JP4258364B2 - プリプレグの製造方法 - Google Patents

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本発明は、有機溶剤を実質的に使用することなく、プリプレグを製造する方法に関するものである。
一般に、プリント回路板に用いられるプリプレグは、熱硬化性樹脂等の樹脂成分を有機溶剤に溶解したワニスをガラスクロスなどの繊維基材に塗布し、加熱乾燥することにより得られる。従来、このような樹脂ワニスには、多量の有機溶剤が用いられてきた。これは、樹脂ワニスの調製やその後の取り扱いが容易であり、基材への塗布・含浸が均一に行えるという利点があるためである。しかし、有機溶剤はプリプレグ製造時の乾燥工程で蒸発させ、その多くは燃焼装置等で処理されるか、あるいは、そのまま大気中に放出されるため、地球温暖化や大気汚染の一因となることが指摘されるようになった。
このため、水分散タイプの樹脂液等、プリプレグ製造時の有機溶剤の使用量を削減する試みが種々検討されている(例えば、特許文献1参照)が、樹脂の基材への塗布が難しくなるなど製造上の問題や、基材への含浸性が低下するなど品質上の問題があった。
最近、積層板特性としての難燃性や低熱膨張率の要求が強くなっているが、これを満たす樹脂組成としてシアネート樹脂や、金属マイグレーションの原因となるボイドの発生を少なくするために含浸性のよい低分子量(低軟化点、低粘度)のエポキシ樹脂が検討されている。この様な樹脂を使用した組成においては、樹脂を粉末化して水に分散したスラリー、あるいは樹脂を液状にして水に分散したエマルジョンという単純な方法では、対応できない樹脂の組み合わせの場合もあり、改善すべき問題になっている。
この他に、例えば、低融点の樹脂や液状の樹脂を用い、これを他の成分と加熱溶融混合したものを基材へ塗工する方法(ホットメルト方式)が以前から行われているが、溶融時間が長くなると硬化が進むため、各成分の溶融混合、更には基材への塗布を短時間で行わなければならず、混合樹脂の均一性が不充分になることがある。また、生産時に温度低下による装置への樹脂固結、あるいは加熱による熱硬化性樹脂成分のゲル化などが発生しやすく、連続的な生産を行うにあたっては問題が多かった。
また、粉末状樹脂をそのまま塗布する方法も提案されているが、粒子径が数十〜数百μmの粉末状樹脂を用いた場合には、材料の均一な混合及び塗工が難しく、樹脂が部分的に硬化したり、基材への含浸が不充分になることがある。一方、さらに粒径の小さな粉末状樹脂を用いた場合は、かさ密度が低下し取り扱いが困難になり、微粒子化した材料が二次凝集を起こして均一分散性が低下するなどの問題があり、いずれの方法も実用化には至っていない。
一方、水性塗料に代表されるような水に可溶な樹脂を用いた場合には、基材への含浸性は有機溶剤を用いた場合とほぼ同等にできるが、プリント回路板用の積層板として要求される電気的特性・機械的特性等を満足することが困難であり、更に、これらの原材料を極めて限定された種類の範囲から選択せざるを得ず、有機溶剤を用いた場合と比較してコスト高になることが多い。
特開平09−316219号公報
本発明は、有機溶剤を実質的に使用しないで、従来の有機溶剤を使用した場合と同等の性能を有する積層板を得ることができるプリプレグの製造方法を提供するものである。
上記の課題は、以下の本発明(1)によって達成される。
(1)繊維基材と、前記繊維基材に担持された熱硬化性樹脂組成物とから構成されているプリプレグの製造方法において、軟化点の異なる2種以上の熱硬化性樹脂を含み、前記熱硬化性樹脂のうち、軟化点が100℃以下である固形樹脂を粉末にして水に分散したスラリーと、軟化点が40℃以下の液状の樹脂を水に分散したエマルジョンとをそれぞれ調製し、しかる後、これらを混合して水に分散した樹脂組成物とし、これを前記繊維基材に担持させることを特徴とするプリプレグの製造方法。
本発明のプリプレグの製造方法は、繊維基材に担持させる樹脂組成物として、複数の熱硬化性樹脂を、その軟化点により、固形樹脂を粉末状にし水に分散させたスラリーと、液状の樹脂、即ち、常温で液状の樹脂あるいは固形の樹脂(好ましくは、低軟化点の樹脂)を加熱等により液状にした樹脂を水に分散させたエマルジョンとを各々調製し、これを混合して水分散樹脂液とすることを特徴としている。これにより、有機溶剤を実質的に用いることなく、プリプレグを製造することができる。また、軟化点40℃以下の液状樹脂ないしは低軟化点樹脂を使用した場合、繊維基材のモノフィラメント間にも隙間なく樹脂を充填させたプリプレグを得ることができる。
また、本発明のプリプレグの製造方法は、有機溶剤を実質的に使用しないことから、省資源化、省エネルギー化、及び低コスト化が図られ、さらには作業環境の改善や大気汚染の低減にも寄与することができるものである。
以下に、本発明のプリプレグの製造方法について説明する。
本発明において、プリプレグは、繊維基材とこの繊維基材に担持された熱硬化性樹脂組成物とから構成されている。この樹脂組成物は、軟化点の異なる2種以上の熱硬化性樹脂を含むものであり、これらの樹脂をその軟化点により区分し、固形樹脂を粉末状にし水に分散させたスラリーと、液状の樹脂(常温で液状の樹脂または固形の樹脂を加熱等により液状にした樹脂)を水に分散させたエマルジョンとを、各々調製する。これらの樹脂は、いずれも軟化点が100℃以下であることが好ましく、かつ、繊維基材のモノフィラメント間に容易に含浸させるために軟化点40℃以下のものを一種以上含むことが好ましい。これにより、樹脂のスラリー化とエマルジョン化をそれぞれ通常の方法にて行うことができ、これらを混合したプリプレグ用水分散樹脂液を首尾よく調製することができる。
本発明は、繊維基材とこの繊維基材に担持された樹脂組成物とから構成されたプリプレグを製造するにあたって、軟化点の異なる2種以上の熱硬化性樹脂を含み、そのうち、液状の樹脂または低軟化点の樹脂を液状にして、乳化剤とともに水に分散してエマルジョンとし、その他の樹脂を粉末化し分散剤とともに水に分散してスラリーとし、これらを混合して水分散した樹脂組成物とし、必要により、無機フィラー、硬化剤、硬化促進剤、その他添加剤を配合し、次いで、前記繊維基材に担持させることが好ましい。これにより、有機溶剤を使用することなくプリプレグを製造できるので、有機溶剤の除去や処理に必要な工程を省くことができる。
本発明において、スラリーおよびエマルジョンを得るためにそれぞれ分散剤および乳化剤を用いる。以下、スラリーを得るための分散剤とエマルジョンを得るための乳化剤をま
とめて説明する場合、分散剤(乳化剤)と記す。分散剤(乳化剤)の含有量は、スラリー全体またはエマルジョン全体に対して0.5〜4重量%であることが好ましい。0.5重量%未満ではスラリーまたはエマルジョン化した樹脂が再凝集してしまうまでの時間が短いことがあり、4重量%より多いと、積層板の耐熱性、層間密着性に悪影響があることがあり、コストも高くなる。分散剤(乳化剤)としては、例えば、花王(株)製のエマルゲンシリーズ(ポリオキシエチレン誘導体など)やレオドールシリーズ(ソルビタン脂肪酸エステル型など)などがある。
上記エマルジョンを調製する方法は、特に限定されないが、例えば、40℃以下の軟化点を持つ樹脂では、必要により樹脂を加熱して低粘度化した上、乳化剤水溶液(または、水と乳化剤)を加え、ホモミキサー、ディスパーザー、クレアミックス等の公知の分散混合装置を用いて分散する方法を採用することができる。得られたエマルジョン粒子の平均粒径は30μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは10μm以下である。これにより、安定したエマルジョンとすることができる。
一方、上記スラリーを調製する方法は、特に限定されないが、例えば、100℃以下40℃以上の軟化点を持つ樹脂では、これをカウンタージェットミルやビーズミル等の公知の微粉砕装置を用いて粉砕し、その後、分散剤水溶液(または、水と分散剤)とともに攪拌混合しスラリー化する方法を採用することができる。得られたスラリー粒子の平均粒径は15μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは5μm以下である。これにより、安定したスラリーとすることができる。
次いで、これらのエマルジョンとスラリーとを混合して、水分散樹脂液を調製する。このようにして得られた樹脂液は、樹脂含有率が高くても低粘度にすることができ、有機溶剤を実質的に使用しないにもかかわらず、基材の繊維間へ樹脂が浸入しやすくなり、塗布含浸性に優れたものとすることができる。樹脂含有率が高いと、乾燥に費やすエネルギーを少なくすることができ、有機溶剤を使用しないことと併せて、環境への負荷を小さくすることができる。
本発明のプリプレグの製造方法において、上記水分散樹脂液をガラスクロス等の繊維基材に担持させる方法は、特に限定されないが、例えば、水分散樹脂液をスプレーノズルなどの噴射装置を用いて基材に噴射して塗工する方法、水分散樹脂液中に基材を浸漬する方法、ナイフコーター、コンマコーター等の各種コーターにより水分散樹脂液を基材に塗工する方法、あるいは、転写ロールにより水分散樹脂液を基材に転写する方法、などが挙げられる。
これらの中でも、水分散樹脂液をスプレーノズルなどの噴射装置を用いて基材に噴射して塗工する方法では、噴射装置により水分散樹脂液がエネルギーをもって基材に衝突するので、基材内への含浸性が向上して好ましい。
なお、噴射装置を用いて基材に噴射して塗工する方法や、水分散樹脂液中に基材を浸漬する方法などを適用する場合は、その方法のみによって行ってもよいし、担持する樹脂組成物量の調整やプリプレグ表面の平滑性を向上させるために、コンマコーター、ナイフコーター、スクイズロールなどを併せて用いることもできる。
本発明のプリプレグの製造方法では、以上のようにして樹脂組成物を基材に担持させた後、これを通常加熱乾燥する。これにより、水が実質的に全て蒸発するとともに、樹脂成分等が溶融して低粘度化し、基材繊維間に含浸したプリプレグを得ることができる。なお、必要に応じて樹脂成分が半硬化状態になるまでさらに熱を加えてもよい。加熱乾燥する条件としては特に限定されないが、通常100〜220℃、好ましくは120〜190℃
で2〜10分間行う。
また、プリプレグに担持させる樹脂組成物の量(固形分)は特に限定されないが、通常、プリプレグ(基材+樹脂組成物)全体に対して、40〜60重量%程度である。
以上に説明したように、本発明のプリプレグの製造方法は、繊維基材と、この基材に担持された樹脂組成物とから構成されたプリプレグにおいて、複数種の熱硬化性樹脂(例えば、複数種のエポキシ樹脂又はエポキシ樹脂とシアネート樹脂とを組み合わせ等)を用い、樹脂の軟化点に応じて予め別々に調製したエマルジョンとスラリーを混合して水分散樹脂液とし、必要により、無機フィラー、硬化剤、硬化促進剤、その他の添加剤を配合して、これを繊維基材に担持することを特徴としている。
本発明において、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂等であり、特に限定されない。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等があり、シアネート樹脂としてはノボラック型シアネート樹脂やそのプレポリマーなどが挙げられる。これにより、プリプレグ及び積層板として基本的に必要とされる耐燃性、低熱膨張性、耐熱性、機械的特性、電気的特性を付与することができる。好ましくは、エポキシ樹脂とシアネート樹脂とを含むものである。これにより前記特性を更に向上させることができる。
また、前記熱硬化性樹脂と共に、硬化剤や硬化促進剤を配合することができる。例えば、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合は、硬化剤として酸無水物化合物、アミン化合物、イミダゾール化合物、及びノボラック型フェノール樹脂等を用いることができ、硬化促進剤としては、イミダゾール化合物、第3級アミン化合物等を用いることができる。また、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂とシアネート樹脂である場合も、硬化促進剤としては、イミダゾール化合物、第3級アミン化合物等を用いることができる。

上記樹脂組成物に加えて必要により無機フィラーを配合することができる。無機フィラーは、通常水分散樹脂液にそのまま添加混合する。無機フィラーの配合により、プリプレグ及び積層板の特性を実質的に低下させることなく、積層板の熱膨張率の低下や耐熱性の向上とともに、プリプレグからの粉落ち性を防止させることができる。配合量としては特に限定されないが、樹脂およびフィラーを含む組成物全体100重量%(固形分)全体に対して、30〜80重量%であることが好ましく、更に好ましくは40〜70重量%である。配合量が前記下限値未満の場合は、耐燃性や熱膨張率を小さくするという効果が不十分となることがある。特に、積層板に搭載される部品の熱膨張との差が大きいと、熱サイクル試験等の信頼性に問題が発生することがある。一方、前記上限値を越えると、水分散樹脂液のチクソ性も大きくなり、塗布含浸性の低下やプリプレグあるいは積層板の外観が低下することがあり、積層板のドリル加工等の加工性が低下する傾向にある。また、相対的に樹脂の不足から耐熱性の低下などがみられることがある。
無機フィラーとしては、水酸化アルミニウム、カオリンクレー、ハイドロタルサイト、アタパルジャイト、セピオライト、マイカ、錫酸亜鉛、シリカ、コレマナイト、ブルーサイト、タルク、合成水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等があるが、低熱膨張率を維持するという理由から、シリカ及びタルクが好ましく、また、粒径は、水分散性を良好とするために0.2〜5μmが好ましい。従って、粒径0.2〜5μmのシリカ及びタルクが特に好ましい。かかる無機フィラーはカップリング剤で処理されたものが好ましいが、樹脂の中に予めカップリング剤を添加しておいてもよい。
このほか、本発明のプリプレグに用いられる樹脂組成物には、必要に応じて、消泡剤や
レベリング剤、酸化防止剤、界面活性剤、着色剤等の添加剤を配合することができる。
本発明のプリプレグにおいて使用される繊維基材は特に限定されないが、例えば、ガラス繊維、フッ素樹脂繊維、アラミド繊維等の織布あるいは不織布、紙・ガラス繊維不織布などがあり、これらの繊維チョップからなるマットなども使用することができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ここで記載されている「部」及び「%」は全て「重量部」及び「重量%」を示す。
実施例1
エポキシ樹脂としてビフェニル型エポキシ樹脂(NC−3000H、日本化薬(株)製、軟化点70℃)を使用し、シアネート樹脂としてノボラック型シアネート樹脂(Primaset、PT−30、ロンザジャパン(株)製、軟化点30℃)を使用した。
エポキシ樹脂は、ペレット状のものをフェザーミルで粗粉砕し、更に、カウンタージェットミルで平均粒径4μmに微粉砕した。この微粉砕したエポキシ樹脂100gと、分散剤として花王(株)製エマルゲンA−500(ポリオキシエチレンアリールエーテル型)の1gを純水50gに溶解した水溶液と混合し、ディスパーザーに40mm攪拌羽根にて、2000rpmで10分間攪拌混合しエポキシ樹脂濃度66.7%の水分散スラリーとした。
一方、シアネート樹脂は、オーブンで60℃に加温して溶融し、100gを秤量した。これを、乳化剤として花王(株)製エマルゲン123P(ポリオキシエチレンアルキルエーテル型)の5gを純水50gに溶解し90℃に加温した水溶液と混合し、70℃に保温しつつ、ディスパーザーに40mm攪拌羽根にて、6000rpmで10分間攪拌混合し、その後2000rpmで攪拌しながら25℃まで冷却し、平均粒径7μmでシアネート樹脂濃度66.7%の水系エマルジョンを得た。
これらのスラリーとエマルジョンを1対1の割合で混合し、樹脂濃度66.7%の水分散樹脂液とした。次いで、この水分散樹脂液の樹脂分100gに対して硬化促進剤としてイミダゾール化合物(2PHZ・PW、四国化成(株)製)1.1g、フィラーとしてカップリング剤処理したシリカ(アドマファインSC2500−SE、アドマテックス(株)製、平均粒径0.5μm)150gを配合して、含浸用樹脂液とした。
このワニスをガラスクロス(日東紡績(株)製、WE116E−S136、厚み100μm)にスプレーの方法にて塗布し、170℃で5分間加熱乾燥してプリプレグを得た。プリプレグ中の樹脂液固形分は50重量%であった。
実施例2
実施例1と同様にしてエポキシ樹脂の水分散スラリーおよびシアネート樹脂の水系エマルジョンを調製した。これらのスラリーとエマルジョンを2対1の割合で混合し、樹脂濃度66.7%の水分散混合ワニスとした。次いで、水分散樹脂液の樹脂分100gに対して硬化促進剤としてイミダゾール化合物(2PHZ・PW)1.4g、フィラーとしてシリカ(アドマファインSC2500−SE)110gを配合して、含浸用樹脂液とした。このワニスを用いて実施例1と同様にしてプリプレグ中の樹脂液固形分50重量%のプリプレグを得た。
比較例1
エポキシ樹脂およびシアネート樹脂は、実施例1で使用したものと同じである。
これらを1対1の割合で用い、有機溶剤(メチルエチルケトン)に溶解して樹脂分50%のワニスとし、さらに樹脂固形分100g(ワニス200g)に対してイミダゾール化合物(2PHZ・PW)1.1g、シリカ(アドマファインSC2500−SE)150gを添加して含浸用ワニスを調製した。このワニスをガラスクロス(日東紡(株)製、WE116E−S136)に浸漬法にて塗布し、170℃で5分間加熱乾燥してプリプレグを得た。プリプレグ中のワニス固形分は50重量%であった。
比較例2
実施例1と同様に、エポキシ樹脂としてビフェニル型エポキシ樹脂(NC−3000H)を使用し、シアネート樹脂としてノボラック型シアネート樹脂(Primaset、PT−30)を使用した。これらの樹脂をそれぞれ粉砕しようとしたが、シアネート樹脂は融点が低いため、粉砕ができず、従って、乳化剤水溶液に分散した水分散スラリーを調製することができなかった。
比較例3
実施例1と同様に、エポキシ樹脂としてビフェニル型エポキシ樹脂(NC−3000H)を使用し、シアネート樹脂としてノボラック型シアネート樹脂(Primaset、PT−30)を使用した。これらの樹脂をそれぞれ加熱溶融し、実施例1と同様にして乳化剤水溶液に分散して水分散エマルジョンを調製しようとしたが、エポキシ樹脂は融点が高いため、水系エマルジョンとすることができなかった。
実施例1,2および比較例1で得られたプリプレグ1枚を使用し、これに厚み18μmの片面粗化銅箔(古河電工(株)製、GTS−MP18)を重ね、180℃、30kg/cmにて150分間加熱加圧することにより、熱硬化性樹脂の硬化を進めながら脱泡および成形を行い、銅張積層板を作製した。
含浸用樹脂液、プリプレグおよび積層板の特性を表1に示す。
Figure 0004258364
(測定方法)
含浸用樹脂液の保存性:含浸用樹脂液を20℃に保存し、樹脂液のゲル化時間(170℃熱盤法)が初期値の2分の1になるまでの日数を5日ごとに測定した。
プリプレグ含浸性:プリプレグを光学顕微鏡(50倍)により観察し、ボイドの有無により含浸用樹脂液の含浸性を評価した。1cmあたりのボイドの数が3個以下を良好とした。
プリプレグ保存性:温度20℃、相対湿度40%の雰囲気内にプリプレグを置き、10日毎に上記の銅張積層板成形条件で成形を行い、銅箔をエッチングして成形性を確認した。
成形性の評価は、目視により積層板のボイドの有無を観察し、ボイドが生じるまでの日数を求めた。
積層板のはんだ耐熱性:50×50mmの試験片(10個)に対し、125℃、10時間のプレッシャー・クッカー吸湿処理を行った後、260℃半田浴に試験片を180秒間浮かべ、試験片に剥がれ、膨れが発生している確率を調べた。
銅箔引剥し強さ:巾10mmの試験片を用い、銅箔を直角に引き上げた時の剥し強さを測定した。
厚み方向熱膨潤率:熱膨張測定装置(TAインスツルメント社製)により昇温速度3℃/分で200℃まで測定した。
以上の結果から、実施例1および2においては、含浸用樹脂液は、有機溶剤を使用していないにもかかわらず、保存性、含浸性に優れており、プリプレグ特性、積層板特性も比較例1の従来法で得られた積層板と同等の特性を有している。
比較例2はスラリーのみ、比較例3はエマルジョンのみを調製しようとした場合であり、安定した水分散樹脂液を得ることはできなかった。
本発明のプリプレグの製造方法は、熱硬化性樹脂をその軟化点に応じてエマルジョンおよびスラリーとし、これらを混合して水分散樹脂液とすることを特徴とするものであり、有機溶剤を実質的に使用することなく、安定した水分散樹脂液を調製することができる。この樹脂液を繊維基材に担持させて得られたプリプレグを用いて作製した積層板は、従来法による積層板と同等の特性を有している。
また、本発明のプリプレグの製造方法は、有機溶剤を実質的に使用しないことから、省資源化、省エネルギー化、及び低コスト化が図られ、さらには作業環境の改善や大気汚染の低減にも寄与することができるものであり、プリント回路板、繊維強化プラスチック等のためのプリプレグの製造方法として極めて有用である。

Claims (1)

  1. 繊維基材と、前記繊維基材に担持された熱硬化性樹脂組成物とから構成されているプリプレグの製造方法において、軟化点の異なる2種以上の熱硬化性樹脂を含み、前記熱硬化性樹脂のうち、軟化点が100℃以下である固形樹脂を粉末にして水に分散したスラリーと、軟化点が40℃以下の液状の樹脂を水に分散したエマルジョンとをそれぞれ調製し、しかる後、これらを混合して水に分散した樹脂組成物とし、これを前記繊維基材に担持させることを特徴とするプリプレグの製造方法。
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