JP4258292B2 - 冷却装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は冷却装置に係わり、特に筐体内部に配設された中央処理装置(以下、CPU)等の発熱電子部品を冷媒を循環させて冷却する冷却装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近のコンピューターにおける高速化の動きはきわめて急速であり、CPUのクロック周波数は以前と比較して格段に大きなものになってきている。この結果、CPUの発熱量が増し、従来のようにヒートシンクで空冷するだけでは能力不足で、高効率で高出力の冷却装置が不可欠になっている。そこでこのような冷却装置として、発熱部品を搭載した基板を冷媒を循環させて冷却する冷却装置が提案された(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
以下、このような冷媒を循環させて冷却する従来の電子機器の冷却装置について説明する。なお、本明細書において電子機器というのは、CPU等にプログラムをロードして演算処理を行う装置、中でもノート型パソコンのような携行可能な小型の装置を中核とするが、このほかに通電により発熱する発熱素子を搭載した装置を含むものである。この従来の第1の冷却装置は、例えば図8に示すようなものが知られている。図8は従来の電子機器の冷却装置の第1の例の構成図である。図8において、100は筐体であり、101は発熱部品、102は発熱部品101を実装した基板、103は発熱部品101と冷媒との間で熱交換を行ない発熱部品101を冷却する冷却器、104は冷媒から熱を取り除く放熱器、105は冷媒を循環させるポンプ、106はこれらを接続する配管、107は放熱器104を空冷するファンである。
【0004】
この従来の第1冷却装置の動作を説明すると、ポンプ105から吐出された冷媒は、配管106を通って冷却器103に送られる。ここで発熱部品101の熱を奪うことでその温度が上昇し、放熱器104に送られる。この放熱器104でファン107によって強制空冷されてその温度が降下し、再びポンプ105へ戻ってこれを繰り返す。このように、冷媒を循環させて発熱部品101から熱を奪って冷却するものであった。
【0005】
次に、電子機器の従来の第2冷却装置として、図9に示すものが提案されている(特許文献3参照)。この第2冷却装置は、発熱部材を狭い筐体内に搭載したとき、発熱部材の発生熱を放熱部である金属筐体壁まで効率良く輸送し発熱部材を冷却するものである。図9は従来の電子機器の冷却装置の第2の例の構成図である。図9において、108は電子機器の配線基板、109はキーボード、110は半導体発熱素子、111はディスク装置、112は表示装置、113は半導体発熱素子110との間で熱交換する受熱ヘッダ、114は放熱のための放熱ヘッダ、115はフレキシブルチューブ、116は電子機器の金属筐体である。
【0006】
この第2冷却装置は、発熱部材である半導体発熱素子110と金属筐体116とをフレキシブル構造の熱輸送デバイスにより熱的に接続するものである。この熱輸送デバイスは、半導体発熱素子110に取り付けた液流路を有する扁平状の受熱ヘッダ113、液流路を有し金属筐体116の壁に接触させた放熱ヘッダ114、さらに両者を接続するフレキシブルチューブ115で構成され、内部に封入した液を放熱ヘッダ114に内蔵した液駆動機構により受熱ヘッダ113と放熱ヘッダ114との間で駆動あるいは循環させるものである。これにより、半導体発熱素子110と金属筐体116とが部品配列に左右されることなく容易に接続できるとともに、液の駆動により高効率で熱が輸送される。放熱ヘッダ114においては、放熱ヘッダ114と金属筐体116とが熱的に接続されているので、金属筐体116の高い熱伝導率のために熱が広く金属筐体116に拡散されるものである。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−264139号公報
【特許文献2】
特開平8−32263号公報
【特許文献3】
特開平7−142886号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の第1冷却装置では、発熱部品101と冷媒とで熱交換を行ない発熱部品101を冷却する冷却器103、冷媒から熱を取り除くための放熱器104、冷媒を循環させるポンプ105、図示はしないが冷媒を補充しなければならず補充用タンクが必要であり、これらを組み合わせるため装置が大型且つ複雑で小型化が難しく、コストも高くなるという問題があった。すなわち従来の第1冷却装置は、本来大型の電子機器の冷却に適したものであって、小型、軽量且つ薄型で、様々の姿勢で運ばれ、使われる最近の高性能携行型のノート型パソコン等には対応しきれないものであった。
【0009】
そして、小型且つ薄型の電子機器になればなるほど第1冷却装置のサイズも小さくなるから、比較的大きなサイズの機器の場合には無視できた冷媒のガス化やこれに伴う気泡混入等が顕在化する。冷媒のガス化、気泡混入が生じると、配管106やポンプ105に気泡が溜まり始め、長時間使用していると成長した気泡のためエアロックでポンプ105が運転不能になったり、熱交換効率が徐々に低下していくという問題があった。一旦溜まった空気を排出することはユーザ側で行うのは難しく、さらにこうした冷却装置の不調で電子機器の寿命も決定されるという問題もあった。
【0010】
また、従来の第2冷却装置はノート型パソコン等に使用することが可能であるが、半導体発熱素子110に取り付けた扁平状の受熱ヘッダ113も、金属筐体116の壁に接触させた放熱ヘッダ114もボックス状で厚くならざるをえず、ノート型パソコン等の薄型化を妨げるものであった。さらに、これらの液流路内に進入した気泡が成長してエアロックを起こすのは避けられず、この対策に窮するものであった。
【0011】
さらに、金属筐体116の壁に接触させた放熱ヘッダ114はサーマルコンパウンド、あるいは高熱伝導シリコンゴムなどを挟んで、もしくはねじ止め等で直接金属筐体116に取り付けるものであるが、伝熱効率が悪く、冷却力に限界があるものであった。このとき冷却力を上げるために放熱面積を増すことも考えられるが、単純に面積を増したのでは流路が長くなって循環量が増し、逆にエアロックの可能性が高まって寿命を短くするという問題があった。そして循環量の増加は重量の増大を招き、軽量化に逆行する。従って、第2冷却装置の放熱ヘッダ114にとって、熱伝導を高めるために放熱面積を増すのは矛盾を孕んだものとなる。また、エアロックに対して従来は対処の術がなく、この第2冷却装置もアイデアとすると可能であるが実用性の点で問題が残り、ノート型パソコンのように様々な姿勢で使用する電子機器ではこの種の冷却装置を使用するのは、事実上難しいと考えられていた。もしこれを採用しても、目的とする小型、軽量、薄型化を犠牲にせざるをえない。そして、最近のようにCPUの能力が向上して益々大きな冷却能力が要求されるときに、このような問題を抱えた従来の第2冷却装置ではノート型パソコンの小型、軽量、薄型化に対して十分対処しきれず、将来性で疑問が残るものであった。
【0012】
そこで、本発明は、熱交換効率を向上させることができ、エアロックを起こすことがなく、小型、軽量、薄型化が可能で、構造が簡単で低コストの電子機器の冷却装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は上記課題を解決する為になされたもので、発熱部品の熱を冷媒との熱交換により冷却する冷却器と、前記冷媒から熱を取り除く放熱器と、前記冷媒中の気泡を分離する気液分離部と、前記気液分離部と前記気泡を排出する排出口を介して連通し前記冷媒を貯留するリザーブタンクと、前記冷媒を循環させるポンプと、前記冷却器と前記放熱器と前記気液分離部と前記ポンプとを接続し循環路を形成する配管とを有する冷却装置であって、 前記気液分離部の排出口が前記リザーブタンクの重心の位置に設置され、前記気液分離部の冷媒の流れる方向に対する断面積が前記気液分離部の排出口で最大となることを特徴とする冷却装置である。
【0014】
これにより、エアロックを起こすことがなく、小型、軽量、薄型化が可能で、構造が簡単で低コストにすることができ、熱交換効率を向上させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、発熱部品の熱を冷媒との熱交換により冷却する冷却器と、冷媒から熱を取り除く放熱器と、冷媒中の気泡を分離する気液分離部と、気液分離部と気泡を排出する排出口を介して連通し冷媒を貯留するリザーブタンクと、冷媒を循環させるポンプと、冷却器と放熱器と気液分離部とポンプとを接続し循環路を形成する配管とを有する冷却装置であって、気液分離部の排出口がリザーブタンクの重心の位置に設置され、気液分離部の冷媒の流れる方向に対する断面積が気液分離部の排出口で最大となることを特徴とする冷却装置であるから、冷却装置を上下逆、横置きにしてもリザーブタンクから気液分離部に気泡が戻ることがなく、ポンプがエアロックを起こすことを防ぐことができる。さらに、冷媒の流速が遅くなり気泡への流れの影響が低減され、気泡の浮上力が相対的に大きくなり、気泡が排出口よりリザーブタンクへ排出される効果が向上する。
【0016】
本発明の請求項2に記載の発明は、気泡分離部とリザーブタンクとを一体に形成したことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置であるから、気泡分離部とリザーブタンクを小型化でき、冷却装置を小型化することができる。
【0017】
本発明の請求項3に記載の発明は、リザーブタンクと気泡分離部とが二個のケースの接合によって一体に形成されることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の冷却装置であるから、気泡分離部とリザーブタンクを小型化でき、部品点数を減らすことができ、組み立てが容易になるので、冷却装置を小型化、低コスト化することができる。
【0019】
本発明の請求項に記載の発明は、ケースの気液分離部の排出口近傍に凹部を設けたことを特徴とする請求項3に記載の冷却装置であるから、気泡を確実に捕らえると共に、大型の気泡や表面張力等により排出口付近に一時的に留まった気泡をトラップすることが可能で、気泡の再循環を防止する作用を有する。
【0020】
本発明の請求項に記載の発明は、放熱器に送風する為の送風機を設置したことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置であるから、放熱器の放熱性能を高めるので、冷却装置の冷却効果を高めることができる。
【0026】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における冷却装置を組み込んだ電子機器の全体構成図、図2は本発明の実施の形態1における放熱器、送風機、一体ケースの分解図、図3は本発明の実施の形態1における一体ケースの内部構造図、図4は図3におけるA−A断面図、図5は本発明の実施の形態1における一体ケースを逆設置した場合の内部構造図、図6は本発明の実施の形態1における一体ケースを左側面設置した場合の内部構造図、図7は本発明の実施の形態1における一体ケースを右側面設置した場合の内部構造図である。
【0027】
図1に示すように、1は上面にキーボード2を搭載した電子機器の第一筐体、3は第一筐体1内に収められ電子部品等を配置した電子回路の基板4に実装されたCPU等の発熱電子部品、5はCPUによる処理結果を表示する表示装置6を有する電子機器の第二筐体、7は発熱電子部品3に密着し発熱電子部品3の熱を受熱し、図3で示す冷媒28とで熱交換を行ない発熱電子部品3を冷却する冷却器で、8は冷媒28を冷却装置内に循環させる為のポンプである。冷却器7としては、アルミニウムや銅等の金属や合金等の熱伝導性の良い材料を使用したヒートシンク等を挙げることができる。
【0028】
また、ポンプ8は、図示はしないがウエスコ型ポンプであり、外周に多数の溝状羽根が形成され内周にはローターマグネットが設けられたリング状羽根車と、ローターマグネットの内周側にモーターステーターとが設けられて、モーターステーターへの通電で駆動される。吸込口と吐出口を有するポンプケーシングにこのリング状羽根車が収容される。このポンプケーシングには、モーターステーターとローターマグネットの間に円筒部が配設され、この円筒部にリング状羽根車が回転自在に軸支される。このポンプ8は小型でフラット薄型の形状となるため、冷却装置をより小型、薄型にすることができる。
【0029】
尚、図1に示すように冷却器7とポンプ8は別体となって接続配管12cで接続されているが、上述のウエスコ型ポンプのポンプケーシングの底面をフラットにして受熱機能をもたせ、ポンプ機能と冷却器機能とを兼ねた構成部品のポンプとし、このポンプを発熱部品であるCPU等に直接載置することもできる。この場合、ポンプケーシングをアルミニウムや銅等の熱伝導率の高い金属で作る必要がある。ポンプ底面がフラットなためCPU等に載置することが可能となるものである。これにより十分な熱伝達を行うことができる。
【0030】
9は表示装置6の裏面に配設され冷媒28から熱を取り空気中に放熱する放熱器、10は放熱器9に空気を送風する送風機で、送風機10は矩形で三方向に排気口が設けられ一側面に送風機10の内部の風の流れをスムーズに行う為の風路壁23が設けられている。11は図3に示す気液分離部25とリザーブタンク27とを一体形成した一体ケース、12a〜12dはこれらを接続する為の接続配管である。放熱器9は表示装置6の裏面の比較的狭い空間で冷媒28からの熱を取り除くことが必要である為、図2に示す様に表面積をより広く取れるようにコの字形状の放熱配管13に、アルミニウムや銅等で構成された多数の放熱フィン14を設置した形態としている。放熱配管13と放熱フィン14との接続は、放熱配管13から放熱フィン14への熱伝導を良好に保つことが必要である為、強固に密着させている。
【0031】
送風機10は、ファン21の遠心力によって垂直方向の吸気と水平方向の排気を行う遠心型送風機であり、前記するコの字形状の放熱器9の中央部に設置されている。送風機10は、図2に示すように、吸気口24を有する送風機上カバー20と、送風機下ケース22とを組合わせ、送風機10の内部で、送風機10の中央部より風路壁23側に薄型のファン21を配置している。ファン21を回転させるためのモーターステーター(図示せず)は送風機下ケース22側に設置されている。風路壁23の内壁側は、本実施の形態の場合ファン21が反時計方向に回るので図2に示されるように、空気流が風路壁23に吹き付けられる側の送風機10の端部よりファン22に向かって傾斜し、所定の位置に頂部23aを形成しそこから円弧状に風路壁23は薄くなり、送風機10の他端部側の放熱フィン14の端部方向に延長されている。この構成をとることで、ファン21の空気流は、頂部23aで風路壁23に吹き付けられる側の放熱フィン14に吹き付けるものと、他端部側に排気され他端部の放熱フィン14を冷却するものに分けられ、空気の流はスムーズに行われる。ここで、ファン21の回転方向が逆になれば、風路壁23の内壁側の形状は、反対形状となる。
【0032】
上述の構成とファン21の薄型化により、送風機10は空気の流れをスムーズにそして小型でフラット形状とすることができるため、冷却装置を更に小型、薄型にすることができる。また、吸気口24を送風機下ケース22に設けることにより空気の流れの影響が増加し、冷却性能を更に向上させることができる。
【0033】
一体ケース11は図2に示すように、一体ケース上部品15と一体ケース下部品16と、接合部のシール部材であるOリング17とで構成され、図3に示すように内部壁32により、気泡排出口26を介して気液分離部25とリザーブタンク27とが分割されている。内部壁32は一体ケース上部品15と一体ケース下部品16にそれぞれ同形状のリブを設け、組合わせ時にそれらが勘合する構造とすれば、別部品を追加することなく内部壁32を設けることができる。気液分離部25は冷媒28中に混入した気泡29を気泡排出口26からリザーブタンク27へ排出する機能を有する。また、リザーブタンク27は長期にわたりシステム中のシール部分や、樹脂部品表面等から透過する冷媒28の水分量を補うための機能を有する。また一体ケース11には気液分離部25と接続した一体ケース流入口18と一体ケース流出口19、及びリザーブタンク27に接続した冷媒注入口30、それをシールする為のキャップ31を有する。一体ケース流入口18は、一体ケース11の側端部に設けられ、一体ケース11の底部に位置する気液分離部25の気液分離部流入口25aと接続し、一体ケース流出口19は気液分離部25の流出口25bと接続し一体ケース11の底部に設けられている。
【0034】
気泡排出口26は、リザーブタンク27の容積的に略中央部(略重心の位置)に設けられている。内部壁32は、気液分離部25の一体ケース流入口18端側から気泡排出口26方向に一体ケース11の側面に対して傾斜して延在し、所定の位置で円弧状となり、さらに内部壁の円弧状の端部から傾斜して一体ケース流出口19へと延在する。気泡排出口26は、該円弧状の頂部にリザーブタンク27側に突出したリブ26aを形成して設けられており、気液分離部25の最上部に位置する。(本実施の形態では、電子機器を通常使用する状態において、リザーブタンク27が気液分離部25より上方になる位置の状態での上下の方向を述べる。)気液分離部25の断面積は気泡排出口26に向かって漸次大きくなる。
【0035】
本実施の形態では、内部壁32の気泡排出口26付近は円弧状としたが、最初の傾斜よりさらに角度をつけた傾斜としてもよい。
【0036】
気泡排出口26の断面形状は、本実施の形態では矩形としたが、六角形、円形、楕円形等でもよい。
【0037】
また、図4に示すように、一体ケース11の断面形状において、断面中央線に位置するようにリザーブタンク27の断面、気泡排出口26の断面、気液分離部25の断面が配置される。断面の幅は、リザーブタンク27の断面、気液分離部25の断面、気泡排出口26の断面の順に狭くなる。
【0038】
気液分離部25の内部壁32の円弧状に沿うように一体ケース下部品16に気泡排出溝33が形成され、気泡排出口26とは傾斜面33aで繋がる。気泡排出溝33の断面形状は本実施の形態では円弧であるが、矩形等であってもよい。気泡排出溝33は、一体ケース上部品15または一体ケース上部品15、一体ケース下部品16の両方に設けてもよい。
【0039】
気液分離部25の内部壁32の気泡排出口26の付近が傾斜状であるならば、該傾斜に沿い、頂部が気泡排出口26の位置である気泡排出溝でもよい。
【0040】
次に、本実施の形態1の冷却装置の動作を説明する。電源が入りCPU等の発熱電子部品3が発熱しその冷却が必要になるとポンプ8の電源が入りポンプ8は駆動を始め、冷媒28が循環を開始する。これにより発熱電子部品3から発せられた熱は冷却器7との接触面で熱交換され、冷却器7の下面から内部の冷媒28へ熱伝達される。熱を伝えられた冷媒28は、循環の流れに沿って接続配管12bを通り放熱器9へと移送される。
【0041】
放熱器9へ流入した冷媒28の熱は放熱配管13から放熱フィン14へ伝導し大気へと放熱される。この時、送風機10により新鮮な空気を放熱フィン14の間隙に供給することで、更に放熱効果を高めることができるのである。図2に示すように、送風機10の内部の風路壁23に沿って、ファン21が発生させる空気の流れがスムーズになる。またファン21を風路壁23寄りに設置し放熱フィン14との距離をとることで、この空間がバッファとなり放熱フィン14の特定箇所に偏らずに均一的に空気供給することが可能となる。これにより放熱効果の向上に加え騒音の低減が図ることができる。
【0042】
次に冷媒28は接続配管12dを通り一体ケース流入口18から気液分離部25へと移送される。冷媒28には長期の時間経過に伴い冷媒28の一部分が、材質により多寡はあるが、システム中のシール部分や樹脂部品表面等を介して大気と置換され冷媒28内に空気の気泡29が混入する可能性がある。気泡29も冷媒28と共に気液分離部25へ流入し、図3に示す様にその浮力によって内部壁32方向に浮上しそれに沿って移動し、気泡排出口26からリザーブタンク27側へ排出される。内部壁32には前記気泡排出口26に向かって斜め上方に傾斜が形成されているため気泡29は気泡排出口26方向へ移流しやすく、また、気泡排出口26近傍は図3及び図4に示すように断面積が大きいいため冷媒28の流速が落ち、流れの影響が低減され気泡29の浮上効果が向上し気泡排出性能を高めることができる。更に、気泡排出口26の直下近傍に内部壁に沿った形状の気泡排出溝33を設けたことにより、気泡29を確実に捕らえると共に、大型の気泡や表面張力等により気泡排出口26に一時的に留まった気泡をトラップ(その場所に留める)することが可能で、気泡29の再循環を防止する作用を有する。
【0043】
気泡排出口26は、リザーブタンク27の内部の容積的に略中央部に設けられている。これにより気泡29がリザーブタンク27内部に溜まり、気泡蓄積部34を形成した場合でも、気泡蓄積部34がリザーブタンク27の容積の半分以下である場合は、電子機器を上下左右どの方向に回転設置しても、気泡排出口26は図5〜7に示すように常に冷媒28内となり気泡蓄積部34に露出しないため、リザーブタンク27から気液分離部25への気泡の逆流がなくなるという作用を有し、ポンプ8への気泡の流入がなく、エアロックを防止することができる。さらに、気泡排出口26が一体ケース11の断面形状において、断面中央線(言い換えると、一体ケース11の厚み方向の中央部)に位置するようにリザーブタンク27の断面、気泡排出口26の断面、気液分離部25の断面が配置されるので、電子機器を裏表どちらの方向に置いても、リザーブタンク27から気液分離部25への気泡の逆流がなくなる。
【0044】
これによりノートパソコン等、移動を伴う機器への展開が可能となる。
【0045】
また一体ケース下部品15と送風機下ケース22とを一体で、且つ熱伝導率の高いアルミニウムや銅等で形成すれば、一体ケース11内の冷媒28の熱を送風機10側に伝達し、送風機10の発生する空気の流れによって放熱することができるため、冷媒28の温度を更に低下させることが可能となり、冷却性能を向上させることができると共に、部品点数の削減を図ることができる。加えて送風機下ケース22に吸気口24を設けることにより空気の流れの影響が増加し、冷却性能を更に向上させることができる。
【0046】
気液分離を完了した冷媒28は一体ケース流出口19から接続配管12aを通り再びポンプ8へ流入し循環を継続する。
【0047】
【発明の効果】
以上のように本発明の冷却装置によれば、冷媒中の気泡を分離する気液分離部の排出口がリザーブタンクの略重心の位置に設置されていることで、冷却装置を上下逆置き、横置きにしてもリザーブタンクから気液分離部に気泡が戻ることがなく、ポンプがエアロックを起こすことを防ぐことができる。
【0048】
また、リザーブタンクと気泡分離部とが二個のケースの接合によって一体に形成されることで、気泡分離部とリザーブタンクを小型化でき、部品点数を減らすことができ、組み立てが容易になるので、冷却装置を小型化、低コスト化することができる。
【0049】
気液分離部の冷媒の流れる方向に対する断面積が気液分離部の排出口で最大となることで、冷媒の流速が遅くなり気泡への流れの影響が低減され、気泡の浮上力が相対的に大きくなり、気泡が排出口よりリザーブタンクへ排出される効果が向上する。
【0050】
また、気液分離部の排出口近傍に気液分離部の側面に沿ってケースに凹部を設けたことで、気泡を確実に捕らえると共に、大型の気泡や表面張力等により排出口付近に一時的に留まった気泡をトラップすることが可能で、気泡の再循環を防止する作用を有する。
【0051】
送風機を構成する少なくとも一の部品と、リザーブタンクを構成する少なくとも一の部品とを熱伝導性の良好な材料で一体に形成したことで、リザーブタンク内の冷媒の熱を送風機側に伝達し、送風機の発生する空気の流れによって放熱することができるため、冷却装置の冷却性能を高めることができる。
【0052】
また、送風機は外形が四角形状で3面方向の吹出し口と一閉側面を有し、送風機のファンは送風機の一閉側面寄りに配置され、放熱器は送風機の吹出し口に沿ったコの字形状であることで、ファンと放熱器との距離をとることができ、ファンと放熱器との空間がバッファとなり放熱器の特定箇所に偏らずに均一的に空気供給することが可能となるとともに、騒音の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における冷却装置を組み込んだ電子機器の全体構成図
【図2】本発明の実施の形態1における放熱器、送風機、一体ケースの分解図
【図3】本発明の実施の形態1における一体ケースの内部構造図
【図4】図3におけるA−A断面図
【図5】本発明の実施の形態1における一体ケースを逆設置した場合の内部構造図
【図6】本発明の実施の形態1における一体ケースを左側面設置した場合の内部構造図
【図7】本発明の実施の形態1における一体ケースを右側面設置した場合の内部構造図
【図8】従来の電子機器の冷却装置の第1の例の構成図
【図9】従来の電子機器の冷却装置の第2の例の構成図
【符号の説明】
1 第一筐体
2 キーボード
3 発熱電子部品
4 基板
5 第二筐体
6 表示装置
7 冷却器
8 ポンプ
9 放熱器
10 送風機
11 一体ケース
12a〜12d 接続配管
13 放熱配管
14 放熱フィン
15 一体ケース上部品
16 一体ケース下部品
17 Oリング
18 一体ケース流入口
19 一体ケース流出口
20 送風機上カバー
21 ファン
22 送風機下ケース
23 風路壁
24 吸気口
25 気液分離部
25a 気液分離部流入口
25b 気液分離部流出口
26 気泡排出口
26a 突出したリブ
27 リザーブタンク
28 冷媒
29 気泡
30 冷媒注入口
31 キャップ
32 内部壁
33 気泡排出溝
34 気泡蓄積部

Claims (5)

  1. 発熱部品の熱を冷媒との熱交換により冷却する冷却器と、前記冷媒から熱を取り除く放熱器と、前記冷媒中の気泡を分離する気液分離部と、前記気液分離部と前記気泡を排出する排出口を介して連通し前記冷媒を貯留するリザーブタンクと、前記冷媒を循環させるポンプと、前記冷却器と前記放熱器と前記気液分離部と前記ポンプとを接続し循環路を形成する配管とを有する冷却装置であって、
    前記気液分離部の排出口が前記リザーブタンクの重心の位置に設置され、
    前記気液分離部の冷媒の流れる方向に対する断面積が前記気液分離部の排出口で最大となることを特徴とする冷却装置。
  2. 前記気泡分離部と前記リザーブタンクとを一体に形成したことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
  3. 前記リザーブタンクと前記気泡分離部とが二個のケースの接合によって一体に形成されることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1に記載の冷却装置。
  4. 前記ケースの前記気液分離部の前記排出口近傍に凹部を設けたことを特徴とする請求項3に記載の冷却装置。
  5. 前記放熱器に送風する為の送風機を設置したことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
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