JP4250907B2 - 電動工具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電動工具、殊にスイッチの操作量に応じて作業速度を変更することができる電動工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電動工具において、スイッチの操作量に応じたモータの回転速度にすることで作業速度を変更することができるようにしたものが提供されている。この場合、スイッチとして一般的にトリガースイッチを使用し、トリガーハンドルの引き操作量に応じて可変抵抗器の抵抗値が変化するようにしておき、その抵抗値に応じて作業速度を変更するとともに、トリガーハンドルを引ききった状態ではモータがフル回転するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような電動工具においては、作業内容に応じて作業速度を変更することができるが、従来のものではスイッチの操作量と作業速度との関係が一つに定まっており、単一のスピードコントロールカーブが設定されているだけであるために、操作量が少し異なれば作業速度も変更されてしまう。従って微妙な操作を行うことが困難であり、この点において熟練したユーザによる操作が必要で、不慣れなユーザーにとっては操作性が悪かった。
【0004】
本発明はこのような点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは作業に応じた作業速度設定を容易にすることができる電動工具を提供するにあり、他の目的とするところは同一内容の作業の繰り返しを簡便に行うことができる電動工具を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明は、スイッチ操作量に応じて作業速度の変更を行う電動工具において、スイッチの操作量を読み取るスイッチ操作量読み取り手段と、スイッチの操作量に対応する作業速度を決定する作業速度設定手段と、操作されたスイッチ状態により設定された作業速度の出現頻度をカウントする出力頻度カウント手段と、前記作業速度設定手段による操作量−作業速度の対応を変更する設定変更手段とで構成され、設定変更手段は出力頻度カウント手段によりカウントされた作業速度の出現頻度に応じて上記対応を変更するものであることに特徴を有している。電動工具のスイッチの操作量と作業速度との関係(スピードコントロールカーブ)をユーザーの作業内容に応じたものに自動的に調整されるようにしたものである。
【0006】
上記設定変更手段は、作業速度の出現頻度が多い速度に対応する操作ストローク幅を広くするものであることが好ましく、出力頻度カウント手段は、タイマによる一定時間毎の作業速度サンプリングで出現頻度のカウントを行うものを好適に用いることができる。
【0007】
また、設定変更手段は、作業速度設定手段の設定の変更を、直前の作業の作業速度の出現頻度に対してのみ行なうもののほか、出現頻度のカウントを行う学習モードと、学習モードで収集した出現頻度カウント値に応じて設定変更手段が変更した設定で作業速度設定手段を動作させる適応モードとを切り換えるモード切替手段を備え、設定変更手段は適応モード時に、作業速度設定手段の設定の変更を、学習モードで収集した2以上の予め設定された作業回数の作業速度の出現頻度の合計に基づいて行なうもの、あるいは作業速度設定手段の設定の変更を、2以上の予め設定された作業回数より少ない作業回数の作業速度の出現頻度の合計に対して行なう必要が生じた場合に、予め設定された作業回数相当に作業速度の出現頻度を換算し、該換算値に基づいて作業速度設定手段の設定の変更を行うものであってもよい。
【0008】
さらに設定変更手段は、作業速度設定手段の設定の変更を、直前の2以上の予め設定された作業回数の作業速度の出現頻度の移動平均に基づいて行なうものであったり、作業速度設定手段の設定の変更を、それ以前の全ての作業における作業速度の出現頻度の平均に基づいて行なうものであってもよい。
【0009】
このほか、出力頻度カウント手段は、所定の作業速度以上の速度をカウントしなかった作業の場合はその作業における出現頻度カウント値をキャンセルするものや、所定の作業時聞以上カウントしなかった作業の場合はその作業における出現頻度カウント値をキャンセルするものであることが好ましい。
【0010】
また、出力頻度カウント手段は、動作できる最高速度の出現頻度をカウントしないものであってもよい。
【0011】
また、設定変更手段は、出力頻度カウント手段によりカウントされた作業速度の出現頻度の内、最も多い出現頻度のみに基づいて作業速度設定手段の設定を変更するものであってもよく、設定変更手段は、作業速度出現頻度としてカウントされた最も速い速度を操作量最大時の作業速度とするものであってもよい。もちろん、設定変更手段は、作業速度の出現頻度にかかわらず、動作できる最高速度を操作量最大時の作業速度とするものであってもよい。
【0012】
このほか、作業速度設定手段の設定の内容を表示する表示手段を設けることも好ましく、この場合の表示手段は、作業速度設定手段の操作量−作業速度の対応を曲線として表示するものを好適に用いることができる。
【0013】
作業速度設定手段の概定速度領域で動作している場合に、それを表示する表示手段を設けることも好ましい。
【0014】
さらには、出力頻度カウント手段は、スイッチの操作量の出現頻度のカウントで作業速度のカウントを行うものであったり、スイッチの操作量がゼロである時間が時間が所定の時間以内である場合は.スイッチの操作量がゼロである時の前後作業を一連の作業とみなして、出現頻度カウントを行うものであってもよい。
【0015】
また、本発明は、スイッチ操作量に応じて作業速度の変更を行う電動工具において、スイッチの操作量を読み取るスイッチ操作量読み取り手段と、スイッチの操作量に対応する作業速度を決定する作業速度設定手段と、作業における作業速度を時系列に記録する作業記憶手段と、作業記憶手段に作業速度の時系列変化を登録する登録モードと登録された作業内容を再生する再生モードとを切り換えるモード切替手段とを備え、作業速度設定手段は、登録モード時にその作業における作業速度を作業記憶手段に時系列に記憶させ、再生モード時にはスイッチの操作量変化に関係なく作業記憶手段に記憶させた内容を再生して作業速度を変化させるものであることに他の特徴を有している。繰り返し作業を行う場合、繰り返したい作業を記憶させて同作業を行うことができる。
【0016】
この場合、作業記憶手段は複数種類の作業パターンを記憶する記憶エリアを備えて、作業速度設定手段は再生時に作業記憶手段に記憶させた複数種類の作業パターンから選択された作業パターンで作業速度を変化させるものであったり、再生モードで作動中に操作スイッチがオフとされた時点で再生動作を停止するものであったり、再生動作が完了した後も操作スイッチがオフされるまでは完了直前の動作を引き続き続行させるものであってもよい。
【0017】
また、作業速度設定手段は、所定の作業速度に達しない作業は作業記憶手段にその作業内容を登録しないものや、所定の作業時間に達しない作業は作業記憶手段にその作業内容を登録しないものであってもよい。
【0018】
また、作業速度設定手段は、スイッチの操作量の変化を作業速度の変化として作業記憶手段に登録するものであってもよい。
【0019】
さらに、スイッチ操作量がゼロの期間が所定の時間以内である場合、作業速度設定手段はスイッチ操作量がゼロの期間の前後の作業を一連の作業とみなして、作業記憶手段に登録するものであってもよい。
【0020】
いずれの特徴とするところにおいても、作業速度を監視する作業速度監視手段を備えるとともに、作業速度設定手段は作業速度監視手段で観測される作業速度に基づいて作業速度をフィードバック制御するものであることが望ましく、ここでの作業速度監視手段には、モータ逆起電圧幅の変動を検出するものを好適に用いることができる。
【0021】
不揮発性メモリで構成された設定値記憶部もしくは設定値記憶部に記憶された記憶内容のバッテリバックアップ手段を備えたものとするのも好ましい。
【0022】
電池電源で動作するものでは、設定変更手段は電池電圧に応じて作業速度の設定の変更補正を行うものであってもよい。
【0023】
また設定変更手段は、逆回転作業時には作業速度の設定を初期値に戻すものであることが好ましい。
【0024】
所定の時間未作業の場合には消費電力を抑制するモードに自動的に移行し、スイッチ操作を認識して通常のモードに移行する電力消費抑制手段を備えたものとするのも好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施の形態の一例に基づいて詳述すると、図2に本発明に係る電動工具のブロック図を示す。図中MはPWM駆動されるモータであり、作業速度設定手段1によるスイッチング素子QのPWM出力のオン幅の変更でその回転速度(作業速度)を変更することができるものとなっており、上記作業速度設定手段1は、スイッチ操作量読み取り手段6で検出したトリガースイッチのようなスイッチ5の操作量に応じて上記作業速度の変更を行う。操作量が小さい時にはPWM出力のオン幅を小さくして低い回転速度でモータMを駆動し、操作量が大きくなるにつれてPWM出力のオン幅を大きくしてモータMの回転速度を速め、スイッチ5の操作量が最大の時、PWM出力のオン幅を最大にしてモータMをその最高速度で駆動する。
【0026】
ここで、上記作業速度設定手段1は、マイクロコンピュータで構成されたもので、スイッチ操作量に対応した作業速度設定出力を作業速度設定テーブルとして保持している。該テーブルの初期値の内容の一例を図3に示す。横軸はスイッチ操作量読み取り手段6がスイッチ5から読み取るスイッチ操作量であり、ここでは0(スイッチオフ)から60(スイッチフルオン)までのスイッチ操作量があり、スイッチオフと判定するスイッチ操作量は0から4、スイッチフルオンと判定するスイッチ操作量は56から60までで、4から56までの53段階が等間隔で分割されている。縦軸は作業速度設定手段1が出力するPWM出力でNo0(PWMオン幅0)からNo30(PWMフルオン)段階に設定されており、PWM出力オン幅をオン幅からフルオンまで等間隔で分割されている。スイッチ操作量を大きくしていくと、作業速度設定手段1はモータMの回転速度(作業速度)を徐々に大きくしていき、スイッチ操作量が38を越えると、操作量の増大に対する作業速度の増加率を大きくする。
【0027】
また上記作業速度設定手段1には、作業速度設定変更手段2と出力頻度カウント手段3、モード切替手段4などが接続されている。出力頻度カウント手段3は各作業速度設定出力値に対応する出現頻度カウンタテーブルを1対1で備えたもので、一連の作業において一定時間毎のサンプリング周期にて使用されている作業速度設定出力値に対応するカウンタをインクリメントすることで、一連の作業において各作業速度設定出力値の使用頻度を保持する。図4はある作業の終了後の出現頻度カウンタテーブルの内容の一例を示している。出現頻度カウンタテーブルもPWM出力に対応したカウンタNo0からNo30までの31段階あり、一連の作業において一定時間毎のサンプリング周期にて使用されているPWM値をサンプリングし、サンプリングしたPWM値に対応するカウンタをインクリメントする。図4に示した出現頻度カウンタテーブルでは、フルオンでの作業頻度が最大であり、次にPWM出力でNo11での作業頻度が高いことがわかる。
【0028】
モード切替手段4は該電動工具を学習モードと適応モードとに切り換えるもので、学習モードでは作業速度設定手段1は例えば図3に示した作業速度設定テーブルの内容で操作量と作業速度とを対応させ、この状態で実際に作業を行えば、その作業での各作業速度設定出力値の使用頻度が出力頻度カウント手段3でカウントされる。
【0029】
そして、モード切替手段4で学習モードから適応モードに切り替えたならば、出力頻度カウント手段3でカウントされた出現頻度に基づいて、作業速度設定変更手段2が作業速度設定手段1が備えている作業速度設定テーブルの内容を書き換えるために、適応モードでの作業は書き換えられた作業速度設定テーブルの内容に基づいたものとなる。
【0030】
今、学習モードで作業を行った時の出現頻度カウンタテーブルの内容が図5(a)に示すものであった時、適応モードに切り替えたならば、作業速度設定変更手段2は設定変更手段は出現頻度カウンタテーブルの内容を正規化して、作業速度設定テーブルに移動することにより、出現頻度が多い作業速度に対応するスイッチのストローク巾を広くする。すなわち、図5(b)に示すようにオフ及びフルオンである出力No0及びNo30のカウント値を除く他のカウント値に0がないようにするために出現頻度カウンタ全て(No1〜No29)に1を加算した後、出現頻度カウンタNo1からNo29までのカウント値の総和が51以下(56−4−1)になるまでカウント値が2以上のものは全て1を減算する処理を繰り返す(図5(c))。ここで、出現頻度カウンタNo0と出現頻度カウンタNo30はPWM出力オン幅が0かフルであるので作業速度設定テーブルの変更には使用しない。また、上記減算する処理を行わなくても出現頻度カウンタNo1から29までのカウント値の総和が51以下の場合は何も行わない。そうしてできた結果を作業速度設定テーブルに割り当てた結果を図6に示す。図3に示した初期値と比較すると、出現頻度が多い作業速度に対応するスイッチのストローク幅が広くなっていることがわかる。この結果、使用頻度の多い作業速度で使用する時、スイッチ5の操作量が少々変化しても作業速度はほぼ一定に保たれるとともに作業速度の微調節が容易になる。
【0031】
割り当てる際に出現頻度カウンタNo1からNo29までの総和が51より小さい場合は、図7に示すように、作業速度設定テーブルにおいてスイッチ操作量が56未満でPWM出力No30(PWMフルオン)となり、残ったスイッチ操作量に対するPWM出力が全てPWM出力No30(PWMフルオン)になるようにしてもよい。
【0032】
なお、ここでは学習モードと適応モードとを備えたものを示したが、出力頻度カウント手段3は常に作業での作業速度の出現頻度をカウントし、作業速度設定変更手段2が次の作業の時に前回の作業の時の出現頻度カウントテーブルの内容に基づいて作業速度設定テーブルの内容を書き換えるもの、つまり直前の一連の作業に応じた内容に適したものとなるようにしたものであってもよい。
【0033】
学習モードと適応モードとを切り換えることができるようにしたものにおいては、学習モードで複数回の作業を行った結果に応じて作業速度設定テーブルの書き換えがなされるようにしておくと、同一作業を繰り返す時の作業速度のばらつきを考慮したものとすることができる。例えば、学習モードで3回の作業を行うとともに、各作業での出現頻度カウンタテーブルの内容が図8(a)(b)(c)の3つであった時、適応モードに切り替えたならば、作業速度変更手段2は学習モードで出現頻度カウンタテーブルに格納された3回の出現頻度の合計(図9(a))に対して、前述のように1の加算(図9(b))と総和を51以下にして正規化する処理(図9(c))を行い、その結果を図10に示すように作業速度設定テーブルに移すとよい。出現頻度が多い作業速度に対応するスイッチのストローク幅を広くすることができる。なお、3回の学習モードの終了後、モード切替手段により手動で適応モードに移行させるほか、自動的に適応モードに移行させるようにしてもよい。
【0034】
図11は通常3回の学習作業により適応させるところを1回の学習作業にて適応させることができるようにした場合を示しており、図11(a)に示す1回の学習作業の結果に対して図11(b)に示すように全てのカウンタのカウント値を3倍することで3回の学習作業相当に出現頻度を換算し、図11(c)(d)に示すように前記正規化を行って作業速度設定テーブルに移せば、図12に示す作業速度設定テーブルを得ることができる。
【0035】
図13〜図16は3回の作業学習の移動平均に基づいて作業速度設定テーブルの変更を行うようにしたものを示しており、図13(a)に示す1回目の学習作業の出現頻度カウンタの結果と図13(b)に示す2回目の学習作業の出現頻度カウンタの結果との合計(図13(c))に対して、1の加算(図13(d))を行い、その結果の平均(2で割り余りを加える)を算出(図13(e))した後に正規化(図13(f))を行う。さらに3回目の学習作業の出現頻度カウンタの結果(図15(a))を図13(f)の正規化データに加算(図15(b))して平均を算出(2で割り余りを加える)した図15(c)に示すデータに基づいて作業速度設定テーブルを書き換えれば、図16に示す作業速度設定テーブルを得ることができる。尚、図14は図13(f)に示すデータに基づいて得ることができる作業速度設定テーブルの内容を示している。
【0036】
ここでは移動平均をそれ以前の全ての作業に対して行い、作業毎に移動平均により算出した結果を正規化して出現頻度が多い作業速度に対応するスイッチ5のストローク幅を広くするようにしているが、3回の学習作業が完了した後に移動平均を算出するようにしてもよい。
【0037】
ところで、学習に際して出力頻度カウント手段3は図17(a)に示すように例えば作業速度設定手段1が出力するPWM出力のNo3以下しか使用されない作業についてはカウントしないようにしたり、図17(b)に示すように所定の時間T0以下の作業しか行わなかった場合はカウントしないようにすることにより、誤った作業と考えられる作業が学習モードに影響を与えてしまうことを無くすことができる。また、出現頻度カウンタNo30(PWM出力フルオン)の頻度結果は上記の各例では使用しないために、カウントしなくても良い。
【0038】
図18,19に他例を示す。ここでは3回の作業の学習を行う場合、まず学習1回目の作業の出現頻度カウンタ(図18(a))のNo1からNo30の結果においてカウントされている最もNo数が大きな出現頻度カウンタNoを設定変更手段2に記憶させる。これはNo数が大きいほどPWM出力オン幅が大きいため作業速度は速くなるので使用された最も速い作業速度を記憶したことを意味する。また、図18(b)に示すように、出現頻度カウンタのNo1から使用された最も早い作業速度に対応するNoの間で最も頻度が多い出現頻度カウンタNoの結果のみを出現頻度カウンタテーブルに残す。ここで、同頻度のものがある場合は出現頻度カウンタNoの小さい方を優先する。
【0039】
図18(c)(d)に示すように、学習2回目の作業においても同様の処理を行う。ここで、学習2回目の作業において使用された最も速い作業速度に対応する出現頻度カウンタNoが学習1回目より大きければ1回目に記憶していた出現頻度カウンタNoを2回目のそれに変更する。小さければ変更はしない。また、学習2回目における最も頻度が多い出現頻度カウンタNoが学習1回目と同じ場合は学習1回目の結果に学習2回目の結果を加算して出現頻度カウンタテーブルに残す。
【0040】
そして図19(a)(b)に示すように、学習3回目の作業においても同様の処理を行う。そして、出現頻度カウンタのNo1から学習1回目から3回目の作業において使用された最も頻度の高いカウントNoについて加算(図19(c)を行った後に正規化を行う。この時、最も速い作業速度に対応する出力頻度カウントにおいて正規化を行うとともに、残ったスイッチ操作量に対するPWM出力は全て使用された最も速い作業速度に対応するPWM出力Noに設定する。
【0041】
この結果、図20に示すように、出現頻度が多い作業速度に対応するスイッチのストローク幅を広くすることができるとともに、スイッチ5の操作量を最大にした時に得られる作業速度は、実際の作業で使用する最も速い作業速度に制限することができる。この場合、学習モードに戻せば、作業速度設定テーブルの内容は、図3に示したような初期値に戻されるようにしておく。
【0042】
また、図21〜図23は別の例を示しており、ここでは例えば3回の作業の学習を行う場合、学習1回目においては図21(a)(b)に示すように、出現頻度カウンタのNo1からNo29の間で最も頻度が多い出現頻度カウンタNoの結果のみを出現頻度カウンタテーブルに残す。また、学習2回目の作業においても図21(c)(d)に示すように同様の処理を行う。ただし学習2回目における最も頻度が多い出現頻度カウンタNoが学習1回目と同じ場合は学習1回目の結果に学習2回目の結果を加算して出現頻度カウンタテーブルに残す。さらに学習3回目の作業においても図22(a)(b)に示すように同様の処理を行う)。そして図22(c)(d)に示すように正規化を行うことにより、出現頻度が多い作業速度に対応するスイッチのストローク幅を広くした作業速度設定テーブル(図23)を得る。この場合、動作できる最高速度まで動作させることができる。
【0043】
ところで、このように設定された作業速度設定手段1の設定内容(作業速度設定テーブル)は、液晶ディスプレーのような表示手段7に図24に示すようにグラフとして表示するようにしておくと、ユーザーはその時の作業速度設定手段の内容を確認することができる。
【0044】
この表示は、図25に示すように、予め分類した複数のパターンのうちのいずれに現在の設定内容が類似しているかを発光表示部材LED1〜LED5の点滅で行うものであってもよい。
【0045】
また、例えば適応モード移行後に作業速度設定手段の内容(作業速度設定テーブル)で最も使用頻度が多いPWM出力の位置で作業が行われている時に点灯する発光表示部材(図示せず)を設けるようにしてもよい。この場合においても、作業速度の調整が行い易くなる。
【0046】
以上の説明では出力頻度カウント手段3が出力するPWM値に対応するカウンタをインクリメントし、一連の作業が終了するまでこの処理を繰り返すと説明したが、出力するPWM値に対応させるのではなくスイッチの操作量の出現頻度をカウントし、カウントした結果のスイッチの操作量を作業速度設定テーブルによりPWM値に変換して出現頻度カウンタを作成し直した後に前記正規化を行うようにしても、同様に作業速度設定変更を行うことができる。
【0047】
また、学習モードで認識する1回の作業であるが、これはスイッチ5がオンとなってからオフとなるまで1回の作業と認識すればよい。もっとも、実際には1回の作業の途中にいったんオフとする場合も考えられることから、図26に示すように、オフである休止時間Taが所定の時間T1以内である場合は一連の作業とみなして、出力頻度カウント手段3が一連の作業と認識して引き続きカウントを行うようにし、休止時間Tbが所定の時間T1以上である場合は作業が終了したと認識するようにしておくのが好ましい。
【0048】
別の実施の形態の一例の動作を図27に示す。ここではモード切替手段4登録モードと再生モードとの切り替えを行うものとしており、また作業速度設定手段には作業記憶手段8を接続(図2参照)している。この作業記憶手段8は一連の作業における速度(PWM出力値)を所定のサンプリング時間毎に記憶することができるものである。
【0049】
このものにおいては、モード切替手段4において登録モードとした状態で実際の作業を行う。この時の作業速度設定テーブルは図3に示した初期状態のものでもよいし、前述の適応モードでのものでもよい。この時、作業速度設定手段3は、作業が開始されてから所定のサンプリング時間S毎に作業が終了するまで使用されたPWM出力Noを作業記憶手段8に順次記憶させる。記憶させたものの一例を図28に示す。
【0050】
そしてモード切替手段4において再生モードに切り換えたならば、作業速度設定手段1はスイッチ5がオンするとスイッチ5の操作量に関係なく登録された内容の時間間隔SとPWM出力Noで作業速度を決定する。登録時とまったく同じ作業速度変化を得ることができるものである。
【0051】
作業記憶手段8には複数の別の作業を記憶することができる記憶エリアを設けて、再生時にいずれの記憶エリアに記憶させたものを再生するかを選択できるようにしておくことで、複数の別の作業を再現することができるものとなる。
【0052】
なお、作業の再生中にスイッチ5がオフされた場合は、なんらかの異常があったものとして早急にモータMを停止させることが好ましいために、ここでは再生動作を停止するだけでなく、図2に示すスイッチ10を接点a側から接点b側に切り換えてモータを短絡させることでモータMに制動をかけるようにしている。
【0053】
また、図29に示すように、登録を行った時の作業時間Rよりも再生時にかかる作業時間Pの方が長くなってしまうことも考えられることから、ここでは登録時の作業時間Rが経過後もスイッチ5がオンとなっている場合は、このスイッチ5がオフとなるまで、登録時の作業停止直前の速度(作業停止から所定の時間前の記憶しているPWM出力No)になるようにPWM出力を行うことにより、作業途中で作業者の意思に反して停止することがないようにしている。
【0054】
なお、このような登録及び再生が可能なものにおいても、図17(a)に示した作業速度設定手段が出力するPWM出力のNo3以下しか使用されない作業や、図17(b)に示した所定の時間T0以下の作業は作業記憶手段8に記憶しないようにしておくことで、誤った作業と考えられる作業が登録されることを避けることができる。
【0055】
また、このものにおいても、登録時に作業が開始されてから所定のサンプリング時間S毎に作業が終了するまで使用されたPWM出力Noを順次記憶することを行う代わりに、スイッチ5の操作量を所定のサンプリング時間S毎に記憶し、作業速度設定テーブルからスイッチの操作量をPWM出力値に変換することにより作業の再生を行うようにしてもよい。
【0056】
また、図26に示した一連の作業とみなす休止時間の処理についても同様であり、休止時間Taが所定の時間T1以内である場合はその前後の作業を一連の作業とみなすとともに休止時間Taも記憶することで、作業者が必要な作業内容を再生することができるものとなる。
【0057】
ところで、電動工具を用いた作業では、作業中に負荷が大きくなってモータロックで動作が停止してしまうことがある。これは上記登録再生モードを持つものにおいては特に問題となる。このために、電動工具がインパクトドライバである場合など、図2に示すように、作業速度を監視する作業監視手段13,例えばモータ逆起電圧幅を監視するものを設けて、作業速度が0(停止)にならないようにフィードバックが働くようにしておくことが望ましい。
【0058】
図30はモータ逆起電圧幅とPWM出力の関係を示しており、図中イは無負荷状態、ロはロック状態を示している。ロックしてしまうとモータ逆起電圧幅が増加し、PWM出力を速度が速くなるようにオン幅を大きくしていくと、インパクトドライバは打撃を開始するために、モータ逆起電圧幅は小さくなる。よって所定のしきい値よりモータ逆起電圧幅が大きい場合はPWM出力の周期毎に所定の量のPWM出力のオン幅を大きくすることでロックしないようにし、所定のしきい値よりモータ逆起電圧が小さいときは作業速度設定手段において本来出力すべきPWM出力のオン幅以下にならないように所定の量のPWM出力のオン幅を小さくし、この処理を繰り返すようなフィードバックが働くようにしておくことで、作業速度が0(停止)となることなくスムースに作業を行うことができる。
【0059】
このほか、電動工具が二次電池を利用する充電式のような電池電源のものである場合、前記の変更された作業速度設定テーブルの内容を保存するメモリや作業記憶手段8として、EEPROM等の不揮発性メモリ、あるいは他の電池電源でバックアップされたものとしておくことで、モータM用の電池が抜かれても記憶内容を保持することができるものとなる。
【0060】
また、電動工具が電池電源の場合、作業設定変更手段2が電池電圧を監視して、電池電圧に応じて作業速度、つまりPWM出力のオン幅を電池電圧が低いときは高いときの所定の割り合いだけ大きくするようにしておくことで、電池電圧の低下による作業効率の低下を防ぐことができる。
【0061】
さらに、電動工具においては、モータMの回転方向を切り替える正逆接点11を備えたものがあるが、ねじを緩めるなどの逆回転作業に際しては、正逆認識手段12で逆回転であることを認識した時、作業速度設定変更手段2は作業速度設定テーブルをノーマルの状態にして、この設定テーブルに基づいてスイッチ5の操作量に応じた作業速度となるようにすることで、逆転の作業を行い易くすることができる。
【0062】
また、マイクロコンピュータを作業速度設定手段1や作業速度設定変更手段2等に用いている場合、電動工具がある所定の時間未作業である時、消費電力を抑制するモード(スリープモード)に自動的に移行し、スイッチのオンオフ操作を行えば、これを認識してスリープモードから抜け出して通常の動作可能なモードに移行するようにしておくことで、無駄な電力消費を無くすことができる。
【0063】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1の発明においては、電動工具のスイッチ操作量と作業速度との関係(ストロークカーブ)を作業の内容に応じて変更することが可能であり、このために作業を行い易くすることができるとともに作業の効率を高めることができる。
【0064】
請求項2の発明においては、 設定変更手段は、作業速度の出現頻度が多い速度に対応する操作ストローク幅を広くするものであるために、作業において頻繁に使用する速度に容易に調整することができ、作業の効率を高めることができる。
【0065】
請求項3の発明においては、出力頻度カウント手段は、タイマによる一定時間毎の作業速度サンプリングで出現頻度のカウントを行うものであるために、例えばマイクロコンピュータを使用する場合にマイクロコンピュータソフトのプログラミングの構成を簡略化することができる。
【0066】
請求項4の発明においては、設定変更手段は、作業速度設定手段の設定の変更を、直前の作業の作業速度の出現頻度に対してのみ行なうものであるために、作業毎にストロークカーブを変更することができて、作業内容が大きく異なる場合でも次の作業からストロークカーブが直前の作業に適応するため、使用する速度に容易に調整することができ、作業の効率を高めることができる。
【0067】
請求項5の発明においては、出現頻度のカウントを行う学習モードと、学習モードで収集した出現頻度カウント値に応じて設定変更手段が変更した設定で作業速度設定手段を動作させる適応モードとを切り換えるモード切替手段を備え、設定変更手段は適応モード時に、作業速度設定手段の設定の変更を、学習モードで収集した2以上の予め設定された作業回数の作業速度の出現頻度の合計に基づいて行なうために、複数の作業内容をストロークカーブに反映することができて、同作業による使用速度のばらつきに対応することができ、使用頻度が高いスピードの調整が容易になり、作業の効率を高めることができる。
【0068】
請求項6の発明においては、設定変更手段は、作業速度設定手段の設定の変更を、2以上の予め設定された作業回数より少ない作業回数の作業速度の出現頻度の合計に対して行なう必要が生じた場合に、予め設定された作業回数相当に作業速度の出現頻度を換算し、該換算値に基づいて作業速度設定手段の設定の変更を行うものであるために、所定の学習回数以下でも使用頻度が高いスピードの調整が容易になり、作業の効率を高めることができる。
【0069】
請求項7の発明においては、設定変更手段は、作業速度設定手段の設定の変更を、直前の2以上の予め設定された作業回数の作業速度の出現頻度の移動平均に基づいて行なうものであるために、複数の作業内容をストロークカーブに反映することができ、同作業による使用速度のばらつきに対応し、使用頻度が高いスピードの調整が容易になり、作業の効率を高めることができる。
【0070】
請求項8の発明においては、設定変更手段は、作業速度設定手段の設定の変更を、それ以前の全ての作業における作業速度の出現頻度の平均に基づいて行なうものであるために、作業内容が変更されても徐々に前作業に対応したストロークカーブに変更することができ、使用頻度が高いスピードの調整が容易になり、作業の効率を高めることができる。
【0071】
請求項9の発明においては、出力頻度カウント手段は、所定の作業速度以上の速度をカウントしなかった作業の場合はその作業における出現頻度カウント値をキャンセルするものであるために、誤作業と考えられる作業についてはストロークカーブの変更に反映しないようにすることができる。
【0072】
請求項10の発明においては、出力頻度カウント手段は、所定の作業時聞以上カウントしなかった作業の場合はその作業における出現頻度カウント値をキャンセルするものであるために、誤作業と考えられる作業についてはストロークカーブの変更に反映しないようにすることができる。
【0073】
請求項11の発明においては、出力頻度カウント手段は、動作できる最高速度の出現頻度をカウントしないものであるために、例えばマイクロコンピュータを使用する場合にマイクロコンピュータソフトのプログラミングの構成を簡略化することができる。なお、出力頻度カウント手段は、動作できる最高速度の出現頻度をカウントしなくても学習した結果を速度0から最高速度までストロークカーブに反映することができるために問題が生じることはない。
【0074】
請求項12の発明においては、設定変更手段は、出力頻度カウント手段によりカウントされた作業速度の出現頻度の内、最も多い出現頻度のみに基づいて作業速度設定手段の設定を変更するものであるために、移動平均等の複雑な演算を行わなくても簡単な演算を行うだけで、作業速度の出現頻度が多い速度に対応するストローク幅を広くすることができ、作業において頻繁に使用する速度に容易に調整することができる。
【0075】
請求項13の発明においては、設定変更手段は、作業速度出現頻度としてカウントされた最も速い速度を操作量最大時の作業速度とするものであるために、スイッチをフルに引き込んでも動作できる最高速度まで動作しないため、スイッチ操作を誤っても必要以上の速度にはならない上に、使用頻度が高いスピードの調整が容易になり、作業の効率を高めるとともに安全に作業を行うことができる。
【0076】
請求項14の発明においては、設定変更手段は、作業速度の出現頻度にかかわらず、動作できる最高速度を操作量最大時の作業速度とするものであるために、スイッチをフルに引き込めば動作できる最高速度まで必ず動作させることができるため、速度重視の作業が常に行うことができる。
【0077】
請求項15の発明においては、作業速度設定手段の設定の内容を表示する表示手段を設けたために、現在のストロークカーブの状況を使用者にスイッチを操作する感覚だけでなく、視覚的に明確に伝えることができる。
【0078】
請求項16の発明においては、表示手段は、作業速度設定手段の操作量−作業速度の対応を曲線として表示するものであるために、比較的に安価な方法で現在のストロークカーブの状況を使用者に視覚的に伝えることができる。
【0079】
請求項17の発明においては、作業速度設定手段の概定速度領域で動作している場合に、それを表示する表示手段を設けたために、頻度の高い作業速度になっているかどうかを容易に確認することができるとともに作業速度の調節も表示手段での表示を目安にすることができるために容易となる。
【0080】
請求項18の発明においては、出力頻度カウント手段は、スイッチの操作量の出現頻度のカウントで作業速度のカウントを行うものであるために、出現頻度をカウントする処理に例えばマイクロコンピュータを使用する場合にマイクロコンピュータソフトのプログラミングの構成を簡略化することができる。
【0081】
請求項19の発明においては、出力頻度カウント手段は、スイッチの操作量がゼロである時間が時間が所定の時間以内である場合は.スイッチの操作量がゼロである時の前後作業を一連の作業とみなして、出現頻度カウントを行うものであるために、特異な作業に対してもその作業を一連の作業と見なすことでその作業全体の内容をストロークカーブに反映させることができる。
【0082】
そして請求項20の発明においては、スイッチ操作量に応じて作業速度の変更を行う電動工具において、スイッチの操作量を読み取るスイッチ操作量読み取り手段と、スイッチの操作量に対応する作業速度を決定する作業速度設定手段と、作業における作業速度を時系列に記録する作業記憶手段と、作業記憶手段に作業速度の時系列変化を登録する登録モードと登録された作業内容を再生する再生モードとを切り換えるモード切替手段とを備え、作業速度設定手段は、登録モード時にその作業における作業速度を作業記憶手段に時系列に記憶させ、再生モード時にはスイッチの操作量変化に関係なく作業記憶手段に記憶させた内容を再生して作業速度を変化させるものであるために、スイッチの操作量に関係なく作業を再生することができ、再生モード時においてはスイッチの操作に注意を注ぐ必要なく、繰り返し作業を簡単に行うことができて作業の効率を高めることができる。
【0083】
請求項21の発明においては、作業記憶手段は複数種類の作業パターンを記憶する記憶エリアを備えており、作業速度設定手段は再生時に作業記憶手段に記憶させた複数種類の作業パターンから選択された作業パターンで作業速度を変化させるものであるために、作業内容を変更する際に記憶している作業パターンを選択し直すだけで、スイッチの操作に注意を注ぐ必要なく、複数種の繰り返し作業を簡単に行うことができる。
【0084】
請求項22の発明においては、作業速度設定手段は、再生モードで作動中に操作スイッチがオフとされた時点で再生動作を停止するものであるために、作業再生途中で停止させたい場合には停止させることができ、安全に作業を行うことができる。
【0085】
請求項23の発明においては、作業速度設定手段は、再生動作が完了した後も操作スイッチがオフされるまでは完了直前の動作を引き続き続行させるものであるために、繰り返し作業のばらつきで作業完了前に勝手に停止してしまうという事態が生じるのを防ぐことができる。
【0086】
請求項24の発明においては、作業速度設定手段は、所定の作業速度に達しない作業は作業記憶手段にその作業内容を登録しないものであるために、誤作業と考えられる作業が登録されてしまうことはない。
【0087】
請求項25の発明においては、作業速度設定手段は、所定の作業時間に達しない作業は作業記憶手段にその作業内容を登録しないものであるために、誤作業と考えられる作業が登録されてしまうことがない。
【0088】
請求項26の発明においては、作業速度設定手段は、スイッチの操作量の変化を作業速度の変化として作業記憶手段に登録するものであるために、例えばマイクロコンピュータを使用する場合に一定のサンプリング時間を設定するだけで処理することができ、ソフトのプログラミングの構成を簡略化することができる。
【0089】
請求項27の発明においては、スイッチ操作量がゼロの期間が所定の時間以内である場合、作業速度設定手段はスイッチ操作量がゼロの期間の前後の作業を一連の作業とみなして、作業記憶手段に登録するものであるために、特異な作業に対してもその作業を一連の作業と見なしてその作業全体の内容を登録することができ、スイッチの操作に注意を注ぐ必要なく繰り返し作業を簡単に行うことができる。
【0090】
請求項28の発明においては、業速度を監視する作業速度監視手段を備えるとともに、作業速度設定手段は作業速度監視手段で観測される作業速度に基づいて作業速度をフィードバック制御するものであるために、スイッチ操作が容易になるため、スイッチ操作に神経を使わなくても作業速度がゼロとなって途中停止してしまうような事態が生じないものとなる。
【0091】
請求項29の発明においては、作業速度監視手段は、モータ逆起電圧幅の変動を検出するものであるために、安価な回路構成で作業中のロックを防ぐことができるものとなる。
【0092】
請求項30の発明においては、不揮発性メモリで構成された設定値記憶部もしくは設定値記憶部に記憶された記憶内容のバッテリバックアップ手段を備えているために、電池交換を行っても記憶している内容は保持されるため、学習や記憶作業をやり直す必要なく使用者が必要な作業を行うことができる。
【0093】
請求項31の発明においては、電池電源で動作するものであるとともに、設定変更手段は電池電圧に応じて作業速度の設定の変更補正を行うものであるために、電池電圧の低下による作業の効率の低下を防ぐことができる。
【0094】
請求項32の発明においては、設定変更手段は、逆回転作業時には作業速度の設定を初期値に戻すものであるために、一般的に微妙な作業を行わない逆転時には作業速度を重視した初期値のストロークカーブに戻して作業の効率を高めることができる。
【0095】
請求項33の発明においては、所定の時間未作業の場合には消費電力を抑制するモードに自動的に移行し、スイッチ操作を認識して通常のモードに移行する電力消費抑制手段を備えていることから、例えば電池電源の場合に特に消費電力を抑制することができるため、作業可能回数を無駄な消費電力で滅らさないようにでき、またスイッチをオン・オフする簡単操作で通常のモードに戻ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例の動作を示すフローチャートである。
【図2】同上のブロック回路図である。
【図3】同上の作業速度設定テーブルの内容の一例の説明図である。
【図4】同上の出現頻度カウンタテーブルの内容の一例の説明図である。
【図5】 (a)(b)(c)はカウンタ値の正規化についての説明図である。
【図6】新たに設定した作業速度設定テーブルの内容の説明図である。
【図7】新たに設定した他の作業速度設定テーブルの内容の説明図である。
【図8】 (a)(b)(c)は夫々3回の作業時の出現頻度カウンタテーブルの内容の例の説明図である。
【図9】 (a)(b)(c)は同上の正規化についての説明図である。
【図10】新たに設定した作業速度設定テーブルの内容の説明図である。
【図11】 (a)〜(d)は他例における正規化についての説明図である。
【図12】新たに設定した作業速度設定テーブルの内容の説明図である。
【図13】 (a)〜(f)は他例における正規化についての説明図である。
【図14】新たに設定した作業速度設定テーブルの内容の説明図である。
【図15】 (a)〜(c)はさらに他例における正規化についての説明図である。
【図16】新たに設定した作業速度設定テーブルの内容の説明図である。
【図17】 (a)(b)は夫々別の例の説明図である。
【図18】 (a)〜(d)はさらに別の例における正規化についての説明図である。
【図19】 (a)〜(d)は同上の正規化についての説明図である。
【図20】新たに設定した作業速度設定テーブルの内容の説明図である。
【図21】 (a)〜(d)は他例における正規化についての説明図である。
【図22】 (a)〜(d)は同上の正規化についての説明図である。
【図23】新たに設定した作業速度設定テーブルの内容の説明図である。
【図24】表示手段の一例の正面図である。
【図25】表示手段の他例の正面図である。
【図26】別の処理の一例の説明図である。
【図27】他の実施の形態の一例の動作を示すフローチャートである。
【図28】同上の説明図である。
【図29】同上の他例の説明図である。
【図30】他の処理の一例の説明図である。
【符号の説明】
1 作業速度設定手段
2 作業速度設定変更手段
3 出力頻度カウント手段
4 モード切替手段

Claims (33)

  1. スイッチ操作量に応じて作業速度の変更を行う電動工具において、スイッチの操作量を読み取るスイッチ操作量読み取り手段と、スイッチの操作量に対応する作業速度を決定する作業速度設定手段と、操作されたスイッチ状態により設定された作業速度の出現頻度をカウントする出力頻度カウント手段と、前記作業速度設定手段による操作量−作業速度の対応を変更する設定変更手段とで構成され、設定変更手段は出力頻度カウント手段によりカウントされた作業速度の出現頻度に応じて上記対応を変更するものであることを特徴とする電動工具。
  2. 設定変更手段は、作業速度の出現頻度が多い速度に対応する操作ストローク幅を広くするものであることを特徴とする請求項1記載の電動工具。
  3. 出力頻度カウント手段は、タイマによる一定時間毎の作業速度サンプリングで出現頻度のカウントを行うものであることを特徴とする請求項1または2記載の電動工具。
  4. 設定変更手段は、作業速度設定手段の設定の変更を、直前の作業の作業速度の出現頻度に対してのみ行なうものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の電動工具。
  5. 出現頻度のカウントを行う学習モードと、学習モードで収集した出現頻度カウント値に応じて設定変更手段が変更した設定で作業速度設定手段を動作させる適応モードとを切り換えるモード切替手段を備え、設定変更手段は適応モード時に、作業速度設定手段の設定の変更を、学習モードで収集した2以上の予め設定された作業回数の作業速度の出現頻度の合計に基づいて行なうものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の電動工具。
  6. 設定変更手段は、作業速度設定手段の設定の変更を、2以上の予め設定された作業回数より少ない作業回数の作業速度の出現頻度の合計に対して行なう必要が生じた場合に、予め設定された作業回数相当に作業速度の出現頻度を換算し、該換算値に基づいて作業速度設定手段の設定の変更を行うものであることを特徴とする請求項5記載の電動工具。
  7. 設定変更手段は、作業速度設定手段の設定の変更を、直前の2以上の予め設定された作業回数の作業速度の出現頻度の移動平均に基づいて行なうものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の電動工具。
  8. 設定変更手段は、作業速度設定手段の設定の変更を、それ以前の全ての作業における作業速度の出現頻度の平均に基づいて行なうものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の電動工具。
  9. 出力頻度カウント手段は、所定の作業速度以上の速度をカウントしなかった作業の場合はその作業における出現頻度のカウント値をキャンセルするものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかの項に記載の電動工具。
  10. 出力頻度カウント手段は、所定の作業時聞以上カウントしなかった作業の場合はその作業における出現頻度の頻度カウント値をキャンセルするものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかの項に記載の電動工具。
  11. 出力頻度カウント手段は、動作できる最高速度の出現頻度をカウントしないものであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかの項に記載の電動工具。
  12. 設定変更手段は、出力頻度カウント手段によりカウントされた作業速度の出現頻度の内、最も多い出現頻度のみに基づいて作業速度設定手段の設定を変更するものであることを特徴とする請求項11記載の電動工具。
  13. 設定変更手段は、作業速度出現頻度としてカウントされた最も速い速度を操作量最大時の作業速度とするものであることを特徴とする請求項1〜12のいずれかの項に記載の電動工具。
  14. 設定変更手段は、作業速度の出現頻度にかかわらず、動作できる最高速度を操作量最大時の作業速度とするものであることを特徴とする請求項1〜12のいずれかの項に記載の電動工具。
  15. 作業速度設定手段の設定の内容を表示する表示手段を設けたことを特徴とする請求項1〜14のいずれかの項に記載の電動工具。
  16. 表示手段は、作業速度設定手段の操作量−作業速度の対応を曲線として表示するものであることを特徴とする請求項15記載の電動工具。
  17. 作業速度設定手段の概定速度領域で動作している場合に、それを表示する表示手段を設けたことを特徴とする請求項1〜12のいずれかの項に記載の電動工具。
  18. 出力頻度カウント手段は、スイッチの操作量の出現頻度のカウントで作業速度のカウントを行うものであることを特徴とする請求項1〜17のいずれかの項に記載の電動工具。
  19. 出力頻度カウント手段は、スイッチの操作量がゼロである時間が時間が所定の時間以内である場合は.スイッチの操作量がゼロである時の前後作業を一連の作業とみなして、出現頻度カウントを行うものであることを特徴とする請求項1〜18のいずれかの項に記載の電動工具。
  20. スイッチ操作量に応じて作業速度の変更を行う電動工具において、スイッチの操作量を読み取るスイッチ操作量読み取り手段と、スイッチの操作量に対応する作業速度を決定する作業速度設定手段と、作業における作業速度を時系列に記録する作業記憶手段と、作業記憶手段に作業速度の時系列変化を登録する登録モードと登録された作業内容を再生する再生モードとを切り換えるモード切替手段とを備え、作業速度設定手段は、登録モード時にその作業における作業速度を作業記憶手段に時系列に記憶させ、再生モード時にはスイッチの操作量変化に関係なく作業記憶手段に記憶させた内容を再生して作業速度を変化させるものであることを特徴とする電動工具。
  21. 作業記憶手段は複数種類の作業パターンを記憶する記憶エリアを備えており、作業速度設定手段は再生時に作業記憶手段に記憶させた複数種類の作業パターンから選択された作業パターンで作業速度を変化させるものであることを特徴とする請求項20記載の電動工具。
  22. 作業速度設定手段は、再生モードで作動中に操作スイッチがオフとされた時点で再生動作を停止するものであることを特徴とする請求項20または21記載の電動工具。
  23. 作業速度設定手段は、再生動作が完了した後も操作スイッチがオフされるまでは完了直前の動作を引き続き続行させるものであることを特徴とする請求項20〜22のいずれかの項に記載の電動工具。
  24. 作業速度設定手段は、所定の作業速度に達しない作業は作業記憶手段にその作業内容を登録しないものであることを特徴とする請求項20〜23のいずれかの項に記載の電動工具。
  25. 作業速度設定手段は、所定の作業時間に達しない作業は作業記憶手段にその作業内容を登録しないものであることを特徴とする請求項20〜23のいずれかの項に記載の電動工臭。
  26. 作業速度設定手段は、スイッチの操作量の変化を作業速度の変化として作業記憶手段に登録するものであることを特徴とする請求項20〜25のいずれかの項に記載の電動工具。
  27. スイッチ操作量がゼロの期間が所定の時間以内である場合、作業速度設定手段はスイッチ操作量がゼロの期間の前後の作業を一連の作業とみなして、作業記憶手段に登録するものであることを特徴とする請求項20〜26のいずれかの項に記載の電動工具。
  28. 作業速度を監視する作業速度監視手段を備えるとともに、作業速度設定手段は作業速度監視手段で観測される作業速度に基づいて作業速度をフィードバック制御するものであることを特徴とする請求項1〜27のいずれかの項に記載の電動工具。
  29. 作業速度監視手段は、モータ逆起電圧幅の変動を検出するものであることを特徴とする請求項28記載の電動工具。
  30. 不揮発性メモリで構成された設定値記憶部もしくは設定値記憶部に記憶された記憶内容のバッテリバックアップ手段を備えていることを特徴とする請求項1〜29のいずれかの項に記載の電動工具。
  31. 電池電源で動作するものであるとともに、設定変更手段は電池電圧に応じて作業速度の設定の変更補正を行うものであることを特徴とする請求項1〜30のいずれかの項に記載の電動工具。
  32. 設定変更手段は、逆回転作業時には作業速度の設定を初期値に戻すものであることを特徴とする請求項1〜31のいずれかの項に記載の電動工具。
  33. 所定の時間未作業の場合には消費電力を抑制するモードに自動的に移行し、スイッチ操作を認識して通常のモードに移行する電力消費抑制手段を備えていることを特徴とする請求項1〜32のいずれかの項に記載の電動工具。
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