JP4254034B2 - 多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は大量の小径穴ビアホールを容易に形成可能で、かつめっき金属の密着性が高いビルドアップ多層プリント配線板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型化、多機能化に伴って、現在プリント配線板はより高密度化の方向に進んでいる。例えば、導体回路の細線化、高多層化、スルーバイアホール、ブラインドバイアホール(以下「BVH」と称する。)、バリードバイアホール等のインタースティシャルバイアホールを含むバイアホールの小径化、小型チップ部品の表面実装による高密度実装等があり、大判化と量産性に優れた多層プリント配線板の製造方法が種々開発されつつある。さらにベアチップやチップサイズパッケージ(CSP)を複数実装したマルチチップモジュールも前記バイアホールを設けて形成されているが、従来のデバイスベース、セラミックベースから量産性に優れた樹脂基板ベースのマルチチップモジュールが望まれている。
【0003】
高密度化および多端子化された電子デバイスを実装するためには従来の多層プリント配線板では配線の自由度が不足するため、上記のインタースティシャルバイアホールを利用せざるを得なくなり、内層板に樹脂付き銅箔あるいは絶縁フィルムをラミネートし、BVHを設けた後、めっきで導体回路を形成する工程を繰り返すビルドアップ法多層プリント配線板が実用化されている。
【0004】
上記のBVHを形成するためにエキシマレーザー、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等を利用したレーザー加工が検討され、実用化されている。炭酸ガスレーザーは加工速度が速いがBVHの底に残る残渣が炭化し易く除去が必要となるが従来のデスミア処理では容易に除去できないという問題がある。また、エキシマレーザーは加工精度は高くBVHの残渣を残し難いが加工速度が遅く生産性に問題がある。YAGレーザーは現在のところ加工形状に難がある。いずれにしても、レーザー加工はビームを集中させて加工する必要があるためスキャンニングする必要があり、また両面同時に行うことは困難であり、生産性には限界がある。
【0005】
これらの問題を解決する方法として、感光性樹脂の層を内層パネル上に形成し、紫外線露光した後、有機溶剤で現像してBVHを形成した後、無電解めっきおよび電解めっきにより表面に銅箔を形成するホトビア法が提案されており、例えば、特開平2−98995号、特開平2−188992号、特開平5−299837号および特開平6−148877号が挙げられる。
【0006】
しかしながら、これらの方法は紫外線照射のために、光線が感光性樹脂中で散乱することが避けられないため、BVHの寸法としてはアスペクト比が1以下の小径穴になると加工が困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の技術であるレーザー加工では生産性が低く、一方生産性が良いホトビア法では小径BVHの形成が困難であるという課題を解決しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明の第一発明は、金属箔と、導体回路を有する内層パネルとの間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の層を形成する工程、バイアホールを形成する位置部分を残して前記金属箔を除去する工程、前記金属箔は透過させず露出した前記樹脂組成物の層のみ電子線を照射させて硬化させる工程、バイアホールを形成する位置部分の前記金属箔を除去した後、露出した未硬化の樹脂組成物を溶解して前記樹脂組成物の層にバイアホールを設ける工程、前記樹脂組成物の層の表面を粗化する工程、めっきにより前記樹脂組成物の層の表面に金属を析出させる工程、不要な金属を除去して外層導体回路パターンを形成する工程からなることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法である。
【0009】
前記のようにバイアホールを形成するに当たり、金属箔を電子線のレジストとして利用することにより、解像度の高い樹脂組成物の硬化物を形成することができる。
バイアホールとしてはBVH、スルーバイアホール、キャビティホール等への利用が可能である。また、金属箔としては、一般的に銅箔が用いられる。
【0010】
本発明の第二発明は、金属箔の粗化面と導体回路を有する内層パネルとの間に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の層を形成する工程が、活性エネルギー線硬化性樹脂を予め金属箔の粗化面に形成した樹脂付き金属箔を作成した後、当該樹脂付き金属箔を、導体回路を有する内層パネルの上にラミネートすることを特徴とするものである。
すなわち、この方法を用いると、金属箔の粗化面が樹脂組成物に転写されるため、樹脂組成物の硬化物の表面が粗化面となり、その表面に形成するめっき金属層と樹脂組成物の硬化物との密着性が、通常の酸化剤による粗化処理のみの場合に比べて格段に向上するのである。
【0011】
本発明では活性エネルギー線として、電子線を用いるものである。金属箔は比重が大きいので電子線を通し難いが、樹脂組成物は比重が小さいので金属箔のない露出した樹脂組成物は容易に電子線で硬化できることになる。加速電圧を、金属箔の厚さと比重から導かれる金属箔を透過しない電圧以下とし、かつ樹脂組成物の厚さと比重から導かれる硬化に必要な電圧以上に制御することにより、樹脂組成物のリソグラフィが可能となる。しかも、電子線の直線性を利用すればアスペクト比の高い解像度の優れたパターン形成が可能になる。
【0012】
電子線照射量も、使用する金属箔の種類および厚さ、並びに樹脂層の厚さを考慮して設定する。
例えば5〜35μmの銅箔に10〜100μmの厚さで樹脂組成物を形成した樹脂付き銅箔を使用して、BVH位置に銅箔パターンを形成した場合は、加速電圧50〜200KeVで1〜10Mradの照射を行えば良い。
【0013】
本発明の多層プリント配線板の製造方法において使用する樹脂組成物は活性エネルギー線に感応して硬化する樹脂組成物を使用できるが、耐熱性、柔軟性、絶縁性、アルカリ溶解性等を兼ね備えたものとして(1)カルボキシル基を有するアルカリ可溶性のアクリル系重合体および/またはメタクリル系重合体(以下「(メタ)アクリル系重合体」と称する。)、(2)C=C不飽和二重結合を1個以上有する重合性化合物、(3)前記重合性化合物(2)の熱重合開始剤、並びに(4)カルボキシル基を含有する微粒子状の架橋弾性重合体からなる樹脂組成物(以下「樹脂組成物A」と称する。)を用いることが好ましい。
【0014】
本発明の多層プリント配線板の製造方法において使用する別の樹脂組成物として、高耐熱性、絶縁性、柔軟性等を兼ね備えた(1)アルケニルフェノール化合物、(2)マレイミド化合物、並びに(3)アクリロニトリル−ブタジエンゴムまたは水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴムからなるもの(以下「樹脂組成物B」と称する。)が挙げられる。この場合、前記成分(1)と成分(2)の割合は、成分(1):成分(2)=20〜80重量%:80〜20重量%で、かつ成分(3)の割合は、成分(1)、成分(2)および成分(3)の合計量を基準にする5〜70重量%である樹脂組成物が好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
樹脂組成物Aの第1成分のカルボキシル基を有するアルカリ可溶性の(メタ)アクリル系重合体とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸(以下「(メタ)アクリル酸」と称する。)と(メタ)アクリル酸エステルとを主成分とする線状重合体(以下「未変性アクリル系重合体」と称する。)であって、そのカルボキシル基を残存させている重合体である。
【0016】
未変性アクリル系重合体は、メチルアクリレートおよび/またはメチルメタクリレート(以下「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を「(メタ)アクリレート」と称する。)、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸とを適当な組成比率で、例えばイソプロピルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒に溶解し、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等を開始剤とし、共重合させることにより得られるものである。
【0017】
未変性アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステル以外の別成分として、スチレン、アクリロニトリル、エポキシ等の他のビニル化合物を共重合させることも可能であり、特に耐熱性、耐水性を必要とする場合はスチレンを該重合体を構成する全単量体に対し、5〜30重量%の範囲で共重合させると良い。
【0018】
未変性アクリル系重合体中の、(メタ)アクリル酸とその他の成分との比率は、硬化前の本発明の樹脂組成物にアルカリ可溶性を付与させるためには、最終組成物としての酸価を0.5〜3.0meq/gの範囲に調整する必要があり、また後述するように、未変性アクリル系重合体中のカルボキシル基の一部をグリシジル基およびC=C不飽和二重結合を有する化合物との付加に利用する場合のことを考慮すると、(メタ)アクリル酸が当該重合体を構成する全単量体に対し、20〜50重量%であることが好ましい。
【0019】
樹脂組成物Aの第1成分は、前記未変性アクリル系重合体のカルボキシル基の一部に、一分子中にグリシジル基およびC=C不飽和二重結合を有する化合物を付加したものが好ましい。
【0020】
当該化合物は、電子線または紫外線のようなC=C二重結合を重合させ得るような活性エネルギー線或いは加熱により本発明の樹脂組成物を不溶不融化させ、かつ配線基板として充分な機械物性を付与する効果を有する。該化合物の具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、ビニルベンジルグリシジルエーテル、4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチルベンジルアクリルアミド等が挙げられ、これらの中では、入手し易さ、カルボキシル基への付加反応が容易に可能な点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。また、臭素化フェニルグリシジルエーテルのような他のグリシジル化合物を用いても良い。
【0021】
樹脂組成物Aの第1成分の重合体の分子量は3,000〜50,000が好ましい。3,000未満では樹脂をフィルム化する場合にタック性が大きすぎるので好ましくない。一方50,000を超えると、本発明の多層プリント配線板の製造方法において、内層パネル上の導体回路パターンの凹部への樹脂の埋め込みが困難になり易く、いずれも好ましくない。
【0022】
樹脂組成物Aの第1成分は、塗工乾燥後の樹脂のひび割れや銅はくからの樹脂の脱落を防止するとともにアルカリ溶解性を得るために必要不可欠な成分である。その好ましい配合量は、本発明の樹脂組成物全体の10〜60重量%である。
【0023】
樹脂組成物Aの第2成分であるC=C不飽和二重結合を1個以上有する重合性化合物は、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基またはビニル基等を有する化合物である。具体的には二重結合が1個の化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類;スチレン、アクリロニトリル等ビニル基を有する化合物;アリルフェノール、オイゲノール等アリル基を有する化合物;N−フェニルマレイミド、p−ヒドロキシ−N−フェニルマレイミド、p−クロロ−N−フェニルマレイミド等マレイミド基を有する化合物等が挙げられる。
【0024】
二重結合が2個の化合物としては、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシのジ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等のジ(メタ)アクリレート類;ジビニルベンゼン等ビニル化合物類;ジアリルフタレート、ビスフェノールAのジアリルエーテル等アリル化合物類が挙げられる。また、二重結合が3個以上の化合物としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートおよびトリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
【0025】
上記化合物の中では、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートのように架橋点間が長く柔軟な硬化物を与える化合物と、第1成分との相溶性の点で、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたはペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましい。また、第2成分の配合量は、第1成分100重量部に対して、10〜200重量部の範囲が耐熱性の点で好ましい。
【0026】
樹脂組成物Aの第3成分である熱重合開始剤としては、有機過酸化物系、アゾビス系が挙げられる。この中では、分解開始温度が高いために保存安定性が良い点と、分解した時に低分子量の揮発性成分の発生が少ない点から、ジアルキルパーオキサイドが好ましく、具体的にはジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン等が挙げられる。また、その配合量は、本発明の樹脂組成物100重量部に対して0.5〜5重量部が好ましい。0.5重量部未満では重合が不十分となり、5重量部を超えるとシェルフライフが短くなると共に開始剤の分解物の量が多く発生するために耐熱性が損なわれる恐れがある。
【0027】
樹脂組成物Aの第4成分であるカルボキシル基を含有する微粒子状の架橋弾性重合体は、本発明の樹脂組成物の硬化後に、硬化物中に均一に分散していることによって海島構造の島に相当する構造を形成し、硬化後の本発明の樹脂組成物に耐クラック性を付与することを主目的として配合されるものである。すなわち、本発明の樹脂組成物に対して常温時の衝撃や加熱時のストレスが加わり、樹脂の部分的な破壊が生じても、該破壊は海島構造の島の部分すなわち微粒子状弾性重合体の界面で止まるために破壊は伸張しなくなり、クラックが発生し難くなると考えられる。
【0028】
当該微粒子状重合体の平均粒径は体積基準法による値で1μm未満が好ましい。1μm以上では、本発明の樹脂組成物を溶剤と混合してなる樹脂ワニス中で該成分の分散性が悪くなる。さらに好ましくは0.1μm以下である。
【0029】
樹脂組成物Aの第4成分の具体例としては、カルボキシル基を有する架橋アクリルゴム、カルボキシル基を有する架橋NBRおよびカルボキシル基を有する架橋MBS樹脂等が挙げられる。
この中では、薬剤に溶解するカルボキシル基を有する架橋アクリルゴムおよびカルボキシル基を有する架橋NBRが、絶縁層とメッキ金属との密着性の向上に寄与するとの理由から好ましく、入手が容易で、かつ樹脂組成物Aの硬化時の絶縁性および未硬化時のアルカリ溶解性を共に良好にさせることから架橋アクリルゴムがさらに好ましい。
第4成分の配合量は、硬化された樹脂組成物が十分な耐衝撃性を得るためには、樹脂組成物A全体の5〜40重量%の範囲で添加することが好ましい。40重量%を超えて配合する場合は、耐衝撃性の点では問題はないが、樹脂組成物Aを溶剤と混合してなる樹脂ワニスを製造した場合、第4成分が分離し易く、ワニスの安定性が低下したり、内層パネルに塗工乾燥する際に塗工ムラや気泡の発生が起こり易くなるため好ましくない。
【0030】
樹脂組成物Aを溶剤と混合して樹脂ワニスを製造する場合、第4成分がワニス中の溶剤に可溶だと、溶剤中で該成分が凝集して均一に分散し難くなる。このまま多層プリント配線板を製造する場合には、アルカリ溶解時に該凝集物が溶解せずに残り易くなる。
さらに、第4成分が樹脂ワニス中に完全に溶解した場合には、前述の海島構造の島に相当する部分を形成しないため、クラックが発生し易くなる。
【0031】
また、第4成分に帰する柔軟成分が海島構造の海の部分にも残ってしまうため、本発明の樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度(Tg)が低下してしまい、高温での物性が低下するため好ましくない。このため、第4成分は、後述の樹脂ワニスを製造するときの溶剤に不溶または難溶なものが好ましく、具体的には架橋された構造とすることにより不溶または難溶とすることができる。
また架橋構造とすることにより、樹脂ワニス中での安定性が高まるという効果も発現する。
【0032】
第1成分のカルボキシル基を有するアルカリ可溶性の(メタ)アクリル系重合体と第4成分のカルボキシル基を含有する微粒子状の架橋弾性重合体とを組み合わせることにより、未硬化の樹脂組成物Aは、アルカリ性水溶液等で溶解除去する際の溶解性が著しく向上する。これは第4成分がカルボキシル基を有するため元々アルカリ溶解性に優れているのに加え、架橋しているため、樹脂組成物中に海島状に分散され易いとの理由によるものと考えられる。
【0033】
カルボキシル基を有する微粒子状の未架橋の弾性重合体では、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合体および架橋剤等他の成分と完全に混ざるため海島状とならず、アルカリ性水溶液等で溶解除去する際の溶解性が悪くかつ本発明の樹脂組成物を硬化させたときにクラックが発生し易くなる。
【0034】
カルボキシル基を含有させない架橋弾性重合体を用いた場合でも、第1成分に含まれるカルボキシル基によって樹脂層の除去は可能であるが、均一に溶解させることは困難であり、アルカリ現像機のスプレーの力によって膨潤した樹脂がはぎ取られる様にして除去される。このためアルカリ現像によってBVHを形成する場合、カルボキシル基を含有しない微粒子状架橋弾性重合体を第4成分の代わりに用いると、穴加工の歩留まりが低くなり、穴径が0.5mm以下になるような微細なBVHでは穴底に溶け残った該重合体が互いに融着した層ができてしまい完全な穴の形成が困難になるという問題がある。
【0035】
第4成分を樹脂組成物A中に分散させる方法としては、予めメチルエチルケトン等の溶剤中に各成分を加えてホモミキサー等により分散した後に、樹脂組成物Aを構成する他の成分を配合するか、第4成分、溶剤および他の成分を配合後ホモミキサーを用いて分散する等の手段を用い、微粒子の二次凝集をほぐしておくことが好ましい。またその他の方法として三本ロール、ボールミル等も好適である。
二次凝集が十分ほぐされないまま、樹脂組成物Aをワニスとした場合には、第4成分が樹脂ワニス中で分離してワニスの保存安定性が著しく低下し、またこのワニスを導体回路パターンを有する内層パネル上に塗工しても均一な塗膜が得られ難く、絶縁信頼性を低下させ、さらに表面に形成する微細な回路の形成が著しく損なわれる恐れがある。
【0036】
樹脂組成物Aは、少なくとも上記4成分を必須成分として配合してなるものであるが、当該樹脂組成物に難燃性を付与するためには、さらに第5成分として、ハロゲン化フェノール化合物のグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応物、並びに/或いは第6成分として、リンまたはリン系難燃剤を追加することが好ましい。
【0037】
第5成分であるハロゲン化フェノール化合物のグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応物の具体例としては、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応物、テトラブロモビスフェノールA骨格および臭素を含有しないビスフェノールAを共に含有するエポキシ樹脂(例えばダウ社製DER514)と(メタ)アクリル酸との反応物等が挙げられ、所望により2種類以上を使用することもできる。またテトラブロモビスフェノールAの副生成物として含まれるモノブロモ体やジブロモ体等ビスフェノールA骨格当たりの臭素置換数の異なる化合物が存在していても良い。また単官能の臭素化エポキシ樹脂(例えば日本化薬(株)製BROCシリーズ)と(メタ)アクリル酸との反応物や多官能の臭素化エポキシ樹脂(例えば日本化薬(株)製BRENシリーズ)と(メタ)アクリル酸との反応物を使用することもできる。これらの中では、本発明の樹脂組成物に配合した場合に、強度と適度な柔軟性を併わせ持たせることができる2官能性の化合物が好ましく、ハロゲンの種類としては臭素が難燃性が優れるため特に好ましい。第5成分の配合量は本発明の樹脂組成物中において、臭素含有量が5〜25重量%になるようにすることが好ましい。
【0038】
臭素含有量が5重量%未満では、後述の第6成分由来のリンを2重量%以上配合しないと、本発明の樹脂組成物の硬化物の難燃性が十分に得られなく、リンを多量に配合することは絶縁性を低下させるために好ましくない。臭素配合量が25重量%を超える場合も難燃性は得られるが加熱時にハロゲン化合物が脱離し易くなりはんだ耐熱性や長期の信頼性が低下するため好ましくない。そのために下記のリン酸エステルを併用する。
【0039】
第6成分であるリン酸エステルの具体例としては、トリクレジルホスフェート、トリ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート(大八化学工業(株)製PX130)、トリアリールホスフェート(味の素(株)製レオフォス)等が使用でき、所望により2種類以上を添加することもできる。またリン単体である赤燐も難燃効果が高く、その微粉末例えば日本化学工業(株)製ヒシガードCP等も使用できる。
【0040】
第6成分の配合量は本発明の樹脂組成物中のリン含有量が0.1〜2重量%の範囲になるようにすることが好ましい。
リンの含有量が0.1重量%未満の場合には臭素化合物をより多く配合しないと難燃性が得られないため、はんだ付けの際にハロゲン化物の分解物が多く発生して耐熱性が十分でなくなり、2重量%を超えると電気的な絶縁性が悪くなり易い。
【0041】
なお、樹脂組成物Aをノンハロゲン化を図るには前記第5成分を使用せず、第6成分を3〜20重量%添加することにより難燃性が得られる。
【0042】
樹脂組成物Aには、さらに、タルクまたはシリカ等の無機フィラー、あるいはレベリング剤、消泡剤、顔料またはイオン捕捉剤等の添加剤を必要に応じて追加してもよい。
【0043】
無機フィラーは、例えば、硬化物の寸法精度向上や線膨張係数コントロール等の目的で添加される。使用し得る無機フィラーの代表例としては、シリカ粉、ケイ酸ジルコニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、石英ガラス粉、クレー、タルク、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらの無機フィラーは、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。また、これら無機フィラーの添加量は使用目的に応じて決定されるが、一般に樹脂組成物の全容量に対して5〜75容量%の範囲内とするのが適当である。
【0044】
樹脂組成物Aを樹脂ワニスにする際の溶剤としては、第4成分以外の各成分を溶解すると共に樹脂組成物Aを塗工した後、該樹脂組成物が重合しない程度の加熱および時間で揮発するものが好ましく、具体的にはメチルエチルケトン、エタノールおよびイソプロピルアルコール等沸点が100℃未満のものが挙げられる。
該溶剤は、樹脂ワニスの固型分濃度が30〜80重量%となるように配合することが好ましい。
【0045】
樹脂組成物Aは、本発明の多層プリント配線板の製造方法に好適である。すなわち、内層の導体回路パターンと外層金属箔間の電気的な接続をするためのBVHの形成が従来1穴ずつドリルで明けていたところを、樹脂組成物Aがアルカリ可溶性を付与しているため、金属箔をレジストとして活性エネルギー線を照射することによりBVH以外の位置の樹脂組成物の層を硬化させ、金属箔を溶解すると共に未硬化部分の樹脂組成物をアルカリ水溶液で現像することにより一度に多数個のBVHを形成することができ、生産効率を上げることができる。
【0046】
一般に絶縁用樹脂組成物を0.6mm以下の薄いプリント配線板の層間絶縁材料として使用するとはんだ付けやはんだリフローのように高温に加熱するとプリント配線板に反りが発生し易い。さらに樹脂組成物Aの第4成分を含まずしかもガラスクロスや無機フィラーがないと上記の加熱による反りに由来する応力を分散できず、樹脂にクラックや内層と外層の銅はくで挟まれる樹脂層でふくれが発生することがあった。しかしながら、樹脂組成物Aでは変形応力が樹脂組成物に加わることになるが、第4成分が上記応力を吸収するために上記のようなクラックやふくれが発生し難くなる。
【0047】
本発明における樹脂組成物Bの第1成分であるアルケニルフェノール化合物は、アルケニル基を有するフェノール誘導体であれば特に限定されない。
【0048】
具体例としては、2,2−ビス〔4−ヒドロキシ−3−(2−メチル−2−プロペニル)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−ヒドロキシ−3−(2−プロペニル)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−ヒドロキシ−3−(2−メチル−2−プロペニル)フェニル〕ペンタン、2,2−ビス〔4−ヒドロキシ−3−(2−プロペニル)フェニル〕ペンタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス〔4−ヒドロキシ−3−(2−メチル−2−プロペニル)フェニル〕プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス〔4−ヒドロキシ−3−(2−プロペニル)フェニル〕プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロ−2,2−ビス〔4−ヒドロキシ−3−(2−メチル−2−プロペニル)フェニル〕プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロ−2,2−ビス〔4−ヒドロキシ−3−(2−プロペニル)フェニル〕プロパン、ビス〔4−ヒドロキシ−3−(2−メチル−2−プロペニル)フェニル〕メタン、ビス〔4−ヒドロキシ−3−(2−プロペニル)フェニル〕メタン、1,1−ビス〔4−ヒドロキシ−3−(2−メチル−2−プロペニル)フェニル〕エタン、1,1−ビス〔4−ヒドロキシ−3−(2−プロペニル)フェニル〕エタン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ビス(2−メチル−2−プロペニル)ビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ビス(2−プロペニル)ビフェニル、ビス〔4−ヒドロキシ−3−(2−メチル−2−プロペニル)フェニル〕チオエ−テル、ビス〔4−ヒドロキシ−3−(2−プロペニル)フェニル〕チオエ−テル、ビス〔4−ヒドロキシ−3−(2−メチル−2−プロペニル)フェニル〕エ−テル、ビス〔4−ヒドロキシ−3−(2−プロペニル)フェニル〕エ−テル、ビス〔4−ヒドロキシ−3−(2−メチル−2−プロペニル)フェニル〕スルホン、ビス〔4−ヒドロキシ−3−(2−プロペニル)フェニル〕スルホン、ビス〔4−ヒドロキシ−3−(2−メチル−2−プロペニル)フェニル〕シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0049】
また、2−アリルフェノール、4−アリルフェノール、2−アリル−4−メチルフェノール、2−アリル−4−メトキシフェノール、2−アリル−6−メチルフェノール、2−メタリルフェノール、4−メタリルフェノール、2−メタリル−4−メチルフェノール、2−メタリル−4−メトキシフェノール、2−メタリル−6−メチルフェノール、2−クロチルフェノール等も使用することができる。
さらに、他のアルケニルフェノール化合物として、1,1,1−トリス(2−アルケニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(2−アルケニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、4−{4−〔1,1−ビス(2−アルケニル−4−ヒドロキシフェニル)エチル〕}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等の3価以上のフェノール類から誘導されるアルケニルフェノールを挙げることができる。
【0050】
これらのアルケニルフェノール化合物は、所望により2種類以上併用しても良い。
好ましいアルケニルフェノール化合物としては、反応性、硬化物の電気特性の点で2−メチル−2−プロペニル基(メタリル基)を有するアルケニルフェノール化合物が挙げられる。
【0051】
樹脂組成物Bにおける第2成分は、マレイミド類である。具体的化合物としてはN−置換マレイミド化合物、N,N−置換マレイミド化合物およびこれらマレイミド化合物のプレポリマーがあり、N−置換マレイミド化合物およびN,N−置換マレイミド化合物の具体例として以下の化合物が挙げられる。
即ち、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−p−トリルマレイミド、N−m−トリルマレイミド、N−o−トリルマレイミド、N−α−ナフチルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−p−キシリルマレイミド、N−m−キシリルマレイミド、N−o−キシリルマレイミド、N,N’−エチレンジマレイミド、N,N’−ヘキサメチレンジマレイミド、N,N’−ヘキサメチレンジマレイミド、N,N’−ドデカメチレンジマレイミド、N,N’−m−フェニレンジマレイミド、N,N’−p−フェニレンジマレイミド、N,N’−(オキシジ−p−フェニレン)ジマレイミド、N,N’−(メチレンジ−p−フェニレン)ジマレイミド、N,N’−2,4−トリレンジマレイミド、N,N’−2,6−トリレンジマレイミド、N,N’−m−キシリレンジマレイミド、N,N’−p−キシリレンジマレイミド、N,N’−オキシジプロピレンジマレイミド、エチレンジオキシ−ビス−N−プロピルマレイミド、オキシ−ビス−N−エチルマレイミド、N,N’−p,p’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N’−p,p’−ジフェニルエ−テルビスマレイミド、N,N’−ジシクロヘキシルメタンビスマレイミド、N,N’−(3,3−ジクロロ−p,p’−ビスフェニレン)ビスマレイミド、1,1,1,3,3,3ーヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3ーヘキサフルオロ−2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン等が挙げられる。
【0052】
これらのマレイミド化合物は、所望により2種類以上併用しても良い。さらにトリ置換あるいはテトラ置換のマレイミド化合物、ポリ(フェニルメチレン)ポリマレイミド化合物またはこれらの各種マレイミド化合物の2種類以上を適宜併用することができる。
好ましいマレイミド類としてはN,N’−(メチレンジ−p−フェニレン)ジマレイミドおよびN,N’−p−フェニレンジマレイミド等が挙げられる。
また、第1成分のアルケニルフェノール化合物と第2成分のマレイミド化合物のプレポリマーを用いてもかまわない。
【0053】
本発明において、第1成分のアルケニルフェノール化合物と第2成分のマレイミド化合物との好ましい配合割合は、第1成分を20〜80重量部、より好ましくは40〜60重量部とし、これに対し第2成分を80〜20重量部、好ましくは60〜40重量部とする。
第1成分が80重量部を超えると得られる樹脂組成物の硬化物の耐熱性が低下し、20重量部未満では硬化物が脆くなり易い。
【0054】
なお、樹脂組成物Bをワニス化する場合、樹脂組成物Bをそのまま有機溶剤に溶解または分散させてもよいが、ワニスの固形分濃度を上げるため、またワニスに沈殿を生じ難くするために、第1成分のアルケニルフェノール化合物と第2成分のマレイミド化合物とを予め部分的に反応させておくことが好ましい。具体的には第1成分と第2成分とをゲルパーミエーションクロマトグラフィーから算出した反応率が30〜90%となるまで反応させることが好ましい。
樹脂組成物Bにおける第3成分は、アクリロニトリル−ブタジエンゴムまたは水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴムであり、ブタジエンとアクリロニトリルを主成分とした共重合体またはそれらを水素化(水添)したものであれば特に限定されず、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミド、イソプレン等を共重合させたものも使用可能である。
【0055】
上記第3成分のアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたは水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム中のアクリロニトリル分の好ましい含有量は5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。アクリロニトニルの含有量が5重量%未満では溶剤への溶解性が低下し、50重量%を超えると吸水率が高くなり易くいずれも好ましくない。
【0056】
また、本発明に用いるアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたは水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴムの分子量は重量平均分子量で5,000〜40,0000が好ましく、より好ましくは10,000〜300,000である。重量平均分子量が5,000未満の場合、ゴムの熱安定性が低下するため成形中に分解する可能性があり、400,000を超えるとワニス粘度が上昇し、作業性が低下する。
【0057】
樹脂組成物Bにおける第3成分の好ましい配合量は、第1成分、第2成分および第3成分の合計に対して5〜70重量%であり、より好ましくは10〜50重量%である。第3成分の配合量が70重量%を超えると樹脂組成物の耐熱性および接着性が低下する。一方、第3成分の配合量が5重量%未満であると、B−ステージでの可撓性が不足する。
【0058】
樹脂組成物Bにおけるワニスは、第1成分、第2成分および第3成分からなる樹脂組成物を有機溶剤に溶解または分散させて得られる。
前記有機溶剤としては、メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の炭化水素類、塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエ−テル類、セロソルブアセテ−ト等のエ−テルエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性有機溶剤が用いられるが、特に限定しない。これらの有機溶剤は1種または2種以上を混合して使用することができる。
有機溶剤の使用量は、用途および有機溶剤の種類に応じて種々異なり、明確に規定することは困難であるが、ワニス全重量に対して10〜95重量%、より好ましくは20〜90重量%が適当である。使用する有機溶剤が10重量%よりも少ないとワニス粘度が高くなり、使用する際の作業性が低下し、また保存安定性が低下する。また、使用する有機溶剤が95重量%よりも多く用いると、逆にワニス粘度が下がりすぎて、均一に塗布しにくくなる。
【0059】
本発明の樹脂組成物Bまたはこれを溶解してなるワニスには、さらに熱重合開始剤を配合することが好ましい。また、難燃剤やシランカップリング剤を適宜添加することが好ましく、さらに他の樹脂、無機フィラー、チキソ性付与剤、消泡剤、レベリング剤等を添加しても良い。
【0060】
熱重合開始剤は、加熱等により樹脂組成物の完全な硬化をもたらすもので、前記樹脂組成物Aで用いたものと同じ種類および配合量を使用できる。
【0061】
前記難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート反応物、テトラブロモビスフェノールAジアリルエーテル、ヘキサブロモベンゼン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)フェニルプロパン、デカブロモジフェニルエーテル、臭素化ポリカーボネート等の有機難燃剤、酸化アンチモン、水酸化アルミ、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、酸化スズ等の無機系難燃剤、トリフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート等の芳香族リン酸エステル系難燃剤等が挙げられる。
これらの難燃剤は1種または2種以上を併用して使用することができる。
好ましい難燃剤としては、分解温度が高いことおよびワニスに添加し沈殿し難いことから臭素化ポリカーボネートが挙げられる。
【0062】
前記シランカップリング剤は、各成分の反応性等を向上させるもので、第1成分、第2成分および第3成分と反応する有機基を有する化合物であれば特に限定されない。具体的には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキドキシエチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−[β−(N−ビニルベンジルアミノ)エチル]−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩等を挙げることができる。
【0063】
これらシランカップリング剤は、所望により1種もしくは2種以上混合して使用することができる。
好ましいシランカップリング剤は、反応性および接着性の向上等の理由により、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤及びγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤を挙げることができる。
【0064】
本発明の樹脂組成物は好ましくは溶剤で粘度調整をした後、導体回路パターンを有する内層パネル上に直接塗工乾燥させることにより絶縁層を形成できるが、予め金属箔上に塗工乾燥して樹脂付き金属箔として内層パネルにラミネートしても良い。絶縁層の表面平滑性が得易いこととプリント配線板の加工工程の作業環境が良いことから後者の方法が好ましい。
【0065】
本発明の樹脂組成物またはそのワニスの内層パネルや金属箔への塗工は、通常のスプレー、グラビアコーティング、ロールコーティング等の方法により行うことができる。塗布厚は、通常1〜200μm、好ましくは10〜100μmである。ワニスの場合には、コーティング後に乾燥させて溶媒を除去する。このとき、好ましい乾燥温度は室温〜250℃で、より好ましくは100〜200℃である。また、好ましい乾燥時間は数分〜4時間で、より好ましくは数分〜0.5時間である。
【0066】
本発明においては、BVHを設けるため樹脂組成物の層に電子線照射を行い、アルカリ溶液または溶剤でBVH部分の樹脂組成物を溶解除去し乾燥した後に、前記樹脂組成物中の微粒子を溶解して粗面化する工程を入れることが望ましい。
【0067】
樹脂組成物中の微粒子を溶解して粗面化するための酸化剤としては、クロム酸、クロム酸塩、過マンガン酸塩等の水溶液が使用できる。毒性の比較的低い過マンガン酸塩による酸化剤が好ましい。
【0068】
過マンガン酸カリウム液としては硫酸、リン酸、硝酸等の酸と過マンガン酸カリウムの混合溶液、過塩素酸、次亜塩素酸、臭素酸、過沃素酸等の酸性ハロゲン酸と過マンガン酸カリウムの混合溶液、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、過沃素酸カリウム、過沃素酸ナトリウム等のハロゲン酸塩と過マンガン酸カリウムとの混合溶液が利用できる。上記の過マンガン酸カリウム溶液は20〜40℃で処理可能である。
【0069】
さらに、過マンガン酸カリウム溶液で粗面化するに当たり、樹脂表面をジメチルホルムアミド(以下「DMF」と称する。)のような極性の高い溶剤に浸漬して膨潤させることが望ましい。また、DMFも原液に1〜20%の純水を適宜加えた方が表面近傍のみ膨潤されて接着強度が得易い。
【0070】
樹脂組成物の層の表面を粗面化した後、無電解銅めっきを施す。無電解銅めっきの前に無電解ニッケルめっきを施しても良い。後でめっきされる銅層と樹脂層の界面に設けられることによりバリア層となり、はんだ付けやリフロー等の加熱時に銅の劣化を防止することができる。
【0071】
さらに、電解銅めっきを行った後、170〜260℃の3〜120分の加熱によるベーキング処理を施すと0.8〜1.10kg/cmのピール強度が得られる。
【0072】
樹脂層表面を粗面化した後の内層パネルの全面にめっきを施すには、活性化処理した後無電解めっき、電気銅めっきを施して必要な厚さの銅めっきを行う。銅めっきの厚さは5〜35μmが標準的であるが必要に応じて変えても良い。不要な銅を除去するにはエッチングレジストを形成して、塩化銅、塩化鉄等のエッチング液で銅を溶解除去し、膜はぎするより外層回路パターンが形成される。また、全面銅めっきした後、めっきレジストを形成し、はんだめっき、錫めっき等を施し、めっきレジストを膜はぎした後、はんだ、錫等をエッチングレジストとして不要な銅を除去しても良い。
【0073】
本発明の樹脂組成物を完全に硬化させるには、加熱工程を適宜付け加えることが好ましく、その条件は例えば100〜300℃で10分〜5時間である。
【0074】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
実施例1
(ベースレジンの合成)
メチルアクリレート48重量部、スチレン29重量部、アクリル酸23重量部およびアゾビスイソブチロニトリル0.25重量部からなる混合物を、窒素ガス雰囲気下で、温度75℃に保持したメチルエチルケトンおよびエタノールの混合溶剤(混合比率=7対3)100重量部中に5時間かけて滴下した。その後0.5時間熟成し、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.3重量部を加えて4時間熟成することにより未変性アクリル系重合体を合成した。次に重合禁止剤としてハイドロキノン0.23重量部を加えて微量の空気を吹き込みながら、N,N−ジメチルベンジルアミン1.5重量部およびグリシジルメタクリレート14.7重量部を滴下しつつ、温度77℃で10時間反応させて分子量15,000〜50,000、酸価1.81meq/g、不飽和基含有量0.9モル/kgのカルボキシル基を有する第1成分(以下「ベースレジン」と称する。)を合成した。
【0075】
(樹脂組成物Aの調製)
上述のように合成したベースレジンを固型分換算で30重量部、ポリエチレングリコールジアクリレートを5重量部、平均粒径0.07μmのカルボキシル基変性架橋アクリルゴム(日本合成ゴム(株)製DHS2)10重量部、臭素化ビスフェノールA−エポキシメタクリレート(固形分中の臭素含有量は約38%)を固形分換算で40重量部、リン酸エステル(味の素(株)製レオフォス、リン含有量8%)7.0重量部、熱硬化剤(日本油脂(株)製パーヘキシン25B)1.0重量部、並びにメチルエチルケトン75重量部をホモディスパー(特殊機化工業(株)製)を用いてよく混合して樹脂組成物をAを調製し、メチルエチルケトンを加えて粘度を約1000cpsとした後300目のろ布でろ過して樹脂ワニスを調製した。
【0076】
(樹脂付き銅箔Aの製造)
18μの銅箔の粗化面に樹脂ワニスを、バーコーターを用いて塗布し、70℃で10分間乾燥した後、さらに110℃で5分乾燥して溶剤を蒸発除去し厚さ約50μmの樹脂層を形成して樹脂付き銅箔Aを作製した。
【0077】
(多層プリント配線板の製造)
本発明による第一の実施例である多層プリント配線板の製造方法について図面に基づき説明する。
図1に示すように0.4mm厚のガラスエポキシ積層板4からなる内層パネルの18μm厚の導体回路パターン3を黒化処理した後、前記樹脂付き銅箔Aを70℃でラミネートして、図2に示すように導体回路パターン上に約30μm厚さの樹脂組成物の層2を介して表面に銅箔1を有するパネルを形成した。
【0078】
次に、上記パネルの銅箔1上に感光性エッチングレジストを形成してBVHパターンを設けたネガフィルムを介して、紫外線照射による露光を行った後、銅箔をエッチングし、さらにエッチングレジストを剥離して、図3のように直径20μmの銅箔パターンを形成した。次に、100KeVの加速電圧で5Mradの直線性の電子線を照射して、BVH部分を除いて樹脂組成物Aを硬化させた。引き続き、銅箔パターンをエッチングして除去した後、1%炭酸ナトリウム溶液を40℃として1.5kg/cm2の圧力で50秒間現像を行い、導体回路パターン3が露出するまで溶解して図4に示すようなBVH用の直径20μmの微細穴6を設けることができた。
【0079】
引き続き、純水10%を添加したジメチルホルムアミド(DMF)に常温で5分浸漬して樹脂を膨潤させて直ちに2段水洗を30秒行った後、過マンガン酸カリウム20g/リットル、過塩素酸ナトリウム50g/リットルの液を水酸化ナトリウムでpH9.5に調整した過マンガン酸カリウムエッチング溶液に、液温30℃の条件で10分間、前記内層パネルを浸漬して絶縁層2の表面を粗化した。引き続き、2段水洗30秒後、表面の過マンガン酸カリウム液の残査を除去するため、塩化第一錫30g/リットルおよび塩酸(37%液)300cc/リットルからなる中和液にて常温で3分間処理した。さらに水洗30秒後に、塩酸300cc/リットルの液で常温1分間浸漬後、水洗30秒間処理して絶縁層2表面を粗化処理した。
【0080】
次に上記パネル全面を活性化処理してパラジュウムを吸着させた後、無電解ニッケルめっき(大和特殊化学製ケミコPM)を使用して、pH9.0、液温35℃に調整して2分間めっきを行い、約0.15μmのニッケル−りんめっき層を形成した。ニッケルめっき後パネル全体を170℃のオーブンに入れて30分間のアニール処理を行った。
【0081】
引き続き、5%硫酸でニッケル表面を30秒間洗浄し、水洗した後、硫酸銅9g/リットル、エチレンジアミン4酢酸12g/リットル、2,2’ジピリジル10mg/リットルおよび37%ホルムアルデヒド3g/リットルからなり水酸化ナトリウムでpH12.5に調整した40℃の無電解銅めっきで、0.5μmめっきした後、硫酸銅60g/リットル、硫酸180g/リットル、塩化ナトリウム0.07g/リットルおよび光沢剤(シェーリング社カパラシドGS818)10ml/リットルからなる300℃の電気銅めっき溶液を使用し、3A/dm2電流密度でめっきを施し、ピンホールの無い20〜25μmの析出厚さのめっき層7を形成した。
【0082】
引き続き、上記のようにめっきBVHを形成したパネル上に周知のエッチングレジストを形成して不要部分の銅を除去し、膜はぎすることにより、図6に示すようなめっきBVH9有する多層プリント配線板が得られた。
【0083】
次に、上記のように作成した多層プリント配線板の評価を下記のように行った。JIS−C6481に従って銅箔を50mm/分の速度で引き剥して引き剥し強さを測定した結果、35μm換算で1.5kg/cmが得られた。25mm角パターンのテストピース10個について、浴温260℃の溶融はんだ浴に銅はく面を下にして浮かべ、銅はくが膨れるまでの時間を測定した結果、全て180秒以上であった。
JIS−C5012に規定される多層プリント配線板用テストパターンのMパターンにより、外層と内層間の絶縁抵抗を測定した結果、初期値は1012〜1013Ωで耐湿後(C−96/40/95)は1011〜1012Ωであった。
【0084】
本発明の樹脂組成物の硬化物に雄型が先に当たるように亀倉精機製ミニデスクプレスにセットし2cm角の正方形の打ち抜き型で打ち抜き、抜け落ちた基板(2cm角)を観察してクラックの有無を観察した結果、クラックはなく良好であった。260℃のはんだ浴に30秒間浮かべた後直ち絶縁層のクラックの有無を観察したがクラックの発生は無かった。UL94に基づいてサンプルを切断し試験を行った結果、全てUL94V−0のレベルが得られた。さらに、連結200ホールのBVHの導通抵抗変化をみるための−65℃30分、125℃30分を1サイクルとする冷熱サイクル試験を100サイクル行ったが特に異常がなく、±5%以内の抵抗変化率であった。
【0085】
実施例2
(樹脂組成物Bの調整)
冷却管、攪拌機および温度計を取り付けた1リットル三口フラスコに、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン100.6g、2,2−ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−メチル−2−プロペニル)フェニル]プロパン75.5gおよびN,N−ジメチルアセトアミド58.9gを仕込み、130℃で4時間反応させた。反応物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析を行った結果、未反応のビス(4−マレイミドフェニル)メタンと2,2−ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−メチル−2−プロペニル)フェニル]プロパンの合計量は、47.2%であった。
反応液を40℃まで冷却した後、メチルエチルケトン67.0gおよびジクミルパーオキシド12.8gを配合し、均一になるまで攪拌した。その後、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(JSR社製、商品名:PNR−1H)21.0gを溶解した。
メチルエチルケトン溶液105.1gを加えディスパーで攪拌することによりアクリロニトリル−ブタジエンゴムが均一に分散したワニスを得た。
【0086】
(樹脂付き銅箔Bの作成)
前記のワニスを電解銅箔(福田金属(株)製、商品名「CF−T9」、厚み18μm)の粗面に、乾燥後の厚みが50μmとなるようにバーコーターを用いて数回塗布し、160℃で10分間乾燥させて樹脂付き銅箔Bを得た。
【0087】
(多層プリント配線板の製造)
本発明による第二の実施例である多層プリント配線板の製造方法について図面に基づき説明する。
図1に示すように0.4mm厚のビスマレイミドトリアジン樹脂積層板からなる内層パネルの18μm厚の導体回路パターン3を黒化処理した後、前記樹脂付き銅箔Bを120℃でラミネートして、図2に示すように導体回路パターン3上に約30μm厚さの絶縁層2を介して表面に銅箔を有するパネルを形成した。
【0088】
次に、上記パネルの銅箔1上に感光性エッチングレジストを形成してBVHパターンを設けたネガフィルムを介して紫外線照射による露光を行った後、銅箔をエッチングし、さらにエッチングレジストを剥離して、図3に示すように直径20μmの銅箔パターンを形成した。次に、100KeVの加速電圧で5Mradの電子線を照射して樹脂組成物Bを硬化させた。引き続き、銅箔パターンをエッチングして除去した後、トリクロロエタンで1.5kg/cm2の圧力で50秒間現像を行い、導体回路パターン3が露出するまで溶解して図4に示すようなBVH用の直径20μmの微細穴6を設けることができた。
【0089】
以下、実施例1と同様、図5から図6に示すように、樹脂層表面の粗化処理、無電解めっき処理、電解めっき処理、エッチングを順次行い、直径20μmのBVHを有する多層プリント配線板を作成した。
【0090】
次に、上記のように作成した多層プリント配線板の評価を下記のように行った。JIS−C6481に従って銅箔を50mm/分の速度で引き剥して引き剥し強さを測定した結果、35μm換算で1.5kg/cmが得られた。25mm角パターンのテストピース10個について、浴温290℃の溶融はんだ浴に銅箔面を下にして浮かべ、銅箔が膨れるまでの時間を測定した結果、全て180秒以上であった。
JIS−C5012に規定される多層プリント配線板用テストパターンのMパターンにより、外層と内層間の絶縁抵抗を測定した結果、初期値は1013〜1014Ωで耐湿後(C−96/40/95)は1012〜1013Ωであった。
【0091】
本発明の樹脂組成物の硬化物に雄型が先に当たるように亀倉精機製ミニデスクプレスにセットし2cm角の正方形の打ち抜き型で打ち抜き、抜け落ちた基板(2cm角)を観察してクラックの有無を観察した結果、クラックはなく良好であった。290℃のはんだ浴に180秒間浮かべた後直ち絶縁層のクラックの有無を観察したがクラックの発生は無かった。さらに、連結200ホールのBVHの導通抵抗変化をみるための−65℃30分、125℃30分を1サイクルとする冷熱サイクル試験を100サイクル行ったが特に異常がなく、±5%以内の抵抗変化率であった。
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば、小径穴のバイアホールを大量に形成する事が可能であり、しかも、耐熱性、絶縁性、耐クラック性を兼ね備え、信頼性に優れかつ量産性に優れた多層プリント配線板の製造方法が提供できることから工業上の利用価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である多層プリント配線板の製造過程における、表面に導体回路パターン3を有する内層パネルに樹脂付き銅箔をレイアップした状態を示した概略断面図である。
【図2】同製造過程における、内層パネルに樹脂付き銅箔をラミネートして形成した後のパネルの構成を示した概略断面図である。
【図3】同製造過程における、BVHを形成するための銅箔パターン5を形成した後の上記パネルを示した概略断面図である。
【図4】同製造過程における、BVH用穴6を設けた状態を示す概略断面図である。
【図5】同製造過程における、絶縁層2の表面を粗化処理後、めっき処理を施した状態を示す概略断面図である。
【図6】同製造過程における、外層銅箔パターンをエッチング後の概略断面図である。
【符号の説明】
1 銅箔
2 樹脂組成物の層
3 内層板の導体回路パターン
4 積層板
5 BVHを設けるための銅箔パターン
6 BVH
7 めっき層
8 導体回路
9 めっきBVH
Claims (4)
- 金属箔と、導体回路を有する内層パネルとの間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の層を形成する工程、バイアホールを形成する位置部分を残して前記金属箔を除去する工程、前記金属箔は透過させず露出した前記樹脂組成物の層のみ電子線を照射させて硬化させる工程、バイアホールを形成する位置部分の前記金属箔を除去した後、露出した未硬化の樹脂組成物を溶解して前記樹脂組成物の層にバイアホールを設ける工程、前記樹脂組成物の層の表面を粗化する工程、めっきにより前記樹脂組成物の層の表面に金属を析出させる工程、不要な金属を除去して外層導体回路パターンを形成する工程からなることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
- 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を金属箔の粗化面に形成した樹脂付き金属箔を作成した後、当該樹脂付き金属箔を、導体回路を有する内層パネルの上にラミネートして、金属箔と、導体回路を有する内層パネルの間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の層を形成することを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法。
- 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、(1)カルボキシル基を有するアルカリ可溶性のアクリル系重合体および/またはメタクリル系重合体、(2)C=C不飽和二重結合を1個以上有する重合性化合物、(3)前記重合性化合物(2)の熱重合開始剤、並びに(4)カルボキシル基を含有する微粒子状の架橋弾性重合体からなる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であることを特徴とする請求項1または2に記載の多層プリント配線板の製造方法。
- 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、(1)アルケニルフェノール化合物、(2)マレイミド化合物、並びに(3)アクリロニトリル−ブタジエンゴムまたは水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴムからなり、前記成分(1)と成分(2)の割合は、成分(1):成分(2)=20〜80重量%:80〜20重量%で、かつ成分(3)の割合は、成分(1)、成分(2)および成分(3)の合計量を基準に5〜70重量%である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であることを特徴とする請求項1または2に記載の多層プリント配線板の製造方法。
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