JP4256592B2 - ガスタービン伸縮継手用たわみシール - Google Patents

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Description

(技術分野)
本発明は、一般にガスタービンに関し、特に、ガスタービン排気システムの伸縮継手用たわみシールの配置に関する。
【0001】
(背景技術)
一般に、高温のフランジを有するガスタービン排気システムの現行の伸縮継手は、2つの方法のいずれかで設計される。最も一般的なものは、セラミック繊維製複合ベルトとボルスタバッグから成る平ベルト配置である。ベルトの一端は、ガスタービンに取り付けられたフレームにボルト留めされ、もう一端は隣接する排気ダクト配管の上のフレームにボルト留めされる。複合ベルトのガスシールは、テフロン(登録商標)層、金属箔または金属含浸布でできている。もう1つの最も一般的なものは、ベルトの横断面の形状により「D」スタイルといわれることもあり、一端がガスタービンフランジ上に取り付けられる棒状部材にボルト留めされ、もう一端が排気ダクト配管上のフランジにボルト留めされる複合ベルト・ボルスタである。ベルトは、ダイアフラムとして機能する。
【0002】
第1に述べた平ベルト配置では、熱過渡によるフレーム割れ、フレーム割れおよびボルスタバッグ破損によるベルト焼損および汚水が地面に漏れるだけでなくベルトとボルスタバッグのセラミック繊維を損傷するガスタービン水洗サイクル中の漏れを含む問題がこれまで発生している。液体燃料燃焼式ガスタービンの着火不良発生時の液体燃料吸込みにより、繊維やバインダーが損傷し、ガスタービン排気温度が上がると発火する。さらに、このような設計は大きい相対的な動き(軸方向に3インチ以上)に対応しているが、セラミック繊維は、一旦伸びてしまうと元の形状に戻らず、その結果、焼損や高温ガスの漏れが発生する。
【0003】
第2に述べた「D」スタイルの複合ベルト・ボルタスバッグ配置は、ダクト配管上にこのスタイルのベルトを取り付けるのは非常に難しい点において、また、ボルスタバッグが経時的に劣化し、高温のガスによりベルトが損傷し、恐らくは、その結果、破損となるために、さらに満足しかねることが判明している。
【0004】
金属ベローズの配置も、同様の用途で使用されてきたが、2個のベローズを数フィート離して横オフセットおよび相対的な軸方向の動きを許容しなければならない。金属ベローズという考え方では、高品質の現場溶接が必要とされる場合がある。全体的に見て、大型ガスタービンでの金属ベローズ技法は、熱疲労による割れが発生しやすく、従って、やはり満足が得られていない。
【0005】
(発明の開示)
本発明では、実質的に横断面が円形のガスタービン軸流排気システムという状況で、高温または低温のいずれかのタービンフランジを高温または低温のいずれかの排気ダクト配管フランジに柔軟性をもって接続するという問題に対処する。本発明では、地面への汚水漏れを防ぐように水または液体燃料を処理するという問題にも対処する。
【0006】
本発明の1つの例示的実施形態では、低温の排気ダクト配管に対する高温のガスタービンダクトの軸方向および半径方向の相対的な動きが、その第1の端部はガスタービンダクト上に取り付けられたフランジにボルト留めされ、そのもう一方の端部は隣接する排気ダクト配管によって案内されるかまたは軸方向に支持された重ね合わせ肉薄金属板の層によって許容される。金属板の厚みおよびアーク長は、すべてのガスタービン動作モード中に金属板がガスシールを行うことできるように設計される。この実施形態では、金属板の自由端は、排気ダクト配管上で支持されるドレントラフの環状縁部に柔軟性をもって係合し、環状縁部上で自由に摺動することができる。さらに、このような設計の固有の形状によりドレントラフを排気ダクト配管に一体に組み込むことができ、その結果、以下にさらに詳細に説明するように、簡単に水や液体燃料を取り除くことができる。
【0007】
第2の実施形態では、重ね合わせ肉薄金属板は、高温対高温フランジ配置で使用できるようになっている。この実施形態では、たわみ板の自由端は、排気ダクト配管によって支持されるフランジ間の半径方向および横方向の動きに対応するよう案内される。
【0008】
シール板に対して断熱ブランケットを必要に応じて使用することもできるが、断熱ブランケットは軸方向、横方向、半径方向のいずれにもシール板の動きを妨げない。
【0009】
従って、より広い形態において、本発明は、たわみシール板の複数の軸方向隣接層を備え、各層は、シール板が全体で各層において360度の環を形成するようにそれぞれアーク長を有する複数のシール板を備え、さらに複数の層のたわみシール板は第1の端部でガスタービン排気ダクトに固定され、シール板の反対側の第2の端部で排気ダクト配管の少なくとも1つの表面と摺動自在に係合してなる、ガスタービン排気ダクトと軸方向隣接排気ダクト配管との間の伸縮継手用たわみシールに関する。
【0010】
別の形態においては、本発明は、継手がガスタービンダクトと隣接排気ダクト配管とを備え、たわみシールは第1の端部でガスタービンダクト上の環状取付フランジに固定される環状配置たわみシール板の複数の軸方向隣接層を備え、たわみシール板の第2の自由端は前記排気ダクト配管と摺動自在に係合し、それによりガスタービンダクトと排気ダクト配管との間の軸方向、横方向および半径方向の相対的な動きを許容してなる、ガスタービン排気システムの伸縮継手用たわみシールに関する。
【0011】
本発明の他の目的と利点は、以下の詳細な説明で明らかになろう。
【0012】
(発明を実施するための最良の形態)
図1、図1Aおよび図1Bによれば、本発明の第1の例示的実施形態が示されており、タービンの2つの排気ダクト10と12との間の伸縮継手用たわみシールを備える。図1に示すように、ダクト10はガスタービンダクトであり、ダクト12はタービンから離れて延在する隣接排気ダクト配管である。ダクト10とダクト12との間の伸縮継手の回りの部分は、従来の慣行に従って外部断熱ブランケット14(仮線で図示)によって覆うことができる。
【0013】
特に図1Aおよび図1Bによれば、高温対高温フランジ用途向けたわみシールは全体を16で示されており、全体を18で示す複数の比較的肉薄のたわみ板の重ね合わせ層を備える。板18は、実際は、板18A、板18B、および板18C(図2を参照)の軸方向に整列された3つの層である。各層は、周方向の配列による複数のかかる板を備え、任意の層の各板は、図2で最も良くわかるように、および、以下にさらに詳細に説明するように、周方向に隣接するセグメントと縁部で接する関係にあるアーチ形セグメントから成る。各アーチ形板18は、タービンダクト10の前縁上に形成されるフランジ22と係合するようになっている取付フランジ20を有し、シール板18は、ねじ締結具24(ナット、ボルト、座金アセンブリまたは同様のもの)によってフランジ22に固定される。必要に応じ、1つまたはそれ以上の断熱保持フランジ26を、フランジ22の反対側に固定することができる。複数の押えセグメント28が、タービンフランジ22にフランジ20を固定する役目をし、図2および図2Dで最も良くわかるように、、セグメント28が組み合わさって360度の環を形成する。たわみシール板18は、以下で説明するように、排気ダクト配管12の方に曲げられ、ばね付勢力により排気ダクト配管12と係合する。
【0014】
排気ダクト配管12には、最後端に、環状トラフブラケット32が固定される半径方向取付フランジ30が形成される。図1Aおよび図1Bで最も良くわかるように、環状トラフブラケット32はタービンダクト10に向って延び、次いでトラフブラケットの自由縁部36にたわみシール板18が係合するように、180度の方向転換34にて終わる。トラフブラケット32には、半径方向のフランジ38が形成され、このフランジ38はダクト配管12のフランジ30と組み合わさって、トラフブラケット32と協働してタービンダクト10の内側に沿って流れる水または燃料を捕らえる環状ドレントラフを構成する環状の半径方向配置トラフ板40を挟みこむ。トラフブラケット32の最下部には、回収された水もしくは液体燃料を適切な位置に導くドレン管42がある。
【0015】
図1Aと図1Bで見ると、たわみシール板18は、ダクト10と12との間の軸方向または半径方向の相対的な動きを許容するようにトラフブラケット32の自由縁部36と係合することが解るであろう。また、たわみ板18は、すべての動作状態で縁部36との接触を維持するために、ばね付勢力で縁部36と係合することに注意されたい。
【0016】
既に上述したように、たわみシール板l8は、ダクト継手の円周部に多重重ね合わせ層として配置される。たわみシール板18の厚みとアーク長は、これまで、たわみシール板がすべてのガスタービン動作モード中にガスシールを行うことができるように設計されてきた。本構成により、比較的大きな軸方向および半径方向の動きが可能なコンパクトな金属製「ダイアフラム」が実現され、その結果、スペースを効率的に使用できる。
【0017】
たわみシール板18の層状の配置は、図2で最も良くわかる。特に、たわみシール板18は、約0.040インチの厚みを有するInconel(登録商標)板18Aによる第1の層を用いてタービンダクトフランジ22に固定される。この第1の層は、例示的実施形態では、28枚の3孔板と1枚の2孔板18’とを備える。言い換えると、また、以下にさらに詳しく説明するように、各板の周方向の範囲は、少なくとも一部は、タービンダクトフランジ22の等間隔配置された孔と合う板の孔の数によって決定される。
【0018】
また、約0.020インチの厚みを有するInconel(登録商標)板18Bによる第2の層も、28枚の3孔板と1枚の2孔板とを備えるが、この第2の層の板は、それぞれの層における板の半径方向の継ぎ目で第1の層及び第2の層の間のオーバラップが位置するように周方向にずらしてある。約0.040インチの厚みを有するInconel(登録商標)板18Cによる第3の層もまた、28枚の3孔板と1枚の2孔板とを備え、この第3の層は、第1の層と実質的に周方向で位置合わせされており、その結果、第2の層と第3の層との間ではやはり半径方向の継ぎ目にオーバラップが位置する。第1の層と第3の層は正確に位置合わせさせる必要はなく、例えば、取り付け孔1つ分だけずらすことができる。第4の層は、押え棒アセンブリ28から成り、押え棒は、たわみ板の3つの層が押え棒28とタービンダクトフランジ22との間で挟まれるように、タービンダクトの半径方向フランジと同様の形状を有する。また、押え棒は、周方向セグメントの形をしており、例示的実施形態では、8本の10孔棒と1本の6孔棒とを含む。各押え棒セグメントのアーク長は、個々の板18のアーク長の少なくとも約3倍であることが好ましい。タブを、セグメント間の継ぎ目を覆うように各セグメントの一端に溶接することができる。
【0019】
タービンダクトフランジ10の取り付け孔44の数と間隔により、各層の板18(および押えセグメント)のアーク長と数が決定されることが理解されよう。例えば、孔数が3で割れる(例えば、75個の孔)場合、そのときは同じアーク長の3孔板を25枚使用することができる。しかしながら、図示する実施形態では、タービンダクト及び排気ダクト配管フランジには86個の孔があり、従って、1枚の板は、3孔よりはむしろ2孔とし、同様に、アーク長は、層内の残りの板よりも短くする必要がある。
【0020】
ここで、図3、図3Aおよび図4によれば、特に高温対低温フランジ用途に適用可能な本発明の第2の実施形態が示される。この配置では、たわみ板118(先に説明したように層状に配置)がタービンダクト110上の半径方向のフランジに取り付けられ、排気ダクト配管112上に設置された案内手段と係合するように半径方向外方に延びている。さらに詳しくは、板118の半径方向外方の端部120が、図1と図2に示した実施形態に関連して説明した取り付け配置と同様の締結具124と押え棒アセンブリ128とによってガスタービンダクト110の半径方向のフランジ128に取り付けられる。同時に、また、たわみ板118の半径方向の内方の自由端は、半径方向に延在するフランジによって案内されて、半径方向内方及び外方の両方向へ動くことができる。特に、板118の端部は、たわみシール板が半径方向に案内されて自由に動くことができる半径方向の溝を構成する軸方向に間隔をおいたフランジ130及び132の間に位置する。フランジ130と132は、締結具136によってドレントラフ134の一部に固定される。その結果、特に、図4によれば、たわみ板118は、軸方向および半径方向の両方の動きを許容することができる。たわみ板118は、低温時には図4で示す最も左の位置に、高温時には最も右の位置にある点に注意されたい。この軸方向の動きには半径方向の動きも伴い、フランジ130及び132とたわみ板118の自由端との間の摺動関係によって許容される。
【0021】
この第2の実施形態では、ドレントラフ134は、軸方向に間隔をあけて配置される環状壁138、140及びたわみ板118自体によって形成され、その結果、タービンダクト10の内側に沿って流れる水もしくは燃料を捕捉する。ドレン管142も、管42と同様に設置される。ドレン管142を囲む領域を含め、排気ダクト配管の壁部の間の空間に断熱ブランケットを備えることができる。
【0022】
本明細書で説明する本発明は、信頼性の高く長期間にわたる性能を実現する。これに関して、金属シール板の寿命を伝統的な便覧による計算方法を使用して簡単に算出することができる。さらに、本発明によるシールは、従来技術よりも大きな隣接ダクト間の相対的な動き、すなわち、最大3インチあるいはそれ以上の移動を許容する。
【0023】
最も実用的かつ好ましい実施形態と現在考えられるものに関連して本発明を説明してきたが、本発明は、開示した実施形態に限定されず、それどころか、添付の特許請求の範囲の技術的思想および技術的範囲内に包まれる様々な変更形態および同等な配置を保護することを意図すると理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の例示的実施形態によるガスタービンダクトと隣接排気ダクト配管との間の伸縮継手シールを示す部分側面図。
【図1A】 図1における拡大詳細図。
【図1B】 図1における拡大詳細図。
【図2】 図1Aに概略的に示すたわみシール板の部分端面図。
【図2A】 本発明によるたわみシール板の隣接層の端面図。
【図2B】 本発明によるたわみシール板の隣接層の端面図。
【図2C】 本発明によるたわみシール板の隣接層の端面図。
【図2D】 本発明によりガスタービンにたわみシール板を固定するために使用される周方向に分割された押え棒の端面図。
【図3】 本発明の第2の例示的実施形態によるガスタービンダクトと隣接排気ダクト配管との間の伸縮継手を示す部分側面図。
【図3A】 図3における拡大詳細図。
【図4】 拡張位置及び引込み位置の両位置でのたわみシール板を示す、図3Aのさらなる拡大図。

Claims (11)

  1. ガスタービン排気ダクトと軸方向に隣接する排気ダクト配管との間の伸縮継手用たわみシールであって、たわみシール板の複数の軸方向隣接層を備え、各層は、前記シール板が全体で各層において360度の環を形成するようにそれぞれアーク長を有する複数の前記シール板を備え、さらに前記複数の層のたわみシール板は第1の端部で前記ガスタービン排気ダクトに固定され、前記シール板の反対側の第2の端部で前記排気ダクト配管の少なくとも1つの表面と摺動自在に係合してなる、シール。
  2. 前記排気ダクト配管の前記少なくとも1つの表面が環状ドレントラフの縁部を備える、請求項1に記載の伸縮継手シール。
  3. 前記排気ダクト配管の前記少なくとも1つの表面が、前記シール板の前記反対側の端部がその間に摺動自在に受け止められる環状の半径方向溝を構成する複数の軸方向に間隔をおいた周方向に配置されるフランジを備える、請求項1に記載の伸縮継手シール。
  4. 前記複数の層が3つの層を含む、請求項1に記載の伸縮継手シール。
  5. 前記ドレントラフが下部にドレン管を有する環状の部分的にトロイド形状の部材を備える、請求項2に記載の伸縮継手シール。
  6. 各層の前記たわみシール板が、隣接層の前記たわみシール板から周方向にずらされている、請求項1に記載の伸縮継手シール
  7. 前記ガスタービン排気ダクト上の半径方向のフランジに対して前記たわみシール板を固定する複数の押え棒セグメントを含む押え棒アセンブリを備える、請求項1に記載の伸縮継手シール
  8. 前記排気ダクト配管の前記少なくとも1つの表面が環状ドレントラフの縁部を備えることを特徴とする請求項7に記載の伸縮継手シール
  9. 前記排気ダクト配管の前記少なくとも1つの表面が、前記シール板の前記反対側の端部がその間に摺動自在に受け止められる環状の半径方向溝を構成する複数の軸方向に間隔をおいた周方向に配置されるフランジを備える、請求項7に記載の伸縮継手シール
  10. 前記タービン排気ダクトと前記排気ダクト配管は実質的に断面が円形で、前記タービン排気ダクトは前記排気ダクト配管より小さい直径を有する、請求項1に記載の伸縮継手シール
  11. 継手がガスタービンダクトと隣接排気ダクト配管を備え、たわみシールは第1の端部で前記ガスタービンダクト上の環状取付フランジに固定される環状配置たわみシール板の複数の軸方向隣接層を備え、前記たわみシール板の第2の自由端で前記排気ダクト配管と摺動自在に係合し、それにより前記ガスタービンダクトと前記排気ダクト配管との間の軸方向および半径方向の相対的な動きを許容してなる、ガスタービン排気システムの伸縮継手用たわみシール。
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