JP4255536B2 - 新規貼付剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はパーフルオロアルキル(メタ)アクリレートをブレンドした粘着剤からなる貼付剤に関する。更に詳細には、本発明は、粘着剤の表裏で粘着力が異なって一方の粘着力が実質的になく、支持体を必ずしも必要としない貼付剤および貼付製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、薬物を皮膚面を通して生体内に投与するための経皮吸収貼付剤が各種開発されている。これらの経皮吸収貼付剤は粘着剤層と支持体から構成されており、支持体として不織布やポリマーフィルムが用いられている。しかしながら、これらの支持体を用いた従来の経皮吸収貼付剤は、皮膚の伸縮に対する追従性にかけるため貼付剤が剥がれたり、皮膚刺激が生じやすいといった問題がある。
【0003】
これらを改善するために、柔軟な支持体を用いる方法が特開平5-238931号公報、特開平6-142178号公報に提示されているが、支持体に使用されるポリマーの弾性率は粘着剤層よりも大きいため皮膚刺激の問題は解決されていない。
【0004】
また、支持体のいらない粘着剤として、アクリル系ポリマーとアクリル系ポリマーと非相溶なフッ素ポリマーを用いて非相溶ブレンドを行うことにより傾斜構造が発現し、粘着剤表裏で粘着性が異なる粘着剤が得られることが知られている(第35回日本接着学会年次大会講演要旨集p5-8(1997))。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の非相溶ポリマーブレンドを用いた傾斜構造の形成は、使用するポリマーの種類や製膜条件に大きく制限され、傾斜構造の形成は容易でないといった問題があった。
【0006】
さらにまた、特公昭60-56686号公報にはパーフルオロアルキル(メタ)アクリレートをブレンドした粘着剤が知られているが、粘着剤表裏で粘着性が異なることは示されていない。また特公昭60-56686号公報には、本発明の粘着性ポリマー(A)とパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート共重合体(B)とをブレンドした粘着剤については、何の記載も示唆もなされていない。
【0007】
すなわち、本発明の目的は、粘着剤の表裏で粘着力が異なり、表裏の一方の粘着力が実質的にない新規な粘着剤からなる貼付剤および貼付製剤を提供することにある。
【0008】
また、本発明の目的は、粘着剤の表裏で粘着力が異なり、表裏の一方の粘着力が実質的にない新規な粘着剤からなる、支持体が不要な貼付剤および貼付製剤を提供することにある。
【0009】
さらに本発明の目的は、容易に得ることのできる、粘着剤の表裏で粘着力が異なり、表裏の一方の粘着力が実質的になく、支持体が不要な新規な貼付剤および貼付製剤を提供することにある。
【0010】
さらにまた本発明の目的は、粘着剤の表裏で粘着力が異なり、表裏の一方の粘着力が実質的にない新規な粘着剤からなる貼付剤および貼付製剤において、粘着剤表面の均質性が良好な支持体が不要な貼付剤および貼付製剤を提供することにある。
【0011】
本発明者らは、このような目的を達成するために鋭意研究した結果、粘着性ポリマーと、粘着剤ポリマーに含有される成分の少なくとも一成分を共重合したパーフルオロ(メタ)アクリレート共重合体とのブレンをしたポリマー溶液に、パーフルオロ(メタ)アクリレート共重合体の貧溶媒を添加して製膜することにより、上記本発明の目的が達成されることを見出し本発明を完成するに至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、(1)粘着性ポリマー(A)と、(2)パーフルオロ(メタ)アクリレート25重量%〜85重量%と該粘着性ポリマー(A)に含有される成分の少なくとも一成分10重量%〜75重量%とを共重合したパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート共重合体(B)とを、A:B=7:3〜1:9の割合でブレンドしたポリマー溶液に、該共重合体(B)の貧溶媒を添加して製膜された粘着剤からなり、該粘着剤の片面の粘着力は実質的になく、他面の粘着力が40g以上500g以下であることを特徴とする貼付剤、更に、該粘着剤中に薬物を含有してなる貼付製剤を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる粘着性ポリマー(A)としては、皮膚との接着性を有するものであれば基本的に制限なく使用可能である。具体的には、例えばポリアクリル酸エステル系粘着性ポリマー、ポリ酢酸ビニル系粘着性ポリマー、ゴム系粘着性ポリマーなどがあげられる。
【0014】
好適な具体例としては、例えばポリアクリル酸エステル系粘着性ポリマー、ポリ酢酸ビニル系粘着性ポリマーを挙げることができ、このような粘着性ポリマーから選ばれた1種または2種以上のものが使用できる。
【0015】
ここで、ポリアクリル酸エステル系粘着性ポリマーとしては、炭素数1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、10wt%以下のアクリル酸を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体が好ましい。これらのなかでも、特に2ーエチルヘキシルアクリレートを主成分とする共重合体が粘着力の点から好ましい。
【0016】
また、ポリ酢酸ビニル系粘着性ポリマーとしては、酢酸ビニルを主成分とし、10wt%以下のアクリル酸を含有する共重合体が粘着力、凝集力の点から好ましい。
【0017】
本発明において用いられるパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート共重合体(B)は、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレートを25重量(以下、「wt」と記載することもある)%〜85重量(wt)%、下記粘着性ポリマーに含有される成分の少なくとも一成分を10重量(wt)%〜75重量(wt)%とを共重合したものである。
【0018】
パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート共重合体(B)において、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレートが25wt%未満では、粘着剤表裏の一方の粘着力を実質的になくすことができなかったり、表裏で粘着力の異なる粘着剤を得ることが困難となる。一方、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレートが85wt%を超えるとパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート共重合体の粘着剤ポリマードープに対する溶解性ないし相溶性が悪くなり、均質な粘着剤ポリマードープを得ることが困難となり好ましくない。
【0019】
本発明のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート共重合体(B)においては、下記粘着性ポリマー(A)に含有される成分の少なくとも一成分が、10wt%〜75wt%の割合で共重合されていることが重要である。共重合割合が10wt%未満ではパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート共重合体(B)と粘着性ポリマー(A)との相溶性が悪くなり、表裏で粘着力の異なる粘着剤を容易に得られなくなったり、粘着剤の凝集力が低下するために糊残りを生じやすくなり好ましくない。一方、共重合割合が75wt%を超えると粘着剤表裏での粘着力の差が発現しにくくなる。
【0020】
本発明において用いられるパーフルオロアルキル(メタ)アクリレートは、例えば2-パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロドデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘプチルメチル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0021】
これらのなかでも本発明のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数2〜18のアルキル基からなるパーフルオロアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、なかでも炭素数6〜12のアルキル基からなるパーフルオロアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0022】
また、本発明のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート共重合体(B)に用いる粘着性ポリマー(A)に含有される成分の少なくとも一成分としては、例えば炭素数1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、酢酸ビニル等を挙げることができ、これらのなかでも2ーエチルヘキシルアクリレートを特に好ましいものとして挙げることができる。
【0023】
従って、本発明のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート共重合体を構成するパーフルオロ(メタ)アクリレートと粘着性ポリマー(A)に含有される成分の少なくとも一成分との好ましい組合わせとしては、前者が炭素数2〜18のアルキル基からなるパーフルオロアルキル(メタ)アクリレートで後者が炭素数1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、酢酸ビニル等である場合、なかでも前者が炭素数6〜12のアルキル基からなるパーフルオロアルキル(メタ)アクリレートで後者が2ーエチルヘキシルアクリレートである場合を特に好ましい組合わせとして挙げることができる。
【0024】
この場合のパーフルオロ(メタ)アクリレートと粘着性ポリマー(A)に含有される成分の少なくとも一成分との配合比率としては、前者が25重量%〜85重量%で後者が10重量%〜75重量%で共重合したものが好ましい。
【0025】
本発明において、粘着性ポリマー(A)とパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート共重合体(B)とをA:B=7:3〜1:9の割合でブレンドすることが重要である。粘着性ポリマーの割合が70重量%を超えると粘着剤層の表裏での粘着力の差が発現されにくくなったり、表裏の一方の粘着力が実質的にない粘着剤を得ることが困難となる。一方、粘着性ポリマーが10重量%未満になると皮膚に対する十分な粘着力が得られなくなり、実用的でなくなる。
【0026】
本発明において、粘着性ポリマー(A)とパーフルオロ(メタ)アクリレート共重合体(B)とをブレンドしたポリマー溶液に、該共重合体(B)の貧溶媒を添加して製膜することが重要である。該パーフルオロ(メタ)アクリレート共重合体の貧溶媒を該粘着性ポリマーと該パーフルオロ(メタ)アクリレート共重合体をブレンドしたポリマー溶液に添加することで、粘着剤の表裏で粘着性が異なる特性を有し、かつ表面均質性の良好な粘着剤が得られる。この機構は明確ではないが、パーフルオロ(メタ)アクリレート共重合体の貧溶媒を添加することで、ブレンドしたポリマーの相分離速度を高め、核成長からスピノーダル分解による相分離とすることで表面均質性の良好な粘着剤が得られると推定される。粘着性ポリマー(A)とパーフルオロ(メタ)アクリレート共重合体(B)とをブレンドしたポリマー溶液の溶媒としては、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、N-メチルピロリドンなどが例としてあげられる。また、パーフルオロ(メタ)アクリレート共重合体の貧溶媒とは、10重量%の該パーフルオロ(メタ)アクリレート共重合体溶液1gに液体成分2gを添加した場合に、該パーフルオロ(メタ)アクリレート共重合体が沈殿、析出してくるような液体成分のことをい、例としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレンなどがあげられる。
【0027】
該パーフルオロ(メタ)アクリレート共重合体貧溶媒の添加量は、パーフルオロ(メタ)アクリレート共重合体の共重合体組成や該粘着性ポリマーとのブレンド割合によって異なるため、一義的に決めることはできないが、該粘着性ポリマーと該パーフルオロ(メタ)アクリレート共重合体をブレンドしたポリマー溶液中15〜70wt%となるように添加するのが好ましい。貧溶媒の添加量が15重量%未満では、粘着剤の表裏で粘着性が異なる特性を有し、かつ表面均質性の良好な粘着剤を得るのが困難となり、また、貧溶媒の添加量が70重量%を超えると、ポリマー溶液の粘度が低下し、粘着剤の製膜時に粘着剤の厚みをコントロールするのが難しくなり、好ましくない。
【0028】
本発明の貼付剤は、上記のような粘着性ポリマー(A)と、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート25重量%〜85重量%と、該粘着性ポリマー(A)に含有される成分の少なくとも一成分10重量%〜75重量%とを共重合したパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート共重合体(B)とを、A:B=7:3〜1:9の割合でブレンドし、例えばこの粘着剤溶液をシリコーンコートした離型フィルム上に塗工、乾燥して得ることができる。このようにして得られた本発明の粘着剤は、粘着剤の表裏で粘着力が異なって一方の粘着力が実質的になく、このまま支持体を設けることなく本発明の貼付剤とすることができる。
【0029】
本発明の粘着剤は上述のように表裏で粘着力が異なるが、粘着力が実質的にない面の反対側の面の粘着力は、40g以上500g以下であることが好ましい。
【0030】
かかる貼付剤には必要に応じて、例えば取扱いの簡便性を補助するための保護層等を設けることもできるし、本発明の粘着剤層及び/又は他の粘着剤層や薬物の放出制御層等を用いる複数の粘着剤層とすることもできる。
【0031】
本発明の粘着剤中に薬物を含有させることで、本発明の貼付製剤とすることができる。含有される薬物としては特に限定はないが、具体的には消炎鎮痛剤、ステロイド類、降圧利尿剤、麻酔剤、抗ヒスタミン剤、抗腫瘍剤、抗高血圧剤、抗鬱剤、ビタミン剤などが例示される。また、薬物の含有量は、治療目的に応じて設定されるが、通常0.1〜40wt%,好ましくは1〜30wt%である。含有量が0.1wt%未満では、通常治療に必要な量の薬物の経皮吸収が得られない場合がある。また、含有量が40wt%を超える場合、貼付剤の粘着力が低下したり、使用後の貼付剤の残存薬物量が増え、不経済である。また、薬物を含有させる方法としては、溶液状の粘着剤に薬物溶液をあらかじめ混合して薬物含有粘着剤層とするか、あるいは含浸、転着、スプレー等の方法で薬物を含有しないか又は薬物を十分には含有しない粘着剤層に薬物を経皮吸収に十分な量含有させる等、含有させようとする薬物の物性等に応じて従来公知の方法を採用することができる。
【0032】
更に本発明の粘着剤中に従来既知の薬物溶解補助剤、吸収促進剤、安定化剤、抗酸化剤、香料、防腐剤やpH調整剤などを必要に応じて添加することもできる。具体的には、例えばプロピレングリコール、ヘキサントリオール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(オキシエチレンーオキシプロピレン)グリコールなどの多価アルコール類;例えばモノアセチン、トリアセチン、トリイソオクタン酸グリセリン、モノカプリル酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタンなどの多価アルコール誘導体;例えばオリーブ油、ヒマシ油のような油脂類;例えばミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソオクチル、オレイン酸エチル、セバシン酸ジエチルなどの高級脂肪酸エステル類;例えばリノレン酸、リノール酸、オレイン酸、カプリン酸などの高級脂肪酸;例えばフタル酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピルなどの脂肪酸エステル;例えばジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、Nーメチルピロリドンなどの非プロトン性極性有機物;および例えば流動パラフィンなどの炭化水素類などの吸収促進剤や溶解補助剤や例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、無水クエン酸などの安定化剤、例えば、アスコルビン酸、酢酸トコフェロール、ビタミンEなどの抗酸化剤、例えば、メントール、カンフル、ハッカ油、レモン油などの香料、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、パラオキシ安息香酸イソブチルなどの防腐剤、例えばクエン酸ナトリウム、クエン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウムなどのpH調整剤などをあげることができる。これらは単独でも、1種または2種以上の混合系でも使用できる。
【0033】
【発明の効果】
上述したように、粘着性ポリマーと粘着性ポリマーに含有される成分の少なくとも一成分を共重合したパーフルオロ(メタ)アクリレート共重合体とをブレンドしたポリマー溶液に、パーフルオロ(メタ)アクリレート共重合体の貧溶媒を添加して製膜することにより、表裏で粘着力が異なり、かつ粘着剤表面の均質性が良好な粘着剤が容易に得られ、支持体の不要な貼付剤および貼付製剤が得られる。
【0034】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明する。なお、実施例中、部および%は重量部および重量%を意味する。また、実施例中の「粘着力」「表面均質性」は以下の方法で測定した。
【0035】
(1)粘着力
ベークライト板に幅12mm、長さ50mmに切断したサンプルを貼付し、荷重850gのローラーを1往復させた後、37℃の恒温装置に30分静置させた後、300mm/min.の速度で180度方向に剥離し、そのときの剥離力を粘着力とした。
【0036】
(2)凝集力
上記(1)の方法で粘着力を測定した後に、粘着剤がベークライト板上に残るか否かを目視にて判定を行った。
【0037】
(3)表面均質性
粘着剤層をガラス板に貼付し、粘着剤層裏面から表面に透過してくる光の透過性を目視にて判定した。透過してくる光の強さが粘着剤表面上でムラがなければ表面が均質であると判定した。
【0038】
[実施例1]
窒素ガス雰囲気下で2-パーフルオロオクチルエチルメタクリレート40g、2ーエチルヘキシルアクリレート45g,アクリル酸15g、酢酸エチル100gの溶液に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを上記単量体合計の0.4モル%加えた後、溶液中に窒素ガスを1時間通じた後、70℃で4時間重合を行い、パーフルオロアルキルメタクリレート共重合体を得た。同様にして2ーエチルヘキシルアクリレート90部、メタアクリル酸メチル7部、アクリル酸3部からなるポリアクリル酸アルキルエステル共重合体を得た。28.5%パーフルオロアルキルメタクリレート共重合体の酢酸エチル溶液23.4g、10%ポリアクリル酸アルキルエステル共重合体の酢酸エチル溶液60g、貧溶媒としてトルエン73.3gを含む溶液をシリコーンコートした離型フィルムの上に50ミルの厚みで塗工し、60℃で30分乾燥し粘着剤層を得た。
【0039】
[比較例1]
実施例1において、トルエンの代わりに酢酸エチルを用いた以外は実施例1と同様にして粘着剤層を得た。表面側(空気側)の粘着力は実質的になく、裏面側(離型フィルム側)の粘着力は214g/12mmであった。しかしながら、得られた粘着剤層の光の透過性は不均一であった。
【0040】
[比較例2]
実施例1において、トルエンを添加しなかった以外は実施例1と同様にして粘着剤層を得た。表面側(空気側)の粘着力は実質的になく、裏面側(離型フィルム側)の粘着力は221g/12mmであった。しかしながら、得られた粘着剤層の光の透過性は不均一であった。
【0041】
[比較例3]
実施例1において、トルエンの代わりにテトラヒドロフランを用いた以外は実施例1と同様にして粘着剤層を得た。表面側(空気側)の粘着力は実質的になく、裏面側(離型フィルム側)の粘着力は234g/12mmであった。しかしながら、得られた粘着剤層の光の透過性は不均一であった。
【0042】
[実施例2]
窒素ガス雰囲気下で2-パーフルオロオクチルエチルメタクリレート60g、2ーエチルヘキシルアクリレート25g,アクリル酸15g、酢酸エチル100gの溶液に重合開始としてアゾビスイソブチロニトリルを上記単量体合計の0.5モル%加えた後、溶液中に窒素ガスを1時間通じた後、70℃で5時間重合を行い、パーフルオロアルキルメタクリレート共重合体を得た。28.5%パーフルオロアルキルメタクリレート共重合体の酢酸エチル溶液23.4g、実施例1で用いた10%ポリアクリル酸アルキルエステル共重合体の酢酸エチル溶液60g、貧溶媒としてシクロヘキサン73.3gを含む溶液をシリコーンコートした離型フィルムの上に50ミルの厚みで塗工し、60℃で30分乾燥し粘着剤層を得た。得られた粘着剤を幅12mm長さの50mmに切断し粘着力測定のサンプルを得た。表面側(空気側)をベークライト板に貼り粘着力を測定しようとしたが粘着力がなく測定ができなかった。裏面側をベークライト板に貼り粘着力を測定したところ291g/12mmと良好でありかつ凝集力も良好であった。すわなち、粘着剤表裏で粘着力が異なり、支持体不要の貼付剤が得られた。また、得られた粘着剤層の光の透過性は均一であり、粘着剤層表面は均質であった。
【0043】
【表1】
Figure 0004255536

Claims (4)

  1. (1)粘着性ポリマー(A)と、(2)パーフルオロ(メタ)アクリレート25重量%〜85重量%と該粘着性ポリマー(A)に含有される成分の少なくとも一成分10重量%〜75重量%とを共重合したパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート共重合体(B)とを、A:B=7:3〜1:9の割合でブレンドしたポリマー溶液に、該共重合体(B)の貧溶媒を添加して製膜された粘着剤からなり、該粘着剤の片面の粘着力は実質的になく、他面の粘着力が40g以上500g以下であることを特徴とする貼付剤。
  2. 該粘着性ポリマー(A)が、炭素数1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分としたアクリル系ポリマー、または酢酸ビニルを主成分とした酢酸ビニル系ポリマーである請求項1記載の貼付剤。
  3. 支持体がなく、実質的に該粘着剤からのみなる請求項1又は2記載の貼付剤
  4. 該粘着剤中に薬物を含有してなる請求項1〜3のいずれか1項記載の貼付剤
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