JP4256699B2 - 燃料電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料電池に関し、更に詳細には燃料電池用セルが収容された筒状容器の端部の一方からメタン等の燃料ガス及び酸素を含む混合燃料ガスが供給され、前記筒状容器の端部の他方から排ガスが排出される燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、火力発電等の発電効率に比較して、高効率の発電効率が期待できるため、現在、多くの研究がなされている。
かかる燃料電池には、図4に示す様に、イットリア(Y2O3)が添加された安定化ジルコニアから成る焼成体を酸素イオン伝導型の固体電解質層100として用い、この固体電解質層100の一面側にカソード層102が形成されていると共に、固体電解質層100の他面側にアノード層104が形成された燃料電池用セル106が配設されている。
この燃料電池用セル106のカソード層102側には、酸素又は酸素含有気体が供給される。他方のアノード層104側には、メタン等の燃料ガスが供給される。
【0003】
かかる図4に示す燃料電池用セル106のカソード層102側に供給された酸素(O2)は、カソード層102と固体電解質層100との境界で酸素イオン(O2-)にイオン化され、この酸素イオン(O2-)は、固体電解質層100によってアノード層104に伝導される。アノード層104に伝導された酸素イオン(O2-)は、アノード層104に供給されたメタン(CH4)ガスと反応し、水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、水素(H2)、一酸化炭素(CO)が生成される。かかる反応の際に、酸素イオンが電子を放出するため、カソード層102とアノード層104との間に電位差が生じる。このため、カソ−ド層102とアノード層104を取出線108によって電気的に接続することにより、アノード層104の電子はカソード層102の方向(矢印の方向)に取出線108を流れ、燃料電池から電気を取り出すことができる。
尚、かかる図4に示す燃料電池の駆動温度は、約1000℃である。
【0004】
しかし、図4に示す燃料電池用セル106は、約1000℃もの高温下で、カソード層102側は酸化性雰囲気に晒されていると共に、アノード層104側は還元性雰囲気に晒されているため、燃料電池用セル106の耐久性を向上することは困難であった。
一方、下記に示す非特許文献1には、図5に示す様に、固体電解質層100の両面側にカソード層102とアノード層104とが形成された燃料電池用セル106を、メタンガスと酸素とが混合された混合燃料ガス内に載置しても、燃料電池用セル106に起電力が発生することが報告されている。
【0005】
【非特許文献1】
SCIENCE,Vol.288(2000),p2031-2033
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図5に示す燃料電池の様に、混合燃料ガスが供給される供給配管200aと排ガスを排出する排出配管200bとが設けられた容器200内に燃料電池用セル106を載置し、供給配管200aから混合燃料ガスを供給することによって、燃料電池用セル106の全体を実質的に同一雰囲気とすることができ、両面の各々を異なる雰囲気に晒す図4に示す燃料電池用セル106に比較して、その耐久性の向上を図ることができる。
しかしながら、図5に示す燃料電池には、高温下でメタンガスと酸素とが混合された混合燃料ガスを供給するため、混合燃料ガスは、爆発の危険性を回避すべく、酸素濃度が発火限界よりも低濃度となるように(メタン濃度が発火限界を超える高濃度に)調整されて供給される。
このため、メタン等の燃料ガスが完全燃焼するには著しく酸素量が不足し、燃料ガスの炭化が進行して電池性能が低下することがある。
また、図5に示す燃料電池では、その燃料電池用セル106及びその雰囲気温度が駆動温度に到達して発電を開始すると、燃料ガスと酸素との反応熱によって燃料電池用セル106及びその雰囲気温度を駆動温度に維持できる。
しかし、冷却された状態の燃料電池の燃料電池用セル106等を発電可能の駆動温度まで昇温するには、容器200内の燃料電池用セル106を加熱すべく、容器200の外壁面に巻き付ける電熱ヒータ等の特別な外部加熱手段を必要とする。このため、かかる特別な外部加熱手段を用いることのできない災害の際やキャンプ等の野外では、図5に示す燃料電池を用いることは困難である。
そこで、本発明の課題は、メタン等の燃料ガスと酸素との混合燃料ガスを用い、混合燃料ガスの爆発を防止しつつ、燃料ガスの炭化の進行を防止し得る程度に酸素濃度を向上した混合燃料ガスを使用でき、且つ電熱ヒータ等の特別な外部加熱手段を必要としない燃料電池を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するには、燃料電池用セルを収容した筒状容器内の空間部の防爆構造が重要と考え検討したところ、この空間部に充填物を充填し、充填物間の間隙を発火限界内にある混合燃料ガスが存在していても発火し得ない間隙の充填層を形成することにより、混合燃料ガスの防爆を図ることができることを見出した。
更に、本発明者等は、燃料電池用セルを含む充填層の一端面に、供給ノズルの供給端から混合燃料ガスを噴射して着火し、その火炎で冷却状態の燃料電池用セルを含む充填層を発電可能な駆動温度まで容易に昇温でき、その供給ノズルの供給端を充填層の一端面に近接させると、火炎が消炎して混合燃料ガスを駆動温度に昇温された燃料電池用セルに供給できることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は、燃料電池用セルが収容された筒状容器の端部の一方から燃料ガス及び酸素を含む混合燃料ガスが供給され、前記筒状容器の端部の他方から排ガスが排出される燃料電池であって、該燃料電池用セルが収容された筒状容器内の混合燃料ガスや排ガスが流動する空間部に、前記燃料電池の駆動条件で安定している金属又はセラミックから成る粉粒体が充填されて、前記燃料電池用セルを含む充填層が形成されていると共に、前記充填層の充填物間の間隙が、前記燃料電池用セルが発電可能の駆動温度に到達した際に、前記空間部内に発火限界内の混合燃料ガスが存在しても発火し得ない間隙に形成され、且つ前記筒状容器の一方の端部に臨む前記充填層の一端面に混合燃料ガスを供給する供給ノズルが設けられており、前記供給ノズルの供給端から前記充填層の一端面に向けて噴出する混合燃料ガスに着火して火炎及び燃焼ガスによって前記充填層及び燃料電池用セルを加熱し、前記燃料電池セルがその駆動温度に到達したとき、前記供給ノズルの噴出端と前記充填層の一端面とが近接して前記火炎が消炎できるように、前記供給ノズル及び筒状容器の少なくとも一方が移動可能に設けられていることを特徴とする燃料電池にある。
【0009】
かかる本発明において、筒状容器内の空間部に充填した充填物の間隙を、燃料電池を駆動した際に、前記空間部の混合燃料ガスの消炎距離よりも狭くすることにより、空間部内で混合燃料ガスの発火を確実に防止できる。
更に、充填物間の最大間隙を、燃料電池を駆動した際に、空間部内の混合燃料ガスの爆轟を防止し得る消炎直径以下とすることにより、空間部内で混合燃料ガスが発火しても爆轟を防止できる。
かかる本発明で形成する充填層を、供給ノズル側と排ガスの排出側とに設け、前記供給ノズル側の充填層の厚さを、前記排ガスの排出側の充填層よりも薄く形成することによって、供給ノズルの供給端から充填層の一端面に向けて噴出する混合燃料ガスに着火して火炎及び燃焼ガスにより燃料電池用セルを迅速に発電可能の駆動温度に昇温できる。
【0010】
また、燃料電池用セルとしては、固体電解質層がカソード層とアノード層とに挟み込まれて形成された複数の単一燃料電池用セルを、互いに隣接するアノード層とカソード層とを直接接合するように積層して形成した多層燃料電池用セルとすることによって、所望電圧を取出すことができる。
この多層燃料電池用セルを、その単一燃料電池用セルのアノード層及びカソード層を混合燃料ガスの流動方向に対して平行となるように容器内に載置する場合には、前記カソード層及びアノード層の各々を、前記混合燃料ガスが通過し得る多数の微細孔が形成された多孔質層とし、固体電解質層を、前記混合燃料ガスが実質的に通過することのない緻密構造とすることができる。
一方、多層燃料電池用セルを、その単一燃料電池用セルのアノード層及びカソード層を混合燃料ガスの流動方向に対して直角に載置する場合には、アノード層、カソード層及び固体電解質層の各々を、前記混合燃料ガスが通過し得る多数の微細孔が形成された多孔質層することにより、混合燃料ガスが多層燃料電池用セルを通過でき、他の通路を形成することを要しない。
かかる燃料電池用セルを形成するアノード層を、Liが固溶されたNiOを主成分とする焼成体によって形成することによって、燃料電池の作動中に配合された金属が混合燃料ガス中の酸素によって酸化されることによるアノード層の電極抵抗の上昇等を防止できる。
【0011】
本発明に係る燃料電池によれば、燃料電池用セルを含む充填層の充填物間の間隙が、燃料電池用セルが発電可能の駆動温度に到達した際に、発火限界内の混合燃料ガスが存在しても発火し得ない間隙に形成されている。このため、混合燃料ガス中の酸素濃度を燃焼可能の領域内とすることができ、酸素不足による燃料の炭化に起因する電池性能の低下を防止できる。
更に、供給ノズルの供給端から充填層の一端面に向けて噴出する混合燃料ガスに着火して火炎及び燃焼ガスによって充填層及び燃料電池用セルを加熱し、燃料電池用セルを発電可能の温度に昇温でき、容器の外壁面を加熱する電気ヒータ等の特別な外部加熱手段を必要としない。このため、燃料電池の構造を簡単化できると共に、電気ヒータ等の特別な外部加熱手段を使用できないキャンプ等の野外においても燃料電池を用いて発電可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係る燃料電池の一例を図1に示す。図1に示す燃料電池を形成する横断面形状が矩形又は円形の筒状容器20の一端側には、空気と燃料ガスとが混合された混合燃料ガスを供給する供給ノズル28が、筒状容器20の一端に対して近接可能に矢印A方向に移動可能に設けられている。
更に、この筒状容器20内には、複数の単一燃料電池用セル16,16・・が積層された多層燃料電池用セルが、供給ノズル28から供給された混合燃料ガスの流動方向と平行となるように収容されている
かかる筒状容器20は、多層燃料電池用セルの発電が可能となる駆動温度で充分に耐熱性を呈するように、1200℃程度まで耐熱性を有するセラミック等の耐熱材料によって形成され、多層燃料電池用セルを構成する単一燃料電池用セル16,16・・の各々は、緻密構造の固体電解質層10の一面側に形成された多孔質層のカソード層12と、この固体電解質層10の他面側に形成された多孔質層のアノード層14とから形成されている。
この単一燃料電池用セル16のアノード層14と、他の単一燃料電池用セル16のカソード層12とは、直接接合されて多層燃料電池用セルを形成する。この多層燃料電池用セルで発電された電力は、多層燃料電池用セルの最外層の一方に位置する単一燃料電池用セル16のカソード層12と、他方の最外層に位置する単一燃料電池用セル16のアノード層14とから引き出された引出線(図示せず)によって取出される。
【0013】
図1に示す単一燃料電池用セル16を形成する固体電解質層10は、酸素イオン誘導体であって、イットリウム(Y)やスカンジウム(Sc)等の周期律表第3族元素により部分安定化されたジルコニア酸化物、或いはサマリウム(Sm)やガドリウム(Gd)等がドープされたセリウム酸化物によって形成され、カソード層12は、ストロンチウム(Sr)等の周期律表第3族元素が添加されたランタンのマンガン、ガリウム又はコバルト酸化化合物から形成されている。
更に、アノード層14は、Liが固溶されたNiOを主成分とする焼成体によって形成されているアノード層14を好適に採用できる。この焼成体は、導電性を有するセラミックであって、Li化合物をNiOにLi2O換算で1〜15mol%添加し、焼成処理して得られる焼成体である。
かかるアノード層14中には、ロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物が配合されている。この様な金属又はその酸化物が配合されたアノード層14を具備する単一燃料電池用セル16から構成される燃料電池によれば、ロジウム等の金属又はその酸化物が配合されていないアノード層14を具備する単一燃料電池用セル16から構成される燃料電池よりも高い発電性能を呈することができる。
このロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物は、アノード層14中に金属換算で1〜50重量%となるように配合することが好ましい。
【0014】
また、アノード層14を構成する副成分として、サマリアドープドセリア、スカンジア安定化ジルコニア、イットリア安定化ジルコニアのうちのいずれかが50体積%以下含まれるようにすることによって、ロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物と混合燃料ガスとの接触面積を拡大できる。
かかるカソード層12及びアノード層14は、多孔質層であって、その開気孔率を20%以上、好ましくは30〜70%、特に40〜50%とすることが好ましい。
図1に示す多層燃料電池用セルは、予め焼成して形成した固体電解質層10に、所定形状の各層用のグリーンシートを積層した後、又は各積層用のペーストを所定形状に塗布した後、再焼成することによって得ることができる。
また、予め焼成して形成した単一燃料電池用セル16,16・・を積層して一体化することによっても、多層燃料電池用セルを得ることができる。
【0015】
図1に示す燃料電池で用いる多層燃料電池用セルのカソード層12とアノード層14とは、多孔質層であるため、供給ノズル28から供給された混合燃料ガスは通過可能である。
このため、図1に示す燃料電池では、多層燃料電池用セルを、単一燃料電池用セル16を形成するカソード層12及びアノード層14が供給ノズル28から供給された混合燃料ガスの流動方向と平行となるように、筒状容器20内に収容している。
その際に、筒状容器20内に供給した混合燃料ガスが多層燃料電池用セルのカソード層12及びアノード層14を経由して流れるように、多層燃料電池用セルの外周面の略全面を筒状容器20の内周面に密着し、筒状容器20内に供給した混合燃料ガスが、筒状容器20の内壁面と多層燃料電池用セルの外周面との間等からバイパスすることを防止している。
尚、必要に応じて筒状容器20の内壁面と多層燃料電池用セルの外周面との間に、例えばアルミナセメントや高融点ガラス等の低気孔率材料を用いて封止を施してもよい。
【0016】
この様に多層燃料電池用セルを収容した筒状容器20内には、空間部が形成される。かかる空間部が、空状態の場合は、多層燃料電池用セルが発電可能となる駆動温度において、混合燃料ガスの発火を防止するには、混合燃料ガス中の酸素濃度を発火限界よりも低濃度(メタン等の燃料ガスを発火限界よりも高濃度)とすることが必要である。
多層燃料電池用セルに供給する混合燃料ガスとして、酸素濃度が低濃度の混合燃料ガスを用いる場合、混合燃料ガス中のメタン等の燃料ガスが炭化して電池性能が低下することがある。
一方、混合燃料ガス中の酸素濃度を、燃料ガスが炭化することのない濃度にすると、空間部中の混合燃料ガスの組成が発火限界内に入り、爆発の危険性が著しく高くなる。
【0017】
この点、図1の燃料電池では、空間部に充填物を充填して多層燃料電池用セルを含む充填層26を形成する。
しかも、充填層26を形成する充填物間の間隙を、多層燃料電池用セルの発電が可能となる駆動温度(以下、燃料電池の駆動温度と称することがある)に昇温した際に、空間部内に酸素濃度(燃料ガス濃度)が発火限界内の混合燃料ガスが存在していても発火し得ない距離としている。
具体的には、充填物間の間隙を、燃料電池の駆動温度に昇温した際に、空間部内に存在する発火限界内の混合燃料ガスの消炎距離よりも狭くなるように、充填物を充填している。
このため、筒状容器20に供給する混合燃料ガス中の酸素濃度を、メタン等の燃料ガスが発火する発火限界内まで高めても、空間部での発火を回避できる。
ここで言う「混合ガスの消炎距離」とは、「化学便覧(応用化学編II)」(社団法人日本化学会編、昭和63年11月15日第2刷発行)の第407頁に規定されており、混合燃料ガスの発火が起こり得る最小電極間距離のことである。この距離よりも狭い電極間距離では、エネルギーをいくら大きくして発火が起こらない。
かかる消炎距離は、混合燃料ガス中の酸素濃度や圧力等に応じて変化するため、燃料電池を駆動した際に、空間部に存する混合燃料ガスの消炎距離を実験的に求めておくことが好ましい。
【0018】
また、充填層26の充填物の充填物間隙は、一様ではなく分布を有している。このため、充填物間の間隙が、平均では、燃料電池を駆動した際に、空間部の混合燃料ガスの消炎距離よりも狭いものの、最大間隙が広くなる場合がある。この場合、混合燃焼ガスが発火したとき、爆轟に繋がるおそれがあるため、充填物間の最大間隙を、燃料電池を駆動した際に、空間部内に存在する混合燃料ガスの爆轟を防止し得る消炎直径以下とすることによって、例え混合燃料ガスに着火しても爆轟を防止できる。
尚、「消炎直径」とは、筒から吹出す混合気体に着火しても、筒内に燃焼波が浸入できない限界の直径をいい、メタンと酸素との混合気体の消炎直径は、0.1〜3mmである。
【0019】
図1に示す燃料電池の空間部に充填する充填物としては、燃料電池の駆動条件で安定している金属又はセラミックから成る粉粒体を用いることができる。
かかる粉粒体としては、Ti,Cr,Te、Co、Ni,Cu,Al,Mo,Rh,Pd,Ag,W,Pt,Auから成る群から選ばれた一種又は二種以上を含む合金によって形成された粉粒体、或いはMg,Al,Si,Zrから成る群から選ばれた一種又は二種以上含むセラミックによって形成された粉粒体を好適に用いることができる。
かかる粉粒体の粒径は、50〜1000μmであることが好ましい。
【0020】
図1に示す燃料電池では、筒状容器20に収容された多層燃料電池用セルを発電可能の温度まで昇温する手段としては、供給ノズル28の供給端から充填層26の一端面に向けて噴出する混合燃料ガスに着火し、その火炎32及び燃焼ガスによって充填層26及び燃料電池用セルを加熱する。このため、供給ノズル28の供給端と充填層26の一端面との間を所定距離に調整できるように、矢印A方向に移動可能に設けられた供給ノズル28を移動する。
この様に、充填層26の一端面側から火炎32及び燃焼ガスによって多層燃料電池用セルを加熱するため、多層燃料電池用セルが発電可能の温度に到達せず燃料電池が駆動されていない場合であっても、充填層26の他端面側の部分26bから排出される排ガス中の燃料ガス濃度は極めて低くでき、発火する危険性を著しく低下できる。
更に、充填層26の一端面側の部分26aを、排ガスが排出される充填層26の他端面側の部分26bよりも薄く形成することによって、火炎32及び燃焼ガスによる多層燃料電池用セルの昇温速度を更に早くできる。
【0021】
多層燃料電池用セルの温度が駆動温度まで昇温された際には、図2(a)に示す様に、供給ノズル28の供給端を充填層26の一端面方向(矢印B方向)に移動する。図2(a)に示す状態の火炎32は、図1に示す火炎32よりも小さくなったものの依然として存在する。
更に、供給ノズル28の供給端を充填層26の一端面方向に移動すると、遂には、図2(b)に示す様に、火炎32は消炎されて、混合燃料ガスは充填層26の外部で燃えて消費されることなく充填層26内に供給される。
充填層26内に供給された混合燃料ガスは、充填された充填物間の間隙を通過して多層燃料電池用セルに到達し、多孔質層のカソード層12及びアノード層14を筒状容器20の他端部の方向に流動する。この際に、混合燃料ガスは、カソード層12及びアノード層14を形成する微細孔内に拡散し、固体電解質層10の表面に到達する。
固体電解質層10の表面に到達した混合ガスのうち、メタン等の燃料ガスと固体電解質層10を通過した酸素イオンとが電気化学的に反応し、水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、水素(H2)、一酸化炭素(CO)を生成すると共に、酸素イオンが電子を放出する。この電気化学的反応によって生成した水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、水素(H2)、一酸化炭素(CO)は、充填層26の他端面側の部分26bから排出される。
この排出ガス中の燃焼ガス濃度(酸素濃度)は、発火限界外であるため、排出ガスを通過する通路に特別な防爆構造を設けることは要しない。
また、かかる電気化学的反応は、発熱反応であるため、筒状容器20の外壁からの放熱を制御することによって、多層燃料電池用セルを駆動温度に保持できる。
尚、図1の燃料電池に供給する混合燃料ガスとしては、メタンの他に、水素ガス、エタン、ブタン、プロパン等の燃料ガスと空気とを混合した混合燃料ガスを好適に用いることができる。
【0022】
図1に示す燃料電池では、多層燃料電池用セルを構成する固体電解質層10が緻密構造であるため、多層燃料電池用セルを、その単一燃料電池用セル16を形成するカソード層12及びアノード層14を、供給ノズル28から供給した混合燃料ガスの流動方向と平行となるように筒状容器20内に収容し、多孔質層であるカソード層12及びアノード層14を混合燃料ガスの流路としている。かかる図1に示す燃料電池では、多層燃料電池用セルの外周面と筒状容器20の内周面との封止が困難となり易い傾向にある。
この点、図3に示す燃料電池の様に、複数の単一燃料電池用セル40,40・・が積層された多層燃料電池用セルを、単一燃料電池用セル40を形成するカソード層12及びアノード層14を供給ノズル28から供給した混合燃料ガスの流動方向と直角となるように筒状容器20内に収容することによって、多層燃料電池用セルの外周面と筒状容器20の内周面との封止を容易とすることができる。
但し、混合燃料ガスが多層燃料電池用セルを通過することを要するため、図3に示す多層燃料電池用セルを構成する単一燃料電池用セル40は、カソード層12、アノード層14及び固体電解質層30が多孔質層によって形成されている。
【0023】
図3に示す多層燃料電池用セルは、所定形状に形成した各層のグリーンシートを積層した積層体を同時焼成することによって得ることができる。このため、図3に示す多層燃料電池用セルは、予め焼成して形成した固体電解質層10に、所定形状の各層用のグリーンシートを積層した後、又は各層用のペーストを所定形状に塗布した後、再焼成することによって得る図1に示す多層燃料電池用セルに比較して、製造コスト等を安価とすることができる。
ここで、図3に示す燃料電池を形成する部材のうち、図1に示す燃料電池と同一部材については図1と同一番号を付して詳細な説明を省略する。
かかる図3に示す燃料電池の供給ノズル28から供給した混合燃料ガスは、多孔質層のカソード層12、アノード層14及び固体電解質層30内を流れつつ、電気化学反応を惹起し、充填層26の他端面側の部分26bから排出される。
尚、図3に示す燃料電池を形成する部材について、図1に示す燃料電池と同一部材は同一番号を付して詳細な説明を省略した。
【0024】
以上、説明してきた図1〜図3においては、供給ノズル28の噴出端と筒状容器20に充填された充填層26の一端面とを近接し、供給ノズル28の供給端から充填層26の一端面に向けて噴出する混合燃料ガスに着火した火炎32が消炎できるように、供給ノズル28を移動可能に設けているが、固定した供給ノズル28の供給端の方向に筒状容器20を移動可能に設けてもよく、供給ノズル28及び筒状容器20を移動可能に設けてもよい。
また、図1〜図3では、多層燃料電池用セルを用いているが、燃料電池用セルと筒状容器20との間隙から混合燃料ガスのバイパスを防止できれば、本発明を単一燃料電池用セルのみを筒状容器内に収容した燃料電池にも適用できる。
【0025】
【発明の効果】
本発明に係る燃料電池によれば、メタン等の燃料と酸素との混合燃料ガスを用い、混合燃料ガスの爆発を防止しつつ、燃料の炭化の進行を防止し得る程度に酸素濃度を向上した混合燃料ガスを使用でき、且つ電熱ヒータ等の特別な外部加熱手段を必要としない。このため、本発明に係る燃料電池は、簡易な構造とすることができ、災害の際やキャンプ等の野外で使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料電池の一例を説明する断面図である。
【図2】図1に示す燃料電池において、供給ノズルの供給端から充填層の一端面に向けて噴出する混合燃料ガスに着火した火炎を、充填層の一端面方向に移動した状態を説明する説明図である。
【図3】本発明に係る燃料電池の他の例を説明する断面図である。
【図4】従来の燃料電池を説明する概略図である。
【図5】改良された燃料電池を説明す概略図である。
【符号の説明】
10 固体電解質層
12 カソード層
14 アノード層
16,40 単一燃料電池用セル
20 筒状容器
26 充填層
26a 充填層26の一端側の部分
26b 充填層26の他端側の部分
28 供給ノズル
32 火炎
30 固体電解質層
Claims (8)
- 燃料電池用セルが収容された筒状容器の端部の一方から燃料ガス及び酸素を含む混合燃料ガスが供給され、前記筒状容器の端部の他方から排ガスが排出される燃料電池であって、
該燃料電池用セルが収容された筒状容器内の混合燃料ガスや排ガスが流動する空間部に、前記燃料電池の駆動条件で安定している金属又はセラミックから成る粉粒体が充填されて、前記燃料電池用セルを含む充填層が形成されていると共に、前記充填層の充填物間の間隙が、前記燃料電池用セルが発電可能の駆動温度に到達した際に、前記空間部内に発火限界内の混合燃料ガスが存在しても発火し得ない間隙に形成され、
且つ前記筒状容器の一方の端部に臨む前記充填層の一端面に混合燃料ガスを供給する供給ノズルが設けられており、
前記供給ノズルの供給端から前記充填層の一端面に向けて噴出する混合燃料ガスに着火して火炎及び燃焼ガスによって前記充填層及び燃料電池用セルを加熱し、前記燃料電池セルがその駆動温度に到達したとき、前記供給ノズルの噴出端と前記充填層の一端面とが近接して前記火炎が消炎できるように、前記供給ノズル及び筒状容器の少なくとも一方が移動可能に設けられていることを特徴とする燃料電池。 - 筒状容器内の空間部に充填された充填物の間隙が、燃料電池を駆動した際に、前記空間部内の混合燃料ガスの消炎距離よりも狭い請求項1記載の燃料電池。
- 充填物間の最大間隙が、燃料電池を駆動した際に、空間部内の混合燃料ガスの爆轟を防止し得る消炎直径以下である請求項1又は請求項2記載の燃料電池。
- 充填層が、供給ノズル側と排ガスの排出側とに設けられ、前記供給ノズル側の充填層の厚さが、前記排ガスの排出側の充填層よりも薄く形成されている請求項1〜3のいずれか一項記載の燃料電池。
- 燃料電池用セルが、固体電解質層がカソード層とアノード層とに挟み込まれて形成された複数の単一燃料電池用セルが、互いに隣接するアノード層とカソード層とが直接接合されるように積層されて形成された多層燃料電池用セルである請求項1〜4のいずれか一項記載の燃料電池。
- 多層燃料電池用セルが、その単一燃料電池用セルのアノード層及びカソード層が混合燃料ガスの流動方向に対して平行となるように容器内に載置され、
前記カソード層及びアノード層の各々が、前記混合燃料ガスが通過し得る多数の微細孔が形成された多孔質層であり、固体電解質層が、前記混合燃料ガスが実質的に通過することのない緻密構造である請求項5記載の燃料電池。 - 多層燃料電池用セルが、その単一燃料電池用セルのアノード層及びカソード層が混合燃料ガスの流動方向に対して直角に載置され、
前記アノード層、カソード層及び固体電解質層の各々が、前記混合燃料ガスが通過し得る多数の微細孔が形成された多孔質層である請求項5記載の燃料電池。 - アノード層が、Liが固溶されたNiOを主成分とする焼成体によって形成されている請求項5〜7のいずれか一項記載の燃料電池。
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