JP4249283B2 - 粉末状黄色着色剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬品や食品等の分野に好適に使用される酪酸リボフラビンを含む粉末状黄色着色剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品や医薬品の分野で使用される黄色系着色剤としては、タール系色素である食用黄色4号、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用5号、食用黄色5号アルミニウムレーキ(第6版食品添加物)、ビタミンB2 であるリボフラビン(特公昭46−26989号、特公昭61−3224号公報)及び酪酸リボフラビン(日本薬局方:第13改正、局方外成分規格1986年版、食品添加物公定書:第五版)等が代表的である。
【0003】
これらの中で、酪酸リボフラビンは、天然色素で安全性が高い上に褪色しにくく、食品や医薬品の着色を兼ねてビタミンB2 付与を行えるという利点があるが、元々橙色の粉末であり、被着色物の色合いも橙色からやや暗い黄橙色になることから、例えば着色対象がビタミンC主薬製剤等の一般的にレモン色を想起させるようなものである場合、商品イメージを損なうという難点があった。
【0004】
しかるに、近年において、一般的な橙色の酪酸リボフラビンをメタノール又はメタノール/水混液に溶解して再結晶させることによって結晶形が変化(報告者はC型と名付けている)し、得られる酪酸リボフラビンがレモン系の鮮黄色を呈することが報告(蛯谷,薬学雑誌108(1):39−43,1988)されている。そして、この鮮黄色の酪酸リボフラビンによって薬剤成分を含む被着色物を着色することが提案されている(特許第2574176号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記提案における着色手段は、前記報告におけるメタノールをエタノールに代えて溶解させた酪酸リボフラビンを水で再結晶させて懸濁液を調製し、この懸濁液を被着色物に添加もしくはスプレーするか、該懸濁液を真空乾燥して得られる酪酸リボフラビン粉末を被着色物と混合したり造粒用の結合液に添加するものである。しかしながら、前者の懸濁液を使用する場合、被着色物に含まれる薬剤成分や他の配合成分の種類によっては、水やアルコールによる化学変化、物理変化、溶出等を生じて変質する懸念があった。また後者の粉末とする場合は、酪酸リボフラビンの溶解と再結晶に加えて真空乾燥を行うため、製造工程が煩雑となって多大な労力及び時間を要する上に設備費が嵩み、もって製造コストが非常に高く付くという難点があった。
【0006】
本発明は、上述の状況に鑑み、酪酸リボフラビンを含む粉末状着色剤として、被着色物を鮮明なレモン系の黄色に着色でき、しかも被着色物が水やアルコールに対して不安定な成分を含む場合でも支障なく使用可能であり、且つ極めて容易に安価に製造できるものを究明し、この黄色着色剤を用いて商品価値の高い固体着色物及び医薬品を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために綿密な実験研究を重ねた結果、特定の糖類粉末と通常の橙色の酪酸リボフラビン粉末とを単に粉末形態で混合した際に、酪酸リボフラビンの色調が橙色からレモン系の明るい鮮黄色へ変化し、この色調がほぼ恒久的に維持されることを発見した。そして、この黄色化した酪酸リボフラビン粉末と前記の糖類粉末とを含む粉末混合物を着色剤として用いたところ、被着色物がレモン系の明るい鮮黄色に着色され、この着色状態が安定に保たれて褪色等の問題を生じにくいことを見出し、この発明をなすに至った。
【0008】
すなわち、請求項1の発明に係る粉末状黄色着色剤は、単糖類、二糖類、多糖類、糖アルコール及びこれらの誘導体より選ばれる少なくとも一種の糖類粉末と、この糖類粉末に対する粉末形態での混合によって黄色化した酪酸リボフラビン粉末とを含有してなるものとしている。
【0009】
また、請求項2の発明は上記請求項1の粉末状黄色着色剤における酪酸リボフラビン粉末の含有量が糖類粉末との合量中における0.1〜50重量%を占める範囲にある構成、請求項3の発明は請求項1又は2の粉末状黄色着色剤における糖類粉末が、乳糖、白糖、精製白糖、デンプン、カルメロースカルシウム、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトール、ソルビトールより選ばれる少なくとも一種の粉末である構成、をそれぞれ採用している。
【0010】
更に、上記請求項1〜3のいずれかの粉末状黄色着色剤において、請求項4の発明は、CIELAB表色系における色度座標のL* 値が80〜95、a* 値が0〜+10、b* 値が+40〜+65の各範囲にある色調を有する構成としている。同じく請求項5の発明は、上記色度座標のL* 値が85〜92、a* 値が+3〜+8、b* 値が+45〜+62の各範囲にある色調を有する構成としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の粉末状黄色着色剤は、特定の糖類粉末との混合によって黄色化した酪酸リボフラビン粉末を含有するものであり、この酪酸リボフラビンが色素成分となってレモン系の明るい鮮黄色を呈する。しかして、この色調は、元の酪酸リボフラビンの橙色が糖類粉末の白色によって薄まった色とは明確に異なり、酪酸リボフラビン自体の構造変化に基づくものと考えられる。従って、この酪酸リボフラビンの橙色から鮮黄色への変化は、糖類成分と酪酸リボフラビンとの間で固相状態における相互作用つまり固相反応を生じることによると想定される。
【0015】
この固相反応による酪酸リボフラビンの黄色化は、既述した従来における橙色の酪酸リボフラビンをアルコール又はアルコール/水混液に溶解して再結晶させることによる黄色化とは全く相違している。このため、本発明の粉末状黄色着色剤に含まれる酪酸リボフラビンの分子状態ないし結晶形は、元の橙色の酪酸リボフラビンとは異なるものと推測される。
【0016】
しかして、本発明の粉末状黄色着色剤は、性状的に非常に安定しており、上記の固相反応にて表出した鮮黄色が恒久的に維持され、元の橙色に戻ったり褪色したりすることはないから、着色剤として充分な特性を具備している。従って、この粉末状黄色着色剤によれば、被着色物をレモン系の明るい鮮黄色に着色でき、この着色の色合いが安定に保持されることになる。また、この黄色着色剤は粉末状であるため、被着色物が水やアルコール等に対して不安定な成分を含むものであっても、単に添加ないし混合するだけで支障なく鮮やかな黄色に着色できるという利点がある。
【0017】
また、この粉末状黄色着色剤の製造においては、糖類粉末と通常の橙色の酪酸リボフラビン粉末とを単に混合するだけでよく、既述した従来における黄色の酪酸リボフラビンを得る方法のようにアルコール又はアルコール/水混液に溶解して再結晶を行うといった湿式処理工程を一切必要とせず、また従来のような粉末を得るための懸濁液の真空乾燥も不要であるから、操作的に極めて簡便であると共に、設備的にも必要となるのは混合機程度であるから、従来における黄色の酪酸リボフラビンに比較して製造コストを格段に低減できる。
【0018】
本発明の粉末状黄色着色剤における原料成分として使用する橙色の酪酸リボフラビンは、リボフラビン酪酸エステルやビタミンB2 酪酸エステルとも称されるリボフラビンテトラブチレートであり、天然色素として日本薬局方(第13改正)に収載されているものである。しかして、本発明の粉末状黄色着色剤は、この酪酸リボフラビンが既述のように糖類粉末との粉末形態での混合により黄色に変化した粉末として含まれる。
【0019】
上記の糖類粉末は、単糖類、二糖類、多糖類、糖アルコール及びこれらの誘導体より選ばれる少なくとも一種の粉末である。そして、単糖類としてはグルコース等が、二糖類としては乳糖、白糖、精製白糖等が、同じく多糖類としてはデンプン、カルメロースカルシウム、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が、同じく糖アルコールとしてはマンニトール、ソルビトール等が、それぞれ挙げられるが、これらの中でも二糖類、多糖類、糖アルコールに属するものが特に酪酸リボフラビンをより鮮やかなレモン系の黄色に転化し得るものとして推奨される。
【0020】
粉末状黄色着色剤中における糖類粉末と酪酸リボフラビン粉末の比率は、酪酸リボフラビン粉末の含有量が糖類粉末との合量中における0.1〜50重量%を占める範囲とするのがよい。この酪酸リボフラビン粉末の比率が0.1重量%未満では、着色剤の色が薄くなって充分な着色力を発揮できない。また逆に上記比率が50重量%を超えると、酪酸リボフラビンの黄色化が不完全になり、色調が所期するレモン系の明るい鮮黄色から外れて橙色を帯びることになる。
【0021】
なお、粉末状黄色着色剤中には、上記の糖類粉末と黄色化した酪酸リボフラビンと共に、必要に応じて崩壊剤、滑沢剤、香料、甘味剤などの適当な添加剤を配合可能である。
【0022】
この粉末状黄色着色剤の色調の目安としては、CIELAB表色系における色度座標のL* 値が80〜95、a* 値が0〜+10、b* 値が+40〜+65の各範囲にある黄色、より好適にはL* 値が85〜92、a* 値が+3〜+8、b* 値が+45〜+62の各範囲にある黄色に設定するのがよい。なお、L* は明度方向、a* は赤−緑方向(赤が+、緑が−)、b* は黄−青方向(黄が+、青が−)の座標をそれぞれ表しており、a* とb* の値によって色相と彩度が表現される。しかして、このような色調の設定は、前記の糖類粉末と酪酸リボフラビン粉末との含有比率、ならびに他の添加剤の配合比率を適当に選択することによって容易に行える。
【0023】
上記の粉末状黄色着色剤の着色対象となる被着色物としては、特に制約はないが、例えば医薬品や食品等の分野における粉末状、顆粒状、粒状、錠剤形等の種々の形態の原料や中間製品が推奨され、これらの中でも固形製剤を製造する際の原料となる薬剤成分を含む材料が特に好適なものとして挙げられる。しかして、この着色剤に含有される糖類粉末は、医薬品の賦形剤、崩壊剤、結合剤等として汎用される成分でもあるため、薬剤成分を含む被着色物を着色対象とした場合、酪酸リボフラビンを黄色化させる作用と前記の賦形剤、崩壊剤、結合剤等としての作用とを併せて発揮させることができる。
【0024】
このような被着色物の薬剤成分としては、例えばアスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、ビタミンD、ビタミンE、硝酸チアミン、塩酸チアミン、塩酸フルスルチアミン、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、ビオチン、L−システイン、シアノコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、γ−オリザノール、リン酸水素カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、ビサコジル、カフェイン、塩酸フェニルプロパノールアミン、塩化リゾチーム、マレイン酸クロルフェニラミン等が挙げられる。また、薬剤成分を含む被着色物における他の含有成分としては、例えば滑沢剤等として用いられるステアリン酸マグネシウム、タルク、軟質無水ケイ酸等が挙げられる。
【0025】
本発明の粉末状黄色着色剤にて被着色物の着色を行うには、例えば被着色物が粉末状ないし顆粒状又は粒状である場合は、これらの被着色物に対して当該着色剤を添加混合すればよい。従って、特に水やアルコールなどに対して不安定な成分を含む被着色物を対象とした場合でも、その変質を生じることなく着色可能である。しかして、これらの着色過程で同時に造粒を行って着色造粒物を製造することもできる。
【0026】
かくして着色された粉末状ないし顆粒状又は粒状の固体着色物は、適宜整粒して種々の粒度の粒状着色製品とできると共に、これらを直接に打錠もしくは他の薬剤等の成分と混合した上で打錠することによってレモン系の明るく鮮やかな黄色に着色された錠剤形製品としたり、適当な成形機によって所要形状の成形品とすることができる。なお、これら打錠や成形に際しては、必要に応じて原料の固体着色物に崩壊剤、滑沢剤、香料、甘味剤などの適当な添加剤を配合することが可能である。
【0027】
粉末状黄色着色剤の使用量は、黄色化した酪酸リボフラビンの含有比率によって変化する着色剤自体の着色力、目的とする着色濃度、着色方法、被着色物の形態や性状等に応じて適宜最適量を決定すれば良い。
【0028】
上記の着色によって得られた固体着色物は、色むらのない明るいレモン系の鮮やかな黄色に着色されており、その色調が長期にわたって安定的に維持されるものであり、そのまま散剤、顆粒剤、錠剤の如き医薬品や食品として用いることができる。しかして、この固体着色物は、口に含んだ際に苦みは感じられず、口中での着色現象も認められない。また本発明の粉末状黄色着色剤は、含有される酪酸リボフラビンがビタミンB2 成分であるから、被着色物が医薬品や食品となるものでは着色と同時にビタミンB2 の付与を行えることになり、特にビタミン主薬製剤である場合は主薬成分として機能する。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、実施例にて原料として使用した橙色の酪酸リボフラビンは、医薬品成分として日本薬局方(第13改正)に収載されている橙色のリボフラビンテトラブチレートである。
【0030】
実施例1
橙色の酪酸リボフラビン粉末と後記表1記載の糖類粉末とを同表記載の種々の配合比率に設定したものを、各々めのう乳鉢を用い、混合粉末の色調が略一定になるまで継続して混合することにより、粉末混合物を調製した。また、比較のために、糖類粉末に代えて、酪酸リボフラビンのスペクトルに有意な影響を与えない硫酸ナトリウム粉末を用い、同様に混合して粉末混合物を調製した。得られた各粉末混合物の色調を表1に示す。なお、これら粉末混合物をガラス容器に収容し、温度25℃,湿度50%の室内で6カ月間保存したが、色調の変化は認められなかった。
【0031】
表1中の糖類の略号は、CM…カルメロースカルシウム、Cel…結晶セルロース、HPC…ヒドロキシプロピルセルロース、HPM…ヒドロキシプロピルメチルセルロース、である。また、原料である橙色の酪酸リボフラビンをRTBとした。なお、表中のRTB配合比率(%)は、酪酸リボフラビン粉末と糖類粉末の合量中における酪酸リボフラビン粉末の割合(重量%)にて表した。また、色調の表現における「微黄」は黄味を帯びた白色、同「微橙」は橙味を帯びた白色、をそれぞれ意味する。
【0032】
【表1】
Figure 0004249283
【0033】
表1から明らかなように、橙色の酪酸リボフラビンと糖類とを粉末形態で単に混合することにより、混合粉末の色調が酪酸リボフラビンの元の橙色から黄色へと変化し、粉末状黄色着色剤が得られる。しかるに、糖類粉末に代えて硫酸ナトリウム粉末を混合したものでは、色の濃淡はあっても色調は橙色のままで変化していない。この結果は、橙色の酪酸リボフラビン粉末と糖類粉末とを混合した場合に、両者間で固相反応を生じて酪酸リボフラビンの分子状態ないし結晶形が変化し、この変化に起因して色調が変わることを表している。なお、表1より、好ましい黄色を呈する粉末状着色剤とするためには、酪酸リボフラビン粉末の配合比率を糖類粉末との合量中の0.1〜50重量%を占める範囲に設定すべきであり、また糖類の中でも二糖類、多糖類、糖アルコールを用いた場合に特に鮮やかな黄色となることが判る。
【0034】
次に、上記実施例1において酪酸リボフラビン粉末の配合量を糖類粉末との合量中の3重量%を占める割合とした各粉末混合物と、糖類粉末に代えて硫酸ナトリウム粉末を用いた粉末混合物と、原料である橙色の酪酸リボフラビンの単独粉末のそれぞれの色調について、島津分光光度計UV−2500PCを用い、CIELAB表色系における色度座標のL* 、a* 、b* の各パラメータ値を測定すると共に、前記の硫酸ナトリウム粉末を用いた粉末混合物を対照(基準の原点)としてL* * * 座標点の原点からの直線距離(色差)をΔE *abとして算出した結果を表2に示す。なお、a* ,b* 座標値の+,−の符号については、後記の表3を含め、+符号は省略し、−符号のみを記すものとする。ΔE *abの計算式は、ΔE *ab=〔(ΔL* )2+(Δa* )2+(Δb* )21/2 である。
【0035】
【表2】
Figure 0004249283
【0036】
表2の結果から、本発明の粉末状黄色着色剤に相当する粉末混合物の色調は、橙色の酪酸リボフラビン単独粉末に比較して各座標のパラメータ値、とりわけa* の値に大きな差があり、ΔE *abも非常に大きいことから、元の酪酸リボフラビンとは全く異なると共に、元の酪酸リボフラビンの橙色に白色が付加した色でもなく、またL* の値が高いために明るい色であることが判る。なお、ΔE *abは、色差を表し、一般な基準では3.0〜6.0の範囲で『著しく異なる』、6.0〜12、0の範囲で『きわめて著しく異なる』、12.0以上で『別の色系統になる』と評価される。従って、本発明の粉末状黄色着色剤は、元の酪酸リボフラビンの橙色が糖類粉末の白色によって薄まった結果として表れる色調を有するものではなく、前記固相反応によって酪酸リボフラビン自体の色が変化して異なる色系統になったものであることが明らかである。
【0037】
実施例2
橙色の酪酸リボフラビン粉末3重量部と後記表3記載の糖類粉末97重量部とを長筒状のポリエチレン袋に投入し、この袋を激しく震盪させて両粉末を均一に混合し、粉末状着色剤を調製した。また糖類粉末に代えて同量の硫酸ナトリウム粉末を使用したものを上記同様に混合して粉末状着色剤を調製した。次いで、これらの粉末状着色剤の各90重量部と、アスコルビン酸−アスコルビン酸ナトリウムの等重量の混合粉末910重量部とをバーチカルグラニュレーター(パウレック社製)を用いて均一に混合し、粉末状の固体着色物を得た。これら固体着色物の色調について、前記同様にCIELAB表色系における色度座標のL* 、a* 、b* の各パラメータ値と、前記の硫酸ナトリウム粉末を用いた粉末状着色剤にて着色した固体着色物を対照とする色差ΔE *abを測定した。その結果を目視による固体着色物の色調と共に表3に示す。
【0038】
【表3】
Figure 0004249283
【0039】
表3の結果から、本発明の粉末状着色剤によって着色された固体着色物は、橙色の酪酸リボフラビン粉末とこれに対して不活性な硫酸ナトリウム粉末の混合物からなる粉末状着色剤によって着色された固体着色物に比較して、色調的に大きく異なった好ましい黄色に着色されていることが判る。また、特に糖類粉末として二糖類、多糖類、糖アルコールを用いた粉末状着色剤によれば、単糖類を用いた粉末状着色剤による場合よりも鮮やかな黄色に着色できることが判る。
【0040】
実施例3
実施例2と同様にして乳糖粉末を含む粉末状着色剤A1と硫酸ナトリウム粉末を含む粉末状着色剤A2とを調製する一方、アスコルビン酸及びアスコルビン酸ナトリウムを各々造粒してアスコルビン酸顆粒及びアスコルビン酸ナトリウム顆粒を得た。そして、粉末状着色剤A1,A2の各々90重量部と、アスコルビン酸顆粒−アスコルビン酸ナトリウム顆粒の等重量の混合物910重量部とを、バーチカルグラニュレーター(前出)を用いて均一に混合し、着色顆粒B1,B2を製造した。これらの色調は、粉末状着色剤A1を混合した着色顆粒B1では全体が均一なレモン系の鮮黄色であったのに対し、粉末状着色剤A2を混合した着色顆粒B2では橙黄色で色むらがあった。
【0041】
実施例4
実施例3にて得られた着色顆粒B1,B2の各々全量に、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム7.5重量部と崩壊剤としてクロスポピドン10重量部を添加混合し、打錠機(菊水製作所社製LIBRA 45)を用いて打錠を行い、着色錠剤C1,C2を製造した。これらの色調は、着色顆粒B1を原料とした着色錠剤C1では全体が均一なレモン系の鮮黄色であったのに対し、着色顆粒B2を原料とした着色錠剤C2では橙黄色で色むらがあった。
【0042】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、酪酸リボフラビンを含む粉末状黄色着色剤として、被着色物を鮮明なレモン系の黄色に着色でき、しかも被着色物が水やアルコールに対して不安定な成分を含む場合でも支障なく使用可能であり、且つ極めて容易に安価に製造できるものが提供される。
【0043】
請求項2及び請求項3の発明によれば、上記の粉末状黄色着色剤として、被着色物をより確実に鮮明なレモン系の黄色に着色できるものが提供される。
【0044】
請求項4の発明によれば、上記の粉末状黄色着色剤として、被着色物をより明るく鮮明なレモン系の黄色に着色できるものが提供される。
【0045】
請求項5の発明によれば、上記の粉末状黄色着色剤として、被着色物をより明るく且つより鮮明なレモン系の黄色に着色できるものが提供される。

Claims (5)

  1. 単糖類、二糖類、多糖類、糖アルコール及びこれらの誘導体より選ばれる少なくとも一種の糖類粉末と、この糖類粉末に対する粉末形態での混合によって黄色化した酪酸リボフラビン粉末とを含有してなる粉末状黄色着色剤。
  2. 酪酸リボフラビン粉末の含有量が糖類粉末との合量中における0.1〜50重量%を占める範囲にある請求項1記載の粉末状黄色着色剤。
  3. 糖類粉末が、乳糖、白糖、精製白糖、デンプン、カルメロースカルシウム、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトール、ソルビトールより選ばれる少なくとも一種の粉末である請求項1又は2に記載の粉末状黄色着色剤。
  4. CIELAB表色系における色度座標のL* 値が80〜95、a* 値が0〜+10、b* 値が+40〜+65の各範囲にある色調を有する請求項1〜3のいずれかに記載の粉末状黄色着色剤。
  5. CIELAB表色系における色度座標のL* 値が85〜92、a* 値が+3〜+8、b* 値が+45〜+62の各範囲にある色調を有する請求項1〜3のいずれかに記載の粉末状黄色着色剤。
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