JP4249830B2 - 焼結用治具およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、1,500℃以上の不活性雰囲気または高真空下での酸化物等のセラミックス成形体の焼結時に使用する敷板(セッター)等の焼結用治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、希土類磁石やMIM(Metal Injection Molding) によるチタン合金成形体等に代表されるように、活性金属成形体を焼結する用途が増加している。その焼結時に成形体を入れる容器として、敷板(セッター)やさやといった焼結用治具を使用するが、これらの焼結用治具の材料としては、一般に、モリブデン、ステンレス等の高融点金属製のものが使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら金属製の焼結用治具は、焼結時に活性金属成形体と反応して焼き付いたり、熱で変形したり、度重なる熱履歴によって焼結用治具の結晶粒子が成長して脆弱化するという難点があり、脆弱化した焼結用治具が破損して、製品を破損したり汚染するという問題がある。
【0004】
また、不活性雰囲気または高真空で酸化物等のセラミックス成形体の焼結時にも、成形体を入れる容器として、敷板(セッター)やさやといった焼結用治具を使用するが、これらの焼結用治具の材質としては、前述の高融点金属では酸化物セラミックス成形体と反応するので、ジルコニア(ZrO2 )、安定化ジルコニア、部分安定化ジルコニア、アルミナ(Al2 O3 )、窒化珪素、サイアロン、ムライト(Al2 O3 ・SiO2 )等の焼結体が使用されている。しかし、1,500℃以上の高温で焼結する場合には、セラミックス成形体と反応するため使用できない。
【0005】
従来、反応性の低い材料として、酸化イットリウム等の希土類酸化物が知られており、この反応性が低いことを利用して、酸化イットリウム等の希土類酸化物の焼結体を活性金属の溶解ルツボとして使用することが検討されてきたが、強度が弱く、かつ、耐熱衝撃性が悪いため、実際に実用化された例はない。
【0006】
そこで、本発明は、焼結用治具焼結体の組織と表面性状を制御して、強度・耐熱衝撃性を改良し、1,500℃以上の不活性雰囲気または高真空の酸化物等のセラミックス成形体の焼結時に使用できる焼結用治具を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の焼結用治具は、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうち少なくとも1種類からなる希土類酸化物焼結体からなり、その表面粗さ(Ra)を50μm以下、気孔率が5%以上20%以下、結晶粒径を30μm以下であることを特徴とする。前記希土類酸化物がEr 2 O 3 であることが好ましい。
また、焼結用治具の製造方法は、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうち少なくとも1種類からなる希土類酸化物粉末を熱(高温)処理して結晶粒子を成長させ、粉砕して焼結することを特徴とする表面粗さ(Ra)が50μm以下、気孔率が5%以上20%以下、結晶粒径が30μm以下で、1500℃以上の不活性雰囲気または高真空下でのセラミック成形体の焼結に用いる焼結用治具の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
焼結用治具は、通常、重ねて多段で使用するので、機械的強度が高くなくてならない。機械的強度を高くするには、焼結体の組織において、結晶粒子が小さい方がよく、また気孔率が低い方がよい。また、焼結用治具では、急昇温、急冷却に耐えるものが望ましく、そのためには、耐熱衝撃性が高い必要がある。耐熱衝撃性を高くするには、結晶粒子が小さい方がよく、また、気孔率が高い方がよい。
【0009】
以上のことから、機械的強度・耐熱衝撃性をともに高くするためには、結晶粒子が小さい方がよく、具体的には、結晶粒径が30μm以下であることが必要である。
そこで、結晶粒子を小さくする方法としては、一般には粒子成長を阻害する物質を添加して焼結する方法があるが、焼結用治具の場合、添加物質が製品に混入する可能性があるため、添加物質を使用することは好ましくない。
添加物質を使用しなくても、原料となる希土類酸化物原料粉末を高温処理して結晶粒子を成長させた後、再度、粉砕し、焼結することにより、焼結時の結晶粒子の成長を抑えることができる。当初、焼結時の結晶粒子が小さければ、その後焼結治具として使用している間の結晶粒子の成長もそれだけ緩慢となる。
【0010】
また、機械的強度・耐熱衝撃性をともに高くするためには、気孔率は両者に対して逆に作用するので最適化する必要がある。具体的には、気孔率は20%以下が必要であるが、好ましくは、5%以上20%以下とする。
気孔率がこの範囲であれば、連続的な空孔が存在し、機械的強度・耐熱衝撃性ともに高くなる。
成形体が焼結時に収縮するため、成形体と焼結用治具との間で微少な滑りが起こり、この表面粗さ(Ra)が適度に粗いことが、すべり易くするために必要である。表面にある程度凹凸がある方が滑りやすいので、表面粗さ(Ra)を50μm以下とする。好ましくは5〜25μmが適当な凹凸である。
【0011】
以下、本発明を実施例と比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0015】
(実施例1)
5モル/リットルの塩化エルビウム溶液1リットルに、0.5モル/リットルの蓚酸溶液1.8リットルを室温で混合し、30分熟成させた。遠心分離器で濾別して得たエルビウムシュウ酸塩を純水2リットルで洗浄し、30分水切りした後、このエルビウムシュウ酸塩を石英皿に充填し、大気中で1,200℃、2時間焼成し、酸化エルビウムを得た。上記酸化エルビウムの粒度分布をレーザ回折法(Leeds & Northrup社製FRA)で測定したところ、平均粒径D50が4.0μmであった。これをジェットミルで粉砕して、平均粒径D50が1.2μm以下にした。
【0016】
粉砕した酸化エルビウム100gに対して、水35g、ポリビニルアルコール(信越化学工業社製、製品番号C−10)0.3gの比率で配合したスラリーを、ジルコニアボールミルで6時間混合し、真空中で5分間脱泡した後、型に流し込み十分に乾燥させた後に、取り出して得た成形体を、大気中において1,750℃で4時間焼結した。その後、焼結成形体を、所定形状および所定表面粗さに加工してセッターとし、その表面粗さを25μmに仕上げた。仕上げたセッターの密度は4.7g/cm3 であり、気孔率は6.2%であった。また、走査型電子顕微鏡にて、結晶粒子の粒径を測定したところ、約8μmであった。
【0017】
上記セッターを、30φ×5t(mm)のTi−6Al−4V成形体のセッターとして使用し、試験した。
焼結条件としては、N2 ガス雰囲気で室温から1,300℃まで1時間で昇温し、1,300℃で4時間保持した後、1,300℃から室温まで約1時間で冷却した。この試験を10回繰り返したが、セッターと成形体との反応はなく、熱衝撃に起因する割れも見られなかった。
【0018】
(比較例1)
純度99.9%以上の市販アルミナ板を、実施例1と同じ条件で、30φ×5t(mm)のイットリウム・鉄・ガーネット(YIG)成形体の敷板として試験した。
焼結条件としては、実施例1と同じ条件で1.3×103 Pa以下で室温から1,750℃まで5時間で昇温し、1,750℃で6時間保持した後、1,750℃から室温まで約4時間で冷却した。
セッターと成形体とが反応し、セッターと成形体は焼きついた。また、熱衝撃により、アルミナ板に割れも生じていた。
【0019】
(比較例2)
市販のモリブデン板を、実施例2と同じ条件で、30φ×5t(mm)のTi−6Al−4V成形体の敷板として試験した。
焼結条件としては、N2 ガス雰囲気で室温から1,300℃まで1時間で昇温し、1,300℃で4時間保持した後、1,300℃から室温まで約1時間で冷却した。この試験を10回繰り返したところ、モリブデン板の粒界粒子が成長し脆弱化し、慎重な取扱いが必要であった。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、焼結体の組織を制御することにより、強度・耐熱衝撃性が改善でき、1,500℃以上の不活性雰囲気、また、高真空下で酸化物等のセラミックス成形体の焼結時に好適な敷板(セッター)ないしさや等の焼結用治具が得られる。
Claims (3)
- Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうち少なくとも1種類からなる希土類酸化物焼結体からなり、その表面粗さ(Ra)が50μm以下、気孔率が5%以上20%以下、結晶粒径が30μm以下であることを特徴とする1500℃以上の不活性雰囲気または高真空下でのセラミック成形体の焼結に用いる焼結用治具。
- 前記希土類酸化物がEr 2 O 3 である請求項1に記載のセラミック成形体の焼結に用いる焼結用治具。
- Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうち少なくとも1種類からなる希土類酸化物粉末を熱処理して結晶粒子を成長させ、粉砕して焼結することを特徴とする表面粗さ(Ra)が50μm以下、気孔率が5%以上20%以下、結晶粒径が30μm以下で、1500℃以上の不活性雰囲気または高真空下でのセラミック成形体の焼結に用いる焼結用治具の製造方法。
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