JP4255058B2 - 溶湯の炉外漏出防止構造 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射性廃棄物の高周波溶融炉におけるキャニスタ内の溶湯が漏出した場合、炉外にまで漏出するのを防止する溶湯の炉外漏出防止構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、原子力発電所などの放射性物質取扱施設から発生する放射性廃棄物の処理方法として、放射性廃棄物を焼却処理し、焼却残渣である焼却灰の形態に減容し、これをさらに溶融、固化して放射性物質を固化体内に封入した後、ドラム缶などに収容して所定貯蔵施設に保管する方法が実用化されている。そして、その放射性物質を溶融するための高周波溶融炉としては、円筒形炉体内に溶湯を収容するキャニスタを昇降自在に配設し、その円筒形炉体の外周には誘導加熱コイルを配設したものが知られている。（特許文献１を参照のこと）
【０００３】
【特許文献１】
特開昭６１−１４５９７号公報：第３欄第１８行〜３９行、第１図
【０００４】
この高周波溶融炉において、溶湯を収容する容器であるキャニスタは、カーボングラファイト、セラミックスなどの耐熱非金属材料あるいはステンレス鋼などの耐熱金属材料で形成されているものであるが、熱衝撃や溶融物による侵食などによって亀裂や侵食孔が生じて内部の溶湯が漏出する場合がある。この場合、漏出した溶湯が高周波溶融炉の底部耐火物に損傷を与えたり、下方に設置される昇降装置を損傷するおそれがあったが、従来は溶湯の炉外への漏出防止が十分でなかったうえ、キャニスタから溶湯が漏出すると、少なくとも炉内下部を全面的に改修する必要があって、その改修工数、コストの損失は大きなものであった。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、キャニスタからの溶湯の漏出があっても炉外に漏出するのを防止し、改修のための工数やコストを最小にすることができる溶湯の炉外漏出防止構造を提供する。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記の問題は、円筒形炉体内に溶湯を収容するキャニスタを昇降自在に配設し、その円筒形炉体の外周には誘導加熱コイルを配設した高周波溶融炉において、上からキャニスタを載置する受板部材、側面に透孔が設けられている筒部材、底蓋部材の順に段積みされ構成されたキャニスタ支承耐火部材が昇降装置によって昇降可能に配設されるとともに、前記キャニスタ支承耐火部材の昇降通路空間を形成する耐火壁部材を前記円筒形炉体の直下に、炉本体側に固定具によって配設し、かつ、キャニスタを上昇させ所定位置に配置した場合には、前記キャニスタ支承耐火部材の下端部の外周部分と前記耐火壁部材の下部とによって前記昇降通路空間が閉じられて、キャニスタから漏出した溶湯を貯留できる漏出溶湯貯留部を形成するように位置関係を定めるとともに、溶湯が漏出し流下して漏出溶湯貯留部に貯留した場合には、前記固定具を取り外して、前記耐火壁部材とキャニスタを支承したキャニスタ支承耐火部材とを一体に下降させ炉外に取り出し可能としたことを特徴とする本発明の溶湯の炉外漏出防止構造によって、解決することができる。
【０００８】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の溶湯の炉外漏出防止構造に係る実施形態について、図１、部分拡大した図２を参照しながら説明する。
本発明の溶湯の炉外漏出防止構造が適用される高周波熔融炉は、例えば原子力発電所などの放射性物質取扱施設から発生する放射性廃棄物の減容処理に用いられる高周波熔融炉であって、その基本的構造は従来公知のものと格別変わるところはない。すなわち、図１に示すように、キャニスタ１の外周を包囲する円筒形炉体２の外側に誘導加熱コイル３を配設した高周波溶融炉である。
【０００９】
そして、前記キャニスタ１は、その直下に配置されるキャニスタ支承耐火部材４によって支承され、このキャニスタ支承耐火部材４はさらに炉外に設置された昇降装置（図示せず）によって昇降自在に支持されている。かくして、キャニスタ１はこのキャニスタ支承耐火部材４に載置された状態で昇降され、用済みキャニスタに取出し、新規キャニスタの組み込みなどが行われるのである。
【００１０】
なお、この実施形態では、このキャニスタ支承耐火部材４は、図２に示すように、上からキャニスタを載置する受板部材４１、筒部材４２、底蓋部材４３の順に段積みされ、それぞれが耐火物からなる部材で構成されている。
【００１１】
また、本発明では、前記キャニスタ支承耐火部材４が昇降する際の昇降通路空間６を形成するよう、誘導加熱コイル３を設けた前記円筒形炉体２の直下に、円筒形状の耐火壁部材５が配設され、下部に組み付けた連接部材５１を固定具５１ａによって炉本体側部材２１に着脱可能に固定されている。従って、この固定具５１ａを取外せば耐火壁部材５は下方に引き出されて、取外すことができるのである。
【００１２】
さらに、キャニスタ１を上昇させ所定位置に配置した場合には、前記キャニスタ支承耐火部材４の下端部（底蓋部材４３）の外周部分と前記耐火壁部材５の下部とによって前記昇降通路空間６が閉じられて、前記キャニスタ支承耐火部材４と前記耐火壁部材５とによってキャニスタから漏出した溶湯を貯留できる漏出溶湯貯留部７を形成するように、相互の位置関係を定めている。この両者の合わせ目には耐熱性パッキン５１ｂを介装するのが好ましい。
【００１３】
かくして、本発明の溶湯の炉外漏出防止構造は、溶湯がキャニスタ１から漏出し流下して漏出溶湯貯留部７に貯留した場合には、前記固定具５１ａを取り外して、前記耐火壁部材５とキャニスタ１を支承したキャニスタ支承耐火部材４とを漏出溶湯貯留部７としたまま一体に下降させ炉外に取り出すことができる構造に構成されている。
【００１４】
このように、本発明によれば、溶湯がキャニスタ１から漏出するような事態となっても、流下した溶湯は前記漏出溶湯貯留部７に貯留され、外部に漏れることがないので、炉内の他の構造部材や昇降装置のような付属装置に損傷を与えることが防止できる。さらに、その場合、前記したよう前記漏出溶湯貯留部７を取り外すことができるので、耐火壁部材５とキャニスタ支承耐火部材４とを改修するだけで設備を正常に復元できる利点が得られるのである。
【００１５】
なお、キャニスタ支承耐火部材４を構成する受板部材、筒部材、底蓋部材のうち、筒部材４２にはその側面下部に透孔４２ａを設けることによって、大量の溶湯が漏出した場合でも、その透孔４２ａから筒部材４２内に溶湯が流入して貯留可能となるので外部へ溢れ出るのを防止できるから、より好ましい構造となる。
【００１６】
【発明の効果】
本発明の溶湯の炉外漏出防止構造は、以上説明したように構成されているので、キャニスタからの溶湯の漏出があっても炉外に漏出するのを防止し、改修のための工数やコストを最小にすることが可能となり、放射性廃棄物などを処理する高周波溶融炉の効率的な運転に大きく寄与できるという優れた効果がある。よって本発明は、従来の問題点を解消した溶湯の炉外漏出防止構造として、実用的価値はきわめて大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施形態を説明するための高周波溶融炉装置の要部断面図。
【図２】図１の部分拡大図。
【符号の説明】
１ キャニスタ、２ 円筒形炉体、２１ 炉本体側部材、３ 誘導加熱コイル、４ キャニスタ支承耐火部材、４１ 受板部材、４２ 筒部材、４３ 底蓋部材、５ 耐火壁部材、５１ 連接部材、５１ａ 固定具、６ 昇降通路空間、７ 漏出溶湯貯留部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射性廃棄物の高周波溶融炉におけるキャニスタ内の溶湯が漏出した場合、炉外にまで漏出するのを防止する溶湯の炉外漏出防止構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、原子力発電所などの放射性物質取扱施設から発生する放射性廃棄物の処理方法として、放射性廃棄物を焼却処理し、焼却残渣である焼却灰の形態に減容し、これをさらに溶融、固化して放射性物質を固化体内に封入した後、ドラム缶などに収容して所定貯蔵施設に保管する方法が実用化されている。そして、その放射性物質を溶融するための高周波溶融炉としては、円筒形炉体内に溶湯を収容するキャニスタを昇降自在に配設し、その円筒形炉体の外周には誘導加熱コイルを配設したものが知られている。（特許文献１を参照のこと）
【０００３】
【特許文献１】
特開昭６１−１４５９７号公報：第３欄第１８行〜３９行、第１図
【０００４】
この高周波溶融炉において、溶湯を収容する容器であるキャニスタは、カーボングラファイト、セラミックスなどの耐熱非金属材料あるいはステンレス鋼などの耐熱金属材料で形成されているものであるが、熱衝撃や溶融物による侵食などによって亀裂や侵食孔が生じて内部の溶湯が漏出する場合がある。この場合、漏出した溶湯が高周波溶融炉の底部耐火物に損傷を与えたり、下方に設置される昇降装置を損傷するおそれがあったが、従来は溶湯の炉外への漏出防止が十分でなかったうえ、キャニスタから溶湯が漏出すると、少なくとも炉内下部を全面的に改修する必要があって、その改修工数、コストの損失は大きなものであった。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、キャニスタからの溶湯の漏出があっても炉外に漏出するのを防止し、改修のための工数やコストを最小にすることができる溶湯の炉外漏出防止構造を提供する。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記の問題は、円筒形炉体内に溶湯を収容するキャニスタを昇降自在に配設し、その円筒形炉体の外周には誘導加熱コイルを配設した高周波溶融炉において、上からキャニスタを載置する受板部材、側面に透孔が設けられている筒部材、底蓋部材の順に段積みされ構成されたキャニスタ支承耐火部材が昇降装置によって昇降可能に配設されるとともに、前記キャニスタ支承耐火部材の昇降通路空間を形成する耐火壁部材を前記円筒形炉体の直下に、炉本体側に固定具によって配設し、かつ、キャニスタを上昇させ所定位置に配置した場合には、前記キャニスタ支承耐火部材の下端部の外周部分と前記耐火壁部材の下部とによって前記昇降通路空間が閉じられて、キャニスタから漏出した溶湯を貯留できる漏出溶湯貯留部を形成するように位置関係を定めるとともに、溶湯が漏出し流下して漏出溶湯貯留部に貯留した場合には、前記固定具を取り外して、前記耐火壁部材とキャニスタを支承したキャニスタ支承耐火部材とを一体に下降させ炉外に取り出し可能としたことを特徴とする本発明の溶湯の炉外漏出防止構造によって、解決することができる。
【０００８】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の溶湯の炉外漏出防止構造に係る実施形態について、図１、部分拡大した図２を参照しながら説明する。
本発明の溶湯の炉外漏出防止構造が適用される高周波熔融炉は、例えば原子力発電所などの放射性物質取扱施設から発生する放射性廃棄物の減容処理に用いられる高周波熔融炉であって、その基本的構造は従来公知のものと格別変わるところはない。すなわち、図１に示すように、キャニスタ１の外周を包囲する円筒形炉体２の外側に誘導加熱コイル３を配設した高周波溶融炉である。
【０００９】
そして、前記キャニスタ１は、その直下に配置されるキャニスタ支承耐火部材４によって支承され、このキャニスタ支承耐火部材４はさらに炉外に設置された昇降装置（図示せず）によって昇降自在に支持されている。かくして、キャニスタ１はこのキャニスタ支承耐火部材４に載置された状態で昇降され、用済みキャニスタに取出し、新規キャニスタの組み込みなどが行われるのである。
【００１０】
なお、この実施形態では、このキャニスタ支承耐火部材４は、図２に示すように、上からキャニスタを載置する受板部材４１、筒部材４２、底蓋部材４３の順に段積みされ、それぞれが耐火物からなる部材で構成されている。
【００１１】
また、本発明では、前記キャニスタ支承耐火部材４が昇降する際の昇降通路空間６を形成するよう、誘導加熱コイル３を設けた前記円筒形炉体２の直下に、円筒形状の耐火壁部材５が配設され、下部に組み付けた連接部材５１を固定具５１ａによって炉本体側部材２１に着脱可能に固定されている。従って、この固定具５１ａを取外せば耐火壁部材５は下方に引き出されて、取外すことができるのである。
【００１２】
さらに、キャニスタ１を上昇させ所定位置に配置した場合には、前記キャニスタ支承耐火部材４の下端部（底蓋部材４３）の外周部分と前記耐火壁部材５の下部とによって前記昇降通路空間６が閉じられて、前記キャニスタ支承耐火部材４と前記耐火壁部材５とによってキャニスタから漏出した溶湯を貯留できる漏出溶湯貯留部７を形成するように、相互の位置関係を定めている。この両者の合わせ目には耐熱性パッキン５１ｂを介装するのが好ましい。
【００１３】
かくして、本発明の溶湯の炉外漏出防止構造は、溶湯がキャニスタ１から漏出し流下して漏出溶湯貯留部７に貯留した場合には、前記固定具５１ａを取り外して、前記耐火壁部材５とキャニスタ１を支承したキャニスタ支承耐火部材４とを漏出溶湯貯留部７としたまま一体に下降させ炉外に取り出すことができる構造に構成されている。
【００１４】
このように、本発明によれば、溶湯がキャニスタ１から漏出するような事態となっても、流下した溶湯は前記漏出溶湯貯留部７に貯留され、外部に漏れることがないので、炉内の他の構造部材や昇降装置のような付属装置に損傷を与えることが防止できる。さらに、その場合、前記したよう前記漏出溶湯貯留部７を取り外すことができるので、耐火壁部材５とキャニスタ支承耐火部材４とを改修するだけで設備を正常に復元できる利点が得られるのである。
【００１５】
なお、キャニスタ支承耐火部材４を構成する受板部材、筒部材、底蓋部材のうち、筒部材４２にはその側面下部に透孔４２ａを設けることによって、大量の溶湯が漏出した場合でも、その透孔４２ａから筒部材４２内に溶湯が流入して貯留可能となるので外部へ溢れ出るのを防止できるから、より好ましい構造となる。
【００１６】
【発明の効果】
本発明の溶湯の炉外漏出防止構造は、以上説明したように構成されているので、キャニスタからの溶湯の漏出があっても炉外に漏出するのを防止し、改修のための工数やコストを最小にすることが可能となり、放射性廃棄物などを処理する高周波溶融炉の効率的な運転に大きく寄与できるという優れた効果がある。よって本発明は、従来の問題点を解消した溶湯の炉外漏出防止構造として、実用的価値はきわめて大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施形態を説明するための高周波溶融炉装置の要部断面図。
【図２】図１の部分拡大図。
【符号の説明】
１ キャニスタ、２ 円筒形炉体、２１ 炉本体側部材、３ 誘導加熱コイル、４ キャニスタ支承耐火部材、４１ 受板部材、４２ 筒部材、４３ 底蓋部材、５ 耐火壁部材、５１ 連接部材、５１ａ 固定具、６ 昇降通路空間、７ 漏出溶湯貯留部。
Claims (1)
- 円筒形炉体内に溶湯を収容するキャニスタを昇降自在に配設し、その円筒形炉体の外周には誘導加熱コイルを配設した高周波溶融炉において、上からキャニスタを載置する受板部材、側面に透孔が設けられている筒部材、底蓋部材の順に段積みされ構成されたキャニスタ支承耐火部材が昇降装置によって昇降可能に配設されるとともに、前記キャニスタ支承耐火部材の昇降通路空間を形成する耐火壁部材を前記円筒形炉体の直下に、炉本体側に固定具によって配設し、かつ、キャニスタを上昇させ所定位置に配置した場合には、前記キャニスタ支承耐火部材の下端部の外周部分と前記耐火壁部材の下部とによって前記昇降通路空間が閉じられて、キャニスタから漏出した溶湯を貯留できる漏出溶湯貯留部を形成するように位置関係を定めるとともに、溶湯が漏出し流下して漏出溶湯貯留部に貯留した場合には、前記固定具を取り外して、前記耐火壁部材とキャニスタを支承したキャニスタ支承耐火部材とを一体に下降させ炉外に取り出し可能としたことを特徴とする溶湯の炉外漏出防止構造。
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|---|---|---|---|
| JP2003080514A JP4255058B2 (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | 溶湯の炉外漏出防止構造 |
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP2003080514A JP4255058B2 (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | 溶湯の炉外漏出防止構造 |
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| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004286655A JP2004286655A (ja) | 2004-10-14 |
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Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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| JP2003080514A Expired - Fee Related JP4255058B2 (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | 溶湯の炉外漏出防止構造 |
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|---|---|---|---|---|
| JP5004490B2 (ja) * | 2006-03-31 | 2012-08-22 | 中国電力株式会社 | 燃焼炎のキャニスタ外周への回り込みを防止する溶融炉構造 |
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2003
- 2003-03-24 JP JP2003080514A patent/JP4255058B2/ja not_active Expired - Fee Related
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|---|---|
| JP2004286655A (ja) | 2004-10-14 |
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