JP4256599B2 - パケット転送制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報をパケット単位に分割してデータを転送するパケット通信において、最大蓄積量を超えるパケットを受信した時に、新規受信パケットを廃棄するか、すでに蓄積されているパケットを廃棄するかを判定する機能を備えたパケット転送制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インターネットのサービス拡大に伴い、双方向の音声通信や会議型通信といったリアルタイム性を求められるアプリケーションや、映像配信のように高速広帯域のアプリケーションが出現している。これらのアプリケーションにはネットワークが通信帯域やQoS(Quality of Service)を保証しなければならず、これらを実現するためにはルータに代表されるパケット転送制御装置でトラフィック制御を行なう機能が必要となる。
【0003】
図8は、従来のパケット転送制御装置のパケット転送制御動作を示す図である。パケット転送制御装置は、受信されたパケットを図8に示すような優先度に対応したクラスキューに接続し、各クラスキューからパケットを読み出して送信する。このとき、各クラスキューの読み出しはWFQ(Weighted Fair Queuing)を適用し、優先度に基づいて優先度の高いものほど読み出す比率を大きくすることで優先度の高いパケットほど早く送信するという優先制御を行なっている。そして、各クラスキューはメモリの最大使用可能容量が予め割り当てられており、最大使用可能容量を超えて受信したパケットは廃棄されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のパケット転送制御装置では、各クラスキューに予め割り当てられたメモリの最大使用可能容量を超えて受信したパケットは廃棄されてしまうので、例えば、ある優先度nのクラスキューが、割り当てられたメモリの最大使用可能容量を使用している状態で、更に優先度nのパケットを受信すると、たとえ他の優先度のクラスキューで使用しているメモリ使用量が少なくて、メモリ全体としては空きがある場合でも受信パケットを廃棄してしまう。つまり、従来のパケット転送制御装置は、各クラスキューに予め割り当てられたメモリの最大使用可能容量を超えてメモリを使用することができないため、メモリの使用効率が悪く、パケットロスの発生頻度を高めるという問題がある。
【0005】
また、前記の問題を回避するため、例えば、各クラスキューに予め割り当てられるメモリの最大使用可能容量をメモリ全体の容量に設定すると、ある優先度nのパケットがバースト的に発生し、優先度nのクラスキューがメモリの最大使用可能容量すなわちメモリ全体を使用してしまうと、たとえ優先度nより優先度の高いパケットを受信しても、受信パケットを廃棄してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、以上のような従来のパケット転送制御装置における問題点に鑑みてなされたものであり、パケット転送制御装置内のメモリ使用効率を高め、パケットロスの発生頻度を抑えると共に、優先度の高いパケットが廃棄される頻度を抑えることができるパケット転送制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記の課題を解決するために以下の構成に係るものとした。
請求項1に記載のパケット転送制御装置は、前記パケットの優先度を検出する優先度検出手段と、前記優先度に対応するクラス毎にパケットを蓄積する蓄積手段と、前記クラス毎に前記蓄積手段に蓄積するパケットの廃棄を行うか否かを判定する基準となる閾値である蓄積基準値を保持する基準値保持手段と、前記蓄積手段の全体の空き容量や各クラスの使用容量を容量情報として管理する容量把握手段と、前記空き容量に基づいて、新規に受信したパケットを前記蓄積手段に蓄積できるか否かを判定する蓄積判定手段と、前記蓄積判定手段の判定に基づいて、新規に受信したパケットを前記蓄積手段に蓄積できない時に、廃棄すべきパケットを決定する廃棄決定手段と、前記廃棄決定手段の決定に基づいて、パケットを廃棄する廃棄実行手段と、前記蓄積手段に新規に受信したパケットを転送する蓄積実行手段と、を備え、前記廃棄決定手段が、前記各クラスの使用容量のうちで前記蓄積基準値を超えた蓄積基準値超過量が最大となるクラスのパケットを廃棄すべきパケットとして決定する構成とした。
【0008】
このように構成されることにより、容量把握手段により蓄積手段の空き容量や各クラスの使用容量管理され、蓄積判定手段が前記容量情報に基づいて、新規に受信したパケットを前記蓄積手段に蓄積できるか否かを判定することができる。そして、廃棄決定手段により廃棄パケットを決定し、廃棄実行手段によりパケットを廃棄することができ、また、蓄積実行手段により、前記蓄積手段へパケットの蓄積を行なうことができる。このため、例えば前記蓄積手段の空き容量がない状態で、新規パケットを受信した時に、従来のように新規パケットを廃棄するだけでなく、前記蓄積手段に蓄積されたパケットも廃棄可能なため、例えば、パケット通信で開始手順、データ通信手順、終了手順といった通信手順を持った通信において、データ通信手順中に前記蓄積手段の空き容量が無くなっても、前記蓄積手段のパケットを廃棄してから新規パケットを蓄積することで終了手順のパケットが廃棄されにくくなる。
【0010】
また、このように構成されることにより、受信したパケットから優先度検出手段が優先度を検出し、前記蓄積手段が、前記優先度に対応するクラス毎にパケットを蓄積することができ、例えば前記蓄積手段の空き容量がない状態で、新規パケットを受信した時に、優先度の低いパケットを廃棄することができるので優先度の高いパケットが廃棄される頻度を抑えることができる。
【0012】
また、このように構成されることにより、基準値保持手段は、前記優先度に対応するクラス毎に前記蓄積手段に蓄積するパケットの蓄積基準値を保持することができ、廃棄決定手段は、前記クラス毎に蓄積されたパケット量と前記蓄積基準値とに基づいて、廃棄すべきパケットを決定することができるので、例えば前記蓄積手段の空き容量がない状態で、新規パケットを受信した時に、蓄積基準値を大きく超えている優先度のパケットを廃棄することができる。また、前記蓄積手段を最大限使用することができるので、蓄積手段の使用効率を高めることができる。
【0013】
請求項2に記載のパケット転送制御装置は、受信したパケットを一旦蓄積し、蓄積されたパケットを送信先に転送するパケット転送制御装置において、前記パケットの優先度を検出する優先度検出手段と、前記優先度に対応するクラス毎にパケットを蓄積する蓄積手段と、前記クラス毎に前記蓄積手段に蓄積するパケットの廃棄を行うか否かを判定する基準となる閾値である蓄積基準値を保持する基準値保持手段と、前記蓄積手段の全体の空き容量や各クラスの使用容量を容量情報として管理する容量把握手段と、前記空き容量に基づいて、新規に受信したパケットを前記蓄積手段に蓄積できるか否かを判定する蓄積判定手段と、前記蓄積判定手段の判定に基づいて、新規に受信したパケットを前記蓄積手段に蓄積できない時に、廃棄すべきパケットを決定する廃棄決定手段と、前記廃棄決定手段の決定に基づいて、パケットを廃棄する廃棄実行手段と、前記蓄積手段に新規に受信したパケットを転送する蓄積実行手段と、を備え、前記廃棄決定手段が、前記新規に受信したパケットの優先度以下のクラスにおいて、各クラスの使用容量のうちで前記蓄積基準値を超えた蓄積基準値超過量が最大となるクラスのパケットを廃棄すべきパケットとして決定する構成とした。
【0014】
このように構成されることにより、基準値保持手段は、前記優先度に対応するクラス毎に前記蓄積手段に蓄積するパケットの蓄積基準値を保持することができ、廃棄決定手段は、前記クラス毎に蓄積されたパケット量と前記蓄積基準値と新規に受信したパケットの優先度とに基づいて、廃棄すべきパケットを決定することができ、例えば前記蓄積手段の空き容量がない状態で、新規パケットを受信した時に、新規に受信したパケットの優先度以下で蓄積基準値を大きく超えている優先度に対応するクラスのパケットを廃棄することができるので、優先度の高いパケットが廃棄される頻度を抑えることができる。また、前記蓄積手段を最大限使用することができるので、蓄積手段の使用効率を高めることができる。
【0015】
請求項3に記載のパケット転送制御装置は請求項1または請求項2に記載のパケット転送制御装置において、前記基準値保持手段の蓄積基準値を設定する基準値設定手段を有し、前記基準値設定手段が、前記蓄積手段の容量を前記優先度の重み付けに基づいて分割した容量値を、前記蓄積基準値として前記基準値保持手段に設定する構成とした。
【0016】
このように構成されることにより、前記基準値設定手段は、前記蓄積手段の容量を前記優先度の重み付けに基づいて分割した容量値を、前記蓄積基準値として前記基準値保持手段に設定することができるので、前記蓄積基準値を設定する労力を低減することができる。
【0017】
請求項4に記載のパケット転送制御装置は請求項1または請求項2に記載のパケット転送制御装置において、入力に応じて前記基準値保持手段の蓄積基準値を設定する基準値設定手段を有し、前記基準値設定手段が、入力に応じて、少なくとも一以上の優先度に対応するクラスの蓄積基準値あるいは前記優先度の重み付けを設定したのち、残りの前記蓄積手段の容量を前記優先度の重み付けに基づいて分割した容量値を、前記蓄積基準値に付加し新規の蓄積基準値として前記基準値保持手段に設定する構成とした。
【0018】
このように構成されることにより、前記基準値設定手段は、入力に応じて、少なくとも一以上の優先度に対応するクラスの蓄積基準値あるいは前記優先度の重み付けを設定したのち、残りの前記蓄積手段の容量を前記優先度の重み付けに基づいて分割した容量値を、前記蓄積基準値に付加し新規の蓄積基準値として前記基準値保持手段に設定することができるので、前記蓄積基準値を設定する労力を低減することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(パケット転送制御装置:参考例
図1は、参考例であるパケット転送制御装置の全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、パケット転送制御装置1は、パケットの送受信を行なう受信手段41及び送信手段42を含んだパケット送受信部40と、受信手段41が受信したパケットを蓄積するクラスキュー構造を持つ蓄積手段31を含んだメモリ部30と、蓄積手段31の容量管理を行なう容量把握手段21を含んだメモリ管理部20と、パケットの優先度を検出する優先度検出手段11と、新規受信パケットを蓄積手段31に蓄積できるかどうかを判断する蓄積判定手段12と、前記パケットを蓄積手段31に蓄積する蓄積実行手段13と、新規受信パケット又は蓄積手段31内のどのパケットを廃棄するかを決定する廃棄決定手段14と、前記パケットを廃棄する廃棄実行手段15とを含んだ主制御部10と、を備えて構成されている。
【0020】
パケット転送制御装置1は、外部から到着したパケットを受信すると、一旦受信パケットを蓄積し、パケットに記述された送信先に基づいて蓄積されたパケットを転送する装置で、特にパケットの受信が集中して該パケットを蓄積しきれない状態になった時に、該パケットとすでに蓄積されているパケットとから廃棄すべきパケットを決定することが可能な装置である。
【0021】
以下に各手段ごとの説明を行なう。
受信手段41は、外部から到着したパケットを受信するとその旨をパケット送受信部40が主制御部10に通知する。主制御部10は前記パケット受信の通知によりパケット受信動作を開始する。
【0022】
優先度検出手段11は、受信手段41が受信したパケットから優先度を抽出する。例えば受信したパケットがIP(Internet Protocol)パケットの場合には、図3に示したIPヘッダ情報に含まれるType of Serviceフィールドを優先度として使用する。
【0023】
蓄積判定手段12は、メモリ管理部20の容量把握手段21から蓄積手段31の容量情報を取得し、前記容量情報と受信手段41が新規に受信したパケット量とを比較して、蓄積手段31に蓄積することができるかどうかを判断する。ここで、前記容量情報は、蓄積手段31全体の空き容量とする。ここで、前記優先度毎に蓄積手段31の使用制限容量は設けないことで、受信したパケットの優先度に関係無く、最大で蓄積手段31全体まで蓄積することができる。また、これ以外に、前記容量情報は、前記優先度毎に蓄積手段31の使用制限容量を割り当て、蓄積手段31の該優先度毎の空き容量としてもよい。
【0024】
蓄積実行手段13は、受信手段41が新規に受信したパケットをメモリ部30内の蓄積手段31に転送し蓄積する。この時蓄積実行手段13は、前記優先度検出手段11で検出した優先度に基づいて、蓄積手段31の前記優先度に対応したクラスキューに受信したパケットを接続する。
【0025】
廃棄決定手段14は、蓄積判定手段12で受信手段41が受信したパケットを蓄積手段31に蓄積することができないと判断したときに、該受信パケットとすでに蓄積手段31に蓄積されているパケットとから廃棄すべきパケットを決定する。この時廃棄決定手段14は、受信パケットの優先度に基づいて、該優先度よりも優先度の低いクラスキューに接続されているパケットを廃棄対象パケットとすることもできるし、該優先度を有するクラスキューに接続されているパケットを廃棄対象パケットとすることもできるし、あるいは該優先度が最も低いときは受信パケットそのものを廃棄対象パケットとすることもできる。
【0026】
廃棄実行手段15は、廃棄決定手段14で決定された廃棄対象パケットの廃棄を実行する。前記廃棄対象パケットが新規に受信したパケットの場合、廃棄実行手段15はパケット送受信部40に対して廃棄指示を行ない受信手段41が受信したパケットの廃棄を行なう。また、前記廃棄対象パケットが蓄積手段31に蓄積されているパケットの場合は、廃棄実行手段15は廃棄決定手段14で決定された廃棄対象パケットの優先度に基づいて蓄積手段31内のクラスキューから該パケットを廃棄する。
【0027】
容量把握手段21は、メモリ部30内の蓄積手段31の容量管理を行ない、少なくとも蓄積手段31の空き容量や、前記優先度毎の使用制限容量や、前記優先度毎の使用容量や空き容量を管理し、前記容量情報は主制御部10の蓄積判定手段12の判定に使用される。
【0028】
蓄積手段31は、前記優先度に対応したクラスキュー毎に受信パケットを蓄積する。
【0029】
受信手段41は、外部から到着したパケットを受信するとその旨をパケット送受信部40が主制御部10に通知する。受信したパケットは、主制御部10内の蓄積実行手段13によりメモリ部30内の蓄積手段31に転送し蓄積されるか、または、主制御部10内の廃棄実行手段15からの廃棄指示によりパケット送受信部40内で廃棄を行なう。
【0030】
送信手段42は、メモリ部30内の蓄積手段31のクラスキューに接続されているパケットを読み出して送信先に転送する。このとき、各クラスキューの読み出しはWFQ(Weighted Fair Queuing)を適用し、優先度に基づいて優先度の高いものほど読み出す比率を大きくすることで優先度の高いパケットほど早く送信する。
【0031】
(パケット転送制御装置:参考例の動作)
次に、パケット転送制御装置1のパケット受信動作について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0032】
パケット転送制御装置1は、受信処理の通常状態は外部からのパケットの到着を常に監視する受信待ち状態で待機している(ステップa1)。ここで外部からパケットが到着するとパケット送受信部40の受信手段41がパケットを受信(新規パケット受信)する(ステップa2)。パケット送受信部40が主制御部10にパケットを受信したことを通知すると、主制御部10内の優先度検出手段11が受信したパケットから優先度を抽出する(ステップa3)。次に蓄積判定手段12がメモリ管理部20の容量把握手段21から蓄積手段31の容量情報を取得し(ステップa4)、前記容量情報と受信手段41が新規に受信したパケット量とを比較して(ステップa5)、蓄積手段31に新規受信パケットを蓄積する空き容量がある場合は、蓄積実行手段13が新規に受信したパケットをメモリ部30内の蓄積手段31に転送し蓄積(新規受信パケット蓄積)する(ステップa6)。
【0033】
一方、蓄積手段31に新規受信パケットを蓄積する空き容量がない場合は、廃棄決定手段14が廃棄すべきパケットを決定する(ステップa7)。前記決定された廃棄パケットを判定し(ステップa8)、廃棄するパケットが新規に受信したパケット(新規受信パケット)の場合は、廃棄実行手段15パケット送受信部40に対して廃棄指示を行ない受信手段41が受信したパケットの廃棄(新規受信パケット廃棄)を行なう(ステップa9)。
【0034】
また一方、廃棄するパケットが蓄積手段31に蓄積されているパケット(蓄積手段パケット)の場合は、廃棄実行手段15は廃棄決定手段14で決定された廃棄対象パケットの優先度に基づいて蓄積手段31内のクラスキューから該パケットを廃棄(蓄積手段内のパケット廃棄)し(ステップa10)、その後、蓄積実行手段13が新規に受信したパケットをメモリ部30内の蓄積手段31に転送し蓄積(新規受信パケット蓄積)する(ステップa6)。
【0035】
この実施の形態では、受信したパケットから優先度検出手段11が優先度を検出し、容量把握手段21により蓄積手段31の容量情報が算出され、蓄積判定手段12が前記容量情報に基づいて、新規に受信したパケットを蓄積手段31に蓄積できるか否かを判定することができる。そして、前記判定に基づいて、廃棄決定手段14により廃棄パケットを決定し、廃棄実行手段15によりパケットを廃棄することができ、また、蓄積実行手段13により、前記優先度毎に蓄積手段31へパケットの蓄積を行なうことができる。
【0036】
なお、この実施の形態では、パケットに優先度を持つ場合について説明しているが、優先度を持たせない場合でも実施可能である。例えば受信したパケットがIP(Internet Protocol)パケットの場合には、図3に示したIPヘッダ情報に含まれるType of Serviceフィールドを優先度検出手段11が抽出し、前記フィールドを蓄積手段31のクラスキューのクラス番号に対応付ければよい。例えば、Type of Serviceフィールドの値が0、1、2、…の場合、その各々の値に対して、クラスキューのクラス番号を1、2、3、…として対応付ければよい。この時、廃棄決定手段14は、最も多くのパケットが接続されているクラスキューのパケットを廃棄対象パケットとすることもできるし、新規に受信されたパケットのクラス番号に対応するクラスキューのパケットを廃棄対象パケットとすることもできる。
【0037】
また、前記優先度や前記クラス番号を持たないパケットを扱う場合は、パケット転送制御装置1から優先度検出手段11を除いた構成とし、蓄積手段31には一つのキューのみで受信パケットを蓄積することも可能である。この時、廃棄決定手段14は、蓄積手段31に蓄積されているパケットのうちキューの先頭パケットを廃棄対象パケットとすることで、例えば、パケットのデータ通信において終了手順開始のパケットを示す終了パケットが廃棄されにくくなる。
【0038】
(パケット転送制御装置:本発明の実施形態)
図2は、本発明の実施形態であるパケット転送制御装置の全体構成を示すブロック図である。パケット転送制御装置1Aは、図1に示した参考例のパケット転送制御装置1と比べて、主制御部10の廃棄決定手段14の機能と、基準値設定手段16と、メモリ管理部20に基準値保持手段22が付加されて構成されていることのみが異なっている。廃棄決定手段14と基準値設定手段16と基準値保持手段22以外の機能及び構成は図1に示したものと同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0039】
基準値保持手段22は、メモリ部30の蓄積手段31の各クラスキューにパケットを接続していく際に、各クラスキューに蓄積するパケット量の蓄積基準値を各クラス毎に保持する。前記蓄積基準値は、後述する廃棄決定手段14が、あるクラスキューに蓄積されたパケット量が該クラスに設定されている蓄積基準値を超えている場合に、該クラスのパケットを廃棄対象パケットとして判定する基準となる閾値である。
【0040】
基準値設定手段16は、前記基準値保持手段22に前記蓄積基準値を設定する。この時基準値設定手段16は、容量把握手段21から蓄積手段31の容量を取得し、優先度の重み付けに従って前記基準値保持手段22に前記蓄積基準値を設定する。
【0041】
また、基準値設定手段16は、前記の蓄積基準値算出以外に外部の入力手段(図示せず)から、任意の優先度に対応するクラスの蓄積基準値と前記優先度の重み付けを設定したのち、残りの蓄積手段31の容量を前記優先度の重み付けに基づいて分割した容量値を、前記蓄積基準値に付加し新規の蓄積基準値として基準値保持手段22に設定することもできる。
【0042】
また、前記蓄積基準値は、特に基準値設定手段16を構成せずに蓄積手段31の全容量を各クラスに等分した値を設定してもよいし、優先度に応じて重み付けを持たせて配分した値を予め基準値保持手段22に設定しておいてもよいが本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
廃棄決定手段14は、蓄積判定手段12で受信手段41が受信したパケットを蓄積手段31に蓄積することができないと判断したときに、該受信パケットとすでに蓄積手段31に蓄積されているパケットとから廃棄すべきパケットを決定する。この時、廃棄決定手段14は、メモリ管理部20の容量把握手段21から蓄積手段31の容量情報として取得した各クラスの使用容量と、前記基準値保持手段22に保持された各クラスの蓄積基準値とを比較し、図4に示したように各クラスに設定されている蓄積基準値を超えた蓄積基準値超過量が最大となるクラスキューに接続されているパケットを廃棄対象パケットとする。
【0044】
また、廃棄決定手段14は、新規に受信したパケットの優先度以下のクラスを対象として、メモリ管理部20の容量把握手段21から蓄積手段31の容量情報として取得した各クラスの使用容量と、前記基準値保持手段22に保持された各クラスの蓄積基準値とを比較し、各クラスに設定されている蓄積基準値を超えた蓄積基準値超過量が最大となるクラスキューに接続されているパケットを廃棄対象パケットとしてもよいが、本発明ではこれに限定されるものではない。
【0045】
(パケット転送制御装置:本発明の実施形態の動作)
次に、パケット転送制御装置1Aの基準値保持手段22の設定動作について説明する。
【0046】
基準値設定手段16は、容量把握手段21から蓄積手段31の容量を取得し、優先度の重み付けに従って前記基準値保持手段22に前記蓄積基準値を設定する。例えば、蓄積手段31に500パケット分の容量があり、前記優先度に対応したクラスが4クラス(C1、C2、C3、C4)あった時、各優先度の重み付けを4:3:2:1の比率にすると、基準値設定手段16は、各クラスの蓄積基準値はそれぞれ200、150、100、50と算出し前記基準値保持手段22に設定する。
【0047】
また、基準値設定手段16は、前記の蓄積基準値算出以外に外部の入力手段(図示せず)から、任意の優先度に対応するクラスの蓄積基準値と前記優先度の重み付けを設定したのち、残りの蓄積手段31の容量を前記優先度の重み付けに基づいて分割した容量値を、前記蓄積基準値に付加し新規の蓄積基準値として基準値保持手段22に設定することもできる。例えば、蓄積手段31に500パケット分の容量があり、前記優先度に対応したクラスが4クラス(C1、C2、C3、C4)あった時、前記入力手段からC1クラスの蓄積基準値を150、C2クラスの蓄積基準値を50とし、各優先度の重み付けを2:1:1:1の比率に設定したとすると、蓄積手段31の残り容量(300)を前記優先度の重み付けに基づいて分割した容量値(120、60、60,60)を前記C1とC2の蓄積基準値に付加し、各クラスの新規の蓄積基準値として270、110、60、60が算出され前記基準値保持手段22に設定する。
【0048】
次に、パケット転送制御装置1Aのパケット受信動作について、フローチャートを参照して説明する。
【0049】
パケット転送制御装置1Aは、参考例として説明したパケット転送制御装置1の受信動作において廃棄決定手段14の動作のみが異なるので、廃棄決定手段14の動作のみを図6のフローチャートを参照して説明する。なお図6のフローチャートは、図5のフローチャートで記述された廃棄パケットの決定(ステップa7)ステップに相当する。
【0050】
廃棄決定手段14は、廃棄対象クラス番号のレジスタ値(maxn)と、最大蓄積基準値超過量のレジスタ値(maxm)と、クラス総数分のループに使用するクラス番号のレジスタ値(n)を初期化する(ステップb1)。次に容量把握手段21から取得したクラス番号(n)のパケット量(使用容量)と、基準値保持手段22に保持されているクラス番号(n)の蓄積基準値の差分を蓄積基準値超過量としてレジスタ(m)に登録し(ステップb2)、前記最大蓄積基準値超過量(maxm)と、前記蓄積基準値超過量(m)とを比較して(ステップb3)、前記蓄積基準値超過量(m)の方が大きい時だけ次のステップに進み、それ以外の時はステップ6へ進む。ここで蓄積基準値超過量(m)を最大蓄積基準値超過量(maxm)にコピーし(ステップb4)、クラス番号(n)を廃棄対象クラス番号(maxn)にコピーする(ステップb5)。クラス番号(n)をクラス総数と比較して(ステップb6)、クラス番号(n)がクラス総数より小さいときは、クラス番号のレジスタ値(n)をインクリメントし(ステップb7)、ステップb2に戻る。クラス番号(n)がクラス総数と等しくなった段階で、レジスタ(maxn)に登録されているクラス番号のパケットを廃棄パケットと決定する(ステップb8)。
【0051】
また、廃棄決定手段14は、前記図6のフローチャートで説明した動作に加え、新規に受信したパケットの優先度を廃棄対象パケットの決定要因に加味することもできる。以下に図7のフローチャートを参照して説明する。なお図7のフローチャートは、図5のフローチャートで記述された廃棄パケットの決定(ステップa7)ステップに相当する。
【0052】
廃棄決定手段14は、廃棄対象クラス番号のレジスタ値(maxn)と、最大蓄積基準値超過量のレジスタ値(maxm)と、クラス総数分のループに使用するクラス番号(=優先度)のレジスタ値(n)を初期化する(ステップc1)。次に受信手段41が受信し優先度検出手段11が抽出した新規受信パケットの優先度をレジスタ(N)に登録し(ステップc2)、前記クラス番号(=優先度)(n)と、新規パケットの優先度(N)とを比較し(ステップc3)、前記新規パケットの優先度(N)が前記クラス番号(=優先度)(n)より大きい、または同じ場合に次のステップに進み、それ以外の時は、ステップc8へ進む。次に容量把握手段21から取得したクラス番号(n)のパケット量(使用容量)と、基準値保持手段22に保持されているクラス番号(n)の蓄積基準値の差分を蓄積基準値超過量としてレジスタ(m)に登録し(ステップc4)、前記最大蓄積基準値超過量(maxm)と、前記蓄積基準値超過量(m)とを比較し(ステップc5)、前記蓄積基準値超過量(m)の方が大きい時、蓄積基準値超過量(m)を最大蓄積基準値超過量(maxm)にコピーし(ステップc6)、クラス番号(n)を廃棄対象クラス番号(maxn)にコピーする(ステップc7)。クラス番号(n)をクラス総数と比較して(ステップc8)、クラス番号(n)がクラス総数より小さいときは、クラス番号のレジスタ値(n)をインクリメントし(ステップc9)、ステップc3に戻る。クラス番号(n)がクラス総数と等しくなった段階で、レジスタ(maxn)に登録されているクラス番号のパケットを廃棄パケットと決定する(ステップc10)。
【0053】
この実施の形態では、基準値保持手段22は、パケットの優先度毎に蓄積手段31に蓄積するパケットの蓄積基準値を保持することができ、廃棄決定手段14が、蓄積手段31内の優先度毎に蓄積されたパケット量と、前記蓄積基準値と、あるいは新規に受信したパケットの優先度とに基づいて、廃棄すべきパケットを決定することができる。
【0054】
以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明に係るパケット転送制御装置では、以下に示す優れた効果を奏する。
【0056】
請求項1に記載の発明によれば、容量把握手段により蓄積手段の容量情報が算出され、蓄積判定手段が前記容量情報に基づいて、新規に受信したパケットを前記蓄積手段に蓄積できるか否かを判定することができる。そして、廃棄決定手段により廃棄パケットを決定し、廃棄実行手段によりパケットを廃棄することができ、また、蓄積実行手段により、前記蓄積手段へパケットの蓄積を行なうことができる。このため、例えば前記蓄積手段の空き容量がない状態で、新規パケットを受信した時に、従来のように新規パケットを廃棄するだけでなく、前記蓄積手段に蓄積されたパケットも廃棄可能なため、例えば、パケット通信で開始手順、データ通信手順、終了手順といった通信手順を持った通信において、データ通信手順中に前記蓄積手段の空き容量が無くなっても、前記蓄積手段のパケットを廃棄してから新規パケットを蓄積することで終了手順のパケットが廃棄されにくくなる。
【0057】
また、請求項1に記載の発明によれば、受信したパケットから優先度検出手段が優先度を検出し、前記蓄積手段が、前記優先度に対応するクラス毎にパケットを蓄積することができ、例えば前記蓄積手段の空き容量がない状態で、新規パケットを受信した時に、優先度の低いパケットを廃棄することができるので優先度の高いパケットが廃棄される頻度を抑えることができる。
【0058】
また、請求項1に記載の発明によれば、基準値保持手段は、前記優先度に対応するクラス毎に前記蓄積手段に蓄積するパケットの蓄積基準値を保持することができ、廃棄決定手段は、前記クラス毎に蓄積されたパケット量と前記蓄積基準値とに基づいて、廃棄すべきパケットを決定することができるので、例えば前記蓄積手段の空き容量がない状態で、新規パケットを受信した時に、蓄積基準値を大きく超えている優先度のパケットを廃棄することができる。また、前記蓄積手段を最大限使用することができるので、蓄積手段の使用効率を高めることができる。
【0059】
請求項2に記載の発明によれば、基準値保持手段は、前記優先度に対応するクラス毎に前記蓄積手段に蓄積するパケットの蓄積基準値を保持することができ、廃棄決定手段は、前記クラス毎に蓄積されたパケット量と前記蓄積基準値と新規に受信したパケットの優先度とに基づいて、廃棄すべきパケットを決定することができ、例えば前記蓄積手段の空き容量がない状態で、新規パケットを受信した時に、新規に受信したパケットの優先度以下で蓄積基準値を大きく超えている優先度に対応するクラスのパケットを廃棄することができるので、優先度の高いパケットが廃棄される頻度を抑えることができる。また、前記蓄積手段を最大限使用することができるので、蓄積手段の使用効率を高めることができる。
【0060】
請求項3に記載の発明によれば、前記基準値設定手段は、前記蓄積手段の容量を前記優先度の重み付けに基づいて分割した容量値を、前記蓄積基準値として前記基準値保持手段に設定することができるので、前記蓄積基準値を設定する労力を低減することができる。
【0061】
請求項4に記載の発明によれば、前記基準値設定手段は、入力に応じて、少なくとも一以上の優先度に対応するクラスの蓄積基準値あるいは前記優先度の重み付けを設定したのち、残りの前記蓄積手段の容量を前記優先度の重み付けに基づいて分割した容量値を、前記蓄積基準値に付加し新規の蓄積基準値として前記基準値保持手段に設定することができるので、前記蓄積基準値を設定する労力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例であるパケット転送制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の実施の形態に係るパケット転送制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】 IPヘッダの内容を示した図である。
【図4】 本発明による蓄積基準値の概念を説明した図である。
【図5】 ケット転送制御装置の動作を説明したフローチャートである。
【図6】 本発明の実施の形態であるパケット転送制御装置の廃棄パケット決定動作を説明したフローチャートである。
【図7】 本発明の実施の形態であるパケット転送制御装置の第二の廃棄パケット決定動作を説明したフローチャートである。
【図8】 従来のパケット転送制御装置のパケット転送制御動作を説明した図である。
【符号の説明】
1、1A……パケット転送制御装置
10……主制御部
11……優先度検出手段
12……蓄積判定手段
13……蓄積実行手段
14……廃棄決定手段
15……廃棄実行手段
16……基準値設定手段
20……メモリ管理部
21……容量把握手段
22……基準値保持手段
30……メモリ部
31……蓄積手段
40……パケット送受信部
41……受信手段
42……送信手段

Claims (4)

  1. 受信したパケットを一旦蓄積し、蓄積されたパケットを送信先に転送するパケット転送制御装置において、
    前記パケットの優先度を検出する優先度検出手段と、
    前記優先度に対応するクラス毎にパケットを蓄積する蓄積手段と、
    前記クラス毎に前記蓄積手段に蓄積するパケットの廃棄を行うか否かを判定する基準となる閾値である蓄積基準値を保持する基準値保持手段と、
    前記蓄積手段の全体の空き容量や各クラスの使用容量を容量情報として管理する容量把握手段と、
    前記空き容量に基づいて、新規に受信したパケットを前記蓄積手段に蓄積できるか否かを判定する蓄積判定手段と、
    前記蓄積判定手段の判定に基づいて、新規に受信したパケットを前記蓄積手段に蓄積できない時に、廃棄すべきパケットを決定する廃棄決定手段と、
    前記廃棄決定手段の決定に基づいて、パケットを廃棄する廃棄実行手段と、
    前記蓄積手段に新規に受信したパケットを転送する蓄積実行手段と、を備え、
    前記廃棄決定手段が、前記各クラスの使用容量のうちで前記蓄積基準値を超えた蓄積基準値超過量が最大となるクラスのパケットを廃棄すべきパケットとして決定することを特徴とするパケット転送制御装置。
  2. 受信したパケットを一旦蓄積し、蓄積されたパケットを送信先に転送するパケット転送制御装置において、
    前記パケットの優先度を検出する優先度検出手段と、
    前記優先度に対応するクラス毎にパケットを蓄積する蓄積手段と、
    前記クラス毎に前記蓄積手段に蓄積するパケットの廃棄を行うか否かを判定する基準となる閾値である蓄積基準値を保持する基準値保持手段と、
    前記蓄積手段の全体の空き容量や各クラスの使用容量を容量情報として管理する容量把握手段と、
    前記空き容量に基づいて、新規に受信したパケットを前記蓄積手段に蓄積できるか否かを判定する蓄積判定手段と、
    前記蓄積判定手段の判定に基づいて、新規に受信したパケットを前記蓄積手段に蓄積できない時に、廃棄すべきパケットを決定する廃棄決定手段と、
    前記廃棄決定手段の決定に基づいて、パケットを廃棄する廃棄実行手段と、
    前記蓄積手段に新規に受信したパケットを転送する蓄積実行手段と、を備え、
    前記廃棄決定手段が、前記新規に受信したパケットの優先度以下のクラスにおいて、各クラスの使用容量のうちで前記蓄積基準値を超えた蓄積基準値超過量が最大となるクラスのパケットを廃棄すべきパケットとして決定することを特徴とするパケット転送制御装置。
  3. 前記基準値保持手段の蓄積基準値を設定する基準値設定手段を備え、
    前記基準値設定手段が、前記蓄積手段の容量を前記優先度の重み付けに基づいて分割した容量値を、前記蓄積基準値として前記基準値保持手段に設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパケット転送制御装置。
  4. 入力に応じて前記基準値保持手段の蓄積基準値を設定する基準値設定手段を備え、
    前記基準値設定手段が、入力に応じて、少なくとも一以上の優先度に対応するクラスの蓄積基準値あるいは前記優先度の重み付けを設定したのち、残りの前記蓄積手段の容量を前記優先度の重み付けに基づいて分割した容量値を、前記蓄積基準値に付加し新規の蓄積基準値として前記基準値保持手段に設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパケット転送制御装置。
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