JP4251933B2 - 血液成分採取装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、血液成分採取装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
採血を行う場合、現在では、血液の有効利用および供血者の負担軽減などの理由から、採血血液を遠心分離などにより各血液成分に分離し、輸血者に必要な成分だけを採取し、その他の成分は供血者に返還する成分採血が行われている。
【0003】
このような成分採血では、例えば、血漿製剤を得る場合、供血者から採取した血液を血液成分採取回路に導入し、該血液成分採取回路に設置された遠心ボウルと呼ばれる遠心分離器により、血漿および血球に分離し、その内の血漿を血液成分採取バッグに回収して血漿製剤とし、取り残した血漿とともに血球を供血者に返血(返還)することが行われる。
【0004】
ところで、このような成分採血を行う血液成分採取装置では、例えば、血漿を採取する場合、血漿を採取する血液成分採取工程と、供血者へ残りの血液成分(主として血球)を返還する血液成分返還工程とが交互に行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載されている血液成分採取装置では、例えば、1サイクルの血漿採取量を多くした場合、血液成分採取工程において、遠心分離器の流出口付近に、血球が付着してしまうことがあり、それを除去しないと、付着した血球が、次回の血液成分採取工程において、血液成分採取バッグ内に移送されてしまう。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−17540号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、所定の血液成分(例えば、血漿)を採取するにあたり、不要な血液成分(例えば、血球)の混入を防止することができる血液成分採取装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜()の本発明により達成される。
【0009】
(1) 供血者から血液を採取する採血手段と、
内部に貯血空間を有するローターを備え、該ローターの回転により前記採血手段により採取された血液を前記貯血空間内で遠心分離する遠心分離器と、
前記貯血空間に連通し、前記遠心分離器により分離された所定の血液成分を採取する血液成分採取バッグとを備える血液成分採取回路を有し、
供血者から採取した血液を前記貯血空間内で遠心分離し、前記所定の血液成分を採取する血液成分採取工程と、前記貯血空間内の残りの血液成分を前記供血者へ返還する血液成分返還工程とを有する血液成分採取操作を複数サイクル行う血液成分採取装置であって、
前記血液成分採取回路に設けられ、前記貯血空間に連通した収納バッグ
前記貯血空間の流出口側の流路の途中において気体を検出する検出手段とを有し、
前記血液成分採取工程の際に、前記所定の血液成分を前記血液成分採取バッグに採取するに先立って、所定量の前記所定の血液成分を前記収納バッグに移送し、収納し、
前記血液成分返還工程の際に、前記収納バッグ内に収納されている前記所定の血液成分を前記貯血空間に戻し、前記検出手段により気体が検出されると、前記血液成分採取バッグ内の所定量の前記所定の血液成分を前記貯血空間内へ戻すように構成されていることを特徴とする血液成分採取装置。
【0010】
(2) 前記所定量の前記所定の血液成分を前記収納バッグに移送し、収納する操作は、前記血液成分採取操作の2サイクル目以降に行われる上記(1)に記載の血液成分採取装置。
【0012】
) 前記収納バッグは、前記貯血空間の流出口側と前記血液成分採取バッグとを接続する流路から分岐して設けられている上記(1)または(2)に記載の血液成分採取装置。
【0016】
前記血液成分採取工程の際に、前記所定の血液成分を前記血液成分採取バッグに採取する前に、前記貯血空間内の空気を前記収納バッグに移送し、収納する上記(1)ないし()のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【0017】
前記血液成分返還工程の際に、前記収納バッグ内に収納されている空気を前記貯血空間に戻す上記(4)に記載の血液成分採取装置。
【0018】
前記採血手段と前記貯血空間の流入口側とを接続する流路の途中に送液ポンプを有し、該送液ポンプの作動により、前記空気を前記貯血空間に戻す上記()に記載の血液成分採取装置。
【0019】
) 当該血液成分採取装置を使用する際は、前記血液成分採取バッグは、該血液成分採取バッグの前記貯血空間に連通する流路側が鉛直方向下方になるように設けられる上記(1)ないし()のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【0020】
) 当該血液成分採取装置を使用する際は、前記収納バッグは、該収納バッグの前記貯血空間に連通する流路側が鉛直方向下方になるように設けられる上記(1)ないし()のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【0022】
) 前記所定の血液成分は、主に血漿であり、前記残りの血液成分は、主に血球である上記(1)ないし()のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の血液成分採取装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の血液成分採取装置の実施形態を示す平面図(一部にブロック図を含む)であり、図2は、図1に示す血液成分採取装置が備える遠心分離器に遠心分離器駆動装置が装着された状態の部分破断断面図である。図3〜図7は、図1に示す血液成分採取装置の作用(制御部の制御動作)を説明するためのフローチャートであって、図3は、第1サイクルにおける制御部の制御動作、図4は、第2サイクル〜最終サイクルの1つ前のサイクルにおける制御部の制御動作、図5は、最終サイクルにおける制御部の制御動作、図6は、血液成分返還処理Aにおける制御部の制御動作(サブルーチン)、図7は、血液成分返還処理Bにおける制御部の制御動作(サブルーチン)を示すフローチャートある。
【0025】
以下、血液成分採取装置1を、所定の血液成分として、主に血漿を採取する血漿採取装置に適用した場合を一例として説明する。
【0026】
図1に示す血液成分採取装置(血漿採取装置)1は、ドナー(供血者)から血液を採取する採血針(採血手段)29と、内部に貯血空間146を有するローター142を備え、ローター142の回転により採血針29により採取された血液を貯血空間146内にて遠心分離する遠心分離器(遠心ボウル)20と、遠心分離器20により分離された血漿を採取する血液成分採取バッグ(血漿採取バッグ)25とを備える血液成分採取回路(血漿採取回路)2を有し、ドナーから採取した血液を遠心分離し、所定量の血漿を採取した後、残りの血漿とともに白血球、血小板および赤血球(残りの血液成分)をドナーに返還する装置である。
【0027】
血液成分採取装置1は、遠心分離器20と、採血手段である採血針29と遠心分離器20の流入口143とを接続(連通)するための第1のライン(第1の流路)21と、遠心分離器20の流出口144に接続された第2のライン(第2の流路)22と、第1のライン21に接続され、例えば抗凝固剤注入のために用いられる第3のライン(第3の流路)23と、第2のライン22の途中に接続され、この第2のライン22を介して遠心分離器20の流出口144に連通する第4のライン(第4の流路)24と、第2のライン22と接続された血漿採取バッグ25と、血漿採取バッグ25とチューブ(流路)32aにより接続されたサブバッグ32と、第4のライン24と接続された収納バッグ26とを備える血液成分採取回路2を有している。チューブ32aの途中には、クレンメ(封止手段)65が設けられている。
【0028】
また、血液成分採取装置1は、遠心分離器20のローター142を回転させるための遠心分離器駆動装置10と、第1のライン21のための第1の送液ポンプ11と、第3のライン23のための第2の送液ポンプ12と、血液成分採取回路2の流路の開閉を行うための第1の流路開閉手段51および第2の流路開閉手段52と、遠心分離器駆動装置10、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12、第1の流路開閉手段51および第2の流路開閉手段52等を制御するための制御部(制御手段)55と、濁度センサ14と、光学式センサ15と、重量センサ(検出手段)16と、第1の気泡センサ17と、第2の気泡センサ18と、第3の気泡センサ(検出手段)27と、第4の気泡センサ28とを備えている。
【0029】
この血液成分採取装置1の使用の際は、前記血液成分採取バッグ25、サブバッグ32および収納バッグ26が、それぞれ、第2のライン22の接続されている側、チューブ32aの接続されている側および第4のライン24の接続されている側、すなわち、遠心分離器20の貯血空間146に連通する流路側(図1中下側)が鉛直方向下方になるように、吊られる。この場合、血液成分採取バッグ25の孔部251、サブバッグ32の孔部321および収納バッグ26の孔部261において、それぞれ、図示しない支持機構側の鉛直方向上方に設けられた対応するフック(支持部)に引っ掛けられる。
【0030】
このため、血液成分採取装置1をセットする作業等を容易に行うことができ、また、血液成分採取バッグ25に血漿を採取している際、その確認作業等を容易に行うことができる。
【0031】
なお、本実施形態では、第3のライン23と第2の送液ポンプ12とで、ドナーから採取された血液中に抗凝固剤を添加する抗凝固剤供給手段が構成される。
【0032】
以下、各部の構成について説明する。
採血針29としては、例えば、金属針が使用される。図示例では、採血針29にキャップが被せられている。
【0033】
第1のライン21は、採血針29が接続された採血針側第1ライン(採血針側第1流路)21aと、遠心分離器20の流入口143とを接続された遠心分離器側第1ライン(遠心分離器側第1流路)21bと、これらの間に配置された第1のポンプチューブ21gとを有している。
【0034】
採血針側第1ライン21aは、気泡およびマイクロアグリゲート除去のためのチャンバー21dを備える。
【0035】
チャンバー21dには、チューブ(流路)21hを介して通気性かつ菌不透過性のフィルター21iが接続されている。このラインは、例えば、採血針側第1ライン21aの内圧の検出等に用いることができる。
【0036】
第2のライン22は、一端が遠心分離器20の流出口144に接続され、他端が血漿採取バッグ25に接続されている。この第2のライン22の途中、すなわち、後述するカセットハウジング33に対応する位置には、3つ(3股)に分岐した(接続口は合計4つ)分岐コネクター61が設けられており、第2のライン22は、この分岐コネクター61を介して接続されている。
【0037】
分岐コネクター61には、チューブ(流路)62を介して通気性かつ菌不透過性のフィルター63が接続されている。このラインは、例えば、第2のライン22の内圧の検出等に用いることができる。
【0038】
第3のライン23は、一端が第1のライン21に設けられた接続用分岐コネクター21cに接続されている。第3のライン23は、接続用分岐コネクター21c側より、第2のポンプチューブ23a、除菌フィルター(輸液フィルター)64、気泡除去用チャンバー23c、抗凝固剤容器接続用針23dを備えている。図示例では、抗凝固剤容器接続用針23dにキャップが被せられている。
【0039】
また、採血針29と接続用分岐コネクター21cとの間の採血針側第1ライン21aの途中には、クレンメ(封止手段)66が設けられている。
【0040】
第4のライン24は、分岐コネクター61に接続されている。すなわち、収納バッグ26は、この第4のライン24を介して第2のライン22から分岐して設けられている。
【0041】
上述した第1のライン21、第2のライン22、第3のライン23および第4のライン24の形成に使用されるチューブ、各ポンプチューブ21g、23a、バッグに接続されているチューブ32a、チャンバー21dに接続されているチューブ21h、分岐コネクター61に接続されているチューブ62の構成材料としては、ポリ塩化ビニルが好ましい。
【0042】
各チューブがポリ塩化ビニル製であれば、十分な可撓性、柔軟性が得られるので取り扱いがし易く、また、クレンメ等による閉塞にも適するからである。
【0043】
なお、各ポンプチューブ21g、23aとしては、ローラーポンプにより押圧されても損傷を受けない程度の強度を備えるものが使用されている。
【0044】
また、上述した接続用分岐コネクター21c、分岐コネクター61の構成材料についても、前記チューブの構成材料と同様のものを用いることができる。
【0045】
血漿採取バッグ25は、血漿を採取するための容器であり、第2のライン22を介して、遠心分離器20に接続され、これにより、血漿採取バッグ25の内部は、ローター142の貯血空間146に連通している。
【0046】
サブバッグ32は、チューブ32aを介して血漿採取バッグ25に接続され、それらの内部同士が連通している。このサブバッグ32は、例えば、血漿保存バッグ等に用いることができる。
【0047】
収納バッグ26は、一時的に、空気(エアー)や血漿を収納(貯留)するための容器であり、第4のライン24を介して、分岐コネクター61に接続されている。すなわち、収納バッグ26は、第4のライン24、分岐コネクター61および第2のライン22を介して、遠心分離器20に接続され、これにより、収納バッグ26の内部は、ローター142の貯血空間146に連通している。
【0048】
これらの血漿採取バッグ25、サブバッグ32、収納バッグ26は、それぞれ、樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁部を融着(熱融着、高周波融着等)または接着して袋状にしたものが使用される。
【0049】
血漿採取バッグ25、サブバッグ32、収納バッグ26に使用される材料としては、例えば、軟質ポリ塩化ビニルが好適に使用される。
【0050】
そして、血液成分採取回路2の主要部分は、図1に示すように、カセット式となっている。血液成分採取回路2は、すべてのライン(第1のライン21、第2のライン22、第3のライン23、第4のライン24)を部分的に収納しかつ部分的にそれらを保持し、言い換えれば、部分的にそれらが固定されたカセットハウジング33を備えている。
【0051】
カセットハウジング33には、第1のポンプチューブ21gの両端部および第2のポンプチューブ23aの両端部が固定され、これらのポンプチューブ21g、23aは、それぞれ、カセットハウジング33より、後述する各送液ポンプ(例えば、ローラーポンプ等)11、12の形状に対応したループ状に突出している。このため、第1のポンプチューブ21gおよび第2のポンプチューブ23aは、各送液ポンプ11、12への装着が容易である。
【0052】
さらに、カセットハウジング33は、カセットハウジング33内に位置する複数の開口部を備えている。具体的には、第4のライン24を露出させ、かつ第1の流路開閉手段51の侵入が可能な第1の開口部91、分岐コネクター61より血漿採取バッグ25側の第2のライン22を露出させ、かつ第2の流路開閉手段52の侵入が可能な第2の開口部92を備えている。
【0053】
血液成分採取装置1は、このカセットハウジング33を装着するカセットハウジング装着部(図示せず)を備えている。このため、カセットハウジング33を血液成分採取装置1のカセットハウジング装着部に装着することにより、カセットハウジング33の各開口部91、92より露出する部分の各ラインおよび各チューブが、自動的に対応する各流路開閉手段51、52に装着される。これにより血液成分採取回路2の装着が容易であるとともに、血漿採取(血液成分採取)の準備も迅速に行える。
【0054】
また、血液成分採取装置1には、カセットハウジング装着部に近接して2つの送液ポンプ11、12が設けられている。このため、カセットハウジング33より露出する各ポンプチューブ21g、23aの各送液ポンプ11、12への装着も容易である。
【0055】
血液成分採取回路2に設けられている遠心分離器20は、通常、遠心ボウルと呼ばれており、遠心力により血液を血漿と血球(血小板、白血球および赤血球)とに分離する。遠心分離器20としては、図2に示すものが使用される。
【0056】
第1の流路開閉手段51は、第4のライン24の流路の途中を開閉するために設けられている。
【0057】
第2の流路開閉手段52は、分岐コネクター61より血漿採取バッグ25側において第2のライン22の流路の途中を開閉するために設けられている。
【0058】
第1の流路開閉手段51および第2の流路開閉手段52は、ラインもしくはチューブの挿入部を備え、挿入部には、例えば、ソレノイド、電動モーター、シリンダ(油圧または空気圧)等の駆動源で作動するクランプを有する。具体的には、ソレノイドで作動する電磁クランプが好適である。
【0059】
遠心分離器駆動装置10は、図2に示すように、遠心分離器20を収納するハウジング151と、脚部152と、駆動源であるモータ153と、遠心分離器20を保持する円盤状の固定台155とで構成されている。ハウジング151は、脚部152の上部に載置、固定されている。
【0060】
また、ハウジング151の下面には、ボルト156によりスペーサー157を介してモータ153が固定されている。モータ153の回転軸154の先端部には、固定台155が回転軸154と同軸でかつ一体的に回転するように嵌入されており、固定台155の上部には、ローター142の底部が嵌合する凹部が形成されている。
【0061】
また、遠心分離器20の上部145は、図示しない固定部材により、ハウジング151に固定されている。遠心分離器駆動装置10では、モータ153を駆動すると、固定台155およびそれに固定されたローター142が、あらかじめ設定された所定の遠心条件(例えば、回転数3000〜6000rpm)で回転する。この遠心条件により、ローター142内の血液の分離パターン(例えば、分離する血液成分数)を設定することができる。
【0062】
なお、ローター142において、貯血空間146の容積は、例えば、100〜350mL程度とされる。
【0063】
また、ハウジング151の内壁には、遠心分離器20(貯血空間146)内で分離された血液成分の界面(例えば、血漿層131と血球層132との界面Bの位置を光学的に検出する光学式センサ15が、取付部材158により設置、固定されている。
【0064】
この光学式センサ15は、遠心分離器20の肩の部分に向けて光を照射する光源と、遠心分離器20から反射して戻ってくる光を受光する受光部で構成されている。つまり、LED(半導体レーザー等)のような発光素子と、フォトダイオードまたはCCDのような受光素子とが列状に配置され、発光素子から発せられた光の血液成分での反射光を受光素子により受光し、その受光光量を光電変換するように構成されている。分離された血液成分(例えば、血漿層131と血球層132)により反射光の強度が異なるため、受光光量が変化した受光素子に対応する位置が、界面Bの位置として検出される。
【0065】
より具体的には、遠心分離器20の光が通過する位置が血漿で充填されている時と、血球層132で充填されている時の、受光部での受光量の差から、血球層132が光通過部に到達したことが検知される。
【0066】
血球層132を検出する位置は、光が遠心分離器(遠心ボウル)20内を通過する位置を変えることで調節され、通常は、光線通過位置を決めたら、そこで固定する。
【0067】
重量センサ16は、血漿採取バッグ25内に採取された血漿の採取量を検出する検出手段を構成する。
【0068】
濁度センサ14は、第2のライン22中を流れる流体の濁度を検知するためのものであり、濁度に応じた電圧値を出力する。具体的には、濁度が高い時には低電圧値、濁度が低い時には高電圧値を出力する。
【0069】
第1の気泡センサ17および第2の気泡センサ18は、それぞれ、第1のライン21内に空気が流れたことを検知するためのものである。すなわち、この第1の気泡センサ17および第2の気泡センサ18により、それぞれ、第1のライン21内の血液の有無が検出される。
【0070】
第3の気泡センサ27は、遠心分離器20の貯血空間146の流出口144と分岐コネクター61との間の第2のライン22の所定の位置において、その第2のライン22内に空気や血液(血漿)が流れたことを検知するためのものである。すなわち、この第3の気泡センサ27により、第2のライン22内の血液の有無が検出される。
【0071】
第4の気泡センサ28は、第3のライン23内が空にならないように(抗凝固剤で満たされているように)するため、第3のライン23の所定の位置における空気(抗凝固剤の有無)の検出に用いられる。
【0072】
これらの濁度センサ14および各気泡センサ17、18、27、28としては、それぞれ、例えば、超音波センサ、光学式センサ、赤外線センサなどが使用できる。
【0073】
第1のライン21の第1のポンプチューブ21gが装着される第1の送液ポンプ11ならびに第3のライン23の第2のポンプチューブ23aが装着される第2の送液ポンプ12としては、ローラーポンプなどの非血液接触型ポンプが好適である。
【0074】
また、第1の送液ポンプ(血液ポンプ)11としては、いずれの方向にも血液を送ることができるものが使用される。具体的には、正回転と逆回転が可能なローラーポンプが用いられている。
【0075】
制御部55は、例えば、マイクロコンピューター等で構成されており、遠心分離器駆動装置10、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12、第1の流路開閉手段51、第2の流路開閉手段52、濁度センサ14、光学式センサ15、重量センサ16、第1の気泡センサ17、第2の気泡センサ18、第3の気泡センサ27および第4の気泡センサ28等と、それぞれ、電気的に接続されている。
【0076】
濁度センサ14、光学式センサ15、重量センサ16、第1の気泡センサ17、第2の気泡センサ18、第3の気泡センサ27および第4の気泡センサ28からの検出信号は、それぞれ、制御部55へ随時入力される。制御部55は、これらからの各検出信号に基づき、予め設定されたプログラムに従って、血液成分採取装置1の作動、すなわち、各送液ポンプ11、12の回転、停止、あるいは、回転方向(正転/逆転)を制御するとともに、必要に応じ、各流路開閉手段51、52の開閉および遠心分離器駆動装置10の作動を制御する。
【0077】
なお、この制御部55は、演算部とメモリー(いずれも図示せず)を内蔵している。さらに、制御部55には、例えばキーボード等で構成された入力手段と、例えば液晶ディスプレイ等で構成された表示手段(いずれも図示せず)が、それぞれ電気的に接続されている。
【0078】
このような制御部55は、ドナーから血液を採取し、その血液の成分(血液成分)のうち、血漿を採取するように血液成分採取装置1の作動を制御する。
【0079】
具体的には、制御部55は、ドナーから採取された血液を遠心分離器20(貯血空間146)内に流入させ、遠心分離器20により分離された血漿を血漿採取バッグ25内に採取(移送)する血漿採取工程(血液成分採取工程)と、遠心分離器20内に残った主として血球(残りの血液成分)をドナーへ返還する血球返還工程(血液成分返還工程)とを有する血漿採取操作(血液成分採取操作)を行うように、血液成分採取装置1の作動を制御する。
【0080】
なお、本実施形態では、血漿採取工程において、血漿採取バッグ25内には、抗凝固剤が添加された血漿が採取され、重量センサ16では、この抗凝固剤が添加された血漿の重量が検出される。
【0081】
また、制御部55は、必要に応じて、前記血漿採取操作を複数サイクル行なう。以下の説明では、各サイクルにおける血漿の採取量を「サイクル当たりの血漿採取量」と言う。
【0082】
さらに、以下の説明では、目標とする血漿の採取量を、「目標血漿採取量」と言い、実際に採取された血漿の採取量を、「現在血漿採取量」と言う。
【0083】
以下、血液成分採取装置1の使用方法および作用について、図3〜図7を参照しつつ説明する。
【0084】
まず、操作者(作業者)は、第3のライン23と採血針29とを抗凝固剤でプライミングし、その後、採血針29をドナーの血管に穿刺する。これにより、血漿の採取準備を完了する。
【0085】
なお、前述したように、血液成分採取バッグ25、サブバッグ32および収納バッグ26は、それぞれ、第2のライン22の接続されている側、チューブ32aの接続されている側および第4のライン24の接続されている側が鉛直方向下方になるように、孔部251、321および261において、それぞれ、図示しない支持機構側の鉛直方向上方に設けられた対応するフック(支持部)に引っ掛けられ、吊り下げられている。
【0086】
次に、操作者が図示しない採取開始スイッチをオンする。これにより、図3〜図7に示すプログラムが実行され、血漿の採取が行われる。
【0087】
血液成分採取装置1は、図3に示す第1サイクルにおける血漿採取工程を行なう。この血漿採取工程では、遠心分離器20のローター142の貯血空間146内に、採血針(採血手段)29によりドナーから採血され、抗凝固剤供給手段により抗凝固剤が混入された血液を導入し、かかる血液を遠心分離することにより分離された抗凝固剤が混入した血漿を血漿採取バッグ25内に採取する。
【0088】
すなわち、この血漿採取工程では、まず、採血を開始する(ステップS101)。
【0089】
同時に、第2のライン22および第4のライン24を介して、遠心分離器20の貯血空間146内等の血液成分採取回路2内の空気(滅菌空気)を、収納バッグ26内に移送し、収納する(ステップS102)。
【0090】
具体的には、第1の流路開閉手段51を開放し(開き)、第2の流路開閉手段52を閉塞し(閉じ)、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度(好ましくは250mL/min以下程度、より好ましくは40〜150mL/min程度、例えば、60mL/min)で作動(正転)する。
【0091】
また、前記採血と同時に、第2の送液ポンプ12を作動して、第3のライン23を介して、例えばACD−A液のような抗凝固剤を供給し、この抗凝固剤を採血血液中に添加させる。
【0092】
このとき、第2の送液ポンプ12の回転速度は、所定比率(添加比率)で抗凝固剤が添加されるように制御される。
【0093】
なお、この所定比率としては、好ましくは1/20〜1/6程度とされ、例えば1/12とされる。
【0094】
これにより、血液(抗凝固剤添加血液)は、第1のライン21を介して移送され、遠心分離器20の流入口143より管体141を経てローター142の貯血空間146内に導入される。
【0095】
このとき、遠心分離器20の貯血空間146内の空気は、第2のライン22および第4のライン24を介して、収納バッグ26内に移送され、収納される。
【0096】
また、前記採血と同時にまたはこれと前後して、遠心分離器駆動装置10を作動し、ローター142を所定の回転数で回転する。
【0097】
このローター142の回転により、貯血空間146内に導入された血液は、内側から血漿層(PPP層)131と血球層132の2層に分離される。
【0098】
なお、ローター142の回転数としては、好ましくは3000〜6000rpm程度、より好ましくは4000〜5700rpm程度とされる。
【0099】
さらに、前記採血および前記抗凝固剤の供給を継続し、貯血空間146の容量を超える抗凝固剤添加血液(約270mL)が貯血空間146内に導入されると、貯血空間146内は完全に血液により満たされ、遠心分離器20の流出口144から血漿がオーバーフローし、その血漿は、第2のライン22を流れる。
【0100】
次いで、第3の気泡センサ27により、遠心分離器20の貯血空間146から流出する血漿が検出されると(ステップS103)、貯血空間146内の空気の収納バッグ26内への収納が完了する。
【0101】
次いで、第1の流路開閉手段51を閉塞し、第2の流路開閉手段52を開放し、第2のライン22を介して、遠心分離器20の貯血空間146内の血漿を、血漿採取バッグ25内に移送し、採取する(ステップS104)。
【0102】
なお、血漿採取バッグ25は、その重量が重量センサ16により計測されており、計測された重量信号は制御部55に入力される。
【0103】
次いで、血漿採取終了の判断を行う(ステップS105)。この場合、下記(1)〜(4)のうちのいずれか1つが検出されると、血漿採取を終了する。
【0104】
(1)濁度センサ14により血球が検出された場合。
(2)重量センサ16により検出されたサイクル当たりの血漿採取量が、サイクル当たりの設定血漿採取量(上限値)に到達した場合。
【0105】
(3)重量センサ16により検出された現在血漿採取量(総血漿採取量)が目標血漿採取量に到達した場合。
(4)サイクル当たりの採血量が許容体外循環血液量に到達した場合。
【0106】
上記(1)〜(4)のうちのいずれか1つが検出され、血漿採取を終了する場合は、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12の作動を停止するとともに、遠心分離器駆動装置10の作動を停止して、遠心分離器20のローター142の回転を停止する(ステップS106)。
【0107】
以上で、血漿採取工程を終了し、血液成分返還工程に移行する。すなわち、図6に示す血液成分返還処理Aを行う(ステップS107)。この血液成分返還工程では、血液成分採取回路2(主に、ローター142の貯血空間146)内に残った血液成分(残りの血液成分)をドナーへ返還する。なお、本サイクルが最終サイクルの場合には、後述する図7に示す血液成分返還処理Bに移行する。
【0108】
この血液成分返還処理Aにおいては、まず、第2のライン22および第4のライン24を介して、収納バッグ26内に収納されている血漿を、遠心分離器20の貯血空間146内に移送して戻し(ステップS401)、第3の気泡センサ27により、空気(収納バッグ26内が空になったこと)が検出されると(ステップS402)、血漿採取バッグ25内の所定量(設定量)の血漿を、第2のライン22を介して、遠心分離器20の貯血空間146内に移送し、戻す(ステップS403)。
【0109】
具体的には、まず、第1の流路開閉手段51を開放し、第2の流路開閉手段52を閉塞し、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度(好ましくは、30〜100mL/min程度、例えば45mL/min)で作動(逆転)する。
【0110】
これにより、収納バッグ26内に血漿が収納されている場合には、その血漿が、第2のライン22および第4のライン24を介して、遠心分離器20の貯血空間146内に移送されるが、この第1サイクルでは、収納バッグ26内には、血漿は収納されておらず、空気のみが収納されているので、第3の気泡センサ27により、空気が検出され、ステップS403へ移行する。
【0111】
このステップS403では、第1の流路開閉手段51を閉塞し、第2の流路開閉手段52を開放する。これにより、血漿採取バッグ25内の所定量の血漿が、第2のライン22を介して、遠心分離器20の貯血空間146内に移送され、戻る。この際、流れる血漿により、貯血空間146内と血漿採取バッグ25内との間の流路内(主に、貯血空間146の流出口144付近)に付着している血漿以外の血液成分(血球)が、捕捉され、貯血空間146内に移送される。これにより、次回のサイクルの血漿採取工程において、血漿採取バッグ25内への血漿以外の血液成分(血球)の混入が防止される。
【0112】
前記血漿採取バッグ25内から貯血空間146内へ移送された血漿の量が、設定量に到達すると(ステップS404)、ステップS405へ移行する。
【0113】
この血漿採取バッグ25内から貯血空間146内へ移送された血漿の量が、設定量に到達したか否かの判断は、第1の送液ポンプ11の回転回数を計数することによって行う。すなわち、第1の送液ポンプ11の回転回数の計数値が、予め設定されている、血漿の量の設定量に対応する値になると、血漿の量が設定量に到達したものと判断する。
【0114】
前記血漿の量の設定量は、特に限定されないが、1〜120mL程度とするのが好ましく、5〜50mL程度とするのがより好ましい。
【0115】
次いで、第1の流路開閉手段51を開放し、第2の流路開閉手段52を閉塞し、第2のライン22および第4のライン24を介して、収納バッグ26内に収納されている空気を、遠心分離器20の貯血空間146内に移送し、戻す(ステップS405)。
【0116】
これにより、ローター142の貯血空間146内の残りの血液成分は、遠心分離器側第1ライン21b、採血針側第1ライン21aおよび採血針29を介して、ドナーへ返還される。なお、前記ステップS401やステップS403においても、前記貯血空間146内の残りの血液成分のドナーへの返還がなされている。
【0117】
次いで、第1の気泡センサ17により、空気が検出されると(ステップS406)、この血液成分の返還を終了し(ステップS407)、図4に示す第2サイクル(次のサイクル)の血漿採取操作の血漿採取工程に移行する。なお、本サイクルが最終サイクルの1つ前のサイクルの場合には、後述する図5に示す最終サイクルの血漿採取操作の血漿採取工程に移行する。
【0118】
具体的には、第1の気泡センサ17が第1のライン21の流路内の空気の存在を検出すると、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度に低下(変更)するように制御する。
【0119】
そして、第1の送液ポンプ11を前記所定の回転速度で所定の回数、回転させた後、第1の流路開閉手段51および第2の流路開閉手段52を閉塞させ、かつ、第1の送液ポンプ11を停止する。
【0120】
なお、この第1の送液ポンプ11の回転速度としては、好ましくは1〜80mL/min程度、より好ましくは20〜50mL/min程度とされる。
【0121】
また、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度で回転させる回数としては、好ましくは1〜15回程度、より好ましくは5〜12回程度とされる。
【0122】
これにより、血液成分採取回路2内の残りの血液成分が、ほぼ全てドナーへ返還される。
【0123】
図4に示す第2サイクル(最終サイクルではない第2サイクル)の血漿採取操作の血漿採取工程では、前述した第1サイクルの血漿採取操作の血漿採取工程と同様に、まず、採血を開始し(ステップS201)、第2のライン22および第4のライン24を介して、遠心分離器20の貯血空間146内等の血液成分採取回路2内の空気を、収納バッグ26内に移送し、収納し(ステップS202)、第3の気泡センサ27により、遠心分離器20の貯血空間146から流出する血漿が検出されると(ステップS203)、貯血空間146内の空気の収納バッグ26内への収納が完了する。
【0124】
次いで、遠心分離器20の貯血空間146内の所定量(設定量)の血漿を、第2のライン22および第4のライン24を介して、収納バッグ26内に移送し、収納する(ステップS204)。
【0125】
具体的には、第1の流路開閉手段51を開放し、第2の流路開閉手段52を閉塞する。これにより、遠心分離器20の貯血空間146内の所定量の血漿が、第2のライン22および第4のライン24を介して、収納バッグ26内に移送され、収納される。この際、流れる血漿により、貯血空間146内と収納バッグ26内との間の流路内(主に、貯血空間146の流出口144付近)に付着している血漿以外の血液成分(血球)が、捕捉され、収納バッグ26内に移送される。これにより、本サイクルの血漿採取工程において、血漿採取バッグ25内への血漿以外の血液成分(血球)の混入が防止される。
【0126】
前記貯血空間146内から収納バッグ26内へ移送された血漿の量が、設定量に到達すると(ステップS205)、ステップS206へ移行する。
【0127】
この貯血空間146内から収納バッグ26内へ移送された血漿の量が、設定量に到達したか否かの判断は、第1の送液ポンプ11の回転回数を計数することによって行う。すなわち、第1の送液ポンプ11の回転回数の計数値が、予め設定されている、血漿の量の設定量に対応する値になると、血漿の量が設定量に到達したものと判断する。
【0128】
前記血漿の量の設定量は、特に限定されないが、1〜120mL程度とするのが好ましく、5〜50mL程度とするのがより好ましい。
【0129】
次いで、前述した第1サイクルの血漿採取操作の血漿採取工程と同様に、第1の流路開閉手段51を閉塞し、第2の流路開閉手段52を開放し、第2のライン22を介して、遠心分離器20の貯血空間146内の血漿を、血漿採取バッグ25内に移送し、採取し(ステップS206)、血漿採取終了の判断を行い(ステップS207)、上記(1)〜(4)のうちのいずれか1つが検出され、血漿採取を終了する場合は、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12の作動を停止するとともに、遠心分離器駆動装置10の作動を停止して、遠心分離器20のローター142の回転を停止する(ステップS208)。
【0130】
以上で、血漿採取工程を終了し、血液成分返還工程に移行する。すなわち、前述した図6に示す血液成分返還処理Aを行う(ステップS209)。
【0131】
なお、血液成分返還処理Aについては、説明を省略するが、本サイクルでは、収納バッグ26内に血漿が収納されているので、ステップS401において、その血漿が、第2のライン22および第4のライン24を介して、遠心分離器20の貯血空間146内に移送され、ステップS402において、第3の気泡センサ27により、空気が検出されると、ステップS403へ移行する。
【0132】
そして、ステップS404およびステップS405を実行した後、ステップS406において、第1の気泡センサ17により、空気が検出されると、この血液成分の返還を終了し(ステップS407)、本サイクルが最終サイクルの2つ以上前のサイクルの場合には、前述した図4に示す血漿採取操作の血漿採取工程に移行し、本サイクルが最終サイクルの1つ前のサイクルの場合には、後述する図5に示す最終サイクルの血漿採取操作の血漿採取工程に移行する。
【0133】
次に、図5に示す最終サイクルの血漿採取操作の血漿採取工程では、前述した第2サイクルの血漿採取操作の血漿採取工程と同様に、まず、採血を開始し(ステップS301)、第2のライン22および第4のライン24を介して、遠心分離器20の貯血空間146内等の血液成分採取回路2内の空気を、収納バッグ26内に移送し、収納し(ステップS302)、第3の気泡センサ27により、遠心分離器20の貯血空間146から流出する血漿が検出されると(ステップS303)、貯血空間146内の空気の収納バッグ26内への収納が完了する。
【0134】
次いで、前述した第2サイクルの血漿採取操作の血漿採取工程と同様に、遠心分離器20の貯血空間146内の所定量(設定量)の血漿を、第2のライン22および第4のライン24を介して、収納バッグ26内に移送し、収納する(ステップS304)。
【0135】
これにより、流れる血漿により、貯血空間146内と収納バッグ26内との間の流路内(主に、貯血空間146の流出口144付近)に付着している血漿以外の血液成分(血球)が、捕捉され、収納バッグ26内に移送される。これにより、本サイクルの血漿採取工程において、血漿採取バッグ25内への血漿以外の血液成分(血球)の混入が防止される。
【0136】
前述した第2サイクルの血漿採取操作の血漿採取工程と同様に、前記貯血空間146内から収納バッグ26内へ移送された血漿の量が、設定量に到達すると(ステップS305)、第1の流路開閉手段51を閉塞し、第2の流路開閉手段52を開放し、第2のライン22を介して、遠心分離器20の貯血空間146内の血漿を、血漿採取バッグ25内に移送し、採取し(ステップS306)、血漿採取終了の判断を行い(ステップS307)、上記(1)〜(4)のうちのいずれか1つが検出され、血漿採取を終了する場合は、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12の作動を停止するとともに、遠心分離器駆動装置10の作動を停止して、遠心分離器20のローター142の回転を停止する(ステップS308)。
【0137】
以上で、血漿採取工程を終了し、血液成分返還工程に移行する。すなわち、図7に示す血液成分返還処理Bを行う(ステップS309)。
【0138】
この血液成分返還処理Bにおいては、第2のライン22および第4のライン24を介して、収納バッグ26内に収納されている血漿および空気を、遠心分離器20の貯血空間146内に移送し、戻し(ステップS501)、第2の気泡センサ18により、空気が検出されると(ステップS502)、この血液成分の返還を終了し(ステップS503)、このプログラムを終了する。
【0139】
これにより、血液成分採取回路2内の残りの血液成分が、ほぼ全てドナーへ返還され、血漿採取操作を終了する。
【0140】
以上説明したように、この血液成分採取装置1によれば、第2サイクル以降の各サイクルの血漿採取工程において、遠心分離器20の貯血空間146内の血漿を、血漿採取バッグ25に採取するに先立って、遠心分離器20の貯血空間146内の所定量の血漿を、第2のライン22および第4のライン24を介して、収納バッグ26内に移送し、収納する。これにより、流れる血漿により、貯血空間146内と収納バッグ26内との間の流路内(主に、貯血空間146の流出口144付近)に付着している血漿以外の血液成分(血球、特に白血球)が、捕捉され、貯血空間146内に移送される。これによって、血漿採取バッグ25内への血漿以外の血液成分(血球、特に白血球)の混入を防止することができる。
【0141】
また、最終サイクルを除く各サイクルの血液成分返還工程において、血漿採取バッグ25内の所定量の血漿を、第2のライン22を介して、遠心分離器20の貯血空間146内に移送し、戻す。これにより、流れる血漿により、貯血空間146内と血漿採取バッグ25内との間の流路内(主に、貯血空間146の流出口144付近)に付着している血漿以外の血液成分(血球、特に白血球)が、捕捉され、貯血空間146内に移送される。これによって、血漿採取バッグ25内への血漿以外の血液成分(血球、特に白血球)の混入を、より確実に防止することができる。
【0142】
以上、本発明の血液成分採取装置を、図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0143】
また、本発明では、血液成分採取装置は、血漿を採取する血漿採取装置に適用する場合に限らず、例えば、血小板および血漿、赤血球を採取する血液成分採取装置にも適応することができる。
【0144】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、所定の血液成分(例えば、血漿)を血液成分採取バッグに採取するに先立って、所定量の前記所定の血液成分を、遠心分離器の貯血空間から収納バッグ内に移送し、収納する。この所定の血液成分の移送により、貯血空間内と収納バッグ内との間の流路内(主に、貯血空間の流出口付近)に付着している前記所定の血液成分以外の血液成分(例えば、血球)が、捕捉され、貯血空間内に移送される。これによって、血液成分採取バッグ内への前記所定の血液成分以外の血液成分(例えば、血球)の混入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の血液成分採取装置の実施形態を示す平面図(一部にブロック図を含む)である。
【図2】図1に示す血液成分採取装置が備える遠心分離器に遠心分離器駆動装置が装着された状態の部分破断断面図である。
【図3】図1に示す血液成分採取装置の作用(制御部の制御動作)を説明するためのフローチャートである。
【図4】図1に示す血液成分採取装置の作用(制御部の制御動作)を説明するためのフローチャートである。
【図5】図1に示す血液成分採取装置の作用(制御部の制御動作)を説明するためのフローチャートである。
【図6】図1に示す血液成分採取装置の作用(制御部の制御動作)を説明するためのフローチャートである。
【図7】図1に示す血液成分採取装置の作用(制御部の制御動作)を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 血液成分採取装置
2 血液成分採取回路
10 遠心分離器駆動装置
11 第1の送液ポンプ
12 第2の送液ポンプ
14 濁度センサ
15 光学式センサ
16 重量センサ
17 第1の気泡センサ
18 第2の気泡センサ
20 遠心分離器
21 第1のライン
22 第2のライン
23 第3のライン
24 第4のライン
25 血液成分採取バッグ(血漿採取バッグ)
251 孔部
26 収納バッグ
261 孔部
27 第3の気泡センサ
28 第4の気泡センサ
29 採血針
32 サブバッグ
321 孔部
33 カセットハウジング
51 第1の流路開閉手段
52 第2の流路開閉手段
55 制御部
551 演算部
552 メモリー
61 分岐コネクター
62 チューブ
63 フィルター
64 除菌フィルター
65、66 クレンメ
91 第1の開口部
92 第2の開口部
131 血漿層
132 血球層
141 管体
142 ローター
143 流入口
144 流出口
145 上部
146 貯血空間
151 ハウジング
152 脚部
153 モータ
154 回転軸
155 固定台
156 ボルト
157 スペーサー
158 取付部材
21a 採血針側第1ライン
21b 遠心分離器側第1ライン
21c 接続用分岐コネクター
21d チャンバー
21g 第1のポンプチューブ
21h チューブ
21i フィルター
23a 第2のポンプチューブ
23c 気泡除去用チャンバー
23d 抗凝固剤溶器接続用針
32a チューブ
S101〜S107 ステップ
S201〜S209 ステップ
S301〜S309 ステップ
S401〜S407 ステップ
S501〜S503 ステップ

Claims (9)

  1. 供血者から血液を採取する採血手段と、
    内部に貯血空間を有するローターを備え、該ローターの回転により前記採血手段により採取された血液を前記貯血空間内で遠心分離する遠心分離器と、
    前記貯血空間に連通し、前記遠心分離器により分離された所定の血液成分を採取する血液成分採取バッグとを備える血液成分採取回路を有し、
    供血者から採取した血液を前記貯血空間内で遠心分離し、前記所定の血液成分を採取する血液成分採取工程と、前記貯血空間内の残りの血液成分を前記供血者へ返還する血液成分返還工程とを有する血液成分採取操作を複数サイクル行う血液成分採取装置であって、
    前記血液成分採取回路に設けられ、前記貯血空間に連通した収納バッグ
    前記貯血空間の流出口側の流路の途中において気体を検出する検出手段とを有し、
    前記血液成分採取工程の際に、前記所定の血液成分を前記血液成分採取バッグに採取するに先立って、所定量の前記所定の血液成分を前記収納バッグに移送し、収納し、
    前記血液成分返還工程の際に、前記収納バッグ内に収納されている前記所定の血液成分を前記貯血空間に戻し、前記検出手段により気体が検出されると、前記血液成分採取バッグ内の所定量の前記所定の血液成分を前記貯血空間内へ戻すように構成されていることを特徴とする血液成分採取装置。
  2. 前記所定量の前記所定の血液成分を前記収納バッグに移送し、収納する操作は、前記血液成分採取操作の2サイクル目以降に行われる請求項1に記載の血液成分採取装置。
  3. 前記収納バッグは、前記貯血空間の流出口側と前記血液成分採取バッグとを接続する流路から分岐して設けられている請求項1または2に記載の血液成分採取装置。
  4. 前記血液成分採取工程の際に、前記所定の血液成分を前記血液成分採取バッグに採取する前に、前記貯血空間内の空気を前記収納バッグに移送し、収納する請求項1ないしのいずれかに記載の血液成分採取装置。
  5. 前記血液成分返還工程の際に、前記収納バッグ内に収納されている空気を前記貯血空間に戻す請求項に記載の血液成分採取装置。
  6. 前記採血手段と前記貯血空間の流入口側とを接続する流路の途中に送液ポンプを有し、該送液ポンプの作動により、前記空気を前記貯血空間に戻す請求項に記載の血液成分採取装置。
  7. 当該血液成分採取装置を使用する際は、前記血液成分採取バッグは、該血液成分採取バッグの前記貯血空間に連通する流路側が鉛直方向下方になるように設けられる請求項1ないしのいずれかに記載の血液成分採取装置。
  8. 当該血液成分採取装置を使用する際は、前記収納バッグは、該収納バッグの前記貯血空間に連通する流路側が鉛直方向下方になるように設けられる請求項1ないしのいずれかに記載の血液成分採取装置。
  9. 前記所定の血液成分は、主に血漿であり、前記残りの血液成分は、主に血球である請求項1ないし8のいずれかに記載の血液成分採取装置。
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