JP4245309B2 - 発振回路 - Google Patents

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JP4245309B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水晶振動子等の振動子を用いてクロック信号を発生させる発振回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器に対しては、低消費電力で高速動作が可能であることが要求されており、特に、携帯機器においては、これらの要求が満たされることは重要である。多くの電子機器には発振回路が組み込まれているため、電子機器において低消費電力化および高速動作化を実現するためには、発振回路についても、その発振が早く安定し、かつ、消費電力が少ないことが要求される。
【0003】
発振回路は、一般に、水晶振動子などの振動子、帰還抵抗および反転増幅回路によって構成されている。
【0004】
図6は、従来の一般的な発振回路300の構成を示す回路図である。
【0005】
この発振回路300は、入力端子XINと出力端子XOUTとの間に振動子1が接続され、その振動子1と並列に帰還抵抗2が接続されている。また、P型トランジスタ5とN型トランジスタ6とが電源電位VDDと接地電位GNDとの間に直列に接続され、それぞれのゲートが接続されて入力部となり、それぞれのドレインが接続されて出力部となっている論理反転回路(インバータ)と、そのインバータの出力部に直列に接続された駆動回路(ドライバ)8とによって反転増幅回路3が構成されている。インバータの入力部は入力端子XINと接続され、インバータの出力部は出力端子XOUTと接続されている。
【0006】
この発振回路300では、発振が安定するまでの時間(以下、発振安定時間と称する)は短いものの、発振時の消費電流が多くなるという問題がある。そこで、発振時の消費電力を低減するために、一般に、反転増幅回路には、抵抗などの電流制限素子が設けられる。
【0007】
図7は、電流制限素子を設けた従来の発振回路400の構成を示す回路図である。
【0008】
この発振回路400は、インバータを構成するP型トランジスタ5と電源電位との間、およびN型トランジスタ6と接地電位との間に、それぞれ、電流制限素子として抵抗9aおよび9bが接続されている。
【0009】
ところが、反転増幅回路に電流制限素子を設けることは、反転増幅回路の利得を低下させることにつながり、その結果、発振安定時間が長くなる。また、近年では、電源電位が低電圧化されてきており、そのことによっても、発振安定時間は長くなる傾向にある。
【0010】
上記発振回路400でも、消費電流は低減できるものの、発振安定時間が長くなるという問題が生じる。ここで、抵抗9aおよび9bの抵抗値を小さくするとゲインが高くなり、発振安定時間は短くなるが,消費電流は増加する。従って、抵抗のサイズは、消費電流の低減化と発振安定時間の長時間化とを考慮して決定され、消費電流の低減化と発振安定時間の長時間化とを両立させることは容易ではない。
【0011】
また、発振時の消費電力を抑えつつ、発振安定時間を短縮するために、電流制限素子と並列にバイパス回路を接続して、発振が安定して所定の時間が経過した後に、このバイパス回路を遮断するという手法も多く採用されている。
【0012】
図8は、電流制限素子と並列にバイパス回路を接続した従来の発振回路500の構成を示す回路図である。
【0013】
この発振回路500は、インバータを構成するP型トランジスタ5と電源電位との間、およびN型トランジスタ6と接地電位との間に、それぞれ、電流制限素子としての抵抗9aおよび9bと並列に、バイパス回路としてのP型トランジスタ10aおよびN型トランジスタ10bが接続されている。
【0014】
この発振回路500では、P型トランジスタ10aのゲートに接続された制御信号CtrlPおよびN型トランジスタ10bのゲートに接続された制御信号CtrlNによって各バイパストランジスタ10aおよび10bの導通・非導通を制御することができる。そして、発振が安定するまでの間、バイパストランジスタ10aおよび10bを導通させることによって、ゲインを高くして発振安定時間を短縮化することができる。また、発振が安定した後、バイパストランジスタ10aおよび10bを遮断することによって電流制限素子としての抵抗9aおよび9bのみが有効な電流経路となり、消費電流を低減化することができる。
【0015】
しかしながら、上記発振回路500では、少なくともバイパス回路を構成するトランジスタ10aおよび10bが必要である。また、それらのトランジスタ10aおよび10bを制御する制御信号CtrlPおよびCtrlNを生成するための信号生成回路を設けるか、または外部から制御信号を供給することが必要であり、回路規模が大きくなるという問題がある。
【0016】
また、例えば特開昭64−64403号公報には、電流制限素子としてP型のディプリジョン型MOSトランジスタを用いた発振回路が開示されている。図9は、特開昭64−64403号公報に開示されている、電流制限素子としてP型のディプリジョン型MOSトランジスタを用いた発振回路600の構成を示す回路図である。
【0017】
この発振回路600は、インバータを構成するP型トランジスタ5とN型トランジスタ6との間に、電流制限素子としてのP型のディプリジョン型MOSトランジスタ11aおよび11bが直列に接続されている。各トランジスタ11aおよび11bのゲートには、電圧発生器12が接続されている。電圧発生器12は、抵抗12aと容量12bおよび12dとダイオード12cとによって構成されている。容量12dの一方の端子は出力端子XOUTおよびインバータの出力部と接続されており、他方の端子はダイオードと接続されている。また、ダイオードは、容量12bおよび抵抗12aの一方の端子と接続されており、容量12bおよび抵抗12aの他方の端子は接地電位GNDと接続されている。
【0018】
この発振回路600では、出力信号の振幅が大きくなるに従って、徐々にディプリジョン型MOSトランジスタ11aおよび11bのゲート電位が上昇することによって、発振開始時間の短縮化と発振後の消費電力の低減化とを図ることができる。
【0019】
しかしながら、上記発振回路600では、ディプリジョン型MOSトランジスタ11aおよび11bのゲート電位を制御するために、電圧発生器12が必要であり、回路規模が増大するという問題がある。この場合、ディプリジョン型MOSトランジスタ11bがPMOSディプリジョンであるため、反転増幅回路3からの反転出力を入力すると、反転増幅回路3からの出力がHigh、すなわちNMOS側が導通のときには、ディプリジョン型MOSトランジスタ11bが高抵抗として機能するために、ゲインが上がらず、発振開始しないおそれがある。
【0020】
また、例えば特開平8−37450号公報、特開平10−200335号公報等には、電流制限素子にバイパス回路を接続する代わりに、反転増幅回路を構成するインバータと並列に、遮断スイッチを設けたインバータを接続した発振回路が開示されている。図10は、特開平8−37450号公報および特開平10−200335号公報に開示されている、インバータと並列に、遮断スイッチを設けたインバータを接続した従来の発振回路500の構成を示す回路図である。
【0021】
この発振回路700は、インバータを構成するP型トランジスタ5と並列にP型トランジスタ15aが接続され、P型トランジスタ15aと電源電位VDDとの間に遮断スイッチとしてのP型トランジスタ13aが接続されている。また、N型トランジスタ6と並列にN型トランジスタ15bが接続され、N型トランジスタ15bと接地電位GNDとの間に遮断スイッチとしてのN型トランジスタ13bが接続されている。P型トランジスタ15aおよびN型トランジスタ15bのゲートは入力端子XINと接続されており、ドレインは出力端子XOUTと接続されている。また、遮断スイッチとしてのP型トランジスタ13aおよびN型トランジスタ13bのゲートには制御信号Controlが入力されるようになっている。
【0022】
この発振回路700では、発振が安定するまでの間は2つのインバータを動作させることによってゲインを高くし、発振安定後は片方を遮断してゲインを低くすることによって、消費電力を低減化することができる。
【0023】
なお、上記特開平8−37450号公報に開示されている発振回路と特開平10−200335号公報に開示されている発振回路との違いは、発振が安定したことを検出してバイパス回路を遮断するための手法が異なることである。
【0024】
特開平8−37450号公報に開示されている発振回路では、発振回路の出力部にシュミット回路が設けられており、発振出力レベルが所定のレベルに到達すると、シュミット回路からクロック信号が出力されるようになっている。シュミット回路からのクロック信号は、クロック端子を有するカウンタ回路に入力されてカウントされ、カウント値が所定の値に達すると、安定した発振状態に達したものと判断されて、遮断スイッチとしてのP型トランジスタ13aおよびN型トランジスタ13bを遮断状態とする制御信号が供給されるようになっている。この発振回路では、発振が安定したことを検出してバイパス回路を遮断するために、シュミット回路、カウンタ回路等を設ける必要があるため、回路規模が増大するという問題がある。
【0025】
また、特開平10−200335号公報に開示されている発振回路では、発振回路の出力部に、発振信号の振幅値が所定の一定レベルであることを検出すると発振安定検出信号を出力するインバータと、その発振安定検出信号をラッチするラッチ回路とが設けられている。インバータから発振安定検出信号が出力されると、ラッチ回路から遮断スイッチとしてのP型トランジスタ13aおよびN型トランジスタ13bを遮断する制御信号が供給されるようになっている。この発振回路でも、発振が安定したことを検出してバイパス回路を遮断するために、発振安定検出信号を出力するインバータ、ラッチ回路等を設ける必要があるため、回路規模が増大するという問題がある。
【0026】
また、特開平11−298248号公報に開示されている発振回路(図示せず)では、インバータを構成するP型トランジスタと電源電位との間、およびN型トランジスタ6と接地電位との間に、それぞれ、電流制限素子としてのP型トランジスタおよびN型トランジスタが接続されており、それぞれの電流制限素子にカレントミラー回路としてのP型トランジスタおよびN型トランジスタが接続されている。カレントミラー回路を構成するP型トランジスタのゲートには、時定数回路から電流が供給されるようになっており、時定数回路によって、発振開始時に電流制限素子を流れる電流が最大となり、その後、次第に電流が減少するように制御することができる。しかしながら、この発振回路においても、発振時に電流制限素子に流れる電流を低減するために、カレントミラー回路、時定数回路等を設ける必要があるため、回路規模が増大するという問題がある。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
電流制限素子を設けていない図6に示す従来の発振回路300、反転増幅回路3を構成するインバータと直列に電流制限素子を設けた図7および図9に示す従来の発振回路400および600では、発振安定時間と消費電力という要求を両立させることは容易ではなく、両者が折り合うように設計を行う必要がある。
【0028】
これに対して、発振開始までの間、電流制限素子をバイパスするような回路を設けた図8および図10に示す従来の発振回路500および700では、短い発振安定時間と少ない発振時消費電力とを実現可能である。しかしながら、これらの発振回路では、抵抗成分(電流制限素子)をバイパスするための回路素子に加えて、それらの回路素子をスイッチング制御するための回路が不可欠であり、その結果、発振回路の回路規模が大きくなるという問題がある。
【0029】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、回路規模を大きくすることなく、発振安定時間を短くすることができ、しかも、発振安定後の消費電力を少なくすることができる発振回路を提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明の発振回路は、入力端子と出力端子との間に接続された振動子と、該振動子と並列に接続された帰還抵抗と、それぞれのドレイン同士が接続されて前記出力端子に接続され、それぞれのゲートが前記入力端子に接続されたP型トランジスタおよびN型トランジスタを有する、該ドレイン同士が接続されて出力部となっている論理反転回路、および前記出力部に、該論理反転回路の出力信号を入力とするよう接続された駆動回路を有する反転増幅回路とを備え、前記反転増幅回路は、ゲートおよびソースが電源電位に接続されてドレインが前記P型トランジスタのソースに接続されたP型ディプリジョン型トランジスタと、ドレインが前記N型トランジスタのソースに接続されてゲートおよびソースが接地電位に接続されたN型ディプリジョン型トランジスタとをさらに有し、前記P型ディプリジョン型トランジスタおよび前記N型ディプリジョン型トランジスタは、それぞれの抵抗値が帰還的に制御されるように、それぞれの基板部分が前記論理反転回路の出力部に接続されていることを特徴とし、そのことにより上記目的が達成される。
【0033】
以下に、本発明の作用について説明する。
【0034】
本発明にあっては、反転増幅回路を構成する論理反転回路(インバータ)のP型トランジスタと電源電位との間、およびN型トランジスタと接地電位との間に、論理反転回路の出力部からの出力電位によってその抵抗値が帰還的に制御される電流制限素子が接続されており、電流制限素子の抵抗を論理反転回路の出力レベルに応じて動的に変化させることができる。例えば、出力信号がある程度のレベルに達していないときには抵抗値が低くなって、より多くの電流を流すことが可能となり、反転増幅回路の能力を向上して発振安定時間を短縮化することができる。また、出力信号が所定のレベルに達すると、抵抗値が高くなって電流量が制限され、消費電力を低減化することができる。
【0035】
電流制限素子は、そのゲートとソースとが電源電位に接続されたP型のディプリジョン型トランジスタと、そのゲートとソースとが接地電位に接続されたN型のディプリジョン型トランジスタとによって構成し、これらのトランジスタの基板電位を論理反転回路の出力レベルに応じて変化させることによって、これらトランジスタのしきい値を動的に変化させることができる。例えば、出力信号がある程度のレベルに達していないときには、トランジスタのしきい値電圧が低くなる方向に基板電位が変化し、トランジスタのオフリーク電流が増えるため、より多くの電流を流すことが可能になる。また、出力信号が所定のレベルに達すると、トランジスタのしきい値電圧が高くなる方向に基板電位が変化し、トランジスタのオフリーク電流が少なくなるため、電流量が制限される。このように、電流制限素子を構成するトランジスタの基板電位を変化させることによってトランジスタのしきい値電圧が大きく変動し、抵抗値の変化を非常に大きくすることができるため、設計が容易である。この構造は、SOIプロセスによれば容易に作製することができる。
【0036】
また、電流制限素子は、そのソースが電源電位に接続されたP型のディプリジョン型トランジスタと、そのソースが接地電位に接続されたN型のディプリジョン型トランジスタとによって構成し、これらのトランジスタのゲート電位を論理反転回路の出力レベルに応じて変化させることによって、これらトランジスタに流れる電流値を動的に変化させることができる。例えば、出力信号がある程度のレベルに達していないときには、トランジスタは線形領域で動作し、比較的多くの電流を流すことが可能になる。また、出力信号が所定のレベルに達すると、トランジスタはカットオフ(遮断)領域で動作し、抵抗値が大きくなって消費電力が低減化される。この構成は、通常のCMOSプロセスにより作製することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0038】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態である発振回路100の構成を示す回路図である。
【0039】
この発振回路100は、入力端子XINと出力端子XOUTとの間に振動子1が接続され、その振動子1と並列に帰還抵抗2が接続されている。また、反転増幅回路3には、P型のエンハンスメント型トランジスタ5とN型のエンハンスメント型トランジスタ6とが電源電位VDDと接地電位GNDとの間に直列に接続され、それぞれのゲートが接続されて入力部となり、それぞれのドレインが接続されて出力部となっている論理反転回路(インバータ)が設けられている。インバータの入力部は入力端子XINと接続され、インバータの出力部は出力端子XOUTと接続されている。また、そのインバータの出力部に直列に接続されて、出力信号XOUTを次段の回路に供給するために出力信号OUTを生成する駆動回路(ドライバ)8とが設けられている。
【0040】
さらに、インバータを構成するP型トランジスタ5と電源電位VDDとの間、およびN型トランジスタ6と接地電位GNDとの間には、それぞれ、電流制限素子として、P型のディプリジョン型トランジスタ4およびN型のディプリジョン型トランジスタ7が設けられている。電源電位VDD側に設けられたP型トランジスタ4は、ゲートおよびソースが電源電位VDDに接続され、ドレインはインバータを構成するP型トランジスタ5のソースに接続され、基板電位はインバータからの出力信号XOUTに接続されている。
【0041】
一方、接地電位GND側に設けられたN型トランジスタ7は、ゲートおよびソースが接地電位GNDに接続され、ドレインはインバータを構成するN型トランジスタ6のソースに接続され、基板電位は、P型トランジスタ4と同様に、インバータからの出力信号XOUTに接続されている。
【0042】
このように構成された本実施形態の発振回路100においては、電流制限素子であるP型トランジスタ4およびN型トランジスタ7の抵抗値を制御するために、これらのトランジスタの基板電位を、インバータからの出力電位によって制御するようになっている。
【0043】
以下に、トランジスタの基板電位に対する抵抗値の依存性について説明する。なお、以下では、トランジスタの抵抗値は、そのしきい値電圧と同義であるとして説明を行っている。
【0044】
一般に、基板電位と実効しきい値電圧との関係は、
Vt = Vt(0) ±γ(Vsb)1/2
によって表することができる。なお、上記式において、Vsbはトランジスタのソースと基板との電位差であり、Vt(0)はVsbが0のときのしきい値電圧であり、γは基板のドーピング濃度に依存する関数である。また、「+」はN型MOSトランジスタに対応し、「−」はP型MOSトランジスタに対応する(CMOS VLSI設計の原理 富澤孝、松山泰男 監訳、丸善株式会社刊、P33)。
【0045】
また、一般に、トランジスタのしきい値電圧が0.1V下がると、オフリーク電流は約1桁上昇することが知られている(低電力LSIの技術白書 1ミリワットへ挑戦 日経マイクロデバイス編 日経BP社刊 P210,211)。
【0046】
これらのことは、例えば、基板電位を1V変化させることによって、電流値を10E+10倍に変化させることができ、抵抗値を10E+10倍変化させることができるということを示している。
【0047】
次に、本実施形態の発振回路100における電流制限素子の動作について説明する。
【0048】
図2(a)は、本実施形態の発振回路100におけるインバータからの出力信号XOUTの変化を示す図であり、図2(b)および図2(c)は、それぞれ、電流制限素子を構成するP型トランジスタ4およびN型トランジスタ7のしきい値電圧の変化を示す図である。なお、図2(b)および図2(c)において、破線で示す直線は、基板電位を制御しない通常のトランジスタのしきい値電圧を目安として示している。また、しきい値電圧の変化を示す波形のうち、破線の部分は、図2(b)に示すトランジスタ4については、これと直列に接続されるトランジスタ5が遮断状態である期間を表し、図2(c)に示すトランジスタ7については、同様に、これと直列に接続されるトランジスタ6が遮断状態である期間を表しており、このときのトランジスタ4および7のしきい値電圧特性は、発振回路100の動作には影響を与えない。
【0049】
まず、発振回路100において、出力信号XOUTのレベルが十分ではない期間の電流制限素子の動作について説明する。
【0050】
通常、P型MOSトランジスタにおいては、基板(NWELL)電位は電源電位VDDと等しく、N型MOSトランジスタの基板(PWELL)電位は接地電位GNDと等しい。従って、発振回路100の出力信号XOUTのレベルが十分でない期間には、P型トランジスタ4の基板(NWELL)には通常よりも低い、約VDD/2の電位が印加される。これにより、P型トランジスタ4のしきい値電圧は低くなり、抵抗が小さくなってトランジスタのオフリーク電流が増加する。
【0051】
一方、N型トランジスタ7の基板(PWELL)にも約VDD/2の電位が印加され、これは通常よりも高い基板電位となる。従って、N型トランジスタ7のしきい値電圧も低くなり、抵抗が小さくなってトランジスタのオフリーク電流が増加する。例えば、電源電圧が1.8Vである場合には、基板電位は約0.9Vになるため、電流制限素子としてのP型トランジスタ4およびN型トランジスタ7の抵抗は、殆ど0に近い値になる。その結果、反転増幅回路3の能力は高くなり、発振が得られ易い状態になる。
【0052】
次に、発振回路100において、出力信号XOUTがほぼ十分なレベルになった場合について説明する。
【0053】
出力信号XOUTのレベルがほぼ電源電位VDDに近づいたときには、P型トランジスタ4の基板電位がほぼ電源電位VDDになり、抵抗が大きくなってオフリーク電流は減少する。また、N型トランジスタ7は、しきい値電圧がさらに低くなるが、出力信号XOUTが’High’レベルに達しているときにはP型トランジスタ6が遮断状態であるため、消費電力に与える影響は少なくなる。
【0054】
一方、出力信号XOUTがほぼ接地電位GNDに近づいたときには、逆に、N型トランジスタ7のしきい値電圧が高くなってオフリーク電流が減少する。またし、P型トランジスタ4のしきい値電圧は低くなるが、P型トランジスタ5が遮断状態であるため、消費電力に与える影響は少なくなる。
【0055】
図3(a)は、本実施形態の発振回路100における発振開始時の出力波形を示す図であり、図3(b)は、図7に示す従来の発振回路400における発振開始時の出力波形を示す図である。なお、この従来の発振回路400は、発振安定時の消費電力を、本実施形態の発振回路100における発振安定時の消費電力とほぼ等しくなるように、調整したものである。なお、この図3および以下の図4は、一般的なシミュレーションツールであるHspiceシミュレーションによって作成されたものである.
図3(a)および図3(b)に示すように、出力信号XOUTの振幅が徐々に増幅されて出力信号OUTが発振されているが、本実施形態の発振回路100の方が、従来の発振回路400よりも安定した発振を早く得ることができる。発振開始時間は、従来の発振回路400では約190msであり、本実施形態の発振回路100では約120msであり、約40%短縮することができた。
【0056】
図4(a)は、本実施形態の発振回路100における発振安定時の電流波形を示す図であり、図4(b)および図4(c)は、図7に示す従来の発振回路400における発振安定時の電流波形を示す図である。なお、図4(b)は、従来の発振回路400において、発振安定時の消費電力を、本実施形態の発振回路100における発振安定時の消費電力とほぼ等しくなるように、調整したものである。また、図4(c)は、従来の発振回路400において、発振開始時間を、本実施形態の発振回路100における発振開始時間とほぼ等しくなるように、調整したものである。
【0057】
図4(a)および図4(c)に示すように、発振安定時間が等しい場合には、本実施形態の発振回路100の方が、従来の発振回路400よりも消費電力が小さくなっている。発振安定時の消費電力は、従来の発振回路400では約500uAであり、本実施形態の発振回路100では約50uAであり、約90%減少させることができた。
【0058】
以上のように、本実施形態の発振回路100において、電流制限素子としてのP型トランジスタ4およびN型トランジスタ7は、発振が安定するまでは抵抗値が小さいために電流量が増大し、発振安定時間を短縮化させることができる。一方、発振が安定してからは、比較的大きな抵抗値となるために電流量が減少し、低消費電力化を実現することができる。
【0059】
本実施形態の発振回路100において、電流制限素子としてのP型トランジスタ4およびN型トランジスタ7は、発振が安定したときに必要な電流量を確保することができればよく、発振安定までの期間は抵抗値がほぼ0となるため、設計が容易である。
【0060】
なお、本実施形態の発振回路100において、P型トランジスタ4およびN型トランジスタ7の基板電位を制御するためには、一般的に用いられているCMOSプロセスよりも、デバイス毎に基板が分離されるSOI(Silicon On Insulator)プロセスが適しており、実現が容易である。
【0061】
(実施形態2)
図5は、本実施形態の発振回路200の構成を示す回路図である。
【0062】
この発振回路200は、反転増幅回路3のインバータを構成するP型トランジスタ5と電源電位VDDとの間、およびN型トランジスタ6と接地電位GNDとの間には、それぞれ、電流制限素子として、P型のディプリジョン型トランジスタ14およびN型のディプリジョン型トランジスタ17が直列に接続されている。
【0063】
P型トランジスタ14およびN型トランジスタ17の基板電位は、それぞれ、電源電位VDDおよび接地電位GNDとされており、それぞれのゲートには出力信号XOUTが接続されている。
【0064】
この発振回路200において、P型トランジスタ14およびN型トランジスタ17は、出力信号XOUTの振幅が大きくなるまでの期間は線形領域で動作することになり、比較的大きな電流が流れるため、発振安定時間を短縮化することができる。
【0065】
また、出力信号XOUTの振幅が十分大きくなって発振が安定した後、出力XOUTが’High’レベルである期間は、P型トランジスタ14がほぼカットオフ(遮断)領域で動作し、出力信号XOUTが’Low’レベルである期間はN型トランジスタ17がほぼカットオフ領域で動作するため、抵抗値が大きくなって消費電力が低減される。
【0066】
本実施形態の発振回路200は、通常のCMOSプロセスによって電流制限素子としてのP型トランジスタ4およびN型トランジスタ7を容易に作製することができる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電流制限素子としてディプリジョン型トランジスタを設けることによって、トランジスタのスイッチングを制御する制御回路等を設けることなく、最小限の回路規模増加によって、消費電力の低減化と発振安定時間の短縮化とを同時に実現することが可能である。特に、低周波数の発振回路においては、発振が得られにくいために発振安定時間を短縮化できることは非常に重要であり、また、消費電力が少ないことが必須条件として要求されることが多いため,本発明は非常に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の発振回路の構成を示す回路図である。
【図2】(a)は、実施形態1の発振回路におけるインバータからの出力信号XOUTの変化を示す図であり、(b)および(c)は、それぞれ、電流制限素子としてのP型トランジスタおよびN型トランジスタのしきい値電圧の変化を示す図である。
【図3】(a)は、実施形態1の発振回路における発振開始時の出力波形を示す図であり、(b)は、従来の発振回路における発振開始時の出力波形を示す図である。
【図4】(a)は、実施形態1の発振回路における発振安定時の電流波形を示す図であり、(b)および(c)は、それぞれ、従来の発振回路における発振安定時の電流波形を示す図である。
【図5】実施形態2の発振回路の構成を示す回路図である。
【図6】電流制限素子を設けていない従来の発振回路の構成を示す回路図である。
【図7】電流制限抵抗を設けた従来の発振回路の構成を示す回路図である。
【図8】電流制限抵抗と並列にバイパストランジスタを設けた従来の発振回路の構成を示す回路図である。
【図9】ディプリジョン型トランジスタからなる電流制限素子と、そのゲート電位を制御するための電圧発生回路とを設けた従来の発振回路の構成を示す回路図である。
【図10】インバータと並列に遮断スイッチ付きのインバータを設けた従来の発振回路の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
1 振動子
2 帰還抵抗
3 反転増幅回路
4、14 P型トランジスタ(電流制限素子)
5 P型トランジスタ(インバータ)
6 N型トランジスタ(インバータ)
7、17 N型トランジスタ(電流制限素子)
8 ドライバ
9a、9b 抵抗素子
10a P型トランジスタ(バイパストランジスタ)
10b N型トランジスタ(バイパストランジスタ)
11a P型トランジスタ(電流制限素子)
11b N型トランジスタ(電流制限素子)
12 電圧発生器
12a 抵抗(電圧発生器)
12b、12d 容量(電圧発生器)
12c ダイオード(電圧発生器)
13a P型トランジスタ(遮断スイッチ)
13b N型トランジスタ(遮断スイッチ)
15a P型トランジスタ(遮断スイッチ付きインバータ)
15b N型トランジスタ(遮断スイッチ付きインバータ)
100、200、300、400、500、600、700 発振回路

Claims (1)

  1. 入力端子と出力端子との間に接続された振動子と、
    該振動子と並列に接続された帰還抵抗と、
    それぞれのドレイン同士が接続されて前記出力端子に接続され、それぞれのゲートが前記入力端子に接続されたP型トランジスタおよびN型トランジスタを有する、該ドレイン同士が接続されて出力部となっている論理反転回路、および前記出力部に、該論理反転回路の出力信号を入力とするよう接続された駆動回路を有する反転増幅回路とを備え、
    前記反転増幅回路は、ゲートおよびソースが電源電位に接続されてドレインが前記P型トランジスタのソースに接続されたP型ディプリジョン型トランジスタと、ドレインが前記N型トランジスタのソースに接続されてゲートおよびソースが接地電位に接続されたN型ディプリジョン型トランジスタとをさらに有し、
    前記P型ディプリジョン型トランジスタおよび前記N型ディプリジョン型トランジスタは、それぞれの抵抗値が帰還的に制御されるように、それぞれの基板部分が前記論理反転回路の出力部に接続されていることを特徴とする発振回路。
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