JP4248229B2 - 2点間寸法調整装置、自律制御端度器、自律長さ維持構造体、および、それらの絶対値再現方法 - Google Patents
2点間寸法調整装置、自律制御端度器、自律長さ維持構造体、および、それらの絶対値再現方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光を用いて対向する反射面間の寸法を測定して反射面間の寸法を所定の寸法に可変制御する2点間寸法調整装置、自律制御端度器、自律長さ維持構造体、および、それらの絶対値再現方法である。
【0002】
【背景技術】
両端面間の寸法を基準とし、実用的な高精度の機械的寸法を実現する端度器としてのゲージブロックや基準器などが知られている。
【0003】
従来のゲージブロックでは、例えば、温度依存性が大きく熱膨張により寸法が変化するため、高精度の測定を行う場合には、温度をきわめて高い精度で制御することが必要とされ、機械的寸法の実現が煩雑となる。また、ゲージブロックは、自重、支持の仕方のたわみなどによる歪み、あるいは取扱姿勢による歪みなどを生じたり、経時的変化を生じるおそれがある。このため、ゲージブロックは、高精度の測定を実施する際、取扱が限定される上、十分な注意が必要で、機械的寸法の実現が煩雑となる。
【0004】
そこで、使用環境温度や取扱姿勢、経時変化の影響を受けにくい高精度の端度器として、自律制御端度器(例えば、特許文献1)や自律長さ維持構造体(例えば、特許文献2)などが知られている。
【0005】
そして、特許文献1に記載の自律制御端度器は、筒状体の一端に設けられた固定部に固定測定部材を設けるとともに、他端に設けられた弾性変位部に変位測定部材を設け、筒状体内に屈折率の影響がない程度の略真空状態に減圧された内部空間を区画形成している。変位測定部材を駆動素子によって変位させ、レーザ光波干渉計から得られた測定値に基づき、対をなす内部反射ミラー間の間隔と、測定光路に対する反射ミラーの測定光軸とを、常に所定の位置に維持させ、測定面間の寸法および姿勢を高精度に維持させる。
【0006】
また、特許文献2に記載の自律長さ維持構造体は、筒状体の一端部に設けられた固定の基準面を有する基台を設けるとともに、他端に設けられた弾性変位部に変位測定部材を設け、略真空状態に減圧された内部空間を区画形成している。内部に、測定面の基準面に対する測定面の寸法と傾きを測定するレーザ干渉測長計を配設する。変位測定部材を駆動素子によって変位させ、測定面の変位に伴って変化する干渉信号を、目標値に一致するように、駆動部を駆動させて測定面間の寸法や傾きを高精度に維持させる。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−180149号公報(第4頁左欄−第6頁右欄)
【特許文献2】
特開2000−329528号公報(第4頁左欄−第6頁右欄)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した特許文献1や特許文献2に記載のような従来の端度器では、2つの反射面間の変位量を内部に配設した光学的な干渉計により、寸法変化に対し位相が普遍の参照信号出力と、寸法変化に対応した位相が変化する測定信号出力との位相関係を観測して、測定面間の寸法や傾きを高精度に維持している。このため、2つの反射面間の測定範囲は干渉計の光源の波長をλとして±λ/4以内である。
【0009】
すなわち、特許文献1や特許文献2に記載のような従来の端度器では、図7(a)に示すようにして測定面間の寸法を維持する。具体的には、筒状体およびこの筒状体の両端に設けられた測定面部材の合計寸法である機械寸法と、変位測定部材の変位であるオフセット量とを加味した測定面間の寸法を測定し、絶対値(値付け時の値)を目標値に寸法制御したときの寸法としている。
【0010】
詳細には、まず機械寸法の再現処理をする。この機械寸法の再現処理は、値付け時と同等の温度環境、設置姿勢に設置し、本体を温度的に安定にして測定面部材および筒状体の寸法を含む全体の機械寸法の安定化をする。このとき、図7(b)に示すように、弾性変位部の駆動素子への印加電圧は0Vとして縮めた状態とし、寸法制御を実施せず、内部の光学部材の温度制御のみを実施する。
【0011】
次に、絶対値±λ/4の再現処理をする。この絶対値±λ/4の再現処理は、駆動素子に制御量に対応しないオフセット電圧を印加し、変位測定部材の可変範囲の中心へ移動させる。このことにより、図7(c)に示すように、伸ばした駆動素子のオフセット量と機械寸法とを合わせた本体全長が、絶対値に対して±λ/4に再現される。すなわち、±λ/4に再現するようなオフセット電圧を決めておき、そのオフセット電圧を印加する。なお、この絶対値±λ/4の再現処理の際には、引き続き寸法制御を実施せず、内部の光学部材の温度制御のみ実施する。この後、図7(d)に示すように寸法制御の処理を実施し、最終目的である絶対値に制御でき、端度器として使用できる状態となる。
【0012】
温度均し時の弾性変位部は、駆動素子にオフセット電圧が印加されておらず、図8に示すように、ばね部材など引張手段701により筒状体702に変位測定部材703が引っ張られて縮んだ状態とする。この縮んだ状態では、筒状体702と変位測定部材703との間に配設された突き当て部704に変位測定部材703が当接して、駆動素子705と変位測定部材703とは離間した状態とする。
【0013】
このような構造としたのは、駆動素子705自体の剛性、寸法の経年変化、印加電圧に対する駆動素子705の伸び量の安定性などの寸法変動要因を考慮し、制御せずに温度均しで寸法再現を実施する場合には、できるだけ剛性が強く、経年変化の少ない部材で突き当てて寸法再現を実施し、駆動素子705の寸法変動要因を排除している。
【0014】
しかしながら、制御開始時には目的とする絶対値に対し、±λ/4以内の寸法に収めておく必要がある。また、±λ/4を超える量で伸ばした位置で制御を開始する必要がある場合、制御開始前にオフセット電圧を印加して目的とする寸法に対して±λ/4以内の寸法に収めた後に制御を開始しなければならない。
【0015】
このため、絶対値±λ/4の再現処理や寸法制御の処理の際に任意のオフセット電圧が印加されると、図9に示すように、駆動素子705が伸びて変位測定部材703を引張手段701の引張力に抗して押し出し、突き当て部704から変位測定部材703の測定面703aとの間が離間する状態としている。
【0016】
このように、所定のオフセット電圧を印加して変位測定部材703をオフセットさせて制御を開始することにより、印加電圧に対する駆動素子705の伸び量の不安定性など、完全に寸法変動要因が排除されたことにはならない。
【0017】
本発明は、このような点に鑑みて、2点間の高精度な絶対値の再現が容易な2点間寸法調整装置、自律制御端度器、自律長さ維持構造体、および、それらの絶対値再現方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、所定の間隙を介して対向しレーザ光を反射可能な一対の反射面を有しこれら反射面間の寸法測定の前記レーザ光の光路中に設けられたレーザ干渉測長手段と、これら反射面間の寸法を可変する移動手段と、前記レーザ干渉測長手段で測定する前記反射面間の寸法測定の結果に基づいて前記移動手段を適宜駆動させ前記反射面間の寸法を制御する制御手段とを具備し、前記制御手段は、前記レーザ光が適宜位相変調されて生成された参照光と、前記レーザ光が反射面間で反射されて前記反射面間の寸法に対応して位相がずれた測定光との干渉により得られる検出信号と、この検出信号と前記参照光を位相変調させる参照信号との位相差を所定の位相差にする位相補正値を生成し、この位相補正値により前記レーザ光が参照光として変調される位相を補正するとともに、前記位相補正値の累積が所定の値となる前記反射面間の寸法に前記移動手段を駆動させることを特徴とした2点間寸法調整装置である。
【0019】
この発明では、適宜位相変調したレーザ光の参照光と、レーザ光の光路中に設けたレーザ干渉測長手段の対向する一対の反射面間で反射して反射面間の寸法に対応して位相がずれた測定光との干渉による検出信号を取得するとともに、検出信号と参照光を位相変調させる参照信号とを取得し、これら検出信号と参照信号との位相差を所定の位相差にする位相補正値を生成する。この位相補正値により、レーザ光が参照光として変調される位相を補正するとともに、位相補正値の累積が所定の値となる反射面間の寸法に移動手段を駆動させる。このことにより、レーザ干渉測長手段における干渉による検出範囲となるように参照光が適宜位相変調されることとなり、検出範囲を超える反射面間の寸法を測定しつつ反射面間が所定の寸法に可変設定され、2点間の高精度な寸法設定の範囲が拡大し、利便性および汎用性が向上し、利用の拡大が図れる。
【0020】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の2点間寸法調整装置において、前記レーザ光は、単一波長レーザ光束であり、前記レーザ干渉測長手段は、前記レーザ光を水平偏光および垂直偏光に偏光して、これら水平偏光および垂直偏光のうちのいずれか一方を位相変調して参照光とし、前記水平偏光および前記垂直偏光のうちのいずれか他方を反射面間で反射させて測定光とすることを特徴とする。
【0021】
この発明では、レーザ光として単一波長レーザ光束のものを用い、レーザ干渉側長手段により、レーザ光を水平偏光および垂直偏光に偏光し、水平偏光および垂直偏光のうちのいずれか一方を位相変調して参照光とし、いずれか他方を反射面間で反射させて測定光とする。このことにより、簡単な構成で、レーザ干渉測長手段における干渉による検出範囲を超える反射面間の寸法を測定しつつ反射面間を所定の寸法に可変設定する構成が容易に得られる。
【0022】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の2点間寸法調整装置において、前記制御手段は、前記検出信号および前記参照信号の位相差と所定の位相差との差分を、所定のタイミングクロック信号に基づく時間間隔に換算して位相補正値とすることを特徴とする。
【0023】
この発明では、検出信号および参照信号の位相差と所定の位相差との差分を、所定のタイミングクロック信号に基づく時間間隔に換算して位相補正値を取得する。このことにより、あらかじめ所定の位相差を設定しておき、この所定の位相差との差分を時間間隔に換算するので、レーザ干渉測長手段における干渉による検出範囲を超える反射面間の寸法でも干渉による検出範囲を逸脱しないようにするための制御が容易に得られ、広範囲で反射面間を所定の寸法に設定する構成が容易に得られる。
【0024】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の2点間寸法調整装置において、前記制御手段は、前記参照光および前記測定光の干渉による前記検出信号のオフセット成分を除去し矩形波化して生成した矩形検出信号と、前記参照信号を矩形波化して生成した矩形参照信号との位相差に基づいて位相補正値を生成することを特徴とする。
【0025】
この発明では、参照光および測定光の干渉による検出信号のオフセット成分を除去し矩形波化して生成した矩形波検出信号と、参照信号を矩形波化して生成した矩形参照信号との位相差に基づいて位相補正値を取得する。このことにより、レーザ干渉測長手段における干渉による検出範囲を超える反射面間の寸法でも干渉による検出範囲を逸脱しないようにするための制御がパルスを計数するデジタル制御可能となり、広範囲で反射面間を所定の寸法に設定する構成が容易に得られる。
【0026】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の2点間寸法調整装置において、前記レーザ干渉測長手段は、電気光学変調素子を用いてレーザ光を位相変調して参照光を生成することを特徴とする。
【0027】
この発明では、レーザ干渉測長手段にて、電気光学変調素子を用いてレーザ光を位相変調して参照光を生成させる。このことにより、簡単な構成でレーザ光を適宜位相変調することが容易に得られ、レーザ干渉測長手段における干渉による検出範囲を超える反射面間の寸法でも干渉による検出範囲を逸脱しないようにするための制御が容易に得られる。
【0028】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の2点間寸法調整装置において、前記制御手段は、前記移動手段による前記反射面間の寸法の可変により、前記検出信号および前記参照信号との位相差における位相の進みまたは遅れに基づいて、所定の位相差との進み分または遅れ分を位相補正値として生成することを特徴とする。
【0029】
この発明では、移動手段にて反射面間の寸法を可変することにより、検出信号および参照信号との位相差における位相の進みまたは遅れが生じ、所定の位相差との位相の進み分または遅れ分を位相補正値として取得する。このことにより、位相補正値が容易に得られ、レーザ干渉測長手段における干渉による検出範囲を超える反射面間の寸法でも干渉による検出範囲を逸脱しないようにするための制御が容易に得られる。
【0030】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の2点間寸法調整装置において、少なくとも前記レーザ干渉測長手段を所定の温度に設定する恒温手段を具備したことを特徴とする。
【0031】
この発明では、恒温手段により少なくともレーザ干渉測長手段を所定の温度に設定する。このことにより、レーザ干渉測長手段の各信号は温度による位相の変化を生じず、高精度の2点間の寸法の確実な設定が容易に得られる。
【0032】
請求項8に記載の発明は、軸方向の両端に測定面を有し内部が大気圧に対して減圧された内部空間を区画する筒状体と、この筒状体の内部空間内に面し前記測定面にそれぞれ対応して反射面が設けられる請求項1ないし7のいずれかに記載の2点間寸法調整装置と、を具備したことを特徴とした自律制御端度器である。
【0033】
この発明では、軸方向の両端に測定面を有した筒状体内に区画形成され大気圧に対して減圧された内部空間内に面して測定面にそれぞれ対応して、請求項1ないし7のいずれかに記載の2点間寸法調整装置の反射面を設ける。このことにより、レーザ干渉測長手段における干渉による検出範囲となるように参照光を適宜位相変調して検出範囲を超える反射面間の寸法を測定しつつ反射面間を所定の寸法に可変設定し、2点間の高精度な寸法設定の範囲が拡大する請求項1ないし7のいずれかに記載の2点間寸法調整装置を屈折率の影響が抑制される環境で用いるので、測定面間の高精度の寸法設定の範囲が拡大し、利便性および汎用性が向上し、利用の拡大が図れる。
【0034】
請求項9に記載の発明は、基準面上に構築され、前記基準面に対向し対向寸法が変化可能な測定面を有する構造体と、前記基準面および前記測定面にそれぞれ対応して反射面が設けられる請求項1ないし7のいずれかに記載の2点間寸法調整装置と、を具備したことを特徴とした自律長さ維持構造体である。
【0035】
この発明では、基準面と、この基準面上に構築される構造体の基準面に対向して対向寸法が変化可能な測定面と、にそれぞれ対向して請求項1ないし7のいずれかに記載の2点間寸法調整装置の反射面を設ける。このことにより、レーザ干渉測長手段における干渉による検出範囲となるように参照光を適宜位相変調して検出範囲を超える反射面間の寸法を測定しつつ反射面間を所定の寸法に可変設定し、2点間の高精度な寸法設定の範囲が拡大する請求項1ないし7のいずれかに記載の2点間寸法調整装置を用いるので、基準面および測定面間の高精度の寸法設定の範囲が拡大し、利便性および汎用性が向上し、利用の拡大が図れる。
【0036】
請求項10に記載の発明は、レーザ光を適宜位相変調して参照光を生成するとともに、対向寸法が変化可能に所定の間隙を介して対向しレーザ光を反射可能な一対の反射面間で前記レーザ光を反射させて前記反射面間の寸法に対応して位相がずれた測定光を前記参照光と干渉させて検出信号を取得し、前記レーザ光を前記参照光として位相変調させる参照信号を取得し、前記検出信号および前記参照信号との位相差を所定の位相差にする位相補正値を生成し、この生成した位相補正値を用いて前記レーザ光が前記参照光として変調される位相を補正するとともに、前記反射面間を前記位相補正値の累積が所定の値となる寸法に可変することを特徴とする2点間寸法調整装置の絶対値再現方法である。
【0037】
この発明は、請求項1に記載の2点間寸法調整装置の2点間の寸法を調整する方法に展開したもので、レーザ光を適宜位相変調して参照光を生成するとともに、対向寸法が変化可能に所定の間隙を介して対向しレーザ光を反射可能な一対の反射面間でレーザ光を反射させて反射面間の寸法に対応して位相がずれた測定光を参照光と干渉させて検出信号を取得し、レーザ光を参照光として位相変調させる参照信号を取得し、検出信号および参照信号との位相差を所定の位相差にする位相補正値を生成し、この生成した位相補正値を用いてレーザ光が参照光として変調される位相を補正するとともに、反射面間を位相補正値の累積が所定の値となる寸法に可変することを特徴とする2点間寸法調整装置の絶対値再現方法である。このことにより、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を享受する。
【0038】
請求項11ないし16に記載の発明は、請求項10に記載の2点間寸法調整装置の絶対値再現方法において、請求項2ないし7に記載の2点間寸法調整装置に対応する2点間の寸法を調整する方法で、請求項2ないし7に記載の発明と同様の作用効果を享受する。
【0039】
請求項17に記載の発明は、請求項8に記載の自律制御端度器の自律制御の方法に展開したもので、軸方向の両端に測定面を有し内部に大気圧に対して減圧された内部空間を区画する筒状体に、内部空間に面し測定面にそれぞれ対応して互いに対向し対向寸法が変化可能に対をなす反射面を設け、これら反射面間でレーザ光を反射させ、反射面間を所定の寸法に可変制御して測定面間の寸法を所定の寸法に設定する自律制御端度器の絶対値再現方法であって、レーザ光を適宜位相変調して参照光を生成するとともに、反射面間で反射させて反射面間の寸法に対応して位相がずれた測定光を参照光と干渉させて検出信号を取得し、レーザ光を参照光として位相変調させる参照信号を取得し、検出信号および参照信号との位相差を所定の位相差にする位相補正値を生成し、この生成した位相補正値を用いてレーザ光が参照光として変調される位相を補正するとともに、反射面間を位相補正値の累積が所定の値となる寸法に可変することを特徴とする自律制御端度器の絶対値再現方法である。このことにより、請求項8に記載の発明と同様の作用効果を享受する。
【0040】
請求項18に記載の発明は、請求項9に記載の発明の自律長さ維持構造体の自律長さ維持方法に展開したもので、基準面上に構築され基準面に対向して対向寸法が変化可能な測定面を有する構造体に、基準面および測定面にそれぞれ対応して互いに対向し対向寸法を変化可能にする対をなす反射面を設け、これら反射面間でレーザ光を反射させ、反射面間を所定の寸法に可変制御して基準面および測定面間の寸法を所定の寸法に設定する自律長さ維持構造体の絶対値再現方法であって、レーザ光を適宜位相変調して参照光を生成するとともに、反射面間で反射させて反射面間の寸法に対応して位相がずれた測定光を参照光と干渉させて検出信号を取得し、レーザ光を参照光として位相変調させる参照信号を取得し、検出信号および参照信号との位相差を所定の位相差にする位相補正値を生成し、この生成した位相補正値を用いてレーザ光が参照光として変調される位相を補正するとともに、反射面間を位相補正値の累積が所定の値となる寸法に可変することを特徴とする自律長さ維持構造体の絶対値再現方法である。このことにより、請求項9に記載の発明と同様の作用効果を享受する。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る一実施の形態として、自律制御端度器を例示した第1の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、自律制御端度器を示す断面図である。図2は、自律制御端度器の回路構成を示すブロック図である。
【0042】
(自律制御端度器の構成)
図1において、100は自律制御端度器で、この自律制御端度器100は、ゲージブロックの高精度タイプの基準器であり、波長安定化レーザ光を使用して高精度の機械的長さを実現し、端面間の寸法を常に一定に維持するものである。そして、自律制御端度器100は、略筒状の構造体である筒状体としての外筒101を備えている。この外筒101は、例えば鉄などと比較して熱膨張係数が小さい材質である低膨張合金であるスーパーインバー(Super Invar:例えば組成比がNi31,Co4,Mn0.3,Fe bal)材にて形成されている。
【0043】
なお、スーパーインバー材は、熱膨張係数が小さいことから(約3×10-7/℃)、自律制御端度器100の寸法が、例えば1mの場合、初期の制御開始環境温度を0.5℃以内で再現することにより、測定面間の寸法は約0.15μm以内で再現されることになる。さらに、この条件で制御を開始し、後述するレーザ干渉手段としてのレーザ光波干渉計400の検出位相を初期設定値に保てば、このレーザ光波干渉計400のもつ精度に近い値で測定面間の寸法を再現できる。そして、この後に使用環境が変化しても、測定面間を常に一定に保つ制御が働くため、この寸法を高精度に維持できる。
【0044】
そして、外筒101の一端部には、固定部200が設けられている。固定部200は、固定部材210と、測定部材取付部220と、固定測定部材230と、支持部材240と、を備えている。
【0045】
固定部材210は、外筒101の一端側に嵌合可能な外径で中心軸に位置して略同軸上に内径部211が設けられ、略円筒状に形成されている。そして、固定部材210には、軸方向の一端外周面には、鍔状にフランジ部212が突設されている。このフランジ部212は、取付部材としての例えばねじ213にて、外筒101の一端面に当接する状態に取り付けられて固定される。また、固定部材210には、軸方向の一端面に周方向に沿って凹溝状に形成された吸着溝214が設けられている。さらに、固定部材210には、内径部211から外周面に連通するとともに吸着溝214に連通する通路215が設けられている。
【0046】
測定部材取付部220は、中心軸に位置して略同軸上に略円形の収容部221が設けられた略環状に形成されている。そして、測定部材取付部220は、固定部材210のフランジ部212に例えばねじなどの取付部材222にて取り付けられ、固定部材210を介して外筒101に一体的に固定される。
【0047】
固定測定部材230は、熱膨張係数が小さく、かつ、経時的変化の少ない材質の石英などにて、測定部材取付部220の収容部221に嵌合可能な略円板状に形成されている。そして、固定測定部材230の軸方向の一面には、測定面231が設けられている。また、固定測定部材230の軸方向の他面には、高い反射率を持つ反射面としての第1の反射ミラー232が設けられている。そして、固定測定部材230は、第1の反射ミラー232が設けられた面が固定部材210の端面に当接して吸着溝214を閉塞する状態に、測定部材取付部220にて固定部材210に一体的に取り付けられる。この取り付けられた固定測定部材230は、通路215を介して略真空状態となる内径部211に連通する吸着溝214により、第1の反射ミラー232が設けられた面が固定部材210に密着する状態となる。
【0048】
支持部材240は、外周面が外筒101の内周面に間隙を介して対向する外径で内径が固定部材210の内径部211と略同径の略円筒状に形成されている。この支持部材240の軸方向の一端外周面には、外筒101に嵌合する鍔状に突設された取付フランジ部241が設けられている。この取付フランジ部241には、固定部材210の軸方向の他端面にねじなどの取付部材242にて取付固定された略リング状の受け台245にねじなどの取付部材246にて取り付けられる。
【0049】
一方、外筒101の他端部には、移動手段としての弾性変位部300が設けられている。この弾性変位部300には、変位測定部材310が設けられている。この変位測定部材310は、弾性変位部300により外筒101の軸線方向に沿って移動可能に設けられている。
【0050】
この移動可能な変位測定部材310により、自律制御端度器100は寸法調整および姿勢調整可能、すなわち軸線方向に移動可能、かつ、軸線方向に対して揺動可能となっている。より具体的には、光路を通る光軸と固定測定部材230の第1の反射ミラー232および後述する変位測定部材310の反射面としての第2の反射ミラー312の平面とが垂直で、かつ、第1の反射ミラー232および第2の反射ミラー312の平面が平行となる姿勢に調整可能となっている。
【0051】
すなわち、変位測定部材310は、固定測定部材230と同様に、同材質で略円板状に形成され、軸方向の一面に測定面311が設けられ、他面に第2の反射ミラー312が設けられている。この第2の反射ミラー312が、固定測定部材230の第1の反射ミラー232とにより、対向する間隙間の寸法、変位を検出するための後述するレーザ光波干渉計400の反射面として用いられる。ここで、変位とは、変位測定部材310が外筒101の軸線方向に移動すること、軸線に対して揺動して姿勢が変わること、および移動しかつ揺動して姿勢が変わることをも含む。
【0052】
また、弾性変位部300は、駆動素子取付体320、駆動部材である駆動素子325、変位部材330、真空用金属ベローズ340、測定部材取付部220などを備えている。
【0053】
駆動素子取付体320は、外径が外筒101と略同寸法のリング状に形成されている。そして、駆動素子取付体320には、中心軸が軸方向に沿った略円筒状に開口する素子収容部321が、円周方向に略等間隔で複数、例えば3つ設けられている。
【0054】
駆動素子325は、例えば柱状に形成されたジルコン酸チタン酸鉛(PZT)などの圧電素子である。そして、駆動素子325は、駆動素子取付体320の素子収容部321内にガイドされつつ外筒101の軸線方向に沿って伸縮可能に、駆動素子取付体320の円周上に略均等に3つ配設されている。これらの駆動素子325は、電圧を印加しない状態では、変位測定部材310とは離間した状態であり、後で詳述するレーザ光波干渉計400から得られた変位、姿勢変化の誤差信号に応じてそれぞれを独立に制御することにより変位測定部材310を変位、姿勢変化させ、常に両端面の測定面の位置関係を一定に保つようになっている。
【0055】
変位部材330は、外径が外筒101と略同寸法で、固定部材210の内径部211と略同寸法の変位内径部311aを有したリング状に形成されている。そして、変位部材330の軸方向の一端内周面には、内径が駆動素子取付体320と略同寸法の段差内径部331bが設けられている。この変位部材330の軸方向の一端面は、駆動素子取付体320に当接して、伸張する駆動素子325にて押される状態に配設されている。また、変位部材330には、変位測定部材310の第2の反射ミラー312が当接する面となる軸方向の他端面に、周方向に沿って凹溝状に形成され、変位測定部材310にて閉塞される吸着溝332が設けられている。さらに、変位部材330には、内周側から外周側に連通するとともに吸着溝332に連通する通路333が設けられている。
【0056】
そして、変位測定部材310は、固定測定部材230と同様に、通路333を介して略真空状態となる変位部材330の内周側の変位内径部331aに連通する吸着溝332により、第2の反射ミラー312が設けられた面が変位部材330に密着する状態となる。また、変位測定部材310は、固定測定部材230と同様に、測定部材取付部220により変位部材330に一体的に固定される。
【0057】
真空用金属ベローズ340は、外筒101における変位測定部材310側の端面と、変位部材330の段差内径部331との間に取り付けられている。この真空用金属ベローズ340は、一端が外筒101の端面に取り付けられ、他端が変位部材330の段差内径部331に固定されて取り付けられている。また、真空用金属ベローズ340の内部は外筒101の内部に連通しており、さらに変位部材330の段差内径部331にも連通している。
【0058】
このように、自律制御端度器100は、外筒101の軸方向の両端部に、固定測定部材230が取り付けられた固定部200および変位測定部材310が取り付けられた弾性変位部300が一体的に取り付けられ、内部に内部空間である密閉中空部110を内部に区画形成する。この密閉中空部110は、測定面間の寸法、変位を高精度に測定するため、屈折率の影響がない程度に大気圧に対して負圧状態、例えばほぼ真空状態に減圧されている。すなわち、駆動素子325が伸びて変位部材330が移動しても、その移動に連れて真空用金属ベローズ340が伸びるので、自律制御端度器100内の密閉中空部110の真空状態は維持され、また、真空用金属ベローズ340によって、弾性変位部300の変位部材330、変位測定部材310などが動き、フリーの状態で支持されていることになる。
【0059】
一方、外筒101には、レーザ光波干渉計400が設けられている。また、外筒101の外部には、制御手段としての制御装置であるコントローラ500と、自律制御端度器100に例えば単一波長レーザ光束のレーザ光を供給する波長安定化レーザ光源600が設けられている。
【0060】
レーザ光波干渉計400は、例えば単一波長レーザ光束の干渉を利用したレーザ光波干渉計である。このレーザ光波干渉計400は、入り側干渉計部410、内部干渉計部420、固定測定部材230の第1の反射ミラー232、変位測定部材310の第2の反射ミラー312、検出部430、第1の取付部440および第2の取付部450を備えている。
【0061】
入り側干渉計部410は、外筒101の外周に固定された第1の取付部440の内部に配設されている。第1の取付部440には、外筒101に対向する面にガラス窓441が設けられている。入り側干渉計部410には、例えば偏波面保存型の光ファイバ610を介して波長安定化レーザ光源600が接続され、波長安定化レーザ光源600からの安定化単一周波の直線偏光のレーザ光が入射される。
【0062】
入り側干渉計部410は、図2にも示すように、コリメータレンズ411、λ/2板412、第1の偏光ビームスプリッタ(polarizing beam splitter:PBS)413、電気光学変調素子(electrooptical modulator:EOM)414、第2のPBS415、第1の反射面部416、第2の反射面部417、いわゆるビームエキスパンダである光拡縮部418を有し、光学的に位相を変調する光学的位相変調部として機能する。
【0063】
コリメータレンズ411は、光ファイバ610を通じて伝送される波長安定化レーザ光源600からのレーザ光を、平行光線にする。λ/2板412は、コリメータレンズ411を通過したレーザ光を偏光面が第1のPBS413の光軸に対して45°になるように偏光面を回転させる。第1のPBS413は、λ/2板412を通過した水平偏光のレーザ光を通過させ、垂直偏光は反射する。EOM414は、第1のPBS413で通過した水平偏光を光学的に位相を変調する。なお、EOM414は、水平偏光を変調する場合に限らず、第1のPBS413により生成された水平偏光および垂直偏光のうちのいずれか一方を変調すればよい。第1の反射面部416は、EOM414により変調されたレーザ光を第2のPBS415へ入射させるために反射して光路を変更させる。第2の反射面部417は、第1のPBS413で反射された垂直偏光を第2のPBS415へ入射させるために反射して光路を変更させる。第2のPBS415は、EOM413で位相変調された水平偏光と、垂直偏光とを適宜通過・反射して同一光軸上にする。光拡縮部418は、第2のPBS415で同一光軸となったレーザ光のビーム径を適宜必要な径に拡縮し、外筒101内に入射させる。
【0064】
内部干渉計部420は、固定部200の支持部材240に配設されている。この内部干渉計部420は、第3のPBS421、第1のλ/4板422および第2のλ/4板423を有している。
【0065】
第3のPBS421は、支持部材240の内周側の一部に配設されている。この第3のPBS421は、入り側干渉計部410の光拡縮部418で拡縮され第1の取付部440のガラス窓441を介して入射されたレーザ光の垂直偏光および変調された水平偏光のうち一方のレーザ光を透過させるとともに、他方のレーザ光を反射させる。具体的には、変調した水平偏光を透過させ、垂直偏光を反射する。通過した水平偏光は、外筒101における入り側干渉計部410と反対側に至り、参照光となる。反射された垂直偏光のレーザ光は、固定測定部材230の内側の第1の反射ミラー232から変位測定部材310の内側の第2の反射ミラー312を経由し、入り側干渉計部410と反対側に反射され、測定光となる。第1のλ/4板422および第2のλ/4板423は、第3のPBS421の外筒101の軸線方向の両側に第3のPBS421に対向して配設されている。
【0066】
そして、内部干渉計部420は、第3のPBS421、第1のλ/4板422および第2のλ/4板423により、レーザ光の偏光面を変化させ、レーザ光を図2に示す進路以外に進まないようにコントロールする。例えば、レーザ光が第1のλ/4板422などを往復することによりその偏光面が90度回転するように配置されている。
【0067】
検出部430は、入り側干渉計部410と内部干渉計部420とを結ぶ線上に配設され、外筒101の外周に固定された第2の取付部450に配設されている。第2の取付部450には、第1の取付部440と同様に、外筒101に対向する面にガラス窓451が設けられている。そして、検出部430は、内部干渉計部420で反射されたレーザ光がガラス窓451を介して入射される。
【0068】
検出部430は、偏光板431と、例えばフォトダイオードなどの検出器432とを備えている。偏光板431は、内部干渉計部420の第3のPBS421を透過した参照光である水平偏光のレーザ光と、第3のPBS421から第1のλ/4板422、第1の反射ミラー232、第2のλ/4板423および第2の反射ミラー312を経由して再度第3のPBS421に戻り、そこから反射されて送られる測定光である垂直偏光のレーザ光とを干渉させる。検出器432は、検出領域が複数に分割され、偏光板431にて干渉されたレーザ光を例えば3つの干渉信号として検出する。これら干渉信号は、第1の反射ミラー232および第2の反射ミラー312の変位量に対応した位相変化を発生する。これら3つの検出する干渉信号は、1つの寸法制御用干渉信号と、2つの姿勢制御用干渉信号である。
【0069】
そして、検出器432は、コントローラ500に接続されている。なお、コントローラ500は、駆動素子325も接続されている。すなわち、コントローラ500は、レーザ光波干渉計400の検出部430で検出した干渉信号を適宜処理するとともに、駆動素子325の駆動を制御する。
【0070】
このように、レーザ光波干渉計400は、波長安定化レーザ光源600からのレーザ光を、光ファイバ610を介して入り側干渉計部410にて垂直偏光と変調した水平偏光とに偏光し、内部干渉計部420の第3のPBS421を透過させるものおよび第3のPBS421から第1の反射ミラー232および第2の反射ミラー312を反射して経由したものに分け、それぞれを干渉させて検出器432で3つの干渉信号として検出し、これら3つの干渉信号を演算することにより、変位だけでなく反射面の傾きをも検出できるようになっている。
【0071】
なお、レーザ光波干渉計400を高精度に使用するため、上述したように、空気屈折率の波長への影響を避けるように干渉光路となる密閉中空部110を略真空に保っている。なお、この真空光路の干渉光路内の第3のPBS421、第1のλ/4板422および第2のλ/4板423の温度による干渉光路への影響が精度劣化をもたらすことから、本実施形態では、干渉光路内の干渉部分を温度コントロールしている。すなわち、支持部材240は、その一部あるいは全部が恒温手段としての電気的ヒータとして構成されている。
【0072】
(自律制御端度器の回路構成)
次に、上記自律制御端度器の回路構成について、図面を参照して詳細に説明する。図3は、検出信号S0を処理して処理信号Smを生成する状態を示す波形図である。図4は、処理信号Smを処理して矩形検出信号[Sm]を生成する状態を示す波形図である。図5は、参照信号Rtを処理して矩形参照信号[Rt]を生成する状態を示す波形図である。図6は、位相補正値算出部におけるパルスによる位相差の測定状況を示す説明図である。
【0073】
コントローラ500は、図2に示すように、レーザ光波干渉計400のEOM414を駆動制御する参照信号追従器510を有している。この参照信号追従器510には、EOM414を駆動させるEOMドライバ520が接続されている。そして、参照信号追従器510は、別途生成されるタイミングクロック信号に基づいて適宜参照信号を生成し、この参照信号をEOMドライバ520に出力し、EOMドライバ520にてEOM414を適宜駆動させ、レーザ光の位相を変調させる。
【0074】
また、コントローラ500は、位相補正値算出部530を有している。この位相補正値算出部530は、レーザ光波干渉計400の検出部430にて検出した寸法制御用干渉信号の位相φ1と、参照信号追従器510から出力される参照信号の位相φEOMとを取得し、タイミングクロック信号に基づいてパルスによる位相差を計数する。そして、位相補正値算出部530は、計数した位相差に基づいて、常に所定の位相関係、すなわち、目的とする絶対値により決定され、あらかじめ設定された基準の位相φAとなるように位相補正値を算出する。この算出した位相補正値に基づいて、位相補正値算出部530は、参照信号追従器510に適宜信号を出力し、参照信号追従器510で生成する参照信号の位相を補正する制御をする。
【0075】
具体的には、まずレーザ光波干渉計400の検出部430から出力される検出信号S0を、図示しないバンドパスフィルタ(Band-Pass Filter:BPF)で取得する。この検出信号S0は、以下の数1で示すように、EOM414により光学的に位相変調させた参照光と、固定測定部材230および変位測定部材310の間の寸法変化に応じて位相変化する測定光とが干渉して得られた信号である。
【0076】
【数1】
【0077】
そして、BPFは、図3に示すように、検出信号S0に含まれるオフセット成分BSを除去して、以下の数2で示す処理信号Smを生成する。
【0078】
【数2】
【0079】
この後、BPFで生成した処理信号Smを、図示しない第1のコンパレータで取得する。この第1のコンパレータは、図4に示すように、矩形検出信号[Sm]を生成する。この矩形検出信号[Sm]に基づいて、位相補正値算出部530は寸法制御用干渉信号の位相φ1を取得する。
【0080】
また、位相補正値算出部530で取得する位相φEOMは、参照信号追従器510から出力される参照信号Rtを、図示しない第2のコンパレータで取得する。そして、第2のコンパレータは、図5に示すように、第1のコンパレータと同様にして、参照信号Rtを矩形波化して矩形参照信号[Rt]を生成する。この矩形参照信号[Rt]に基づいて、位相補正値算出部530は参照信号Rtの位相φEOMを取得する。
【0081】
そして、位相補正値算出部530のパルスによる位相差の測定は、図6に示すように、矩形検出信号[Sm]および矩形参照信号[Rt]の位相差と、基準の位相差φAとの差分として測定する。すなわち、基準の位相差φAとの差分がない場合、位相シフトの遅れや進みがないと判断する。また、基準の位相差φAに対する位相差の測定値φ1−φEOMとの差を時間で測定した時間換算分Δが、位相シフトの進みや遅れとして測定する。この測定した位相差である時間換算分Δを位相補正値として参照信号追従器510に出力して位相の補正をする。
【0082】
さらに、コントローラ500は、補正値累積および変位制御部540を有している。この補正値累積および変位制御部540には、駆動素子325を駆動させる第1のPZTドライバ550が接続されている。そして、補正値累積および変位制御部540は、位相補正値算出部530で算出された位相補正値を累積し、位相補正値の累積したカウントがあらかじめ設定された目標カウント量Nになるように、変位測定部材310を所定量移動させるための駆動素子325を駆動させる素子駆動信号を生成する。この生成した素子駆動信号を第1のPZTドライバ550へ出力することにより、第1のPZTドライバ550が駆動素子325を適宜伸縮させ、変位測定部材310を所定量移動させる制御をする。
【0083】
また、コントローラ500は、第1の位相比較および姿勢制御部560と、第2の位相比較および姿勢制御部570と、を有している。第1の位相比較および姿勢制御部560には第2のPZTドライバ580が接続され、第2の位相比較および姿勢制御部570には第3のPZTドライバ590が接続されている。
【0084】
そして、第1の位相比較および姿勢制御部560は、レーザ光波干渉計400の検出部430にて検出した一方の姿勢制御用干渉信号の位相φ2と、寸法制御用干渉信号の位相φ1とを取得し、位相比較をする。位相比較の結果が、あらかじめ設定された所定の目標値(φ1−φ2)となるように、駆動素子325を駆動させる素子駆動信号を生成する。この生成した素子駆動信号を第2のPZTドライバ580へ出力することにより、第2のPZTドライバ580が所定の駆動素子325を適宜伸縮させ、変位測定部材310が所定の姿勢となるように制御をする。
【0085】
同様に、第2の位相比較および姿勢制御部570は、レーザ光波干渉計400の検出部430にて検出した他方の姿勢制御用干渉信号の位相φ3と、寸法制御用干渉信号の位相φ1とを取得し、位相比較をする。位相比較の結果が、あらかじめ設定された所定の目標値(φ1−φ3)となるように、駆動素子325を駆動させる素子駆動信号を生成する。この生成した素子駆動信号を第3のPZTドライバ590へ出力することにより、第3のPZTドライバ590が所定の駆動素子325を適宜伸縮させ、変位測定部材310が所定の姿勢となるように制御をする。
【0086】
ここで、補正値累積および変位制御部540で用いる目標カウント量Nと、第1の位相比較および姿勢制御部560で用いる目標値(φ1−φ2)と、第2の位相比較および姿勢制御部570で用いる目標値(φ1−φ3)とは、例えば実測した測定値が用いられる。この測定値は、例えば安定化He(ヘリウム)−Ne(ネオン)レーザを用いた光波干渉計の原理を利用した測定器などの他の高精度な基準器を用いて、寸法と、固定測定部材230の測定面231および変位測定部材310の測定面311の平行度とを測定し、駆動素子325をそれぞれ独立に駆動させて目的の寸法と、平行度とが得られた時の測定した値である。すなわち、自律制御端度器100は、あらかじめ他の高精度な基準器により値付けしておく。
【0087】
なお、第1の位相比較および姿勢制御部560および第2の位相比較および姿勢制御部570では、姿勢の検出する範囲が干渉可能な範囲の極めて狭い範囲であることから、位相比較のみでよく、位相補正および累積については、補正値累積および変位制御部540で実施する変位制御に対してのみでよい。
【0088】
(自律制御端度器の動作)
次に、上記自律制御端度器の動作について、説明する。
【0089】
波長安定化レーザ光源600からのレーザ光を、光ファイバ610を介してレーザ光波干渉計400の入り側干渉計部410に入射させる。この入射したレーザ光は、入り側干渉計部410のコリメータレンズ411で平行光線にされた後、λ/2板412で偏光面が回転され、第1のPBS413に至る。
【0090】
そして、第1のPBS413に入射したレーザ光の水平偏光はそのまま通過し、参照信号追従器510で生成する参照信号に基づいてEOMドライバ520により適宜駆動するEOM414で光学的に位相が変調される。このEOM414における電気的な位相の変調により、レーザ光の光路長が連続的に変化されたことと等価になる。この後、変調されたレーザ光の水平偏光は、第1の反射面部416で反射されて第2のPBS415に入射する。
【0091】
また、第1のPBS413に入射したレーザ光の垂直偏光は反射され、第2の反射面部417でさらに反射され、第2のPBS415に入射する。そして、第2のPBS415により、水平偏光はそのまま通過し、垂直偏光は反射され、同一光軸上となる。この同一光軸となったレーザ光は、光拡縮部418でビーム径が適宜必要な径に拡縮され、第1の取付部440のガラス窓441を介して外筒101内へ入射される。
【0092】
外筒101内に入射されたレーザ光は、外筒101内の密閉中空部110内に配設された内部干渉計部420の第3のPBS421に入射する。そして、レーザ光の変調された水平偏光は、外筒101の入り側干渉計部410と反対方向へそのまま通過する。
【0093】
また、レーザ光の垂直偏光は、第3のPBS421で固定測定部材230に向けて反射される。この反射された垂直偏光は、第1のλ/4板422にて偏光面が回転され、固定測定部材230の第1の反射ミラー232で反射され、再び第1のλ/4板422を通過し、偏光面が回転されて第3のPBS421に入射する。そして、この入射した垂直偏光は、第1のλ/4板422を2回通過する際に偏光面が90°回転されているため、第3のPBS421を通過する。
【0094】
さらに、第3のPBS421を通過した垂直偏光は、第2のλ/4板423にて偏光面が回転され、変位測定部材310の第2の反射ミラー312で反射され、再び第2のλ/4板423を通過し、偏光面が回転されて第3のPBS421に入射する。この入射した垂直偏光は、第2のλ/4板422でさらに偏光面が90°回転されているため、第3のPBS421で入り側干渉計部410と反対側へ反射され、再び第3のPBS421を通過する水平偏光と同一光軸となる。
【0095】
内部干渉計部420を通過したレーザ光は、外筒101から第2の取付部450のガラス窓を介して検出部430に入射する。そして、検出部430に入射したレーザ光は、水平偏光が参照光として偏光板に受光され、垂直偏光が測定光として偏光板に受光される。この偏光板では、水平偏光と垂直偏光とが干渉される。この干渉されたレーザ光を、検出器432により、1つの寸法制御用干渉信号と、2つの姿勢制御用干渉信号として検出する。
【0096】
そして、検出器432で検出した3つの干渉信号のうち、寸法制御用干渉信号に相当する検出信号S0をコントローラ500のBPFでオフセット成分BSを除去し、処理信号Smを生成する。さらに、コントローラ500の第1のコンパレータで振幅成分ASを除去し、矩形検出信号[Sm]を生成する。また、参照信号追従器510から出力される参照信号Rtを第2のコンパレータで矩形波化して矩形参照信号[Rt]を生成する。そして、コントローラ500の位相補正値算出部530で、タイミングクロック信号に基づいて、矩形検出信号[Sm]および矩形参照信号[Rt]のパルスによる位相差を測定し、基準の位相差φAとの差分を時間換算分Δとして測定する。この時間換算分Δを位相補正値として参照信号追従器510に出力し、参照信号追従器510で生成する参照信号Rtの位相を補正する。
【0097】
ここで、位相補正値算出部530による参照信号追従器510で生成する参照信号Rtの位相補正値により、素子駆動信号を生成して変位測定部材310を移動させる。この変位測定部材310の移動により、第1の反射ミラー232および第2の反射ミラー312間で反射される垂直偏光の光路長が変動するので、検出信号S0と参照信号Rtとの位相に遅れや進みのずれが生じる。したがって、位相補正値算出部530は、この遅れや進み分の位相のシフト分を排除して、基準の位相差φAに基づいて一定とするように補正する。このことにより、位相補正値算出部530は、参照信号追従器510から出力される位相シフトが補正された参照信号Rtに基づいて、EOM414で参照光となる水平偏光の位相の変調を調整する。
【0098】
このように、検出信号S0と参照信号Rtとの位相関係を一定に保とうとすると、変位測定部材310の移動に応じて位相補正量が順次発生するので、コントローラ500の補正値累積および変位制御部540により、位相補正値を累積し、あらかじめ設定された目標カウント量Nになるように変位測定部材310の移動を制御する。このため、レーザ光波干渉計400によるレーザ光の検出範囲は、変位測定部材310を±λ/4を超える量で移動させても±λ/4以内に保たれる。よって、変位測定部材310を±λ/4を超える量で移動することができる。
【0099】
さらに、コントローラ500の第1の位相比較および姿勢制御部560および第2の位相比較および姿勢制御部570により、レーザ光波干渉計400の検出部430にて検出した姿勢制御用干渉信号の位相φ2および位相φ3と、寸法制御用干渉信号の位相φ1とをそれぞれ位相比較する。そして、位相比較の結果が、あらかじめ設定された所定の目標値(φ1−φ2)および(φ1−φ3)となるように、所定の素子駆動信号をそれぞれ生成させる。これら素子駆動信号を第2のPZTドライバ580および第3のPZTドライバ590へそれぞれ出力し、所定の駆動素子325を適宜伸縮させ、変位測定部材310を所定の姿勢に制御する。
【0100】
(自律制御端度器の効果)
上述したように、上記実施の形態では、レーザ光波干渉計400における干渉による検出範囲である±λ/4となるように参照光が適宜位相変調されることとなり、検出範囲の±λ/4を超える第1の反射ミラー232および第2の反射ミラー312間の寸法を測定しつつ、第1の反射ミラー232および第2の反射ミラー312間が絶対値としての所定の寸法に高精度に可変設定でき、2点である自律制御端度器100の両端の測定面231,311間の高精度な寸法設定の範囲を拡大でき、利便性および汎用性を向上でき、利用の拡大を図ることができる。
【0101】
すなわち、位相補正値算出部530により、検出信号S0と参照信号Rtとの位相に遅れや進みのずれを排除して、基準の位相差φAに基づいて一定とするように補正するので、変位測定部材310を±λ/4を超える量で移動させても±λ/4以内となり、図7を用いて上述したように、従来の端度器のような制御開始前に駆動素子にオフセット電圧を印加し、絶対値±λ/4の寸法に収めておくことを必要としない。図8を用いて上述した従来の端度器と同様に、駆動素子325と変位測定部材310とは離間した状態、すなわち、駆動素子325の伸び量の不安定性など、寸法変動要因を排除した状態で、温度均しで寸法再現を実施する場合には、できるだけ剛性が強く、経年変化の少ない、温度に対する寸法再現性がよい部材で突き当てて寸法を再現している。この寸法が所定の±λ/4以内に再現できれば、ここから絶対値再現を実施することは、変位測定部材310を±λ/4を超える量で移動することができるために容易である。このため、自律制御端度器100の高精度な絶対値の再現が容易にできる。また、目標を変更し、絶対値を変えることが自律制御端度器100では可能であるが、現在の絶対値から±λ/4を超える量で絶対値を変更して制御することができる。
【0102】
したがって、例えばトレーサビリティシステムのトランスファーゲージとして用いることにより、高い精度での技術能力の確認ができ、特に温度などの影響の大きな長い寸法の領域(500〜1000mm)でより有効に使用できる。
【0103】
また、単一波長レーザ光束のレーザ光を用いることが可能となり、構成の簡略化を容易に図ることができる。
【0104】
そして、レーザ光波干渉計400により、単一波長レーザ光束のレーザ光を水平偏光および垂直偏光に偏光し、水平偏光および垂直偏光のうちのいずれか一方を位相変調して参照光とし、いずれか他方を第1の反射ミラー232および第2の反射ミラー312間で反射させて測定光としている。このため、簡単な構成で、レーザ光波干渉計400における干渉による検出範囲を超える第1の反射ミラー232および第2の反射ミラー312間の寸法を測定しつつ、第1の反射ミラー232および第2の反射ミラー312間を所定の寸法に可変設定する構成を容易に得ることができる。
【0105】
また、あらかじめ所定の位相差である基準の位相差φAを設定しておき、この基準の位相差φAとの差分を、所定のタイミングクロック信号に基づく時間間隔に換算して位相補正値を生成している。このため、レーザ光波干渉計400における干渉による検出範囲を超える第1の反射ミラー232および第2の反射ミラー312間の寸法でも干渉による検出範囲を逸脱しないようにするための制御が容易に得られる。
【0106】
すなわち、上述したように、検出信号S0と参照信号Rtとの位相に遅れや進みのずれを排除して、基準の位相差φAに基づいて一定とするように補正するので、変位測定部材310を±λ/4を超える量で移動させても±λ/4以内となり、干渉による検出範囲を逸脱しない。したがって、広範囲で第1の反射ミラー232および第2の反射ミラー312間を所定の寸法に設定する構成を容易に得ることができる。
【0107】
さらに、参照光および測定光の干渉によるオフセット成分BSを除去し矩形波化して生成した矩形波検出信号[Sm]と、参照信号Rtを矩形波化して生成した矩形参照信号[Rt]との位相差に基づいて位相補正値を取得している。このため、レーザ光波干渉計400における干渉による検出範囲を超える第1の反射ミラー232および第2の反射ミラー312間の寸法でも干渉による検出範囲を逸脱しないようにするための制御を、パルスを計数するデジタル制御とすることができ、広範囲で第1の反射ミラー232および第2の反射ミラー312間を所定の寸法に設定する構成を容易に得ることができる。
【0108】
また、レーザ光波干渉計400にて、EOM414を用いてレーザ光の位相を変調して参照光を生成させる。このため、簡単な構成でレーザ光の位相の適宜変調が容易に得られ、レーザ光波干渉計400における干渉による検出範囲を超える第1の反射ミラー232および第2の反射ミラー312間の寸法でも干渉による検出範囲を逸脱しないようにするための制御を容易に得ることができる。
【0109】
そして、弾性変位部300の駆動素子325にて第1の反射ミラー232および第2の反射ミラー312間の寸法を可変することにより、検出信号S0および参照信号Rtとの位相差における位相の進みまたは遅れが生じ、基準の位相差φAとの位相の進み分または遅れ分を位相補正値として取得している。このため、位相補正値を容易に得ることができ、レーザ光波干渉計400における干渉による検出範囲を超える第1の反射ミラー232および第2の反射ミラー312間の寸法でも干渉による検出範囲を逸脱しないようにするための制御を容易に得ることができる。
【0110】
また、恒温手段として機能する支持部材240によりレーザ光波干渉計400、すなわち干渉光路内の干渉部分を所定の温度に温度調整している。このため、測定光路の光軸が内部の温度上昇などの温度変化に影響されず、温度による寸法変化を生じず、高精度の2点間の寸法の確実な設定を容易に得ることができる。
【0111】
また、外筒101を鉄などと比較して熱膨張係数が小さな材質のスーパーインバー材で形成しているので、温度変化に影響されにくく、初期の制御開始環境温度を、例えば1℃以内で再現させれば、測定面231,311間の寸法を極めて高精度に再現できる。したがって、再現した温度で制御を開始し、レーザ光波干渉計400の検出位相を初期設定値に保てば、このレーザ光波干渉計400のもつ精度に近い値で自律制御端度器100の両端の測定面231,311間を所定の寸法に再現でき、使用環境が変化しても、測定面231,311間を常に一定に保つ制御が働くので、高精度を容易に維持できる。
【0112】
そして、固定測定部材230および変位測定部材310は、経時的に安定した石英材で形成したため、自律制御端度器100を経時変化のない高精度の基準器とすることができる。
【0113】
また、固定部材210および変位部材330に、外筒101の内部に通路215,333を介して連通する吸着溝214,332をそれぞれ形成している。このため、外筒101内の真空により、固定測定部材230および変位測定部材310が吸着されて取り付けられ、固定が確実となり、高精度の制御を簡単な構造で容易に得ることができる。
【0114】
そして、外筒101の内部に外筒101と弾性変位部300とに接続して真空用金属ベローズ340を設けている。このため、駆動素子325が伸縮して弾性変位部300の変位部材330が移動しても、その移動に連れて真空用金属ベローズ340が伸縮するので、自律制御端度器100内の真空状態を容易に維持でき、高精度の制御を容易に得ることができる。
【0115】
また、外筒101の外部空間に配設した波長安定化レーザ光源から光ファイバ610を介してレーザ光束をレーザ光波干渉計に入射している。このため、小型化が容易に得られるとともに、効率よくレーザ光を入射できる。
【0116】
さらに、駆動素子325を例えば複数の柱状圧電素子として、それぞれを独立に制御して寸法を可変制御している。このため、簡単な構造で微妙な姿勢の変化でも高精度に補正することができ、常に測定面231,311の位置関係を一定に保つことができる。
【0117】
(他の実施の形態)
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できるものであれば、次に示すような変位形態でもよい。
【0118】
例えば、前記実施形態では、レーザ光波干渉計400を高精度に使用するため、空気屈折率の波長への影響を避けるように外筒101の密閉中空部内をほぼ真空に減圧したが、屈折率の影響がない程度に大気圧に対して減圧していればよい。また、空気より約1桁屈折率の小さいヘリウムガスを充填するなどしてもよい。
【0119】
また、検出器432を受光面が3つあるタイプのものとし、1つの検出器432で3つの信号を検出できるようにしたが、これに限定されず、信号数に対応する検出器を設けてもよい。
【0120】
さらに、それぞれ単独で制御できる柱状圧電素子などの駆動素子325を3個設けてあるが、設置数はこれに限定されず、それ以下でも、あるいはそれ以上でもよく、また柱状に限らずいずれの形状でもよく、さらには圧電素子に限らず、変位測定部材310を移動して第1の反射ミラー232および第2の反射ミラー312間の関係を可変させるいずれの構成でもできる。
【0121】
また、真空用金属ベローズ340を用いたが、例えば樹脂製のベローズを用いるなどいずれの材質でもよく、またベローズ構造に限らず、弾性変位部300の変位部材330を移動しても真空状態を維持させるいずれの構成のものでもできる。
【0122】
そして、外筒101を熱膨張係数の小さなスーパーインバー材で形成し、固定測定部材230および変位測定部材310を経時的に安定した材質の石英材で形成したが、これに限らず、外筒101、固定測定部材230および変位測定部材310の要求する性能を満たせるものであれば、それらに変わるいずれの材料を用いることができる。
【0123】
また、自律制御端度器100の構成に限らず、例えば基準面上に構築される自律長さ維持構造体などに適用することもできる。さらには、端度器や基準器の他、所定の2点にそれぞれ第1の反射ミラー232および第2の反射ミラー312を対応させることにより、所定の2点の寸法を所定の寸法に調整する2点間寸法調整装置として利用することもできる。
【0124】
【発明の効果】
本発明によれば、適宜位相変調したレーザ光の参照光と、対向する一対の反射面間で反射して反射面間の寸法に対応して位相がずれた測定光との干渉による検出信号と、レーザ光を参照光として位相変調させる参照信号との位相差を所定の位相差にする位相補正値により、レーザ光が参照光として変調される位相を補正するとともに、位相補正値の累積が所定の値となる反射面間の寸法に設定するため、干渉による検出範囲となるように参照光が適宜位相変調され、検出範囲を超える反射面間の寸法を測定しつつ反射面間が所定の寸法に可変設定でき、2点間の高精度な寸法設定の範囲が拡大し、利便性および汎用性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自律制御端度器の一実施の形態を示す全体断面図である。
【図2】前記実施の形態における自律制御端度器の回路構成を示すブロック図である。
【図3】前記実施の形態における検出信号S0を処理して処理信号Smを生成する状態を示す波形図である。
(a)検出信号S0の波形図
(b)処理信号Smの波形図
【図4】前記実施の形態における処理信号Smを処理して矩形検出信号[Sm]を生成する状態を示す波形図である。
(a)処理信号Smの波形図
(b)矩形検出信号[Sm]の波形図
【図5】前記実施の形態における参照信号Rtを処理して矩形参照信号[Rt]を生成する状態を示す波形図である。
(a)参照信号Rtの波形図
(b)矩形参照信号[Rt]の波形図
【図6】前記実施の形態における位相補正値算出部におけるパルスによる位相差の測定状況を示す説明図である。
【図7】従来例の端度器における絶対値の再現を説明するための説明図である。
(a)機械寸法の表現状況の説明図
(b)機械寸法の再現状況の説明図
(c)絶対値±λ/4の再現状況の説明図
(d)自律制御状況の説明図
【図8】同上の端度器における測定面の位置関係の調整を説明するための説明図である。
【図9】同上の端度器における測定面の位置関係の調整を説明するための説明図である。
【符号の説明】
100 自律制御端度器
101 筒状体として外筒
230 固定測定部材
232 反射面としての第1の反射ミラー
240 恒温手段の機能を備えた支持部材
300 移動手段としての弾性変位部
310 変位測定部材
312 反射面としての第2の反射ミラー
400 レーザ干渉測長手段としてのレーザ光波干渉計
500 制御手段としてのコントローラ
Claims (18)
- 所定の間隙を介して対向しレーザ光を反射可能な一対の反射面を有しこれら反射面間の寸法測定の前記レーザ光の光路中に設けられたレーザ干渉測長手段と、
これら反射面間の寸法を可変する移動手段と、
前記レーザ干渉測長手段で測定する前記反射面間の寸法測定の結果に基づいて前記移動手段を適宜駆動させ前記反射面間の寸法を制御する制御手段とを具備し、
前記制御手段は、前記レーザ光が適宜位相変調されて生成された参照光と、前記レーザ光が反射面間で反射されて前記反射面間の寸法に対応して位相がずれた測定光との干渉により得られる検出信号と、この検出信号と前記参照光を位相変調させる参照信号との位相差を所定の位相差にする位相補正値を生成し、この位相補正値により前記レーザ光が参照光として変調される位相を補正するとともに、前記位相補正値の累積が所定の値となる前記反射面間の寸法に前記移動手段を駆動させる
ことを特徴とした2点間寸法調整装置。 - 請求項1に記載の2点間寸法調整装置において、
前記レーザ光は、単一波長レーザ光束であり、
前記レーザ干渉測長手段は、前記レーザ光を水平偏光および垂直偏光に偏光して、これら水平偏光および垂直偏光のうちのいずれか一方を位相変調して参照光とし、前記水平偏光および前記垂直偏光のうちのいずれか他方を反射面間で反射させて測定光とする
ことを特徴とした2点間寸法調整装置。 - 請求項1または2に記載の2点間寸法調整装置において、
前記制御手段は、前記検出信号および前記参照信号の位相差と所定の位相差との差分を、所定のタイミングクロック信号に基づく時間間隔に換算して位相補正値とする
ことを特徴とした2点間寸法調整装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の2点間寸法調整装置において、
前記制御手段は、前記参照光および前記測定光の干渉による前記検出信号のオフセット成分を除去し矩形波化して生成した矩形検出信号と、前記参照信号を矩形波化して生成した矩形参照信号との位相差に基づいて位相補正値を生成する
ことを特徴とした2点間寸法調整装置。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載の2点間寸法調整装置において、
前記レーザ干渉測長手段は、電気光学変調素子を用いてレーザ光を位相変調して参照光を生成する
ことを特徴とした2点間寸法調整装置。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載の2点間寸法調整装置において、
前記制御手段は、前記移動手段による前記反射面間の寸法の可変により、前記検出信号および前記参照信号との位相差における位相の進みまたは遅れに基づいて、所定の位相差との進み分または遅れ分を位相補正値として生成する
ことを特徴とした2点間寸法調整装置。 - 請求項1ないし6のいずれかに記載の2点間寸法調整装置において、
少なくとも前記レーザ干渉測長手段を所定の温度に設定する恒温手段を具備した
ことを特徴とした2点間寸法調整装置。 - 軸方向の両端に測定面を有し内部が大気圧に対して減圧された内部空間を区画する筒状体と、
この筒状体の内部空間内に面し前記測定面にそれぞれ対応して反射面が設けられる請求項1ないし7のいずれかに記載の2点間寸法調整装置と、
を具備したことを特徴とした自律制御端度器。 - 基準面上に構築され、前記基準面に対向し対向寸法が変化可能な測定面を有する構造体と、
前記基準面および前記測定面にそれぞれ対応して反射面が設けられる請求項1ないし7のいずれかに記載の2点間寸法調整装置と、
を具備したことを特徴とした自律長さ維持構造体。 - レーザ光を適宜位相変調して参照光を生成するとともに、対向寸法が変化可能に所定の間隙を介して対向しレーザ光を反射可能な一対の反射面間で前記レーザ光を反射させて前記反射面間の寸法に対応して位相がずれた測定光を前記参照光と干渉させて検出信号を取得し、
前記レーザ光を前記参照光として位相変調させる参照信号を取得し、
前記検出信号および前記参照信号との位相差を所定の位相差にする位相補正値を生成し、
この生成した位相補正値を用いて前記レーザ光が前記参照光として変調される位相を補正するとともに、前記反射面間を前記位相補正値の累積が所定の値となる寸法に可変する
ことを特徴とする2点間寸法調整装置の絶対値再現方法。 - 請求項10に記載の2点間寸法調整装置の絶対値再現方法において、
前記レーザ光として単一波長レーザ光束を用い、
前記レーザ光を水平偏光および垂直偏光に偏光し、
これら偏光した水平偏光および垂直偏光のうちのいずれか一方を位相変調して参照光を生成し、前記水平偏光および前記垂直偏光のうちのいずれか他方を反射面間で反射させて測定光を生成する
ことを特徴とする2点間寸法調整装置の絶対値再現方法。 - 請求項10または11に記載の2点間寸法調整装置の絶対値再現方法において、
位相補正値は、前記検出信号および前記参照信号の位相差と所定の位相差との差分を、所定のタイミングクロック信号に基づく時間間隔に換算して生成する
ことを特徴とする2点間寸法調整装置の絶対値再現方法。 - 請求項10ないし12のいずれかに記載の2点間寸法調整装置の絶対値再現方法において、
位相補正値は、前記検出信号のオフセット成分を除去して矩形波化した矩形検出信号と、前記参照信号を矩形波化した矩形参照信号との位相差に基づいて生成する
ことを特徴とする2点間寸法調整装置の絶対値再現方法。 - 請求項10ないし13のいずれかに記載の2点間寸法調整装置の絶対値再現方法において、
参照光は、電気光学変調素子を用いてレーザ光を位相変調して生成する
ことを特徴とする2点間寸法調整装置の絶対値再現方法。 - 請求項10ないし14のいずれかに記載の2点間寸法調整装置の絶対値再現方法において、
位相補正値は、前記移動手段による前記反射面間の寸法の可変により、前記検出信号および前記参照信号との位相差における位相の進み分または遅れ分に基づいて生成する
ことを特徴とする2点間寸法調整装置の絶対値再現方法。 - 請求項10ないし15のいずれかに記載の2点間寸法調整装置の絶対値再現方法において、
所定の温度に恒温した後に位相補正値を生成する
ことを特徴とする2点間寸法調整装置の絶対値再現方法。 - 軸方向の両端に測定面を有し内部に大気圧に対して減圧された内部空間を区画する筒状体に、前記内部空間に面し前記測定面にそれぞれ対応して互いに対向し対向寸法が変化可能に対をなす反射面を設け、これら反射面間でレーザ光を反射させ、前記反射面間を所定の寸法に可変制御して前記測定面間の寸法を所定の寸法に設定する自律制御端度器の絶対値再現方法であって、
前記レーザ光を適宜位相変調して参照光を生成するとともに、前記反射面間で反射させて前記反射面間の寸法に対応して位相がずれた測定光を前記参照光と干渉させて検出信号を取得し、
前記レーザ光を前記参照光として位相変調させる参照信号を取得し、
前記検出信号および前記参照信号との位相差を所定の位相差にする位相補正値を生成し、
この生成した位相補正値を用いて前記レーザ光が前記参照光として変調される位相を補正するとともに、前記反射面間を前記位相補正値の累積が所定の値となる寸法に可変する
ことを特徴とする自律制御端度器の絶対値再現方法。 - 基準面上に構築され前記基準面に対向して対向寸法が変化可能な測定面を有する構造体に、前記基準面および前記測定面にそれぞれ対応して互いに対向し対向寸法を変化可能にする対をなす反射面を設け、これら反射面間でレーザ光を反射させ、前記反射面間を所定の寸法に可変制御して前記基準面および前記測定面間の寸法を所定の寸法に設定する自律長さ維持構造体の絶対値再現方法であって、
前記レーザ光を適宜位相変調して参照光を生成するとともに、前記反射面間で反射させて前記反射面間の寸法に対応して位相がずれた測定光を前記参照光と干渉させて検出信号を取得し、
前記レーザ光を前記参照光として位相変調させる参照信号を取得し、
前記検出信号および前記参照信号との位相差を所定の位相差にする位相補正値を生成し、
この生成した位相補正値を用いて前記レーザ光が前記参照光として変調される位相を補正するとともに、前記反射面間を前記位相補正値の累積が所定の値となる寸法に可変する
ことを特徴とする自律長さ維持構造体の絶対値再現方法。
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