JP4249999B2 - 翼付針用プロテクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、採血等の医療行為に使用される翼付針のプロテクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、中空針と、該中空針の尾端を保持する保持筒と、該保持筒と一体に形成された一対の翼と、保持筒の尾端に接続されたチューブとを備える翼付針が点滴等の医療行為に使用されている。医療行為者は両翼を合掌状態にして挟持し、中空針を患者の血管に穿入し、しかる後に両翼を拡げて粘着テープにより患者の皮膚に貼り付けて中空針を固定する。そして、チューブから中空針を介して患者への点滴等を行う。使用済みとなった翼付針は患者から取り外されて廃棄されるが、中空針がむき出しになっていると廃棄処理を行う者が中空針に刺されたり、触れたりして病原菌などに感染するおそれがある。
【0003】
このような針刺し事故や感染を回避するための翼付針用プロテクタとして以下のものが知られている。即ち、このプロテクタには、略筒状のプロテクタ本体の周壁を先端から軸線方向に沿って切り込んで、前記中空針より長く、かつ、前記両翼を合掌状態で押し込み自在なスリットを設けると共に、該プロテクタ本体の周壁を周方向に部分的に切り欠いて、前記両翼が開いた状態で嵌合自在な翼用溝を該スリットに連続して設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
かかる翼付針用プロテクタによれば、翼がスリットの先端から後方に徐々に摺動して挿入され、これに伴い中空針も徐々に後方に移動してプロテクタ本体内に収納される。しかしながら、翼が他の医療器具等に引っかかる等して翼に力が加わり、この力でスリットから中空針が突出し、また、両翼が翼用溝から浮き出して、針刺し事故や感染が起こるおそれが残る。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−319086号公報(第2−3頁、第2図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記背景を鑑みてなされたものであり、確実に針刺し事故や感染を回避することのできる翼付針用プロテクタを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、中空針と、該中空針の尾端を保持する保持筒と、該保持筒と一体に形成された可撓性の一対の翼と、保持筒の尾端に接続されたチューブとを備える翼付針を収納する翼付針用プロテクタであって、略筒状のプロテクタ本体の周壁を先端から軸線方向に沿って切り込んで、前記中空針より長く、かつ、前記両翼を合掌状態で押し込み自在なスリットを設けると共に、該プロテクタ本体の周壁を周方向に部分的に切り欠いて、前記両翼が開いた状態で嵌合自在な翼用溝を該スリットに連続して設けた翼付針用プロテクタを以下の如く改良している。
【0008】
即ち、本発明は、翼用溝の周方向の端縁をプロテクタ本体の先端に向かってスリットから離間する方向に傾斜する傾斜縁に形成すると共に、該スリットに対向するプロテクタ本体の周壁部分の先端にチューブ係止部を形成し、プロテクタ本体の尾端からプロテクタ本体のスリット側の外面に沿ってプロテクタ本体の先端側に折り返されたチューブをチューブ係止部に係止自在とすることを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、両翼を合掌状態に把持してスリットに差し入れ、両翼をスリットの後方に摺動させ、翼用溝で両翼の合掌状態を解除すると、両翼は翼用溝に嵌合する。チューブはプロテクタ本体の尾端を介して先端方向へ折り返され、スリット上に配置される。そして、チューブはチューブ係止部により係止される。
【0010】
これにより、プロテクタ本体内に収納された翼付針の尾端は、プロテクタ本体の尾端で折り返されたチューブにより、スリット側の周壁方向へ持ち上げられると共に、翼用溝の傾斜縁が翼を傾斜して配置するように案内する。従って、翼付針の先端は、スリットと対向する周壁方向に傾いて配置され、スリットから翼付針が突出することはない。また、チューブは、スリット上に配置されるため、スリットは、チューブにより閉塞される。これにより、確実にスリットからの翼付針の突出を防止することができる。
【0011】
また、プロテクタ本体の尾端部にスリットの延長線上に位置させて、チューブが係合するチューブ係合部を形成することが好ましい。これによれば、チューブがプロテクタ本体の尾端で周方向にずれないため、チューブをスリット上に安定して配置することができる。よって、チューブがスリット上から周方向にずれることによる、チューブによるスリットの閉塞が解除されることがなく、より確実にスリットからの翼付針の突出を防止することができる。
【0012】
さらに、翼用溝の尾端側の側縁に、スリットに向けて舌片状に張り出して、スリットから合掌状態で押し込まれる両翼間に差し込まれる突部を形成することが好ましい。これによれば、翼用溝からプロテクタの径方向外方に翼付針が飛び出ることが確実に防止される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1から図3を参照して説明する。図1は、本実施形態の翼付針用プロテクタ及び翼付針の斜視図、図2は、本実施形態の留置針を収納する状態を示す説明図、図3は、チューブをチューブ係止部に係止させた状態を示す説明的断面図である。
【0014】
図1に示すように翼付針1には、傾斜した刃面2を先端に有する略円筒状の中空針3と、該中空針3の尾端を保持する略円筒状の保持筒4と、該保持筒4の径方向に対称に一体に形成され軟性の樹脂からなる一対の翼5,5とが設けられている。翼付針1は保持筒4の尾端に接続するチューブ6を介して図示しない医療器具に接続されている。
【0015】
翼付針用プロテクタ7は、略円筒状の合成樹脂製のプロテクタ本体8を備えている。プロテクタ本体8には、周壁をその先端から軸線方向に沿って切り込んで一本のスリット9が設けられている。また、スリット9の後方には、該周壁を周方向に部分的に切り欠いて、スリット9に連続する翼用溝10が設けられている。翼用溝10の周方向の端縁10aは、プロテクタ本体8の先端に向かってスリット9から離間する方向に傾斜する傾斜縁に形成されている。スリット9の先端部には、先端に向かって拡幅する拡幅部9aが形成されている。また、スリット9は、両翼5,5を合掌させた際の厚さよりやや狭い幅に形成されている。
【0016】
プロテクタ本体8の先端は、スリット9に対向する周壁部がスリット9の先端の拡幅部9aより先方に突出するように、斜めにカットされている。そして、スリット9に対向する周壁部の先端部分に、チューブ係止部11を形成している。チューブ係止部11は、切欠部11aと、円状係止孔11bとからなる。切欠部11aは、プロテクタ本体8の先端から軸線方向にチューブ6の直径より狭い幅で切り欠いて形成する。また、円状係止孔11bは、切欠部11aの尾端に連続する、切欠部11aの幅より大きく、かつチューブ6の直径より若干小さい直径の孔からなる。
【0017】
翼用溝10の尾端側の側縁には、スリット9に向けて舌片状に突部12が張り出している。突部12の先端は先細に形成されている。また、図2に示すように、プロテクタ本体8の尾端部には、スリット9の延長線上に位置し、周方向にずれないようにチューブが係合するチューブ係合部13が形成されている。チューブ係合部13は、チューブ6の周面部を受け入れる溝状に形成されている。また、チューブ係合部13は、図3に示すように、プロテクタ本体8の尾端に向かって次第に溝が深くなるよう形成されている。
【0018】
前記構成の翼付針1によれば、図示しないが、両翼5,5は合掌状態で把持され、中空針3は刃面2を上に向けて患者の血管に穿入される。そして、両翼5,5は拡げられて粘着テープにより患者の皮膚に張り付けられ、翼付針1が固定される。しかる後、中空針3及びチューブ6を介して図示しない医療器具により採血等の医療行為が行われる。
【0019】
医療行為後の翼付針1は患者から取り外されて廃棄されるが、廃棄に先立って翼付用プロテクタ7に収納される。これについて図2、図3を用いて説明する。
【0020】
まず、図2に示すように、両翼5,5を合掌状態に把持してスリット9に差し入れる。これにより、スリット9は両翼5,5の厚さに応じて開く。スリット9の先端部には、拡幅部9aが設けられているので、合掌状態の両翼5,5を滑らかにスリット9に差し入れることができる。両翼5,5をスリット9の後方に摺動させると、翼用溝10に差し掛かった位置で、両翼5,5の間に突部12の先端が差し込まれ、両翼5,5が強制的に拡げられる。そして、両翼5,5をさらに後方へ摺動させることにより、両翼5,5は翼用溝10と嵌合する。チューブ6は、図3に示すように、チューブ係合部13を介してプロテクタ本体8の先端方向に折り返され、スリット9上に配置される。そして、拡幅部9aを通過しチューブ係止部11で係止される。
【0021】
本実施形態の翼付針用プロテクタ7によれば、プロテクタ本体8内に収納された翼付針1の尾端は、プロテクタ本体8の尾端で折り返されたチューブ6により、スリット9側の周壁方向へ持ち上げられると共に、翼用溝10の傾斜している端縁10aが翼5,5を傾斜して配置するように案内する。従って、翼付針1の先端は、スリット9と対向する周壁方向に傾いて配置され、スリット9から翼付針1が突出することはない。また、チューブ6は、スリット9上に配置されるため、スリット9は、チューブ6により閉塞される。これにより、確実にスリット9からの翼付針1の突出を防止することができる。
【0022】
また、チューブ係合部13によりチューブ6がプロテクタ本体8の尾端で周方向にずれないため、チューブ6をスリット9上に安定して配置することができる。これにより、チューブ6がスリット9上から周方向にずれて、チューブ6によるスリット9の閉塞が解除されることがなく、より確実にスリット9からの翼付針1の突出を防止することができる。また、チューブ係合部13の溝の深さの分だけ、チューブ6がプロテクタ本体8内でより一層傾斜する。よってこれに伴い翼付針用プロテクタ7内に収納された翼付針1をより一層傾斜させることができる。
【0023】
さらに、本翼付用プロテクタ7によれば、突部12により、一旦収納された翼付針1が翼用溝10から径方向外方に飛び出ることを防止する。また、翼付針1がスリット9と対向する周壁方向に傾いて収納されるため、スリット9を幅広に形成することができる。これにより、合掌させた両翼5,5をスリット9に挿入する操作が容易となる。また、プロテクタ本体8の材質も撓み難いものを選択自在となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の翼付針用プロテクタ及び翼付針の斜視図。
【図2】留置針を収納する状態を示す説明図。
【図3】チューブをチューブ係止部に係止させた状態を示す説明的断面図。
【符号の説明】
1…翼付針、 2…刃面、 3…中空針、 4…保持筒、 5…翼、 6…チューブ、 7…翼付針用プロテクタ、 8…プロテクタ本体、 9…スリット、 10…翼用溝、 11…チューブ係止部、 12…突部、 13…チューブ係合部。
Claims (3)
- 中空針と、該中空針の尾端を保持する保持筒と、該保持筒と一体に形成された可撓性の一対の翼と、保持筒の尾端に接続されたチューブとを備える翼付針を収納する翼付針用プロテクタであって、略筒状のプロテクタ本体の周壁を先端から軸線方向に沿って切り込んで、前記中空針より長く、かつ、前記両翼を合掌状態で押し込み自在なスリットを設けると共に、該プロテクタ本体の周壁を周方向に部分的に切り欠いて、前記両翼が開いた状態で嵌合自在な翼用溝を該スリットに連続して設けた翼付針用プロテクタにおいて、
翼用溝の周方向の端縁をプロテクタ本体の先端に向かってスリットから離間する方向に傾斜する傾斜縁に形成すると共に、該スリットに対向するプロテクタ本体の周壁部分の先端にチューブ係止部を形成し、プロテクタ本体の尾端からプロテクタ本体のスリット側の外面に沿ってプロテクタ本体の先端側に折り返されたチューブをチューブ係止部に係止自在とすることを特徴とする翼付針用プロテクタ。 - プロテクタ本体の尾端部にスリットの延長線上に位置させて、チューブが係合するチューブ係合部を形成することを特徴とする請求項1記載の翼付針用プロテクタ。
- 翼用溝の尾端側の側縁に、スリットに向けて舌片状に張り出して、スリットから合掌状態で押し込まれる両翼間に差し込まれる突部を形成することを特徴とする請求項1又は2記載の翼付針用プロテクタ。
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