JP4253420B2 - アレルゲン低減化且つ低タンパク質化穀類及びその製造方法 - Google Patents

アレルゲン低減化且つ低タンパク質化穀類及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アレルゲン低減化され且つ低タンパク質化された穀類及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
食物の摂取によって起こる食物アレルギーの原因物質として穀類の関与が知られている。このような食物アレルギー患者では、米や小麦に含まれるアレルゲン分子を除去した穀類の摂取がアレルギー症状の抑制や緩和に有効であり、穀類アレルギー患者用に低アレルギー米又は小麦が開発されている。一方、腎疾患者等のタンパク質の摂取が極力制限されている患者は、米や小麦に含まれるタンパク質でさえ、その摂取が病態に影響を与え、負担となることから、低タンパク質化された米又は小麦製品が主食として用いられている。
【0003】
腎疾患者用穀類は、タンパク質の質には関係なく、全体のタンパク質が低減化されていることで目的を達し得るものであるが、アレルゲン低減化穀類はアレルギー誘発に関与する特定のタンパク質分子が充分に除去されていることが必要である。すなわち、低タンパク質化穀類においては、含有するタンパク質成分の種類を問題としないのに比較して、アレルゲン低減化穀類は、含有するタンパク質成分の種類が重要であり、両者は製造方法が異なり、これまで別々に開発されてきた。
換言すれば、米粒中のタンパク質を充分に低減化しても、アレルゲン分子が除去されているとは限らず(比例関係にはない)、これまでに開発された低タンパク質化米をアレルギー患者用に適用する場合には、アレルゲン分子が低減化しているか否かを充分に精査する必要がある。従って、低タンパク質化米をそのままアレルゲン低減化米として転用することはできない現状にある。
【0004】
アレルギー患者用の米を得る方法としては、例えば、タンパク質分解酵素による処理(特公平6−9472号公報)、塩溶液による処理(特開平5−292904号公報)、あるいは、アルカリ水溶液による処理(特開平7−115920号公報)が知られている。一方、低タンパク質化米を得る方法としては、例えば、タンパク質分解酵素を用いる方法(特開平9−182号公報)、あるいは、乳酸菌を利用する方法(特開平6−217719号公報)が知られている。これらの単独処理による公知方法に加えて、アレルゲン低減化に有効な酵素処理とアルカリ処理とを組み合わせて低タンパク質化米を得る製造方法(特開平9−65840号公報)又はアレルゲン低減化米を得る製造方法(特開平11−115号公報)が知られている。
【0005】
従来のアレルゲン低減化米は、米に含まれる塩溶性のアレルゲン分子を選択的に除去した米であり、タンパク質含有量は、4%前後である。近年、米のアレルゲン分子に関する解析が進み、米には塩可溶性のみならず塩不溶性のアレルゲン分子が存在し、タンパク質分解酵素の単独処理により得られるアレルゲン低減化米が有効でないアレルギー患者のいることが知られている(池澤善郎,日本リディアオリリー協会平成元年度年報,第41頁〜第60頁,1989年)。
また、アルカリ性水溶液の単独処理により得られるアレルゲン低減化方法において除去されにくく、塩不溶性のアレルゲン分子の1つが、分子量60KDを示すワキシータンパク質、すなわち、米のデンプン合成酵素であるADP(UDP)グルコース・グリコシルトランスフェラーゼであると同定されているタンパク質である。このタンパク質は、デンプン合成酵素の1種であり、穀類間に広く存在することが知られている(池澤善郎ら,アレルギー,Vol.48,第40頁〜第49頁,1999年)。従って、穀類間の共通アレルゲン分子となっている可能性があり、除去することが望ましいアレルゲン分子である。
以上のようなタンパク質分解酵素、アルカリ性水溶液、又は塩溶液などによる単独処理は、塩不溶性のアレルゲン分子が除去されない欠点を有している。
【0006】
一方、低タンパク質化米の製造においては、これまでの方法は、タンパク質分解酵素を用いた長時間の処理が必要であり、効率よく短時間にタンパク質を除去する方法が望まれていた。
【0007】
これまで述べたように、量的にタンパク質が充分に低減化され、同時にアレルゲン分子が充分に除去される穀類は、アレルギー患者及び腎疾患者の両者に有効であり、両者に有効な米が同時に製造可能であれば効率も良い。しかし、短時間に効率よく簡便に、このような穀類を製造する方法は、これまでに知られていない。
例えば、先に例示した特開平9−65840号公報には、アルカリ処理と酵素処理とを組み合わせることによって単独処理よりも低タンパク質化米を効率よく得ることが可能な製造方法が開示されている。特開平9−65840号公報の記載によれば、酸性プロテアーゼによる酵素処理とアルカリ処理との併用処理においては、酵素処理に引き続いてアルカリ処理を実施することが好ましいとされている。
特開平9−65840号公報に記載の方法によれば、併用処理によって使用する酵素量を削減することができる利点があるが、50%以上のタンパク質除去率を得るために反応時間は、酵素処理とアルカリ処理とを合計すると48時間必要である。また、アレルゲン低減化に関して本発明者が確認したところでは、米に含まれるグロブリンタンパク質アレルゲン分子の除去には有効であるが、アレルゲン分子の低減化は塩可溶性のアレルゲン分子を中心としたものであり、塩不溶性の60KDアレルゲン分子の低減化ついては充分ではなかった。特開平9−65840号公報に記載の方法を含め、従来の低タンパク質化米製造方法では、効率よく短時間、すなわち、12時間以内の処理において低タンパク質化米を得る製造方法は見出されていない。
【0008】
同様に、先に例示した特開平11−115号公報にも、酵素処理とアルカリ処理との併用でアレルゲン低減化米を得る製造方法が開示されている。この発明では、酵素とアルカリ処理との併用によってにおいや食感の改善効果のあること、そして、アルカリ処理後に酵素処理をすることが有効であることがそれぞれ記載されている。しかし、本発明者が確認したところでは、特開平11−115号公報記載の方法では、タンパク質含有量を2.5%以下に低減化することはできず、アレルギー患者用及び腎疾患者用に併用可能な米は製造することができなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、穀類に含有されている塩可溶性アレルゲン分子だけでなく、従来除去が困難であった塩不溶性の60KDアレルゲン分子をも低減化され、しかも、穀類に含まれるタンパク質含有量が2.5%以下になるまで低タンパク質化された、穀類アレルギー患者及び腎疾患者の両方に適用可能なアレルゲン低減化且つ低タンパク質化穀類を提供すること、そして、前記のアレルゲン低減化且つ低タンパク質化穀類を、短時間に効率よく簡便に製造する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、本発明による、玄米又は精米に、
(1)pH10以上のアルカリ性水溶液による処理、
(2)酸性水溶液による処理、
(3)タンパク質分解酵素による処理、及び
(4)水による洗浄処理
をこの順に実施することを特徴とする、アレルゲン性が低減化され、60KDのアレルゲン分子が除去され、しかも、タンパク質含有質量割合が2.5%以下に低タンパク質化された玄米又は精米の製造方法により解決することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法によれば、アレルギー患者及び腎疾患者の両疾患者の主食として利用可能な穀類を効率よく製造することができる。本発明方法を適用することのできる前記穀類は、特に限定されるものではないが、例えば、食品加工に使用される種々の穀類、すなわち、イネ科植物、タデ科植物、又は豆科植物から得られる作物(特に、種子又はその一部)を挙げることができる。より具体的には、イネ科植物としては、例えば、小麦、大麦、ライ麦、若しくはオーツ麦等の麦類、餅米、粳米、若しくはインディカ米等の米類、餅種若しくは粳種のヒエ、キビ、若しくはアワ等の雑穀類、又はトウモロコシ若しくはモロコシを挙げることができ、タデ科植物としては、例えば、ソバ又はアマランサスを挙げることができ、豆科植物としては、例えば、大豆、小豆、ヒヨク豆、緑豆、シカク豆、又はソラマメを挙げることができる。例えば、米に対して本発明方法を適用する場合には、原料に用いる米は特に限定されず、市販米(すなわち、脱穀し、精米した後の米)を米粒のまま使用することもできるし、玄米を用いることもできる。国産米はもちろん、それ以外のジャポニカ種又はインディカ種を用いることができ、新米又は古米のいずれも使用可能である。
【0012】
本発明方法においては、処理対象である穀類に、
(1)アルカリ性水溶液による処理(以下、アルカリ処理と称する)、
(2)酸性水溶液による処理(以下、酸処理と称する)、
(3)タンパク質分解酵素による処理[以下、タンパク質分解酵素処理(又は単に「酵素処理」)と称する]、及び
(4)水による洗浄処理(以下、水洗浄処理と称する)
をこの順に実施する。
【0013】
本発明方法では、最初に、穀類をアルカリ性水溶液と反応(含浸)させる。このアルカリ処理に使用するアルカリ性水溶液としては、例えば、水を電解イオン水生成器で処理して得られるアルカリ水(陽極及び陰極を有する水槽に水を供給し、電圧を印加することにより、陽極付近に生成される水酸化物イオンを多く含んだ水)、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物若しくはリン酸塩の水溶液、若しくはアンモニア水溶液、又はこれらの混合溶液を挙げることができる。
【0014】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物又はリン酸塩の水溶液としては、具体的には、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化マグネシウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、リン酸水素二ナトリウム水溶液、リン酸三ナトリウム水溶液、リン酸水素二カリウム水溶液、又はリン酸三カリウム水溶液を挙げることができ、これらを単独で、あるいは、組み合わせて用いることができる。中でも、アルカリ金属水酸化物の水溶液が好ましく、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液が最も好ましい。
【0015】
前記アルカリ性水溶液のpHは、pH10以上であれば特に限定されるものではないが、pH11以上であることが好ましく、pH12以上であることがより好ましい。アルカリ性水溶液の濃度は、その種類によらず、前記pHの範囲内であれば特に限定されるものではないが、10〜180mmol/Lであることが好ましく、20〜150mmol/Lであることがより好ましく、40〜100mmol/Lであることが更に好ましい。180mmol/Lを越えると、穀類表面に損傷を与えることがある。
【0016】
処理対象である穀類に対して使用するアルカリ性水溶液の量(対穀類溶媒量)は、処理効率の点で、10倍以下であることが好ましく、5倍以下であることがより好ましく、2〜4倍量であることが更に好ましい。
アルカリ性水溶液の処理時間(反応時間)は、処理効率の点で、10時間以下であることが好ましく、0.5〜4時間であることがより好ましく、1〜2時間であることが更に好ましい。
アルカリ性水溶液による処理温度は、処理効率の点で、40℃以下であることが好ましく、5〜30℃であることがより好ましく、15〜25℃であることが更に好ましい。
【0017】
アルカリ処理は、減圧下(好ましくは100〜3000Pa)で実施することができる。また、撹拌しながら実施することもできる。
【0018】
本発明方法では、前記アルカリ処理で得られた穀類を、続いて、酸性水溶液で処理する。
この酸処理で使用する酸性水溶液としては、例えば、水を電解イオン水生成器で処理して得られる酸性水(陽極及び陰極を有する水槽に水を供給し、電圧を印加することにより、陰極付近に生成される水素イオンを多く含んだ水)、若しくは無機酸若しくは有機酸の水溶液、又はこれらの混合溶液を挙げることができる。前記無機酸としては、例えば、塩酸又はリン酸を挙げることができ、前記有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、烙酸、シュウ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸、又はグルコン酸を挙げることができる。
【0019】
酸性水溶液の濃度は、500mmol/L以下であることが好ましく、200mmol/Lであることがより好ましく、1〜200mmol/Lであることが更に好ましい。
酸性水溶液の処理時間は、処理効率の点で、2時間以下であることが好ましく、30分間〜1時間であることがより好ましい。
【0020】
本発明方法では、前記アルカリ処理及び酸処理をこの順に実施して得られた穀類を、続いて、タンパク質分解酵素で処理する。
このタンパク質分解酵素処理で使用するタンパク質分解酵素としては、例えば、植物由来タンパク質分解酵素(例えば、パパイン又はブロメライン)、微生物(例えば、枯草菌、乳酸菌、放線菌、又は麹カビ)由来タンパク質分解酵素、又は動物由来タンパク質分解酵素(例えば、トリプシン、キモトリプシン、又はキモシン)を挙げることができ、これらを単独で、あるいは、組み合わせて使用することができる。処理効率の点で、パパイン若しくはブロメライン、枯草菌若しくは乳酸菌由来のプロテアーゼ、又はトリプシン若しくはキモトリプシンを用いることが好ましい。
なお、アレルゲン低減化に用いられる微生物由来アクチナーゼ又は麹カビ由来の酸性、中性、若しくはアルカリ性プロテアーゼ(アスペルギルス属に属する微生物に由来の酵素)を用いる場合には、アルカリ処理後に効率よく働かせるため、添加量が多く必要で、食味にも影響を及ぼすことから使用には注意を要する。
【0021】
処理対象である穀類に対して使用する酵素濃度は、特に制限されるものではないが、酵素1種類につき、穀類の質量に対して0.001%〜1%であることが好ましい。
処理対象である穀類に対して使用する酵素水溶液の量(対穀類溶媒量)は、10倍以下であることが好ましく、5倍以下であることがより好ましく、2〜4倍量であることが更に好ましい。
処理温度(反応温度)は、5℃〜70℃であることが好ましく、20〜60℃であることがより好ましく、30〜50℃であることが更に好ましい。
処理時間は、8時間以下であることが好ましく、6時間であることがより好ましく、0.5〜4時間であることが更に好ましい。
【0022】
本発明方法では、処理効率を考えると、アルカリ処理、酸処理、及び酵素処理の3つの処理時間を合わせて、12時間以内で実施することが好ましく、10時間以内で実施することがより好ましく、8時間以内で実施することが更に好ましい。特には、アルカリ処理が2時間以下で、酸処理が1時間以下で、しかも、酵素処理が5時間以下で実施することが好ましい。
【0023】
本発明方法では、前記アルカリ処理、酸処理、及びタンパク質分解酵素処理をこの順に実施して得られた穀類を、最後に、水(例えば、水道水)で洗浄することにより、アレルゲン低減化且つ低タンパク質化穀類を得ることができる。
この水洗浄処理は、公知の方法、例えば、水中に静置する方法、流水中にさらす方法、あるいは、水中で撹拌する方法を用いることができる。
洗浄処理時間は、これに限定されるものではないが、1〜12時間であることが好ましい。
【0024】
本発明方法により得られたアレルゲン低減化且つ低タンパク質化穀類は、更に、通常の穀類処理方法において一般的に用いられる公知の処理方法により処理することができる。例えば、本発明方法により得られたアレルゲン低減化且つ低タンパク質化穀類は、そのまま保存することもできるし、あるいは、乾燥(例えば、凍結乾燥)処理した後、保存することもできる。
【0025】
本発明の製造方法により得られるアレルゲン低減化且つ低タンパク質化穀類それ自体も、新規である。本発明によるアレルゲン低減化且つ低タンパク質化穀類は、アレルゲン性が低減化されており、しかも、タンパク質含有質量割合が2.5%以下に低タンパク質化されている。
本発明の好ましいアレルゲン低減化且つ低タンパク質化穀類においては、塩可溶性のアレルゲンが除去されており、しかも、塩不溶性のアレルゲン分子の1つであるワキシータンパク質(例えば、イネにおいては分子量60KDを示すワキシータンパク質)、すなわち、デンプン合成酵素の1つであるADP(UDP)グルコース・グリコシルトランスフェラーゼも除去されている。
【0026】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
80mmol/L水酸化ナトリウム水溶液5Lに市販米(コシヒカリ)1kgを含浸した状態で減圧(1000Pa)下に30分間静置した後、その減圧下のまま、温度40℃にて2rpmの撹拌を90分間行なった。反応させたアルカリ水溶液を捨て、次に100mmol/Lクエン酸水溶液5Lを加え、室温にて2rpmの撹拌を30分間行なった。反応させた酸水溶液を捨て、次に酵素溶液[アマノN(Bacillus subtillis由来プロテアーゼ;天野製薬社製)を0.25%となるように0.9%食塩水に溶解させたもの]5Lを加えた。温度37℃にて2rpmの撹拌を120分間行なった。反応終了後、水道水で24時間洗浄処理し、凍結乾燥して、本発明による処理米Aを得た。
【0027】
【実施例2】
70mmol/L水酸化カリウム水溶液1Lに市販米(コシヒカリ)300gを含浸した状態で減圧(800Pa)下に10分間静置した後、その減圧下のまま、温度30℃にて2rpmの撹拌を100分間行なった。反応させたアルカリ水溶液を捨て、次に100mmol/Lリン酸水溶液750mLを加え、室温にて30分間静置した。反応させた酸水溶液を捨て、次に酵素溶液[アマノN及びパパイン(天野製薬社製)をそれぞれ0.125%となるように0.9%食塩水に溶解させたもの]900mLを加えた。温度37℃にて2rpmの撹拌を220分間行なった。反応終了後、水道水で4時間洗浄処理し、凍結乾燥して、本発明による処理米Bを得た。
【0028】
【実施例3】
90mmol/L水酸化カリウム水溶液0.4Lに市販米(あきたこまち)100gを含浸した状態で、温度40℃にて120分間静置した。反応させたアルカリ水溶液を捨て、次に200mmol/L酢酸水溶液300mLを加え、30℃にて60分間静置した。反応させた酸水溶液を捨て、次に酵素溶液[アマノNを0.05%となるように0.9%食塩水に溶解させたもの]200mLを加えた。温度37℃にて2rpmの撹拌を4時間行なった。反応終了後、水道水で10時間、流水洗浄処理し、凍結乾燥して、本発明による処理米Cを得た。
【0029】
【実施例4】
100mmol/L水酸化ナトリウム水溶液2Lに市販米(ひとめぼれ)500gを含浸した状態で減圧(1200Pa)下に30分間静置した後、常圧に戻し、室温にて2rpmの撹拌を30分間行なった。反応させたアルカリ水溶液を捨て、次に30mmol/L乳酸水溶液1000mLを加え、40℃にて30分間静置した。反応させた酸水溶液を捨て、次に酵素溶液[アマノNを0.08%、ブロメライン(天野製薬社製)を0.04%となるように0.9%食塩水に溶解させたもの]1000mLを加えた。温度37℃にて2rpmの撹拌を6時間行なった。反応終了後、水道水で2時間洗浄処理し、凍結乾燥して、本発明による処理米Dを得た。
【0030】
【実施例5】
100mmol/L水酸化カリウム水溶液2Lに市販のもち米(こがねもち)500gを含浸した状態で減圧(700Pa)下に30分間静置した後、減圧下のまま、35℃にて2rpmの撹拌を90分間行なった。反応させたアルカリ水溶液を捨て、次に180mmol/L塩酸水溶液1000mLを加え、10℃にて10分間静置した。反応させた酸水溶液を捨て、次に酵素溶液[アマノS(Bacillus stearothermophilus由来プロテアーゼ;天野製薬社製)を0.01%、トリプシン(ノボノルディックスバイオインダストリー社製)を0.04%となるように0.9%食塩水に溶解させたもの]1500mLを加えた。温度50℃にて2rpmの撹拌を8時間行なった。反応終了後、水道水で6時間洗浄処理し、凍結乾燥して、本発明による処理米Eを得た。
【0031】
【実施例6】
30mmol/L水酸化カリウム水溶液100mLに市販の米(むつほまれ)20gを含浸した状態で減圧(900Pa)下に5分間静置した後、減圧下のまま、25℃にて85分間静置した。反応させたアルカリ水溶液を捨て、次に50mmol/L乳酸水溶液80mLを加え、15℃にて2rpmの撹拌を40分間行なった。反応させた酸水溶液を捨て、次に酵素溶液[パンクレアチンF(天野製薬社製)を0.1%となるように0.9%食塩水に溶解させたもの]80mLを加えた。温度55℃にて2rpmの撹拌を3時間行なった。反応終了後、水道水で20時間洗浄処理し、凍結乾燥して、本発明による処理米Fを得た。
【0032】
【比較例1】
水道水100mLに市販の米(コシヒカリ)20gを含浸した状態で減圧(900Pa)下に30分間静置した後、減圧下のまま、40℃にて90分間静置した。水を捨て、次に50mmol/Lクエン酸水溶液40mLを加え、室温にて2rpmの撹拌を30分間行なった。反応させた酸水溶液を捨て、次に酵素溶液(アマノNを0.1%となるように0.9%食塩水に溶解させたもの)100mLを加えた。温度37℃にて2rpmの撹拌を3時間行なった。反応終了後、水道水で16時間洗浄処理し、凍結乾燥して比較用処理米Aを得た。
【0033】
【比較例2】
酵素溶液[アマノNを0.1%となるように0.9%食塩水に溶解させたもの]100mLに市販の米(コシヒカリ)20gを含浸した状態で40℃にて2rpmの撹拌を180分間行なった。酵素溶液を捨て、次に100mmol/L水酸化ナトリウム溶液100mLを加え、減圧(900Pa)下に30分間静置した後、減圧下のまま、40℃にて90分間処理した。100mmol/L乳酸水溶液40mLを加え、室温にて2rpmの撹拌を60分間行なった。反応終了後、水道水で16時間洗浄処理し、凍結乾燥して比較用処理米Bを得た。
【0034】
【比較例3】
100mmol/L水酸化カリウム水溶液100mLに市販の米(コシヒカリ)20gを含浸した状態で減圧(900Pa)下に5分間静置した後、減圧下のまま、25℃にて85分間静置した。反応させたアルカリ水溶液を捨て、次に酵素溶液[パンクレアチンFを0.1%となるように0.9%食塩水に溶解させたもの]80mLを加えた。温度55℃にて2rpmの撹拌を3時間行なった。反応終了後、水道水で20時間洗浄処理し、凍結乾燥して比較用処理米Cを得た。
【0035】
【比較例4】
80mmol/L水酸化ナトリウム水溶液100mLに市販の米(コシヒカリ)20gを含浸した状態で減圧(900Pa)下に5分間静置した後、減圧のまま、25℃にて85分間静置した。反応させたアルカリ水溶液を捨て、水道水で20時間洗浄処理し、凍結乾燥して比較用処理米Dを得た。
【0036】
【評価】
(1)タンパク質量の測定
本発明による処理米A〜F及び比較用処理米A〜Dにそれぞれ含まれる全タンパク質量をケルダール法にて測定した。結果を表1に示す。なお、対照として、実施例1で原料として使用した市販米(コシヒカリ)の結果も併せて示す。
本発明による処理米A〜Fは、すべて、含有するタンパク質量が2.5%以下であった。比較用処理米A〜Dは、すべて、3.0%以上のタンパク質含有率であった。
【0037】
Figure 0004253420
【0038】
(2)60KDアレルゲン分子の検出
本発明による処理米A〜F及び比較用処理米Dに含まれる米の塩不溶性アレルゲン分子である60KDタンパク質分子の検出を実施した。まず、本発明による処理米又は比較用処理米を粉砕し、粉砕物の50mgを1.5mLチューブに取り、抽出バッファー[8mol/L尿素、0.5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、及び3mmol/Lジチオスレイトールを含む0.9%食塩水]1000mLを加え、5℃にて10分間撹拌抽出し、遠心分離後の上清を得た。本発明による処理米A〜F及び比較用処理米Dからそれぞれ得られた上清を、抽出物A〜F及び対照抽出物Dとした。抽出物A〜F及び対照抽出物Dに、電気泳動用のSDS化試薬(第1化学薬品社製)を等量加え、沸騰水上に2分間放置した。得られた各反応液の内の10μLをミニゲル(第1化学薬品社製)にアプライした。なお、分子量の確認のため、分子量マーカー第1(第1化学薬品社製)を同時にアプライした。電気泳動(40mA,60分間)終了後、ゲルを取り出し、銀染色キットワコー(和光純薬社製)にてゲルを染色し、60KDアレルゲン分子の検出を実施した。その結果、比較用処理米Dのみから分子量60KDを示す明瞭なバンドが検出され、本発明による処理米A〜Fからは検出されなかった。
【0039】
(3)IgE−ELISA試験によるアレルゲン性評価
前項(2)で得られた抽出物A〜F及び対照抽出物Dを用いてIgE結合試験によるアレルゲン性評価を実施した。アレルギー性試験は、特開2000−65820号公報に記載の米アレルギー患者血清を用いたIgE−ELISA試験にて実施した。なお、二次抗体としては、ビオチンを結合した抗ヒトIgE抗体(抗ヒトIgE−ビオチン)を使用し、発色系としては、ペルオキシダーゼ結合アビジン及びオルトフェニレンジアミンを使用した。発色の程度は、490nmの光学濃度(O.D.値)により測定した。
その結果、対照抽出物DのO.D.値は0.221を示したが、抽出物A〜FのO.D.値は全て0.030以下とIgE結合性は認めなかった。なお、未処理のコシヒカリから同様に抽出した抽出物を用いた試験ではO.D.値は1.988を示した。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、短時間に効率よく簡便に、穀類に含有されている塩可溶性アレルゲン分子だけでなく、従来除去が困難であった塩不溶性の60KDアレルゲン分子をも低減化することができ、しかも、穀類に含まれるタンパク質含有量が2.5%以下になるまで低タンパク質化することができる。従って、本発明方法によれば、アレルギー患者及び腎疾患者の両方に適用可能なアレルゲン低減化且つ低タンパク質化穀類を、短時間に効率よく簡便に製造することができる。

Claims (1)

  1. 玄米又は精米に、
    (1)pH10以上のアルカリ性水溶液による処理、
    (2)酸性水溶液による処理、
    (3)タンパク質分解酵素による処理、及び
    (4)水による洗浄処理
    をこの順に実施することを特徴とする、アレルゲン性が低減化され、60KDのアレルゲン分子が除去され、しかも、タンパク質含有質量割合が2.5%以下に低タンパク質化された玄米又は精米の製造方法。
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