JP4245930B2 - 分布定数型フィルタ素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気的絶縁性を有する帯状誘電体シートに帯状導電体を重ねた状態で巻回されて構成された分布定数型フィルタ素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のフィルタ素子として、特開平2−26114号公報および特開平7−122460号公報に開示された分布定数型フィルタ素子が知られている。これらの分布定数型フィルタ素子(以下、「フィルタ素子」ともいう)は、いずれも、所定距離だけ隔たった位置に入出力リード線が接続された線路用の帯状導電体と、接地用リード線が接続されると共に第1の帯状導電体に対向させて設けられた接地用の帯状導電体と、これらの帯状導電体を巻回したときにこれらの電気的絶縁を行う誘電体シートとを備え、各帯状導電体および誘電体シートを巻回することにより、3端子型ノイズフィルタ(低域通過型フィルタ)としてそれぞれ構成されている。これらの各フィルタ素子では、誘電体シートを介して2枚の帯状導電体を巻回することにより、インダクタ成分とキャパシタ成分とが分布定数的に存在するフィルタ素子として機能するため、広帯域に亘って良好な減衰特性が得られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平2−26114号公報(第4頁、第1図)
【特許文献2】
特開平7−122460号公報(第4−5頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の各フィルタ素子には、以下のような解決すべき共通の問題点がある。すなわち、これらのフィルタ素子では、接地用の帯状導電体を線路用の帯状導電体と一緒に巻回する構成のため、接地用の帯状導電体自体も比較的大きなインダクタンスを有している。したがって、線路用の帯状導電体と接地用の帯状導電体との間のキャパシタ成分よりも線路用の帯状導電体における各部位相互間のキャパシタ成分の方が、線路用の帯状導電体を通過する信号に対して大きく影響を及ぼすことになる結果、カットオフ周波数を超える周波数帯域において減衰特性が悪化する。さらに、線路用の帯状導電体と接地用の帯状導電体とが磁気的に結合することにより、線路用の帯状導電体を通過する信号に対応した影像電流(誘導電流)が接地用の帯状導電体に流れる結果、磁気的特性が低下して線路用の帯状導電体におけるインダクタ成分が低下する。このため、これによってもカットオフ周波数を超える周波数帯域において減衰特性が悪化する。したがって、カットオフ周波数を超える周波数帯域におけるノイズを良好に減衰させることが困難であるという問題点が存在する。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、カットオフ周波数を超える周波数帯域においてノイズを良好に減衰させ得る分布定数型フィルタ素子を提供することを主目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく請求項1記載の分布定数型フィルタ素子は、入力端子と、出力端子と、接地用端子と、電気的絶縁性を有する帯状誘電体シートに帯状導電体を重ねた状態で巻回することによって全体として筒状に形成されたコイル部と、切り込みを介して外縁側と連通する中心孔が形成されると共に前記コイル部の両端面側に前記帯状導電体と電気的に絶縁された状態で配設された平板状の一対の接地用電極とを備え、前記入力端子が前記帯状導電体の一端側に接続されると共に前記出力端子が当該帯状導電体の他端側に接続され、前記接地用端子が前記一対の接地用電極に接続されている。なお、本発明における「端子」には、金具状の端子を含むのは勿論のこと、いわゆるリード線も含まれる。
【0007】
また、請求項2記載の分布定数型フィルタ素子は、請求項1記載の分布定数型フィルタ素子において、前記帯状導電体は、前記帯状誘電体シートよりも幅狭に形成されると共にその幅方向の両端縁が当該帯状誘電体シートの幅方向の両端縁に達しないように重ねた状態で巻回されている。
【0008】
また、請求項3記載の分布定数型フィルタ素子は、請求項2記載の分布定数型フィルタ素子において、前記各接地用電極における切り込みの最小幅よりも幅狭の複数の固片状導電体が、前記帯状誘電体シートにおける前記各端縁と前記帯状導電体の前記各端縁との空き領域において、その各端縁を前記接地用電極に接触させられた状態で当該帯状誘電体シートの前記各端縁に沿って互いに離間して並設されている。
【0009】
また、請求項4記載の分布定数型フィルタ素子は、請求項1記載の分布定数型フィルタ素子において、前記コイル部の前記各端面と前記各接地用電極との間に絶縁シートが配設されている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る分布定数型フィルタ素子の好適な実施の形態について説明する。
【0011】
最初に、本発明の第1の実施の形態に係る分布定数型フィルタ素子(以下、「フィルタ素子」ともいう)1について、図面を参照して説明する。
【0012】
フィルタ素子1は、図1,2に示すように、入力端子2、出力端子3、接地用端子4、コイル部5および一対の接地用電極6,6を備えて、3端子型ノイズフィルタ(低域通過型フィルタ)として構成されている。
【0013】
コイル部5は、両図に示すように、電気的絶縁性を有する帯状誘電体シート5a、および帯状誘電体シート5aよりも幅狭に形成された帯状導電体5bを備えている。この場合、帯状導電体5bは、その一端側に入力端子2の一端側が電気的に接続されると共に、他端側に出力端子3の一端側が電気的に接続されている。また、帯状導電体5bは、帯状誘電体シート5aにおける幅方向の中央部に位置するように重ねられている。すなわち、帯状導電体5bは、その幅方向の両端縁が帯状誘電体シート5aの幅方向の両端縁に達しないように重ねた状態で巻回されている。コイル部5は、このように互いに重ねられた帯状誘電体シート5aおよび帯状導電体5bを巻回することにより、全体として筒状(一例として中心孔5cが形成された円筒状)に形成されている。この場合、入力端子2および出力端子3は、帯状導電体5bと共に帯状誘電体シート5a内に巻き込まれて、各々の各他端側がコイル部5(一例として同図中のコイル部5の下端面)から突出している。
【0014】
一対の接地用電極6,6は、図1に示すように、外形が環状(中心孔6aが形成された円板状)に形成されると共に、コイル部5の両端面(同図中の上下端面)側にそれぞれ配設されている。また、各接地用電極6,6は、接地用端子4にそれぞれ電気的に接続されている。この場合、上記したように、帯状導電体5bは、帯状誘電体シート5aよりも幅狭に形成され、かつ帯状誘電体シート5aの中央部に配置されているため、図1,2に示すように、その各端縁は帯状誘電体シート5aの各端縁に達していない。このため、各接地用電極6,6が帯状導電体5bと非接触状態に維持される結果、各接地用電極6,6と帯状導電体5bとの間の電気的絶縁性が、絶縁シートなどを用いることなく簡易な構成で維持される。また、各接地用電極6,6には、中心孔6aから接地用電極6の外縁に達する切り込み6bがそれぞれ形成されている。すなわち、この中心孔6aは、この切り込み6bを介して接地用電極6の外縁に連通する。つまり、接地用電極6は、帯状導電体5bに流れる電流によってコイル部5に形成される閉磁路に対してショートリングとして機能しないように構成されている。この場合、切り込み6bは、一例として、各接地用電極6,6の径方向に沿って直線状に1つずつ形成されている。ただし、この構成に限定されるものではなく、その形状を非直線状(例えばジグザグ状、曲線状等)に形成することもできるし、複数形成してもよい。また、図2に示すように、この切り込み6bを利用して帯状導電体5bに接続された入力端子2が接地用電極6の外面側に引き出される。なお、各接地用電極6,6は、平板状の金属体に対してメッキ処理や打ち抜き加工を施すことによって形成される。
【0015】
このフィルタ素子1では、帯状導電体5bがコイル部5の各端面側に配設された一対の接地用電極6,6と容量結合することにより、フィルタ素子1は、インダクタ成分とキャパシタ成分とが分布定数的に存在するフィルタ素子として機能する。また、このフィルタ素子1では、従来のフィルタ素子とは異なり、接地用電極6,6が帯状導電体5bと一緒に巻回されない構成のため、接地用電極6,6自体のインダクタンスが従来のフィルタ素子と比較して十分に小さくなる。この結果、カットオフ周波数よりも高い周波数帯域においても、帯状導電体5bを通過する信号に対する帯状導電体5bにおける各部位相互間のキャパシタ成分の影響よりもその信号に対する帯状導電体5bと各接地用電極6,6との間のキャパシタ成分の影響が大きい状態を維持することができる。また、接地用電極6,6と帯状導電体5bとが一緒に巻回されない構成のため、帯状導電体5bと各接地用電極6,6との磁気的結合の度合いを従来のフィルタ素子よりも小さくすることができる結果、帯状導電体5bを通過する信号に対応した影像電流(誘導電流)が各接地用電極6,6に流れにくくなる。このため、影像電流に起因する磁気的特性の悪化を軽減することができ、これにより、帯状導電体5bにおけるインダクタ成分の低下を十分に抑制することができる。したがって、このフィルタ素子1によれば、カットオフ周波数を超える周波数帯域においても十分な減衰量を確保することができる結果、この周波数帯域におけるノイズ等を良好に減衰させることができる。
【0016】
また、このフィルタ素子1によれば、帯状導電体5bが帯状誘電体シート5aよりも幅狭に形成されると共にその幅方向の両端縁が帯状誘電体シート5aの幅方向の両端縁に達しないように重ねた状態で巻回される構成のため、絶縁シートなどを用いることなく、簡易な構成でありながら、各接地用電極6,6と帯状導電体5bとの間の電気的絶縁性を確実に確保することができる。
【0017】
次いで、本発明の第2の実施の形態に係るフィルタ素子11について、図面を参照して説明する。なお、フィルタ素子1と同一の構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0018】
フィルタ素子11は、図3に示すように、入力端子2、出力端子3、接地用端子4、コイル部15および一対の接地用電極6,6を備えている。
【0019】
コイル部15は、同図に示すように、帯状誘電体シート5a、帯状誘電体シート5aよりも幅狭の帯状導電体5b、および複数の固片状導電体15dを備えている。この場合、各固片状導電体15dは、図4に示すように、平面視の外形が一例として長方形に形成されると共に、帯状誘電体シート5aにおけるその幅方向の各端縁と帯状導電体5bの幅方向の各端縁との間の空き領域Aにおいて、帯状誘電体シート5aの各端縁に沿って互いに離間して(間隔を空けて)並設されている。また、各固片状導電体15dは、その接地用電極6に対向する側の端縁が帯状誘電体シート5aの端縁から外側に若干突出するようにして配設されている。コイル部15は、このように互いに重ねられた帯状誘電体シート5a、帯状導電体5bおよび複数の固片状導電体15dを巻回することにより、全体として筒状(一例として中心孔15cが形成された円筒状)に形成されている。したがって、コイル部15の両端面(同図中の上下端面)側に配設された一対の接地用電極6,6は、コイル部15における対応する端面側に配設された各固片状導電体15dと電気的に接触する構成となる。また、各固片状導電体15dは、図4に示すように、その帯状誘電体シート5aの長手方向に沿った幅Bが切り込み6bの最小幅Cよりも幅狭(短寸)に形成されている。したがって、切り込み6bを構成する各接地用電極6,6における開放端同士の固片状導電体15dによる電気的接続が回避されている。つまり、接地用電極6および固片状導電体15dは、帯状導電体5bに流れる電流によってコイル部15に形成される閉磁路に対してショートリングとして機能しないように構成されている。
【0020】
このフィルタ素子11では、各接地用電極6,6と電気的に接触した状態の各固片状導電体15dが帯状導電体5bの長手方向に沿って互いに離間して並設される構成のため、接地された導体(接地用電極6,6および各固片状導電体15d)自体のインダクタンスが従来のフィルタ素子と比較して十分に小さくなる。したがって、このフィルタ素子11によれば、フィルタ素子1と同様にして、カットオフ周波数を超える周波数帯域においても十分な減衰量を確保することができる結果、この周波数帯域におけるノイズ等を良好に減衰させることができる。加えて、このフィルタ素子11では、各固片状導電体15dが帯状導電体5bと共に巻回されるため、固片状導電体15dと帯状導電体5bとの間隔、固片状導電体15dにおける帯状導電体5bに対向する辺の長さ、固片状導電体15dの面積、および固片状導電体15dの形状などを変化させることにより、帯状導電体5bの対接地間容量、つまりキャパシタ成分の大小を自由に調整することができる結果、フィルタ設計の自由度を高めることができる。また、この種のフィルタ素子では、一般的に、帯状誘電体シート5aを円筒状に正確に巻回してコイル部15を形成することが難しいため、コイル部15における各端面の平面性を十分に確保できないこともある。この場合、帯状導電体の各端縁とコイル部の各端面に配設された各接地用電極との間の間隔を一定に形成することができない結果、製品毎にフィルタ特性が大きくばらつくことがある。しかしながら、このフィルタ素子11では、表面に金属箔が配設された帯状誘電体シート5aを使用してその金属箔をエッチングするという手法で各固片状導電体15dと帯状導電体5bとを形成することにより、各固片状導電体15dと帯状導電体5bとの間隔を精度良く一定に形成することができる。したがって、製品毎のフィルタ特性のばらつきを大幅に低減することができる。
【0021】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されない。例えば、フィルタ素子1では、帯状導電体5bを帯状誘電体シート5aよりも幅狭に形成することにより、帯状導電体5bと各接地用電極6,6との電気的接触を避ける構成を簡易かつ確実に実現しているが、この構成に代えて、コイル部5の各端面と各接地用電極6,6との間に絶縁性を有する誘電体を配設して、この誘電体によって帯状導電体5bと各接地用電極6,6とを電気的に絶縁する構成を採用することもできる。この構成では、帯状導電体5bと帯状誘電体シート5aとを同一幅に設定しても良く、しかも誘電体の材質や厚みを変更することにより、分布定数的に存在するキャパシタ成分の大小を容易に調整することができる。また、上記した各実施の形態では、1つの帯状導電体5bを帯状誘電体シート5aに重ねて、各フィルタ素子1,11をノーマルモードフィルタに構成した例について説明したが、図5,6に示すように、2つの帯状導電体5bを帯状誘電体シート5aに重ねて巻回してコイル部25,35を構成することにより、分布定数型コモンモードフィルタとして機能するフィルタ素子21,31を実現することもできる。この場合、各フィルタ素子21,31では、入力端子2および出力端子3をそれぞれ2つとして、各帯状導電体5bの各端部にそれぞれ接続させる。また、各フィルタ素子1,11,21,31において、各接地用電極6,6の中心孔6aおよび各コイル部5,15,25,35における各中心孔5c,15c,25c,35cに磁性体(図示せず)を装着したり、各接地用電極6,6の外面側に平板状の磁性体(図示せず)を配設したりする構成を採用することにより、分布定数的に存在するインダクタ成分を増加させることもできる。
【0022】
また、フィルタ素子1では、帯状導電体5bの各端縁と帯状誘電体シート5aの各端縁との間に隙間を設けることにより、帯状導電体5bと各接地用電極6,6とを電気的に絶縁する構成を採用したが、図7に示すフィルタ素子41のように、コイル部5の各端面と各接地用電極6,6との間に誘電材料で形成された絶縁シート42,42をそれぞれ配設することによって帯状導電体5bと各接地用電極6,6とを電気的に絶縁する構成を採用することもできる。この構成によれば、部品点数は若干増加するものの、帯状導電体5bの幅を帯状誘電体シート5aの幅まで拡げることができるため、帯状導電体5bの抵抗成分を低減することができる。なお、図示はしないが、同様にして、フィルタ素子21においても、コイル部25の各端面と各接地用電極6,6との間に誘電材料で形成された絶縁シートをそれぞれ配設する構成を採用することにより、フィルタ素子41と同様の効果を奏することができる。
【0023】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の分布定数型フィルタ素子によれば、帯状誘電体シートに帯状導電体を重ねた状態で巻回して形成したコイル部と、コイル部の両端面側に帯状導電体と電気的に絶縁された状態で配設された平板状の一対の接地用電極とを備え、帯状導電体の一端側に入力端子を接続して帯状導電体の他端側に出力端子を接続し、一対の接地用電極に接地用端子を接続して構成したことにより、帯状導電体が一対の接地用電極と容量結合する結果、インダクタ成分とキャパシタ成分とが分布定数的に存在するフィルタ素子として機能させることができる。また、この分布定数型フィルタ素子では、一対の接地用電極が帯状導電体と一緒に巻回されない構成のため、接地用電極自体のインダクタンスを従来のフィルタ素子と比較して十分に小さくすることができる。この結果、カットオフ周波数よりも高い周波数帯域においても、帯状導電体を通過する信号に対する帯状導電体における各部位相互間のキャパシタ成分の影響よりもその信号に対する帯状導電体と各接地用電極との間のキャパシタ成分の影響が大きい状態を維持することができる。また、接地用電極と帯状導電体とが一緒に巻回されない構成のため、帯状導電体と各接地用電極との磁気的結合の度合いを従来のフィルタ素子よりも小さくすることができる結果、帯状導電体を通過する信号に対応した影像電流(誘導電流)が各接地用電極に流れにくくなる。このため、影像電流に起因する磁気的特性の悪化を軽減することができ、これにより、帯状導電体におけるインダクタ成分の低下を十分に抑制することができる。したがって、この分布定数型フィルタ素子によれば、カットオフ周波数を超える周波数帯域においても十分な減衰量を確保することができる結果、この周波数帯域におけるノイズ等を良好に減衰させることができる。
【0024】
また、請求項2記載の分布定数型フィルタ素子によれば、帯状誘電体シートよりも幅狭に形成された帯状導電体をその幅方向の両端縁が帯状誘電体シートの幅方向の両端縁に達しないように重ねた状態で巻回してコイル部を形成したことにより、絶縁シートなどを用いることなく、簡易な構成でありながら、各接地用電極と帯状導電体との間の電気的絶縁性を確実に確保することができる。
【0025】
また、請求項3記載の分布定数型フィルタ素子によれば、帯状誘電体シートにおける各端縁と帯状導電体の各端縁との空き領域において、各接地用電極における切り込みの最小幅よりも幅狭の複数の固片状導電体を、その各端縁を接地用電極に接触させられた状態で帯状誘電体シートの各端縁に沿って互いに離間して並設する構成を採用したことにより、固片状導電体と帯状導電体との間隔などを変化させることができ、これにより、帯状導電体の対接地間容量、つまりキャパシタ成分の大小を自由に調整することができる結果、フィルタ設計の自由度を高めることができる。さらに、このフィルタ素子によれば、表面に金属箔が配設された帯状誘電体シートを使用してその金属箔をエッチングするという手法で各固片状導電体と帯状導電体とを形成することにより、各固片状導電体と帯状導電体との間隔を精度良く一定に形成することができる。したがって、製品毎のフィルタ特性のばらつきを大幅に低減することができる。
【0026】
また、請求項4記載の分布定数型フィルタ素子によれば、コイル部の各端面と各接地用電極との間に絶縁シートを配設する構成を採用したことにより、帯状導電体と各接地用電極との電気的な絶縁性を確保しつつ、帯状導電体の幅を拡げることができるため、帯状導電体の抵抗成分を一層低減したフィルタ素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルタ素子1の構成を示す分解斜視図である。
【図2】フィルタ素子1の完成状態におけるコイル部5の径方向に沿って切断した断面図である。
【図3】フィルタ素子11の構成を示す分解斜視図である。
【図4】フィルタ素子11における帯状誘電体シート5a、帯状導電体5bおよび固片状導電体15dの構成を示すコイル部15の部分展開図である。
【図5】フィルタ素子21の構成を示す分解斜視図である。
【図6】フィルタ素子31の構成を示す分解斜視図である。
【図7】フィルタ素子41の構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1,11,21,31,41 フィルタ素子
2 入力端子
3 出力端子
4 接地用端子
5,15,25,35 コイル部
5a 帯状誘電体シート
5b 帯状導電体
6 接地用電極
6a 中心孔
6b 切り込み
15d 固片状導電体
42 絶縁シート
Claims (4)
- 入力端子と、出力端子と、接地用端子と、電気的絶縁性を有する帯状誘電体シートに帯状導電体を重ねた状態で巻回することによって全体として筒状に形成されたコイル部と、切り込みを介して外縁側と連通する中心孔が形成されると共に前記コイル部の両端面側に前記帯状導電体と電気的に絶縁された状態で配設された平板状の一対の接地用電極とを備え、
前記入力端子が前記帯状導電体の一端側に接続されると共に前記出力端子が当該帯状導電体の他端側に接続され、
前記接地用端子が前記一対の接地用電極に接続されている分布定数型フィルタ素子。 - 前記帯状導電体は、前記帯状誘電体シートよりも幅狭に形成されると共にその幅方向の両端縁が当該帯状誘電体シートの幅方向の両端縁に達しないように重ねた状態で巻回されている請求項1記載の分布定数型フィルタ素子。
- 前記各接地用電極における切り込みの最小幅よりも幅狭の複数の固片状導電体が、前記帯状誘電体シートにおける前記各端縁と前記帯状導電体の前記各端縁との空き領域において、その各端縁を前記接地用電極に接触させられた状態で当該帯状誘電体シートの前記各端縁に沿って互いに離間して並設されている請求項2記載の分布定数型フィルタ素子。
- 前記コイル部の前記各端面と前記各接地用電極との間に絶縁シートが配設されている請求項1記載の分布定数型フィルタ素子。
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