JP4258853B2 - 低鉄損低騒音積鉄心 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、低い電力損失と低い発生騒音レベルを有する変圧器などの電力機器の鉄心に用いて好適な積鉄心に関する。
【0002】
【従来の技術】
方向性電磁鋼板は、主として変圧器の鉄心材料として用いられ、その磁気特性が良好であることが要求される。特に鉄心として使用した場合のエネルギー損失、すなわち鉄損が低いことが重要である。
そこで従来、鉄損を低減させるために、結晶方向を(110)〔001〕方位に高度に揃えること、Si含有量を高めて鋼板の電気抵抗を増加させること、不純物を低減させること、そして板厚を薄くことことなど種々の試みがなされてきた。その結果、板厚が0.23mm以下の鋼板では、鉄損W17/50(最大磁束密度1.7 T で50Hzの周波数にて交番磁化したときの鉄損)が0.9 W/kg以下のものが製造されるようになったが、冶金学的な方法ではこれ以上の大幅な鉄損の改善は期待できない。
【0003】
そこで近年、鉄損の大幅な低減を達成する手段として、人為的に磁区を細分化する方法が種々試みられている。現在工業化されている方法のうち、特公昭57−2252号公報に開示されている、鋼板表面にレーザーを照射する方法や、特開昭62−96617 号公報に開示されている、鋼板表面にプラズマ炎を照射する方法がある。これらの方法により得られた鋼板は、レーザービームやプラズマ炎のもつ高密度のエネルギーにより導入された局所的な高転位密度域を有し、この高転位密度域は180 °磁壁で分割された主磁区の細分化をもたらすため、鉄損の低い鋼板が得られる。しかしながら、このようにして得られた鋼板においては、歪取り焼鈍により高転位密度域が消失し、鉄損の劣化を来すため、歪取り焼鈍を必須とする巻鉄心には用いることができないという欠点があった。
【0004】
そこで、歪取り焼鈍にも耐え得る磁区細分化方法として、鋼板への溝形成を行う方法が種々提案された。例えば、最終仕上げ焼鈍後すなわち2次再結晶後の鋼板に局所的に溝を形成し、溝部に発生した磁極の効果によって磁区を細分化する方法があり、この溝の形成手段としては、特公昭50−35679 号公報に開示されている機械的な加工や、特開昭63−76819 号公報に開示されている、レーザー光照射により絶縁被膜及び下地被膜を局所的に除去した後電解エッチングするなどの方法がある。また特公昭62−53579 号公報には、歯車型ロールで圧刻後歪取り焼鈍することにより溝及び微細粒を形成して磁区細分化を達成する方法が、特開昭59−197520号公報には、最終仕上げ焼鈍前の鋼板に溝を形成する方法が、それぞれ開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような磁区細分化処理を施された方向性電磁鋼板は、優れた鉄損特性を示すが、更に鉄損値を改善しようとすると積鉄心構成後の騒音値が上昇するという問題点があった。例えば、仕上げ焼鈍済の鋼板表面にレーザー等を照射する方法による磁区細分化処理を施した鋼板では、鉄心組立後の騒音値が増大する場合があり、また歯車ロール等によって線状の溝を局所的に形成する方法による鋼板では磁気飽和に近い1.8 T 以上の磁束密度では騒音値が高くなる傾向があった。
また、これらの磁区細分化処理を施さない通常の素材においても、積鉄心構成後の騒音値の低減が可能な素材については、2次最結晶粒の方位を集積させるなどの鉄損低減と軌を一にする一般的な方策がとられたに過ぎず、騒音値の低減に課題を特定した充分な検討は行われなず、また、十分な成果も得られていなかった。
【0006】
積鉄心変圧器の騒音の発生原因のうち素材起因のものには、鉄心素材である方向性電磁鋼板の磁歪に由来する磁歪振動や、鉄心接合部や層間に発生する磁極間の磁気的吸引・反発力に由来する磁気振動があるとされている。このような騒音発生原因となる鉄心の振動を抑制するためには、鉄心素材である方向性電磁鋼板の結晶粒組織を適正に制御することにより磁歪振動や磁極間の磁気的吸引・反発力に起因する振動を低減することが重要である。
この発明は、上記の問題点を有利に解決することを目的としたもので、鉄損が低いと同時に騒音の低い積鉄心について提案するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点を解決するために、発明者らは最適な方向性電磁鋼板の結晶粒組織について、実験的に種々検討した。すなわち、Al, Mn, Se及びSbをインヒビターとして微量含有するけい素鋼スラブを方向性電磁鋼板の通常の製造工程に従って熱間圧延及び中間焼鈍を含む2回の冷間圧延を経て0.23mm厚の最終冷延板とし、脱炭焼鈍を施した。
【0008】
この脱炭焼鈍板に対して、鋼製のけがき針により、種々の間隔で圧延方向及び圧延方向と直交する方向の直線群からなる桝目状にけがきを施した。このように脱炭焼鈍板に施したけがきは2次再結晶挙動に影響を及ぼし、けがき位置に2次再結晶粒界が存在する確率が統計的に高くなるため、けがき間隔を狭くするほど圧延方向と直交する方向に測った結晶粒径は小さくなり、その結果、圧延方向と直交する方向に相互隣接する結晶粒の中心間の平均距離は小さくなる。このようにけがきを施した鋼板に対し、MgO を主剤とする焼鈍分離剤を塗布した後、仕上焼鈍を施し、さらに張力コーティングの塗布・焼き付けを施した。
【0009】
このようにして得られた鋼板から試料を抽出し、マクロエッチングを施し、2次結晶粒組織における圧延方向と直交する方向に相互隣接する結晶粒の重心間の距離dを全ての隣接結晶粒対について測定した。この距離dは、図1に示すように、2個の結晶粒の重心を通る圧延方向に平行な直線間の距離として定義した。ただし、2つの結晶粒の重心間を結ぶ線分と圧延方向とがなす角度φが30°に満たない場合は隣接結晶粒対から除外した。また、外径が2mmに満たない結晶粒も除外した。
同時にX線回折による結晶粒方位測定装置により2次再結晶粒の最も圧延面に近い〔001〕軸方向が圧延面となす角度θを計測し、角度θの結晶粒ごとの平均値を算出した。次に、圧延方向と直交する方向に隣接する結晶粒間での角度θの絶対値の差Δ|θ|を、圧延方向と直交する方向に隣接する結晶粒対ごとに算出した。さらに、このようにして測定されたΔ|θ|と、dとの比を各条件の鋼板試料全体において平均し、平均値<Δ|θ|/d>を求めた。
【0010】
一方、このようにして得られた、平均値<Δ|θ|/d>が種々の異なる値を有する鋼板を斜角切断し、約20kgの鋼板を積層して脚断面を矩形とした単相積鉄心を組立て、1次・2次巻線を施し、所定の磁束密度に励磁して鉄心の無付加損失及び騒音レベルを測定した。騒音値はコンデンサー型の精密騒音計を用い、脚部中央から300 mmの距離における測定値のエネルギー平均値をとり、暗騒音補正を施した。その測定結果をΔ|θ|とdとの比の鋼板全体における平均値<Δ|θ|/d>とともに表1中に示す。同表から明らかなように、<Δ|θ|/d>が1.0 °/cm以下である場合に、鉄損が低くかつ騒音が低い結果となった。
【0011】
【表1】
【0012】
このように2次再結晶次の〔001〕軸方向が圧延面となす角度θの結晶粒における平均値の、圧延方向と直交する方向に隣接する結晶粒間における絶対値の差Δ|θ|と、該隣接結晶粒の重心間の圧延方向と直交する方向における距離dとの比の鋼板全体における平均値<Δ|θ|/d>が小さいほど積鉄心組立後の騒音が低くなる理由については、以下のように考えることができる。
【0013】
変圧器騒音の発生源としては、鉄心素材の磁歪振動が主たるものの一つであり、その振動が変圧器の外部にまで音波として伝播されることにより騒音として感知されると考えられている。しかし、このような音波のうち、騒音として人の耳に感知されるのは数10Hzから20kHz 程度までの周波数範囲の音波であり、特に1〜2kHz でピークをとることが知られている。鉄心から発生する騒音は鉄心振動の加速度に対応するとの見地(電気学会技術報告(I) 部第101 号参照)から、このような人の聴覚特性を考慮に入れた振動加速度を騒音の指標に用いることができる。この振動加速度スペクトルは、次のような表式によって得られる(MKSA 単位系) 。
磁歪振動加速度のスペクトル強度pn は、周波数fn 、磁歪高調波成分λn 、Aスケール聴感補正係数γn (JIS C 1502に規定) を用いて
【数3】
と表される。この式による聴感補正振動加速度高調波成分pn を用いて、加速度振動レベルp(単位:dB) は、
【数4】
で表される。ここで、po は基準加速度振動である。
【0014】
(2) 式によって定義された加速度振動レベルpは、各調波成分のエネルギー和に比例することがわかる。一般に磁歪の高調波成分は周波数の増大とともに単調に減少する傾向にある。Aスケール聴感補正係数γn は周波数増大とともに増大した後、先述のように1〜2kHz でピークをとった後漸減する。また、fn 2 は単調増加する。これらの周波数特性から、それらの積である加速度振動高調波成分は結果として数100Hz 程度で最大値をとることになる。すなわち、騒音レベルに対応すると考えられる加速度振動レベルpは、数100 Hz程度の磁歪高調波成分の影響を最も強く受けることになる。
【0015】
一例として、磁歪測定装置によって検出した磁歪振動信号をスペクトラムアナライザーにより解析して得た方向性電磁鋼板の磁歪高調波成分及び加速度振動高調波成分の実測例を図2に示す。ここで振動成分λn としては磁歪振動値そのものを用いた。測定試料としては先述の方法によって作成した種々の<Δ|θ|/d>レベルを有する鋼板を用いた。同図から明らかに、<Δ|θ|/d>の値が大きいほど磁歪高調波成分が大きく、その結果加速度振動高調波成分が大きくなることがわかる。
【0016】
この発明は上述のように騒音レベルと強く相関する加速度振動高調波成分量が、圧延方向に直交する方向に隣接する結晶粒間の結晶方位差及び結晶粒重心間の圧延方向に直交する方向にとった距離に強く関係することを見いだしたことに基づく。このような隣接結晶粒間の結晶方位差が大きいと、磁歪振動に局所的な位相差が生じ、その分布が局所的な応力を発生させ、鋼板の振動に高調波成分をより発生させやすくなるものと考えられる。
【0017】
以上のように、Δ|θ|と、dとの比の鋼板全体における平均値<Δ|θ|/d>が小さい場合に鉄損が低くかつ騒音が低くなることを新たに知見してこの発明を完成させた。
すなわちこの発明は、
方向性電磁鋼板を積層してなる積鉄心であって、前記方向性電磁鋼板として、次式で定義される量
【数5】
ここに、θi は2次再結晶iの最も鋼板面に近い〔001〕軸方向が鋼板面となす角度(単位:度)、|θi |はその絶対値、xi は2次再結晶粒iの重心の圧延方向と直交する方向における位置(単位:cm) 、和は圧延方向と直交する方向に隣接する結晶粒のペアijすべてについての和、Nはペアijの総数、
が1.0 °/cm以下を満足する鋼板部分により構成されることを特徴とする積鉄心である(第1発明)。
また、方向性電磁鋼板を積層してなる積鉄心であって、前記方向性電磁鋼板として、次式で定義される量
【数6】
ここに、θm は圧延方向及び圧延方向と直交する方向に平行な一定間隔の直線群で構成される格子点mにおいて、最も鋼板面に近い〔001〕軸方向が鋼板面となす角度(単位:度)、|θm |はその絶対値、和は圧延方向と直行する方向に隣接する格子点のペアmnすべてについての和、Nはペアmnの総数、l(単位:cm) は平均結晶粒径を超えない圧延方向に平行な直線群の間隔、
が1.5 °/l以下を満足する鋼板部分により構成されること(第2発明)によって、第1発明とほぼ同等の有利な結果をより簡便な判別法により得ることができる。
さらに、前記方向性電磁鋼板が1.85T以上のB8 を有すること(第3発明)、また前記方向性電磁鋼板が磁区細分化処理を施されたものとすること(第4発明)により、さらに有利な結果を得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
この発明の積鉄心の素材となる方向性電磁鋼板を製造する方法は特に限定されないが、得られた製品は上記条件を満たすことが肝要である。従って、以下に示す製造方法が推奨される。
すなわち、方向性電磁鋼板用スラブを熱間圧延し、その後必要に応じて熱延板焼鈍を行なった後、1回又は中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚とし、その後脱炭焼鈍に続いて最終仕上げ焼鈍を施した後、通常上塗りコーティングを施して方向性電磁鋼板とする。
【0019】
この発明の成分組成範囲は従来公知のものいずれもが適合するが、代表組成を掲げると次のとおりである。
C:0.01〜0.10wt%(以下、単に「%」と表す。);
Cは、熱間圧延、冷間圧延中の組織の均一微細化のみならず、ゴス方位の発達に有用な成分であり、少なくとも0.01%以上の含有が望ましい。しかしながら0.10%を超えて含有されるとかえって脱炭が困難となりゴス方位に乱れが生じるので、上限は0.10%程度とすることが好ましい。
Si:2.0 〜4.5 %;
Siは、鋼板の比抵抗を高め、鉄損の低減に有効に寄与するが、4.5 %を上回ると冷延性が損なわれ、一方2.0 %に満たないと比抵抗が低下するだけでなく、2次再結晶・純化のために行われる最終高温焼鈍中にα−γ変態によって結晶方位のランダム化をもたらし、十分な焼鈍効果が得られないので、Si量は2.0 〜4.5 %程度とすることが好ましい。
Mn:0.02 〜0.12%;
Mnは、熱間脆化を防止するために少なくとも0.02%程度を必要とするが、あまりに多すぎると磁気特性を劣化させるので、上限は0.12%程度に定めることが好ましい。
【0020】
インヒビターとしては、いわゆるMnS,MnSe系とAlN 系とがある。
MnS 、MnSe系の場合は、
Se、Sのうちから選ばれる少なくとも1種:0.005 〜0.06%;
Se、Sはいずれも、方向性電磁鋼板の2次再結晶を制御するインヒビターとして有力な成分である。抑制力確保の観点からは、少なくとも0.005 %程度を必要とするが、0.06%を超えるとその効果が失われるので、その下限、上限はそれぞれ0.01%、0.06%程度とすることが好ましい。
【0021】
AlN 系の場合は、
Al:0.005 〜0.10%、N:0.004 〜0.015 %;
Al及びNの範囲についても、上述したMnS 、MnSe系の場合と同様な理由により、上記の範囲を定めることが好ましい。
ここに、上記したMnS 、MnSe系及びAlN 系は併用が可能である。
インヒビター成分としては、上記したS、Se、Alの他、Cu、Sn、Cr、Ge、Sb、Mo、Te、Bi及びPなども有用に適合するので、それぞれ少量併せて含有させることもできる。ここに、上記成分の好適添加範囲はそれぞれ、Cu、Sn、Cr:0.01〜0.15%、Ge、Sb、Mo、Te、Bi:0.005 〜0.1 %、P:0.01〜0.2 %であり、これらの各インヒビター成分についても、単独使用及び複合使用いずれもが可能である。
【0022】
上記のような成分組成になる鋼に、前述した製造工程を適切に制御することにより、2次再結晶後の結晶粒組織に高度に配向性を付与することができ、その結果、高いB8(800A/m における磁束密度)を得ることができるが、この発明の目的からはB8が1.85T 以上であることがより望ましい。その理由は、1.85T に満たない場合には隣接結晶粒間の方位差が大きく、<|Δθ|/d>を1.0 ゜/cm以下にすることが極めて困難になるためである。
【0023】
第4発明において、鋼板に磁区細分化処理を施すことにより鉄損を低減する方法としては、最終仕上げ焼鈍の前後のいずれかの工程において、線状溝又は高転位密度域を導入する方法がある。線状溝の形成は、局所的にエッチング処理する方法、刃物でけがく方法、突起付ロールで圧延する方法などが挙げられるが、騒音増大の原因となる歪を導入しない点で最も望ましいのは、最終冷間圧延後の鋼板に印刷などによりエッチングレジストを付着させた後、非付着域に電解エッチングなどの処理により線状溝を形成する方法である。また、高転位密度域を形成する場合においても、その形成方法は特に限定されず、工業化の容易性から、例えばプラズマ炎を照射する方法や、レーザー光を照射する方法などが適用可能であるが、鋼板表面状態の影響を受けにくい点、及び絶縁被膜を破壊せずコーティングの必要性がないことから、プラズマ炎を照射する方法が最も推奨される。
【0024】
次に、上記線状溝及び高転位密度域について、より具体的に説明する。
磁区細分化方法として線状溝を形成する場合において、以下の条件を満たすことが低鉄損を得る上で有利である。すなわち、線状溝の圧延方向の平均間隔は1〜30mmとすることが低鉄損を得る上でより有利である。溝の幅は0.030 〜0.30mm、溝の深さは0.010 〜0.070 mm、圧延方向と直交する向きに対する線状溝の傾斜角度は30゜以下であることが低鉄損と高磁束密度を安定して得る上でより好ましい。
【0025】
また、磁区細分化方法として局所的な高転位密度域を導入する方法を採用する場合には、以下の条件を満たすことが低鉄損を得る上で有利である。すなわち、高転位密度域の圧延方向の平均間隔は1〜30mmとすることが有利である。また、高転位密度域の幅は0.030 〜1.0 mm、高転位密度域の深さは0.01mm以上、圧延方向と直交する無機に対する高転位密度域の傾斜角度は30゜以下であることが低鉄損と高磁束密度を安定して得る上でより好ましい。
【0026】
【実施例】
(実施例1)
Al、Mn、Se、及びSbをインヒビターとして微量含有するけい素鋼スラブを、方向性電磁鋼板の通常の製造工程に従って熱間圧延及び中間焼鈍を含む2回の冷間圧延を経て0.23mm厚の最終冷延板とし、脱炭焼鈍及び仕上げ焼鈍を施した後、張力コーティングの塗布・焼き付けを施した。仕上げ焼鈍は、通常の製造工程に従って焼鈍分離剤を塗布した後、種々の曲率半径でコイルに巻き取って焼鈍を施した。
【0027】
このようにして得られた数コイルの鋼板を150 mm幅にスリットした後、各所から試料を抽出し、マクロエッチングを施して結晶粒界を確定し、X線回折法により結晶粒方位を測定して<Δ|θ|/d>の値を求めた。また同時に、鋼板表面に圧延方向及び圧延直角方向に1cm間隔のメッシュを描き、l=1cmでの<Δ|θ|>を求めた。
【0028】
この抽出試料を含む連続した鋼板部分を斜角切断し、約100 kgの鋼板を積層して脚断面が矩形の3相積鉄心を組立てた。1次・2次巻線を施し、周波数50Hzで所定の磁束密度に励磁して鉄心の無負荷損失及び騒音レベルを測定した結果を表2中に示す。同表から明らかなように、<Δ|θ|/d>の値が1.0 ゜/cmである場合、また、<Δ|θ|/l>の値が1.5 ゜/l以下、即ちこの場合(l=1cm)<Δ|θ|>の値が1.5 ゜以下である場合に、鉄損・騒音ともに低い結果となった。
【0029】
【表2】
【0030】
(実施例2)
Al、Mn、Se、及びSbをインヒビターとして微量含有するけい素鋼スラブを、方向性電磁鋼板の通常の製造工程に従って熱間圧延及び中間焼鈍を含む2回の冷間圧延を経て0.23mm厚の最終冷延板とした後、グラビアオフセット印刷によりエッチングレジスタ剤を塗布し、続いて電解エッチングにより、幅0.15mm、深さ0.020 mmの線状溝を、圧延方向と直交する向きに対する傾斜角度10゜、圧延方向の間隔3mmとして鋼板面に形成し、アルカリ溶液中でレジスタ剤を剥離した。その後、脱炭焼鈍及び仕上げ焼鈍を施した後、張力コーティングの塗布・焼き付けを施した。仕上げ焼鈍は、通常の製造工程に従って焼鈍分離剤を塗布した後、種々の曲率半径でコイルに巻き取って焼鈍を施した。
【0031】
このようにして得られた数コイルの鋼板を150 mm幅にスリットした後、各所から試料を抽出し、マクロエッチングを施して結晶粒界を確定し、X線回折法により結晶粒方位を測定して<Δ|θ|/d>の値を求めた。
【0032】
この抽出試料を含む連続した鋼板部分を斜角切断し、約100 kgの鋼板を積層して脚断面が矩形の3相積鉄心を組立てた。1次・2次巻線を施し、周波数50Hzで所定の磁束密度に励磁して鉄心の無負荷損失及び騒音レベルを測定した結果を表3中に示す。同表から明らかなように、<Δ|θ|/d>の値が1.0 ゜/cm以下である場合に、鉄損が低くかつ騒音が低い結果となった。
【0033】
【表3】
【0034】
【発明の効果】
この発明による積鉄心は、低鉄損を維持しつつ騒音を低減することができるため、変圧器、特に積鉄心変圧器の効率及び環境適合性の向上に大きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】仕上げ焼鈍後の2次再結晶粒組織における圧延方向と直交する向きの結晶粒重心間の距離の決め方を示す図である。
【図2】磁歪高調波成分と<Δ|θ|/d>との関係を示す図である。
【図3】聴感補正振動加速度高調波成分と<Δ|θ|/d>との関係を示す図である。
【符号の説明】
1,2,3,4,5,6,7 結晶粒
Claims (4)
- 前記方向性電磁鋼板が1.85T以上のB8 を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の積鉄心。
- 前記方向性電磁鋼板が磁区細分化処理を施されたものである請求項1、2又は3に記載の積鉄心。
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