JP4256227B2 - 傾斜角検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、海上の船体などの傾斜角を静的な重力感度に基づいて検出する傾斜角検出装置に関するものである。
従来、超音波送受波器を用いて海中の魚群や海底の地形を探査する超音波探査装置が汎用されてきた。この超音波探査用の超音波送受波器は、通常、送受波面を水平にして、船舶の舷側や船底などに固定される。実際には、波浪によって船体が動揺あるいは揺動すると、送受波器の送受波面が水平面に対して傾き、真下に送信したはずの超音波が鉛直線に対して傾いた方向に送信される。この結果、海中の魚群の位置が誤って検出されたり、実際には水平な海底が傾斜しているかのように誤って検出されたりする。
このような、船体の揺動に基づく誤検出を防ぐために、船体の揺動を検出する揺動検出装置を船体に取付け、検出した船体の傾斜角によって超音波探査結果を補正するという傾斜角による補正手法が用いられてきた。
従来、超音波探査用に設定される直交三軸と、揺動検出用に設定される直交三軸の方向が正確に一致していないと、補正精度を保つことができなくなくなると考えられてきた(例えば、特許文献1の〔0003〕参照)。この結果、超音波送受波器と揺動検出装置を船底などの同一箇所に設置したり、各装置をZ軸(鉛直)方向のみにずらして舷側に設置したり(例えば、特許文献1の図6参照)、各装置を鉛直方向に離れた状態でどちらも水平状態を保つようにリンク機構を利用して船首部分に設置したりしてきた(例えば、特許文献1の図1参照)。
さらに、超音波探査装置の取付け位置と、加速度計を用いた揺動検出装置とを両検出系に共通に設定した直交三軸(X,Y,Z)の各軸方向に所定量(W,L,h)だけずらして配置し、超音波探査装置で探査した反射物体の位置や波高を、揺動検出装置で検出したロール角やピッチ角と間隔(W,L,h)を含む補正式を用いて補正する技術も開示されている(例えば、特許文献2,3参照)。
特開2001−151190号公報(〔0003〕、図6、図1) 特開平5−019053号公報(図3、式(1)、(2)) 特開平5−034450号公報(図3、式(1)、(2))
上述した従来の超音波による探査結果を揺動検出結果で補正する方法のうち、超音波送受波器と揺動検出装置とを船底などの同一箇所に設置する方法は、取付け箇所が海中に没する箇所のため多大な労力がかかり、さらに、取付け後の調整や修理にも多大な労力がかかるという問題がある。また、超音波送受波器と揺動検出装置とをZ軸(鉛直)方向にのみずらして舷側に設置したり、リンク機構を利用して船首部分に設置したりする方法でも、揺動検出装置を船体の外部に設置することから、その取付けに多大な労力を要するという問題がある。
超音波探査装置の取付け位置と、加速度計を用いた揺動検出装置とを両検出系に共通に設定した直交三軸(X,Y,Z)の各軸方向に所定量(W,L,h)だけずらして配置する方法も、超音波探査装置を船底に、揺動検出装置を船室に設置する場合などにおいて、所定のずれ量(W,L,h)の正確な値を検出することが困難なため、補正の精度が低下するという問題がある。したがって、本発明の目的は、取付けに労力がかからず、超音波探査装置との取付け位置のずれ量などの正確な値を必要としない、揺動検出用などの傾斜角検出装置を提供することにある。
上記従来技術の課題を解決する本発明の傾斜角検出装置は、傾斜角を検出しようとする物体から仮想的な平面Pを切り出し、直交2軸(X軸,Y軸)を含み前記平面Pと任意の角度(θx0,θy0)を保って交差する(X,Y)平面を定義し、この(X,Y)平面の各軸方向に作用する重力成分(Gx,Gy)を検出する重力成分検出手段と、前記平面P上の任意の方向に想定された傾斜指示軸Aαの水平面に対する傾斜角(ωα)を、この平面Pと平行な仮想的な(X0 ,Y0 )平面上のX0 軸と前記傾斜指示軸Aαとがなす角度(θ)およびこれら軸方向の重力成分として検出されるはずの重力成分(Gx0 ,Gy0 )に基づき、ωα= sin -1 (Gx0 cos θ+Gy0 sin θ) として算定する傾斜角算定部とを備えている。そして、前記傾斜角算定部は、前記平面Pが水平な状態で実測される前記X軸、Y軸方向の重力成分(Gx00,Gy00)から前記(X,Y)平面と前記平面Pとの交差角度(θx0,θy0)を、θx0=sin -1 Gx00,θy0=sin -1 Gy 00 として検出し、これら(θx0,θy0)からGxa=Gz tan θx0,Gya=Gz tan θy0 にしたがって補正値(Gxa,Gya)を算定し、前記実測された重力成分(Gx,Gy)のそれぞれから対応の補正値(Gxa,Gya)を減算した補正済みの重力成分を、前記Gx0 ,Gy0 に代入することにより前記ωαを算定するように構成されている。
本発明の傾斜角検出装置は、船体など傾斜角を検出しようとする物体を仮想的な平面Pで代表させ、この平面Pと任意の角度を保って交差する(X,Y)平面の各軸方向に作用する重力成分(Gx,Gy)を検出し、上記任意の交差角度を平面Pが水平状態にある場合の重力成分から検出し、この交差角度を用いて(X,Y)平面を平面Pと平行にするための重力成分(Gx,Gy)に対する補正値を算定し、この補正値と重力成分(Gx,Gy)の実測値とを用いて所望の傾斜角を検出する構成であるから、取付けに労力がかからず、超音波探査装置などとの取付け位置のずれ量などの正確な値を必要としない、傾斜角検出装置を提供することができる。
図1は、本発明の傾斜角検出装置の構成を示す機能ブロック図である。この傾斜角検出装置は、X軸方向に作用する重力成分Gxを検出するX軸成分センサ、Y軸方向に作用する重力成分Gyを検出するY軸成分センサを備えた重力成分センサと、演算部と、初期情報記憶部と、情報入力部とから構成されている。
まず、本発明の傾斜角検出装置では、重力成分センサを構成する加速度センサの検出する加速度は重力による静的成分のみであるという前提に立っている。すなわち、物体の運動にともなって発生する動的成分が実質的に除去された静的成分のみが検出される。このような条件は、傾斜角を検出しようとする船体などの物体の動きが十分に緩慢なため、その動きによって生ずる加速度が重力の加速度に比べて無視できるほど小さい場合などに成立する。あるいは、物体の動きにともなう加速度の動的成分の大きさは重力のそれに比べては無視できないが、センサの後段に設置された濾波器によってこの動的成分が実質的に除去可能であり、その結果、この濾波後の動的成分が重力による静的成分に比べて無視できるようになった場合などにも成立する。
図2に示すように、直交2軸(X軸,Y軸)を含む(X,Y)平面が設定される。重力のX軸成分Gxは、重力成分センサを設置するX軸方向に作用する重力の成分である。重力のY軸成分Gyは、重力成分センサを設置するY軸方向に作用する重力の成分である。(X,Y)平面が水平の場合、重力のX軸成分GxもY軸成分Gyも共に0となる。X軸,Y軸が順次鉛直上方を向いた場合、重力のX軸成分Gx,Y軸成分Gyは順次1g(gは重力の加速度)となる。さらに、X軸,Y軸が順次鉛直下方を向いた場合、重力のX軸成分Gx,Y軸成分Gyは順次−1gとなる。
上述のような重力成分センサの構成の最も単純なモデルは、滑らかな内壁を有する円筒内部にこの内壁に沿って滑らかに摺動可能な球形の錘を収容し、この錘と円筒の一方の端面との間をつるまきバネで連結したものである。このつるまきバネの伸縮量やバネの指示部に加わる圧力や引張力などから重力成分が検出される。
演算部では、前段の重力成分センサから出力される重力のX軸成分GxとY軸成分Gyとから、次式にしたがって、X軸とY軸のそれぞれが水平面となす角度ωx,ωyが算定される。
ωx= sin -1 Gx, ωy= sin -1 Gy ・・・(1)
ここで、簡単のため、傾斜角を検出しようとする船体などの物体を、図3に例示するように、この物体から切り出した最も単純な形状の平面Pで代表するものとする。この平面Pは、船体のローリング軸とピッチング軸などを含んでいる。この平面P上に、直交X0 軸,Y0 軸で定義される仮想的な(X0 ,Y0 )平面と、平面Pの任意の基準軸Θとを設定する。基準軸ΘとX0 軸とのなす角度をθ0 とする。この角度θ0 は、平面P上に仮想的な(X0 ,Y0 )平面を設定した時点で定まる角度であり、以後固定値を保つ。図1の情報入力部は、この角度θ0 を初期値として、図1の初期値保存部に入力し、初期値記憶部はこれを保存する。
次に、図4に示すように、物体を代表する平面Pの傾斜状態を重力成分の大小によって示すために、平面P上に適宜な向きの傾斜指示軸Aαを設定する。この傾斜指示軸Aαと、平面P上の基準軸Θとの角度をθ1 とすれば、この傾斜指示軸AαとX0 軸とのなす角度θは、
θ=θ0 +θ1 ・・・(2)
となる。
重力のX0 軸成分の実測値をGx0 、Y0 軸成分の実測値をGy0 とし、傾斜指示軸Aα成分をGαとすれば、
Gα=Gx0 cosθ + Gy0 sinθ ・・・(3)
となる。傾斜指示軸Aαが水平面となす角をωαとすれば、(3) 式から、
ωα= sin -1 Gα
= sin -1 (Gx0 cosθ + Gy0 sinθ)・・・(4)
となる。(4)式は、平面P上に設定される仮想的な(X0 ,Y0 )平面上の重力成分(Gx0 ,Gy0 )と、角度θとが判明すれば、平面P上の傾斜指示軸Aαが水平面に対してなす角度ωαが算定可能であることを示している。
以上の説明においては、傾斜角を測定しようとする物体を代表する平面P上に、仮想的な(X0 ,Y0 )平面を設定した。すなわち、傾斜指示軸Aαが(X0 ,Y0 )平面上に存在する場合を想定した。ここで、本発明の傾斜角検出装置が実測する加速度は、物体の運動によって発生する動的な成分ではなく、静的な成分(重力の加速度)であるという点に留意されたい。この場合、仮想的な平面Pを含む平面と、仮想的な(X0 ,Y0 )平面を、各平面の平行状態を保ったままX,Y軸方向に任意の長さにわたってずらしたり、それぞれの平面の法線方向に任意の長さにわたってずらした場合でも、(3)式の関係が成立する。なぜならば、静的状態では、異なる二つの座標系のいずれにおいても重力は同じ方向に作用するからである。
ちなみに、実測の対象が動的な加速度であれば、ある座標系の実測値を他の座標系の実測値に変換するには、座標値のずれ量を含むテンソル量などによって表現される複雑な変換係数が必要になる。これに対して、本発明の傾斜角検出装置では、測定の対象が重力の加速度という静的な加速度であるため、二つの平面座標系の実測値の変換係数は、X,Y,Z軸方向のずれ量に関係なく、両平面が平行な関係にある限り、(3)式に示したように、角度θのみで記述される。
従って、仮想的な平面Pと平行に、角度検出装置を構成するプリント基板(平面)を設定し、このプリント基板上にX0 軸とY0 軸を設定して各軸に重力成分センサを設置し、重力成分Gx0 ,Gy0 を実測によって求めることにより、(3)式、(4)式にしたがって傾斜指示軸が水平面に対してなす角度ωαを求めることができる。しかしながら、船舶など傾斜測定対象物を代表する仮想的な平面Pに対して、これと平行に(X0 ,Y0 )平面を設定すること、従って、この(X0 ,Y0 )平面を含むようにプリント基板を設定することは、従来技術の問題点として述べたように、困難である。
そこで、本発明の傾斜角検出装置では、まず、船舶から切り取った仮想的な平面Pと任意の角度を保って交差するプリント基板などの適宜な平面上に(X,Y)平面が設定される。そして、この(X,Y)平面を仮想的な平面Pと平行に設置した場合に実測されるはずの重力成分、すなわち、上述した(X0 ,Y0 )平面上で実測される重力成分(Gx0 ,Gy0 )を、平面Pと平行の関係にない実際の(X,Y)平面で実測される重力成分(Gx,Gy)を補正することによって算定する。
まず、図5に示すように、X軸とX0 軸とのなす角度をθx0とし,Y軸とY0 軸とのなす角度をθy0とする。これらの角度θx0,θy0は、平面Pが水平な状態で実際の平面(X,Y)上で得られる重力成分の実測値Gx00 ,Gy00 と、(1)式とから次のように与えられる。
θx0= sin -1 Gx00 ,θy0= sin -1 Gy00 ・・・(5)
次に、図5に示すように、平面P上に設定された仮想的な(X0 ,Y0 )平面に垂直なZ0 軸を導入し、平面Pに交差する実際の(X,Y)平面に垂直なZ軸を導入する。地表の任意の点に作用する重力の成分の合成値は1gであるから、
〔Gx2 +Gy2 +Gz2 1/2 =1(g)・・・(6)
となる。これを変形すると、
Gz=〔1−(Gx2 +Gy2 )〕1/2 ・・・(6) ’
を得る。
0 軸方向の重力成分をGz0とし、この重力成分Gz0のX−Z平面への正射影をGz0zxとする。このGz0zxのX軸への正射影が、重力成分Gxaである。X軸とX0 軸とのなす角θx0は、Z軸と重力成分Gz0zxとのなす角に等しいので、このGxaは、図5と図6に示すように、重力成分Gzと角度θx0とから次のように求めることができる。
Gxa=Gz tan θx0 ・・・(7)
図6を参照すると、平面Pと交差する(X,Y)平面上で実測した重力成分Gxから補正値Gxaを減算することにより、X軸を平面Pと平行な仮想的な平面のX0 軸に重ね合わせることができる。
同様に、重力の成分Gzと角θy0とからY軸補正値Gyaが次のように算定される。
Gya=Gz tan θy0 ・・・(8)
そして、平面Pと交差する平面上で実測した重力成分GyからこのY軸補正値Gyaを減算することによって、Y軸を平面Pと平行な仮想的な(X0 ,Y0 )平面上のY0 軸に重合わせることができる。これら重力成分の補正による二軸の重ね合わせによって(X,Y)平面が(X0 ,Y0 )平面に重ね合わせられる。
補正後の重力のX軸成分Gx0,Y軸成分Gy0は、それぞれ次式で与えられる。
Gx0=Gx −Gxa ・・・(9)
Gy0=Gy −Gya ・・・(10)
このようにして求めたGx0とGy0を(3)式に代入してGαを算定し、(4)式から傾斜角ωαを求めることができる。
以上、加速度センサを使用して重力成分を測定する例を説明した。しかしながら、この加速度センサの代わりに、重力成分をこれに基づいて生ずる変位によって測定する変位センサを使用することもできる。任意の方向の重力成分が検出可能なものでありさえすれば、どのような原理のセンサであってもよい。
図7は、本発明の一実施例の傾斜角検出装置の構成を示す機能ブロック図である。この傾斜角検出装置は、X軸,Y軸重力成分センサ1x,1y、ローパスフィルタ2x,2y、増幅回路3x,3y、サンプリング回路4x,4y、演算部5、初期値記憶部6、情報入力部7および制御部8を備えている。
X軸,Y軸加速度センサ1x,1yのそれぞれから出力される重力成分Gx,Gyは、それぞれローパスフィルタ2x,2yに供給され、ここで船体の揺動によって生じる交流成分が除去される。これら交流成分が除去された重力成分Gx,Gyは、増幅回路(AMP)3x,3yで増幅され、サンプリング回路(SPL)4x,4yでサンプリングされディジタル信号に変換され、演算部5に供給される。演算部5は、サンプリング回路4x,4yから受け取ったディジタル信号と、初期値記憶部6から読出した初期値に基づき、ローリング角θr とピッチング角θp を算定する。上記一連の動作は、制御部8の制御のもとに行われる。
この傾斜角検出装置で検出されたローリング角θr とピッチング角θp とを用いて、超音波探査装置の検出結果などに対する補正が行われる。このような超音波探査装置は、例えば、図8に示すように、船底のX軸方向(舷側方向)に距離Lを保って配置された2個の矩形状の超音波トランスジューサTD1,TD2を備えている。各トランスジューサから同時に超音波信号が放射される。一方のトランスジューサTD1の中心から距離R離れた方位角θXの位置に反射物体Wが存在するものとする。他方のトランスジューサTD2と反射物体Wとの距離をR+δRとおくと、δR=L sinθxとなる。超音波信号の水中の伝播速度をc、各トランスジューサが反射信号を受信するまでの時間の差をδtとすれば、δt=δR/c=L sinθx/cとなる。反射物体への方位角は、θx= sin-1(δt・c/L)となる。
図7に示した傾斜角検出装置は、上述した超音波探査装置の表示器の内部に設置され、ローリング角θr とピッチング角θp を検出する。この検出されたローリング角θr を用いて反射物体の方位角θxの船体の舷側方向についての補正が行われる。
図9の平面図に示すように、上記超音波探査装置の表示器の内部に設置されるプリント基板PB上に重力成分センサが設置される。図10は、このプリント基板を内蔵する表示器を船内に設置した状態を示している。船体の横方向の傾斜角をローリング角θr とし、このローリング角θr を重力成分から検出するために設定する重力成分軸を舷側軸Arとする。また、船体の船首尾方向の傾斜角をピッチング角θp とし、このピッチング角θp を重力成分から検出するために設定する重力成分軸を船首尾軸Apとする。すなわち、舷側軸Arの水平面に対する傾斜角からローリング角θr が検出され、船首尾軸Apの水平面に対する傾斜角からピッチング角θp が検出される。
式(3)のGαをそれぞれGr,Gpで置き換えると
Gr =Gx0 cosθ+Gy0 sinθ ・・・(11)
Gp =Gx0 cos(θ+90°) +Gy0 sin(θ+90°)
=−Gx0 sinθ+Gy0 cosθ ・・・(12)
そして、(11),(12)式中の(Gx0, Gy0)を、(5)〜(10)式にしたがって、実測値( Gx ,Gy )から補正係数( Gxa,Gya)を減算した値で置き換えることにより、θxoとθyoの影響を補正したGr とGp を求めることができる。ただし、Gx00 とGy00 の検出は、船体を水平の状態に保って、従って、船舶が凪の港湾内などに停泊中のローリング角θr もピッチング角θp も十分に小さな状態で行う。
ローリング角θr とピッチング角θp は、(1)式から、
θr = sin -1 Gr ・・・(13)
θp = sin -1 Gp ・・・(14)
となる。
上述の実施例について、実験による検証結果を以下に示す。この実験で採用した測定の原理と具体的な実験装置とをそれぞれ図11と図12に示す。ローリング角θr とピッチング角θp の検出対象は船体を模擬する平面Pの傾斜角であり、その上にX軸、Y軸重力成分センサを取付けている。平面Pのローリング角θr を重力成分から検出するための重力成分軸Arと、ピッチング角θp を重力成分から検出するための重力成分軸Apは、任意の傾斜角で固定することができる。また、平面P上のX軸,Y軸重力成分センサのX軸とY軸も任意の角度で固定することができる。X軸,Y軸重力成分センサからは傾斜角に応じた電圧値が出力されており、その値をデータプロセッサ(パソコン)に取り込み、重力加速度への変換、補正およびローリング角,ピッチング角の算出を行った。
本検証ではθを 300°、θx0を 0°、θy0を15°に設定し、θy0の影響を補正しない場合と、補正した場合のローリング角θr とピッチング角θp の検出結果を調べた。θx0に関しては0°のためX軸補正値Gxaが0となり、補正不要である。また、ローリング角θr は60°〜−60°の範囲を15°刻みで変化させ、ピッチング角θp は0°に固定した。
以下のデータは、本実施例の傾斜角検出装置のローリング角に対する出力の測定結果であり、X軸の重力成分をGx , 補正前のY軸の重力成分をGy 、Y軸補正値Gya、(10) 式から求めた補正後のY軸の重力成分をGy0としている。Y軸補正値Gyaは(6)’式と(8)式から次のように算定する。
Gya=〔1−(Gx2 +Gy2 )〕1/2 tan θy0 ・・・(15)
実際のθr Gx Gy Gya Gy0
60 0.47 −0.59 0.18 −0.77
45 0.39 −0.39 0.22 −0.61
30 0.29 −0.17 0.25 −0.42
0 0.01 0.29 0.26 0.03
− 30 −0.24 0.64 0.20 0.44
− 45 −0.36 0.77 0.14 0.63
− 60 −0.46 0.84 0.077 0.76
上記重力成分の単位は、すべて、1g(980cm/s2 )である。
次に、(11)式と(13)式からローリング角θr を求める。補正しないローリング角θr は次式により求める。
θr =sin ー1(Gx0 cosθ+Gy0 sinθ) ・・・(16)
補正したローリング角θr は次式より求める。
θr =sin ー1(Gx0 cosθ+Gy0 sinθ) ・・・(17)
その結果を以下に示す。
実際のθr 補正前のθr 補正後のθr
60 48.2 64.4
45 32.2 46.3
30 17.0 30.6
0 − 14.2 − 1.2
− 30 − 42.4 − 30.1
− 45 − 57.9 − 46.5
− 60 − 73.2 − 62.6
上記数値の単位はすべて角度である。補正後のデータは実際のローリング角にかなり接近していることが判る。
次に、(12)式と(14)式からピッチング角θp を算定する。補正前のピッチング角θp は次式により算定する。
θp = sinー1(−Gx0 sinθ+Gy0 cosθ) ・・・(18)
補正後のピッチング角θp は次式により算定する。
θp = sinー1(−Gx0 sinθ+Gy0 cosθ) ・・・(19)
この結果を、以下に示す。
実際のθp 補正前のθp 補正後のθp
0 6.43 1.26
0 8.21 1.88
0 9.56 2.36
0 8.84 1.35
0 6.44 0.70
0 4.20 0.19
0 1.24 − 1.05
上記数値の単位はすべて角度である。補正後のピッチング角は実際のピッチング角「0」にかなり接近していることが判る。
以上、船体の揺動の状況を把握する場合を例にとって本発明の傾斜角検出装置を説明した。しかしながら、風や地震などによって緩慢に揺動する建物や鉄塔などの揺動の状態を測定する目的などに本発明の装置を適用できることは明らかである。
本発明の傾斜角検出装置の構成を示す機能ブロック図である。 図1の重力成分センサが取付けられる直交2軸を含む(X,Y)平面と、各センサで検出される重力の各軸成分(Gx ,Gy )の関係を示す概念図。 船体など傾斜角検出対象の物体から切り出される仮想的な平面Pと、この上に設定される仮想的な(X0 ,Y0 )平面の関係を示す概念図である。 仮想的な平面Pの傾斜角を示す重力の傾斜指示軸成分Gαと、仮想的な(X0 ,Y0 )平面上で検出されるはずの重力成分(Gx0,Gy0)との関係を示す概念図である。 重力成分が実測される(X,Y)平面と平面Pと平行状態にある仮想的な(X0 ,Y0 )平面との間の角度と重力成分の関係を説明するための概念図である。 実測される重力成分Gx に対する補正値Gxaの算定方法を説明する概念図である。 本発明の一実施例の傾斜角検出そ構成を示す機能ブロック図である。 図7の傾斜角検出装置で検出結果が利用される位相差式の超音波探査装置の構成の一例を示す概念図である。 図8の超音波探査装置の表示器の内部に設置されるプリント基板PB上に重力成分センサが設置される例を示す概念図である。 図9のプリント基板を内蔵する表示器を船内に設置した状態を示す概念図である。 本発明の効果を実証するために構成された実験装置の構成を示す概念図である。 上記実験装置の具体的な構成を示す概念図である。
符号の説明
P 傾斜角検出対象の物体から切り出した仮想的な平面P
X0,Y0 平面P上に設定される仮想的な( X0,Y0) 平面を定める直交2軸
X,Y プリント基板PB上などに設定され、重力成分の実測が行われる( X ,Y)平 面を定める直交2軸
Gx0 重力のX0軸成分
Gy0 重力のY0軸成分
Gx 重力のX 軸成分
Gy 重力のY 軸成分
A α 平面Pの水平面に対する傾斜角を示す傾斜指示軸
θx0 X 軸と X0 軸のなす角度
θy0 Y 軸と Y0 軸のなす角度 Gxa 重力のX 軸成分に対する補正値
Gya 重力のY 軸成分に対する補正値
Ar 水平面に対する傾斜角によって船体のローリング角θr を示す舷側軸
Ap 水平面に対する傾斜角によって船体のピッチング角θp を示す船首尾軸

Claims (3)

  1. 傾斜角を検出しようとする物体から仮想的な平面Pを切り出し、直交2軸(X軸,Y軸)を含み前記平面Pと任意の角度(θx0,θy0)を保って交差する(X,Y)平面を定義し、この(X,Y)平面の各軸方向に作用する重力成分(Gx,Gy)を検出する重力成分検出手段と、
    前記平面P上の任意の方向に想定された傾斜指示軸Aαの水平面に対する傾斜角(ωα)を、この平面Pと平行な仮想的な(X0 ,Y0 )平面上のX0 軸と前記傾斜指示軸Aαとがなす角度(θ)およびこれら軸方向の重力成分として検出されるはずの重力成分(Gx0 ,Gy0 )に基づき、ωα= sin -1 ( G x0 cos θ+Gy0 sin θ) として算定する傾斜角算定部とを備え、
    この傾斜角算定部は、前記平面Pが水平な状態で実測される前記X軸、Y軸方向の重力成分(Gx00,Gy00)から前記(X,Y)平面と前記平面Pとの交差角度(θx0,θy0)を、θx0=sin -1 Gx00,θy0=sin -1 Gy00 として検出し、これら(θx0,θy0)からGxa=Gz tan θx0,Gya=Gz tan θy0 にしたがって補正値(Gxa,Gya)を算定し、前記実測された重力成分(Gx,Gy)のそれぞれから対応の補正値 ( Gxa,Gya)を減算した補正済みの重力成分を、前記Gx0 ,Gy0 に代入することにより前記ωαを算定することを特徴とする傾斜角検出装置。
  2. 請求項1において、
    前記重力成分検出手段は、加速度計と、この加速度計から出力される高周波成分を除去する濾波器とを備えたことを特徴とする傾斜角検出装置。
  3. 請求項1または2のいずれかにおいて、
    前記物体は船体であり、前記傾斜指示軸はローリング角θr とピッチング角θp の指示軸であることを特徴とする傾斜角検出装置。
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