧平滑化のための平滑コンデンサを並列に接続し、内部短絡を発生する虞のある負荷装置に直流電力を供給する直流電圧発生装置において、
    前記平滑コンデンサの片側の端子と負荷装置との間に抵抗とインダクタを直列接続し、負荷装置の短絡電流を検出する電流検出手段と、前記短絡電流が流れた時に可変抵抗の抵抗値を変化させる抵抗値可変手段を備えたことを特徴とする直流電圧発生装置。
  2. 直流電源と、
    第1のスイッチング素子を正極側、第2のスイッチング素子を負極側とする第1のスイッチ直列接続回路と、第3のスイッチング素子を正極側、第4のスイッチング素子を負極側とする第2のスイッチ直列接続回路とが並列接続され、前記各スイッチ直列接続回路の正極側が前記直流電源の正極に接続され、前記各スイッチ直列接続回路の負極側が前記直流電源の負極に接続され、前記第1〜第4のスイッチング素子にそれぞれ環流用ダイオードが逆並列接続されたインバータ回路と、前記第1及び第2のスイッチング素子の相互接続点と前記第3及び第4のスイッチング素子の相互接続点との間に、キャパシタンスを介して1次巻線が接続されたトンランスと、前記トランスの2次巻線に接続された全波整流回路とで構成される単位構成の共振型コンバータと、
    前記単位構成の共振型コンバータの入力を複数台、前記直流電源に並列接続し、前記単位構成の共振型コンバータの出力を並列接続し、複数台の共振型コンバータの出力に出力電圧平滑化のための平滑コンデンサを並列に接続し、内部短絡を発生する虞のある負荷装置に直流電力を供給する直流電圧発生装置において、
    前記平滑コンデンサの片側の端子と負荷装置との間に、スイッチと抵抗を直列接続したものを複数列接続し、前記スイッチと抵抗との並列接続にインダクタを直列接続し、負荷装置の短絡電流を検出する電流検出手段と、前記短絡電流が流れた時にスイッチを開閉するスイッチ開閉手段を備えたことを特徴とする直流電圧発生装置。
  3. 請求項1または請求項2記載の直流電圧発生装置において、負荷装置が短絡した時の短絡電流をI(t)、短絡時に発生する負荷装置内のアーク電圧をV(I)、負荷装置に流入するエネルギの最大許容値をEmaxとした時、抵抗値Rは負荷短絡時、
    max >∫(I(t)×V(I))dt
    を満足するRとし、定常状態では前記式を満足する最低の抵抗値以下としたことを特徴とする直流電圧発生装置。
  4. 直流電源と、
    第1のスイッチング素子を正極側、第2のスイッチング素子を負極側とする第1のスイッチ直列接続回路と、第3のスイッチング素子を正極側、第4のスイッチング素子を負極側とする第2のスイッチ直列接続回路とが並列接続され、前記各スイッチ直列接続回路の正極側が前記直流電源の正極に接続され、前記各スイッチ直列接続回路の負極側が前記直流電源の負極に接続され、前記第1〜第4のスイッチング素子にそれぞれ環流用ダイオードが逆並列接続されたインバータ回路と、前記第1及び第2のスイッチング素子の相互接続点と前記第3及び第4のスイッチング素子の相互接続点との間に、キャパシタンスを介して1次巻線が接続されたトンランスと、前記トランスの2次巻線に接続された全波整流回路とで構成される単位構成の共振型コンバータと、
    前記単位構成の共振型コンバータの入力を複数台、前記直流電源に並列接続し、前記単位構成の共振型コンバータの出力を並列接続し、複数台の共振型コンバータの出力に出力電圧平滑化のための平滑コンデンサを並列に接続し、内部短絡を発生する虞のある負荷装置に直流電力を供給する直流電圧発生装置において、
    前記平滑コンデンサの高圧側端子と負荷装置との間に、ヒューズと第1抵抗を直列接続したものを第2抵抗と並列に接続し、さらに、インダクタンスを直列接続したことを特徴とする直流電圧発生装置。
  5. 請求項4記載の直流電圧発生装置において、
    ヒューズは負荷装置が短絡した時の短絡電流によって溶断し、この負荷装置が短絡した時の短絡電流をI(t)、短絡時に発生する負荷装置内のアーク電圧をV(I)、負荷装置に流入するエネルギの最大許容値をEmaxとした時、
    負荷短絡が発生し、ヒューズが溶断した後の抵抗値Rは、
    max >∫(I(t)×V(I))dt
    を満足するRとし、定常状態では前述の式を満足する最低の抵抗値以下としたことを特徴とする直流電圧発生装置。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の直流電圧発生装置において、
    平滑コンデンサと、負荷装置との間に接続されるインダクタのインダクタンス値Lは、重畳するリップル電圧の除去したい周波数fにおける平滑コンデンサのインピーダンスをZ(f)、接続されるインダクタンスのインピーダンスをZ(f)とすると、周波数f以上において
    (f)<Z(f)
    を満足するインダクタンス値としたことを特徴とする直流電圧発生装置。
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