JP4243133B2 - 受像管装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、冷陰極電子銃(cold cathode electron gun)を備えている受像管装置(CRT device)に関し、特に受像管装置の解像度を改善する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、熱陰極に代えて冷陰極を適用した電子銃を備えている受像管装置の開発が進められている。冷陰極電子銃は、ヒータを要しないため消費電力が小さく、熱に起因する電子銃の変形(ドーミング)もないため、電子ビームが位置ズレを起こすおそれも少ない。
【0003】
このような利点を有する一方で、冷陰極電子銃の冷陰極アレイから射出される電子ビームは初速度が大きく、出射角度も大きいため集束させるのが難しい。このため、受像管装置の蛍光面に形成されるスポットの径(以下、「スポット径」という。)が大きくなり、十分な解像度が未だ達成されていない。
このような問題に対して、例えば、特許文献1に開示の陰極線管が提案されている。この陰極線管は、上記のような技術常識を考慮したものであって、デュアルゲート方式を採用することにより、クロスオーバ点を形成することなく、蛍光面上に電子ビームを集束させることにより解像度を向上させるものである。
【0004】
詳しく述べると、当該陰極線管が備えているデュアルゲート方式の冷陰極アレイ(FEA:Field Emitter Array)は、2つのゲート電極を管軸方向に積層した半導体素子となっており、エミッタ電極により近く配設された第1のゲート電極が発生させる電界によってエミッタ電極から電子ビームを出射させると共に、第1のゲート電極よりも低い電圧を帯びた第2のゲート電極が発生させる電界によって電子ビームのビーム径を絞ってスポット径を調節する。
【特許文献1】
特開平8−106848号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記陰極線管においては、前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間の距離が小さい場合、これら2つのゲート電極が発生させる電界が互いに影響を与え合って、所期の機能を発揮することが出来ないという問題がある。
【0006】
一方、これら2つのゲート電極間の距離を大きくするためには、ゲート電極間の絶縁層の厚みを拡大しなければならないのだが、このような絶縁層の厚みの拡大は半導体プロセス技術上難しいので、デュアルゲート方式の冷陰極アレイは現時点では実現性に乏しい。
本願発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、冷陰極電子銃を備えた受像管装置であって、デュアルゲート方式に依らずに高解像度を実現する受像管装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願発明に係る受像管装置は、ネック部、ファンネル部及びスクリーン面を有するガラスバルブと、電子を放出するエミッタ電極と、前記エミッタ電極に対して、管軸方向スクリーン画面側に配設されており、前記エミッタ電極からの電子の放出を制御するゲート電極と、前記エミッタ電極に対して、管軸方向スクリーン画面側に配設されており、前記ゲート電極よりも厚みが大きく、かつ、前記ゲート電極を囲繞している周辺集束電極と、前記周辺集束電極に対して、管軸方向スクリーン画面側に配設されている加速電極とを備え、前記ネック部に封入される冷陰極電子銃と、前記加速電極が前記ゲート電極と前記周辺集束電極とに対して高電位となるように、前記加速電極、前記ゲート電極、および、前記周辺集束電極に電圧を印加して、クロスオーバを形成する電圧印加手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
このようにすれば、冷陰極アレイから出射された電子ビームの広がりを抑制し、例えば、クロスオーバ径を縮小させることができるので、スポット径を縮小させて高解像度の受像管装置を得ることができる。また、これと同時に、電子銃の製造に要する工数を低減して、電子銃の製造コストを削減することができる。更に、ゲート電極と周辺集束電極との絶縁を確かなものとすることもできる。
【0009】
また、本願発明に係る受像管装置は、前記冷陰極電子銃は、前記加速電極に対して管軸方向スクリーン画面側に配設されている集束電極と、前記集束電極に対して管軸方向スクリーン画面側に配設されている最終加速電極とを備え、前記電圧印加手段は、前記最終加速電極に印加される電圧を抵抗分割して前記加速電極に印加することを特徴とする。
【0010】
このようにすれば、加速電極に高電圧を印加するにあたって、十分な耐圧を確保しつつ、加速電極の電圧を自由に調整することが出来る。
また、本願発明に係る受像管装置は、前記冷陰極電子銃は、集束電極と最終加速電極とを備え、前記電圧印加手段は、前記集束電極に対して印加されている電圧を、併せて前記加速電極に対しても印加することを特徴とする。
【0011】
このようにすれば、上記抵抗素子を要することなく加速電極に電圧を印加することができる。
また、これに代えて、前記周辺集束電極は、平面周辺集束電極と立体周辺集束電極とからなり、前記平面周辺集束電極は、前記ゲート電極と略同一の厚みを有し、管軸方向について前記ゲート電極と略同一の位置にあって、前記ゲート電極を囲繞し、前記立体周辺集束電極は、前記平面周辺集束電極について、前記エミッタ電極と反対側に配設されているとしても良い。
【0012】
このようにすれば、本願発明に係る電子銃をより簡便に製造することができるので、電子銃の製造コストを削減することができる。
また、本願発明に係る受像管装置は、前記平面周辺集束電極と前記立体周辺集束電極とは、いずれも電子ビームを通過させる貫通孔を有し、前記平面周辺集束電極の貫通孔の内径は、前記立体周辺集束電極の貫通孔の内径よりも小さいことを特徴とする。
【0013】
また、本願発明に係る受像管装置は、前記立体周辺集束電極と前記平面周辺集束電極とは離隔されていることを特徴とする。
また、本願発明に係る受像管装置は、前記平面周辺集束電極は前記立体周辺集束電極よりも低電位であることを特徴とする。
このようにすれば、射出直後の電子ビームに対して、カソードに近い箇所で強い集束作用を与えることができる。
【0014】
また、本願発明に係る受像管装置は、前記周辺集束電極は、電子ビームを通過させる貫通孔を有し、前記周辺集束電極の貫通孔は、前記加速電極に近いほど拡径されていることを特徴とする。
このようにすれば、電子ビームが周辺集束電極に衝突するのを防止することができる。
【0015】
更に、前記周辺集束電極は、電子ビームを通過させる貫通孔を有し、前記周辺集束電極の貫通孔の内側面は、前記ゲート電極側に近い部分において前記周辺集束電極の中心軸と平行となっているとすれば、電子ビームに対する集束作用を維持しつつ、前記貫通孔を拡径させることができる。
また、本願発明に係る受像管装置は、前記立体周辺集束電極は、電子ビームを通過させる貫通孔を有し、前記立体周辺集束電極の貫通孔は、前記加速電極に近いほど拡径されているとしても良いし、前記立体周辺集束電極の貫通孔の内側面は、前記ゲート電極側に近い部分において前記立体周辺集束電極の中心軸と平行となっているとしても良い。
【0016】
このようにすれば、周辺集束電極が平面周辺集束電極と立体周辺集束電極とに分割されている場合においても上記の効果を得ることができる。
また、本願発明に係る受像管装置は、前記加速電極は、前記周辺集束電極側において面取りされていることを特徴とし、或いは、前記加速電極は、前記周辺集束電極側の周縁部がR付きであることを特徴とし、或いは、前記周辺集束電極は、前記加速電極側において面取りされていることを特徴とし、或いは、前記周辺集束電極は、前記加速電極側の周縁部がR付きであることを特徴とする。このようにすれば、周辺集束電極と加速電極との間の電位差が大きいことに起因する、これら電極間の放電を防止することができる。
【0017】
また、前記加速電極と前記周辺集束電極とは、いずれも電子ビームを通過させる貫通孔を有し、前記加速電極の貫通孔の内径は前記周辺集束電極の貫通孔の内径以下であることを特徴とする。このようにすれば、ゲート電極、周辺集束電極と加速電極で形成される電界レンズを強めることができるので、電子ビームに及ぼす集束作用を増し、電子ビームの広がりを抑制することができる。
【0018】
また、本願発明に係る受像管装置は、前記冷陰極電子銃が、前記加速電極に対して、管軸方向スクリーン画面側に配設されている集束電極と、前記加速電極と前記集束電極の間に配設された予備集束電極とを備え、前記予備集束電極は前記加速電極電位よりも低電位であることを特徴とする。
また、本願発明に係る受像管装置は、前記加速電極と前記集束電極の間に配設された予備集束電極を備え、前記予備集束電極は前記加速電極電位よりも低電位であることを特徴とする。
【0019】
このようにすれば、予備集束電極が発生させる電界の作用によって、更に予備集束レンズを発生せしめ、当該予備集束レンズによって電子ビームの発散角を調整して、望ましい発散角で主レンズに入射させることができる。したがって、スポット径を縮小して、解像度を向上させることができる。
また、前記立体周辺集束電極は、電子ビームを通過させる貫通孔を有し、前記立体周辺集束電極の貫通孔は、前記加速電極に近いほど縮径されているとしても良い。このようにすれば、周辺集束電極が電子ビームに及ぼす集束力を更に高めることができる。
【0020】
また、ネック部、ファンネル部及びスクリーン面を有するガラスバルブと、ゲート電極と、前記ゲート電極よりも厚みが大きく、かつ、前記ゲート電極を囲繞している周辺集束電極と、電子を放出する突出部を複数備えており、当該突出部は、いずれも前記周辺集束電極から所定距離以上、離隔されているエミッタ電極と、加速電極とを備え、前記ネック部に封入される冷陰極電子銃と、前記加速電極が前記ゲート電極と前記周辺集束電極とに対して高電位となるように電圧を印加して、クロスオーバを形成する電圧印加手段とを備えることを特徴とする。このようにすれば、各エミッタ電極と周辺集束電極との間のバラツキに起因する高次収差を防止して、高解像度を実現することができる。
【0021】
この場合において、前記突出部は、いずれも前記周辺集束電極から0.01mm以上、離隔されているとすれば、特に有効である。
また、本願発明に係る受像管装置は、前記突出部は、平面視矩形領域内に配置されていることを特徴とする。
また、本願発明に係る受像管装置は、前記エミッタ電極は、水平方向に隣り合う3つの部分電極からなっており、スクリーン画面の中央部分を走査するときは、前記3つの部分電極すべてから電子を放出し、スクリーン画面の中央部分以外の部分を走査するときは、前記3つの部分電極のうち、水平方向中央に位置する部分電極のみから電子を放出することを特徴とする。
また、本願発明に係る受像管装置は、エミッタ電極に対する周辺集束電極の電圧Vf、ゲート電極の電圧Vex及び加速電極の電圧Vg2がVf<Vex<<Vg2となるように印加されていることを特徴とする。
また、エミッタ電極に対する加速電極の電圧Vg2が1kV以上、4.6kV以下となるように印加されていることを特徴とする。
また、立体周辺集束電極の平面周辺集束電極側の主面に導電性の突起部が設けられており、突起部は平面周辺集束電極と接触していることを特徴とする。
また、立体周辺集束電極は、平面視、環状となっており、突起部は、立体周辺集束電極の中心軸を囲繞する三角形の各頂点の位置に配されていることを特徴とする。この場合において、前記三角形は正三角形であるとしても良い。
また、エミッタ電極から遠ざかるほど、周辺集束電極の内壁がエミッタ電極の主面に平行になるように傾斜することを特徴とする。
また、予備集束電極と周辺集束電極とが電気的に接続されていることを特徴とする。この場合において、予備集束電極と集束電極との間に配されており、予備集束電極より高い電圧が印加される第2の予備集束電極を備えればなお好適である。
また、予備集束電極と集束電極との間に配されている第2の予備集束電極と、を備え、第2の予備集束電極は、最終加速電極に印加される電圧を抵抗分割して印加されていることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明に係る受像管装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[1] 第1の実施の形態
[1−1] 全体構成
図1は、本実施の形態に係るカラー受像管装置について、その管軸Zを含む縦断面を示す図である。図1に示すように、カラー受像管装置1は、ガラスバルブ11を備えており、ガラスバルブ11のスクリーン面の内側には蛍光物質が塗布された蛍光面13となっている。また、ガラスバルブ11の内部には蛍光面13と対向してシャドウマスク14が配設されている。
【0023】
ガラスバルブ11のファンネル部にはアノードボタン12が設けられている。また、ガラスバルブ11のネック部の内部には冷陰極電子銃(以下、単に「電子銃」という。)10が封入されている。
ネック部端部には電子銃10のステム部から出た電極端子15が突出しており、当該電極端子15を通じて電子銃10へ各種の信号が入力される。この他、電子銃10に対しては、アノードボタン12からガラスバルブ11の内壁経由で電圧が印加されている。
【0024】
[1−2] 電子銃10の構成
図2は、電子銃10の概観を示す外観斜視図である。電子銃10は、RGB各色のカソード100や周辺集束電極101、加速電極102等を備えている。これらの電極はカソード側から順にカソード100、周辺集束電極101、加速電極102、集束電極103、最終加速電極104の順に配列されている。
【0025】
カソード100は、RGB各色の輝度に応じた電流量の3つの電子ビームを出射する。周辺集束電極101は、カソードから出射された電子ビームを、電界レンズを発生させることによって集束させる。加速電極102は、電子ビームの広がりを抑制する。
集束電極103と最終加速電極104とは、いわゆる主レンズ(電界レンズ)を発生させる。本実施の形態においては、集束電極103には5k〜8kV程度の電圧が印加されており、最終加速電極104には25k〜35kV程度の電圧がアノードボタン12を経由して印加されている。
【0026】
カソード100、周辺集束電極101、加速電極102及び集束電極103にはステム部を経由して電圧が印加されている。
図3は、電子銃10のカソード100、周辺集束電極101及び加速電極102について管軸Zを含む縦断面を示した図である。図3には、3原色RGBのうち色Gに対応する電子ビームを出射する部分が示されている。
【0027】
なお、他の原色RBについても、それらに対応する電子ビームを出射する箇所に関して、電子ビームの中心軸を含む縦断面は図3と同様であるので、以下、原色Gの場合を代表例として説明する。
図3に示すように、カソード100は、電子を電界放出するエミッタ電極100aと電界放出を制御するゲート電極100cとの間に絶縁層100bが介在して構成されている。ゲート電極100cの周囲には周辺集束電極101が配設されている。
【0028】
また、加速電極102は、周辺集束電極101に管軸方向に対向して配置されている。エミッタ電極100aは、複数の突出部100aEを有している。カソード100のうち、この突出部100aEのある部分を冷陰極アレイ100dと称する。
図4は、冷陰極アレイ100dのエミッタ電極100aの突出部100aEのひとつを拡大して示す部分断面図である。図4に示すように、突起状の突出部100aEの先端を囲むように、ゲート電極100cにはゲート孔100chが設けられている。
【0029】
冷陰極アレイ100dは、エミッタ電極100aとゲート電極100cとの間に輝度信号に応じた電位差をもたせることにより、エミッタ電極100aの突出部100aEの先端付近に強い電界を発生させて、突出部100aEの先端から電子ビームを出射させる。この電子ビームは、エミッタ電極100aとゲート電極100cとの間の電位差に応じて数十乃至100eVの初速度を有する。
【0030】
なお、半導体製造プロセスによってエミッタ電極100aに突出部100aEが形成される際に、突出部100aE以外にも微小な突起がエミッタ電極100aの表面に形成されてしまう。
突出部100aEから電子ビームが出射される際には、このような微小突起の先端からも電子が放出される。このため、突出部100aEから放出される電子は突出部100aEの高さ方向へ向かう中心軸に対してある程度の角度をもって出射される。
【0031】
この角度は一般に発散角と呼ばれている。発散角は、冷陰極の形状や印加する電圧によって多少異なるものの、概ね30°程度であり、本実施の形態に係る冷陰極も同様の発散角を有する。因みに、熱陰極における発散角は通常90°程度であることが知られている。
このように、熱陰極から出射される電子ビームよりも発散角が小さいにも関わらず、冷陰極が出射する電子ビームは初速度が大きいために電子ビームが拡がってしまう。このため、従来、クロスオーバを形成することが難しいと考えられている。
【0032】
さて、図3におけるエミッタ電極100aとゲート電極100cとの間の電位差(ゲート電圧)Vex、エミッタ電極100aの電位に対する周辺集束電極101の電圧差Vf及びエミッタ電極100aと加速電極102との間の電圧Vg2は、次式を満足する。
Vf < Vex << Vg2
このように、周辺集束電極101はゲート電極100cよりも低電位となっているので、冷陰極アレイ100dから出射された電子ビームは強い集束作用を受ける。
【0033】
この集束作用に加えて、ゲート電極100c、周辺集束電極101及び加速電極102によってエミッタ電極100aの近傍に形成される曲率の小さな電界レンズによっても、電子ビームは強い集束作用を受ける。
更に、電子銃10においては、エミッタ電極100aと加速電極102との電位差を大きくして、管軸方向に関する電界強度を高めることによっても集束作用を強化し、電子ビームの広がりを抑制する。
【0034】
以上のようにして、電子銃10は、クロスオーバを形成すると共に、例えば、クロスオーバ径を冷陰極アレイ100dの電子出射径より小さくすることができるので、最終的にスポット径を縮径することができ、受像管装置の解像度を向上させることができる。
因みに、スポット径は、(a)物点径と主レンズの倍率の積、(b)主レンズの収差、および、(c)電子ビームを構成する電子間のクーロン斥力、に依存して変化することが知られている。なお、物点径とは、本願発明においてはクロスオーバ径であり、上記の従来技術においては冷陰極アレイの電子を出射する部分の径である。
【0035】
また、主レンズの倍率は、(d)クロスオーバから出射する電子ビームの広がり角と、(e)クロスオーバとエミッタ電極との電位差の平方根に比例する。従って、例えば、上述のように、加速電極102を高電位とすれば、上記(a)のクロスオーバ径を縮小し、かつ、上記(d)の広がり角を小さくすることができるので、スポット径を縮小することができる。
【0036】
また、クロスオーバ径を縮小しない場合であっても、広がり角を小さくすることのみによってスポット径を縮小することもできる。
例えば、電子ビーム間の反発力(リパルジョン)を考慮すれば、クロスオーバ径を小さくするとリパルジョンが大きくなると考えられる。このため、クロスオーバ径は小さくせずに、広がり角のみを小さくするようにすれば、リパルジョンの影響を抑えてスポット径を縮小することができる。
【0037】
[1−3] シミュレーション結果
電子銃10についてシミュレーションによる性能評価を行なった。図5は、当該性能評価に係るシミュレーションの条件を示す表である。なお、電子ビームの発散角は上表の範囲内で15°毎に電子の軌道を求めることとした。
図6は、当該シミュレーションにより求められた電子の軌道と等電位線を示した図である。図6に示すように、周辺集束電極101や加速電極102によって等電位線22に表されるような電界が発生される。
【0038】
このような電界の影響を受けて、冷陰極アレイから出射された電子ビーム21は、周辺集束電極101に囲繞された空間から出て直ぐのところにクロスオーバ20を形成する。このクロスオーバ20は、冷陰極アレイにおける電子出射径よりも小さい径を有する
電子ビーム21はクロスオーバを形成した後、拡径しながら主レンズに入射し、主レンズの集束作用によって蛍光面13上にクロスオーバ20を結像させる。本実施の形態に係る受像管装置は、このようにしてクロスオーバ径を縮小させることによって高解像度を実現することができる。
【0039】
[1−4] 第1の実施の形態に関する変形例
なお、本実施の形態に係る受像管装置について、以下のような変形例を実施することができる。
(1) 上記においては、周辺集束電極101は全体として一体としたが、これに代えて次のようにしても良い。
【0040】
図7は、本変形例に係る受像管装置が備えている電子銃の管軸Zを含む縦断面を表す図であって、特に周辺集束電極を中心としてその周辺の構成が示されている。
図7に示すように、電子銃10´は、上記電子銃10と概ね同様の構成をとっており、エミッタ電極100a´とゲート電極100c´とを絶縁層100b´にて接続したカソード100´、周辺集束電極101´及び加速電極102´を備えている。
【0041】
電子銃10´における電子銃10との相違点は、周辺集束電極101´が平面周辺集束電極101a´と立体周辺集束電極101b´とに分かれている点である。平面周辺集束電極101a´はゲート電極100c´と同一平面上にあり、立体周辺集束電極101b´と併せて上記周辺集束電極101とほぼ同一の形状をとっている。
【0042】
このようにすれば、半導体製造プロセスによってエミッタ電極100a´、絶縁層100b´、ゲート電極100c´および平面周辺集束電極101a´を作成した後、別途作成した立体周辺集束電極101b´を接合すれば良いので、本実施の形態に係る電子銃をより簡便に製造することができる。
本変形例においては、図7に示されるように、平面周辺集束電極101a´の内径が立体周辺集束電極101b´の内径よりも小さくなっている。このようにすれば、立体周辺集束電極101b´を平面周辺集束電極101a´に接合する際に、多少の位置ズレが生じたとしても、立体周辺集束電極101b´が平面周辺集束電極101a´の開口部分にはみ出す心配が無い。
【0043】
従って、立体周辺集束電極101b´とゲート電極100c´とが接触したり、或いは、これらの電極間で短絡が生じる等の原因によって、エミッション不良が生ずるのを防止することができるので、製造不良を低減によりコストを低減して、良品を安価に提供することができる。
なお、製造上、上述のような位置ズレを生じるおそれが無い場合や、品質上問題の無い範囲内に位置ズレを抑えることができる場合には、平面周辺集束電極101a´の内径と立体周辺集束電極101b´の内径とが略同寸であるとしても構わないことは言うまでも無い。
【0044】
また、この時、ゲート電極100c´に電圧を印加するためには次のようにしても良い。すなわち、平面周辺集束電極101a´と立体周辺集束電極101b´の間にリード線を配し、当該リード線を通してゲート電極100c´に電圧を供給するとしても良い。
図8は、平面周辺集束電極101a´と立体周辺集束電極101b´の間に配したリード線によってゲート電極100c´に電圧を供給する場合について、周辺集束電極等の平面図(a)と、当該平面図(a)の線A−Aについての断面図(b)とを併記した図である。
【0045】
図8(a)に示すように、ゲート電極100c´からはリード線23が引き出されている。また、図8(b)に示すように、当該リード線23は絶縁膜24によって被覆されている。なお、この絶縁膜24の部分は単なる間隙であるとしても良い。
また、立体周辺集束電極101b´の平面周辺集束電極101a´と対向する面には溝部が設けられており、前記リード線23は当該溝部内を通過するように配設されている。
【0046】
また、平面周辺集束電極101a´への電圧の印加は、立体周辺集束電極101b´を介して行うとしてもよいし、平面周辺集束電極101a´からリード線を引き出し、当該リード線を介して行うとしても良い。
(2) 上記実施の形態においては、周辺集束電極101は電子銃10全体で1つとしたが、これに代えて次のようにしても良い。すなわち、周辺集束電極101はRGB各色毎に設けるとしても良い。
【0047】
(3) 上記実施の形態においては、加速電極102の電圧Vg2(エミッタ電極100aと加速電極102の電位差)を4.6kVとしたが、様々な条件の下でシミュレーションを実施したところ、前記電圧Vg2が、例えば、1kVであれば、クロスオーバ径を縮小して高解像度を実現するという本願発明の目的が達成されることが確認された。
【0048】
(4) 上記実施の形態においては、本願発明をカラー受像管装置に適用する場合を例にとって説明したが、本願発明がこれに限定されないのは言うまでも無く、カラー受像管装置以外の受像管装置に本願発明を適用するとしても良い。
受像管装置がカラーであるか否かに関わらず本願発明を適用して、その効果を得ることができる。
【0049】
[1−5] 第1の実施の形態の効果に関する追加説明
本実施の形態によれば、電子銃の製造に要する工数を省いて製造コストを削減することができるとともに、電極間の絶縁状態を良好に保つことができる。
例えば、特開平6−223706号公報に開示の冷陰極素子の製造方法においては、一旦、エミッタ電極とゲート電極とより絶縁層を挟んだサンドイッチ構造の部材が作成される。
【0050】
そして、蒸着法を用いて別の絶縁体の所定の表面に金属を堆積させた部材が作成され、前記サンドイッチ構造部材のゲート電極上に他方の部材の絶縁部分が接合される。
これに対して、本実施の形態においては、図3に示されるように、前記サンドイッチ構造部材を構成する絶縁層100bの一方の主面に配設されているゲート電極100cは、当該主面の中央部分のみを覆っており、当該主面上において、当該中央部分を取り囲む環状領域には、ゲート電極100cが配設されておらず、絶縁層100bが露出している。
【0051】
本実施の形態においては、この環状領域に周辺集束電極101を接合するので、周辺集束電極101とゲート電極100cを絶縁するための絶縁体が必要とならない。
従って、前記従来公報に開示の冷陰極素子の製造方法とは異なり、絶縁体に金属を蒸着させて周辺集束電極(G1電極)とするための蒸着工程を必要としない。したがって、電子銃の製造に要する工数を省いて製造コストを削減することができる。
【0052】
また、上記従来公報の図2に示されているように、従来、冷陰極アレイにより近い場所に周辺集束電極を配設しようとすると、周辺集束電極とゲート電極との間の絶縁状態が保たれず、電極間の短絡が発生して、電子銃が機能しなくなるおそれがある。
このような問題に対して、本実施の形態においては、当該主面上において、ゲート電極100cが配設されている部分と、ゲート電極100cが配設されていない部分との間に、冷陰極アレイ100dを囲んで円環状の溝部が設けられている。このように溝部を設けることによって、周辺集束電極101とゲート電極100cとの間の絶縁状態を、良好に保つことができる。
【0053】
[2] 第2の実施の形態
次に、本願発明の第2の実施の形態に係る受像管装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る受像管装置は、上記第1の実施の形態に係る受像管装置と概ね同様の構成を備えているが、周辺集束電極の形状において相違を有する。
【0054】
図9は、本実施の形態に係る受像管装置が備えている電子銃について、管軸Zを含む縦断面を表す図であって、特に周辺集束電極を中心としてその周辺の構成が示されている。
図9に示すように、電子銃30は、第1の実施の形態に係る電子銃10と概ね同様の構成をとっており、エミッタ電極300aとゲート電極300cとを絶縁層300bにて接続したカソード300、周辺集束電極301及び加速電極302を備えている。
【0055】
電子銃30における電子銃10との相違点は、周辺集束電極301が平面周辺集束電極301aと立体周辺集束電極301bとに分かたれており、かつ、周辺集束電極301が平面周辺集束電極301aと立体周辺集束電極301bとが離隔されている点である。
また、第1の実施の形態に係る変形例(1)におけるのと同様に、平面周辺集束電極301aはゲート電極300cと同一平面上にある。
【0056】
また、立体周辺集束電極301bは、不図示の支持体により支持されており、図9に示されるような位置に固定されている。
また、射出直後の電子ビームに対して、カソードに近い箇所で強い集束作用を与えるために、平面周辺集束電極301aの電位は立体周辺集束電極301bの電位以下としている。
【0057】
このようにすれば、平面周辺集束電極301aと立体周辺集束電極301bとが離隔されているので、第1の実施の形態に係る変形例(1)のように、製造時において、平面周辺集束電極301aと立体周辺集束電極301bと接触させる際に発生する平面周辺集束電極301aの剥離を防止することができる。
従って、平面周辺集束電極301aから剥離した剥離片がエミッタ電極300aに付着することによって、例えば、エミッタ電極300aとゲート電極300cとが短絡し、エミッション不良を生じるといった不具合を防止することができるのである。
【0058】
なお、本実施の形態において、平面周辺集束電極301aと立体周辺集束電極301bとは同電位であるとしても良く、この場合においても上記と同様の効果を相することができる。
[2−1] 第2の実施の形態に関する変形例
上記第2の実施の形態においては、平面周辺集束電極301aと立体周辺集束電極301bとが離隔されているとしたが、これに代えて次のようにしても良い。
【0059】
図10は、本変形例に係る受像管装置が備えている電子銃について、管軸Zを含む縦断面を表す図であって、特に周辺集束電極を中心としてその周辺の構成が示されている。
図10に示すように、電子銃30´は、第1の実施の形態に係る電子銃10と概ね同様の構成をとっており、カソード300´や周辺集束電極301´等を備えている。
【0060】
電子銃30´と電子銃30との相違点は、立体周辺集束電極301b´が導電性の突起部301c´を備え、当該突起部にて平面周辺集束電極301a´に接触している点である。
したがって、平面周辺集束電極301a´と立体周辺集束電極301b´とは突起部を介して電気的に接続されている状態となる。
【0061】
このようにすれば、平面周辺集束電極301a´と立体周辺集束電極301b´とを同電位とする場合には、電圧を印加するための端子を個別に設ける必要がないので、電子銃の製造上有利である。
なお、前記突起部の配置については、例えば、環をなす立体周辺集束電極301b´の中心軸を囲繞する三角形の各頂点の位置に突起部を配すれば良い。
【0062】
この場合において、3つの突起部がなす前記の三角形が正三角形となるように突起部を配置すれば更に好適である。
[3] 第3の実施の形態
次に、本願発明の第3の実施の形態に係る受像管装置について説明する。本実施の形態に係る受像管装置は、上記第1の実施の形態に係る受像管装置と概ね同様の構成を備えているが、周辺集束電極の形状において相違を有する。
【0063】
図11は、本実施の形態に係る受像管装置が備えている電子銃について、管軸Zを含む縦断面を表す図であって、特に周辺集束電極を中心としてその周辺の構成が示されている。
図11に示すように、電子銃40は、第1の実施の形態に係る電子銃10と概ね同様の構成をとっており、カソード400や周辺集束電極401等の電極を備えている。
【0064】
電子銃40は、その周辺集束電極401の内壁部、すなわち環状の周辺集束電極401の中心軸に面する壁面において、カソード400の主面に対し垂直となっている垂直面401Lと、当該垂直面に対して一定の傾斜角にて傾斜している傾斜面401Tを備えている点で、電子銃10と相違する。
このようにすれば、垂直面401Lを設けることによってカソードレンズの強度を維持しながら、傾斜面401Tを設けることによってカソード400から出射された電子が周辺集束電極401に衝突したり、或いは周辺集束電極401の近傍の電界により予期しない方向へ軌道を変更させられたりするのを防止することができる。
【0065】
このため、カソード400の近傍に形成される曲率の小さい電界レンズの強度を更に強めることができる。また、更に加速電極402が発生させる電界の電子ビームに対する影響をより大きくすることができるので、クロスオーバにおける電子ビームの径を更に縮小させることができる。
なお、図11においては、傾斜面401Tの傾斜角は一定であるとしたが、当該傾斜角は必ずしも一定である必要はなく、例えば、朝顔の花のように、カソード400から遠ざかるにつれて、より急速に周辺集束電極の内径を拡大させるとしても良い。
【0066】
どのような形状であれ、電子がとる軌道を遮らないようにするのが望ましく、そうすることによって電子ビームが周辺集束電極401に衝突するのを防止することができる。
また、本実施の形態と上記第2の実施の形態と併用してもよい。すなわち、周辺集束電極は平面周辺集束電極と立体周辺集束電極とからなるものとし、立体周辺集束電極の内側面は、上記のように垂直面と傾斜面とを備えているとすれば、これら実施の形態の効果をいずれも奏させることができる。
【0067】
[4] 第4の実施の形態
次に、本願発明の第4の実施の形態に係る受像管装置について説明する。本実施の形態に係る受像管装置は、上記第1の実施の形態に係る受像管装置と概ね同様の構成を備えている一方、カソードの形状において相違を有する。
図12は、本実施の形態に係る受像管装置が備えている電子銃について、管軸Zを含む縦断面を表す図であって、特に周辺集束電極を中心としてその周辺の構成が示されている。
【0068】
図12に示すように、電子銃50は、前記電子銃10と概ね同様に、エミッタ電極500aとゲート電極500cとを絶縁層500bにて接続したカソード500や周辺集束電極501を備えている。
本実施の形態においては、ゲート電極500cは、周辺集束電極501からの距離が所定値D以上であるか否かによって、外周領域500c1と中心領域500c2とに分けられ、エミッタ電極500aの突出部はすべて中心領域500c2に配されている。すなわち、周辺集束電極501から各突出部までの距離はいずれもD以上となっている。
【0069】
さて、一般的に、ゲート電極500c、周辺集束電極501間で生じる集束作用は、その大きさが周辺集束電極501からの距離によって大きく異なるため、高次の収差を生じる。
そして、周辺集束電極501の近傍に位置するエミッタ電極の突出部から出射された電子が周辺集束電極501に衝突したり、予期しない方向へ軌道変更されたりする結果、クロスオーバ径を縮小できなくなる弊害を生む。
【0070】
しかしながら、上記のように、エミッタ電極の突出部と周辺集束電極との間の距離を十分大きくとれば、各エミッタ電極から出射される電子間で電界から受ける作用に差を生じないため、高次収差を抑えて、クロスオーバ径を縮小することができる。
なお、本実施の形態と併せて上記第2の実施の形態を実施しても良いし、上記第3の実施の形態を併用しても良い。
【0071】
[5] 第5の実施の形態
次に、本願発明の第5の実施の形態に係る受像管装置について説明する。本実施の形態に係る受像管装置は、上記第1の実施の形態に係る受像管装置と概ね同様の構成を備えているが、加速電極の形状において相違する。
図13は、本実施の形態に係る受像管装置が備えている電子銃について、管軸Zを含む縦断面を表す図である。
【0072】
図13に示すように、電子銃60は、前記電子銃10と同様に、カソード600や周辺集束電極601、加速電極602を備えている。この加速電極602の周辺集束電極601に対向する部分には、バーリング成形によりR付きフランジ(flange)602a,602bが設けられている。
このように、加速電極602の周辺集束電極601に対向する部分にあるフランジの周縁部にRを付けることによって、加速電極602と周辺集束電極601との間の電位差を拡大するにあたって、これら電極間の放電を防止しすることができる。
【0073】
したがって、第1の実施の形態において述べたように、周辺集束電極601と加速電極602の間の電位差を拡大して、管軸方向の電界強度を大きくし、電子ビームの広がりを抑制することができるので、クロスオーバ径を縮小することができる。
なお、周辺集束電極601や加速電極602の互いに対向する部分のフランジの周縁部についてRが小さい場合、当該周縁部近傍に電界が集中して前記放電が惹起され易くなるので、上記のようにバーリング成形を用いる以外にも、周辺集束電極601や加速電極602についてフランジの周縁部のRを大きくすれば、上記本実施の形態の効果を奏させることができる。
【0074】
[5−1] 第5の実施の形態に関する変形例
なお、本実施の形態に係る受像管装置について、以下のような変形例を実施することができる。
上記実施の形態においては、加速電極602はフランジ602a,602bを備えているとしたが、これに代えて次のようにしても良い。
【0075】
すなわち、第1の実施の形態における加速電極102のように環状形状とし、加速電極の周辺集束電極と対向する側の周縁部を丸みを持たせてR付きとしたり、または面取りしても良い。
また、周辺集束電極の加速電極と対向する側の周縁部を、上と同様に丸みを持たせてR付きとしたり、または面取りしても良い。また、周辺集束電極の加速電極と対向する側に、上記実施の形態におけるのと同様のフランジを設けて、当該フランジの周縁部をR付きとしたり、または面取りしても良い。
【0076】
以上のようにすれば、周辺集束電極と加速電極との間での放電を防止するという、本実施の形態の効果を奏することができる。
[6] 第6の実施の形態
次に、本願発明の第6の実施の形態に係る受像管装置について説明する。本実施の形態に係る受像管装置は、上記第1の実施の形態に係る受像管装置と同様の構成を備えており、加速電極に対する電圧の印加の仕方に特徴を有している。図14は、本実施の形態に係る受像管装置が備えている電子銃の管軸Zを含む縦断面を示す図である。
【0077】
図14に示すように、電子銃70はカソード700、周辺集束電極701、加速電極702、集束電極703及び最終加速電極704を備えており、集束電極703は最終加速電極704と共に主レンズを発生させる。
最終加速電極704には、アノードボタンを介して供給された電圧が印加されている。また、最終加速電極704に印加されている電圧から抵抗素子705により加速電極702に電圧が分割印加されている。
【0078】
従来、加速電極に印加される電圧は電子銃のステム部を経由して供給されていた。しかしながら、本願発明のように、加速電極に高電圧を印加する場合には、他の電極に電圧を供給するための回路との間で十分な耐圧をとれず、短絡を生ずる可能性がある。
このような問題に対して、本実施の形態のように、最終加速電極704に印加する電圧を抵抗素子にて分割印加すれば、従来、用いられてきたの電子銃のステム部分の設計を変更することなく、上記の問題を回避しつつ、加速電極702に高電圧を印加することが可能となる。
【0079】
従って、本実施の形態に係る電子銃によれば、加速電極電圧に高電圧を印加して管軸Z方向の電界強度を大きくすることができるので、電子ビームの広がりを抑制して、クロスオーバ径を縮小することができる。
これと共に、既存の電子銃の構造を継承、共用することができるので、設計や製造にかかるコストを削減することができる。
【0080】
[7] 第7の実施の形態
次に、本願発明の第7の実施の形態に係る受像管装置について説明する。本実施の形態に係る受像管装置は、上記第1の実施の形態に係る受像管装置と同様の構成を備えており、加速電極に対する電圧の印加の仕方に特徴を有している。
図15は、本実施の形態に係る受像管装置が備えている電子銃の管軸Zを含む縦断面を示す図である。
【0081】
図15に示すように、電子銃80はカソード800、周辺集束電極801、加速電極802、集束電極803及び最終加速電極804を備えており電子銃のステム部を経由して集束電極803に電圧が供給されている。
本実施の形態においては、集束電極803に供給されているのと同じ電圧が加速電極802にも印加されており、集束電極803と加速電極802とは同電位となっている。
【0082】
このようにすれば、上記第6の実施の形態におけるように、加速電極802に印加する電圧値を自由に選ぶことはできないが、加速電極802に電圧を印加するための抵抗素子が不要となるので、より低コストで電子銃を製造することができる。
また、このとき、電子銃のステム部の設計を変更する必要がないので、この意味でも設計、製造コストを削減することができる。
【0083】
また、言うまでもなく、集束電極803に印加されている電圧は、加速電極802に印加すべき電圧として十分な高さを有しているので、本実施の形態によれば、管軸Z方向の電界強度を大きくしてクロスオーバ径を縮径するという、本願発明の効果を得ることができる。
[8] 第8の実施の形態
次に、本願発明の第8の実施の形態に係る受像管装置について説明する。本実施の形態に係る受像管装置は、上記第1の実施の形態に係る受像管装置と同様の構成を備えており、周辺集束電極と加速電極との形状に特徴を有している。
【0084】
図16は、本実施の形態に係る受像管装置が備えている電子銃の管軸Zを含む縦断面を示す図である。
図16に示すように、電子銃90はカソード900、周辺集束電極901、加速電極902等を備えており、周辺集束電極901の開口径はD1、加速電極902の開口径はD2である。本実施の形態においては、周辺集束電極901の開口径D1が加速電極902の開口径D2よりも大きくなっているのが特徴である。
【0085】
このようにすれば、加速電極902開口径を周辺集束電極901開口径より小さくすることにより、管軸方向に関する電界強度を高めて集束作用を強化し、以って電子ビームの広がりを抑制することができる。
従って、クロスオーバを縮径することができるので、本願発明の目的である高解像度の実現を達成することができる。
【0086】
[9] 第9の実施の形態
次に、本願発明の第9の実施の形態に係る受像管装置について説明する。本実施の形態に係る受像管装置は、上記第1の実施の形態に係る受像管装置に対して、さらに新たな電極を付け加えた構成となっている。
図17は、本実施の形態に係る受像管装置が備えている電子銃について、管軸Zを含む縦断面を示す図である。
【0087】
図17に示すように、電子銃A0はカソードA00、周辺集束電極A01、加速電極A02、集束電極A04を備え、更に、予備集束電極A03を有している。予備集束電極A03は、加速電極A02と集束電極A04の中間に配置されており、加速電極A02よりも低電位となっている。
このようにして、加速電極A02と予備集束電極A03は電界レンズ(予備集束レンズ)を発生させる。
【0088】
クロスオーバを通過した電子ビームを適切に主レンズに入射させるためには、予備集束レンズにより電子ビームの発散角を調整するのが望ましい。
この発散角は、例えば、熱陰極電子銃においては、加速電極と集束電極とによって予備集束レンズを発生させることにより調整されているところ、本願発明においては加速電極に高電圧を印加するため、クロスオーバを通過した電子の移動速度が大きく、かかる構成によっては十分な集束力を有する予備集束レンズを得ることができない。
【0089】
そこで、上述のように、予備集束電極A03を追加することによって、より集束力の高い予備集束レンズを発生させるのが望ましく、このようにすれば、クロスオーバを通過した電子ビームの発散角を調整して、適切に主レンズに入射させることができる。
[9−1] 第9の実施の形態に関する変形例
なお、本実施の形態に係る受像管装置について、以下のような変形例を実施することができる。
【0090】
(1) 上記において、予備集束電極A03は加速電極A02よりも低電位であるとしたが、このような電圧を予備集束電極A03に印加するにあたっては、周辺集束電極A01と予備集束電極A03を電気的に接続して、これらを同電位としてもよい。
本願発明に係る電子銃の構成においては周辺集束電極を加速電極よりも低電位としているので、このようにすれば、予備集束電極についても加速電極よりも低電位とすることができる。
【0091】
(2) 上記においては、加速電極A02と集束電極A04の中間に予備集束電極をひとつだけ設置する構成について説明したが、これに代えて次のようにしても良い。
すなわち、前記予備集束電極A03と集束電極A04の中間に更に電極を配して、これを第2予備集束電極とし、当該第2予備集束電極を前記予備集束電極A03よりも高電位とする。
【0092】
このようにすれば、更に集束力の高い予備集束レンズを発生させることができる。
なお、第2予備集束電極を予備集束電極A03よりも高電位とするためには、第2予備集束電極と加速電極A02とを電気的に接続すれば良い。
このようにすれば、加速電極A02は予備集束電極A03よりも高電位であるので、第2予備集束電極を予備集束電極A03よりも高電位とすることができる。
【0093】
また、これに代えて、最終加速電極(不図示)に印加する電圧を抵抗分割することにより適当な電圧を得て、第2予備集束電極に印加するとしても良い。
[10] 第10の実施の形態
次に、本願発明の第10の実施の形態に係る受像管装置について説明する。本実施の形態に係る受像管装置は、上記第1の実施の形態に係る受像管装置と概ね同様の構成を備えているが、周辺集束電極の形状において相違を有する。
【0094】
図18は、本実施の形態に係る受像管装置が備えている電子銃について、管軸Zを含む縦断面を表す図であって、特に周辺集束電極を中心としてその周辺の構成が示されている。
図18に示すように、電子銃B0は、第1の実施の形態に係る電子銃10と概ね同様に、カソードB00や周辺集束電極B01等を備えている。
【0095】
電子銃B0は、その周辺集束電極B01の内壁部、すなわち環状の周辺集束電極B01の中心軸に面する壁面において、カソードB00の主面に対し垂直となっている垂直面B01Lと、当該垂直面に対して一定の傾斜角にて傾斜している傾斜面B01Tを備えている点で、電子銃10と相違する。
このようにすれば、垂直面B01Lを設けることによってカソードB00から出射された電子が周辺集束電極B01に衝突するのを回避しながら、傾斜面B01Tを設けることによってカソードB00の近傍に形成される曲率の小さい電界レンズの強度を強めることができるので、クロスオーバにおける電子ビームの径を更に縮小させることができる。
【0096】
なお、図18においては、傾斜面B01Tの傾斜角は一定であるとしたが、当該傾斜角は必ずしも一定である必要はなく、例えば、カソードB00から遠ざかるにつれて、より急速に周辺集束電極の内径を縮小させるとしても良い。
また、垂直面B01Lを設けずに、傾斜面B01Tのみを設けるとしても良い。
【0097】
何れの場合も、周辺集束電極の内径が縮小されることによってカソードレンズの強度を高めてスポット径を縮小することができる。
また、本実施の形態と上記第2の実施の形態と併用してもよい。すなわち、周辺集束電極は平面周辺集束電極と立体周辺集束電極とからなるものとし、立体周辺集束電極の内側面は、上記のように垂直面と傾斜面とを備えているとすれば、これら実施の形態の効果をいずれも奏させることができる。
【0098】
[11] 第11の実施の形態
次に、本願発明の第11の実施の形態に係る受像管装置について説明する。本実施の形態に係る受像管装置は、上記第1の実施の形態に係る受像管装置と概ね同様の構成を備えているが、周辺集束電極、並びにゲート電極の形状において相違を有する。
【0099】
図19は、本実施の形態に係る受像管装置が備えている電子銃のカソード、周辺集束電極、および、加速電極の形状について管軸Zを含む縦断面を示した図である。
図19に示されるように、カソードC00は、エミッタ電極C00a、絶縁層C00b、および、ゲート電極C00cから構成されており、エミッタ電極C00aとゲート電極C00cとに絶縁層C00bが挟まれたサンドイッチ構造となっている。
【0100】
エミッタ電極C00aのうち、複数箇所の突出部C00aEを有する部分C00dを冷陰極アレイという。
ゲート電極C00cの周囲の絶縁層C00b上には、周辺集束電極C01が配設されている。周辺集束電極C01は、ゲート電極C00cと同様に、絶縁層C00bを挟んで、エミッタ電極C00aと対向配置されて、サンドイッチ構造をなしている。
【0101】
図20は、カソードC00と周辺集束電極C01とをスクリーン画面側から見た図である。
図20に示されるように、カソードC00と周辺集束電極C01とは、全体として、円盤形状をなしている。
また、冷陰極アレイC00dは、カソードの主面中央部分に集中しており、エミッタ電極C00aが備える突出部C00aEはいずれも周辺集束電極C01から所定距離δ1以上離隔されている。
【0102】
本実施の形態においては、この所定距離δ1は0.05mmである。周辺集束電極C01の近傍では空間電位の変化が大きいので、図20に示されるように、突出部C00aEをすべて周辺集束電極C01から離隔させることによって、周辺集束電極C01のより近傍に配設されている突出部C00aEから放出される電子が周辺集束電極C01から受ける力のバラツキを小することができる。
【0103】
したがって、カソードレンズの高次収差を低減することができるので、スポット径を絞り込むことができる。
なお、発明者らが実施したシミュレーションによれば、周辺集束電極C01から突出部C00aEまでの距離が少なくとも0.01mm以上であれば、カソードレンズの高次収差を低減してスポット径を絞り込む効果を期待することができる。
【0104】
[11−1] 第11の実施の形態に関する変形例
なお、本実施の形態に係る受像管装置について、以下のような変形例を実施することができる。
(1) 上記第11の実施の形態においては、スクリーン画面側から見たゲート電極C00cを形状が円形である場合を例にとって説明したが、本願発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、ゲート電極C00cの形状を以下に述べるようなものであるとしても良い。
【0105】
図21は、本変形例に係る受像管装置の冷陰極アレイ等をスクリーン画面側から見た図である。図21に示されるように、本変形例に係るゲート電極D00cは平面視円形状をしており、周辺集束電極D01に囲繞されている。
これは、図20におけるゲート電極C00cが周辺集束電極C01に囲繞されているのと同様である。
【0106】
また、ゲート電極D00cの主面中央部分には、エミッタ電極の突出部D00aEが多数、配設されて冷陰極アレイD00dを構成している。この冷陰極アレイD00dは平面視正方形領域をなしている。
突出部D00aEはいずれも周辺集束電極D01から所定距離δ2以上離隔されている。この所定距離δ2は、例えば、0.05mmである。
【0107】
図21において破線により示される正方形領域の面積は、図20において破線により示される円形領域の面積と概ね同じである。また、冷陰極アレイD00dが備えている突出部D00aEの数は、図20の冷陰極アレイC00dが備えている突出部C00aEの数と概ね同じである。
このように冷陰極アレイD00dの面積を冷陰極アレイC00dと略同じくし、かつ、その外形を正方形とすれば、冷陰極アレイC00dと同程度の出力を確保しながら、スクリーン画面の水平方向と垂直方向との双方についてスポット径を縮小することができる。
【0108】
また、冷陰極アレイD00aEの外形を唯単に正方形としたのでは、その頂角周辺と周辺集束電極D01との距離が小さくなるので、高次収差が大きくなってしまう。
これに対して、本変形例のように、突出部D00aEをいずれも周辺集束電極D01から所定距離δ2以上離隔させれば、高次収差を抑えて、スポット径を縮小することができる。
【0109】
なお、上記第11の実施の形態におけるのと同様に、所定距離δ2は、0.05mmより小さい場合であっても、0.01mm以上あれば、所期の効果を発揮させることができる。
(2) 上記第11の実施の形態においては、冷陰極アレイC00dを構成するすべての突出部C00aEから常に電子が放出されるとしたが、本願発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、次のような変形例を実施する場合にも本願発明の効果を得ることができる。
【0110】
図22は、本変形例に係る受像管装置の冷陰極アレイ等をスクリーン画面側から見た図である。
図22に示されるように、本変形例においても、平面視円形状のゲート電極E00cが周辺集束電極E01に囲繞され、当該ゲート電極E00cの主面中央部分にエミッタ電極の突出部E00aEが多数、配設されて冷陰極アレイをなしている。
【0111】
本変形において特徴的なのは、冷陰極アレイが、水平方向中央部分に位置する冷陰極アレイE00d2と、その水平方向両側に位置する冷陰極アレイE00d1、E00d3とに分割されている点である。
また、冷陰極アレイE00d1〜E00d3を構成する突出部E00aEは、いずれも周辺集束電極E01から所定距離δ3以上離隔されている。
【0112】
これら冷陰極アレイE00d1〜E00d3は、次のように動作する。即ち、電子ビームがスクリーン画面の中央部分を走査する場合には、3つの冷陰極アレイE00d1〜E00d3すべてが電子を放出する。
一方、電子ビームがスクリーン画面の周辺部分を走査する場合においては、水平方向中央部分に位置する冷陰極アレイE00d2のみが電子を放出する。
【0113】
電子ビームは偏向角が大きいほど浅い角度でスクリーン画面上に照射するので、偏向角が大きいほどスポット径は大きくなる。
これに対して、本変形例のようにすれば、偏向角が所定角度よりも大きい場合には、中央の冷陰極アレイE00d2のみから電子を放出するので、両側の冷陰極アレイE00d1、E00d3から電子を放出しない分だけスポット径を小さくすることができる。
【0114】
この場合において、冷陰極アレイE00d1〜E00d3が周辺集束電極に接近していると、高次収差の影響を免れず、スポット径が大きくなってしまう。
このような問題に対して、本実施の形態のように、冷陰極アレイを構成する突出部E00aEがいずれも距離δ3以上離隔されていれば、高次収差の影響を避けて、スポット径を小さくすることができる。
【0115】
これは、スクリーン画面の中央部分を走査する場合、すなわち、3つの冷陰極アレイE00d1〜E00d3すべてから電子を放出する場合に、特に有効である。
[12] 本願発明の効果
以上説明したように、本願発明に係る受像管装置は、加速電極に高電圧を印加する電圧印加手段を備え、エミッタ電極、周辺集束電極に対して加速電極を高電位とすることができる。
【0116】
従って、加速電極が発生させる電界を強めて電子ビームの広がり角を抑えたり、クロスオーバ径が電子出射径より小さくなるように縮小したりして、高解像度を実現することができる。
一般に、受像管装置の輝度は、電子銃の主レンズの物点における電流密度に依存するので、物点における電流密度が高いほど、より高い輝度を実現することができる。
【0117】
この点について、前述の従来技術では冷陰極アレイそのものが主レンズの物点となるため、エミッタ電極の突出部を非常な高密度で形成しなければ十分な輝度を達成することができない。
一方、本実施の形態においては、加速電極を高電圧とすることによりクロスオーバ径を縮小して、主レンズの物点における電流密度を高めているので、上記従来技術におけるよりも低いエミッタ電極密度で十分な輝度を実現することができる。
【0118】
従って、冷陰極アレイの製造コストを低減することができ、延いては受像管装置の製造コストを減ずることができる。
また、上記の従来技術において問題となっていた電子間のクーロン斥力についても、本願発明のように加速電極を高電圧とすれば、冷陰極アレイの前面における電界強度を強めることができるので、冷陰極アレイから出射された電子がクロスオーバに到達して、互いにクーロン斥力を及ぼしあうよりも前に各電子の軌道を調整して、クロスオーバ径を縮小させることができる。
【0119】
また、上述のように、エミッタ電極、周辺集束電極に対して加速電極を高電位として強電界を発生させることによって、電界レンズの集束力を高めると高次収差が顕著となる。
このような問題に対して、本願発明によれば、エミッタ電極と周辺集束電極との間が所定距離以上、離隔されているので、高次収差の影響を顕著に受ける電界レンズの周縁部分を電子ビームが通過しないようにできる。
【0120】
従って、高次収差の影響を避けて、スポット径を縮小することができるので、より高解像度の受像管装置を提供することができる。
【0121】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明に係る受像管装置は、加速電極に高電圧を印加する電圧印加手段を備え、エミッタ電極、周辺集束電極に対して加速電極を高電位とすることができるので、加速電極が発生させる電界を強めて電子ビームの広がりを抑え、クロスオーバ径が電子出射径より小さくなるように縮小して、高解像度を実現することができる。
【0122】
一般に、受像管装置の輝度は、電子銃の主レンズの物点における電流密度に依存し、物点における電流密度が高いほど、より高い輝度を実現することができる。この点について、前述の従来技術では冷陰極アレイそのものが主レンズの物点となるため、エミッタ電極の突出部を非常な高密度で形成しなければ十分な輝度を達成することができない。
【0123】
一方、本実施の形態においては、加速電極を高電圧とすることによりクロスオーバ径を縮小する等して、主レンズの物点における電流密度を高めているので、上記従来技術におけるよりも低いエミッタ電極密度で十分な輝度を実現することができる。従って、冷陰極アレイの製造コストを低減することができ、延いては受像管装置の製造コストを減ずることができる。
【0124】
また、上記の従来技術において問題となっていた電子間のクーロン斥力についても、本願発明のように加速電極を高電圧とすれば、冷陰極アレイの前面における電界強度を強めることができるので、冷陰極アレイから出射された電子がクロスオーバに到達して、互いにクーロン斥力を及ぼしあうよりも前に各電子の軌道を調整して、クロスオーバ径を縮小させることができる。
【0125】
また、本願発明に係る受像管装置は、そのエミッタ電極が備えている複数の突出部から電子を放出するのだが、当該突出部は、いずれも周辺集束電極から所定距離以上、離隔されているので、各エミッタ電極と周辺集束電極との間のバラツキに起因する高次収差を防止して、高解像度を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るカラー受像管装置について、その管軸Zを含む縦断面を示す図である。
【図2】電子銃10の概観を示す外観斜視図である。
【図3】電子銃10のカソード100、周辺集束電極101及び加速電極102について管軸Zを含む縦断面を示した図である。
【図4】冷陰極アレイ100dのエミッタ電極100aの突出部100aEのひとつを拡大表示する断面斜視図である。
【図5】電子銃10についての性能評価に係るシミュレーションの条件を示す表である。
【図6】電子銃10について、シミュレーションにより求められた電子の軌道と等電位線を示した図である。
【図7】第1の実施の形態に関する変形例(1)に係る受像管装置が備えている電子銃の管軸Zを含む縦断面を表す図であって、特に周辺集束電極を中心としてその周辺の構成が示されている。
【図8】平面周辺集束電極101a´と立体周辺集束電極101b´の間に配したリード線によってゲート電極100c´に電圧を供給する場合について、周辺集束電極等の平面図(a)と、当該平面図(a)の線A−Aについての断面図(b)とを併記した図である。
【図9】第2の実施の形態に係る受像管装置が備えている電子銃について、管軸Zを含む縦断面を表す図であって、特に周辺集束電極を中心としてその周辺の構成が示されている。
【図10】第2の実施の形態に関する変形例に係る受像管装置が備えている電子銃について、管軸Zを含む縦断面を表す図であって、特に周辺集束電極を中心としてその周辺の構成が示されている。
【図11】第3の実施の形態に係る受像管装置が備えている電子銃について、管軸Zを含む縦断面を表す図であって、特に周辺集束電極を中心としてその周辺の構成が示されている。
【図12】第4の実施の形態に係る受像管装置が備えている電子銃について、管軸Zを含む縦断面を表す図であって、特に周辺集束電極を中心としてその周辺の構成が示されている。
【図13】第5の実施の形態に係る受像管装置が備えている電子銃について、管軸Zを含む縦断面を表す図である。
【図14】第6の実施の形態に係る受像管装置が備えている電子銃の管軸Zを含む縦断面を示す図である。
【図15】第7の実施の形態に係る受像管装置が備えている電子銃の管軸Zを含む縦断面を示す図である。
【図16】第8の実施の形態に係る受像管装置が備えている電子銃の管軸Zを含む縦断面を示す図である。
【図17】第9の実施の形態に係る受像管装置が備えている電子銃について、管軸Zを含む縦断面を示す図である。
【図18】第10の実施の形態に係る受像管装置が備えている電子銃について、管軸Zを含む縦断面を示す図である。
【図19】第11の実施の形態に係る受像管装置が備えている電子銃のカソード、周辺集束電極、および、加速電極の形状について管軸Zを含む縦断面を示した図である。
【図20】第11の実施の形態に係るカソードC00と周辺集束電極C01とをスクリーン画面側から見た図である。
【図21】第11の実施の形態に関する変形例(1)に係る受像管装置の冷陰極アレイ等をスクリーン画面側から見た図である。
【図22】第11の実施の形態に関する変形例(2)に係る受像管装置の冷陰極アレイ等をスクリーン画面側から見た図である。
【符号の説明】
1……………………………………………………………………カラー受像管装置
10、10´、30、30´、40、50、60、70……冷陰極電子銃
80、90、A0、B0…………………………………………冷陰極電子銃
100、100´、300、300´、400、500……カソード
600、700、800、900、A00、B00…………カソード
C00………………………………………………………………カソード
100a、100a´、300a、500a、C00a……エミッタ電極
100aE、C00aE、D00aE、E00aE…………突出部
100b、100b´、300b、500b、C00b……絶縁層
100c、100c´、300c、500c、C00c……ゲート電極
D00c、E00c………………………………………………ゲート電極
100ch…………………………………………………………ゲート孔
100d、C00d、D00d、E00d1〜E00d3…冷陰極アレイ
101、101´、301、301´、401、501……周辺集束電極
601、701、801、901、A01、B01…………周辺集束電極
D01、E01……………………………………………………周辺集束電極
102、102´、302、402、602、702………加速電極
802、902、A02…………………………………………加速電極
103、703、803、A04………………………………集束電極
104、704、804…………………………………………最終加速電極
11…………………………………………………………………ガラスバルブ
12…………………………………………………………………アノードボタン
13…………………………………………………………………蛍光面
14…………………………………………………………………シャドウマスク
15…………………………………………………………………電極端子
20…………………………………………………………………クロスオーバ
21…………………………………………………………………電子ビーム
22…………………………………………………………………等電位線
23…………………………………………………………………リード線
24…………………………………………………………………絶縁膜
301a、301a´……………………………………………平面周辺集束電極
301b、301b´……………………………………………立体周辺集束電極
301c´…………………………………………………………突起部
401L、B01L………………………………………………垂直面
401T、B01T………………………………………………傾斜面
500c1…………………………………………………………外周領域
500c2…………………………………………………………中心領域
602a〜602d………………………………………………R付きフランジ
705………………………………………………………………抵抗素子
A03………………………………………………………………予備集束電極

Claims (33)

  1. ネック部、ファンネル部及びスクリーン面を有するガラスバルブと、
    電子を放出するエミッタ電極と、
    前記エミッタ電極に対して、管軸方向スクリーン画面側に配設されており、前記エミッタ電極からの電子の放出を制御するゲート電極と、
    前記エミッタ電極に対して、管軸方向スクリーン画面側に配設されており、前記ゲート電極よりも厚みが大きく、かつ、前記ゲート電極を囲繞している周辺集束電極と、
    前記周辺集束電極に対して、管軸方向スクリーン画面側に配設されている加速電極とを備え
    前記ネック部に封入される冷陰極電子銃と、
    前記加速電極が前記ゲート電極と前記周辺集束電極とに対して高電位となるように、前記加速電極、前記ゲート電極、および、前記周辺集束電極に電圧を印加して、クロスオーバを形成する電圧印加手段と
    を備えることを特徴とする受像管装置。
  2. 前記冷陰極電子銃は、前記加速電極に対して管軸方向スクリーン画面側に配設されている集束電極と、前記集束電極に対して管軸方向スクリーン画面側に配設されている最終加速電極とを備え、
    前記電圧印加手段は、前記最終加速電極に印加される電圧を抵抗分割して前記加速電極に印加する
    ことを特徴とする請求項1に記載の受像管装置。
  3. 前記冷陰極電子銃は、集束電極と最終加速電極とを備え、
    前記電圧印加手段は、前記集束電極に対して印加されている電圧を、併せて前記加速電極に対しても印加する
    ことを特徴とする請求項1に記載の受像管装置。
  4. 前記周辺集束電極は、
    平面周辺集束電極と立体周辺集束電極とからなり、
    前記平面周辺集束電極は、前記ゲート電極と略同一の厚みを有し、管軸方向について前記ゲート電極と略同一の位置にあって、前記ゲート電極を囲繞し、
    前記立体周辺集束電極は、前記平面周辺集束電極について、前記エミッタ電極と反対側に配設された
    ことを特徴とする請求項1に記載の受像管装置。
  5. 前記平面周辺集束電極と前記立体周辺集束電極とは、いずれも電子ビームを通過させる貫通孔を有し、
    前記平面周辺集束電極の貫通孔の内径は、前記立体周辺集束電極の貫通孔の内径よりも小さい
    ことを特徴とする請求項4に記載の受像管装置。
  6. 前記立体周辺集束電極と前記平面周辺集束電極とは離隔されている
    ことを特徴とする請求項4に記載の受像管装置。
  7. 前記平面周辺集束電極は前記立体周辺集束電極よりも低電位である
    ことを特徴とする請求項4に記載の受像管装置。
  8. 前記周辺集束電極は、電子ビームを通過させる貫通孔を有し、
    前記周辺集束電極の貫通孔は、前記加速電極に近いほど拡径されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の受像管装置。
  9. 前記周辺集束電極は、電子ビームを通過させる貫通孔を有し、
    前記周辺集束電極の貫通孔の内側面は、前記ゲート電極側に近い部分において前記周辺集束電極の中心軸と平行となっている
    ことを特徴とする請求項8に記載の受像管装置。
  10. 前記立体周辺集束電極は、電子ビームを通過させる貫通孔を有し、
    前記立体周辺集束電極の貫通孔は、前記加速電極に近いほど拡径されている
    ことを特徴とする請求項4に記載の受像管装置。
  11. 前記立体周辺集束電極の貫通孔の内側面は、前記ゲート電極側に近い部分において前記立体周辺集束電極の中心軸と平行となっている
    ことを特徴とする請求項10に記載の受像管装置。
  12. 前記加速電極は、前記周辺集束電極側において面取りされている
    ことを特徴とする請求項1に記載の受像管装置。
  13. 前記加速電極は、前記周辺集束電極側の周縁部がR付きである
    ことを特徴とする請求項1に記載の受像管装置。
  14. 前記周辺集束電極は、前記加速電極側において面取りされている
    ことを特徴とする請求項1に記載の受像管装置。
  15. 前記周辺集束電極は、前記加速電極側の周縁部がR付きである
    ことを特徴とする請求項1に記載の受像管装置。
  16. 前記加速電極と前記周辺集束電極とは、いずれも電子ビームを通過させる貫通孔を有し、
    前記加速電極の貫通孔の内径は前記周辺集束電極の貫通孔の内径以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の受像管装置。
  17. 前記冷陰極電子銃は、
    前記加速電極に対して、管軸方向スクリーン画面側に配設されている集束電極と、
    前記加速電極と前記集束電極の間に配設された予備集束電極とを備え、
    前記予備集束電極は前記加速電極電位よりも低電位である
    ことを特徴とする請求項1に記載の受像管装置。
  18. 前記加速電極と前記集束電極の間に配設された予備集束電極を備え、
    前記予備集束電極は前記加速電極電位よりも低電位である
    ことを特徴とする請求項2に記載の受像管装置。
  19. 前記立体周辺集束電極は、電子ビームを通過させる貫通孔を有し、
    前記立体周辺集束電極の貫通孔は、前記加速電極に近いほど縮径されている
    ことを特徴とする請求項4に記載の受像管装置。
  20. ネック部、ファンネル部及びスクリーン面を有するガラスバルブと、
    ゲート電極と、
    前記ゲート電極よりも厚みが大きく、かつ、前記ゲート電極を囲繞している周辺集束電極と、
    電子を放出する突出部を複数備えており、当該突出部は、いずれも前記周辺集束電極から所定距離以上、離隔されているエミッタ電極と、
    加速電極とを備え
    前記ネック部に封入される冷陰極電子銃と、
    前記加速電極が前記ゲート電極と前記周辺集束電極とに対して高電位となるように電圧を印加して、クロスオーバを形成する電圧印加手段と
    を備えることを特徴とする受像管装置。
  21. 前記突出部は、いずれも前記周辺集束電極から0.01mm以上、離隔されている
    ことを特徴とする請求項20に記載の受像管装置。
  22. 前記突出部は、平面視矩形領域内に配置されている
    ことを特徴とする請求項20に記載の受像管装置。
  23. 前記エミッタ電極は、水平方向に隣り合う3つの部分電極からなっており、
    スクリーン画面の中央部分を走査するときは、前記3つの部分電極すべてから電子を放出し、
    スクリーン画面の中央部分以外の部分を走査するときは、前記3つの部分電極のうち、水平方向中央に位置する部分電極のみから電子を放出する
    ことを特徴とする請求項20に記載の受像管装置。
  24. エミッタ電極に対する周辺集束電極の電圧Vf、ゲート電極の電圧Vex及び加速電極の電圧Vg2がVf<Vex<<Vg2となるように印加されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の受像管装置。
  25. エミッタ電極に対する加速電極の電圧Vg2が1kV以上、4.6kV以下となるように印加されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の受像管装置。
  26. 立体周辺集束電極の平面周辺集束電極側の主面に導電性の突起部が設けられており、
    突起部は平面周辺集束電極と接触している
    ことを特徴とする請求項4に記載の受像管装置。
  27. 立体周辺集束電極は、平面視、環状となっており、
    突起部は、立体周辺集束電極の中心軸を囲繞する三角形の各頂点の位置に配されている
    ことを特徴とする請求項26に記載の受像管装置。
  28. 前記三角形は正三角形である
    ことを特徴とする請求項27に記載の受像管装置。
  29. エミッタ電極から遠ざかるほど、周辺集束電極の内壁がエミッタ電極の主面に平行になるように傾斜する
    ことを特徴とする請求項8に記載の受像管装置。
  30. 予備集束電極と周辺集束電極とが電気的に接続されている
    ことを特徴とする請求項17に記載の受像管装置。
  31. 予備集束電極と周辺集束電極とが電気的に接続されている
    ことを特徴とする請求項18に記載の受像管装置。
  32. 予備集束電極と集束電極との間に配されており、予備集束電極より高い電圧が印加される第2の予備集束電極を備える
    ことを特徴とする請求項17に記載の受像管装置。
  33. 予備集束電極と集束電極との間に配されている第2の予備集束電極と、を備え、
    第2の予備集束電極は、最終加速電極に印加される電圧を抵抗分割して印加されている
    ことを特徴とする請求項18に記載の受像管装置。
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