JP4256226B2 - カッティングプロッタの円切断方法 - Google Patents

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本発明は、シート材あるいは平板材料等の切断を行うカッティングプロッタに関し、さらに詳しくは、円図形を切断する方法に関するものである。
図5はこの種のカッティングプロッタの構成を示す図であり、図において1はカッティングプロッタ本体、2はYバー、3はキャリッジ、4はカッティング部、5は制御部、6は被切断部材である。Yバー2の摺動子21はプロッタ本体1のレール材に対して摺動するように設けられており、これによりYバー2はX軸方向に移動可能となるよう構成されている。また、プロッタ本体1のX軸方向の一端側には駆動モータ24とこれに係合する歯車機構23、その他端側に設けられたプーリ22の間に架渡された伝達ベルト25が設けられており、この駆動モータ24を回転駆動させることにより、伝達ベルト25に取り付けられたYバー2をX軸方向に移動制御する。キャリッジ3の摺動子31は、Yバー2に沿ってY軸方向に摺動するよう設けられており、また、Yバー2のY軸方向一端側に固定された駆動モータ34とこれに係合する歯車機構33、および他端側に設けられたプーリ32の間に架渡された伝達ベルト35が設けられている。この伝達ベルト35にYバー2の摺動子31が取り付けられており、駆動モータ34を回転駆動させてキャリッジ3をY軸方向に移動制御するよう構成されている。よって、Yバー2およびキャリッジ3を制御装置により駆動させることにより、キャリッジ3に設けたカッティング部4をカッティングプロッタ本体1の載置テーブル10上に載置したシート材6に対して所望の軌跡で2次元方向に移動可能に設けられている。
カッティング部4は、図6に示すとおり、回転可能に支持されるカッター刃41が回転制御モータ42によりその刃先方向を制御可能に設けられるとともに、キャリッジ3の上端側に設けられた上下動駆動モータ44とこれに係合する歯車機構45、キャリッジ3の下端側に設けられたプーリ46とこれに架渡された伝達ベルト43とを有するとともに、この伝達ベルト43に固定されキャリッジ3に設けられたシャフト48に摺動するリニアベアリング47に支持されることにより、キャリッジ3に対して昇降可能となるよう設けられている。
カッティングを行う場合は、上下動駆動モータ44を駆動制御することにより、カッター刃41を下降させて被切断部材6に圧接し、キャリッジ3を2次元方向に移動させることによりこれを所望の形状に切断する。また、回転制御モータ42によりカッター刃41の刃先方向を常にその移動方向に向けるよう設けられており、これにより厚手の被切断部材であっても良好に切断できるよう設けられている。
この種のカッティングプロッタにおいて、例えばゴム板あるいはアクリル板といった厚みがあり且つ硬度の高い素材からなる被切断部材を円形に切断する場合、素材の切断抵抗が大きいためにカッター刃41の回転駆動がカッティング部4の2次元方向移動に追従させることができない、すなわち切断すべき軌跡(円)でカッティング部4を移動させることができず、これにより切断軌跡の始点と終点が合致しなくなるといった不具合が生じていた。
この不具合を解決するためには、これら素材の厚みや硬度に左右されない、より大きな回転駆動力を有する回転制御モータ42を採用する、あるいはカッティング部4の移動速度を遅くしてカッター刃41の追従をよくするなどが考えられるが、この場合モータ42自体が大型化することとなり、キャリッジ3を含め装置全体が大型化してしまうとともに、切断処理時間が長くなるといった新たな不具合が生じることとなる。
また、被切断媒体を切断する場合に元の図形データを補正して、この補正データに基づいて切断することにより被切断媒体を図形データの形状に切断する技術は、例えば特許文献1に記載されている。
特公平07−67679号公報
しかしながら、切断すべき図形データと、これに基づいて切断した結果の誤差は、素材の厚みや硬度のみならず、カッター刃41の刃出し量や刃先の状態(欠け具合等)などにも影響されるので、予め用意した補正値のみを使用するだけでは、正確に切断軌跡の始点と終点を合致させることが困難であった。
解決しようとする問題点は、被切断材料を円形に切断する際に切断軌跡の始点と終点が合致しない点である。
本発明は、切断すべき円データにより被切断媒体を実際に切断した際に生じるその始点と終点のずれ量を補正量とし、切断すべき円データに基づいて、円の切断終了点が切断開始点よりも円の中心方向に補正量分離れた位置となる螺旋形データを作成して、この螺旋形データに基づいて切断を行うことを最も主要な特徴とする。
本発明は、切断すべき円データにより被切断媒体を実際に切断した際に生じるその始点と終点のずれ量を予め検出してこれを補正量とし、切断すべき円データとこの補正量とを利用して、円の切断終了点が切断開始点に対して円の中心方向に補正量分離れた位置となる螺旋形データを作成し、実際の円切断動作は、この螺旋形データにより行うことにより切断軌跡の始点と終点とを合致させ、これにより高品質の円図形切断を行うことができるという効果を奏する。
以下図面に基づいて、本発明のカッティングプロッタの円切断方法を説明する。
図1は本発明のカッティングプロッタの構成を示す図であり、上述の従来の装置と同等な構成については同一符号をもって示されている。
図において7は、後述する切断すべき円データから螺旋形データを作成するためのプログラム、各種設定値等を格納,保持する記憶部である。
本発明のカッティングプロッタにおいては、先ず切断すべき円データに基づいて実際に被切断媒体を切断し、これによりその始点と終点の円の中心方向のずれ量、すなわち補正量を検出する。
図2は本発明のカッティングプロッタにおける補正量検出を示す図であり、図中Aで示される円は、コンピュータ等の上位装置より得られる切断すべき円データであり、同じくBは、この円データに基づいて駆動モータ24(Yバー2),駆動モータ34(キャリッジ3)および回転制御モータ42を駆動制御して、カッター刃41により実際にシート材7を切断した際の軌跡を示し、その切断開始点Sと切断終了点Eとはシート材7の切断抵抗により合致せず、図に示されるとおり切断終点Eは切断すべき円Aの中心点Oの方向に切断始点Sに対して円の外側にずれ量Dだけ離反している。
本発明のカッティングプロッタにおいて、操作者は上記実際に切断した被切断媒体6より検出したこの補正量Dを設定入力部よりカッティングプロッタに入力し、制御部5はこのずれ量Dを補正量として記憶部7に格納,保持する。
円図形の切断を行う場合、制御部5はコンピュータ等の上位装置より円切断コマンド、すなわち切断円の中心座標値ならびに切断円の半径Rを受信すると、この切断すべき円データと上記記憶部7に格納した補正値Dに基づいて螺旋形データSPを作成する。
螺旋形データSPの作成としては、制御部5は受信した円コマンドにおける切断円の中心座標(X0,Y0)、同じく半径R、ならびに記憶部7に予め格納した補正量Dを用い、螺旋形データSPの始点Ssp,終点Espの座標をそれぞれ

Ssp = (X0+R,Y0)
Esp = (X0+R−D,Y0)

とし、螺旋形データSPの始点Sspから終点Espの間を分割角度θ,分割数Kで分割した各座標(X,Y)を以下の通り算出する。

X = (R−D×360/θ)cos(k×θ)
Y = (R−D×360/θ)sin(k×θ)

ここで、K=360÷θ,0≦k≦K,kは始点Sspよりθづつ増加するものとする。

これにより、螺旋形データSPは図3に示す軌跡となる。
すなわち、螺旋形データSP上の点はkが増加する毎に元の切断すべき円データAより円の内側に移動し、終点Espにおいては始点Sspに対して切断すべき円Aの中心点Oの方向にずれ量Dだけ離反するよう、データが作成される。
この算出した螺旋形データSPに基づいて、制御部5は駆動モータ24,駆動モータ34および回転制御モータ42を駆動制御して、カッター刃41によるシート材7の切断を行う。
この場合においても、カッター刃41は被切断媒体であるシート材7の切断抵抗により、螺旋形データSPの軌跡に追従せず、始点Sspから終点Espにかけて漸次円の半径方向外側にずれることとなるが、実際に円データを切断した際のずれ量Dに基づいて補正することにより、実際の切断結果としての終点Espは、円の半径方向外側にDだけずれることとなり、これにより始点Sspと終点Espを合致させることができる。
この円データの切断における始点と終点のずれ量Dは、切断円のサイズ,被切断媒体の素材,厚み、あるいはカッター刃の刃突出量など種々のパラメータにより変化するが、本実施例においては、切断すべき円データに基づいて実際に切断を行い、その始点と終点のずれ量Dの実測値を補正値として、これに基づいて螺旋形データSPを作成するよう構成したので、確実にその始点と終点を合致させることが可能となる。
また、上述の実施例においては、切断すべき円データにより実際に被切断媒体を切断して補正量Dを決定するよう構成したが、図4に示すように、切断する素材の種類、その厚み、切断する円データの半径、といった種々のパラメータに応じた補正量Dを規定値とし、これをデータテーブルとして記憶部7に予め格納保持しておき、切断作業前に操作者により図示しない設定入力部より切断する素材の種類とその厚みを設定し、上位装置より円形状切断データがあった場合には、制御部5はその切断すべき円データの半径Rと設定されている素材の種類およびその厚みに応じた補正値Dを記憶部7より読み出し、この補正値Dならびに円データに基づいて螺旋形データを作成し、円切断を行うよう構成してもよい。
本発明のカッティングプロッタの構成を示す図である。 本発明のカッティングプロッタにおける補正量検出を示す図である。 本発明のカッティングプロッタにおける螺旋形データを示す図である。 本発明のカッティングプロッタの記憶部の構成を示す図である。(実施例2) この種のカッティングプロッタの構成を示す図である。 この種のカッティングプロッタのカッティング部の構成を示す図である。
符号の説明
1 カッティングプロッタ本体
2 Yバー
3 キャリッジ
4 カッティング部
5 制御部
6 シート材
7 記憶部

Claims (1)

  1. 被切断媒体と切断部材とを相対的に移動させ、被切断媒体を所望の形状に切断するカッティングプロッタにおいて、
    切断すべき円データにより被切断媒体を実際に切断した際に生じるその始点と終点とのずれ量を補正量とし、当該補正量および上記切断すべき円データに基づいて、上記円の終点が始点に対して円の中心方向に補正量分離れた位置となる螺旋形データを作成し、この螺旋形データに基づいて被切断媒体を切断することを特徴とするカッティングプロッタの円切断方法。
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