JP4252336B2 - 制振装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、錘の動吸振作用により構造物を制振させるようにした制振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5及び図6に示すように、例えば、従来の制振装置100では、基盤102を建物の上部等に設置され、この基盤102の上に軸受部104を有するからなる1対の支持体106が間隔をおいて設けられており、且つ基盤102の上側に受け部108が設けられている。また、扞体110の下方の端には重錘112が設けられており、その上方の端には軸114が固定されており、この軸114を1対の支持体106の軸受部104で回動自在に支持して通常振り子が構成されている。また、通常振り子の重錘112の部分には、ダンパー116の一方の端の取付部を回動自在に取り付けられている。なお、ダンパー116の他方の端は、基盤102の受け部118に回転自在に取り付けられている。
他方の扞体120の上方の端には重錘122が設けられており、その下方の端は軸124により固定されており、この軸124を1対の支持体106の軸受部104で回動自在に支持して倒立振り子を構成している。そして、倒立振り子の軸124に固定した歯車126と、通常振り子の軸114に固定した歯車128とを噛み合わせ、通常振り子と倒立振り子とが常に同じ方向に揺動するように構成されている(下記特許文献1参照)。
【0003】
上記制振装置100によれば、振り子の吊り部となる扞体110、120を長くしたりしなくても、長周期の揺れを制振することができる。特に超高層建築物のように、非常に周期が長い振動を制振する装置として有効である。
【0004】
ところが、上記制振装置100では、上記したように、構造が複雑になり、組立工数が増加し、また製造コストが上がるため、問題となる。また、重錘112、重錘122はそれぞれ軸114、軸124の回転方向にしか揺動できない構成であるため、振動の入力方向によっては効果的に減衰することができなかった。
【0005】
一方、図7に示すように、振り子式の制振装置150も提案されている。この制振装置150では、支持フレーム152上に配置された軸受け部154により振り子回転軸156が回転可能に支持されている。この振り子回転軸156は減速機158と接続されており、この減速機158には回転体160が取り付けられている。また、振り子回転軸156には振り子支柱162が取り付けられており、この振り子支柱162には重錘164が取り付けられている(下記特許文献2参照)。
【0006】
この振り子式の制振装置150によれば、振り子回転軸156に減速機158を介して回転体160が取り付けられているため、制振装置150の固有周期を増加させることができ、設置スペースの制約を受けることなく、固有周期の長い構造物に対しても適用することができる。
【0007】
しかし、上記振り子式の制振装置150では、回転体160の慣性モーメントのみによって制振させており、また、重錘164が振り子支柱162に固定されているため、複数の振動周期の振動を制振させることができない。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−129136号公報
【特許文献2】
特開平5−164187号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、比較的簡易な構造で振り子をあらゆる方向に揺動することができ、振動の入力方向に関係なく効果的に制振させることができる制振装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
請求項1に記載の発明は、制振対象物に取り付けられ内部に粘性流体が充填された収納部材と、前記収納部材に取り付けられた支持部材と、前記支持部材上に回動可能に支持され所定の中心点周りに回動する球状の保持部材と、前記保持部材により保持され、前記制振対象物の揺れにより前記保持部材の中心点を支点にして放射方向に回動可能に揺動する揺動部材と、前記揺動部材の少なくとも一部に取り付けられ前記粘性流体を撹拌し前記揺動部材の揺動を減衰させる撹拌部材と、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、制振対象物が揺れると収納部材にその振動が伝達される。収納部材に伝達された振動は保持部材を介して揺動部材に伝達される。このとき保持部材が所定の中心点周りに回動し、揺動部材が揺動する。揺動部材が揺動すると撹拌部材が粘性流体を撹拌し、このとき撹拌部材が粘性流体から抵抗力を受けるため、揺動部材の揺動が徐々に小さくなる。やがて揺動部材の揺動が止まり、制振対象物の振動が減衰される。
本発明によれば、揺動部材を保持する保持部材が支持部材上に回動可能に配置されているため、所定の中心点周りに回動することができる。このとき、保持部材により保持された揺動部材は、支持部材に拘束されることがないため、保持部材の中心点周りに回動しながら揺動することが可能となる。この結果、制振対象物からの振動の入力方向に制限されず、あらゆる方向から揺動部材に入力した振動を全て効果的に減衰させることができる。
特に、保持部材が球状部材であるため、いわゆるボールジョイント方式により揺動部材が保持されている。これにより、球状部材は中心点周りに360度回動することができるため、球状部材に保持された揺動部材も前記中心点周りに360度回動しながら揺動することができる。この結果、さらに制振効果を向上させることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、制振対象物に取り付けられ内部に粘性流体が充填された収納部材と、前記収納部材に取り付けられた弾性部材と、前記弾性部材を貫通し前記制振対象物の揺れにより前記弾性部材の中心点を支点にして放射方向に回動可能に揺動するとともに当該揺動により前記弾性部材を弾性変形させる揺動部材と、前記揺動部材の少なくとも一部に取り付けられ前記粘性流体を撹拌し前記揺動部材の揺動を減衰させる撹拌部材と、を有することを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、制振対象物が揺れると収納部材にその振動が伝達される。収納部材に伝達された振動は弾性部材を介して揺動部材に伝達される。これにより揺動部材が揺動する。揺動部材が揺動すると弾性部材が弾性変形し、揺動部材の揺動が弾性部材により拘束されることがない。つまり、弾性部材が弾性変形することにより、揺動部材の揺動の自由度が向上する。揺動部材が揺動すると、撹拌部材が粘性流体を撹拌し、このとき撹拌部材が粘性流体から抵抗力を受けるため、揺動部材の揺動が徐々に小さくなる。やがて揺動部材の揺動が止まり、制振対象物の振動が減衰される。
本発明によれば、揺動部材が揺動することにより弾性部材が弾性変形するため、揺動部材の揺動が弾性部材に拘束されることがない。この結果、制振対象物からの振動の入力方向に制限されず、あらゆる方向から揺動部材に入力した振動を全て効果的に減衰させることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の制振装置において、前記揺動部材は、前記撹拌部材が取り付けられるシャフトと、前記シャフトに固定された錘とから構成され、前記粘性流体から前記撹拌部材に作用する抵抗力を変化させる抵抗可変手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、抵抗可変手段により粘性流体から前記撹拌部材に作用する抵抗力を変化させることができる。これにより、制振対象物に生じた振動の性質に合わせて抵抗力を調整できるため、より制振効果を向上させることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の制振装置において、前記抵抗可変手段は、前記シャフトの揺動中心からの前記撹拌部材の位置を調整する位置調整手段であることを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、位置調整手段によりシャフトの揺動中心からの撹拌部材の位置を調整させることができる。例えば、シャフトの揺動中心から撹拌部材までの距離が長くなるとシャフトのモーメントが大きくなるため減衰効果が大きくなり、逆にシャフトの揺動中心から撹拌部材までの距離が短くなるとシャフトのモーメントが小さくなるため減衰効果が小さくなる。このように、羽部材の位置を調整することにより、減衰効果を変化させることができるため、入力振動に最適な減衰効果を得ることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の制振装置において、前記抵抗可変手段は、前記撹拌部材の表面積を調整する表面積調整手段であることを特徴とする。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、表面積調整手段により撹拌部材の表面積を調整することができる。すなわち、撹拌部材の表面積が大きくなれば粘性流体からの抵抗も大きくなりより大きな制振効果を得ることができ、逆に、撹拌部材の表面積が小さくなれば粘性流体からの抵抗も小さくなり制振効果が小さくなる。このように、減衰効果を変化させることができるため、入力振動に最適な減衰効果を得ることができる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の制振装置において、前記抵抗可変手段は、前記シャフトの揺動中心からの前記錘の位置を調整する位置調整手段であることを特徴とする。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、位置調整手段により、錘の位置を調整することができる。例えば、シャフトの揺動中心から錘までの距離が長くなるとシャフト及び錘の揺動周期が長くなり、逆にシャフトの揺動中心から錘までの距離が短くなるとシャフト及び錘の揺動周期が短くなる。このように、揺動部材の周期を変化させることにより、制振対象物に生じるあらゆる振動に同調させることができ、さらに制振効果を高めることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の第1実施形態に係る制振装置について、図面を参照して説明する。
【0025】
図1に示すように、本発明の制振装置10は、例えば高層ビルなどの構造物12に取り付けられる収納ケース14を備えている。この収納ケース14は一方が開口するように形成されており、この開口を塞ぐように球受け部材16が取り付けられている。また、この球受け部材16に剛球18が球受け部材16に対して回転可能となるように取り付けられている。さらに、球受け部材16で塞がれた収納ケース14の内部空間には粘性流体Lが充填されている。
【0026】
また、剛球18にはこの剛球18を貫通するように貫通孔20が形成されており、この貫通孔20の内周面にはネジ溝(図示省略、位置調整手段、抵抗可変手段)が形成されている。この貫通孔20には棒状のシャフト22が貫通されており、このシャフト22の外周面にかつシャフト22の軸方向に沿って形成されたネジ部(図示省略、位置調整手段、抵抗可変手段)と前記ネジ溝とが螺合することにより前記シャフト22が剛球18に取り付けられている。収納ケース14の内部に位置するシャフト22の一方の端部近傍には羽26が取り付けられている。また、シャフト22の他方の端部近傍には重錘24が取り付けられている。
【0027】
このように、シャフト22を剛球18に対して一方の方向に軸線周りに回転させるとシャフト22が上方へ上がっていき羽26と剛球18との距離が長くなり、シャフト22を剛球18に対して逆方向に軸線周りに回転させるとシャフト22が下がっていき羽26と剛球18との距離が短くなるように構成されている。
【0028】
なお、このシャフト22は、構造物12に形成された開口部28や構造物と構造物との間に位置するように設定される。また、剛球18に限られることはなく、球状部材であればよい。
【0029】
以上のように本実施形態の制振装置10は、構造物12に取り付けられた収納ケース14から重錘24を重力方向(図1中矢印A方向)に垂らすように構成されている。
【0030】
次に、本実施形態の制振装置10の作用について説明する。
【0031】
図1に示すように、構造物12が地震などにより揺れると、その振動が収納ケース14に伝達される。収納ケース14に伝達された振動は、剛球18を介してシャフト22に伝達される。シャフト22に振動が伝達されると、振り子の原理により重錘24が剛球18の中心点G(揺動中心)を揺動中心としてシャフト22とともに揺動する。なお、このとき、剛球18も球受け部材16に対して移動している。
【0032】
重錘24がシャフト22とともに揺動すると、シャフト22に取り付けられた羽26が粘性流体L中をシャフト22とともに移動する。羽26が粘性流体L中を移動すると、この羽26に粘性流体Lから粘性抵抗が作用する。
すなわち、羽26が移動する度に粘性流体Lから粘性抵抗が作用し、シャフト22の運動エネルギーが粘性流体Lとの摩擦により熱エネルギーに変換されていくため、シャフト22及び重錘24の揺動が時間とともに減衰し、やがて停止する。
このように、本発明の制振装置10によれば、構造物12に作用した振動により振り子(シャフト22及び重錘24)を揺動させ、この振り子の揺動を早期に停止させることにより、構造物12の振動を早期に減衰させることができるという効果を得ることができる。
【0033】
ここで、本実施形態の制振装置10では、剛球18が球受け部材16に対して回転可能となっているため、シャフト22及び重錘24をシャフト22の軸方向周り(図1中矢印B方向)に360度回転させることができる。このため、シャフト22及び重錘24をあらゆる方向に揺動させることができ、構造物12に発生した振動の入力方向に拘わらず、制振効果を発揮することができる。
【0034】
また、粘性流体Lからの粘性抵抗を変化させたい場合には、剛球18に対してシャフト22を軸線周りに回転させることにより、羽26と剛球18の中心点Gとの距離を調整することができる。
すなわち、羽26と剛球18の中心点Gとの距離を長くすると、シャフト22のモーメントが大きくなり、モーメントが大きくなった分だけより大きな粘性抵抗力が負荷されるため、制振効果を高めることができる。一方、羽26と剛球18の中心点Gとの距離を短くすると、シャフト22のモーメントが小さくなり、モーメントが小さい分だけ粘性抵抗力が小さくなる。このように粘性抵抗を変化させることにより、振動の固有値を調整することができるため、構造物12に作用したあらゆる振動に対応させることができる。
【0035】
次に、本発明の第2実施形態に係る制振装置について、図面を参照して説明する。なお、第1実施形態に係る制振装置と同様の構成には同符号を付し、適宜説明を省略する。
【0036】
図2に示すように、本実施形態に係る制振装置50は、第1実施形態の制振装置10の球受け部材16と剛球18に替えて、シャフト22を保持する円盤52と円盤52を内部に固定したゴム部材54を備えた構成である。
なお、このゴム部材54は収納ケース14の開口を閉塞しており、収納ケース14の内部には粘性流体Lが充填されている。
【0037】
また、この円盤52には貫通孔56が形成されており、この貫通孔56の内周面にはネジ溝(図示省略、位置調整手段、抵抗可変手段)が形成されている。このネジ溝とシャフト22のネジ部(図示省略、位置調整手段、抵抗可変手段)が螺合している。このように、シャフト22のネジ部を円盤52のネジ溝に螺合させることにより、ゴム部材54から抜け落ちないようになっている。
なお、その他の構成は、第1実施形態の制振装置10と同様である。
【0038】
また、本実施形態では円盤52として説明したが、円盤状のものに限られることはない。例えば、シャフト22を保持するものであれば、三角形、四角形などの角形や球状のものでもよい。
【0039】
次に、本実施形態の制振装置50の作用について説明する。
【0040】
図2に示すように、構造物12が振動すると、その振動が収納ケース14に伝達される。収納ケース14に伝達された振動は、円盤52を介してシャフト22に伝達され、重錘24がシャフト22と共に揺動する。
【0041】
ここで、円盤52は、ゴム部材54の内部に配置されているため、シャフト22が揺動すると、シャフト22と共にゴム部材54の内部を移動しようとする。このとき、ゴム部材54は円盤52から圧力を受けるため、ゴム部材54が弾性変形し、円盤52及びシャフト22の揺動が許容される。このように、本実施形態の制振装置50においても、ゴム部材54が弾性変形するので、シャフト22及び重錘24を360度あらゆる方向に揺動させることができる。この結果、構造物12に発生した振動の入力方向に拘わらず、制振効果を発揮することができる。
【0042】
また、粘性流体Lからの粘性抵抗を変化させたい場合には、円盤52に対してシャフト22を軸線周りに回転させることにより、羽26と円盤52の中心点G(揺動中心)との距離を適宜調整することができる。
【0043】
次に、本発明の第3実施形態に係る制振装置について、図面を参照して説明する。なお、第1実施形態に係る制振装置と同様の構成には同符号を付し、適宜説明を省略する。
【0044】
図3に示すように、本実施形態の制振装置70は、構造物12の上に固定された収納ケース14を備えている。この収納ケース14の一方には開口が形成されており、この開口を閉塞するように球受け部材16が配置されている。この球受け部材16には剛球18が回動可能となるように配置されている。なお、収納ケース14の内部には粘性流体Lで充填されている。
【0045】
剛球18には貫通孔20が形成されており、この貫通孔20には棒状のシャフト22が挿通されている。シャフト22の外周にはネジ部(図示省略、位置調整手段、抵抗可変手段)が形成されており、このネジ部が貫通孔20の内周面に形成されたネジ溝(図示省略、位置調整手段、抵抗可変手段)と螺合することにより、シャフト22が剛球18により支持されている。
【0046】
粘性流体L中に位置するシャフト22の一方の端部近傍には羽26が取り付けられている。また、シャフト22の他方の端部近傍には重錘24が取り付けられている。
なお、本実施形態の制振装置70では、第1実施形態及び第2実施形態の制振装置10、50と異なり、重錘24がシャフト22により下方から支持された構成になっている。
【0047】
図3に示すように、本実施形態の制振装置70によれば、構造物12が地震などにより揺れると、その振動が収納ケース14に伝達される。収納ケース14に伝達された振動は、剛球18を介してシャフト22に伝達される。シャフト22に振動が伝達されると、重錘24がシャフト22とともに揺動する。なお、このとき、剛球18も球受け部材16に対して移動する。
【0048】
重錘24がシャフト22とともに揺動すると、シャフト22に取り付けられた羽26が粘性流体L中をシャフト22とともに移動する。羽26が粘性流体L中を移動すると、この羽26に粘性流体Lから粘性抵抗が作用する。
すなわち、羽26が移動する度に粘性流体Lから粘性抵抗が作用し、シャフト22の運動エネルギーが粘性流体Lとの摩擦により熱エネルギーに変換されていくため、シャフト22及び重錘24の揺動が時間とともに減衰し、やがて停止する。
このように、本発明の制振装置70によれば、構造物12に作用した振動によりシャフト22及び重錘24を揺動させ、この揺動を早期に停止させることにより、構造物12の振動を早期に減衰させることができるという効果を得ることができる。
【0049】
ここで、本実施形態の制振装置70では、剛球18が球受け部材16に対して回動可能となっているため、シャフト22及び重錘24をシャフト22の軸方向周り(図3中矢印B方向)に360度回転させることができる。このため、シャフト22及び重錘24をあらゆる方向に揺動させることができ、構造物12に発生した振動の入力方向に拘わらず、制振効果を発揮することができる。
【0050】
また、粘性流体Lからの粘性抵抗を変化させたい場合には、剛球18に対してシャフト22を軸線周りに回転させることにより、羽26と剛球18の中心点Gとの距離を調整することができる。これにより、粘性抵抗を変化させて振動の固有値を調整することができるため、構造物12に作用した振動の様々な振動周期及び周波数に対応させることができる。
【0051】
次に、本発明の第4実施形態に係る制振装置について、図面を参照して説明する。なお、第3実施形態に係る制振装置と同様の構成には同符号を付し、適宜説明を省略する。
【0052】
図4に示すように、本実施形態に係る制振装置90は、第3実施形態の制振装置70の球受け部材16と剛球18に替えて、シャフト22を保持する円盤52と円盤52を内部に配置したゴム部材54を備えた構成である。
【0053】
本実施形態の制振装置90においても、第3実施形態の制振装置70と同様の効果を達成することができる。
【0054】
なお、上記各実施形態では抵抗可変手段として、羽26と剛球18又は円盤52の中心点Gとの距離を調整する形態を示したが、これに限られることはない。
例えば、図示しないが、シャフト22に羽26が着脱可能に装着できるような羽取付孔(図示省略、表面積調整手段)を形成し、大きな抵抗力を得るときには表面積の大きな羽(図示省略)を羽取付孔に装着し、小さな抵抗力を得るときには表面積の小さな羽(図示省略)を羽取付孔に装着するようにして、粘性流体からの抵抗力を調整してもよい。
【0055】
また、図示しないが、シャフト22の外周にネジ溝(図示省略、位置調整手段)を形成し、重錘24に貫通孔(図示省略)を形成し、貫通孔の内周面にネジ溝と螺合するネジ部(図示省略、位置調整手段)を形成することにより、重錘24がシャフト22の軸方向に沿って移動できるように構成してもよい。
この構成によれば、例えば、シャフトの中心点Gから重錘24までの距離が長くなるとシャフト22及び重錘24の揺動周期が長くなり、逆にシャフト22の中心点Gから錘までの距離が短くなるとシャフト22及び重錘24の揺動周期が短くなる。このように、振り子の周期を変化させることにより、構造物12に生じるあらゆる振動に同調させることができ、さらに制振効果を高めることができる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明した本発明の制振装置においては以下の効果を奏する。
請求項1記載の発明は、揺動部材を保持する保持部材が支持部材上に回動可能に配置されているため、所定の中心点周りに回動することができる。このとき、保持部際により保持された揺動部材は、支持部材に拘束されることがないため、保持部材の中心点周りの回動しながら揺動することが可能となる。この結果、制振対象物からの振動の入力方向に制限されず、あらゆる方向から揺動部材に入力した振動を全て効果的に減衰させることができる。
【0057】
特に、保持部材が球状部材であるため、いわゆるボールジョイント方式により揺動部材が保持されている。これにより、球状部材は中心点周りに360度回動することができるため、球状部材に保持された揺動部材も前記中心点周りに360度回動しながら揺動することができる。この結果、さらに制振効果を向上させることができる。
【0058】
請求項2記載の発明は、揺動部材が揺動することにより弾性部材が弾性変形するため、揺動部材の揺動が弾性部材に拘束されることがない。この結果、制振対象物からの振動の入力方向に制限されず、あらゆる方向から揺動部材に入力した振動を全て効果的に減衰させることができる。
【0059】
請求項3記載の発明は、抵抗可変手段により粘性流体から前記撹拌部材に作用する抵抗力を変化させることができる。これにより、制振対象物に生じた振動の性質に合わせて抵抗力を調整できるため、より制振効果を向上させることができる。
【0060】
請求項4記載の発明は、位置調整手段によりシャフトの揺動中心からの撹拌部材の位置を調整させることができる。例えば、シャフトの揺動中心から撹拌部材までの距離が長くなるとシャフトのモーメントが大きくなるため減衰効果が大きくなり、逆にシャフトの揺動中心から撹拌部材までの距離が短くなるとシャフトのモーメントが小さくなるため減衰効果が小さくなる。このように、撹拌部材の位置を調整することにより、減衰効果を変化させることができるため、入力振動に最適な減衰効果を得ることができる。
【0061】
請求項5記載の発明は、表面積調整手段により撹拌部材の表面積を調整することができる。すなわち、撹拌部材の表面積が大きくなれば粘性流体からの抵抗も大きくなりより大きな制振効果を得ることができ、逆に、撹拌部材の表面積が小さくなれば粘性流体からの抵抗も小さくなり制振効果が小さくなる。このように、減衰効果を変化させることができるため、入力振動に最適な減衰効果を得ることができる。
【0062】
請求項6記載の発明は、位置調整手段により、錘の位置を調整することができる。例えば、シャフトの揺動中心から錘までの距離が長くなるとシャフト及び錘の揺動周期が長くなり、逆にシャフトの揺動中心から錘までの距離が短くなるとシャフト及び錘の揺動周期が短くなる。このように、揺動部材の周期を変化させることにより、制振対象物に生じるあらゆる振動に同調させることができ、さらに制振効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る制振装置の断面図である。
【図2】 本発明の第2実施形態に係る制振装置の断面図である。
【図3】 本発明の第3実施形態に係る制振装置の断面図である。
【図4】 本発明の第4実施形態に係る制振装置の断面図である。
【図5】 従来の制振装置の正面図である。
【図6】 従来の制振装置の側面図である。
【図7】 従来の制振装置の側面図である。
【符号の説明】
10、50、70、90 制振装置
12 構造物(制振対象物)
14 収納ケース(収納部材)
16 球受け部材(支持部材)
18 剛球(保持部材、球状部材)
22 シャフト(揺動部材)
24 錘(揺動部材)
26 羽(撹拌部材)
54 ゴム部材(弾性部材)
Claims (6)
- 制振対象物に取り付けられ内部に粘性流体が充填された収納部材と、前記収納部材に取り付けられた支持部材と、前記支持部材上に回動可能に支持され所定の中心点周りに回動する球状の保持部材と、前記保持部材により保持され、前記制振対象物の揺れにより前記保持部材の中心点を支点にして放射方向に回動可能に揺動する揺動部材と、前記揺動部材の少なくとも一部に取り付けられ前記粘性流体を撹拌し前記揺動部材の揺動を減衰させる撹拌部材と、を有することを特徴とする制振装置。
- 制振対象物に取り付けられ内部に粘性流体が充填された収納部材と、前記収納部材に取り付けられた弾性部材と、前記弾性部材を貫通し前記制振対象物の揺れにより前記弾性部材の中心点を支点にして放射方向に回動可能に揺動するとともに当該揺動により前記弾性部材を弾性変形させる揺動部材と、前記揺動部材の少なくとも一部に取り付けられ前記粘性流体を撹拌し前記揺動部材の揺動を減衰させる撹拌部材と、を有することを特徴とする制振装置。
- 前記揺動部材は、前記撹拌部材が取り付けられるシャフトと、前記シャフトに固定された錘と、から構成され、
前記粘性流体から前記撹拌部材に作用する抵抗力を変化させる抵抗可変手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の制振装置。 - 前記抵抗可変手段は、前記シャフトの揺動中心からの前記撹拌部材の位置を調整する位置調整手段であることを特徴とする請求項3に記載の制振装置。
- 前記抵抗可変手段は、前記撹拌部材の表面積を調整する表面積調整手段であることを特徴とする請求項3に記載の制振装置。
- 前記抵抗可変手段は、前記シャフトの揺動中心からの前記錘の位置を調整する位置調整手段であることを特徴とする請求項3に記載の制振装置。
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