JP4243447B2 - メンブランセンサーユニットの製造方法、メンブランセンサーユニットおよびメンブランセンサーアレー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、請求項1記載の、メンブランセンサーユニットの製造方法および請求項7記載のメンブランセンサーユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
センサー素子構造体を形成するために、少なくとも1個の平坦なメンブランおよび該メンブランを断熱するためにメンブランの下側に断熱槽を備えている、半導体材料支持体を有するメンブランセンサーユニットの製造方法はすでに公知となっている。メンブランセンサーユニットが複数の平坦なメンブラン領域を有する場合は、これはメンブランおよびウェブの横方向の周囲部分に比較して明らかに改良された熱伝導性を有する材料からなるウェブにより規則的に互いに離れている。
【0003】
現在市販されているメンブランセンサーは多くは薄膜として実現されている。このために支持体基板に数10nmから数μmの厚さの層系を析出し、その後自立するメンブラン領域を得るために、予め決められた領域で支持体基板を除去する。メンブランの中心に、引き続き、例えばセンサー素子を取り付け、センサー素子はメンブランの自立する配置により、包囲する支持体基板から断熱され、これは温度センサーおよび流量センサーに好ましい。
【0004】
メンブランを露出するために、2つの方法に分類することができる。
【0005】
1.一般にメンブランを析出する前に支持体基板の表面に被覆される犠牲層を使用する、表面マイクロメカニック(OMM)。犠牲層は後でセンサーの表面からメンブラン中の溶解開口により除去し、これにより自立する構造が生じる。この表面マイクロメカニック法は分離した犠牲層が必要であることにより比較的費用がかかる。
【0006】
2.支持体基板の裏面のエッチング工程によりメンブランを露出する、すなわち、例えば全部の厚さのウェハを通過して開口をエッチングする、バルクマイクロメカニック。
【0007】
多くの使用のためにセンサーアレー(配置)が必要である。このために、複数の同じセンサーを並列に線状または二次元的に配置する。温度センサーを使用する場合は、これは、測定信号の空間的分解を可能にするために、放熱体により互いに分離しなければならない。
【0008】
放熱体を製造するために、種々の可能性が存在する。しばしば良好な熱伝導性材料からなる層をメンブランの表面に析出し、パターン付与し、熱伝導性の良好な材料の残りの構造を放熱体として利用する。
【0009】
しかしながらメンブランを、前記のように、バルクマイクロメカニック工程により、個々のメンブラン領域の間にバルク材料からなるウェブが残留するように露出することもできる。バルクマイクロメカニックメンブランセンサーの場合は、一般に裏面からメンブランを異方性エッチング法により、例えばKOH(水酸化カリウム)を用いて露出する。しかしながらこの場合に、エッチングは、その異方性にかかわらず、基板の裏面に、本来のメンブラン構造に必要であるよりかなり多くの場所を必要とする。これによりこの方法では集積密度が制限される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、メンブランセンサーの製造を、費用および集積密度に関して改良することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、請求項1記載の方法および請求項7記載のメンブランセンサーにより解決される。
【0012】
本発明は、まず少なくとも1個のセンサーのためのセンサー素子構造体を形成するために、平坦なメンブランおよび該メンブランの下側に断熱のための断熱槽を形成する、半導体材料支持体を有するメンブランセンサーユニットの製造方法から出発する。メンブランの語は、本発明の範囲で、自立する層だけでなく、最も簡単な場合は、比較的良好な断熱性の材料からなる断熱槽領域の上に配置されている1個の層であると理解される。本発明の核心は、半導体材料からなる支持体の、センサー素子構造を限定する予め決められた領域で、包囲する半導体材料に集中的に種々のドーピング部を維持し、ドーピング部により割り付けられた領域の間の半導体材料部分から多孔質の半導体材料を製造し、多孔質化した半導体材料の下側の槽領域およびセンサー素子構造体の部分の下側の半導体材料を除去および/または多孔質化することにある。この方法においては、明らかに大きな表面を有する多孔質半導体材料がバルク半導体材料より明らかに少ない熱伝導性を有するという知見を利用する。それとともに、例えば非多孔質化半導体材料部分がメンブラン内部で横方向にメンブラン材料により断熱される。下に向かうこの種の半導体領域の断熱は、断熱する槽領域により達成される。これは中空としてまたは多孔質化した半導体材料自体として形成することができる。本発明の手段により、熱電対を形成する第2の材料層にまでメンブランセンサーユニットを完全に半導体支持体材料から製造することができ、これは製造工程を簡略化し、製造費用を低下する。
【0013】
メンブランセンサー構造体の形状の伸びはドーピング工程および集中的エッチング工程により簡単なやり方で制御することができ、これにより特に熱電対の火力を容易に調節できる。
【0014】
多孔質の半導体、例えば多孔質シリコンを製造する場合に、一般にフッ化水素酸とシリコンの電気化学反応を利用し、この場合にシリコン中にスポンジ状構造が生じる。このためにシリコン−半導体支持体(一般にシリコンウェハ)はフッ化水素酸電解質に対して陽極に接続されていなければならない。例えばフッ化水素酸/エタノールからなる混合物中のシリコンの電気化学的エッチング(陽極化)により、前記深さに部分的にエッチングすることにより多孔質シリコンを形成する。シリコンのエッチングのために、シリコンと電解質の境界面に欠陥電子(ホール)が必要であり、欠陥電子は流動する電流により供給される。電流密度が臨界的電流密度jKRITより小さい場合は、表面に存在するくぼみに印加した電界によりホールが拡散し、ここで有利なエッチングが行われる。例えばp−ドーピングシリコンの場合は、量子効果によりホールがこの部分にもはや浸入できず、エッチング工程が停止するまで、くぼみの間の部分を最小の厚さにまで横方向にエッチングする。このやり方でシリコンおよび自由エッチングした孔からなるスポンジ状の骨格構造が生じる。骨格構造を形成する際にエッチング工程は孔の先端部分でのみ行われるので、すでにエッチングしたシリコンのスポンジ構造が維持される。それとともにすでにエッチングした領域の孔径も変化せずに保たれる。孔径はフッ化水素酸中のHF濃度、ドーピングおよび電流密度に依存し、数nmから数10nmまでであってもよい。同様に気孔率を約10%から90%以上にまで調節することができる。
【0015】
多孔質シリコンを製造するために、種々のドーピングした基板を使用することができる。一般に種々のドーピング程度のp−ドーピングしたウェハを使用する。ドーピングにより多孔質シリコン内部の構造を決定することができる。
【0016】
多孔質シリコンを局在的に製造するために、p−ドーピングシリコンおよびn−ドーピングシリコンが著しく異なるエッチング特性を有するという知見を利用することができる。p−ドーピングシリコン中に多孔質シリコンを製造できる条件下で、これはn−ドーピングシリコン中で可能でないか、またはきわめて少ない範囲でのみ可能である。従ってセンサー素子構造体を固定するために、p−ドーピング基板の表面の層を再度n−ドーピングすることができる(イオン注入または拡散により)。電気化学的エッチングの場合は、p−ドーピング領域でのみ多孔質シリコンが生じる。多孔質シリコンの製造は再度のn−ドーピング層の厚さに調節することができる。このやり方で再度n−ドーピングした領域の間に多孔質化したシリコン層が配置されている構造が得られる。
【0017】
本発明の他の特に有利な構成において、多孔質化した半導体材料を断熱槽領域を形成した後に酸化する。これにより多孔質化した構造の熱伝導性が更に減少する。
【0018】
本発明の別の特に有利な構成において、多孔質の酸化された半導体材料を形成する前に、集中的な種々のドーピング領域に保護層を備える。例えばシリコンウェハの場合に再度n−ドーピングしたシリコンを付加的に窒化珪素層で被覆し、この層が再度n−ドーピングした領域を保護する。
【0019】
有利にはこの不活性層を、多孔質のおよび場合により酸化した半導体材料を形成した後に除去する。
【0020】
断熱槽領域は空洞の形でまたは高度に多孔質の材料として形成することができる。
【0021】
本発明の他の特に有利な構成において、ドーピングにより割り付けられた半導体領域の上に、多孔質化および場合により酸化した半導体材料内部に、センサー素子構造体を形成し、すなわち多孔質化した材料が隣接するが、それ自体多孔質でない半導体領域に、熱電対を形成するために、材料層、例えばアルミニウムを被覆する。多孔質化および場合により酸化した半導体材料の間に配置されている半導体材料領域からの熱電対の製造は、特に多孔質のおよび場合により酸化した半導体材料の製造の際にドーピングにより割り付けられる半導体領域が不活性層により保護される場合は、他の層を簡単に被覆することにより実現することができる。不活性層を除去した後に、熱電対を形成するために、所望の半導体表面(例えば有害な酸化物皮膜を有しない)を使用する。例えばすでに記載したように、n−ドーピングシリコンを窒化珪素層により保護し、その際窒化珪素層を除去した後にアルミニウム層を被覆することにより熱電対を製造することができる。
【0022】
更に本発明は、少なくとも1個のセンサーのためのセンサー素子構造体を形成するために、メンブランおよび該メンブランの断熱のために該メンブランの下側に配置された断熱槽を有する、半導体材料からなる支持体を有するメンブランセンサーユニットから出発する。メンブランセンサーユニットの主な特徴は、メンブランが多孔質化および場合により酸化した半導体材料からなる半導体材料部分を有することにある。これにより、熱電対の比較的良好な断熱を有するメンブランセンサーユニットの特に簡単な構造が可能である。
【0023】
この構造は、メンブラン中に多孔質でなく、酸化された半導体領域が配置され、この部分が導体路もしくは熱電対の熱肩部として利用することができる場合に更に簡略化される。すでに記載したように、この構造において、簡単なやり方で相当する構造化を有する他の層を直接被覆することにより熱電対を製造することができる。
【0024】
熱電対として使用するために、断熱槽は、メンブランの下に、有利には空洞として形成される。これに対して流量センサーの使用分野のために、断熱槽は有利には高度に多孔質の半導体材料として形成される。
【0025】
多孔質半導体材料および残りの半導体材料領域の正確な形成により、特に前記方法を使用して、高い集積密度を有し、その際個々のメンブランセンサーユニットの良好な分離が互いに保証される、メンブランセンサーアレーを形成することができる。
【0026】
【実施例】
本発明を図面に示された実施例により詳細に説明する。
【0027】
図1a〜1cはそれぞれp−ドーピングシリコンウェハ2の土台上のメンブランセンサー1の形成を示す図である。
【0028】
第1段階で、例えばイオン注入によりn−ドーピング領域3,4を形成し、この領域は後で導体路および熱肩部もしくはセンサー縁部として使用すべきである(図1a参照)。
【0029】
領域3,4の間のシリコン基板2のp−ドーピング領域(有利には約0.02Ωcm)を多孔質化し、メソポアー領域5(例えば気孔率10〜65%、層密度約1〜10μm以上、電流密度約1〜50mA/cm2、HF濃度約15〜40%)を形成する。使用に応じて領域5の気孔率を調節する(断熱のために55%より高い気孔率)。領域5の内部に熱肩部として使用するn−ドーピング領域3が存在する。多孔質領域5を形成する前に、n−ドーピング領域3,4に、多孔質化の工程のための保護層として窒化珪素層6を備える。この窒化珪素層6は多孔質化の後に再び除去する。
【0030】
引き続き多孔質領域を通過して適当な方法により領域3,5の下側に空洞7を形成する。
【0031】
このエッチング工程は、領域5の孔によるシリコン−気相エッチングによりまたは同様に領域5の孔による電気研磨(例えばHF濃度2〜20%、電流密度>50mA/cm2で)により実施することができる。
【0032】
エッチング工程は等方性であり、従って横方向にp−ドーピング半導体材料のエッチングが生じる。このやり方でn−ドーピング領域3の完全なアンダーエッチングによりおよびn−ドーピング領域4の部分的アンダーエッチングにより、図1cに示される連続する空洞7が形成される。空洞7を、相当して領域3,4および5により皮膜で覆い、メンブラン8が形成される。
【0033】
メソポアー領域5を安定化し、その熱伝導性を更になお減少するために、この領域を付加的に酸化することができる。
【0034】
部分的な多孔質メンブラン8の長時間安定性を改良するために、このメンブランを、CVD(化学蒸着)被覆層により密閉することができる(図示されていない)。相当するアンダーエッチングによる空洞7の形成の前または後に、熱電対のために付加的に必要な構造、特に第2の熱肩部を形成する。
【0035】
温度センサーおよび流量センサー3のために、例えば再度n−ドーピングしたシリコン領域3上に、アルミニウムまたはp−ドーピングポリシリコンからなる熱肩部9を配置する。
【0036】
特に流量センサーの場合は(図2参照)、槽領域10中のメンブランの下側で半導体材料を多孔質化および酸化することができる。有利にはナノ多孔性シリコン領域を相当するエッチング工程により多孔質領域5を通過して製造する。この場合に気孔率の程度は、残留する珪素の質量を最小にし、それにもかかわらず十分な安定性を保証するために、比較的高く(>60%)調節する。比較的良好な熱伝導性シリコンを、熱伝導性の劣る多孔質酸化珪素に変換するために、こうして製造した多孔質シリコンを、槽領域10で引き続き酸化することができる。個々の材料の熱伝導性は以下のように数字で示すことができる。
【0037】
シリコン 約150W/Km
酸化珪素 1.4W/Km
ナノ多孔質化したシリコン 1〜2W/Km
酸化した、多孔質化したシリコン 0.3〜1.4W/Km。
【0038】
半導体支持体2の方向に良好な断熱性を達成するために、槽領域10の厚さはできるだけ大きく選択する(例えば50〜150μm)。
【0039】
CVD(化学蒸着)層もしくはスパッタ層を被覆し、構造化する(湿式化学的または物理的/乾式化学的)ことにより、メンブラン8および特に多孔質領域5を密閉するために被覆層および第2の熱電素子を形成する熱肩部9を形成することができる。
【0040】
単結晶シリコンの比較的良好な熱伝導性により、n−ドーピング領域またはp−ドーピングシリコン領域を、センサーアレー12の個々のピクセルを断熱するために使用することができる(図3参照)。この断熱は、個々のピクセル11の下の熱による誘電妨害を避けるために、特に高度に集積されたセンサーアレーの場合に必要である。
【0041】
前記方法に相当して、メンブラン8を製造する際に、この下に存在する槽領域7,10とともに、同時に必要な放熱体13を形成することが可能である。従って本発明の方法により、特に高度に集積されたセンサーアレーを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】多孔質シリコンメンブランを有するメンブランセンサーを製造する際の異なる製造段階の図である。
【図2】多孔質シリコンメンブランおよびこの下に存在する断熱性の多孔質槽領域を有するメンブランセンサーの断面図である。
【図3】メンブランセンサーアレーの平面図である。
Claims (8)
- 少なくとも1個のセンサーのためのセンサー素子構造体を形成するために、平坦なメンブラン(8)および該メンブラン(8)の下側に断熱するための断熱槽(7,10)を形成する、半導体材料支持体(2)を有するメンブランセンサーユニット(1)の製造方法において、半導体材料からなる支持体(2)の、センサー素子構造体(3,4)を限定する予め決められた部分で、前記部分を包囲する半導体材料とは異なるドーピング部を得て、ドーピング部により割り付けられた領域(3,4)の間の半導体材料部分から多孔質の半導体材料(5)を製造し、多孔質化した半導体材料とセンサー素子構造体(3,4)の部分との下側の断熱槽(7,10)内の半導体材料を、多孔質の半導体材料(5)の孔によるシリコン−気相エッチングまたは多孔質の半導体材料(5)の孔による電気研磨により除去および/または多孔質化することを特徴とする、メンブランセンサーユニット(1)の製造方法。
- 多孔質の半導体材料を製造する前に、種々のドーピングされた領域(3,4)に保護層(6)を備えさせる請求項1記載の方法。
- 断熱槽(7)を、多孔質の半導体材料(5)を通過して多孔質化する請求項1または2記載の方法。
- 断熱槽(7,10)を製造した後に多孔質化した半導体材料(5)を酸化させる請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
- 多孔質化した半導体材料(5)または多孔質化および酸化した半導体材料(5)内部の半導体領域(3,4)上に、熱電対を製造するために材料層(9)を被覆し、パターン付与するが、その際に前記半導体領域(3,4)はドーピング部により割り付けられており、かつセンサー素子構造体を形成する、請求項3記載の方法。
- 少なくとも1個のセンサーのためのセンサー素子構造体を形成するために、平坦なメンブラン(8)および該メンブラン(8)を断熱するために、該メンブラン(8)の下側に配置される断熱槽(7,10)を有する、半導体材料からなる支持体(2)を有するメンブランセンサーユニットを複数有するメンブランセンサーアレーにおいて、該メンブラン(8)が、多孔質化した半導体材料または多孔質化および酸化した半導体材料からなる半導体材料部分(5)を有し、かつメンブラン(8)中に導体路を形成するために非多孔質の半導体領域(3,4)が配置されていることを特徴とするメンブランセンサーユニットを複数有するメンブランセンサーアレー。
- 断熱槽が空洞(7)として形成されている請求項6記載のメンブランセンサーアレー。
- 断熱槽(10)が多孔質の半導体材料を有する請求項6記載のメンブランセンサーアレー。
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