JP4247380B2 - アルキレンカーボネートの製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルキレンカーボネートの製造方法に関し、更に詳しくは、アルキレンオキシドと二酸化炭素を触媒の存在下で反応させてアルキレンカーボネートを製造する方法の改良方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルキレンカーボネートは、有機溶剤、合成繊維加工剤、医薬品原料、リチウム電池用電解液溶媒、更にはアルキレングリコール及びジアルキルカーボネート合成の中間体として広い用途に使用される重要な化合物の一つである。
従来、このアルキレンカーボネートは、アルキレンオキシドと二酸化炭素を均一系触媒の存在下、適当な加圧条件のもとで反応させることにより製造されている。このような均一系触媒としては、アルカリ金属等のハロゲン化物(例えば、特許文献1)や第4級アンモニウム塩等のオニウム塩(例えば、特許文献2)が古くから知られており、工業的に用いられている。
しかしながら、これらの触媒では反応活性が充分ではなく、原料アルキレンオキシドに対する収率が低いこと、多量の触媒を必要とする等の欠点を有している。
その改良方法として、例えば、アルカリ金属ハロゲン化物とクラウン化合物を用いる方法(特許文献3)、第4級ホスホニウムとアルコールを用いる方法(特許文献4)などが提案されており、また最近では、アルカリ金属ハロゲン化物の存在下、超臨界状態の二酸化炭素を用いたアルキレンカーボネートの製造方法が提案されている(特許文献5)。しかし、反応促進剤の添加が必要であったり、超臨界という極めて過酷な反応条件を必要としている。
【0003】
一方、触媒分離プロセスの簡素化を目的とした固体触媒の利用も提案されており、イオン交換樹脂(例えば、特許文献6等)、ハイドロタルサイトなどの塩基性層状化合物(特許文献7)、希土類化合物(特許文献8)、タングステン酸化物又はモリブデン酸化物を主体とするヘテロポリ酸(特許文献9)などが開示されている。
しかし、これらの触媒は、均一系触媒に比べ活性、収率や選択性の面で充分ではなく、特にイオン交換樹脂の場合、耐熱性が低いといった問題点を含んでおり、また上記ヘテロポリ酸の場合には収率、選択率が余り高くないといった難点がある。
【0004】
【特許文献1】
特公昭63-17072号公報
【特許文献2】
特開昭55-145623号公報
【特許文献3】
特開昭56-128778号公報
【特許文献4】
特開昭59-13776号公報
【特許文献5】
特開平11-335372号公報
【特許文献6】
特開平3-120270号公報
【特許文献7】
特開平11-226413号公報
【特許文献8】
特開2002-363177号公報
【特許文献9】
特開平7-206847号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のアルキレンカーボネート製造における上記の問題点を克服するものであり、その目的は、反応促進剤などの添加を必要とせず、少量かつ低圧条件下でも高収率、高選択率でアルキレンオキシドと二酸化炭素からアルキレンカーボネートを与える触媒を用いた工業的に有利なアルキレンカーボネートの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した従来の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、触媒として、タングステンの一部が周期律表VIIa族またはVIII族の第4周期より選ばれた少なくとも一種の元素で置換された置換型タングストケイ酸塩、及び/または欠損型タングストケイ酸塩が、アルキレンオキシドと二酸化炭素からのアルキレンカーボネート合成反応に対して高活性かつ高選択性であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、第一に、触媒の存在下、アルキレンオキシドと二酸化炭素を反応させてアルキレンカーボネートを製造する方法において、触媒として、タングステンの一部が周期律表VIIa族またはVIII族の第4周期より選ばれた少なくとも一種の元素で置換された置換型タングストケイ酸塩、及び/または欠損型タングストケイ酸塩を用いることを特徴とするアルキレンカーボネートの製造法が提供される。
第二に、第一の発明において、周期律表VIIa族またはVIII族の第4周期より選ばれた元素がコバルトまたはマンガンであることを特徴とするアルキレンカーボネートの製造法が提供される。
第三に、第一の発明において、欠損型タングストケイ酸塩が、タングステンの一部の欠損を含むことを特徴とするアルキレンカーボネートの製造法が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、アルキレンオキシドと二酸化炭素からアルキレンカーボネートを得るものであり、この合成反応は下記一般式(1)で示される。
【0008】
【化1】
【0009】
上記一般式(1)において、R1、R2、R3およびR4は水素原子または置換基を有するかもしくは無置換の炭素数15以下のアルキル基、アリール基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基を表し、同じであっても異なっていてもよい。ここでいう置換基とはハロゲン原子、ジアルキル基、アミノ基、ニトロ基、カルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アセトキシ基、水酸基、メルカプト基、スルホン基等である。
本発明で用いるアルキレンオキシドは下記一般式(2)で示される化合物である。
【0010】
【化2】
【0011】
上記一般式(2)において、 R1、R2、R3およびR4は前記一般式(1)の場合と同じである。具体的には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ビニルエチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド等が例示されるが、本発明はこれらのアルキレンオキシドに限定されるものではなく、炭素原子2つと酸素原子1つからなる3員環を構造式中に少なくとも1つ含む、いわゆるエポキシ系化合物であればさしつかえない。
【0012】
本発明において製造されるアルキレンカーボネートは下記一般式(3)で示される化合物である。
【0013】
【化3】
【0014】
上記一般式(3)において、 R1、R2、R3およびR4は前記一般式(1)の場合と同じである。具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、シクロヘキセンカーボネートおよびスチレンカーボネート等が例示される。
【0015】
本発明において使用される触媒は、ヘテロポリ酸塩である置換型タングストケイ酸塩、及び/または欠損型タングストケイ酸塩である。ここでいう置換型タングストケイ酸塩は、一般式(4)
【0016】
【化4】
(X)a[(Si)b(W)c(M)d(O)e] (4)
(上式中、Xはヘテロポリアニオンの対カチオン、[(Si)b(W)c(M)d(O)e]はヘテロポリアニオン、Mはタングステンの一部を置換する原子、Oは酸素原子を表し、aはSi、W、Mのイオンの価数により決まる20以下の正の整数、bは1または2、cは20以下の正の整数、dは0または3以下の正の整数、eは100以下の正の整数)で表される。
【0017】
Xで表されるヘテロポリアニオンの対カチオンは、プロトン、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属イオン、遷移金属イオン、第4級アンモニウムイオン、第4級ホスホニウムイオンなどが使用可能であり、その選択に当たって特に制限はない。また、対カチオンは、1種類又は2種類以上用いることができる。
【0018】
Mで表されるタングステンの一部を置換する原子は、周期律表VIIa族またはVIII族の第4周期の元素より選ばれた少なくとも一種の元素である。このような元素としては、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル等が挙げられ、マンガンおよびコバルトが好ましく用いられる。
【0019】
また、本発明の欠損型タングストケイ酸塩は、タングステンの一部の欠損を含むタングストケイ酸塩である。このような欠損型タングストケイ酸塩としては、11-タングストケイ酸塩、10-タングストケイ酸塩、9-タングストケイ酸塩、17-タングスト-2-ケイ酸塩などのようなタングステンの一部が欠損し、かつ該欠損部分を補完する置換原子がないものが挙げられ、例えば前記一般式(4)において、bが1かつcが11かつdが0、bが1かつcが10かつdが0、bが1かつcが9かつdが0、bが2かつcが17かつdが0の場合の塩を挙げることができる。
【0020】
上記の置換型タングストケイ酸塩は、タングステンの一部を置換する原子Mに合成段階で使用する水、有機溶媒、ハロゲン等が配位結合している場合があり、またしばしば1分子当たり十〜数十分子の結晶水を含んでいる場合があるが、本発明においては、これらの置換型タングストケイ酸塩も触媒として使用可能である。
【0021】
なお、本発明で使用される触媒は、上述したヘテロポリアニオンにタングステンの一部を置換する原子あるいはタングステンの一部に欠損を含むことが必須であり、このような置換型タングストケイ酸塩、及び/または欠損型タングストケイ酸塩を主成分とすることが好ましいが、本発明の作用効果を奏する限り触媒合成過程で生じる不純物や他の成分を含有していてもよい。
【0022】
本発明で使用される置換型タングストケイ酸塩は、J. Inorg. Nucl. Chem., 29, 2935 (1967)をはじめとする各種文献に記載の方法で合成することができるが、合成方法については特に限定されるものではない。例えば、そのアルカリ金属塩は以下の方法により容易に合成され得る。原料となるヘテロポリ酸、例えば12-タングストケイ酸等は市販品が入手可能である。このヘテロポリ酸を水溶液中でアルカリ金属塩及びタングステンの一部を置換する金属塩と80〜95℃程度の温度で反応させ、更に再結晶等の精製操作を施すことにより置換型タングストケイ酸塩のアルカリ金属塩が得られる。タングステンの一部を置換する金属塩としては、その酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、塩化物等を用いることができる。また、アルカリ金属塩としては、ナトリウムあるいはカリウムの塩化物、酢酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩等を用いることができる。
【0023】
置換型タングストケイ酸塩、及び/または欠損型タングストケイ酸塩の有機カチオン塩、例えばテトラアルキルアンモニウム塩は、上記置換型タングストケイ酸塩、及び/または欠損型タングストケイ酸塩のアルカリ金属塩の水溶液とテトラアルキルアンモニウム塩の有機溶媒溶液とを激しく攪拌し、置換型タングストケイ酸塩、及び/または欠損型タングストケイ酸塩を有機溶媒中に移動させ、有機相を分離して有機溶媒を除去する方法により合成できる。テトラアルキルアンモニウム塩としては、その塩化物、臭化物等を用いることができる。また、有機溶媒としては、一般的に用いられるベンゼン、トルエン、エチルエーテル、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、ジクロロエタン等を用いることができる。
【0024】
ヘテロポリアニオンのタングステンの一部に欠損を含む前記欠損型タングストケイ酸塩は、各種文献に記載の方法で合成することができ、例えば、11-タングストケイ酸塩の合成はJ. Inorg. Nucl. Chem., 39, 999 (1977)等、10-タングストケイ酸塩の合成はInorganic syntheses, vol. 27, p. 88等、9-タングストケイ酸塩の合成はJ. Chem. Soc., Dalton Trans., 1901 (1992)等に記載されている方法で実施することができる。
【0025】
本発明の置換型タングストケイ酸塩、及び/または欠損型タングストケイ酸塩は、反応物、生成物、あるいは添加する溶媒に溶解させていわゆる均一系触媒として使用することが好ましいが、それ自体を固体とするかもしくは担体に担持して、いわゆる不均一系触媒として使用することも可能である。かかる担体としては、各種イオン交換樹脂、シリカ、アルミナなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
以上の触媒を用いた本発明における反応様式としては、撹拌式等あるいは固定床式等、一般に用いられる手法を使用することができ、バッチ式、セミバッチ式、連続流通式の何れの方法でも実施可能である。
バッチ式は、例えば、次のようにして行われる。撹拌装置を具備したオートクレーブに、アルキレンオキシドおよび触媒を仕込んだ後、二酸化炭素ボンベから二酸化炭素を充填し密封する。その後、オートクレーブ内を撹拌しながら設定温度まで加熱し、二酸化炭素をさらに充填することにより内圧を所定圧に調整し、所定時間反応させた後、生成するアルキレンカーボネートを所望の手段で分離する。
【0027】
本発明を実施するに当たり、反応温度は特に限定されないが、好ましくは室温〜300℃、更に好ましくは40〜200℃の範囲である。反応圧力は特に制限がなく、反応に使用する耐圧装置の製造コストなどによって定められるが、好ましくは0.1〜100 MPa、更に好ましくは1〜30 MPaの範囲である。
【0028】
触媒の使用量、反応時間は、用いる反応器の形態、原料であるアルキレンオキシドの種類、反応温度、反応圧力および所望の生産性など諸条件により異なるが、例えばバッチ式反応器を用いて実施する場合には、触媒量、反応時間が特に限定されることはないが、触媒量はアルキレンオキシドに対するモル比で、通常0.1〜0.000001、好ましくは0.01〜0.0001であり、反応時間は通常0.1〜30時間程度である。
【0029】
また、本発明の触媒には、特に補助添加物を必要としないが、添加物を加えることによりアルキレンカーボネートの収率、選択率を向上させることもできる。このような添加物としては、例えば、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド等のいわゆる非プロトン性極性溶媒が挙げられる。また、反応系に予め生成物であるアルキレンカーボネートを添加することによっても、アルキレンカーボネートの収率、選択率を向上させることができる。このようなアルキレンカーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、シクロヘキセンカーボネート、スチレンカーボネート等が挙げられる。
【0030】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0031】
実施例1
[(n-C7H15)4N]6[SiW11O39Mn]を以下の方法により調製した。12-タングストケイ酸26水和物(28 g) (関東化学株式会社製、純度99.0%以上)を水(10 mL)に溶解させて95℃に加熱した。この溶液に酢酸マンガン(II)四水和物(3.54 g)を加えた。酢酸カリウムおよび酢酸でpHを7に調整し、95℃で1時間攪拌した。この溶液を熱濾過し、濾液を50 ℃で一晩放置することにより結晶が生成した。この結晶を水に溶かし(70 ℃)、50 ℃で放置することにより再結晶を行った。以上の再結晶操作を3回繰り返すことにより、K6[SiW11O39Mn(H2O)]を得た。次に、K6[SiW11O39Mn(H2O)](0.52 g)を水(10 mL)に溶かし、臭化テトラ-n-ヘプチルアンモニウム(0.29 g)のトルエン溶液(60 mL)を加えて0.5時間程度激しく攪拌した後、分液ロートにより油層を分取し、トルエンを減圧除去、乾燥させることにより[(n-C7H15)4N]6[SiW11O39Mn]を得た。プロピレンカーボネート合成反応は以下の方法で実施した。撹拌装置を具備した20 mL容積のオートクレーブに、プロピレンオキシド(28.6 mmol)および触媒として[(n-C7H15)4N]6[SiW11O39Mn] 149 mg (0.1 mol%)を仕込んだ後、二酸化炭素を充填し、密封した。その後、オートクレーブ内を撹拌しつつ150℃まで加熱し、二酸化炭素をさらに充填することにより、内圧を3.5 MPaに調整し、2時間反応させた。冷却後、残存する二酸化炭素を放出し、反応混合物をガスクロマトグラフにより分析した。その結果を表1に示す。
【0032】
実施例2
実施例1において、内圧を10.0 MPaに調整した以外は実施例1と同様にして、プロピレンカーボネートを合成した。結果を表1に示す。
【0033】
実施例3
[(n-C7H15)4N]6[SiW11O39Co]は、実施例1において、酢酸マンガン(II)四水和物の代わりに酢酸コバルト(II)四水和物を用いて同様の方法により調製した。プロピレンカーボネート合成反応は、[(n-C7H15)4N]6[SiW11O39Co] 150 mg (0.1 mol%)を触媒に用いた他は、実施例1と同様にして実施した。結果を表1に示す。
【0034】
実施例4
[(n-C7H15)4N]8[SiW11O39]は以下の方法により調製した。タングステン(VI)酸ナトリウム二水和物(91 g)とメタけい酸ナトリウム(3.1 g)を水(150 mL)に溶解させて加熱した。この溶液に4 Mの塩酸(100 mL)を滴下して加え、95℃で1時間攪拌し、室温まで冷却した後、塩化カリウム(38 g)を加えることにより結晶が生成した。この結晶を水に溶かし(70 ℃)、室温で放置することにより再結晶を行った。以上の再結晶操作を3回繰り返すことにより、K6Na2[SiW11O39]を得た。次に、K6Na2[SiW11O39](0.62 g)を水(10 mL)に溶かし、臭化テトラ-n-ヘプチルアンモニウム(0.79 g)の塩化メチレン溶液(20 mL)を加えて0.5時間程度激しく攪拌した後、分液ロートにより油層を分取し、塩化メチレンを減圧除去、乾燥させることにより[(n-C7H15)4N]8[SiW11O39]を得た。プロピレンカーボネート合成反応は、[(n-C7H15)4N]8[SiW11O39] 170 mg (0.1 mol%)を触媒に用い、内圧を14.0 MPaに調整した以外は、実施例1と同様にして実施した。結果を表1に示す。
【0035】
比較例1
[(n-C7H15)4N]4[SiW12O40]は以下の方法により調製した。12-タングストケイ酸26水和物(1.5 g)を水(10 mL)に溶かし、臭化テトラ-n-ヘプチルアンモニウム(0.87 g)の塩化メチレン溶液(10 mL)を加えて0.5時間程度激しく攪拌した後、分液ロートにより油層を分取し、塩化メチレンを減圧除去、乾燥させることにより[(n-C7H15)4N]4[SiW12O40]を得た。プロピレンカーボネート合成反応は、[(n-C7H15)4N]4[SiW12O40] 129 mg (0.1 mol%)を触媒に用いた他は、実施例1と同様にして実施した。結果を表1に示す。
【0036】
比較例2
臭化テトラ-n-ヘプチルアンモニウム(関東化学株式会社製、純度98.0%以上)14 mg (0.1 mol%)を触媒に用いた他は、実施例1と同様にしてプロピレンカーボネートを合成した。結果を表1に示す。
【0037】
比較例3
臭化テトラエチルアンモニウム(関東化学株式会社製、純度98.0%以上) 6.0 mg (0.1 mol%)を触媒に用いた他は、実施例1と同様にしてプロピレンカーボネートを合成した。結果を表1に示す。
【0038】
比較例4
ヨウ化カリウム(和光純薬工業株式会社製、純度99.5%以上) 4.7 mg (0.1 mol%)を触媒に用いた他は、実施例1と同様にしてプロピレンカーボネートを合成した。結果を表1に示す。
【0039】
比較例5
[Cs1.5H1.5][PW12O40]は既報(特開平7-206847号公報)に従い調製した。プロピレンカーボネート合成反応は、[Cs1.5H1.5][PW12O40] 88 mg (0.1 mol%)を触媒に用いた他は、実施例1と同様にして実施した。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】
本発明の触媒を用いることにより、有機溶剤、合成繊維加工剤、医薬品原料、リチウム電池用電解液溶媒、更にはアルキレングリコール及びジアルキルカーボネート合成の中間体として有用なアルキレンカーボネートを、アルキレンオキシドと二酸化炭素から極めて高効率、高選択率で得ることができる。
また、本発明に係る置換型タングストケイ酸塩、及び/または欠損型タングストケイ酸塩を触媒として用いることにより、反応促進剤などの添加を必要とせず、少量かつ低圧条件下でも高収率、高選択率でアルキレンカーボネートを合成できるため、エネルギーを節約でき、工業的かつ経済的に非常に有利な方法ということができる。
Claims (3)
- 触媒の存在下、アルキレンオキシドと二酸化炭素を反応させてアルキレンカーボネートを製造する方法において、触媒として、タングステンの一部が周期律表VIIa族またはVIII族の第4周期より選ばれた少なくとも一種の元素で置換された置換型タングストケイ酸塩、及び/または欠損型タングストケイ酸塩を用いることを特徴とするアルキレンカーボネートの製造法。
- 周期律表VIIa族またはVIII族より選ばれた元素がコバルトまたはマンガンであることを特徴とする請求項1に記載のアルキレンカーボネートの製造法。
- 欠損型タングストケイ酸塩が、タングステンの一部の欠損を含むことを特徴とする請求項1に記載のアルキレンカーボネートの製造法。
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