JP4248023B2 - インスリン依存性糖尿病に対する素因を決定するための組成物および方法 - Google Patents

インスリン依存性糖尿病に対する素因を決定するための組成物および方法 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、1997年2月21日出願の米国仮特許出願番号60/038,246(U’renら)の一部継続出願である。
承認
本発明は合衆国政府の支援で、国立保健研究所によって提供された助成金番号2R44DK45547-02号の下で行われた。合衆国政府は本発明に特定の権利を有する。
発明の分野
本発明は、HLA DQB1遺伝子座に対する複数の対立遺伝子特異的プローブの選択的かつ同時ハイブリダイゼーションのための方法に関する。HLA対立遺伝子の同時検出は、系列的なアッセイ法よりも迅速なスクリーニングを可能とする。本発明によって検出されるHLA DQB1対立遺伝子は、インスリン依存性糖尿病に対する感受性、またはインスリン依存性糖尿病からの防御に関連する。
発明の背景
HLAクラスII遺伝子クラスターは、免疫系の種々のリンパ球型に対してプロセスされた抗原を提示することによって、免疫活性化における本質的な役割を果たす。この役割は、侵入した病原に対する身体の正常な防御の際に機能的であるのみならず、自己免疫疾患を引き起こす自己組織に対する不適切な攻撃の際にも機能的である。I型糖尿病(IDDMまたはインスリン依存性糖尿病)において、この自己免疫攻撃は、インスリンの分泌および身体のグルコース代謝の調節をする膵臓の島細胞に対して行われる。数百もの可能性のあるHLA遺伝子の全てがこの不適切な自己免疫攻撃に関連しているわけではない。実際、25個の既知のHLA DQB1遺伝子のうちの2個(すなわち、DQB1 0201および0302)のみは、白人の疾患に高度に関連しており、一方、DQB1 0303対立遺伝子は、アジア人のIDDMにおいてより増大したリスクに関連する。加えて、これらの遺伝子のもうひとつであるDQB1 0602は、0302とのヘテロ接合体遺伝の一部として存在する場合、糖尿病に罹患する、このより増大したリスクを抑制する能力を有する。より稀であるDQB1 0202対立遺伝子は、糖尿病のリスクの判定に関して研究されていない。しかし、そのDNA配列が、DQB1 0201の配列と抗原結合領域で同一であるので、これは、DQB1 0201対立遺伝子と同様の増大したリスクを与えると考えられる。DQB1 0201および0302遺伝子の両方を遺伝される人の場合、I型糖尿病に罹患する増大したリスクは、200倍もの高さであり得る(J. Nepom, Diabetic Reviews 1:93(1993)参照)。
米国特許第5,039,606号「I型糖尿病素因についての診断プローブ」(1987年10月29日出願)は、DQB1 0302配列に対して特異的に反応性であるといわれるプローブ配列を記載する。しかし、その後のHLA配列決定(MarshおよびBodmer, Tissue Antigens, 45:258-280(1995)参照、これは本明細書中に参考として援用される)は、このプローブがDQB1 0302対立遺伝子に対して特異的ではないことを明らかにした。実際には、開示されたプローブは25個の既知のDQB1対立遺伝子のうちの9個、すなわち、0302、03032、0305、0401、0402、05031、05032、06011、および06012と反応する。
従って、高リスク対立遺伝子の全て:DQB1 0201、0202、0302、0303を特異的に検出するための組成物および方法が、当該分野で必要とされている。加えて、リスクを低減するDQB1対立遺伝子0602を特異的に検出するための組成物および方法が必要とされる。より詳細には、DQB1対立遺伝子0201、0202、0302、0303、および0602を、高容量の臨床試験に望ましい均一な低温アッセイ条件下で特異的かつ同時に検出する組成物および方法が必要とされる。非常に驚くべきことに、本発明はこれらの利点および他の利点を提供する。
発明の要旨
1つの局面において、本発明はヒト生物学的サンプル中のHLA DQB1対立遺伝子0201/0202、0302/0303、および0602の存在を検出する方法に関する。この方法は、ストリンジェントな条件下で、ヒト白血球抗原(HLA)DQB1遺伝子のコドン23〜40の配列を含むアンプリコンを、少なくとも3つの独特なヒト白血球抗原(HLA)DQB1対立遺伝子特異的プローブと接触させて、ハイブリダイゼーション複合体を形成する工程、およびこのハイブリダイゼーション複合体を、HLA DQB1対立遺伝子0201/0202、0302/0303、および0602の存在の指標として検出する工程を包含する。本発明のこの局面では、アンプリコンは2000塩基対長を越えず、そして少なくとも2つのプライマーで増幅され、ここでこの2つのプライマーのうちの1つは、ストリンジェントな条件下で、配列5’-GGAGCGCGTGCGTCTTGTG-3’(配列番号7)を有するプライマーと同じHLA DQB1対立遺伝子の核酸配列に選択的にハイブリダイズする。さらに、HLA DQB1対立遺伝子特異的プローブは、15と200との間のヌクレオチド長であり、そしてDQB1対立遺伝子特異的プローブの各々は少なくとも15の連続したヌクレオチドの核酸セグメントを含み、これはストリンジェントな条件下で、配列番号2、4、6、およびその相補的な配列からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドと同じHLA DQB1対立遺伝子の核酸配列に選択的にハイブリダイズする。対立遺伝子特異的プローブの各々は、同じストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で選択的にハイブリダイズする。
いくつかの実施態様では、アンプリコンは1000塩基対長を越えず、他の実施態様では、アンプリコンは700塩基対長を越えない。さらなる実施態様においては、核酸セグメントは、ストリンジェントな条件下で、配列番号2、配列番号4、配列番号6、およびその相補的な配列からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドの少なくとも18の連続した塩基に選択的にハイブリダイズする。好ましい実施態様においては、核酸セグメントは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、およびその相補的な配列からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドに相補的である。特に好ましい実施態様においては、アンプリコンは、コドン22〜41の配列中の任意の数の連続した塩基を有する配列をさらに含む。好ましくは、アンプリコンは、配列5’-TCTGGCTGTTCCAGTACTCGGC-3’(配列番号8)を有するプライマーと同じHLA DQB1対立遺伝子の核酸配列に、ストリンジェントな条件下で選択的にハイブリダイズするプライマーを、配列番号7で示される配列を有するプライマーと同じHLA DQB1対立遺伝子の核酸配列に、ストリンジェントな条件下で選択的にハイブリダイズするプライマーと組み合わせて用いて、生成される。
他の局面において、本発明は、ヒト生物学的サンプル中の、HLA DQB1対立遺伝子0201/0202、0302/0303、および0602の存在を検出する方法に関する。この方法は、ヒト白血球抗原(HLA)DQB1遺伝子のコドン23〜49の配列を含むアンプリコンを、少なくとも3つの独特なヒト白血球抗原(HLA)DQB1対立遺伝子特異的プローブと接触させて、ハイブリダイゼーション複合体を形成する工程、およびこのハイブリダイゼーション複合体を、HLA DQB1対立遺伝子0201/0202、0302/0303、および0602の存在の指標として検出する工程を包含する。本発明のこの局面では、アンプリコンは2000塩基対長を越えず、そして少なくとも2つのプライマーで増幅され、ここでこの2つのプライマーのうちの1つは、ストリンジェントな条件下で、配列5’-GGAGCGCGTGCGTCTTGTG-3’(配列番号7)を有するプライマーと同じHLA DQB1対立遺伝子の核酸配列に選択的にハイブリダイズする。さらに、HLA DQB1対立遺伝子特異的プローブは、15と200との間のヌクレオチド長であり、そしてDQB1対立遺伝子特異的プローブの各々は、少なくとも15の連続したヌクレオチドの核酸セグメントを含み、これはストリンジェントな条件下で、配列番号1、2、3、4、5、6、およびその相補的な配列からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドと同じHLA DQB1対立遺伝子の核酸配列に選択的にハイブリダイズし、ただし対立遺伝子特異的プローブの各々は、同じストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で選択的にハイブリダイズする。
いくつかの実施態様では、アンプリコンは1000塩基対長を越えず、他の実施態様では、アンプリコンは700塩基対長を越えない。他の実施態様においては、核酸セグメントは、ストリンジェントな条件下で、配列番号2、配列番号4、配列番号6、およびその相補的な配列からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドの、少なくとも18の連続した塩基に選択的にハイブリダイズする。好ましい実施態様においては、核酸セグメントは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、およびその相補的な配列からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドと相補的である。特に好ましい実施態様においては、アンプリコンは、コドン22〜50の配列における任意の数の連続した塩基を有する配列をさらに含む。好ましくは、アンプリコンは、配列5’-TCTGGCTGTTCCAGTACTCGGC-3’(配列番号8)を有するプライマーと同じHLA DQB1対立遺伝子の核酸配列に、ストリンジェントな条件下で選択的にハイブリダイズするプライマーを、配列番号7で示される配列を有するプライマーと同じHLA DQB1対立遺伝子の核酸配列に、ストリンジェントな条件下で選択的にハイブリダイズするプライマーと組み合わせて用いて、生成される。特に好ましい実施態様では、3つの独特なDQB1対立遺伝子特異的プローブは、配列番号1、3、および5、または配列番号2、4、および6で示される配列を有する。
他の局面において、本発明は、ヒト生物学的サンプル中の、HLA DQB1対立遺伝子0201/0202、0302/0303、および0602の存在を検出するためのキットに関する。このキットは、15〜100のヌクレオチド長の、少なくとも3つのプローブを含む。このプローブは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、およびその相補的な配列からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドと同じHLA DQB1対立遺伝子の核酸配列に相補的である核酸セグメントを含む。
本発明は、インスリン依存性糖尿病(IDDMまたはI型糖尿病)に対する感受性、またはその防御に関連するHLA対立遺伝子の存在を決定することにおける有用性を有する。
発明の詳細な説明
本発明は、ヒト生物学的サンプル中の、DQB1 0201/0202、0302/0303、および0602対立遺伝子の存在を特異的に検出する組成物および方法に関する。この方法は、IDDMを発症するリスクが高い患者あるいは低い患者を臨床医に警告することにおいて有用性を有する。この情報を用いて、臨床医は、例えば、患者の健康のモニタリングを増やし、そして食餌における変更を提案することができる。
本発明のPCRプライマーは、選択されたDQB1対立遺伝子の選択的な増幅を可能とする。本発明の捕獲配列(capture sequence)は、増幅された配列のサブセットを検出することを可能にする。驚くべきことに、上記のDQB1を同時に検出するには単一の塩基対ミスマッチを有するオリゴ間の識別を必要とするが、本発明の方法は、目的の対立遺伝子の検出を、予期せぬほどの感度および特異性で可能とする。
本発明の捕獲オリゴ配列は、各々、増幅された対立遺伝子0201/0202、0302/0303、および0602のセットから、1つ(そしてわずかに1つ)を分離する。しかし、それらは、0401、0402、0503、0601、および0603のような他の対立遺伝子を分離しない。これらの対立遺伝子は、正方向のPCRプライマーである配列番号7の中のミスマッチによって、増幅から除外される。これらのミスマッチは、単一の3’塩基対ミスマッチを含み、これは0603、0604、0605、0606、および0609対立遺伝子の増幅を妨げ、および3’末端からの5塩基の2つまたは3つの塩基対のミスマッチを含み、これは0301、0304、0401、0402、0501、0503、および0601対立遺伝子の増幅を妨げた。
驚くべきことに、これらの対立遺伝子の全てを選択的に増幅から除外して、他方で、所望の0201、0202、0302、0303、および0602対立遺伝子の増幅を妨げない、単一のPCR条件のセットが見いだすことができた。これは、これらのミスマッチのいくつかが至適な非3’末端位置とはいえないところにある場合に、特に当てはまる。PCR条件の高度なストリンジェンシー、かつ臨床サンプルから単離されたDNAの種々の純度に起因して、所望の増幅産物の収率が十分であることもまた驚くべきことである。DNAの二次構造および三次構造(ヘアピン)のような他の未知の事柄、およびヒトゲノムの中の可能性のある配列の全ての中でのプライマーの独特さもまた、所望の選択された対立遺伝子の増幅を妨げない。
さらに、本発明のプローブおよび方法は、均一な低温アッセイ条件下で複数のDQB1対立遺伝子を特異的に検出するのに驚くべき効果を証明する。これらの条件は、迅速な診断的アッセイが必要とされる臨床的な研究室において非常に所望される。従って、本発明は、試験される対立遺伝子の存在または非存在を、臨床的な研究室での高容量の要求に適合する条件下で、より効率的に決定することを可能とする。
定義
単位、接頭語、および記号は、そのSIで了承された形態で表され得る。特に指示のない限り、核酸は左から右へ5’から3’方向に記述される。数値範囲は、その範囲を規定する数を含む。すぐ下記で定義される用語は、本明細書を全体として参照して、より詳細に定義される。
用語「核酸」は、一本鎖または二本鎖形態のいずれかのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドポリマーをいうことを包含し、そして特に制限のない限り、天然に存在するヌクレオチドと同様の様式で核酸にハイブリダイズする天然のヌクレオチドの既知のアナログを示すこと包含する。
用語「単離された」または「生物学的に純粋」は、その物質が天然に存在する環境中で見いだされるようなものに通常付随する成分または相互作用する成分を、実質的または本質的に含まない物質をいうことを包含する。単離された物質は、必要に応じて、その天然の環境における物質を伴って見出されない物質を含む。
用語「独特な」は、3つのHLA DQB1セット:1)0201/0202、2)0301/0302、および3)0602のうちから1つのセット、そして唯一のセットだけに選択的にハイブリダイズする核酸セグメントをいうことを包含する。ここで「/」は、この核酸セグメントが、ストリンジェントな条件下で、このセット中の対立遺伝子のいずれかに選択的にハイブリダイズすることを示す。
用語「HLA DQB1」は、ヒト白血球抗原(HLA)DQ遺伝子によってコードされるクラスII HLAタンパク質のβ鎖のB1領域をいうことを包含する。
用語「HLA DQB」は、ヒト白血球抗原(HLA)DQ遺伝子によってコードされるクラスII HLAタンパク質のβ鎖をいうことを包含する。
用語「対立遺伝子」は、遺伝子の変異体(variant)または遺伝子内のある領域をいうことを包含する。
用語「HLA DQB1対立遺伝子特異的プローブ」は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、ヒト生物学的サンプル中の他の核酸よりも検出可能に高い度合いでHLA DQB1対立遺伝子の領域に選択的にハイブリダイズするプローブをいうことを包含する。一般に、選択的ハイブリダイゼーションは、バックグラウンドよりも少なくとも2倍のシグナルを提供する。
用語「核酸のセグメント」または「核酸セグメント」は、10〜75のヌクレオチド長またはヌクレオチドアナログ長の核酸配列、あるいはこのような配列のコンカテマーをいうことを包含する。
用語「増幅された」は、核酸配列の複数のコピー、または少なくとも1つの核酸配列を鋳型として用いた核酸配列に相補的な複数のコピーの構築物をいうことを包含する。増幅系は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)系、リガーゼ連鎖反応(LCR)系、核酸配列に基づく増幅(NASBA、Cangene, Mississauga, Ontario)、Q-Betaレプリカーゼ系、転写に基づく増幅系(TAS)、および鎖置換増幅(strand displacement amplification(SDA))を包含する。例えば、Diagnostic Molecular Microbiology: Principles and Applications, D.H. Persingら編、American Society for Microbiology, Washington, D.C.参照。
参照核酸からの「連続したヌクレオチド」という用語は、参照核酸におけるのと同じ順序を有するヌクレオチド配列をいい、および参照核酸におけるのと同じヌクレオチドに直接隣接した(すなわち、追加または欠失なしの)ヌクレオチドの配列をいうことを包含する。
用語「オリゴヌクレオチド」プローブは、二本鎖および/または一本鎖DNAまたはRNAをいうことを包含する。この用語はまた、非核酸夾雑物を本質的に含まない合成または組換え由来の配列をいうことを包含する。
2つの一本鎖核酸配列について言及する際の用語「相補的」は、それらの配列内の連続したヌクレオチドが、塩基対形成領域内に1つの塩基対ミスマッチも許容しない(intolerant)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で塩基対を形成し得、そしてハイブリダイゼーション複合体を形成し得ることを示すことを含む。これらの連続した領域は互いに「相補体」である。相補的な配列は15から200ヌクレオチド長であり、そして好ましくは18から50ヌクレオチド長である。ヌクレオシドおよびヌクレオシドアナログについてのプリン:ピリミジン塩基対の法則(例えば、G:C、A:T、A:U)は当該分野で公知である。例えば、Recombinant DNA, Watsonら(編)、Scientific American Books, New York, New York(1992)参照。
「独特な」核酸に言及する際の用語「同じストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で選択的にハイブリダイズする」とは、特定のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、独特な核酸の各々が、その相補体に対して非相補的な核酸よりも検出可能に高い度合いで選択的にハイブリダイズし得ることを意味する。一般に、独特な核酸はその相補体に対して、非相補的な核酸よりも少なくとも2倍多く選択的にハイブリダイズし得る。好ましくは、少なくとも5倍多く、より好ましくは少なくとも10倍多い。
用語「接触」または「接触する」とは、直接的な物理的会合状態に配置することを示すことを含む。
用語「アンプリコン」とは、「増幅された」核酸を示すことを含む。
用語「コドン」とは、普遍的な遺伝暗号に従ってアミノ酸をコードするヌクレオチドの三塩基連鎖を示すことを含む。
用語「ハイブリダイゼーション複合体」とは、2つの一本鎖核酸の互いとの選択的ハイブリダイゼーションによって形成される二重鎖核酸配列を示すことを含む。
特定の核酸配列に言及する際の用語「ヌクレオチド長」とは、5’から3’に結合する様式で共有結合したヌクレオチドの示された数を有する配列を示すことを含む。
用語「塩基対長」とは、対形成した連続したヌクレオチド塩基の数について測定した二つ組の核酸構造の長さを示すことを含む。
用語「プライマー」とは、標的核酸に相補的な核酸配列を含む核酸配列であって、この標的を塩基対形成の鋳型として用いてDNAまたはRNAポリメラーゼによる核酸鎖の延長を開始し得る核酸配列を示すことを含む。プライマーは少なくとも15ヌクレオチド長であり、より代表的には少なくとも17、18、または19ヌクレオチド長であり、そして好ましくは少なくとも20、21、22、23、24、または25ヌクレオチド長である。
特定のプライマーに言及する際の用語「アンプリコンが生成される」とは、鋳型鎖からアンプリコンを形成するDNAまたはRNA重合を開始する特定のプライマーの使用を示すことを含む。
用語「ストリンジェントな条件」または「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、その条件下でプローブがその標的サブ配列にハイブリダイズするが、他の配列にはハイブリダイズしない条件を示すことを含む。ストリンジェントな条件は配列に依存し、そして異なる状況下では異なる。長い配列ほど高い温度で特異的にハイブリダイズする。ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度およびpHで、特定の配列についての熱的融解温度(Tm)の5℃以内(±5℃)である。一般に、ストリンジェントな条件は熱的融解温度(Tm)より約5℃低く選択される。Tmは(規定のイオン強度、pH、および核酸濃度において)標的配列に対して相補的なプローブの50%が標的配列に平衡状態でハイブリダイズする温度である。(標的配列は通常過剰に存在するので、Tmにおいて、プローブの50%が平衡状態で占有される)。代表的には、ストリンジェントな条件は、塩濃度がpH7.0から8.3で約1.0M Naイオン(または他の塩)であり、そして温度がTmより5℃低い条件であり、ここで摂氏でのTmは、短いプローブ(例えば、10から50ヌクレオチド)については、プローブ/標的二重鎖の配列の連続長の2×A+T含量+4×G+C含量である。より低温でのストリンジェントな条件は、ホルムアミドまたはチオシアン酸グアニジンのような不安定化剤を添加することによっても達成され得る。
核酸ハイブリダイゼーションアッセイフォーマットの文脈での「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」または「ストリンジェントな条件」は配列に依存し、そして異なる環境パラメータの下では異なる。核酸のハイブリダイゼーションの広範囲なガイドはTijssen(1993)Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology--Hybridization with Nucleic Acid Probes第1部、第2章「ハイブリダイゼーション原則の概要と核酸プローブアッセイの戦略」、Elsevier, New Yorkに見いだされる。ストリンジェントな条件は配列に依存し、そして異なる状況下では異なる。長い配列ほど高い温度で特異的にハイブリダイズする。
本明細書において使用される場合、「ヒト生物学的サンプル」は、HLA DQB1核酸を含むヒト由来の生物学的組織または体液のサンプルである。このようなサンプルは、痰、羊水、血液、血球細胞、または組織を含むがこれらに限定されない。生物学的サンプルはまた、組織学的な目的で採取された凍結切片のような組織切片または培養ヒト細胞を含み得る。
用語「検出する」とは、程度または度合いを定量的または定性的に決定することを示すことを含む。
用語「選択的にハイブリダイズする」または「選択的ハイブリダイゼーション」とは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、核酸配列が非標的核酸配列にハイブリダイズするよりも検出可能に高い度合いで特定の核酸標的配列にハイブリダイズすることを示すことを含む。選択的にハイブリダイズする配列は互いに100%の配列同一性(すなわち相補性)を有する。「配列同一性のパーセンテージ」は、2つの至適に整列された配列を、比較される配列の長さにわたって比較することによって決定され、ここで比較ウインドウ中のポリヌクレオチド配列の部分は、2つの配列の至適な整列について、参照配列(これは付加または欠失を含まない)と比較して付加または欠失(すなわちギャップ)を含み得る。パーセンテージは、両方の配列中に同一の核酸塩基が生じる位置の数を決定してマッチした位置の数を得、このマッチした位置の数を比較のウインドウの中の位置の総数で除し、そして結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算される。
核酸プローブ
本発明は、ヒト生物学的サンプル中の、ヒト白血球抗原(HLA)対立遺伝子:0201/0202、0302/0303、および0602の存在または非存在を検出するための核酸組成物を提供する。これらの対立遺伝子の配列は当該分野で公知である。例えば、Tissue Antigens 45:258-280(1995)参照。この核酸組成物は少なくとも2つ、好ましくは3つの単離されたHLA DQB1プローブを含み、その各々は、ストリンジェントな条件下でこれらの3つのセットのHLA DQB1対立遺伝子:1)0201/0202、2)0302/0303、および3)0602のうちの1つのセットの選択的なハイブリダイズに特異的である。「/」は、この特定のセットの対立遺伝子のうちのいずれかがストリンジェントな条件下でプローブに選択的にハイブリダイズすることを示す。なぜなら、この対立遺伝子は、核酸セグメントとハイブリダイズする領域で100%の配列同一性を有するからである。当業者は、1つまたは2つの異なるDQB1対立遺伝子が2倍体ゲノム中でコードされることを認識する。(すなわち、1つの1倍体染色体セット当たり1つのDQB1対立遺伝子)。本発明のHLA DQB1対立遺伝子特異的プローブはRNAもしくはDNAまたはそのキメラの組成物であり得る。さらに、ヌクレオシドのアナログは、天然に存在するヌクレオシドと置換され得る。アナログの利点には、より高い安定性、ヌクレアーゼ活性に対する耐性、およびシグナル付加の容易さが挙げられる。
DQB1領域に対して特異的であることに加えて、プローブの各々は、各プローブがストリンジェントな条件下で3つのセット:1)0201/0202、2)0302/0303、および3)0602のうちわずか1つの対立遺伝子のセットに選択的にハイブリダイズする核酸セグメントを含むという点で、組成物中の他のHLA DQB1対立遺伝子特異的プローブから独特である。本発明のHLA対立遺伝子特異的プローブは、同じストリンジェンシー条件下(すなわち、同様な融解温度を有する)で選択的にハイブリダイズする。これを達成するために、好ましく利用されるプローブは、配列番号1、3、および5、または配列番号2、4、および6のオリゴヌクレオチドと同じ核酸配列にハイブリダイズする。配列番号1、3、および5のオリゴヌクレオチドはその相補的な配列と同じTmを有し、配列番号2、4、および6のオリゴヌクレオチドも同様である。
当業者は、HLA対立遺伝子特異的プローブは複数の核酸セグメントを含み得るが、このセグメントの各々が同じ対立遺伝子に対して独特であることを認識する。従って、本発明のプローブは3つのセット:1)0201/0202対立遺伝子、2)0302/0303対立遺伝子、および3)0602対立遺伝子のうちから1つより多いセットの対立遺伝子に交差ハイブリダイズしない。プローブは少なくともNヌクレオチド長であり、ここでNは15〜200からなる群から選択される整数のうちの任意の整数である。一般に、プローブは少なくとも18ヌクレオチド長であり、好ましくは少なくとも19、20、21、22または23ヌクレオチド長である。
プローブは少なくともN’ヌクレオチド長の核酸セグメントを含み、ここでN’は15〜75ヌクレオチドからなる群から選択される整数のうちの任意の整数である。核酸セグメントは、ストリンジェントな条件下で:0201/0202対立遺伝子については、5’-CGTGGGGGAGTTCCGGGCGGTG-3’(配列番号1)または5’-AAGAGATCGTGCGCTTCGACA-3’(配列番号2);0302/0303対立遺伝子については、5’-CGTGGGGGTGTATCGGGCGGTG-3’(配列番号3)または5’-AGGAGTACGCACGCTTCGACA-3’(配列番号4);0602対立遺伝子については、5’-CGTGGGGGTGTACCGCGCGGTG-3’(配列番号5)または5’-GGAGTACGCGCGCTTCGAC-3’(配列番号6)、および配列番号1から6までの相補的な配列からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドと同じHLA DQB1対立遺伝子の核酸配列に選択的にハイブリダイズする。代表的には、核酸セグメントは、少なくとも18、19、20、21、または22ヌクレオチド長である。好ましくは、核酸セグメントは、配列番号1、2、3、4、5、6で示される核酸配列、または配列番号1、2、3、4、5、または6の相補的な配列を含む。
当業者に理解されるように、HLA DQB1対立遺伝子特異的プローブの長さは、一般的に、所望の目的で必要であるほどに短くあるべきである。さらに、核酸セグメントを構成しないプローブ配列はストリンジェントな条件下でHLA DQB1対立遺伝子プローブの核酸セグメントに選択的にハイブリダイズするべきではなく(そして、おそらく、DQB1対立遺伝子へのハイブリダイゼーションを防ぐことにより、偽陰性になる)、非核酸セグメントプローブ配列もストリンジェントなアッセイの条件下で、ヒト生物学的サンプル中での核酸の存在が偽陽性に通じる核酸と実質的に交差ハイブリダイズすべきではない。例えば、プローブの非核酸セグメントはストリンジェントなアッセイの条件下で、サンプル中でのHLA対立遺伝子の存在がアッセイされないようなHLA対立遺伝子(または他のヒト核酸配列)のセグメントに実質的にハイブリダイズすべきではない。「実質的に〜ない(not substantially)」とは、ストリンジェントな条件下でのプローブの核酸セグメントとそのDQB1標的対立遺伝子との間の選択的なハイブリダイゼーションよりも検出可能により低い度合いを意味する。代表的には、これはポジティブコントロールのハイブリダイゼーションの少なくとも半分の度合いのハイブリダイゼーションをいう。
核酸アッセイにおける特定の配列の適合性を決定するためのアッセイは、目的のHLA DQB1対立遺伝子の選択的な検出を確実にするためのポジティブコントロール、ネガティブコントロール、および/または手順のコントロール(procedural control)を使用することとして、公知である。さらに、多数のヒト核酸配列がデータベースにおいて利用可能である(例えば、GenBankまたはEMBL)。これらの配列は市販のソフトウェアを用いて、プローブの核酸セグメントの外側の任意の核酸配列領域とのストリンジェントな条件下での潜在的なハイブリダイゼーションついて試験され得る。加えて、ヒト生物学的サンプルを処理して、潜在的な交差ハイブリダイズする配列(例えば、差し引きハイブリダイゼーション)を除去し得、あるいはサンプルを、目的のHLA DQB1対立遺伝子の領域に関して富化して(例えば、0201/0202、0302/0303、または0602のPCR増幅)、潜在的に妨害する配列を希釈し得る。
核酸組成物のHLA DQB1対立遺伝子特異的プローブは、同じストリンジェントな条件下で選択的にハイブリダイズするように設計される。従って、プローブの融解温度は実質的に同様に選択される。一般に、プローブの融解温度の範囲は5℃を越えず、好ましくは4℃、3℃、または2℃を越えず、より好ましくは1℃を越えず、最も好ましくは1℃未満である。規定のイオン濃度下でのプローブの融解温度を決定するためのコンピュータのアルゴリズムは当該分野で公知である(例えば、市販のコンピュータプログラムOLIGO(バージョン3.3)、Research Genetics, Huntsville, Alabama参照)。
多くの配列がプライマーの構築に使用され得るが、至適な増幅プライマーの選択は、代表的には、所望のハイブリダイゼーション特性を有するプライマー配列の選択を補助するためにコンピュータを用いて行われる。これは、既知の配列に基づき、所望のハイブリダイゼーション特性を有するプライマー(例えば、選択された長さおよびG:C比を有するもの)をコンピュータでスクリーニングすることによって行われる。プライマーのハイブリダイゼーション特性の選択は、プライマーの所望のハイブリダイゼーションおよび弁別特性に依存する。一般に、プライマーが長いほど融解温度は高い。しかし、長いプライマーは、それほど特異的でない。なぜなら、ひとつのミスマッチは、短い核酸二重鎖上のひとつのミスマッチよりハイブリダイゼーションについての不安定化効果が少ないからである。従って、長いプライマーは所望されないPCR産物を産生し得る。当業者は核酸ハイブリダイゼーションおよびプライマー選択の理論およびその実施に徹底的に精通していることが予期される。Gait編、Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach, IRL Press, Oxford(1984);W.H.A. Kuijpers Nucleic Acids Research 18(17), 5197(1994);K.L.Dueholm J. Org. Chem. 59, 5767-5773(1994);S. Agrawal(編)Methods in Molecular Biology, 第20巻;およびTijssen(1993)Laboratory Techniques in biochemistry and molecular biology--hybridization with nucleic acid probes、例えば第1部第2章「ハイブリダイゼーションの原理および核酸プローブアッセイの戦略についての概要」、Elsevier, New Yorkは核酸ハイブリダイゼーションの基本的なガイドを提供する。Innisら(PCR Protocols. A Guide to Methods and Application(Academic Press, Inc., San Diego, CA. 1990))はプライマー選択の概要を提供する。
本発明の単離された核酸組成物は、RNA、DNA、もしくはこれら2種のハイブリッドのいずれであれ、生物学的供給源から単離されるか、またはインビトロで合成される。これらの目的を達成するクローニングの方法論、および核酸の配列を検証する配列決定法は当該分野で周知である。例えば、大量のプローブを得るために、本発明のプローブをコードする核酸をpBR322、M13のような複製ベクター中に、あるいはSP6プロモーターを含むベクター(例えば、SP6 RNAポリメラーゼを用いる一本鎖RNAの生成)中に挿入し得、そして細菌宿主を形質転換し得る。DNAプローブは宿主細胞から、溶解および核酸抽出、選択された制限酵素による処理、およびゲル電気泳動によるさらなる単離によって、精製され得る。適切なクローニングおよび配列決定の技術の例、ならびに当業者に直接多くのクローニングの演習を通して指導するに十分な指示は、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual(第2版、第1〜3巻、Cold Spring Harbor Laboratory(1989)), Methods in Enzymology, 第152巻:Guide to Molecular Cloning Techniques(BergerおよびKimmel(編))、San Diego:Academic Press, Inc.(1987))、またはCurrent Protocols in Molecular Biology,(Ausubelら(編)、Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York(1987)に見いだされる。生物学的試薬および実験装置の製造者からの製品情報もまた公知の生物学的方法において有用な情報を提供する。このような製造者としては、SIGMA chemical company(Saint Louis, MO)、R&D systems(Minneapolis, MN)、Pharmacia LKB Biotechnology(Piscataway, NJ)、CLONTECH Laboratories, Inc.(Palo Alto, CA)、Chem Genes Corp., Aldrich Chemical Company(Milwaukee, WI)、Glen Research, Inc., GIBCO BRL Life Technologies, Inc.(Gaithersberg, MD)、Fluka Chemica-Biochemika Analytika(Fluka Chemie AG, Buchs, Switzerland)、Invitrogen, San Diego, CAおよびApplied Biosystems(Foster City, CA)ならびに当業者に公知の多くの他の商業的な供給源が挙げられる。
デオキシヌクレオチドは、BeaucageおよびCaruthers(1981)、Tetrahedron Letts., 22(20):1859-1862に記載の固相ホスホルアミダイトトリエステル法に従って、例えば、自動合成機(例えば、Needham-VanDevanterら、(1984)Nucleic Acid Res., 12:6159-6168)に記載のような)を用いて、化学的に合成され得る。化学合成は一本鎖オリゴヌクレオチドを産生する。これは、相補的な配列とのハイブリダイゼーションによって、あるいは鋳型として一本鎖を用いるDNAポリメラーゼを用いた重合によって、二本鎖DNAに転換され得る。当業者は、DNAの化学合成は約100塩基の配列に限定される一方で、それより長い配列は、より短い配列の連結によって得られ得ることを認識する。
核酸アッセイ
本発明は、ヒト生物学的サンプル中でHLA DQB1対立遺伝子:0201/0202、0302/0303、または0602の存在を検出する方法を提供する。当業者によって理解されるように、核酸プローブのサンプル中の標的1本鎖相補的配列への選択的ハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーション複合体(2重鎖構造を含む)を産生する。ハイブリダイゼーション複合体の検出は、サンプルにおける標的配列の存在の指標である。
本発明の方法の1つの局面において、コドン23からコドン41までの配列をコードするアンプリコンは、ストリンジェントな条件下で、少なくとも2つの独特なHLA DQB1対立遺伝子特異的プローブと接触される。コドンの番号づけは、Tissue Antigens 45:258(1995)(本明細書中で参考として援用する)に提供される。各プローブは、ストリンジェントな条件下で、3つのセット:1)0201/0202、2)0302/0303、および3)0602由来のHLA DQB1対立遺伝子の1セット(および1セットを越えない)と選択的にハイブリダイズする。従って、特異的であることに加え、プローブは、ストリンジェントな条件下で、HLA DQB1対立遺伝子の異なるセット(すなわち、標的対立遺伝子)に、非DQB1対立遺伝子より検出可能に大きな程度で選択的にハイブリダイズする点において、独特である。好ましくは、少なくとも3つの独特なHLA DQB1対立遺伝子特異的プローブがこの方法で用いられる。これら3つの独特なプローブは、ストリンジェントな条件下で、3つの対立遺伝子のセット:1)0201/0202、2)0302/0303、および3)0602に選択的にハイブリダイズする。本発明のHLA DQB1プローブによるプローブの標的対立遺伝子への選択的なハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーション複合体の形成をもたらす。
本発明のHLA DQB1対立遺伝子特異的プローブの特徴は、上記においてより十分に討論されている。上記に示すように、各々のHLA DQB1対立遺伝子特異的プローブとしては、0201/0202対立遺伝子について5’-AAGAGATCGTGCGCTTCGACA-3’(配列番号2);0302/0303対立遺伝子について5’-AGGAGTACGCACGCTTCGACA-3’(配列番号4);0602対立遺伝子について5’-GGAGTACGCGCGCTTCGAC-3’(配列番号6)、ならびに配列番号2、4、および6の相補的な配列からなる群より選択されたオリゴヌクレオチドと同一のHLA DQB1対立遺伝子の核酸配列に、ストリンジェントな条件下で選択的にハイブリダイズする少なくとも15ヌクレオチドの長さの核酸セグメントが挙げられる。好ましい実施態様において、プローブは配列番号2、4、および6に示された配列を有する。
コドン23からコドン41までの配列を含有するアンプリコンは、N”ヌクレオチド長である。ここで、N”は18〜2000の整数の任意の1つより選択された整数である。代表的には、アンプリコンは、1500ヌクレオチド長を越えず、好ましくは1000ヌクレオチド長を越えず、より好ましくは700を越えず、そして最も好ましくは200ヌクレオチド長を越えない。好ましい実施態様において、コドン23からコドン40までの配列を含有するアンプリコンは、さらにコドン22の上流へ伸びる任意の数の連続したヌクレオチドを含有する。特に好ましい実施態様において、アンプリコンは、配列番号7番の配列を有するプライマーと同一のHLA DQB1対立遺伝子の核酸配列とストリンジェントな条件下で選択的にハイブリダイズするプライマーを用いて増幅される。
別の局面において、本発明は、ヒト生物学的サンプル中のHLA DQB1対立遺伝子0201/0202、0302/0303、および0602の存在を検出する方法を提供する。本発明のこの局面または何らかの別の局面の種々の実施態様は、一般的に明細書全体に援用され得るが、本発明のこの局面において、アンプリコンはHLA DQB1遺伝子のコドン23からコドン50までの配列を含有する。アンプリコンは、ストリンジェントな条件下で、少なくとも2つの独特なHLA DQB1対立遺伝子特異的プローブと接触する。各プローブは、3つのセット:1)0201/0202、2)0302/0303、および3)0602由来のHLA DQB1対立遺伝子の1つの(そして1つを越えない)セットと、ストリンジェントな条件下で選択的にハイブリダイズする。好ましくは、少なくと3つの独特なHLA DQB1対立遺伝子特異的プローブは、DQB1対立遺伝子の3つのセットの各々とストリンジェントな条件下で選択的にハイブリダイズする方法において用いられる。
アンプリコンは、DQB1対立遺伝子特異的プローブと接触する。DQB1対立遺伝子特異的プローブとしては、0201/0202対立遺伝子について5’-CGTGGGGGAGTTCCGGGCGGTG-3’(配列番号1);0302/0303対立遺伝子について5’-CGTGGGGGTGTATCGGGCGGTG-3’(配列番号3);0602対立遺伝子について5’-CGTGGGGGTGTACCGCGCGGTG-3’(配列番号5)、ならびに配列番号1、3、および5の相補的な配列からなる群より選択されたオリゴヌクレオチドと同一のHLA DQB1対立遺伝子の核酸配列に、ストリンジェントな条件下で、選択的にハイブリダイズする少なくとも15ヌクレオチド長の核酸セグメントが挙げられる。好ましい実施態様において、核酸セグメントは、0201および0202対立遺伝子について、
5’-CGTGGGGGAGTTCCGGGCGGTG-3’(配列番号1)、
5’-AAGAGATCGTGCGCTTCGACA-3’(配列番号2)、0302/0303対立遺伝子について
5’-CGTGGGGGTGTATCGGGCGGTG-3’(配列番号3)、
5’-AGGAGTACGCACGCTTCGACA-3’(配列番号4)、0602対立遺伝子について
5’-CGTGGGGGTGTACCGCGCGGTG-3’(配列番号5)、
5’-GGAGTACGCGCGCTTCGAC-3’(配列番号6)、ならびに配列番号1、2、3、4、5、および6の相補的な配列、からなる群より選択されたオリゴヌクレオチドと同一のHLA DQB1対立遺伝子の核酸配列に、ストリンジェントな条件下で、選択的にハイブリダイズする。所望される場合、種々のプローブまたはそれらの相補物との組み合わせが使用され得る。さらに、単一または複数いずれかのプローブが標的対立遺伝子に選択的にハイブリダイズするために使用され得る。例えば、配列番号1のオリゴヌクレオチドと同一の核酸に選択的にハイブリダイズするプローブは、独立して、または配列番号2のオリゴヌクレオチドと同一の核酸に選択的にハイブリダイズするプローブとの組み合わせで用いられ得る;これらのプローブは標的対立遺伝子0201/00202を検出する。配列番号3の核酸のオリゴヌクレオチドと同一の核酸に選択的にハイブリダイズするプローブは、独立して、または配列番号4のオリゴヌクレオチドと同一の核酸に選択的にハイブリダイズするプローブとの組み合わせで用いられ得る;これらのプローブは標的対立遺伝子0302/0303を検出する。配列番号5のオリゴヌクレオチドと同一の核酸に選択的にハイブリダイズするプローブは、独立して、または配列番号6のオリゴヌクレオチドと同一の核酸に選択的にハイブリダイズするプローブとの組み合わせで用いられ得る;これらのプローブは標的対立遺伝子0602を検出する。
いくつかの実施態様において、核酸セグメントは、配列番号1、2、3、4、5、6、およびこれらの相補的な配列からなる群より選択されるオリゴヌクレオチドの、少なくとも連続した18塩基と、ストリンジェントな条件下で、選択的にハイブリダイズずる。好ましい実施態様において、核酸セグメントは、配列番号1、2、3、4、5、6ならびに配列番号1、2、3、4、5、および6の相補的な配列からなる群より選択されるオリゴヌクレオチドに相補的である。一般的に、コドン23から50までの配列を含有するアンプリコンは、さらにコドン22の上流へ伸びる任意の数の連続したヌクレオチドを含有する。特に好ましい実施態様において、本発明の核酸アッセイは、配列番号1、2、3、4、5、および6に示される配列を有するプローブを用いて行われる。ここで、配列番号2、4、および6のプローブまたは配列番号1、3、および5のプローブは、組み合わせて使用される。配列番号1、3、および5、または2、4、および6に示される配列を有するプローブは、実質的に同様の融解温度を有する。
アンプリコンを産生する手段は、本発明の決定的側面ではない。好ましい実施態様において、アンプリコンはPCRを用いて産生される。PCR方法および手順の総説については、例えば、Innisら編、PCR Protocols. A Guide to Methods and Application(Academic Press, Inc., San Diego, CA. 1990)を参照のこと。PCR試薬および手順もまた、Roche Molecular Systemsのような市販品販売者から入手可能である。手短に言えば、PCRの各サイクルの第一工程は、プライマー伸長により形成された核酸2重鎖の分離する工程を含む。一旦、鎖が分離されると、PCRにおける次の段階は、標的配列近傍の分離鎖にプライマーをハイブリダイズする工程を含む。次いで、プライマーは伸長され、標的鎖の相補的なコピーを形成する。成功したPCR増幅のために、プライマーは、各プライマーが2重鎖配列に沿ってハイブリダイズする位置が、1つのプライマーから合成された伸長産物がテンプレート(相補物)より分離される場合に、他のプライマーの伸長のためのテンプレートとなるように設計される。変性、ハイブリダイゼーション、および、伸長のサイクルは、所望の量の増幅された核酸を得るのに必要な回数繰り返される。
PCRプロセスの好ましい実施態様において、鎖の分離はポリメラーゼの不可逆的な変性を起こさないが、2重鎖の変性を起こすのに十分な時間、十分に高い温度に反応物を加熱することにより達成される(米国特許第4,965,188号を参照のこと)。PCRにおけるプライマーのテンプレート依存的な伸長は、適切な塩、金属カチオン、およびpH緩衝系から構成される反応培地中で、適切な量の4つのデオキシリボヌクレオチド3リン酸(代表的にはdATP、dGTP、dCTP、およびdTTP)の存在下で重合化剤により触媒される。適切な重合化剤は、テンプレート依存的DNA合成を触媒することが公知の酵素である。
本発明の方法の好ましい実施態様において、アンプリコンは、ストリンジェントな条件下で、1つのプライマーとして配列5’-GGAGCGCGTGCGTCTTGTG-3’(配列番号7)(これは、コドン22から増幅を開始する)を有するプライマーと同一のDQB1対立遺伝子の核酸配列に選択的にハイブリダイズするプライマーを用いて産生される。配列番号7のプライマーとともに少なくともコドン40までの領域を増幅するプライマーは、公開されたHLA配列(MarshおよびBodmer, Tissue Antigens, 45:258-280(1995))を用いて設計され得る。当業者は、プライマーは増幅条件下で所望のHLA領域と選択的にハイブリダイズするのに十分な長さであるべきだと理解する。特に好ましい実施態様において、アンプリコンは、配列番号8に示される配列5’-TCTGGCTGTTCCAGTACTCGGC-3’を有するプライマーと同一のDQB1対立遺伝子の核酸配列に、ストリンジェントな条件下で、選択的にハイブリダイズするプライマーとの組み合わせて、配列番号7を用いて産生される。好ましくは、本発明のプライマーは、配列番号7および/または配列番号8に示した配列を有する。必要に応じて、プライマーは、50ヌクレオチド長にすぎず、そして好ましくは25ヌクレオチド長にすぎない5’配列を含み得る。さらなる配列は、標的対立遺伝子に相補的または非相補的(例えば、プライマー「テール(tail)」)であり得る。
ハイブリダイゼーションの形式および条件
種々の核酸ハイブリダイゼーション形式は、当業者にとって公知であり、そして本発明の方法で使用され得る。例えば、一般的な形式としては、サンドイッチアッセイおよび競合アッセイまたは置換アッセイが挙げられる。ハイブリダイゼーション技術は、一般に、BergerおよびKimmel((1987)前出);「Nucleic Acid Hybridization, A Practical Approach」(Hames, B.D.およびHiggins, S.J.(編)、IRL Press, 1985);GallおよびPardue、(Proc. Natl. Acad. Sci., U.S.A. 63:378-383(1969));ならびにJohn, BurnsteilおよびJones(Neture, 223:582-587(1969))に記載されている。好ましい実施態様としては、用いたハイブリダイゼーションアッセイ方法は、本明細書と同一日に提出され、そして代理人整理番号018048-000300USを有する、同一出願人による特許出願(この教示を本明細書中で参考として援用する)において記述される。
サンドイッチアッセイは、核酸配列の検出または単離のための商業的に有用なハイブリダイゼーションアッセイである。このようなアッセイは、溶液中の固体支持体および標識された「シグナル」核酸へ共有結合で固定される「捕獲」核酸を利用する。生物学的サンプルは標的核酸を提供する。「捕獲」核酸プローブおよび「シグナル」核酸プローブは、「サンドイッチ」ハイブリダイゼーション複合体を形成するために標的核酸とハイブリダイズする。効果的であるために、シグナル核酸は、捕獲核酸とハイブリダイズし得ない。
インサイチュハイブリダイゼーションにおいて、標的核酸は、細胞内でのハイブリダイゼーションが可能となるようにその細胞環境から遊離され、一方引き続く解釈および分析のための細胞形態学を維持する。以下の文献はインサイチュハイブリダイゼーションの当該分野の概要を提供する:Singerら、Biotechniques 4(3):230-250(1986);Haaseら、Methods in Virology、第VII巻、189-226頁(1984); Wilkinson、「The theory and practice of in situ hybridization」: In situ Hybridization、D.G.Wilkinson編.IRL Press,Oxford University Press,Oxford;およびNucleic Acid Hybridization: A Practical Approach、Hames,B.D.およびHiggins,S.J.編,IRL Press(1987)。
核酸アッセイにおける使用のためのヒト細胞から全DNAまたはmRNAを単離する方法は、当業者に周知である。例えば、核酸の単離および精製の方法は、Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biologyの第3章: Hybridization With Nucleic Acid Probes、第1部.Theory and Nucleic Acid Preparation、P. Tijssen編、Elsevier,N.Y.(1993)に詳細に記載されている。
当業者らは、ハイブリダイゼーションの種々の度合いのストリンジェンシーがアッセイに使用され得ることを理解する;そしてハイブリダイゼーションまたは洗浄培地のいずれかがストリンジェントであり得る。ハイブリダイゼーションの条件がよりストリンジェントになるように、二重鎖形成が生じるためのプローブと標的との間はより高度な相補性でなければならない。ストリンジェンシーの程度は、温度、イオン強度、pH、およびホルムアミドのような部分的な変性溶剤の存在によって制御され得る。例えば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、0%〜50%の範囲内でホルムアミドの濃度の操作を通して、反応溶液の極性を変えることによって、都合よく変化される。ハイブリダイゼーションの形式または緩衝液は、本発明の重要な局面ではなく、そして当業者は、核酸ハイブリダイゼーション、核酸増幅、および核酸検出におけるさらなる進展、改良、または変更が、本発明の範囲内であることを理解する。
検出
ハイブリダイゼーション複合体が検出されることによる手段は、本発明の決定的局面ではなく、そして現在公知または後に開発される任意の多数の方法によって達成され得る。目的のHLA DQB1対立遺伝子へ選択的にハイブリダイズし得る核酸プローブは、ハイブリダイズした核酸の存在を検出するために、代表的に使用されるいくつかの方法のうちの任意の1つによって標識され得る。本発明の使用のために適切である検出可能な標識は、分光学的方法、放射性同位体的方法、光化学的方法、生化学的方法、免疫化学的方法、電気的方法、光学的方法または化学的方法によって検出可能な任意の組成物を含む。検出の1つの一般的な方法は、3H、125I、35S、14C、または32Pなどで標識されるプローブを使用するオートラジオグラフィーの使用である。放射活性アイソトープの選択は、選択されるアイソトープの合成の容易さ、安定性および半減期の容易さに起因する研究優先度に依存する。他の標識は、発蛍光団、化学発光試薬、および酵素で標識される抗体に結合するリガンドを含む。あるいは、プローブは、発蛍光団、化学発光試薬、または酵素のような標識と直接結合され得る。標識の選択は、要求される感度、プローブとの結合の容易さ、要求される安定性、および利用可能な機器に依存する。
標識の選択は、標識がプローブに結合される様式を決定する。放射活性プローブは、代表的には、所望の放射活性アイソトープを含む市販のヌクレオチドを使用して作製される。放射活性ヌクレオチドは、例えば、DNA合成機によって、DNAポリメラーゼIによるニックトランスレーションによって、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼでプローブの3’末端へ放射活性DNA塩基をテーリングすることによって、放射活性デオキシヌクレオチド(dNTP)の存在下でDNAポリメラーゼのKlenowフラグメントを用いて特異的な挿入物を有する一本鎖M13プラスミドを処理することによって、放射活性デオキシヌクレオチド(dNTP)の存在下で逆転写酵素を使用してRNAテンプレートから転写することによって、または放射活性リボヌクレオチドrNTPの存在下で対応するRNAポリメラーゼ(例えば、SP6 RNAポリメラーゼ)を使用して、特異的RNAウイルスプロモーター(例えば、SP6プロモーター)を含むベクターからRNAを転写することによって)プローブ中に組み込まれ得る。求核結合基を有する塩基アナログ(例えば、一級(primary)アミノ基))もまた、標識に結合され得る。
非放射活性プローブは、しばしば間接的手段によって標識される。例えば、リガンド分子は、プローブへ共有結合される。次いでリガンドは、固有に検出可能であるか、または検出可能なシグナルシステム(例えば、酵素、発蛍光団、または化学発光化合物)に共有結合されるかのどちらかである抗リガンド分子に結合する。標識としてのである目的の酵素は、主に加水分解酵素(例えば、フォスファターゼ、エラスラーゼおよびグリコシダーゼ、またはオキシドリダクターゼ、特にペルオキシダーゼ)である。蛍光化合物は、フルオロセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン(umbelliferone)などを含む。化学発光体は、ルシフェリン、および2,3−ジヒドロキシフタラジンジオン(例えば、ルミノール)を含む。リガンドおよび抗リガンドは広く変化され得る。リガンドが天然の抗リガンド(すなわち、ビオチン、チロキシン、およびコルチゾールのようなリガンド)を有する場合、その標識される天然に存在する抗リガンドと結合して使用され得る。あるいは、任意のハプテン性化合物または抗原性化合物は、抗体と組み合わせて使用され得る。好ましい実施態様において、標識は、核酸の調製における増幅工程の間に、同時に組み込まれる。従って、例えば標識化プライマーまたは標識化ヌクレオチドとのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、標識化増幅産物を提供する。別の好ましい実施態様において、標識されたヌクレオチド(例えば、フルオレセイン標識化UTPおよび/またはCTP)を使用する転写物増幅は、転写された核酸に標識を組み込む。
このような標識を検出する手段は、当業者に周知である。従って、例えば、放射標識は写真フィルムまたはシンチレーションカウンターを使用して検出され得、フルオレセインマーカーは励起光を検出するためにフォトディテクターを使用して検出され得る。酵素標識は、代表的には、基質を有する酵素を提供することおよび基質における酵素の作用によって生成された反応産物を検出することによって検出され、そして比色分析標識は、着色された標識を単純に視覚化することによって検出される。
キット
本発明のHLA DQB1対立遺伝子特異的プローブは、ヒト生物学的サンプル中のHLA DQB1対立遺伝子0201、0202、0302、0303、および0602の存在を迅速に決定するために使用され得るキットに含まれ得る。キットは代表的に、ヒト生物学的サンプル中の組:1)0201/0202、2)0302/0303、および3)0602由来の少なくとも3組の対立遺伝子の存在についてアッセイするために必要な全ての成分を含む。キットは一般に、少なくとも2つ、そして通常は3、4、5、または6つの本発明のHLA DQB1対立遺伝子プローブの安定な調製物を含む。代表的には、キットはまた、配列番号7および/または配列番号8のプライマーも含む。好ましい実施態様において、キットは、配列番号1、3、および5、ならびに/または配列番号2、4、および6に示される配列を有するプローブを含む。さらに、キットはまた、本発明の方法を実施するための乾燥形態または液体形態のどちらかにおいてハイブリダイゼーション溶液および洗浄するための溶液、ならびに好ましくない核酸分子およびハイブリダイズされない核酸分子を除去するための溶液、ハイブリダイゼーション複合体を検出するための基質、および/または教材も含む。好ましい実施態様において、キットはまた、1997年2月21に出願された同一人に譲渡された特許出願60/037,426に記載されるハイブリダイゼーションアッセイ装置も含む。
本発明は、理解を明確にする目的のための図面および実施例を通して、いくらか詳細に記載されるが、特定の変化および変更が、添付の請求の範囲内で実施され得ることは明白である。
実施例1
実施例1は、RFLPまたはドットブロット分析によるそれらのHLA DQB1対立遺伝子に関しては以前に分類された163特許のホワイト細胞から抽出されたDNAのビードベースディップスティック(bead based dipstick)アッセイを記載する。
PCR増幅のための正方向(forward)プライマーとして、HLA DQB1対立遺伝子中のコドン22〜27を補っている配列GGAGCGCGTGCGTCTTGTG(配列番号7)を使用した。逆方向(reverse)プライマーについて、コドン58〜64を補っている配列5’-TCTGGCTGTTCCAGTACTCGGC-3’(配列番号8)を使用した。正方向プライマーの領域における配列差異のために、DQB1 0201、0202、0302、0303、および0602対立遺伝子のみを、使用したPCR条件下で増幅する。DQB1 0201および0202対立遺伝子(同じ予測値を有する)を選択的に捕獲するために、コドン44〜50を補っている配列5’-CGTGGGGGAGTTCCGGGCGGTG-3’(配列番号1)またはコドン35〜41を補っている配列5’-AAGAGATCGTGCGCTTCGACA-3’(配列番号2)を使用した。0302および0303対立遺伝子(また同じ予測値を有する)を選択的に捕獲するために、上記のような同じコドン領域中の配列5’-CGTGGGGGTGTATCGGGCGGTG-3’(配列番号3)または配列5’-AGGAGTACGCACGCTTCGACA-3’(配列番号4)を使用した。0602対立遺伝子を選択的に捕獲するために、同じコドン領域中の配列5’-CGTGGGGGTGTACCGCGCGGTG-3’(配列番号5)または配列5’-GGAGTACGCGCGCTTCGAC-3’(配列番号6)を使用した。配列番号1、3、および5、ならびに配列番号2、4、および6のオリゴのそれらの相補鎖との溶解温度を、それらを同じ条件のアッセイストリンジェンシー下でハイブリダイズすることが可能になるように実質的に同じであるように設計する。固相ハイブリダイゼーションアッセイにおいてこれらのプライマーおよび捕獲オリゴを使用して、臨床的に有用なアッセイに必要な予期される特異性および感度を証明した。
コントロールとして、アッセイの信頼性を確実にするために、HLA DRA 0101対立遺伝子のコドン9〜17を補っている正方向プライマー5’-AGGCCGAGTTCTATCTGAATCCTGACC-3’(配列番号9)およびコドン81〜88を補っている逆方向プライマー5’-CCTCTGGAGGTACATTGGTGATCGG-3’(配列番号10)を使用した。この増幅産物を選択的に捕獲するために、コドン36〜44を補っている配列5’-GCCGCCAGACCGTCTCCTTCTTTGCC-3’(配列番号11)またはコドン38〜44を補っている配列5’-CCGCCAGACCGTCTCCTTCT-3’(配列番号12)を使用した。DQB1遺伝子ファミリーと異なり、ヒトのみが、この領域中に単一のDRA遺伝子配列を有する。それゆえ、この増幅産物をサンプルDNAの質およびPCR試薬の有効性のためのコントロールとして使用した。サンプル抽出の間に分解されたDNAまたはPCR阻害剤(これはDQB1増幅を阻止する)の存在もまた、DRA増幅を阻止した。それゆえ、DRA増幅が生じる場合、0201、0202、0302、0303、0602の結果の不在は、欠陥のあるPCR反応よりも他のDQB1対立遺伝子の存在であると解釈され得る。陽性コントロール捕獲配列に相補的である合成オリゴもまた、試験に含めた。全ての検出試薬を適切に行った場合、この付加されるコントロールオリゴが検出される。最終的に、付加される陽性コントロールオリゴを有する単一の塩基ミスマッチである捕獲配列を使用した。ハイブリダーゼーション反応の条件を、単一の塩基ミスマッチの識別が可能になるように設定した。それゆえ、この捕獲配列は、ハイブリダイゼーション試薬およびハイブリダイゼーション温度が正確である場合、陰性になるべきである。
抽出された患者DNAの1μlを、44μlのカクテルA[35.3μlの蒸留水、4.5μlの100mM Tris−HCl、15mM MgCl2、pH8.3、0.2μlの25mMデオキシヌクレオシドトリホスフェート類(dNTP)、および各1μlの10mMプライマー類]を含むPCRチューブに添加した。このチューブを、80℃で5−10分間予備加熱したサーモサイクラー中に置き、そして一滴の鉱物油で重層した。5マイクロリットルのカクテルB[4.12μlの蒸留水、0.5μlの100mM Tris−HCl、15mM MgCl2、pH8.3、および0.38μlのTaq DNAポリメラーゼ(5U/μl)]を添加した。サーモサイクラーのプログラムは、以下の順序の工程から構成されていた:94℃、5分間、次いで94℃、1分間の38サイクル、68℃、0.5分、72℃、0.75分、72℃、5分間の停止、および4℃で保持。このチューブを取り出し、そして分析するまで4℃で貯蔵した。
20μlのPCR産物を、自動化サンプルプロセッサ(これは最初の3つのウェル中の温度を64〜65℃に制御する)上に置かれた8ウェルの予備充填されたカセットのウェル1(2本鎖アンプリコンを変性するための60mM NaOHを含む)中に置くことによってサンプルを分析した。付着した対立遺伝子特異的オリゴおよびコントロールオリゴを有する圧入ナイロンビーズを含むレベルゲージ(dipstick)をウェル2中に置いた。90μlの中和試薬(1M NaH2PO4、pH4.0)をウェル1に添加し、そしてプロセッサプログラムを開始させた。このプロセッサは、ウェル2からレベルゲージを釣り上げ、そしてそれを、時間制御様式で、8つの試薬ウェルに沿って移動させた。37分後、このプロセスは終了し、そしてビーズ上の任意の青色が、対立遺伝子座が存在したか否かを示した。
ウェル成分、それらの容量およびプログラム工程および時間は表Iに記載される:
Figure 0004248023
Figure 0004248023
この実施例では、上記のコドン44−50にわたる捕獲オリゴを、このオリゴに付着したヘキシルアミンスペーサーを用いて、ポリエチレンイミン改変ナイロンビーズに共有結合させた(Nucleic Acids Research 19:3345(1991)を参照のこと)。64℃におけるウェル1中のPCR産物のストリンジェントなハイブリダイゼーションおよびウェル2および3中のストリンジェントな洗浄の後、ビーズ上の捕獲された産物を、ウェル5において、PCRプライマーに付着した5’末端ビオチンに結合し得る、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ結合体に曝した。ウェル6および7における過剰の結合体を取り除くためのレベルゲージの洗浄の後、特異的PCR産物の存在を、ウェル8中のビーズ上への青色色素のペルオキシダーゼで触媒された沈殿の存在により肉眼で確認できるようにした。この沈殿を、PCR産物またはコントロールオリゴを結合したビーズのみが青色に変わるように局在化した。
163の先にタイプ分けした患者サンプルからの予備臨床研究の結果を表IIIに示す。
Figure 0004248023
この表における結果は、このテストは、これらのサンプルのすべてにおいて先のタイプ分けと一致することを示すが、163サンプルの2つ、602サンプルおよび「他」のサンプルは、両者とも0302としてタイプ分けされた。これら2つの相違したサンプルの新鮮サンプルを再増幅および再テストしたとき、結果は、そのときすべて先のタイプ分けと一致した。最初のテストの間に、これら2つのサンプルは、誤標識されたか汚染されたかのいずれかであったと結論付けられた。
実施例2
実施例2は、一般的な(universal)固相を用いるマイクロウェルフォーマットにおけるDQB1対立遺伝子0201、0302、および0602を含むサンプルの分析を記載し、そしてその結果を、実施例1に記載のビーズを基礎にしたレベルゲージアッセイと比較する。
PCR条件は、PCRプライマーが5’ビオチンではなく5’フルオレセインを有していたこと以外は、実施例1におけるのと同じであった。捕獲プローブは、上記のようにコドン35−41にわたっていた。これらの捕獲プローブは、捕獲オリゴの5’末端に付着した2つの18原子スペーサーを従えるビオチンを有していた。固相は、ストレプトアビジンが吸着したポリスチレンレベルゲージであった。カセットは、以下の試薬で満たされたマイクロウェル小割板からなり、それを通じてレベルゲージを表IVに示されるようなプログラムされた工程および時間で移動させた:
Figure 0004248023
アッセイを、すべてのウェルにおける温度を30℃にコントロールするプロセッサプラットホーム上に8ウェルマイクロウェル小割板を置くことによって開始した。10μlのサンプルを0.5mlの2.6Mグアニジンチオシアネート緩衝液に添加し、そしてチューブを85℃で加熱し、2本鎖アンプリコンを変性させた。ストレプトアビジンでコートしたレベルゲージを、プロセッサアーム上に置き、そしてプログラムを開始した。レベルゲージをウェル3に移動させ、そこでそれはビオチン標識した捕獲オリゴを結合した。次に、過剰の捕獲オリゴおよび任意の緩く結合したオリゴをウェル2におけるストリンジェント洗浄によって除去した。開始から12分で加熱サンプルをウエル1に添加した。サンプル(0.1ml)を、4つの小割板のそれぞれに添加した。各小割板は、ウェル3に、DQB1 0201/0202対立遺伝子座、0302/0303対立遺伝子座、0602対立遺伝子座、またはDRA対立遺伝子座のいずれかに特異的である捕獲オリゴを有している。プログラムを再び開始した。ウェル1からの固相ハイブリダイズさせた増幅産物をウェル5中で洗浄し、そして抗フルオレセイン-ペルオキシダーゼ結合体に移動させ、そこでそれはレベルゲージ上に存在する任意のフルオレセイン標識されたPCRプライマーに結合した。過剰の結合体を、ウェル5−7においてCTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)を含む緩衝液中で洗浄除去し、そしてウェル8中のTMB基質(3、3’、5、5’テトラメチルベンジジン酵素免疫測定法(EIA))は、任意のペルオキシダーゼがレベルゲージを経由して増幅産物に結合することによってウェル中に保持されたか否かで透明溶液を青色溶液に変化した。8ウェルマイクロウェル小割板を含むプレートを、マイクロウェルプレートリーダーを用いて650nmで定量的に読みとった。
同じサンプルを、実施例1に記載のこの一般的な固相レベルゲージアッセイにより、およびビーズレベルゲージアッセイにより分析した。但し、ビーズアッセイのウェル5中の結合体は、PCRプライマーを変えたため抗フルオレセインペルオキシダーゼに変えた。ビーズアッセイ結果は、反射率を基礎にしたリーダーで定量した。何故なら、色素がビーズ上に沈殿したからである。2つのアッセイ様式における相違する単位を比較するために、DQB1特異的テストの色をDRA特異的テストによって分割した。以下の図はこれらの結果を示す。この結果(表V)は、両方の様式が、期待された感度および特異性を示して同様に良好に機能することを示す。
Figure 0004248023
本明細書に記載されたすべての刊行物および特許は、あたかも各個々の刊行物または特許が詳細にかつ個々に本明細書に参考として援用されることが示されるような同一範囲まで、本明細書中に参考として援用される。

Claims (16)

  1. インスリン依存性糖尿病(IDDM)に感受性の患者由来のヒト生物学的サンプル中のHLA DQB1対立遺伝子0201/0202、0302/0303、および0602の存在を検出する方法であって:
    (a)ストリンジェントな条件下で、ヒト白血球抗原(HLA)DQB1遺伝子のコドン23〜41の配列を含むアンプリコンを、少なくとも3つの独特なヒト白血球抗原(HLA)DQB1対立遺伝子特異的プローブと接触させて、ハイブリダイゼーション複合体を形成させる工程であって、ここで:
    該アンプリコンは、2000塩基対長を越えず、そして少なくとも2つのプライマーで増幅され、ここで該2つのプライマーのうちの1つは、ストリンジェントな条件下で、配列5’-GGAGCGCGTGCGTCTTGTG-3’(配列番号7)を有するプライマーと同じHLA DQB1対立遺伝子の核酸配列に選択的にハイブリダイズし;
    該HLA DQB1対立遺伝子特異的プローブは、15と200との間のヌクレオチド長であり;そして
    ここで、該DQB1対立遺伝子特異的プローブは少なくとも15の連続したヌクレオチドの核酸セグメントを含み、これはストリンジェントな条件下で、以下:
    0201および0202対立遺伝子については、
    Figure 0004248023
    0302および0303対立遺伝子については
    Figure 0004248023
    0602対立遺伝子については、
    5’-GGAGTACGCGCGCTTCGAC-3’(配列番号6)、および
    その相補的な配列、
    からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドと同じHLA DQB1対立遺伝子の核酸配列に選択的にハイブリダイズし、ただし、該対立遺伝子特異的プローブの各々が同じストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で選択的にハイブリダイズする、工程;および
    (b)該ハイブリダイゼーション複合体を、該HLA DQB1対立遺伝子0201/0202、0302/0303、および0602の存在の指標として検出する工程であって、そのことにより、患者のIDDMの発症の感受性が決定される工程
    を包含する、方法。
  2. 前記アンプリコンが1000塩基対長を越えない、請求項1に記載の方法。
  3. 前記核酸セグメントが、ストリンジェントな条件下で、配列番号2、配列番号4、配列番号6、およびその相補的な配列からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドの少なくとも18の連続した塩基に選択的にハイブリダイズする、請求項1に記載の方法。
  4. 前記アンプリコンが700塩基対長を越えない、請求項1に記載の方法。
  5. 前記核酸セグメントが、配列番号2、配列番号4、配列番号6、およびその相補的な配列からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドに相補的である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記アンプリコンが、コドン22〜41の配列中の任意の数の連続した塩基を有する配列をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記アンプリコンが、配列5’-TCTGGCTGTTCCAGTACTCGGC-3’(配列番号8)を有するプライマーと同じHLA DQB1対立遺伝子の核酸配列に、ストリンジェントな条件下で選択的にハイブリダイズする配列を有するプライマーを用いて生成される、請求項1に記載の方法。
  8. インスリン依存性糖尿病(IDDM)に感受性の患者由来のヒト生物学的サンプル中の、HLA DQB1対立遺伝子0201/0202、0302/0303、および0602の存在を検出する方法であって:
    (a)ヒト白血球抗原(HLA)DQB1遺伝子のコドン23〜50の配列を含むアンプリコンを、少なくとも3つの独特なヒト白血球抗原(HLA)DQB1対立遺伝子特異的プローブと接触させて、ハイブリダイゼーション複合体を形成する工程であって、ここで:
    該アンプリコンは2000塩基対長を越えず、そして少なくとも2つのプライマーで増幅され、ここで該2つのプライマーのうちの1つは、ストリンジェントな条件下で、配列5’-GGAGCGCGTGCGTCTTGTG-3’(配列番号7)を有するプライマーと同じHLA DQB1対立遺伝子の核酸配列に選択的にハイブリダイズし;
    該HLA DQB1対立遺伝子特異的プローブは、15と200との間のヌクレオチド長であり;そして
    ここで、該DQB1対立遺伝子特異的プローブの各々は少なくとも15の連続したヌクレオチドの核酸セグメントを含み、これはストリンジェントな条件下で、以下:
    0201および0202対立遺伝子については、
    Figure 0004248023
    0302および0303対立遺伝子については
    Figure 0004248023
    0602対立遺伝子については、
    Figure 0004248023
    5’-GGAGTACGCGCGCTTCGAC-3’(配列番号6)、および
    その相補的な配列、
    からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドと同じHLA DQB1対立遺伝子の核酸配列に選択的にハイブリダイズし、ただし、該対立遺伝子特異的プローブの各々が同じストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で選択的にハイブリダイズする、工程;ならびに
    (b)該ハイブリダイゼーション複合体を、該HLA DQB1対立遺伝子0201/0202、0302/0303、および0602の存在の指標として検出する工程であって、そのことにより、患者のIDDMの発症の感受性が決定される工程
    を包含する、方法。
  9. 前記アンプリコンが1000塩基対長を越えない、請求項8に記載の方法。
  10. 前記核酸セグメントが、ストリンジェントな条件下で、配列番号2、配列番号4、配列番号6、およびその相補的な配列からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドの、少なくとも18の連続した塩基に選択的にハイブリダイズする、請求項8に記載の方法。
  11. 前記アンプリコンが700塩基対長を越えない、請求項8に記載の方法。
  12. 前記核酸セグメントが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、およびその相補的な配列からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドに相補的である、請求項8に記載の方法。
  13. 前記アンプリコンが、コドン22〜50の配列中の任意の数の連続した塩基を有する配列をさらに含む、請求項8に記載の方法。
  14. 前記アンプリコンが、ストリンジェントな条件下で、配列5’-TCTGGCTGTTCCAGTACTCGGC-3’(配列番号8)を有するプライマーと同じHLA DQB1対立遺伝子の核酸配列に選択的にハイブリダイズするプライマーを用いて生成される、請求項8に記載の方法。
  15. 前記3つの独特なプローブが、配列番号1、3、および5、または配列番号2、4、および6に示される配列を有する、請求項8に記載の方法。
  16. インスリン依存性糖尿病(IDDM)に感受性の患者由来のヒト生物学的サンプル中の、HLA DQB1対立遺伝子0201/0202、0302/0303、および0602の存在を検出するためのキットであって、該キットは、配列番号7の配列を有するプライマーとしての該HLA DQB1対立遺伝子の同じ核酸配列に対してストリンジェントな条件下で選択的にハイブリダイズするプライマー;ならびに15〜100のヌクレオチド長の少なくとも3つのプローブを含み、該プローブが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、およびその相補的な配列からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドと同じHLA DQB1対立遺伝子の核酸配列に相補的な核酸セグメントを含む、キット。
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