JP4257431B2 - 多孔質半導体膜の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多孔質半導体膜の形成方法に関し、詳しくは、シリコン基板に可視から紫外での発光が可能な多孔質膜を形成するための多孔質半導体膜の形成方法に関する。
半導体基板の基板面を電解質溶液に浸漬し、半導体基板を陽極、白金電極等の対向電極を陰極として電流を印加すると、半導体基板の表面が電気化学エッチングされ、多孔質膜が形成される。この多孔質膜の形成方法は「陽極化成法」と呼ばれ、シリコン基板に多孔質膜を形成する最も一般的な技術である(特許文献1)。
シリコン基板に多孔質膜を形成する場合には、通常、電解質溶液としてフッ化水素の水溶液(フッ化水素酸)が用いられる。GaAsやGaP等の化合物半導体からなる基板に多孔質膜を形成する場合には、電解質溶液として塩酸や硝酸、或いはこれらの混液が用いられることが多い。また、より微細な多孔質構造を得るために、電解質溶液にメタノール、エタノール等のアルコール溶剤が添加されることもある。
この陽極化成法では、半導体基板を流れる電流密度が、多孔質膜形成プロセスを制御するための重要な因子になる。このため、紫外光や可視光を照射することで、電流密度を増加させ、多孔質膜の厚さや多孔質の度合いを制御する技術が知られている。例えば、p型シリコン基板では、電解質溶液に浸漬された基板面側から紫外光や可視光を照射する。
従来、陽極化成法以外の多孔質膜の形成方法は、ほとんど知られていない。唯一の例外として「光アシスト化学エッチング法」がある。この方法は、50%という高濃度のフッ化水素の水溶液中にシリコン基板を浸漬し、多孔質膜を形成する基板面側から波長600nm〜700nmの光を照射するだけの、極めて簡単なものである(非特許文献1)。照射する光の波長がこれよりも長波長の場合には、多孔質膜は形成されない。
1990年にCanham等によって、シリコン基板の表面に形成された多孔質膜が赤色発光することが初めて報告された(非特許文献2)。例えば、シリコン基板の表面に陽極化成法で多孔質膜を形成すると、この多孔質膜は波長が630nm、発光エネルギーが2eVの赤色発光を示す。また、光アシスト化学エッチング法で作製した多孔質膜も同様に赤色発光を示す。
多孔質半導体膜を発光素子に応用するには、多孔質半導体膜が何色で発光するか、即ちどのような波長で発光するかが非常に重要であり、特に、発光波長が赤よりも緑、緑よりも青、青よりも紫外と、短波長になればなるほど、発光デバイスとしての応用の可能性が広がる。例えば、赤色に加えて緑色と青色の発光が可能となれば、いわゆる3原色(赤、緑、青)のフルカラー表示デバイスを実現することができる。
しかしながら、逆に、短波長になればなるほど、発光させることが技術的に難しくなる。少なくとも、従来の多孔質膜の形成方法では、得られるのは赤色発光する多孔質膜のみで、可視から紫外で発光する多孔質膜を直接形成することはできなかった。
このため、1990年にCanham等によって、シリコン基板の表面に形成された多孔質膜が赤色発光することが初めて報告されて以来、今日まで、特に発光波長の短波長化に関する、涙ぐましい努力が続けられている。そして、これまでに報告された発光波長の制御方法としては、以下の(1)〜(3)の方法がある。
(1)陽極化成法で作製した多孔質半導体膜の酸化
多孔質シリコン膜を酸化することで、発光波長が短波長側にシフトする。酸化方法としては、(a)熱酸化(非特許文献3)、(b)空気中放置による自然酸化(非特許文献4)、(c)陽極化成時に、フッ化水素とアルコールとを混合した電解液に金属亜鉛を溶解させることで、多孔質シリコン膜を効率的に酸化させる(非特許文献5)、等の方法がある。
(2)陽極化成法で作製した多孔質半導体膜の微細化
化学薬品によるエッチングや電解エッチングにより、陽極化成法で作製した多孔質部分を腐食溶解させて微細化することにより、量子サイズ効果に起因した発光の短波長側へのシフトを起こさせる(非特許文献6,7)。
(3)陽極化成法で作製した多孔質半導体膜の異種物質での被覆
多孔質シリコン膜の表面を、PbとZr、Tiの酸化物であるPb(ZrxTi1-x)O3でコーティングすることにより、発光特性が赤色発光から青色発光に変化する(非特許文献8)。同様に、多孔質シリコン膜をMnO2で被覆することにより、赤色発光が赤色および紫外の2色発光に変化する(非特許文献9)。但し、紫外発光の起源は不明であり、多孔質シリコン膜からの発光ではなくて、MnO2からの本質的ではない発光の可能性も考えられる。
陽極化成法で作製した多孔質シリコン膜を上記(2)の方法で微細化した例を、図9を参照して説明する。シリコン基板をフッ化水素水溶液とアルコールとの混合溶液による陽極化成法で多孔質化し、その後多孔質表面を化学薬品による酸化とフッ化水素による酸化膜の除去の工程を繰り返すことで、多孔質部分の微細化を段々に進めながら、発光スペクトルの変化を測定した。
図9中、(a)は、陽極化成直後の多孔質シリコン膜の発光スペクトルである。(b)〜(g)は、酸化と酸化膜除去により微細化した多孔質シリコン膜の発光スペクトルであり、特に(g)は、酸化と酸化膜除去を最も多く繰り返して微細化した多孔質シリコン膜の発光スペクトルである。この図9から、多孔質部分の微細化によって、赤色から緑色へと発光スペクトルのピーク波長がシフトし、短波長化が図られていることが分かる。この例のように、微細化が理想的に進めば、短波長化が可能となり、赤色から緑色だけでなく、もっと短波長の青色まで、広範囲に発光波長が制御される。
特開2002−93775公報 N. Noguchi and I. Suemune, Appl. Phys. Lett. Vol. 62, p. 1429, 1993年 L. T. Canham, Appl. Phys. Lett. Vol. 57, p. 1046, 1990年 H. Mimura et al., Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 33, p. 586, 1994年 T. Maruyama and S. Ohtani, Appl. Phys. Lett. Vol. 65, p. 1346, 1994年 K. Y. Suh et al., J. Electrochem. Soc. Vol. 148, p. C439, 2001年 T. Moriguchi et al., J. Electrochem. Soc. Vol. 147, p.602, 2000年 M. V. Wolkin et al., Phys. Rev. Lett. Vol. 82, p. 197, 1999年 Q. W. Chen et al., Appl. Phys. Lett. Vol. 82, p. 1018, 2003年 Q. Chen et al., Appl. Phys. Lett. Vol. 77, p. 854, 2000年
しかしながら、従来の発光波長の制御方法は、陽極化成法で多孔質半導体膜を作製した後に実施されるものであり、可視から紫外で発光可能な多孔質膜を得るには、陽極化成とその後の多孔質膜の処理という2段階での処理が必要であり、どうしても製造プロセスが複雑になるという問題があった。
また、上述した陽極化成法で作製した多孔質半導体膜を、酸化、微細化、異種物質での被覆という方法で処理する場合には、発光波長の短波長化にも限界があり、せいぜい青色(発光波長、約400nm)までしか短波長化できず、400nm以下の紫外発光は極めて困難である。さらに致命的な欠点として、ロットによる多孔質部分の微妙な違いが、その後の微細化処理の再現性に微妙な影響を与えることが挙げられる。
本発明は、上記問題を解決すべく成されたものであり、本発明の目的は、可視から紫外で発光が可能な多孔質半導体膜を、簡便かつ再現性よく形成する多孔質半導体膜の形成方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の多孔質半導体膜の形成方法は、アルカリ性を示すフッ化塩の水溶液にシリコン基板を浸漬し、浸漬されたシリコン基板に電流を印加せずに該シリコン基板の基板面に光を照射し、該基板面に可視から紫外で発光可能な多孔質半導体膜を形成することを特徴とする。
この方法によれば、シリコン基板の基板面に光を照射するだけで、該基板面に多孔質半導体膜が形成され、可視から紫外で発光が可能な多孔質半導体膜を、簡便かつ再現性よく形成することができる。即ち、アルカリ性を示すフッ化塩の水溶液に浸漬されたシリコン基板に、電流を印加せずに該シリコン基板の基板面に光が照射されて、該基板面に可視から紫外で発光可能な多孔質半導体膜が形成された発光性半導体基板を製造することができる。
前記フッ化塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、又はヒドラジニウム塩を用いることができる。例えば、LiF、NaF、KF、RbF,CsF、NH4F、及びN25F等を用いることができる。前記水溶液としては、アルカリ性を示す溶液が好ましい。また、前記光は、半導体基板に吸収される光の波長以下の波長の光であることが好ましい。
アルカリ性を示すフッ化塩の水溶液に浸漬されたシリコン基板に、電流を印加せずに該シリコン基板の基板面に光が照射されて、該基板面に可視から紫外で発光可能な多孔質半導体膜が形成された発光性半導体基板と、前記発光性半導体基板の多孔質半導体膜が形成された基板面側に形成された透明電極と、を含む発光素子を得ることができる。
この発光素子は、本発明の方法で多孔質半導体膜が形成された発光性半導体基板を用いているので、可視から紫外での発光が可能である。
アルカリ性を示すフッ化塩の水溶液に浸漬されたシリコン基板に、電流を印加せずに該シリコン基板の基板面に光が照射されて、該基板面に可視から紫外で発光可能な多孔質半導体膜が形成された発光性半導体基板を、少なくとも有する光学センサを得ることができる。
この光学センサは、本発明の方法で多孔質半導体膜が形成された発光性半導体基板を用いているので、可視から紫外での発光が可能である。
以上説明したように、本発明の多孔質半導体膜の形成方法によれば、可視から紫外で発光が可能な多孔質半導体膜を、簡便かつ再現性よく形成することができる、という効果がある。また、本発明の方法で多孔質半導体膜が形成された半導体基板を用いて、可視から紫外で発光が可能な発光素子及びセンサを提供することができる、という効果がある。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(多孔質半導体膜の形成方法)
図1は、本発明の多孔質半導体膜の形成方法を説明するための概略断面図である。また、図2は、本発明の形成方法により多孔質半導体膜が形成された半導体基板の層構成を示す部分断面図である。
図1に示すように、本発明の方法を実施するための装置は、フッ化塩の水溶液10を収容する容器12と、水溶液10に浸漬された半導体基板14の基板面14aに光18を照射する光源16と、を備えている。容器12は、上方に向って開口すると共に、平坦な底部を備えている。また、光源16は、容器12の開口部の上方に配置されている。
多孔質半導体膜の形成時には、フッ化塩の水溶液10を収容した容器12の底部に、半導体基板14が基板面14aを上にして載置され、フッ化塩の水溶液10中に半導体基板14が浸漬される。そして、半導体基板14の基板面14aに、光源16から励起光18が照射される。これにより、半導体基板14が基板面14aからエッチングされ、図2に示すように、半導体基板14の基板面14a側に多孔質半導体膜20が形成される。
なお、上記では、光源16を容器12の開口部の上方に配置し、励起光18を上方から照射する例について説明したが、半導体基板14の基板面14aに励起光18を照射できればよく、容器12を励起光18に対し透明な材料で構成し、容器12の側面から励起光18を照射してもよい。また、上記では、容器12の底部に半導体基板14を載置する例について説明したが、半導体基板14の基板面14aに励起光18を照射できればよく、基板面14aが容器12の底面に対し垂直又は斜めになるように、半導体基板14を配置してもよい。
水溶液10は、フッ化塩の水溶液である。ここで「塩」とは、酸に含まれる解離可能な水素イオンを、金属イオン(Na+、K+など)やアンモニウムイオン(NH4 +)等のカチオンで置換した化合物のことである。従来の光アシスト化学エッチング法が、HF、HCl、HNO3など、酸を用いているのに対し、本発明の形成方法は、半導体基板14を浸漬する水溶液10として、フッ化塩の水溶液を用いた点に特徴がある。
塩の水溶液は、化学的に酸とは全く異なる性質を示す。また、周知のとおり、フッ化水素の水溶液は半導体プロセスに最も一般的に使用される薬品であるが、塩の水溶液が半導体プロセスに使用された例はほとんど無い。
フッ化塩としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化カリウム(KF)、フッ化ルビジウム(RbF)、フッ化セシウム(CsF)などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩(NH4F)、ヒドラジニウム塩(N25F)を用いることができる。但し、安全性や取り扱い易さ、経済性等の観点から、これらのフッ化塩の中でも、LiF、NaF、KFがより好ましく、KFが特に好ましい。また、複数種の塩を適宜組合わせて用いることもできる。
フッ化塩のモル濃度は、塩の飽和溶解度に応じたモル濃度以下の範囲とすることができる。例えば、KFの飽和溶解度でのKF水溶液のモル濃度は約16Mであり、NaFの飽和溶解度でのNaF水溶液のモル濃度は約1Mである。フッ化塩のモル濃度が高くなれば、多孔質膜の形成に関与するフッ化水素(HF)や水酸化物イオン(OH-)の濃度も高くなり、多孔質膜が効率よく形成される。一方、フッ化塩のモル濃度が低すぎると、多孔質膜の形成に長時間を要し実用的ではない。従って、フッ化塩のモル濃度は、約0.05M以上とすることが好ましい。
また、フッ化塩のモル濃度は、多孔質度(ポーラシティ)や多孔質サイズなど、多孔質半導体膜の微細構造の形成にも影響を与える。しかしながら、後述する「励起光の強度」と同様に、フッ化塩のモル濃度が最も影響するのは多孔質の形成速度であり、上述したとおり、モル濃度が大きい水溶液では短時間で多孔質膜が形成される。従って、励起光の強度が小さい場合には水溶液のモル濃度を高くし、励起光の強度が大きい場合には水溶液のモル濃度を低下させることが好ましい。
水溶液のpHはモル濃度と密接に関係し、KFなどのアルカリ金属塩などでは、水溶液のモル濃度が高くなるほどpHが高くなり、pHの高い水溶液ほど多孔質膜の形成速度が大きくなる。従って、水溶液のpHは7以上、すなわち、アルカリ性の水溶液がより好ましい。また、水溶液の温度は、pHの場合と同様に、高温になるほど多孔質膜の形成速度が大きくなる。従って、多孔質膜の形成促進の観点からは、反応温度は室温(20℃)以上が好ましい。
また、水溶液10には、他の薬品を添加することもできる。他の薬品としては、アルコール等の水溶性溶剤、塩酸等の酸性液などが挙げられる。メタノール、エタノール等のアルコール溶剤を添加することで、より微細な多孔質構造を得ることができる。
半導体基板14としては、シリコン基板の外、同じ元素半導体のゲルマニウム(Ge)基板、化合物半導体のGaAs基板、GaP基板、InP基板などを用いることができる。即ち、本発明の形成方法はこれらの半導体基板にも適用可能である。しかしながら、安価に入手可能であり、加工技術が蓄積されている点で、シリコン基板が特に好ましい。
即ち、シリコン基板の材料であるシリコンの単位堆積当たりの価格は、GaN半導体の材料の1つであるガリウム(Ga)の単位堆積当たりの価格よりも、数千から数万倍の安さである。また、超LSIやデジタルカメラの撮像素子などで培われたシリコンの高度な製造技術がそのまま使用できる点も大きな魅力である。
励起光18は、半導体中で自由電子−正孔対を生成しうる波長の光であればよく、半導体のバンドギャップに応じて適宜選択される。例えば、シリコン結晶のバンドギャップは約1.1eVであり、原理的には1.1eV以上の光エネルギーが付与されればよい。即ち、励起光の波長は1130nmより短波長であればよい。
しかしながら、半導体基板14に効率良く光を吸収させるためには、励起光18は、半導体基板に吸収される光の波長以下の波長の光とすることが好ましい。例えば、シリコン結晶に対しては、波長633nm、光エネルギー1.96eVのHe−Neレーザ光を、励起光として照射する。
また、励起光18は、コヒーレント光(レーザ光)であるか、非コヒーレント光(非レーザ光)であるかは問わない。従って、光源16としては、レーザ光源だけでなく、キセノンランプ、水銀灯、発光ダイオードなども使用可能である。レーザ光源としては、例えば、He−Neガスレーザを用いることができる。また、発光ダイオードとしては、面アレイ型のGaN発光ダイオードを用いることができる。
励起光の強度は、数mW〜数十Wの範囲とすることができる。照射する光の強度が強ければ強いほど、光励起で生成される自由電子−正孔対の濃度が増加し、多孔質膜が効率よく形成される。一方、励起光の強度が小さすぎると、多孔質膜の形成に長時間を要し実用的ではない。また、逆に励起光の強度が大きすぎると、多孔質膜が形成されず、半導体基板が単に平坦にエッチングされるだけになる。
励起光の波長は、波長が変化すれば半導体結晶中への光侵入深さも変化するので、多孔質度や多孔質サイズなど、多孔質半導体膜の微細構造の形成に影響を与える。波長が短波長化するに従って半導体結晶中への光侵入深さが浅くなる。
例えば、シリコン結晶への各波長の光の侵入深さは、波長632.8nmのHe−Neレーザでは約2μm、488.0nmのArレーザでは約0.5μm、441.6nmのHe−Cdレーザでは約0.2μm、そして325nmのHe−Cdレーザでは約0.01μmである。
半導体結晶中への光侵入深さが深くなるほど、膜厚の厚い多孔質膜が形成される。従って、高品質の多孔質膜を安定に作製するには、励起光の波長は、250nm〜1000nmの範囲が好ましく、400nm〜800nmの範囲がより好ましい。また、多孔質サイズの小さい微細な多孔質膜を形成するためにも、励起光の波長は、同じく250nm〜1000nmの範囲が好ましく、400nm〜800nmの範囲がより好ましい。
励起光の照射時間は、フッ化塩のモル濃度、励起光の強度、励起光の波長に応じて、適宜、最適化されるが、10分〜10時間の範囲とすることが好ましい。
(多孔質膜の形成機構)
フッ化カリウム(KF)を例にして、フッ化塩の水溶液中で多孔質膜が形成される機構を考察する。
HF水溶液がガラス物質(Siの酸化物)を溶解することは周知の事実である。従って、光アシスト化学エッチング法では、多孔質シリコン膜の形成時に、光照射によって生成された正孔がシリコン結晶の表面を微妙に酸化し、この酸化膜がHF水溶液でエッチング除去されたため、結果としてシリコン結晶の表面に多孔質膜が形成されると考えることができる。
一方、フッ化カリウム(KF)などのアルカリハライドの水溶液は、常識的には中性であるから、中性の水溶液でガラス物質がエッチング除去されるとは考えにくい。食塩(NaCl)もKFと同じくアルカリハライドであり、食塩の水溶液、すなわち食塩水がガラス物質を溶かすとすれば、ガラスのコップに食塩水を注ぐことはできなくなる。こんなことは、現実にはありえないはずである。
そこで、KFの水溶液中での状態について考えてみると、下記反応式(1)に示すように、この試薬は水溶液中で加水分解を起こす。
即ち、上記の反応式(1)に示す加水分解により、KF水溶液中にHFが生成するだけではなく、OH-イオンも同時に生成する(以下では、OH-イオンの生成を「アルカリ反応」という)。このアルカリ反応が原因で、食塩水とは異なり、KF水溶液は中性ではなく、アルカリ性を呈するのである。
KOH水溶液、NaOH水溶液などの典型的なアルカリ水溶液が、シリコン結晶を腐食エッチングすることはよく知られている。酸性水溶液であるHF水溶液は、酸化膜(ガラス物質)のみを溶解する。従って、KF水溶液では、上記の反応式(1)に示すように、HFとOH-イオンとが共存するため、HFがガラス物質を、OH-イオンがシリコン結晶自体を、各々効率的に腐食エッチングしたため、高品質の多孔質シリコン膜がシリコン結晶の表面に形成されたものと考えられる。
(発光素子の作製)
図3は、多孔質半導体膜が形成された半導体基板を備えた発光素子の層構成を示す部分断面図である。図3に示すように、半導体基板14の基板面14aには、上述した方法で多孔質半導体膜20が形成され、多孔質半導体膜20の表面には透明電極22が形成されている。
透明電極22とは、発光光を透過させる物質で形成された電極である。透明電極22は、ネサ膜と称される酸化インジウム(In23)薄膜や、酸化スズ(SnO2)薄膜、酸化インジウム−スズ(ITO)薄膜などで構成することができる。透明電極22の形成方法としては、スパッタリングや化学蒸着を挙げることができる。
上述した透明電極22と半導体基板14との間に電圧を印加し、多孔質半導体膜20に電流を流すと、この多孔質半導体膜20が紫外発光する。
発光素子の発光波長の制御は、透明電極22の形成前に、多孔質半導体膜20が形成された半導体基板14を、酸性又はアルカリ性の薬品に適宜浸漬し、多孔質半導体膜20の表面構造を改質することで行う。
酸性又はアルカリ性の薬品としては、多孔質半導体や半導体表面に形成された酸化膜をエッチングにより除去する薬品を用いることができる。このような薬品としては、フッ化水素の水溶液、フッ化アンモニウム(NH4F)等を挙げることができる。
上述したとおり、赤色発光する多孔質シリコン膜の表面に酸化膜を形成して、多孔質シリコン膜の発光波長を短波長化する技術が知られている。従って、紫外発光する多孔質シリコン膜の場合は、例えば、フッ化水素の水溶液等、酸性の薬品に浸漬することで、多孔質シリコンの表面に形成された酸化膜を除去し、多孔質シリコン膜の発光波長を長波長化することができる。
なお、フッ化水素の水溶液は、多孔質シリコン膜だけでなく、多孔質GaAs膜や多孔質GaP膜、多孔質InP膜等にも適用可能であり、多孔質半導体の表面に形成された酸化膜を除去して、発光波長を長波長化することができる。
また、上記では、多孔質半導体膜の形成後に発光波長の制御を行う例について説明したが、多孔質半導体膜の形成時に、フッ化塩の濃度、励起光の強度、励起光の波長を種々変更することで、多孔質半導体膜の微細構造を変化させて、発光波長の制御を行うことができる。
(他の応用分野)
本発明の形成方法で形成された多孔質半導体膜は、可視から紫外で発光する発光素子等の光源デバイスへ応用することができる。可視から紫外で発光する発光素子は、近年注目されているGaN系発光ダイオードと市場が重なっており、その市場規模は大きい。
GaN系発光ダイオードは本質的に点発光光源であるのに対して、多孔質半導体膜を備えた光源は面発光光源であり、この点での優位性が期待できる。紫外発光する面光源は、紫外/可視変換発光源の励起光源として有望である。また、可視発光する面光源は、例えば、液晶パネルディスプレーや次世代携帯電話ディスプレーのバックライトとして期待されている。
また、これら光源デバイスの外、多孔質半導体膜を備えた各種のデバイス、例えば、湿度やガスなどを検知するセンサー、光共振器、光導波路、面放出型コールドカソード等にも応用することができる。多孔質半導体膜は表面積が大きいため、センサーに応用することで検知精度を向上させることができる。
以上説明したとおり、本発明の多孔質半導体膜の形成方法によれば、(1)フッ化塩の水溶液を収容する容器と励起光源とがあればよく、非常に簡便な装置で半導体基板の基板面に多孔質半導体膜を形成することができる。即ち、陽極化成に必要な電極や電源装置等は不要である。(2)また、水溶液のフッ化塩の濃度、励起光の波長、励起光の強度により、多孔質膜の微細構造の制御、ひいては発光波長の制御が可能であり、プロセス制御が簡単になる。
さらに、本発明の形成方法で得られる多孔質半導体膜は、(1)多孔質膜の結晶粒径が細かく、均一に分布している、(2)375nmの紫外発光が得られるなど、短波長での発光が可能である、(3)化学薬品への浸漬処理等により、発光波長の制御が容易である、といった特徴を有している。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。本発明は以下に述べる実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
半導体基板としてn型シリコン結晶基板を用意した。このシリコン結晶基板を、トリクロロエチレン(トリクレン)、アセトン、及びアルコールで順に脱脂洗浄した後、基板面が上を向くように、1Mのフッ化カリウム(KF)の水溶液に浸漬した。水溶液は定性的には弱アルカリ性であるが、そのpHは約7(ほぼ中性)である。
励起光を照射する光源として、発振波長632.8nmのHe−Neレーザを用い、20℃の室温下、シリコン結晶基板をKF水溶液に浸漬した状態で、シリコン結晶基板の基板面の全面に、波長632.8nmのレーザ光を5mWの強度で照射した。
レーザ光を3時間照射した後、KF水溶液からシリコン結晶基板を引き上げた。シリコン結晶基板は、基板面からエッチングされ、多孔質化されて変色していた。この変色した部分が、多孔質シリコン膜である。
シリコン結晶基板の表面を洗浄し、乾燥した後、多孔質シリコン膜上に、透明電極として酸化インジウム(In23)薄膜を形成して、実施例1の発光素子を得た。
(比較例1)
n型シリコン結晶基板を浸漬する水溶液を、25%のフッ化水素(HF)の水溶液とした以外は実施例1と同様にして、シリコン結晶基板に多孔質シリコン膜を形成し、この多孔質シリコン膜上に透明電極を形成して、比較例1の発光素子を得た。
―発光スペクトルの測定―
実施例1及び比較例1で得られた発光素子の各々について、透明電極とシリコン結晶基板との間に所定の電圧を印加し、多孔質半導体膜からの発光スペクトルを測定した。
実施例1の発光素子では、図4(A)に示すように、光エネルギーが3.3eV(発光波長375nm)の強い紫外発光と、約2.5eVの弱い緑色発光とが観測された。緑色発光強度に対する紫外発光強度の比は約9である。なお、紫外光は肉眼では視認できないため、人間の眼には緑色に発光しているように見える。
従来の陽極化成法で作製した多孔質シリコン膜を酸化して完全にシリカ化させた膜から紫外発光が観測された例は報告されている(G. G. Qin et al., Appl. Phys. Lett. Vol. 69, p. 1689, 1996年)。しかしながら、多孔質シリコン膜自体から、可視光に比べて非常に高強度の紫外発光が観測された例は、本例が初めてである。
一方、比較例1の発光素子では、図4(B)に示すように、波長が630nm、発光エネルギーが2eVの赤色発光のみが観測される。
―多孔質膜表面の観測―
実施例1及び比較例1で形成された多孔質シリコン膜の各々について、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて膜表面を観測した。膜表面のAFM観測は、多孔質シリコン膜上に透明電極を形成する前に行った。図5(A)が実施例1で形成された多孔質シリコン膜のAFM像であり、図5(B)が比較例1で形成された多孔質シリコン膜のAFM像である。
これらのAFM像を比較すると、実施例1で形成された多孔質膜は、比較例1で形成された多孔質膜に比べて、結晶粒径が細かく、均一に分布していることが分かる。発光素子から観測された発光スペクトルの相違も、このような多孔質膜の構造的な相違を反映しているものと推測される。
―多孔質膜表面の化学的構造の観測―
実施例1及び比較例1で形成された多孔質シリコン膜の各々について、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)により、膜表面の赤外吸収スペクトルを測定した。測定結果を図6に示す。なお、図6においては、実施例1の測定結果を太い実線で示し、比較例1の測定結果を点線で示す。また、参考のために、脱脂洗浄のみを行ったシリコン結晶基板についての赤外吸収スペクトルの測定結果を細い実線で示す。これらの赤外吸収スペクトルを比較することで、膜表面の化学的な構造の相違が分る。
図6の波数600cm-1〜700cm-1の吸収はSi−Hnひずみモードに起因するものであり、1100cm-1近辺の吸収はSi−O−Siストレッチモードに起因するものである。この図から分るように、実施例1の多孔質膜の赤外吸収スペクトルと、比較例1の多孔質膜の赤外吸収スペクトルとの大きな相違点は、1100cm-1近辺のSi−O−Siストレッチモードに起因する吸収ピークにある。
実施例1の多孔質膜では、この吸収ピークが1070cm-1と1100cm-1のダブレットのピークとして観測されているのに対し、比較例1の多孔質膜では、脱脂洗浄のみの基板と同じく、ダブレットになっていない単一ピーク(1100cm-1)として観測されている。
比較例1のように、HF水溶液中での光アシスト化学エッチング法により形成された多孔質シリコン膜だけでなく、陽極化成法によって形成された多孔質シリコン膜においても、この吸収ピークは作製直後は単一ピークとして観測される。そして、これら単一ピークを呈する多孔質膜(試料)は、例えば、空気中に長時間、自然放置される等して多孔質膜の表面が自然酸化されると、単一ピークからダブレットのピークへと経時変化し、これに対応して発光波長が短波長側にシフトするのである。
しかしながら、K. Y. Suh et al., J. Electrochem. Soc. Vol. 148, p. C439, 2001年の記載によれば、自然酸化の場合は、数日間以上の長時間自然放置する必要があり、発光波長も490nmから420nmへと短波長側に若干シフトするにすぎない。半導体製造プロセスにおいて長時間自然放置を採用することは、プロセス自体の信頼性や再現性を低下させる。
実施例1の多孔質膜では、多孔質膜形成時において、自然放置した場合と同様に、1100cm-1近辺のSi−O−Siストレッチモードに起因する吸収ピークがダブレットのピークとして観測されている。さらに発光波長も、375nmと極めて短波長(紫外光)である。このことは、実施例1の多孔質膜の表面が当初から酸化膜で覆われていて、比較例1の多孔質膜に比べ、化学的に安定な状態であることを示唆している。
(実施例2)
n型シリコン結晶基板を浸漬する水溶液を、5Mのフッ化カリウム(KF)の水溶液とした以外は実施例1と同様にして、シリコン結晶基板に多孔質シリコン膜を形成し、この多孔質シリコン膜上に透明電極を形成して、実施例2の発光素子を得た。なお、水溶液のpHは7.6である。
得られた発光素子について、透明電極とシリコン結晶基板との間に所定の電圧を印加し、多孔質半導体膜からの発光スペクトルを測定したところ、実施例1の発光素子と同様に、強い紫外発光と弱い緑色発光とが観測された。
(実施例3)
n型シリコン結晶基板を浸漬する水溶液を、1Mのフッ化ナトリウム(NaF)の水溶液とした以外は実施例1と同様にして、シリコン結晶基板に多孔質シリコン膜を形成し、この多孔質シリコン膜上に透明電極を形成して、実施例3の発光素子を得た。
得られた発光素子について、多孔質半導体膜からのPL(フォトルミネッセンス)発光スペクトルを測定したところ、図7に示すように、光エネルギーが3.25eV(発光波長380nm)の強い紫外発光と、約2.4eVの弱い緑色発光とが観測された。緑色発光強度に対する紫外発光強度の比は約10である。
(実施例4)
実施例4では、実施例1と同様に多孔質シリコン膜が形成されたシリコン結晶基板を、酸性のHF水溶液によって浸漬処理して発光波長の制御を行った。
即ち、実施例1と同様に、半導体基板としてn型シリコン結晶基板を用意した。このシリコン結晶基板を、トリクロロエチレン(トリクレン)、アセトン、及びアルコールで順に脱脂洗浄した後、基板面が上を向くように、1Mのフッ化カリウム(KF)の水溶液に浸漬した。
励起光を照射する光源として、発振波長632.8nmのHe−Neレーザを用い、20℃の室温下、シリコン結晶基板をKF水溶液に浸漬した状態で、シリコン結晶基板の基板面の全面に、波長632.8nmのレーザ光を5mWの強度で3時間照射した。これにより、基板面に多孔質シリコン膜が形成されたシリコン結晶基板が得られた。
得られたシリコン結晶基板を、46%のHF水溶液に10秒間浸漬処理した。HF水溶液からシリコン結晶基板を引き上げ、表面を洗浄し、乾燥した後、多孔質シリコン膜上に、透明電極として酸化インジウム(In23)薄膜を形成して、実施例4の発光素子を得た。
実施例4で得られた発光素子について、透明電極とシリコン結晶基板との間に所定の電圧を印加し、多孔質半導体膜からの発光スペクトルを測定したところ、図8に太線で示すように、赤色発光だけが得られた。比較のために、図8に、実施例1の発光素子の発光スペクトルを細線で併記する。
両者を比較すれば分るように、浸漬処理を行っていない実施例1の発光素子では強い紫外発光と弱い緑色発光とが観測されるが、浸漬処理を行うことで、紫外発光、緑色発光から赤色発光に変化する。これは多孔質膜上の酸化膜が、HF水溶液による浸漬処理によってエッチング除去されたためである。
このとおり、酸性のHF水溶液によって浸漬処理することで、紫外発光、緑色発光から赤色発光へと、発光波長の制御を非常に簡単に行うことができる。
本発明の形成方法で形成された多孔質半導体膜は、可視から紫外で発光する発光素子等の光源デバイスへ応用することができる。また、これら光源デバイスの外、多孔質半導体膜を備えたデバイス、例えば、湿度やガスなどを検知するセンサー、光共振器、光導波路、面放出型コールドカソード等にも応用することができる。
本発明の多孔質半導体膜の形成方法を説明するための概略断面図である。 本発明の形成方法により多孔質半導体膜が形成された半導体基板の層構成を示す部分断面図である。 多孔質半導体膜が形成された半導体基板を備えた発光素子の層構成を示す部分断面図である。 (A)は本発明の実施例に係る発光素子の発光スペクトルを示す線図であり、(B)は従来技術により作製された比較例の発光素子の発光スペクトルを示す線図である。 (A)は本発明の実施例で形成された多孔質シリコン膜のAFM像であり、(B)は従来技術により作製された比較例の多孔質シリコン膜のAFM像である。 本発明の実施例で形成された多孔質シリコン膜、及び従来技術により作製された比較例の多孔質シリコン膜の赤外吸収スペクトルを示す線図である。 本発明の他の実施例に係る発光素子の発光スペクトルを示す線図である。 本発明の他の実施例に係る発光素子の発光スペクトルを示す線図である。 従来の発光波長の制御方法を説明するための図である。
符号の説明
10 水溶液
12 容器
14a 基板面
14 半導体基板
16 光源
18 励起光
20 多孔質半導体膜
22 透明電極

Claims (5)

  1. アルカリ性を示すフッ化塩の水溶液にシリコン基板を浸漬し、
    浸漬されたシリコン基板に電流を印加せずに該シリコン基板の基板面に光を照射し、
    該基板面に可視から紫外で発光可能な多孔質半導体膜を形成する、
    多孔質半導体膜の形成方法。
  2. 前記塩が、アルカリ金属塩である請求項1記載の多孔質半導体膜の形成方法。
  3. 前記塩が、アンモニウム塩又はヒドラジニウム塩である請求項1記載の多孔質半導体膜の形成方法。
  4. 前記光が、シリコン基板に吸収される光の波長以下の波長の光である請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質半導体膜の形成方法。
  5. 前記塩が、LiF、NaF、KF、RbF,CsF、NHF、及びNFからなる群から選択された1種または複数種の塩である請求項1記載の多孔質半導体膜の形成方法。
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