JPH1192889A - 低鉄損低騒音方向性電磁鋼板 - Google Patents
低鉄損低騒音方向性電磁鋼板Info
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Abstract
減させた方向性電磁鋼板を提案する。 【解決手段】 仕上げ焼鈍済の方向性電磁鋼板におい
て、次式で定義される量 【数1】ここに、θi は2次再結晶iの最も鋼板面に近
い〔001〕軸方向が鋼板面となす角度(単位:度)、
|θi |はその絶対値、xi は2次再結晶粒iの重心の
圧延方向と直交する方向における位置(単位:cm) 、和
は圧延方向と直交する方向に隣接する結晶粒のペアij
すべてについての和、Nはペアijの総数、が1.0 °/
cm以下である方向性電磁鋼板。
Description
発生騒音レベルを有する変圧器などの電力機器の鉄心に
用いて好適な低鉄損・低騒音の方向性電磁鋼板に関す
る。
心材料として用いられ、その磁気特性が良好であること
が要求される。特に鉄心として使用した場合のエネルギ
ー損失、すなわち鉄損が低いことが重要である。そこで
従来、鉄損を低減させるために、結晶方向を(110)
〔001〕方位に高度に揃えること、Si含有量を高めて
鋼板の電気抵抗を増加させること、不純物を低減させる
こと、そして板厚を薄くことことなど種々の試みがなさ
れてきた。その結果、板厚が0.23mm以下の鋼板では、鉄
損W17/50(最大磁束密度1.7 T で50Hzの周波数にて交番
磁化したときの鉄損)が0.9 W/kg以下のものが製造され
るようになったが、冶金学的な方法ではこれ以上の大幅
な鉄損の改善は期待できない。
手段として、人為的に磁区を細分化する方法が種々試み
られている。現在工業化されている方法のうち、特公昭
57−2252号公報に開示されている、鋼板表面にレーザー
を照射する方法や、特開昭62−96617 号公報に開示され
ている、鋼板表面にプラズマ炎を照射する方法がある。
これらの方法により得られた鋼板は、レーザービームや
プラズマ炎のもつ高密度のエネルギーにより導入された
局所的な高転位密度域を有し、この高転位密度域は180
°磁壁で分割された主磁区の細分化をもたらすため、鉄
損の低い鋼板が得られる。しかしながら、このようにし
て得られた鋼板においては、歪取り焼鈍により高転位密
度域が消失し、鉄損の劣化を来すため、歪取り焼鈍を必
須とする巻鉄心には用いることができないという欠点が
あった。
化方法として、鋼板への溝形成を行う方法が種々提案さ
れた。例えば、最終仕上げ焼鈍後すなわち2次再結晶後
の鋼板に局所的に溝を形成し、溝部に発生した磁極の効
果によって磁区を細分化する方法があり、この溝の形成
手段としては、特公昭50−35679 号公報に開示されてい
る機械的な加工や、特開昭63−76819 号公報に開示され
ている、レーザー光照射により絶縁被膜及び下地被膜を
局所的に除去した後電解エッチングするなどの方法があ
る。また特公昭62−53579 号公報には、歯車型ロールで
圧刻後歪取り焼鈍することにより溝及び微細粒を形成し
て磁区細分化を達成する方法が、特開昭59−197520号公
報には、最終仕上げ焼鈍前の鋼板に溝を形成する方法
が、それぞれ開示されている。
うな磁区細分化処理を施された方向性電磁鋼板は、優れ
た鉄損特性を示すが、更に鉄損値を改善しようとすると
積鉄心構成後の騒音値が上昇するという問題点があっ
た。例えば、仕上げ焼鈍済の鋼板表面にレーザー等を照
射する方法による磁区細分化処理を施した鋼板では、鉄
心組立後の騒音値が増大する場合があり、また歯車ロー
ル等によって線状の溝を局所的に形成する方法による鋼
板では磁気飽和に近い1.8 T 以上の磁束密度では騒音値
が高くなる傾向があった。また、これらの磁区細分化処
理を施さない通常の素材においても、積鉄心構成後の騒
音値の低減が可能な素材については、2次最結晶粒の方
位を集積させるなどの鉄損低減と軌を一にする一般的な
方策がとられたに過ぎず、騒音値の低減に課題を特定し
た充分な検討は行われなず、また、十分な成果も得られ
ていなかった。
起因のものには、鉄心素材である方向性電磁鋼板の磁歪
に由来する磁歪振動や、鉄心接合部や層間に発生する磁
極間の磁気的吸引・反発力に由来する磁気振動があると
されている。このような騒音発生原因となる鉄心の振動
を抑制するためには、鉄心素材である方向性電磁鋼板の
結晶粒組織を適正に制御することにより磁歪振動や磁極
間の磁気的吸引・反発力に起因する振動を低減すること
が重要である。この発明は、上記の問題点を有利に解決
することを目的としたもので、鉄損が低いと同時に騒音
の低い積鉄心について提案するものである。
ために、発明者らは最適な方向性電磁鋼板の結晶粒組織
について、実験的に種々検討した。すなわち、Al, Mn,
Se及びSbをインヒビターとして微量含有するけい素鋼ス
ラブを方向性電磁鋼板の通常の製造工程に従って熱間圧
延及び中間焼鈍を含む2回の冷間圧延を経て0.23mm厚の
最終冷延板とし、脱炭焼鈍を施した。
により、種々の間隔で圧延方向及び圧延方向と直交する
方向の直線群からなる桝目状にけがきを施した。このよ
うに脱炭焼鈍板に施したけがきは2次再結晶挙動に影響
を及ぼし、けがき位置に2次再結晶粒界が存在する確率
が統計的に高くなるため、けがき間隔を狭くするほど圧
延方向と直交する方向に測った結晶粒径は小さくなり、
その結果、圧延方向と直交する方向に相互隣接する結晶
粒の中心間の平均距離は小さくなる。このようにけがき
を施した鋼板に対し、MgO を主剤とする焼鈍分離剤を塗
布した後、仕上焼鈍を施し、さらに張力コーティングの
塗布・焼き付けを施した。
出し、マクロエッチングを施し、2次結晶粒組織におけ
る圧延方向と直交する方向に相互隣接する結晶粒の重心
間の距離dを全ての隣接結晶粒対について測定した。こ
の距離dは、図1に示すように、2個の結晶粒の重心を
通る圧延方向に平行な直線間の距離として定義した。た
だし、2つの結晶粒の重心間を結ぶ線分と圧延方向とが
なす角度φが30°に満たない場合は隣接結晶粒対から除
外した。また、外径が2mmに満たない結晶粒も除外し
た。同時にX線回折による結晶粒方位測定装置により2
次再結晶粒の最も圧延面に近い〔001〕軸方向が圧延
面となす角度θを計測し、角度θの結晶粒ごとの平均値
を算出した。次に、圧延方向と直交する方向に隣接する
結晶粒間での角度θの絶対値の差Δ|θ|を、圧延方向
と直交する方向に隣接する結晶粒対ごとに算出した。さ
らに、このようにして測定されたΔ|θ|と、dとの比
を各条件の鋼板試料全体において平均し、平均値<Δ|
θ|/d>を求めた。
Δ|θ|/d>が種々の異なる値を有する鋼板を斜角切
断し、約20kgの鋼板を積層して脚断面を矩形とした単相
積鉄心を組立て、1次・2次巻線を施し、所定の磁束密
度に励磁して鉄心の無付加損失及び騒音レベルを測定し
た。騒音値はコンデンサー型の精密騒音計を用い、脚部
中央から300 mmの距離における測定値のエネルギー平均
値をとり、暗騒音補正を施した。その測定結果をΔ|θ
|とdとの比の鋼板全体における平均値<Δ|θ|/d
>とともに表1中に示す。同表から明らかなように、<
Δ|θ|/d>が1.0 °/cm以下である場合に、鉄損が
低くかつ騒音が低い結果となった。
向が圧延面となす角度θの結晶粒における平均値の、圧
延方向と直交する方向に隣接する結晶粒間における絶対
値の差Δ|θ|と、該隣接結晶粒の重心間の圧延方向と
直交する方向における距離dとの比の鋼板全体における
平均値<Δ|θ|/d>が小さいほど積鉄心組立後の騒
音が低くなる理由については、以下のように考えること
ができる。
磁歪振動が主たるものの一つであり、その振動が変圧器
の外部にまで音波として伝播されることにより騒音とし
て感知されると考えられている。しかし、このような音
波のうち、騒音として人の耳に感知されるのは数10Hzか
ら20kHz 程度までの周波数範囲の音波であり、特に1〜
2kHz でピークをとることが知られている。鉄心から発
生する騒音は鉄心振動の加速度に対応するとの見地(電
気学会技術報告(I) 部第101 号参照)から、このような
人の聴覚特性を考慮に入れた振動加速度を騒音の指標に
用いることができる。この振動加速度スペクトルは、次
のような表式によって得られる(MKSA 単位系) 。磁歪振
動加速度のスペクトル強度pn は、周波数fn 、磁歪高
調波成分λn 、Aスケール聴感補正係数γn (JIS C 15
02に規定) を用いて
分pn を用いて、加速度振動レベルp(単位:dB) は、
ルpは、各調波成分のエネルギー和に比例することがわ
かる。一般に磁歪の高調波成分は周波数の増大とともに
単調に減少する傾向にある。Aスケール聴感補正係数γ
n は周波数増大とともに増大した後、先述のように1〜
2kHz でピークをとった後漸減する。また、fn 2 は単
調増加する。これらの周波数特性から、それらの積であ
る加速度振動高調波成分は結果として数100Hz 程度で最
大値をとることになる。すなわち、騒音レベルに対応す
ると考えられる加速度振動レベルpは、数100 Hz程度の
磁歪高調波成分の影響を最も強く受けることになる。
た磁歪振動信号をスペクトラムアナライザーにより解析
して得た方向性電磁鋼板の磁歪高調波成分及び加速度振
動高調波成分の実測例を図2に示す。ここで振動成分λ
n としては磁歪振動値そのものを用いた。測定試料とし
ては先述の方法によって作成した種々の<Δ|θ|/d
>レベルを有する鋼板を用いた。同図から明らかに、<
Δ|θ|/d>の値が大きいほど磁歪高調波成分が大き
く、その結果加速度振動高調波成分が大きくなることが
わかる。
相関する加速度振動高調波成分量が、圧延方向に直交す
る方向に隣接する結晶粒間の結晶方位差及び結晶粒重心
間の圧延方向に直交する方向にとった距離に強く関係す
ることを見いだしたことに基づく。このような隣接結晶
粒間の結晶方位差が大きいと、磁歪振動に局所的な位相
差が生じ、その分布が局所的な応力を発生させ、鋼板の
振動に高調波成分をより発生させやすくなるものと考え
られる。
板全体における平均値<Δ|θ|/d>が小さい場合に
鉄損が低くかつ騒音が低くなることを新たに知見してこ
の発明を完成させた。すなわちこの発明は、仕上げ焼鈍
済の方向性電磁鋼板において、次式で定義される量
01〕軸方向が鋼板面となす角度(単位:度)、|θi
|はその絶対値、xi は2次再結晶粒iの重心の圧延方
向と直交する方向における位置(単位:cm) 、和は圧延
方向と直交する方向に隣接する結晶粒のペアijすべてに
ついての和、Nはペアijの総数、が1.0 °/cm以下であ
ることを特徴とする低鉄損低騒音方向性電磁鋼板である
(第1発明)。また、仕上げ焼鈍済の方向性電磁鋼板に
おいて、次式で定義される量
平行な一定間隔の直線群で構成される格子点mにおい
て、最も鋼板面に近い〔001〕軸方向が鋼板面となす
角度(単位:度)、|θm |はその絶対値、和は圧延方
向と直交する方向に隣接する格子点のペアmnすべてにつ
いての和、Nはペアmnの数数、l(単位:cm)は平均結晶粒
径を超えない圧延方向に平行な直線群の間隔、が1.5 °
/l以下であること(第2発明)によって、第1発明と
ほぼ同等の有利な結果をより簡便な判別法により得るこ
とができる。さらに、前記仕上げ焼鈍済の方向性電磁鋼
板が1.85T以上のB8 を有すること(第3発明)、また
仕上げ焼鈍前後の工程において方向性電磁鋼板に磁区細
分化処理を施すこと(第4発明)により、さらに有利な
結果を得ることができる。
する方法は特に限定されないが、得られた製品は上記条
件を満たすことが肝要である。従って、以下に示す製造
方法が推奨される。すなわち、方向性電磁鋼板用スラブ
を熱間圧延し、その後必要に応じて熱延板焼鈍を行なっ
た後、1回又は中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延によ
り最終製品板厚とし、その後脱炭焼鈍に続いて最終仕上
げ焼鈍を施した後、通常上塗りコーティングを施して製
品とする。
いずれもが適合するが、代表組成を掲げると次のとおり
である。 C:0.01〜0.10wt%(以下、単に「%」と表す。);C
は、熱間圧延、冷間圧延中の組織の均一微細化のみなら
ず、ゴス方位の発達に有用な成分であり、少なくとも0.
01%以上の含有が望ましい。しかしながら0.10%を超え
て含有されるとかえって脱炭が困難となりゴス方位に乱
れが生じるので、上限は0.10%程度とすることが好まし
い。 Si:2.0 〜4.5 %;Siは、鋼板の比抵抗を高め、鉄損の
低減に有効に寄与するが、4.5 %を上回ると冷延性が損
なわれ、一方2.0 %に満たないと比抵抗が低下するだけ
でなく、2次再結晶・純化のために行われる最終高温焼
鈍中にα−γ変態によって結晶方位のランダム化をもた
らし、十分な焼鈍効果が得られないので、Si量は2.0 〜
4.5%程度とすることが好ましい。 Mn:0.02 〜0.12%;Mnは、熱間脆化を防止するために少
なくとも0.02%程度を必要とするが、あまりに多すぎる
と磁気特性を劣化させるので、上限は0.12%程度に定め
ることが好ましい。
系とAlN 系とがある。MnS 、MnSe系の場合は、Se、Sの
うちから選ばれる少なくとも1種:0.005 〜0.06%;S
e、Sはいずれも、方向性電磁鋼板の2次再結晶を制御
するインヒビターとして有力な成分である。抑制力確保
の観点からは、少なくとも0.005 %程度を必要とする
が、0.06%を超えるとその効果が失われるので、その下
限、上限はそれぞれ0.01%、0.06%程度とすることが好
ましい。
の範囲についても、上述したMnS 、MnSe系の場合と同様
な理由により、上記の範囲を定めることが好ましい。こ
こに、上記したMnS 、MnSe系及びAlN 系は併用が可能で
ある。インヒビター成分としては、上記したS、Se、Al
の他、Cu、Sn、Cr、Ge、Sb、Mo、Te、Bi及びPなども有
用に適合するので、それぞれ少量併せて含有させること
もできる。ここに、上記成分の好適添加範囲はそれぞ
れ、Cu、Sn、Cr:0.01〜0.15%、Ge、Sb、Mo、Te、Bi:
0.005 〜0.1 %、P:0.01〜0.2 %であり、これらの各
インヒビター成分についても、単独使用及び複合使用い
ずれもが可能である。
た製造工程を適切に制御することにより、2次再結晶後
の結晶粒組織に高度に配向性を付与することができ、そ
の結果、高いB8(800A/m における磁束密度)を得るこ
とができるが、この発明の目的からはB8が1.85T 以上で
あることがより望ましい。その理由は、1.85T に満たな
い場合には隣接結晶粒間の方位差が大きく、<|Δθ|
/d>を1.0 ゜/cm以下にすることが極めて困難になる
ためである。
を施すことにより鉄損を低減する方法としては、最終仕
上げ焼鈍の前後のいずれかの工程において、線状溝又は
高転位密度域を導入する方法がある。線状溝の形成は、
局所的にエッチング処理する方法、刃物でけがく方法、
突起付ロールで圧延する方法などが挙げられるが、騒音
増大の原因となる歪を導入しない点で最も望ましいの
は、最終冷間圧延後の鋼板に印刷などによりエッチング
レジストを付着させた後、非付着域に電解エッチングな
どの処理により線状溝を形成する方法である。また、高
転位密度域を形成する場合においても、その形成方法は
特に限定されず、工業化の容易性から、例えばプラズマ
炎を照射する方法や、レーザー光を照射する方法などが
適用可能であるが、鋼板表面状態の影響を受けにくい
点、及び絶縁被膜を破壊せずコーティングの必要性がな
いことから、プラズマ炎を照射する方法が最も推奨され
る。
て、より具体的に説明する。磁区細分化方法として線状
溝を形成する場合において、以下の条件を満たすことが
低鉄損を得る上で有利である。すなわち、線状溝の圧延
方向の平均間隔は1〜30mmとすることが低鉄損を得る上
でより有利である。溝の幅は0.030 〜0.30mm、溝の深さ
は0.010 〜0.070 mm、圧延方向と直交する向きに対する
線状溝の傾斜角度は30゜以下であることが低鉄損と高磁
束密度を安定して得る上でより好ましい。
位密度域を導入する方法を採用する場合には、以下の条
件を満たすことが低鉄損を得る上で有利である。すなわ
ち、高転位密度域の圧延方向の平均間隔は1〜30mmとす
ることが有利である。また、高転位密度域の幅は0.030
〜1.0 mm、高転位密度域の深さは0.01mm以上、圧延方向
と直交する無機に対する高転位密度域の傾斜角度は30゜
以下であることが低鉄損と高磁束密度を安定して得る上
でより好ましい。
微量含有するけい素鋼スラブを、方向性電磁鋼板の通常
の製造工程に従って熱間圧延及び中間焼鈍を含む2回の
冷間圧延を経て0.23mm厚の最終冷延板とし、脱炭焼鈍及
び仕上げ焼鈍を施した後、張力コーティングの塗布・焼
き付けを施した。仕上げ焼鈍は、通常の製造工程に従っ
て焼鈍分離剤を塗布した後、種々の曲率半径でコイルに
巻き取って焼鈍を施した。
150 mm幅にスリットした後、各所から試料を抽出し、マ
クロエッチングを施して結晶粒界を確定し、X線回折法
により結晶粒方位を測定して<Δ|θ|/d>の値を求
めた。また同時に、鋼板表面に圧延方向及び圧延直角方
向に1cm間隔のメッシュを描き、l=1cmでの<Δ|θ
|>を求めた。
角切断し、約100 kgの鋼板を積層して脚断面が矩形の3
相積鉄心を組立てた。1次・2次巻線を施し、周波数50
Hzで所定の磁束密度に励磁して鉄心の無負荷損失及び騒
音レベルを測定した結果を表2中に示す。同表から明ら
かなように、<Δ|θ|/d>の値が1.0 ゜/cmである
場合、また、<Δ|θ|/l>の値が1.5 ゜/l以下、
即ちこの場合(l=1cm)<Δ|θ|>の値が1.5 ゜以
下である場合に、鉄損・騒音ともに低い結果となった。
ビターとして微量含有するけい素鋼スラブを、方向性電
磁鋼板の通常の製造工程に従って熱間圧延及び中間焼鈍
を含む2回の冷間圧延を経て0.23mm厚の最終冷延板とし
た後、グラビアオフセット印刷によりエッチングレジス
タ剤を塗布し、続いて電解エッチングにより、幅0.15m
m、深さ0.020 mmの線状溝を、圧延方向と直交する向き
に対する傾斜角度10゜、圧延方向の間隔3mmとして鋼板
面に形成し、アルカリ溶液中でレジスタ剤を剥離した。
その後、脱炭焼鈍及び仕上げ焼鈍を施した後、張力コー
ティングの塗布・焼き付けを施した。仕上げ焼鈍は、通
常の製造工程に従って焼鈍分離剤を塗布した後、種々の
曲率半径でコイルに巻き取って焼鈍を施した。
150 mm幅にスリットした後、各所から試料を抽出し、マ
クロエッチングを施して結晶粒界を確定し、X線回折法
により結晶粒方位を測定して<Δ|θ|/d>の値を求
めた。
角切断し、約100 kgの鋼板を積層して脚断面が矩形の3
相積鉄心を組立てた。1次・2次巻線を施し、周波数50
Hzで所定の磁束密度に励磁して鉄心の無負荷損失及び騒
音レベルを測定した結果を表3中に示す。同表から明ら
かなように、<Δ|θ|/d>の値が1.0 ゜/cm以下で
ある場合に、鉄損が低くかつ騒音が低い結果となった。
低鉄損を維持しつつ騒音を低減することができるため、
変圧器、特に積鉄心変圧器の効率及び環境適合性の向上
に大きく寄与する。
方向と直交する向きの結晶粒重心間の距離の決め方を示
す図である。
示す図である。
d>との関係を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 仕上げ焼鈍済の方向性電磁鋼板におい
て、次式で定義される量 【数1】 ここに、θi は2次再結晶iの最も鋼板面に近い〔00
1〕軸方向が鋼板面となす角度(単位:度)、|θi |
はその絶対値、xi は2次再結晶粒iの重心の圧延方向
と直交する方向における位置(単位:cm) 、和は圧延方
向と直交する方向に隣接する結晶粒のペアijすべてに
ついての和、Nはペアijの総数、が1.0 °/cm以下で
あることを特徴とする低鉄損低騒音方向性電磁鋼板。 - 【請求項2】 仕上げ焼鈍済の方向性電磁鋼板におい
て、次式で定義される量 【数2】 ここに、θm は圧延方向及び圧延方向と直交する方向に
平行な一定間隔の直線群で構成される格子点mにおい
て、最も鋼板面に近い〔001〕軸方向が鋼板面となす
角度(単位:度)、|θm |はその絶対値、和は圧延方
向と直行する方向に隣接する格子点のペアmnすべてに
ついての和、Nはペアmnの総数、l(単位:cm) は平
均結晶粒径を超えない圧延方向に平行な直線群の間隔、
が1.5 °/l以下であることを特徴とする低鉄損低騒音
方向性電磁鋼板。 - 【請求項3】 前記仕上げ焼鈍済の方向性電磁鋼板が1.
85T以上のB8 を有することを特徴とする請求項1又は
2に記載の電磁鋼板。 - 【請求項4】 仕上げ焼鈍前後の工程における磁区細分
化処理を施してなる請求項1、2又は3に記載の電磁鋼
板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25829297A JP4258853B2 (ja) | 1997-09-24 | 1997-09-24 | 低鉄損低騒音積鉄心 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP25829297A JP4258853B2 (ja) | 1997-09-24 | 1997-09-24 | 低鉄損低騒音積鉄心 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH1192889A true JPH1192889A (ja) | 1999-04-06 |
JP4258853B2 JP4258853B2 (ja) | 2009-04-30 |
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ID=17318239
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25829297A Expired - Fee Related JP4258853B2 (ja) | 1997-09-24 | 1997-09-24 | 低鉄損低騒音積鉄心 |
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JP (1) | JP4258853B2 (ja) |
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1997
- 1997-09-24 JP JP25829297A patent/JP4258853B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP4258853B2 (ja) | 2009-04-30 |
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