JP4243070B2 - スピーカ設計支援装置及びスピーカ設計支援方法 - Google Patents

スピーカ設計支援装置及びスピーカ設計支援方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボイスコイルや磁気回路等で構成されるスピーカの設計を支援するスピーカ設計支援装置及びスピーカ設計支援方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、スピーカはオーディオ機器セット等に用いられてきたが、最近では携帯電話等様々な機器にも用いられるようになってきた。ところで、例えば携帯電話は小型であることや高性能を有していること等が求められており、携帯電話メーカーは、上記小型及び高性能等の特性を備えた携帯電話を製造するために、携帯電話に用いられるスピーカを製造するメーカーに対して、大きさや音圧やモードパターン等に関する様々な条件(目標仕様)を提示する。それに応じて、スピーカメーカーは、その条件(目標仕様)を満たしたスピーカを製造するのである。
【0003】
ここで、スピーカの構成を図7を用いて説明する。その図7に示すように、皿状でかつ、断面コ字状のヨーク74の中央部に、円柱状のマグネット73が上記ヨーク74の側壁と所定の間隔を保って配置されており、上記マグネット73の上には磁気プレート72が配置されている。そして、そのプレート72とヨーク74との間の間隙には、スピーカの振動板75に対して垂直に取付けられたボビン76が挿入されており、そのボビン76に対してコイル71が巻回されている。上記振動板75は、中央部の振動板本体751と、その周縁部のエッジ752とで構成されており、そのエッジ752が筐体77に固定される構成になっている。この構成により、上記マグネット73、プレート72、及びヨーク74で閉じた磁気回路が形成され、上記の間隙に配置されたボビン76に巻回されたコイル71に音声電流が流されると、電磁力により、振動板75が振動するようになっている。
【0004】
また、図7に示すように、上記筐体77には、低周波数帯域における振動板75の振幅を抑える目的で窓孔77aが設けられており、その窓孔77aを覆う音響抵抗材77bが筐体77の背面側外部に取付けられている。さらに、スピーカ前面側には振動板75等を保護するためのプロテクター78が配置されている。なお、そのプロテクター78には、多数の貫通孔が設けられている。
【0005】
このように、スピーカは、ボイスコイル71と、プレート72、マグネット73及びヨーク74で構成される磁気回路と、振動板75とを備えており、それらボイスコイル71、磁気回路、及び振動板75を設計することがスピーカの設計をする上で重要となる。
【0006】
そして、設計者は、ボイスコイル71、磁気回路、及び振動板75の各設計を行なった後にスピーカを試作し、その試作したスピーカの音圧やモードパターン等が上記条件(目標仕様)を満たしているか否かを評価する。
【0007】
ここで、上記条件(目標仕様)が満たされていれば、試作したスピーカをサンプルとして上記携帯電話メーカーに出荷し、他方、上記条件(目標仕様)が満たされていなければ、再びボイスコイル、磁気回路、及び振動板の各設計を行なう手順に戻るのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ボイスコイル71は、コイルの径、コイル線材の材質や径、あるいは巻き方や巻き数等によって特性が異なってくる。そのため、設計者は、所定の特性を有するボイスコイル71を設計する場合、コイルの径、コイル線材の材質や径、あるいはコイル線材の巻き方や巻き数等を適切に決定する必要がある。しかしながら、上記のコイルの径やコイル線材の材質や径等のボイスコイル71を設計するための各必要事項の具体例は複数考えられるので、上記各必要事項の具体的な組み合わせは多数通り考えられることになる。そのため、上記所定の特性を有するボイスコイル71を設計することは容易ではなく、短時間でボイスコイル71の設計を行なうことは難しい。
【0009】
同様に、磁気回路についても、それを構成するプレート72、マグネット73及びヨーク74それぞれの材質や大きさによって、磁束密度等の特性は異なってくるので、設計者は、上記磁気回路の各構成部材の材質や大きさ等を適切に決定しなければならない。したがって、磁気回路に関しても、短時間で設計を行なうことは難しい。振動板の設計についても同様である。
【0010】
さらに、スピーカの特性は、ボイスコイルの形態、磁気回路の形態、及び振動板の形態が有機的に関係し合って決まるので、ボイスコイル、磁気回路、及び振動板それぞれの設計が終了したとしても、スピーカの音圧等の特性は、ボイスコイル、磁気回路、及び振動板等の相互関係を検討しないとわからない。そのため、設計に基づいて試作したボイスコイル、磁気回路、及び振動板を組み合わせてスピーカを試作しても、その試作したスピーカが携帯電話メーカーから提示された条件(目標仕様)を満足していない場合もあり、むしろその場合の方が多い。そうすると、あらためてボイスコイル、磁気回路、及び振動板の各設計をし直し、スピーカを試作し直さなければならない。このように、通常はスピーカの試作を複数回行なうため、従来は、スピーカを設計するのに例えば数週間といった相当長期な時間が必要であった。
【0011】
また、設計者は、自身の経験に基づいてボイスコイル、磁気回路、及び振動板の各設計を行なっているので、未熟練者がスピーカの設計をすると、熟練者が設計する場合に比べてさらに長い設計時間を要するか、あるいは場合によっては設計そのものができない。
【0012】
そこで、本発明は、上述したように従来ではスピーカの設計を短時間で行なうことができなかったという課題を考慮し、短時間でスピーカの設計を行なうことができるスピーカ設計支援装置及びスピーカ設計支援方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のスピーカ設計支援装置は、ボイスコイルを設計するための必要事項、磁気回路を設計するための必要事項、及び振動板を設計するための必要事項をユーザーが入力する入力手段と、その入力手段に入力されたデータに基づいてスピーカの特性を演算により得る演算手段と、その演算手段によって得られた結果を表示する表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明のスピーカ設計支援装置は、ボイスコイルの形態及び磁気回路の形態を計算する前処理手段と、ボイスコイルの形態及び磁気回路の形態に基づいて磁気回路の磁束密度分布を得る磁気回路設計手段と、ボイスコイルの形態、磁気回路の形態、及び磁気回路の磁束密度分布に基づいて、ボイスコイルに働く力の係数と有効振動系質量とを得る中間処理手段と、ボイスコイルの形態、磁気回路の形態、ボイスコイルに働く力の係数、及び有効振動系質量に基づいて、スピーカの等価回路を得る等価回路設計手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
上述した本発明のスピーカ設計支援装置を用いることにより、スピーカの試作回数を従来よりも削減することができ、短時間でスピーカの設計を行なうことができるようになる。さらにいうと、未熟練者であっても、熟練者と同様に、短時間でスピーカの設計を行なうことが可能となる。また、上記構成のスピーカ設計支援装置は、汎用性のあるパーソナルコンピュータで実現可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
(実施の形態1)
以下に、本発明の実施の形態1におけるスピーカ設計支援装置の構成を、その動作とともに図面を参照して説明する。
【0018】
図1に、本実施の形態1におけるスピーカ設計支援装置の概略構成を示す。その図1に示すように、本実施の形態1のスピーカ設計支援装置は、入力手段1と、演算手段2と、ディスプレイ3と、記憶手段4と、判定手段5と、データ作成手段6とで構成されている。また、図2に、本実施の形態1のスピーカ設計支援装置の詳細な構成を示す。さらに、図3に、本実施の形態1におけるスピーカ設計支援装置の動作手順を示す。
【0019】
まず、スピーカメーカーの設計者等のスピーカ設計支援装置のユーザーは、例えば携帯電話メーカーから提示されたスピーカに関する様々な条件(目標仕様)を、キーボード等の入力手段1によりスピーカ設計支援装置に入力する。例えば、口径、目標厚み、目標SPL(目標音圧)、測定距離、最低共振周波数Fs、定格入力、公称インピーダンス、有効振動直径といった条件(目標仕様)を入力する(ステップ1:なお、そのステップ1は図3におけるステップ1に対応している。以下同様である。)。さらに具体的には、下記表1に示すような、口径が22mm、目標厚みが5mm、目標SPL(目標音圧)が82dB、測定距離が1m、最低共振周波数Fsが800Hz、定格入力が0.5W、公称インピーダンスが8Ω、有効振動直径が14.5mm、であるといった条件(目標仕様)を、ユーザーは入力手段1により入力する。なお、その入力手段1により入力される下記表1の内容はディスプレイ3に表示される。
【0020】
【表1】
Figure 0004243070
【0021】
ところで、スピーカを構成する振動板の最大振幅及び振幅余裕のおおよその値がわかれば、上記振動板がスピーカのプロテクターと接触するか否かといったことや、上記振動板とともに振動するボイスコイルが磁気回路に接触するか否かといったことについておおよその判断をすることができる。そこで、上記のように条件(目標仕様)が入力されると、表示手段としてのディスプレイ3は、記憶手段4に記憶されている下記数1及び数2で表わされる2個の簡易振幅計算式を表示する。それら2個の簡易振幅計算式のうちの数1の方は、予め決められた基準の振動板を備えたスピーカに対して、上記条件(目標仕様)を満足させようとしたときの、上記基準の振動板の最大振幅及び振幅余裕(以下、設計基準における最大振幅及び振幅余裕という)を得るための計算式であり、数2の簡易振幅計算式は、予め決められたワーストケースの振動板を備えたスピーカに対して、上記条件(目標仕様)を満足させようとしたときの、上記ワーストケースの振動板の最大振幅及び振幅余裕(以下、ワーストケース(所定の条件範囲内での予め決められた最悪の場合)における最大振幅及び振幅余裕という)を得るための計算式である。
【0022】
【数1】
Figure 0004243070
【0023】
【数2】
Figure 0004243070
【0024】
さて上記のように数1及び数2で表される2個の簡易振幅計算式がディスプレイ3に表示されたら、ユーザーは、設計基準における最大振幅及び振幅余裕を知ろうとするときには数1を選択手段11により選択し(ステップ2)、ワーストケースにおける最大振幅及び振幅余裕を知ろうとするときには数2を選択手段11により選択する(ステップ2)。このように数1又は数2が選択されると、振動板演算手段21は、上記入力手段1により入力されたデータのうち振動板の最大振幅及び振幅余裕を演算するのに必要なデータを、選択された数1又は数2に代入して演算を行ない、振動板の最大振幅及び振幅余裕のおおよその値を得て(ステップ3)、その演算結果を上記条件(目標仕様)とともにディスプレイ3に表示させる。例えば、数1が選択された場合、下記表2に示すように、最大振幅が0.45mmであって、振幅余裕が0.69mmであるという結果が得られ、その結果がディスプレイ3に表示される。
【0025】
【表2】
Figure 0004243070
【0026】
なお、ユーザーは、数1及び数2の双方を選択して、設計基準における最大振幅及び振幅余裕と、ワーストケースにおける最大振幅及び振幅余裕とのいずれをもディスプレイ3に表示させるようにしてもよい。
【0027】
このように、振動板の最大振幅及び振幅余裕のおおよその値が示されれば、ユーザーは、振動板がスピーカのプロテクターと接触するか否かといったことや、振動板とともに振動するボイスコイルが磁気回路に接触するか否かといったことについておおよその判断をすることが可能となる。
【0028】
次に、ユーザーは、スピーカを構成するボイスコイルの形態(例えば大きさ)を提示させるための命令と、ボイスコイルを設計するための必要事項とを、上記入力手段1によりスピーカ設計支援装置に入力する。例えば、下記表3に示すような、公称径が8mm、線材名が銅線、線径が0.06mm、線輪最大外径が0.08mm、層数が2層、ボビン材が紙、ボビン厚が50μm、ボビン余白が0.1mmであるという各データを、ユーザーは、ボイスコイルを設計するための必要事項の一例として入力手段1により入力する。なお、その入力手段1により入力されるデータを示す下記表3の内容はディスプレイ3に表示される。
【0029】
【表3】
Figure 0004243070
【0030】
そうすると、コイル演算手段22は、上記入力手段1により入力されたボイスコイルの形態を演算するのに必要なデータを、記憶手段4に記憶されている複数のコイル計算式それぞれに代入して演算を行ない、ボイスコイルの形態を得る(ステップ4)。
【0031】
ここで、上記複数のコイル計算式は例えば下記数3及び数4で表される式であって、それら2個のコイル計算式のうちの数3の方の式はボイスコイルの形態の一例としてのボビンの高さ(Hvc)を得るための計算式であり、数4の式は巻幅(Wvc)を得るための計算式である。
【0032】
【数3】
Figure 0004243070
【0033】
【数4】
Figure 0004243070
【0034】
さてこの場合、コイル演算手段22は、ボイスコイルの形態の一例としてのボビンの高さ(Hvc)や巻幅(Wvc)がそれぞれ2.93mm、1.84mmであるという演算結果を得て、それをディスプレイ3に表示させる。
【0035】
ところで、ユーザーは、ボイスコイルを設計するための必要事項を複数パターン入力し、それら複数パターンそれぞれに基づいた演算結果を比較検討することがある。例えば、上記のボビンの高さ(Hvc)や巻幅(Wvc)を算出する場合であれば、線輪最大外径(Dwmax)と、1層目の巻数と、ボビン余白(Hbs)との具体的な数値の組み合わせを3パターン入力するのである。そのとき、上記ディスプレイ3には、各パターン別にボビンの高さ(Hvc)及び巻幅(Wvc)の演算結果が表示される。そうすると、ユーザーは、上記3パターンのうちのいずれかを選択手段12により選択し(ステップ5)、ボイスコイルの大きさ(形態の一例)を確定する。
【0036】
また、コイル演算手段22は、入力手段1によりユーザーが入力した「公称径が8mm、線材名が銅線、線径が0.06mm、線輪最大外径が0.08mm、層数が2層である」というデータから、直流抵抗(DCR)Reの値が7.32Ωであり、インダクタンスLeの値が0.0001Hであるという演算結果を得る。それら直流抵抗Re及びインダクタンスLeの各値は、ディスプレイ3に表示される。また、上記直流抵抗Re及びインダクタンスLeの各値は、後述する等価回路(図6参照)の電気素子部分の抵抗値及びコイルのインダクタンス値として用いられる。
【0037】
また、コイル演算手段22は、入力手段1によりユーザーが入力したボイスコイルの形態を演算するのに必要なデータに基づいて、金糸線質量が0.2mg、総巻数が45ターン、線長が1.21m、線輪質量が34.1mg、総質量が37.34mg、ボイスコイルの最大外径が8.69mmであるという演算結果も得る。
【0038】
このようにしてコイル演算手段22が演算により得た結果は、下記表4に示す形式で、ユーザーが入力したボイスコイルを設計するための必要事項とともに、ディスプレイ3に表示される。
【0039】
【表4】
Figure 0004243070
【0040】
なお、上記のコイルの線材の線径の具体例は記憶手段4に記憶されており、ユーザーは、その記憶手段4に記憶されている具体例のいずれかを選択手段13により選択し、その選択された具体例が、ユーザーが入力手段1により入力したデータとみなされる。例えば記憶手段4に、コイルの線材の線径として、0.04mm、0.05mm、0.06mmといった具体例が記憶されていて、ユーザーが選択手段13により「0.06mm」を選択した場合が上記の例であって(表3等参照)、その「0.06mm」が、ユーザーが入力手段1により入力したコイルの線材の線径のデータとみなされるのである。ただし、ユーザーは、記憶手段4に記憶されている具体例以外のデータを、入力手段1により入力してもよい。
【0041】
また、線材名の具体例も記憶手段4に記憶されていて、ユーザーがその記憶手段4に記憶されている具体例のいずれかを選択手段13により選択し、その選択された具体例を入力手段1によりユーザーが入力した線材名とみなしてもよい。
【0042】
次に、ユーザーは、スピーカを構成する磁気回路の大きさ(形態の一例)を提示させるための命令と、磁気回路を設計するための必要事項とを、上記入力手段1によりスピーカ設計支援装置に入力する。例えば、下記表5に示すような、プレート外径が7.9mm、プレート厚が0.5mm、プレート材質がSS41、マグネット外径が7.4mm、マグネット厚が1.2mm、マグネット材質がネオジウム(BHmax=35)、ヨーク内径が9mm、ヨーク厚が0.6mm、ヨーク材がSS41であるという各データを、ユーザーは、磁気回路を設計するための必要事項の一例として入力手段1により入力する。なお、その入力手段1により入力されるデータを示す下記表5の内容はディスプレイ3に表示される。
【0043】
【表5】
Figure 0004243070
【0044】
そうすると、磁気回路演算手段23は、上記入力手段1により入力された磁気回路の大きさを演算するのに必要なデータを、記憶手段4に記憶されている回路計算式に代入して演算を行ない、磁気回路の大きさを得る(ステップ6)。
【0045】
ここで、上記回路計算式は例えば下記数5で表される、ヨーク高さ(Hy)を得るための式である。
【0046】
【数5】
Figure 0004243070
【0047】
このようにして磁気回路演算手段23によって得られたヨーク高さ(Hy)は、下記表6に示す形式で、ユーザーが入力した磁気回路を設計するための必要事項とともに、ディスプレイ3に表示される。
【0048】
【表6】
Figure 0004243070
【0049】
なお、上記説明では、ボイスコイルの計算手順(ステップ4)及びパターン選択手順(ステップ5)の後に磁気回路の計算手順(ステップ6)を行なうとしたが、磁気回路の計算手順(ステップ6)の後にボイスコイルの計算手順(ステップ4)及びパターン選択手順(ステップ5)を行なってもよい。
【0050】
さて次に、形状判定手段51は、上記振動板演算手段21によって得られた振動板の最大振幅及び振幅余裕と、上記コイル演算手段22によって得られたボイスコイルの形態(大きさ等)と、磁気回路演算手段23によって得られた磁気回路の形態(大きさ等)とに基づいて、後述する判定を行なう(ステップ7)。
【0051】
その判定を図7を用いて説明すると、先ず第1に、ボイスコイル71の振動に伴って振動板75が振動したときに、振動板本体751と磁気回路を構成するプレート72とが接触しないかどうかを、形状判定手段51は判定する。つまり、図7におけるプレート72と振動板本体751との距離▲1▼が、振動板75が振動したときに、接触しない距離になっているかどうかを判定する。
【0052】
第2に、ボイスコイル71の振動に伴って振動板75が振動したときに、振動板エッジ752とヨーク74とが接触しないかどうかを、形状判定手段51は判定する。つまり、図7における振動板エッジ752とヨーク74との距離▲2▼が、振動板75が振動したときに、接触しない距離になっているかどうかを判定する。
【0053】
第3に、ボイスコイル71が振動したときに、そのボイスコイル71の振動方向において、ボビン76とヨーク74とが接触しないかどうかを、形状判定手段51は判定する。つまり、図7におけるボビン76とヨーク74との距離▲3▼が、ボイスコイル71が振動したときに、接触しない距離になっているかどうかを判定する。なお上記では、ボイスコイル71にボビン76が取り付けられている場合の判定について説明したが、ボイスコイル71にボビン76が取り付けられていない場合、ボイスコイル71が振動したときに、そのボイスコイル71の振動方向において、ボイスコイル71とヨーク74とが接触しないかどうかを、形状判定手段51は判定する。
【0054】
さらに第4に、形状判定手段51は、ボイスコイル71の振動方向と直交する方向において、ボイスコイル71とヨーク74とが接触しないかどうかを判定する。つまり、図7におけるボイスコイル71とヨーク74との距離▲4▼が、接触しない距離になっているかどうかを判定する。
【0055】
加えて第5に、図7ではボビン76が設けられているが、ボイスコイル71と振動板75とを接続させるためにボビン76が必要かどうかを、形状判定手段51は判定する。
【0056】
それら形状判定手段51による判定結果は、ディスプレイ3に表示される。その際、上記第1〜第5の判定項目において、いずれか一つでも否定的な判定結果が得られた場合、スピーカの形状が制限範囲外にあるとして、警告がディスプレイ3に表示される(ステップ8)。その場合上記ボイスコイルの計算手順(ステップ4)に戻る。つまり、ユーザーは、ボイスコイルの形態を提示させるための命令と、ボイスコイルを設計するための必要事項とを、再度上記入力手段1によりスピーカ設計支援装置に入力する手順に戻り、上記の形状を判定する手順(ステップ7)を再度行なう。
【0057】
例えば、形状判定手段51によって、ボイスコイル71の振動方向においてボビン76(又はボイスコイル71)がヨーク74に接触するという判定結果が得られた場合、ディスプレイ3には例えば「底当たりします」という警告が表示される。そうすると、上記ボイスコイルの計算手順(ステップ4)に戻り、ユーザーは、表3に示したボイスコイルを設計するための必要事項の少なくとも一部を変更し、新たなボイスコイルを設計するための必要事項を、入力手段1によりスピーカ設計支援装置に入力する。例えば、下記表7に示すように、線径のみを0.06mmから0.052mmに変更するのである。
【0058】
【表7】
Figure 0004243070
【0059】
そうすると、下記表8に示すように、コイル演算手段22によって、ボビンの高さ(Hvc)が、2.93mmから2.29mmに変更されたという、演算結果が得られる。
【0060】
【表8】
Figure 0004243070
【0061】
その後、形状判定手段51は、上記形状判定を再度行なう(ステップ7)。この場合、ボイスコイル71の振動方向においてボビン76(又はボイスコイル71)はヨーク74に接触しないという判定結果を、形状判定手段51は得る。なお、上記ボイスコイルの計算手順(ステップ4)の後に、パターン選択手順(ステップ5)及び磁気回路の計算手順(ステップ6)を行なってもよいし、上記ボイスコイルの計算手順(ステップ4)の後に、パターン選択手順(ステップ5)及び磁気回路の計算手順(ステップ6)を行なわずに、上記の形状を判定する手順(ステップ7)を行なってもよい。要するに、形状判定手段51による判定結果に基づいて警告がディスプレイ3に表示されると、ボイスコイルを設計するための必要事項と、磁気回路を設計するための必要事項の一方又は双方の少なくとも一部を変更し、上記の形状を判定する手順(ステップ7)を行ないさえすればよい。
【0062】
さて、形状判定手段51によって、上記第1〜第5の判定項目の全てにおいて肯定的な判定結果が得られた場合、その旨の情報がディスプレイ3に表示され、次の磁気回路の磁束密度分布を計算する手順(ステップ9)に進む。なお、後述する磁束密度分布を計算する手順(ステップ9)以降では、上述した磁気回路の計算手順(ステップ6)までに得られたボイスコイルの形態及び磁気回路の形態、並びに別途与えられる振動板の形態及びスピーカの音響系の形態(例えばスピーカを保持する筐体の形態)の相互関係と等価な関係を有する例えば図6に示す等価回路を用いてスピーカの音圧等の周波数特性を評価するための準備、及びその周波数特性の演算や評価等を行なう。なお、図6に示す等価回路は、計算式の一例として記憶手段4に記憶されている。
【0063】
さて磁束密度分布を計算する手順(ステップ9)において、磁束密度演算用データ作成手段61は、上記の各演算により得られたボイスコイルの形状及び磁気回路の形状等を基にして、記憶手段4に記憶されている磁束密度計算式に適用することができるボイスコイルの形態データ及び磁気回路の形態データを生成する。
【0064】
そうすると、磁束演算手段24は、上記磁束密度演算用データ作成手段61によって生成されたボイスコイルの形態データ及び磁気回路の形態データを上記磁束密度計算式に代入して、磁気回路の磁束密度分布を演算により得る(ステップ9)。例えば図4に示すような、ボイスコイルの巻線部の厚さ方向の中心軸(図7の直線L)における磁束密度分布が演算結果として得られ、ディスプレイ3に表示される。なお、図4において、プラス側は、プレート72(図7参照)の厚みの中心を通る水平面よりもプレート72の厚みの上方向(スピーカ前面側)の磁束密度の値を示し、マイナス側は、上記プレート72の厚みの中心を通る水平面よりもプレート72の厚みの下方向(スピーカ背面側)における磁束密度の値を示している。このように、磁束演算手段24が行なう演算により、磁気回路の予め決められた部位毎の磁束密度の大きさがわかる。例えば、図8に示す磁気回路を構成するプレート72の部位Aにおける磁束密度の大きさがわかる。また、磁束演算手段24は、演算によって得たマグネット部分の磁束密度分布よりパーミアンス係数を得る(ステップ9)。
【0065】
次に、力演算用データ作成手段62は、ボイスコイルの形態と、磁気回路の形態と、磁気回路の磁束密度分布とを基にして、記憶手段4に記憶されている力計算式に適用することができるボイスコイルの形態データ、磁気回路の形態データ、及び磁束密度分布データを生成する。
【0066】
そうすると、力演算手段25は、上記力演算用データ作成手段62によって生成されたボイスコイルの形態データ、磁気回路の形態データ、及び磁束密度分布データを上記力計算式に代入して、ボイスコイルに働く力を演算により得る(ステップ10)。その演算結果は、例えば図5に示すような、ボイスコイルの静止位置からの振動による移動量と、ボイスコイルの巻線部の厚さ方向の中心点(図7の点C)に働く力係数Blの値との関係を示したものであり、ディスプレイ3に表示される。なお、図5において、プラス側はボイスコイル71が振動板75(図7参照)側に移動したときの上記巻線部の厚さ方向の中心点(図7の点C)に働く力係数Blの演算結果を示し、マイナス側はヨーク74側に移動したときの上記巻線部の厚さ方向の中心点(図7の点C)に働く力係数Blの演算結果を示している。ところで、図5に示すように、ボイスコイルに働く力係数Blは、ボイスコイルの静止位置からの振動による移動距離によって変化するのであるが、それは、ボイスコイルに入力される信号が周期的交流信号であれば、ボイスコイルに働く力係数Blは時間とともに周期的に変化することを意味する。そこで、力演算手段25は、上記周期的に変化するボイスコイルに働く力係数Blの2乗平均値を求め、それを実効力係数とする(ステップ11)。なお、その実効力係数は、図6に示す等価回路における結合係数Blとなる。
【0067】
次に、ユーザーは、振動板を設計するための必要事項として、振動板厚みのデータと振動板比重のデータとを、入力手段1によりスピーカ設計支援装置に入力する。例えば、下記表9に示すような、振動板厚みが30μmであり、振動板比重が1.3mg/mm3であるというデータを、入力手段1により入力する。なお、下記表9の内容はディスプレイ3に表示される。
【0068】
【表9】
Figure 0004243070
【0069】
そうすると、有効振動板面積演算手段26は、上記入力手段1に入力された条件(目標仕様)の一つの有効振動直径(14.5mm;表1参照)から、有効振動面積Sdを演算により求めるとともに(ステップ12)、その求めた有効振動面積Sdと、上記振動板厚みのデータ及び振動板比重のデータとに基づいて、振動板の質量を求める。それら有効振動板面積演算手段26が求めた有効振動面積Sd及び振動板の質量は、上記の振動板厚みのデータ及び振動板比重のデータとともに、下記表10のような形式でディスプレイ3に表示される。なお、有効振動面積Sdは、図6に示す等価回路における結合係数Sdの値となる。また、有効振動面積Sd及び振動板の質量は、上記の実効力係数を計算する手順(ステップ11)の後に計算するものと限定することはない。例えば、最大振幅等を計算する手順(ステップ3)の後に求めてもよい。
【0070】
【表10】
Figure 0004243070
【0071】
その後、有効質量演算用データ作成手段63は、ボイスコイルの形態と、上記の有効振動板面積演算手段26が求めた振動板の質量と、ボイスコイルと振動板とを接着するための接着剤の情報とを基にして、記憶手段4に記憶されている有効振動系質量計算式に適用することができるボイスコイルの形態データ、振動板の形態データ、及び接着剤のデータを生成する。
【0072】
そうすると、質量演算手段27は、上記有効質量演算用データ作成手段63によって生成されたボイスコイルの形態データ、振動板の形態データ、及び接着剤のデータを上記有効振動系質量計算式に代入して、ボイスコイル等のスピーカにおける振動系の有効質量を、有効振動系質量Mmdとして演算により得る(ステップ13)。そして、その演算結果はディスプレイ3に表示される。なお、有効振動系質量Mmdには、空気等の音響的負荷質量は含まれない。
【0073】
次に、磁気回路特性判定手段52は、磁束演算手段24によって得られた磁気回路の各部位毎の磁束密度と、例えば図9に示す予め記憶手段4に記憶されている磁束密度が飽和しているか否かを判断するためのデータとを比較して、上記磁気回路の各部位毎の磁束密度が飽和しているか否かを判定する(ステップ14)。例えば図8に示す磁気回路を構成するプレート72の部位Aの磁束密度が飽和しているか否かを判定する。また、磁気回路特性判定手段52は、磁束演算手段24によって得られたパーミアンス係数と、予め記憶手段4に記憶されているパーミアンス係数とに基づいて、設計しようとする磁気回路を構成するマグネットの温度変化に起因する減磁が発生する可能性が有るか否かを判定する(ステップ14)。それらの判定結果はディスプレイ3に表示される。
【0074】
その際、上記磁気回路のいずれかの部位の磁束密度が飽和していると判定された場合や、設計しようとする磁気回路を構成するマグネットの温度変化に起因する減磁が発生する可能性が有ると判定された場合、警告がディスプレイ3に表示され、ボイスコイルの計算手順(ステップ4)に戻る。これによって、ユーザーは、ボイスコイルの形状を提示させるための命令と、ボイスコイルを設計するための必要事項とを、再度上記入力手段1によりスピーカ設計支援装置に入力するステップに戻り、上記の有効振動系質量を計算する手順(ステップ13)までを繰り返すことになる。
【0075】
そして、上記磁気回路のいずれの部位の磁束密度も飽和していないと判定され、かつ、設計しようとする磁気回路を構成するマグネットの温度変化に起因する減磁が発生する可能性が無いと判定された場合、支持系演算手段28は、上記入力手段1に入力された条件(目標仕様)の一つの最低共振周波数Fsと、上記質量演算手段27により得られた上記有効振動系質量Mmdに基づくMmsとを、記憶手段4に記憶されているコンプライアンス計算式に代入して演算を行なう。そして、支持系演算手段28は、振動板のエッジのコンプライアンス(支持系のバネ定数)Cmsを演算により得て(ステップ15)、ディスプレイ3に表示させる。なお、上記コンプライアンス計算式は下記数6で表される式であって、その数6における「Mms」は、上記有効振動系質量Mmdに音響的な負荷質量を加えたものを意味する。また、振動板のエッジのコンプライアンスCmsは、後述する図6に示す等価回路を用いた計算に用いられる。
【0076】
【数6】
Figure 0004243070
【0077】
その後、ユーザーは、スピーカの筐体等の音響系のデータを、入力手段1によりスピーカ設計支援装置に入力する(ステップ16)。上記音響系のデータとは、例えば筐体の大きさや、その筐体に設けられている窓孔の形状や、その窓孔を覆う音響抵抗材の形状や、スピーカ前面側に設けられるプロテクターの形状や、振動板が波板状なのか平板状なのかといった形状に関する情報を意味する。
【0078】
そうすると、音響的インピーダンス演算手段29は、上記音響系のデータに基づいて、図6に示す等価回路における振動板前面の音響的インピーダンスZa1と、振動板背面の音響的インピーダンスZa2とを演算により求める。
【0079】
例えば、図6に示す等価回路の「Za1」と記述されている部分が、抵抗とコンプライアンスと音響的質量(イナーダンス)とで構成されているとすると、音響的インピーダンス演算手段29は、上記の抵抗、コンプライアンス及び音響的質量とで構成される部分の全体のインピーダンスの値を得る。
【0080】
次に、等価回路演算手段30は、上記の各演算により得られた各要素の値を図6に示す等価回路の対応する素子の値とみなし、その等価回路の電気系部分の回路における電流値I、及び機械系の回路部分における速度Vを演算により算出する(ステップ17)。なお、図6の等価回路のRmsの値は、本実施の形態1のスピーカ設計支援装置を使用するユーザーが自身の経験上わかる値であって、そのユーザーが入力手段1により入力した値が用いられる。また、電流値I及び速度Vは、図6の等価回路を解くことで得られるが、それは起電力と逆起電力との相関関係が考慮された形で得られる。
【0081】
そして、各種周波数特性演算手段31は、上記等価回路演算手段30によって得られた速度Vを下記の数7に代入し、スピーカを構成する振動板の振幅周波数特性を演算により得る(ステップ18)。また、各種周波数特性演算手段31は、算出した振動板の振幅周波数特性の最大振幅に所定の値を付加して振幅余裕を算出する(ステップ19)。さらに、各種周波数特性演算手段31は、上記等価回路演算手段30によって得られた電流値Iを下記の数8に代入し、スピーカのインピーダンス周波数特性を演算により得る(ステップ20)。
【0082】
【数7】
Figure 0004243070
【0083】
【数8】
Figure 0004243070
【0084】
さらに、上記各種周波数特性演算手段31は、図6に示す等価回路の「Za1」と記述されている部分の予め決められた素子、例えばコンプライアンスの両端に掛かる電圧値を振動板前面の音圧周波数特性として得る(ステップ21)。同様に、各種周波数特性演算手段31は、図6に示す等価回路の「Za2」と記述されている部分の予め決められた素子、例えばコンプライアンスの両端に掛かる電圧値を、振動板背面の音圧周波数特性として得る(ステップ21)。なお、上記予め決められた素子は、例えば本実施の形態1のスピーカ設計支援装置によって設計されるスピーカが用いられる場所によって決まる。
【0085】
そして、最終判定手段53は、上記各種周波数特性演算手段31によって得られた音圧周波数特性が、上記条件(目標仕様)のうちの目標SPL(目標音圧)を満たしているか否かを判定する(ステップ22)。また、最終判定手段53は、上記各種周波数特性演算手段31によって得られた振動板の振幅周波数特性に基づいて決まるスピーカの厚みが、上記条件(目標仕様)のうちの目標厚みを満たしているか否かを判定する(ステップ22)。それらの判定結果はディスプレイ3に表示される。
【0086】
その際、上記各演算結果が上記条件(目標仕様)を満足していなかった場合、警告がディスプレイ3に表示される(ステップ23)。そうすると、ボイスコイルの計算手順(ステップ4)又は音響系の形状を入力する手順(ステップ16)に戻り、それ以降の手順を繰り返す。例えば上記の演算によって得られた音圧値が上記目標SPL(目標音圧)より低い値であった場合、振動系の有効質量を軽くすると音圧が高くなるので、ボイスコイルの質量を軽くするための計算を行なう手順(ステップ4)に戻る。また例えば上記の演算によって得られた振動板の振幅周波数特性に基づいて決まるスピーカの厚みが上記目標厚みより厚すぎた場合、筐体に設けられる窓孔の径を大きくすると振動板の振幅値が小さくなり、スピーカの厚みを薄くすることができるので、窓孔の径を大きくするためのデータを入力する手順(ステップ16)に戻る。
【0087】
そして、上記各演算結果が上記条件(目標仕様)を満足しているという判定結果が得られた場合、その旨の情報がディスプレイ3に表示され、スピーカの設計を終了し、設計仕様書をプリントアウトする(ステップ24)。なお、その設計仕様書には、上記各種周波数特性演算手段31によって得られたスピーカのインピーダンス周波数特性も含まれる。それは、スピーカのQ値を知る上での手がかりとなるものである。
【0088】
上述したように、本実施の形態1のスピーカ設計支援装置を用いれば、スピーカの設計回数が従来よりも減り、所定の条件(目標仕様)を満足するスピーカを短時間で設計することが可能となる。
【0089】
なお、上述した実施の形態1では、音圧計算式、振動板振幅計算式、及びインピーダンス計算式の一例として図6に示す等価回路を用いたが、その等価回路は、複数存在していてもよい。例えば、音響系回路等について各種補正が考慮された等価回路が複数存在していてもよい。そして、ユーザーがそれら複数の等価回路のいずれかを選択するようにしてもよい。
【0090】
また、上述した実施の形態1では、スピーカ設計支援装置が磁気回路特性判定手段52を備えており、その磁気回路特性判定手段52が、磁束演算手段24によって得られた磁気回路の各部位毎の磁束密度が飽和しているか否かを判断するとした。また、上記磁気回路特性判定手段52が、磁束演算手段24によって得られたパーミアンス係数に基づいて、設計しようとする磁気回路を構成するマグネットの温度変化に起因する減磁が発生する可能性が有るか否かを判定するとした。しかしながら、スピーカ設計支援装置は磁気回路特性判定手段52を備えていると限定することはない。磁気回路特性判定手段52がスピーカ設計支援装置に設けられていない場合は、上述した磁気回路特性判定手段52が行なう判定をユーザーが行なう。または、上記の磁気回路の各部位毎の磁束密度が飽和しているか否かを判定する項目と、パーミアンス係数に基づいてマグネットの温度変化に起因する減磁が発生する可能性が有るか否かを判定する項目の二つの判定項目の一方をユーザーが判定し、他方を上記磁気回路特性判定手段52が判定するとしてもよい。
【0091】
また、上述した実施の形態1における磁束演算手段24、音響的インピーダンス演算手段29、等価回路演算手段30及び各種周波数特性演算手段31の全部又は一部は、汎用されているソフトウェアを利用して該当する演算を行なう手段であってもよい。
【0092】
(実施の形態2)
以下に、本発明の実施の形態2におけるスピーカ設計支援装置の構成を、その動作とともに図面を参照して説明する。
【0093】
図10に、本実施の形態2におけるスピーカ設計支援装置の概略構成を示す。図11に、本実施の形態2におけるスピーカ設計支援装置の動作手順を示す。さらに、図12に、本実施の形態2におけるスピーカ設計支援装置が行なう処理の概要を示す。
【0094】
さて、図10に示すように、本実施の形態2のスピーカ設計支援装置は、入力手段101と、簡易振幅計算手段102と、前処理手段103と、磁気回路設計手段104と、中間処理手段105と、等価回路設計手段106と、周波数特性計算手段107と、スピーカ特性計算手段108と、出力データ作成手段109と、前処理評価手段115と、中間処理評価手段116と、最終評価手段117と、記憶手段118と、ディスプレイ119とで構成されている。
【0095】
まず、本実施の形態2のスピーカ設計支援装置のユーザーは、例えば携帯電話メーカーから提示されたスピーカに関する様々な条件(目標仕様)を、キーボード等で構成される入力手段101によりスピーカ設計支援装置に入力する。例えば、口径、目標厚み、目標SPL(目標音圧)、測定距離(スピーカとそれからの音を検出する手段との距離r)、最低共振周波数Fs、定格入力、公称インピーダンス、有効振動直径といった条件(目標仕様)を入力する(ステップ101)。具体的には、下記表11に示すような、口径が22mm、目標厚みが5mm、目標SPL(目標音圧)が82dB、測定距離が1m、最低共振周波数Fsが800Hz、定格入力が0.5W、公称インピーダンスが8Ω、有効振動直径が14.5mm、であるといった条件(目標仕様)を、ユーザーは入力手段101により入力する。なお、その入力手段101により入力される下記表11の内容はディスプレイ119に表示される。
【0096】
【表11】
Figure 0004243070
【0097】
ところで、上記実施の形態1でも述べたが、スピーカを構成する振動板の最大振幅及び振幅余裕のおおよその値がわかれば、上記振動板がスピーカのプロテクターと接触するか否かといったことや、上記振動板とともに振動するボイスコイルが磁気回路に接触するか否かといったことについておおよその判断をすることができる。そこで、本実施の形態2のスピーカ設計支援装置は、簡易振幅計算手段102において、スピーカを構成する振動板の最大振幅及び振幅余裕のおおよその値を求める簡易振幅演算を先ず行なう。以下、その簡易振幅演算を説明する。
【0098】
さて、上記のように条件(目標仕様)が入力されると、ディスプレイ119は、記憶手段118に記憶されている簡易振幅計算式データベースDB1(図12参照)のなかの下記数1及び数2で表わされる2個の簡易振幅計算式を表示する。それら2個の簡易振幅計算式は、上記実施の形態1で説明した式であって、数1の方は、設計基準における最大振幅及び振幅余裕を得るための計算式であり、数2の方は、ワーストケース(所定の条件範囲内での予め決められた最悪の場合)における最大振幅及び振幅余裕を得るための計算式である。
【0099】
【数1】
Figure 0004243070
【0100】
【数2】
Figure 0004243070
【0101】
このように、数1及び数2で表される2個の簡易振幅計算式がディスプレイ119に表示されたら、ユーザーは、設計基準における最大振幅及び振幅余裕を知ろうとするときには数1を選択手段111により選択し(ステップ102)、ワーストケースにおける最大振幅及び振幅余裕を知ろうとするときには数2を選択手段111により選択する(ステップ102)。このように数1又は数2が選択されると、簡易振幅計算手段102は、上記入力手段101により入力されたデータの中の簡易振幅演算を行なうのに必要なデータと、選択された数1又は数2とを利用し、振動板の最大振幅及び振幅余裕のおおよその値を得て(ステップ103)、その演算結果を上記条件(目標仕様)とともにディスプレイ119に表示させる。例えば、数1が選択された場合、下記表12に示すように、最大振幅が0.45mmであって、振幅余裕が0.69mmであるという演算結果が得られ、その演算結果がディスプレイ119に表示される。また、上記演算結果(下記表12の内容)は、図12に示す簡易振幅ファイルF−1に収められて記憶手段118に格納される。
【0102】
【表12】
Figure 0004243070
【0103】
なお、ユーザーは、数1及び数2の双方を選択して、設計基準における最大振幅及び振幅余裕と、ワーストケースにおける最大振幅及び振幅余裕とのいずれをもディスプレイ119に表示させるようにしてもよい。
【0104】
このように、振動板の最大振幅及び振幅余裕のおおよその値が示されれば、ユーザーは、振動板がスピーカのプロテクターと接触するか否かといったことや、振動板とともに振動するボイスコイルが磁気回路に接触するか否かといったことについておおよその判断をすることが可能となる。
【0105】
次に、本実施の形態2のスピーカ設計支援装置は、前処理手段103において、スピーカを構成する磁気回路の磁束密度分布等を求めるためのデータを生成する以下の演算処理を行なう。
【0106】
まず、ユーザーは、スピーカを構成するボイスコイルの形態(例えば大きさ)を提示させるための命令と、ボイスコイルを設計するための必要事項の一部とを、上記入力手段101によりスピーカ設計支援装置に入力する(ステップ104)。また、ユーザーは、ボイスコイルを設計するための必要事項の残部を、記憶手段118に記憶されている前処理演算用データベースDB2(図12参照)の中から上記入力手段101内の選択手段111を用いて選択する(ステップ104)。
【0107】
例えば、ユーザーは、上記前処理演算用データベースDB2の中の、公称径として下記表13に示す10mm、11mm、12mm、・・・のなかからいずれかを選択する。そうすると、その選択された公称径が記載されている行の他の事項の数値も併せて選択される。例えば公称径として「10mm」をユーザーが選択すると、ボイスコイルの実際の内径(ボビン内径)として10.5mmが、その内径公差として0.1mmが、選択される。また、磁気回路を構成するプレートの外径として9.5mmが、磁気回路を構成するヨークの内径として12.0mmが、ボイスコイルと振動板とを接着させるための接着剤の質量として4.0mgが、それぞれ選択される。ここでは、以下の説明の便宜上、ユーザーは、公称径として「10mm」を選択したとする。なお、上記公称径は、ボイスコイルの内径の概略値を意味する。
【0108】
【表13】
Figure 0004243070
【0109】
また、ユーザーは、記憶手段118に記憶されている上記前処理演算用データベースDB2の中の線材名として下記表14に示す“銅線1”、“銅線2”、“銅線3”、・・・のなかからいずれかを選択する。そうすると、その選択された線材名が記載されている行の他の事項の数値も併せて選択される。例えば線材名として「銅線2」をユーザーが選択すると、線径として0.060mmが、線輪最大外径として0.065mmが、選択される。また、比抵抗として35.0が、比質量として0.02が、選択される。ここでは、以下の説明の便宜上、ユーザーは、線材名として「銅線2」を選択したとする。
【0110】
【表14】
Figure 0004243070
【0111】
また、ユーザーは、記憶手段118に記憶されている上記前処理演算用データベースDB2の中のボビン材名として下記表15に示す“ボビンレス”、“樹脂1”、“金属1”、・・・のなかからいずれかを選択する。そうすると、その選択されたボビン材名が記載されている行の他の事項の数値も併せて選択される。例えばボビン材名として「樹脂1」をユーザーが選択すると、比重として下記表15におけるボビン材名「樹脂1」が記載されている行の0.5が併せて選択される。ここでは、以下の説明の便宜上、ユーザーは、ボビン材名として「樹脂1」を選択したとする。なお、下記表15におけるボビン材名の列の“ボビンレス”は、ボビンを用いずに振動板とボイスコイルとを直接接合する場合に対応している。
【0112】
【表15】
Figure 0004243070
【0113】
さらに、ユーザーは、層数が2層、ボビン厚が50μm、ボビン余白が0.1mmであるという各データを、ボイスコイルを設計するための必要事項の一部として入力手段101により入力する。
【0114】
上述したようにしてユーザーが選択及び入力した内容は、下記表16のようにまとめられてディスプレイ119に表示される。
【0115】
【表16】
Figure 0004243070
【0116】
そうすると、前処理手段103は、上記入力手段101により入力されたボイスコイルの形態を演算するのに必要なデータと、上記前処理演算用データベースDB2のなかから選択されたボイスコイルの形態を演算するのに必要なデータとを、記憶手段118に記憶されている複数のコイル計算式それぞれに代入して演算を行ない、ボイスコイルの形態を得る(ステップ105)。
【0117】
ここで、上記複数のコイル計算式は例えば下記数3及び数4で表される式であって、それら2個のコイル計算式のうちの数3の方の式はボイスコイルの形態の一例としてのボビンの高さ(Hvc)を得るための計算式であり、数4の式は巻幅(Wvc)を得るための計算式である。なお、それら数3及び数4は上記実施の形態1で説明したものと同じものである。
【0118】
【数3】
Figure 0004243070
【0119】
【数4】
Figure 0004243070
【0120】
さてこの場合、前処理手段103は、ボイスコイルの形態の一例としてのボビンの高さ(Hvc)や巻幅(Wvc)がそれぞれ3.0mm、2.0mmであるという演算結果を得て、それをディスプレイ119に表示させる。
【0121】
ところで、ユーザーは、ボイスコイルを設計するための必要事項を複数パターン入力し、それら複数パターンそれぞれに基づいた演算結果を比較検討することがある。例えば、上記のボビンの高さ(Hvc)や巻幅(Wvc)を算出する場合であれば、例えば線材名として“銅線2”の他に上記表14に示す“銅線1”を選択するとともに、1層目の巻数及びボビン余白(Hbs)の数値として上記のもの以外のものを選び、合計で3パターンを入力するのである。そのとき、上記ディスプレイ119には、各パターン別にボビンの高さ(Hvc)及び巻幅(Wvc)の演算結果が表示される。そして、ユーザーは、上記3パターンのうちのいずれかを選択手段111により選択し(ステップ106)、ボイスコイルの大きさ(形態の一例)を確定する。ここでは、以下の説明の便宜上、上記表16に示した内容が選択されたものとする。
【0122】
また、前処理手段103は、ユーザーが選択及び入力した「公称径が10mm、線材名が銅線2、線径が0.060mm、線輪最大外径が0.065mm、層数が2層である」というデータから、直流抵抗(DCR)Reの値が8.5Ωであり、インダクタンスLeの値が0.0001Hであるという演算結果を得る。それら直流抵抗Re及びインダクタンスLeの各値は、ディスプレイ119に表示される。また、上記直流抵抗Re及びインダクタンスLeの各値は、後述する等価回路(図6参照)の所定の電気素子の抵抗値及びコイルのインダクタンス値として用いられる。なお、図6に示す等価回路は、図12に示す等価回路ファイルF−8に収められて記憶手段118に格納されている。
【0123】
また、前処理手段103は、ユーザーが選択及び入力したボイスコイルの形態を演算するのに必要なデータに基づいて、金糸線質量が0.2mg、総巻数が45ターン、線長が1.2m、線輪質量が34mg、総質量が37mg、ボイスコイルの最大外径が8.7mmであるという演算結果も得る。
【0124】
このようにして前処理手段103が演算により得た結果は、下記表17に示す形式で、ユーザーが選択及び入力したボイスコイルを設計するための必要事項とともに、ディスプレイ119に表示される。また、下記表17の演算結果は、前処理結果ファイルF−2(図12参照)に収められて記憶手段118に格納される。
【0125】
【表17】
Figure 0004243070
【0126】
次に、ユーザーは、スピーカを構成する磁気回路の大きさ(形態の一例)を提示させるための命令と、磁気回路を設計するための必要事項の一部とを、上記入力手段101によりスピーカ設計支援装置に入力する(ステップ107)。また、ユーザーは、磁気回路を設計するための必要事項の残部を、記憶手段118に記憶されている上記前処理演算用データベースDB2(図12参照)の中から上記入力手段101内の選択手段111を用いて選択する(ステップ107)。
【0127】
例えば、ユーザーは、下記表18に示すような、プレート外径が7.9mm、プレート厚が0.5mm、マグネット外径が7.4mm、マグネット厚が1.2mm、ヨーク内径が9mm、ヨーク厚が0.6mmであるという各データを、磁気回路を設計するための必要事項の一部として入力手段101により入力する。
【0128】
【表18】
Figure 0004243070
【0129】
また、ユーザーは、記憶手段118に記憶されている上記前処理演算用データベースDB2の中のプレート及びヨーク材の材料名として下記表19に示す“金属1”、“金属2”、・・・のなかからいずれかを選択する。ここでは説明の便宜上、「金属1」を選択するものとする。なお、下記表19中の磁束密度(B)及び磁界強度(H)は、プレート及びヨーク材の物性を特定するものである。
【0130】
【表19】
Figure 0004243070
【0131】
さらに、ユーザーは、記憶手段118に記憶されている上記前処理演算用データベースDB2の中のマグネットの材料名として下記表20に示す“マグネット1”、“マグネット2”、・・・のなかからいずれかを選択する。ここでは説明の便宜上、「マグネット1」を選択するものとする。なお、下記表20中の磁束密度(B)及び磁界強度(H)は、上記表19におけるそれらと同じ意味を有する。
【0132】
【表20】
Figure 0004243070
【0133】
上述したようにしてユーザーが入力又は選択した磁気回路を設計するための必要事項の内容は、下記表21のようにまとめられてディスプレイ119に表示される。
【0134】
【表21】
Figure 0004243070
【0135】
そうすると、前処理手段103は、上記入力手段101により入力された磁気回路の大きさを演算するのに必要なデータと、上記前処理演算用データベースDB2のなかから選択された磁気回路の形態を演算するのに必要なデータとを、記憶手段118に記憶されている磁気回路計算式に代入して演算を行ない、磁気回路の大きさを得る(ステップ108)。
【0136】
ここで、上記磁気回路計算式は例えば下記数5で表される、ヨーク高さ(Hy)を得るための式である。
【0137】
【数5】
Figure 0004243070
【0138】
上記数5を利用して前処理手段103によって得られたヨーク高さ(Hy)は、下記表22に示す形式で、ユーザーが入力又は選択した磁気回路を設計するための必要事項とともに、ディスプレイ119に表示される。また、下記表22の演算結果は、前処理結果ファイルF−2(図12参照)に収められて記憶手段118に格納される。
【0139】
【表22】
Figure 0004243070
【0140】
次に、前処理評価手段115は、上記簡易振幅計算手段102によって得られた振動板の最大振幅及び振幅余裕と、上記前処理手段103によって得られたボイスコイルの形態(大きさ等)、及び磁気回路の形態(大きさ等)とに基づいて、後述する五つの判定項目について判定を行なう(ステップ109)。
【0141】
その判定を図7を用いて説明すると、先ず第1に、ボイスコイル71の振動に伴って振動板75が振動したときに、振動板本体751と磁気回路を構成するプレート72とが接触しないかどうかを、前処理評価手段115は判定する。つまり、図7におけるプレート72と振動板本体751との距離▲1▼が、振動板75が振動したときに、接触しない距離になっているかどうかを判定する。
【0142】
第2に、ボイスコイル71の振動に伴って振動板75が振動したときに、振動板エッジ752とヨーク74とが接触しないかどうかを、前処理評価手段115は判定する。つまり、図7における振動板エッジ752とヨーク74との距離▲2▼が、振動板75が振動したときに、接触しない距離になっているかどうかを判定する。
【0143】
第3に、ボイスコイル71が振動したときに、そのボイスコイル71の振動方向において、ボビン76とヨーク74とが接触しないかどうかを、前処理評価手段115は判定する。つまり、図7におけるボビン76とヨーク74との距離▲3▼が、ボイスコイル71が振動したときに、接触しない距離になっているかどうかを判定する。なお上記では、ボイスコイル71にボビン76が取り付けられている場合の判定について説明したが、ボイスコイル71にボビン76が取り付けられていない場合、ボイスコイル71が振動したときに、そのボイスコイル71の振動方向において、ボイスコイル71とヨーク74とが接触しないかどうかを、前処理評価手段115は判定する。
【0144】
さらに第4に、前処理評価手段115は、ボイスコイル71の振動方向と直交する方向において、ボイスコイル71とヨーク74とが接触しないかどうかを判定する。つまり、図7におけるボイスコイル71とヨーク74との距離▲4▼が、接触しない距離になっているかどうかを判定する。
【0145】
加えて第5に、図7ではボビン76が設けられているが、ボイスコイル71と振動板75とを接続させるためにボビン76が必要かどうかを、前処理評価手段115は判定する。
【0146】
それら前処理評価手段115による判定結果は、ディスプレイ119に表示される。その際、上記第1〜第5の判定項目において、いずれか一つでも否定的な判定結果が得られた場合、スピーカの形状が制限範囲外にあるとして、警告がディスプレイ119に表示される(ステップ110)。その場合、ユーザーは、ボイスコイルの形態を提示させるための命令と、ボイスコイルを設計するための必要事項とを、上記入力手段101によりスピーカ設計支援装置に入力する手順(ステップ104)に戻り、上記の形状を判定する手順(ステップ109)を再度行なう。
【0147】
例えば、前処理評価手段115によって、ボイスコイル71の振動方向においてボビン76(又はボイスコイル71)がヨーク74に接触するという判定結果が得られた場合、ディスプレイ119には例えば「底当たりします」という警告が表示される。そうすると、ユーザーは、表16に示したボイスコイルを設計するための必要事項の少なくとも一部を変更し、新たなボイスコイルを設計するための必要事項を、入力手段101によりスピーカ設計支援装置に入力する。例えば、下記表23に示すように、線材名として「銅線1」を選択し直し、線径を「0.060mm」から「0.050mm」に変更するのである。
【0148】
【表23】
Figure 0004243070
【0149】
このようにデータの一部が変更されると、下記表24に示すように、前処理手段103によって、ボビンの高さ(Hvc)が、3.0mmから2.5mmに変更されたという、演算結果が得られる。
【0150】
【表24】
Figure 0004243070
【0151】
その後、前処理評価手段115は、上記形状判定を再度行なう(ステップ109)。この場合、ボイスコイル71の振動方向においてボビン76(又はボイスコイル71)はヨーク74に接触しないという判定結果を、前処理評価手段115は得る。
【0152】
さて、前処理評価手段115によって、上記第1〜第5の判定項目の全てにおいて肯定的な判定結果が得られた場合、その旨の情報がディスプレイ119に表示される。またその際、上記前処理結果ファイルF−2(図12参照)内の上記表17に示す演算結果が、上記表24に示す演算結果に書き換えられる。
【0153】
次に、ユーザーは、振動板を設計するための必要事項として、振動板厚みのデータと振動板比重のデータとを、入力手段101によりスピーカ設計支援装置に入力する。例えば、下記表25に示すような、振動板厚みが30μmであり、振動板比重が1.3mg/mm3であるというデータを、入力手段101により入力する。なお、下記表25の内容はディスプレイ119に表示される。
【0154】
【表25】
Figure 0004243070
【0155】
そうすると、前処理手段103は、入力手段101により入力された上記条件(目標仕様)の一つの有効振動直径(14.5mm;表11参照)から、有効振動面積Sdを演算により求めるとともに(ステップ111)、その求めた有効振動面積Sdと、上記振動板厚みのデータ及び振動板比重のデータとに基づいて、振動板の質量を求める。それら求められた有効振動面積Sd及び振動板の質量は、下記表26に示すように、上記の振動板厚みのデータ及び振動板比重のデータとともに、上記前処理結果ファイルF−2(図12参照)に収められて記憶手段118に格納される。また、下記表26に示す上記有効振動面積Sd及び振動板の質量と、上記の振動板厚みのデータ及び振動板比重のデータは、ディスプレイ119に表示される。なお、有効振動面積Sdは、図6に示す等価回路における結合係数Sdの値となる。
【0156】
【表26】
Figure 0004243070
【0157】
このように、前処理結果ファイルF−2(図12参照)には、上記の表24、表22、及び表26の内容がファイルされる。
【0158】
次に、前処理手段103は、図13に示す磁気回路を構成する各部材の各領域のデータ(以下、節点データ及び要素データという)を作成する(ステップ112)。なお、図13は、磁気回路の一断面の中央部から側部までを示している。
【0159】
以下に、磁気回路の構成について図13を用いて説明する。その図13に示すように、磁気回路は複数の領域から構成されている。そして、例えば領域Fに着目すると、その領域Fは長方形であり4つの角部が存在するが、それら4つの角部には、それぞれ符号P15、P16、P17、P18が予め付けられている。同様に領域Gに着目すると、その領域Gも長方形であり4つの角部が存在し、それら4つの角部にも、それぞれ符号P17、P18、P19、P20が予め付けられている。また、P15とP17とを結ぶ線分P15−P17と、P17とP19とを結ぶ線分P17−P19との長さの比が予め定義されている。例えば、線分P15−P17と線分P17−P19との長さの比が、2:3であると予め定義されている。上記の符号や予め定義されている事項は、記憶手段118に予め記憶されている。
【0160】
このように磁気回路を図13のように示したときの各領域の各角部の符号及び各隣り合う二つの角部の長さの比が予め決められているという条件下で、前処理手段103は、下記表27に示すように上記の節点データ及び要素データを作成し、それらを形状ファイルF−3(図12参照)にまとめて記憶手段118に格納する。
【0161】
【表27】
Figure 0004243070
【0162】
次に、上記表27を詳述する。まず「要素」についてであるが、はじめの「EL」は要素名を表わしている。次に、「EL」の右に記載されている文字“A”〜“F”は要素番号を意味している。つまり、図13における磁気回路の対応する各領域“A”〜“F”を表わしている。次に、それら各要素番号の右に記載されている数字は、その数字が記載されている行の領域の材料が有する物性番号を意味している。さらに、その物性番号の右に記載されている4つの数字は、各領域の角部を示す節点番号である。例えば図13における磁気回路の領域Fを例にとって説明すると、要素番号Fの行に記載されているP15、P16、P17、及びP18それぞれは、図13における領域Fの角部を示すP15、P16、P17、及びP18それぞれを意味している。なお、上記物性番号は、ユーザーが磁気回路を設計するための必要事項を選択する手順(ステップ107)において選択したプレート、ヨーク及びマグネットそれぞれに予め割り振られた数字が用いられる。それら物性番号と、プレート、ヨーク及びマグネットそれぞれが有する物性との対応関係は、記憶手段118に予め記憶されている。
【0163】
次に、「節点」について説明する。はじめの「NM」は節点名であり、各要素を構成する節点を意味している。その「NM」の右の数字は、図13における磁気回路の各領域“A”〜“F”の各角部を示す節点番号であり、シーケンシャルに付けられている。そして、その列の右の2列には、上記各節点の座標位置を示すx座標及びy座標が順に記載されている。一例として、図13における磁気回路の領域F及び領域Gについて説明すると、領域Fの節点P15は、x座標が6、y座標が5である、という位置に位置していることを意味している。また、図13における領域Fの節点P17は、x座標が6、y座標が3である、という位置に位置していることを意味している。さらに、領域Gの節点P19は、x座標が6、y座標が0である、という位置に位置していることを意味している。なお、図13の各領域の節点には座標が付けられている。
【0164】
さらに、表27に示す「NS」について説明する。その「NS」は、節点名であって、ボイスコイルが位置する空間における磁束密度の計算位置を示す名称であり、具体的には、プレートとヨークとの間に位置するボイスコイルの、巻線部の厚さ方向の中心軸(図7及び図13の直線L)上の各位置座標名を示している。次に、「NS」の右に記載されている数字は節点番号を意味している。即ち、上記ボイスコイルの巻線部の厚さ方向の中心軸Lを構成する複数の点の各位置の番号をそれぞれ表わしている。例えば上記中心軸Lの上から(振動板と接する部分側から)、所定の間隔(例えば線輪最大外形の1/2)をおいて順に番号が付されているのである。次に、それら各番号の右に記載されている数字は、上記各節点番号位置のx座標、及びy座標を意味している。
【0165】
上述したようにして前処理手段103が形状ファイルF−3(図12参照)を作成して記憶手段118に格納すると、上記前処理手段103は、次に、磁気回路の磁束密度分布を計算させるための条件ファイルF−4(図12参照)を作成する(ステップ113)。その条件ファイルF−4の内容は、表28に記載されている。
【0166】
【表28】
Figure 0004243070
【0167】
ここで、表28に記載されている条件ファイルF−4の内容について詳述する。その条件ファイルF−4は、磁気回路設計手段104に対して、磁気回路が図13のy軸を軸とする対称形状であることを想定して上記磁気回路の磁束密度分布を計算させるためのコマンドと、上記磁気回路を設計するための必要事項を入力又は選択する手順(ステップ107)において選択された、磁気回路を構成するプレート、ヨーク、及びマグネットの材料のデータとで構成される。
【0168】
次に、本実施の形態2のスピーカ設計支援装置は、磁気回路設計手段104において、スピーカを構成する磁気回路の磁束密度分布等を求める以下の演算処理を行なう。
【0169】
さて上述したように、形状ファイルF−3及び条件ファイルF−4が作成されると、磁気回路設計手段104は、上記形状ファイルF−3及び条件ファイルF−4に基づいて、磁気回路が図13のy軸を軸とする回転対称体であることを想定して上記磁気回路の磁束密度分布を計算する(ステップ114)。そうすると、下記表29に示すような、ボイスコイルの巻線部の厚さ方向の中心軸(図7及び図13の直線L)上の各点における磁束密度の演算結果が得られる。その得られた磁束密度の分布結果は、磁気回路演算結果ファイルF−5(図12参照)にファイルされて記憶手段118に格納され、その後ディスプレイ119に表示される。また、上記磁束密度の分布結果は、図4に示すようにグラフ化されてディスプレイ119に表示される。なお、図4については、上記実施の形態1において説明したので、本実施の形態2では詳細な説明を省略する。
【0170】
【表29】
Figure 0004243070
【0171】
また、磁気回路設計手段104は、上述したようにボイスコイルの巻線部の厚さ方向の中心軸上の各点における磁束密度を計算するとともに、磁気回路の予め決められた部位毎の磁束密度の大きさも計算する。その計算により、磁気回路の予め決められた部位毎の磁束密度の大きさがわかる。例えば、図8に示す磁気回路を構成するプレート72の領域Aにおける磁束密度の大きさがわかる。なお、上記の磁気回路の予め決められた部位毎の磁束密度の大きさの計算結果も、磁気回路演算結果ファイルF−5(図12参照)にファイルされて記憶手段118に格納される。
【0172】
また、磁気回路設計手段104は、演算によって得たマグネット部分の磁束密度分布よりパーミアンス係数を得る(ステップ114)。そのパーミアンス係数は、上記磁束密度分布とともに、磁気回路演算結果ファイルF−5(図12参照)にファイルされて記憶手段118に格納される。
【0173】
次に、本実施の形態2のスピーカ設計支援装置は、中間処理手段105において、スピーカの各種周波数特性演算の前段階で行なう等価回路計算をするためのデータを生成する以下の演算処理を行なう。
【0174】
さて、中間処理手段105は、上記磁気回路演算結果ファイルF−5(図12参照)にファイルされた磁気回路の磁束密度の分布結果を、記憶手段118に記憶されている力計算式に代入し、ボイスコイルに働く力を演算する(ステップ115)。その演算により、下記表30に示すような、ボイスコイルの静止位置からの振動による移動量と、ボイスコイルの巻線部の厚さ方向の中心点(図7の点C)に働く力係数Blの値との関係が得られる。その得られた関係(下記表30に示す内容)は、力係数演算結果ファイルF−6(図12参照)にファイルされて記憶手段118に格納され、その後ディスプレイ119に表示される。また、上記のボイスコイルの静止位置からの振動による移動量と、ボイスコイルの巻線部の厚さ方向の中心点(図7の点C)に働く力係数Blの値との関係(下記表30に示す内容)は、図5に示すようにグラフ化されてディスプレイ119に表示される。なお、図5については、上記実施の形態1において説明したので、本実施の形態2では詳細な説明を省略する。
【0175】
【表30】
Figure 0004243070
【0176】
ところで、上記実施の形態1において説明したように、ボイスコイルに入力される信号が周期的交流信号であれば、ボイスコイルに働く力係数Blは時間とともに周期的に変化する。そこで、中間処理手段105は、上記周期的に変化するボイスコイルに働く力係数Blの2乗平均値を求め、それを実効力係数とする(ステップ116)。そして、中間処理手段105は、上記実効力係数を上記中間処理結果ファイルF−6(図12参照)にファイルして記憶手段118に格納する。なお、上記実効力係数は、図6に示す等価回路における結合係数Blとなる。
【0177】
次に、中間処理手段105は、ボイスコイルの形態と、上記前処理結果ファイルF−2(図12参照)にファイルされた振動板の質量と、ボイスコイルと振動板とを接着するための接着剤の情報とを基にして、記憶手段118に記憶されている有効振動系質量計算式に適用することができるボイスコイルの形態データ、振動板の形態データ、及び接着剤のデータを生成する。
【0178】
その後、中間処理手段105は、生成したボイスコイルの形態データ、振動板の形態データ、及び接着剤のデータを上記有効振動系質量計算式に代入して、ボイスコイル等のスピーカにおける振動系の有効質量を、有効振動系質量Mmdとして演算により得る(ステップ117)。そして、中間処理手段105は、その有効振動系質量Mmdを上記中間処理結果ファイルF−7(図12参照)にファイルして記憶手段118に格納する。また、上記の有効振動系質量Mmdはディスプレイ119に表示される。なお、有効振動系質量Mmdには、空気等の音響的負荷質量は含まれない。
【0179】
次に、中間処理評価手段116は、磁気回路設計手段104によって得られた磁気回路の各部位毎の磁束密度と、例えば図9に示す予め記憶手段118に記憶されている磁束密度が飽和しているか否かを判断するためのデータとを比較して、上記磁気回路の各部位毎に、磁束密度が飽和しているか否かを判定する(ステップ118)。例えば図8に示す磁気回路を構成するプレート72の領域Aの磁束密度が飽和しているか否かを判定する。また、中間処理評価手段116は、上記磁気回路演算結果ファイルF−5(図12参照)にファイルされたパーミアンス係数と、予め記憶手段118に記憶されている基準のパーミアンス係数とに基づいて、設計しようとする磁気回路を構成するマグネットに、温度変化に起因して減磁が発生する可能性が有るか否かを判定する(ステップ118)。それらの判定結果はディスプレイ119に表示される。
【0180】
その際、上記磁気回路のいずれかの部位の磁束密度が飽和していると判定された場合や、設計しようとする磁気回路を構成するマグネットに、温度変化に起因して減磁が発生する可能性が有ると判定された場合、警告がディスプレイ119に表示され、ユーザーは、ボイスコイルの形状を提示させるための命令と、ボイスコイルを設計するための必要事項とを、上記入力手段101によりスピーカ設計支援装置に入力する手順(ステップ104)に戻り、上記の有効振動系質量を計算する手順(ステップ117)までを繰り返す。
【0181】
そして、上記磁気回路のいずれの部位の磁束密度も飽和していないと判定され、かつ、設計しようとする磁気回路を構成するマグネットに、温度変化に起因して減磁が発生する可能性が無いと判定された場合、中間処理手段105は、入力手段101に入力された条件(目標仕様)の一つの最低共振周波数Fsと、上述したようにして得た有効振動系質量Mmdに基づくMmsとを、記憶手段118に記憶されているコンプライアンス計算式に代入して演算を行なう。そして、中間処理手段105は、振動板のエッジのコンプライアンス(支持系のバネ定数)Cmsを演算により得る(ステップ119)。そのコンプライアンスCmsは、上記中間処理結果ファイルF−7(図12参照)にファイルされて記憶手段118に格納されるとともに、ディスプレイ119に表示される。なお、上記コンプライアンス計算式は下記数6で表される式であって、その数6における「Mms」は、上記有効振動系質量Mmdに音響的な負荷質量を加えたものを意味する。また、振動板のエッジのコンプライアンスCmsは、図6に示す等価回路を用いた計算に用いられる。
【0182】
【数6】
Figure 0004243070
【0183】
その後、ユーザーは、スピーカの筐体等の音響系のデータを、入力手段101によりスピーカ設計支援装置に入力する(ステップ120)。上記音響系のデータとは、例えば筐体の大きさや、その筐体に設けられている窓孔の形状(窓孔の径や幅等)や、その窓孔を覆う音響抵抗材の形状や、スピーカ前面側に設けられるプロテクターの形状(プロテクターに設けられている孔の径や幅等)や、振動板が波板状なのか平板状なのかといった形状に関する情報を意味する。
【0184】
そうすると、中間処理手段105は、上記音響系のデータに基づくとともに、記憶手段118に記憶されている補正データベースDB3の中の、下記表31に示す空気の密度、音速の値、及び補正係数を利用して、振動板前面及び振動板背面の音響的インピーダンスを演算により求める。なお、演算に用いられる補正係数は、例えば下記表31に示す第1補正係数、第2補正係数、・・・のなかからユーザーによって選択される。
【0185】
【表31】
Figure 0004243070
【0186】
図6に示す等価回路を例にとって説明すると、中間処理手段105は、上記図6の等価回路における振動板前面の音響的インピーダンスZa1と、振動板背面の音響的インピーダンスZa2とを演算により求める。ここで、図6に示す等価回路の「Za1」と記述されている部分が、例えば抵抗とコンプライアンスと音響的質量(イナーダンス)とで構成されているとすると、中間処理手段105は、上記の抵抗、コンプライアンス及び音響的質量とで構成される部分の全体のインピーダンスの値を、振動板前面の音響的インピーダンスZa1として得る。
【0187】
このようにして得られた振動板前面及び振動板背面の音響的インピーダンスの演算結果は、上記中間処理結果ファイルF−7(図12参照)にファイルされて記憶手段118に格納されるとともに、ディスプレイ119に表示される。
【0188】
次に、ユーザーは、図6の等価回路の抵抗Rmsの値として、ユーザーが自身の経験上わかる値を、又はユーザーが期待するスピーカの機械系Qms値より逆算される値を、入力手段101により本実施の形態2のスピーカ設計支援装置に入力する。その入力された値は、上記中間処理結果ファイルF−7(図12参照)にファイルされて記憶手段118に格納される。
【0189】
その後、中間処理手段105は、上記前処理結果ファイルF−2にファイルされている直流抵抗(DCR)Reの値と、インダクタンスLeの値と、有効振動面積Sdとを、上記中間処理結果ファイルF−7にコピーしてファイルし、記憶手段118に格納する。
【0190】
このようにして、下記表32に示すように、上記中間処理結果ファイルF−7に、直流抵抗(DCR)Reの値、インダクタンスLeの値、結合係数Blの値、インダクタンスMmdの値、コンデンサーCmsの値、抵抗Rmsの値、結合係数Sdの値、振動板前面の音響的インピーダンスZa1の値、及び振動板背面の音響的インピーダンスZa2の値が、ファイルされる。
【0191】
【表32】
Figure 0004243070
【0192】
次に、スピーカの各種周波数特性を演算するため、本実施の形態2のスピーカ設計支援装置は、等価回路設計手段106において、上記中間処理結果ファイルF−7にファイルされている各データを用いて等価回路に関する所定の値を求める以下の演算を行なう。
【0193】
等価回路設計手段106は、上記中間処理結果ファイルF−7にファイルされている各値を、図6に示す等価回路の対応する素子の値とみなし、上記等価回路の交流電源の周波数を予め決められた範囲内で変化させて、各周波数毎に、上記等価回路の電気系の回路を流れる電流値I、及び機械系の回路を流れる電流値Vを演算により算出する(ステップ121)。なお以下では、機械系の回路を流れる電流値Vを振動板の速度Vとする。また、電流値I及び速度Vは、図6の等価回路を解くことで得られるが、それは起電力と逆起電力との相関関係が考慮された形で得られる。
【0194】
次に、本実施の形態2のスピーカ設計支援装置は、等価回路設計手段106において、スピーカの各種周波数特性を求める以下の演算を行なう。
【0195】
周波数特性計算手段107は、上記の演算によって得られた速度Vを下記の数7に代入し、予め決められた周波数帯域(例えば可聴周波数帯域)の各周波数における、スピーカを構成する振動板の振幅を演算する(ステップ122)。その演算により、下記表33に示すように、各周波数における振動板の振幅値(振幅周波数特性のデータ)が得られ、その振幅周波数特性のデータは振幅ファイルF−9(図12参照)に収められて記憶手段118に格納される。また、上記振幅周波数特性のデータは、図14に示す形式でグラフ化されてディスプレイ119に表示される。
【0196】
【数7】
Figure 0004243070
【0197】
【表33】
Figure 0004243070
【0198】
また、周波数特性計算手段107は、上記の演算によって得た電流値Iを下記の数8に代入し、予め決められた周波数帯域(例えば可聴周波数帯域)の各周波数におけるスピーカのインピーダンスを演算する(ステップ123)。つまり、スピーカのインピーダンス周波数特性を演算する。そうすると、下記表34に示すように、各周波数におけるインピーダンス値(インピーダンス周波数特性のデータ)が得られ、そのインピーダンス周波数特性のデータは、ZインピーダンスファイルF−10(図12参照)に収められて記憶手段118に格納される。また、上記インピーダンス周波数特性のデータは、図15に示す形式でグラフ化されてディスプレイ119に表示される。
【0199】
【数8】
Figure 0004243070
【0200】
【表34】
Figure 0004243070
【0201】
さらに、周波数特性計算手段107は、図6に示す等価回路の「Za1」と記述されている部分の予め決められた素子、例えばコンプライアンス、の両端に掛かる電圧値を、予め決められた周波数帯域(例えば可聴周波数帯域)の各周波数別に得て、上記予め決められた素子の両端に掛かる各周波数における電圧値を、対応する各周波数における振動板前面の音圧とする音圧周波数特性を得る(ステップ124)。
【0202】
同様に、周波数特性計算手段107は、図6に示す等価回路の「Za2」と記述されている部分の予め決められた素子、例えばコンプライアンス、の両端に掛かる電圧値を周波数毎に得て、上記予め決められた素子の両端に掛かる各周波数における電圧値を、対応する各周波数における振動板背面の音圧とする音圧周波数特性を得る(ステップ124)。
【0203】
それら振動板前面及び後面の音圧周波数特性の演算結果は、音圧ファイルF−11(図12参照)に収められて記憶手段118に格納される。なお、上記音圧周波数特性の演算結果は、下記表35に示すように、周波数と音圧とが各周波数別に区別されて得られる。また、上記音圧周波数特性は、例えば図16に示す形式でグラフ化されてディスプレイ119に表示される。なお、上記予め決められた素子は、例えば本実施の形態のスピーカ設計支援装置によって設計されるスピーカが用いられる場所によって決まる。
【0204】
【表35】
Figure 0004243070
【0205】
次に、本実施の形態2のスピーカ設計支援装置は、スピーカ特性計算手段108において、周波数特性計算手段107によって得られた演算結果を利用して、スピーカの各種特性を演算する。
【0206】
スピーカ特性計算手段108は、先ず、上記振幅ファイルF−9(図12参照)に収められている周波数毎に得られた振動板の振幅値のうちで最大のものを、最大振幅とする(ステップ125)。その最大振幅の値は、スピーカ特性ファイルF−12(図12参照)に収められて記憶手段118に格納される。さらに、スピーカ特性計算手段108は、上記最大振幅の値に所定の値を付加して振幅余裕を算出する(ステップ126)。その振幅余裕の演算結果も、上記スピーカ特性ファイルF−12に収められて記憶手段118に格納される。
【0207】
また、スピーカ特性計算手段108は、上記音圧ファイルF−11(図12参照)に収められている各周波数における振動板前面の音圧のうちの、予め決められた複数の周波数における音圧を取り出し、それら取り出した音圧の平均値を演算し、それをSPL(音圧)とする(ステップ127)。その得られたSPLは、上記スピーカ特性ファイルF−12に収められて記憶手段118に格納される。
【0208】
さらに、スピーカ特性計算手段108は、上記ZインピーダンスファイルF−10(図12参照)に収められているインピーダンスのうちの、ユーザーが条件(目標仕様)を入力する手順(ステップ101)において入力した最低共振周波数Fs(表11参照)におけるインピーダンスを利用して、上記最低共振周波数FsにおけるスピーカのQ値を演算する(ステップ128)。その得られたQ値は、上記スピーカ特性ファイルF−12に収められて記憶手段118に格納される。このようにQ値を記憶手段118に格納して、スピーカ特性計算手段108はスピーカ特性演算を終了する。
【0209】
そうすると、最終評価手段117は、上記スピーカ特性計算手段108によって得られたSPL(音圧)が、上記条件(目標仕様)のうちの目標SPL(目標音圧)を満たしているか否かを判定する(ステップ129)。また、最終評価手段117は、上記スピーカ特性計算手段108によって得られた最大振幅及び振幅余裕に基づいて決まるスピーカの厚みが、上記条件(目標仕様)のうちの目標厚みを満たしているか否かを判定する(ステップ129)。それらの判定結果はディスプレイ119に表示される。
【0210】
その際、上記各演算結果が上記条件(目標仕様)を満足していなかった場合、警告がディスプレイ119に表示される(ステップ130)。その場合、ボイスコイルの形態を提示させるための命令と、ボイスコイルを設計するための必要事項とを、再度上記入力手段101によりスピーカ設計支援装置に入力する手順(ステップ104)に戻り、前処理手段103に前処理を再び行なわせるか、又は音響系の形状を入力する手順(ステップ120)に戻り、中間処理手段105に所定の処理を行なわせ、それ以降の手順を繰り返す。例えば上記の演算によって得られたSPL(音圧値)が上記目標SPL(目標音圧)より低い値であった場合、振動系の有効質量を軽くすると音圧が高くなるので、ボイスコイルの質量を軽くするための計算を行なう手順(ステップ104)。に戻る。また例えば上記の演算によって得られた振動板の最大振幅及び振幅余裕に基づいて決まるスピーカの厚みが上記目標厚みより厚すぎた場合、筐体に設けられる窓孔の径を大きくすると振動板の振幅値が小さくなり、スピーカの厚みを薄くすることができるので、窓孔の径を大きくするためのデータを入力する手順(ステップ120)に戻る。
【0211】
そして、上記各演算結果が上記条件(目標仕様)を満足しているという判定結果が得られた場合、その旨の情報がディスプレイ119に表示され、スピーカの設計は終了する。そして、出力データ作成手段109が、簡易振幅ファイルF−1からスピーカ特性ファイルF−12にファイルされている複数のデータのなかから、設計仕様書に記載すべき予め決められた事項のデータを取り出し、下記表36に示す出力すべき設計仕様書データを作成して、出力ファイルF−13に収めて記憶手段118に格納する。そして、出力ファイルF−13内のデータが設計仕様書としてプリントアウトされる(ステップ131)。
【0212】
【表36】
Figure 0004243070
【0213】
上述したように、本実施の形態2のスピーカ設計支援装置を用いれば、スピーカの設計回数が従来よりも減り、所定の条件(目標仕様)を満足するスピーカを短時間で設計することが可能となる。
【0214】
なお、上述した実施の形態2では、記憶手段118内の等価回路ファイルF−8(図12参照)には、図6に示す等価回路が収められており、等価回路設計手段106は、図6に示す等価回路について所定の演算を行なうとした。しかしながら、上記等価回路ファイルF−8には、例えば図6に示す等価回路を含む複数の等価回路が収められており、ユーザーがその複数の等価回路のうちのいずれかを選択し、等価回路設計手段106は、ユーザーによって選択された等価回路について、上述した実施の形態2で説明したように所定の演算を行なうとしてもよい。
【0215】
また、上述した実施の形態2では、スピーカ設計支援装置の中間処理評価手段116が、磁気回路設計手段104によって得られた磁気回路の各部位の磁束密度が飽和しているか否かを判断するとした。また、上記中間処理評価手段116が、磁気回路設計手段104によって得られたパーミアンス係数に基づいて、設計しようとする磁気回路を構成するマグネットに、温度変化に起因して減磁が発生する可能性が有るか否かを判定するとした。しかしながら、上記の磁気回路の各部位の磁束密度が飽和しているか否かを判定する項目と、パーミアンス係数に基づいてマグネットに、温度変化に起因して減磁が発生する可能性が有るか否かを判定する項目の二つの判定項目の一方又は双方を、ユーザーが判定するとしてもよい。
【0216】
また、上述した実施の形態2では、ボイスコイルを設計するための必要事項を選択する手順(ステップ104)及び磁気回路を設計するための必要事項を選択する手順(ステップ107)において、ユーザーは、記憶手段118に記憶されている表13、表14、表15、表19、及び表20それぞれのなかのいずれかの選択肢を選択するとした。ところで、ユーザーは、上記の表13、表14、表15、表19、及び表20それぞれに記載されている選択肢を変更したり、追加したりすることも可能である。
【0217】
また、上述した実施の形態2では、出力ファイルF−13の内容が設計仕様書としてプリントアウトされるとしたが、簡易振幅ファイルF−1からスピーカ特性ファイルF−12等の記憶手段118に格納されているデータの全部又は一部の内容が、ユーザーの指示により又は自動的にプリントアウトされてもよい。
【0218】
また、上述した実施の形態2における磁気回路設計手段104及び/又は等価回路設計手段106は、汎用されているソフトウェアを利用して該当する演算を行なう手段であってもよい。
【0219】
また、上述した実施の形態1及び2では、スピーカ設計支援装置は、ボイスコイルと、磁気回路と、振動板とを少なくとも備えたスピーカを設計する際に用いられるとしたが、例えば携帯電話の受話ユニット等に用いられるレシーバを設計する際に用いることも可能である。要するに、本発明のスピーカ設計支援装置は、ボイスコイルと、磁気回路と、振動板とを少なくとも備えた、音を出力する装置を設計する際に用いることができる。
【0220】
また、上述した実施の形態1及び2におけるスピーカ設計支援装置の各構成要素は、ハードウェアで構成されていてもよいし、ソフトウェアで構成されていてもよい。
【0221】
また、上述した実施の形態1及び2におけるスピーカ設計支援装置の全部又は一部の構成要素としてコンピュータを機能させるためのプログラムを、所定のコンピュータに適用し、そのコンピュータで、上述した実施の形態1及び2におけるスピーカ設計支援装置の全部又は一部の構成要素の機能を実現することも可能である。なお、上記プログラムの実施態様の具体例としては、CD−ROM等の記録媒体に上記プログラムを記録することや、そのプログラムが記録された記録媒体を譲渡することや、インターネット等における通信手段で上記プログラムを通信すること等が含まれる。また、コンピュータに、上記プログラムをインストールすることも含まれる。
【0222】
【発明の効果】
以上説明したところから明らかなように、本発明は、短時間でスピーカの設計を行なうことができるスピーカ設計支援装置を提供することができる。
【0223】
また、本発明のスピーカ設計支援装置を用いると、スピーカの試作回数を従来よりも削減することができるとともに、未熟練者であっても、熟練者と同様にスピーカを設計することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるスピーカ設計支援装置の概略構成図
【図2】本発明の実施の形態1におけるスピーカ設計支援装置の詳細構成図
【図3】本発明の実施の形態1におけるスピーカ設計支援装置の動作説明図
【図4】本発明の実施の形態における磁束密度分布の演算結果の一例を示す図
【図5】本発明の実施の形態におけるボイスコイルに働く力係数の演算結果の一例を示す図
【図6】本発明の実施の形態におけるスピーカの各種周波数特性を得るための等価回路の一例を示す図
【図7】スピーカの断面図
【図8】磁気回路の領域を示す図
【図9】磁気回路の各部位毎の磁束密度が飽和しているか否かを判断するためのデータを示す図
【図10】本発明の実施の形態2におけるスピーカ設計支援装置の構成図
【図11】本発明の実施の形態2におけるスピーカ設計支援装置の動作説明図
【図12】本発明の実施の形態2におけるスピーカ設計支援装置が行なう処理の概要を示す図
【図13】本発明の実施の形態2における磁気回路を構成する各部材の説明図
【図14】本発明の実施の形態2におけるスピーカの振幅周波数特性を示す図
【図15】本発明の実施の形態2におけるスピーカのインピーダンス周波数特性を示す図
【図16】本発明の実施の形態2におけるスピーカの音圧周波数特性を示す図
【符号の説明】
1 入力手段
11 選択手段
12 選択手段
13 選択手段
2 演算手段
21 振動板演算手段
22 コイル演算手段
23 磁気回路演算手段
24 磁束演算手段
25 力演算手段
26 有効振動板面積演算手段
27 質量演算手段
28 支持系演算手段
29 音響的インピーダンス演算手段
30 等価回路演算手段
31 各種周波数特性演算手段
3 ディスプレイ
4 記憶手段
5 判定手段
51 形状判定手段
52 磁気回路特性判定手段
53 最終判定手段
6 データ作成手段
61 磁束密度演算用データ作成手段
62 力演算用データ作成手段
63 有効質量演算用データ作成手段
101 入力手段
102 簡易振幅計算手段
103 前処理手段
104 磁気回路設計手段
105 中間処理手段
106 等価回路設計手段
107 周波数特性計算手段
108 スピーカ特性計算手段
109 出力データ作成手段
115 前処理評価手段
116 中間処理評価手段
117 最終評価手段
118 記憶手段
119 ディスプレイ

Claims (25)

  1. 少なくともボイスコイルと、磁気回路と、振動板とを備えたスピーカの設計を支援するスピーカ設計支援装置であって、
    ボイスコイルを設計するための必要事項、磁気回路を設計するための必要事項、及び振動板を設計するための必要事項をユーザーが入力する入力手段と、
    前記各必要事項に基づいて、少なくとも前記ボイスコイルの形態、前記磁気回路の形態、及び前記磁気回路の磁束密度分布をそれぞれ演算により得るための、コイル計算式、回路計算式及び磁束密度計算式を記憶した計算式記憶手段と、
    前記ボイスコイルの形態及び前記磁気回路の形態を基にして、前記磁束密度計算式に適用することができるデータを生成する磁束密度演算用データ生成手段と、
    前記入力手段に入力されたデータを前記計算式記憶手段に記憶されている前記各計算式に適用して、少なくとも前記入力されたデータに基づく前記ボイスコイルの形態、前記磁気回路の形態、及び前記磁束密度分布を演算により得る演算手段と、
    その演算手段によって得られた結果を表示する表示手段とを備えた
    ことを特徴とするスピーカ設計支援装置。
  2. 前記計算式記憶手段は、ボイスコイルに働く力を演算により得るための力計算式を記憶しており、
    前記ボイスコイルの形態、前記磁気回路の形態、及び前記磁束密度分布を基にして、前記力計算式に適用することができるデータを生成する力演算用データ生成手段を備え、
    前記演算手段は、前記力演算用データ生成手段が生成したデータを前記力計算式に適用して、前記力を演算により得る力演算手段を有する
    請求項1に記載のスピーカ設計支援装置。
  3. 前記計算式記憶手段は、ボイスコイルを含む有効振動系質量を演算により得るための有効振動系質量計算式を記憶しており、
    前記ボイスコイルの形態及び振動板の形態を基にして、前記有効振動系質量計算式に適用することができるデータを生成する有効質量演算用データ生成手段を備え、
    前記演算手段は、前記有効質量演算用データ生成手段が生成したデータを前記有効振動系質量計算式に適用して、前記有効振動系質量を演算により得る質量演算手段を有する
    請求項2に記載のスピーカ設計支援装置。
  4. 前記計算式記憶手段は、スピーカの音圧周波数特性を演算により得るための音圧計算式を記憶しており、
    前記演算手段は、前記ボイスコイルの形態、前記磁気回路の形態、前記ボイスコイルに働く力、及び前記有効振動系質量に少なくとも基づくとともに、前記音圧計算式を利用して、前記音圧周波数特性を演算により得る音圧演算手段を有する請求項3に記載のスピーカ設計支援装置。
  5. 前記計算式記憶手段は、前記振動板の振幅周波数特性を演算により得るための振動板振幅計算式を記憶しており、
    前記演算手段は、前記ボイスコイルの形態、前記磁気回路の形態、前記ボイスコイルに働く力、及び前記有効振動系質量に少なくとも基づくとともに、前記振動板振幅計算式を利用して、前記振幅周波数特性を演算により得る振幅演算手段を有する請求項3に記載のスピーカ設計支援装置。
  6. 前記振幅演算手段は、前記振動板振幅計算式を用いて算出した前記振動板の振幅周波数特性に基づいて、前記振動板の振幅余裕を算出する請求項5に記載のスピーカ設計支援装置。
  7. 前記計算式記憶手段は、スピーカのインピーダンス周波数特性を演算により得るためのインピーダンス計算式を記憶しており、
    前記演算手段は、前記ボイスコイルの形態、前記磁気回路の形態、前記ボイスコイルに働く力、及び前記有効振動系質量に少なくとも基づくとともに、前記インピーダンス計算式を利用して、前記インピーダンス周波数特性を演算により得るインピーダンス演算手段を有する請求項3に記載のスピーカ設計支援装置。
  8. 前記音圧計算式、前記振動板振幅計算式、及び前記インピーダンス計算式は、ボイスコイルの形態、磁気回路の形態、振動板の形態、及びスピーカの音響系の形態の相互関係と等価な関係を有する等価回路を利用した計算式である請求項4から7のいずれかに記載のスピーカ設計支援装置。
  9. 前記等価回路は複数存在し、前記演算手段は、前記複数の等価回路のうちのユーザーにより選択された等価回路を利用した計算式によって演算を行なう請求項8に記載のスピーカ設計支援装置。
  10. 少なくともボイスコイルと、磁気回路と、振動板とを備えたスピーカの設計を支援するスピーカ設計支援装置であって、
    ボイスコイルを設計するための必要事項と、磁気回路を設計するための必要事項との一部をユーザーが入力する入力手段と、
    前記各必要事項の残部を記憶している前処理演算用データベースと、
    前記必要事項の一部と前記必要事項の残部とに基づいて、前記ボイスコイルの形態と前記磁気回路の形態とを、それぞれコイル計算式、磁気回路計算式によって計算する前処理手段と、
    前記ボイスコイルの形態と、前記磁気回路の形態とに基づいて磁気回路の磁束密度分布を得る磁気回路設計手段と、
    前記ボイスコイルの形態と、前記磁気回路の形態と、前記磁気回路の磁束密度分布とに基づいて、ボイスコイルに働く力の係数と有効振動系質量とを得る中間処理手段と、
    前記ボイスコイルの形態、前記磁気回路の形態、前記ボイスコイルに働く力の係数、及び前記有効振動系質量に基づいて、スピーカの等価回路を得る等価回路設計手段とを備えた
    ことを特徴とするスピーカ設計支援装置。
  11. 振動板を設計するための必要事項に基づいて、スピーカを構成する振動板の最大振幅及び振幅余裕の概算値を計算する簡易振幅計算手段を備えた請求項10に記載のスピーカ設計支援装置。
  12. 前記磁気回路設計手段は、前記前処理手段によって得られたボイスコイルの形態及び磁気回路の形態と、所定の磁束密度計算式とを利用して、磁気回路の磁束密度分布を得る請求項10に記載のスピーカ設計支援装置。
  13. 前記前処理手段によって得られたボイスコイルの形態及び磁気回路の形態としての、前記ボイスコイル及び前記磁気回路を構成する各構成部位の位置座標が収められた形状ファイルと、
    前記磁気回路を構成する各構成部位の材料データと、前記磁気回路が中心軸に対して回転対称体であるという情報に基づいて前記形状ファイルに収められた前記各構成部位の位置座標を利用して前記磁気回路の磁束密度分布を計算させるためのコマンドとが収められた条件ファイルと、を記憶するファイル記憶手段を備え、
    前記磁気回路設計手段は、前記形状ファイル及び条件ファイルに基づいて、磁気回路の磁束密度分布を得る請求項12に記載のスピーカ設計支援装置。
  14. 前記中間処理手段は、前記ボイスコイルの形態と、前記磁気回路の形態と、前記磁気回路の磁束密度分布と、所定の力計算式とを利用して、ボイスコイルに働く力の係数を得る請求項10に記載のスピーカ設計支援装置。
  15. 前記中間処理手段は、前記ボイスコイルの形態と、スピーカを構成する振動板の形態と、所定の有効振動系質量計算式とを利用して、ボイスコイルを含む有効振動系質量を得る請求項10に記載のスピーカ設計支援装置。
  16. 前記等価回路設計手段は、計算によって得た前記等価回路の所定の事項の値を利用して、スピーカの音圧周波数特性と、スピーカを構成する振動板の振幅周波数特性及び振幅余裕と、スピーカのインピーダンス周波数特性とのうちの少なくとも一つを得る請求項10に記載のスピーカ設計支援装置。
  17. ボイスコイルの形態及び/又は磁気回路の形態を計算するための必要事項の選択肢を複数記憶している選択肢記憶手段と、前記選択肢記憶手段に記憶されている選択肢のいずれかをユーザーが選択する選択手段とを備えた請求項10に記載のスピーカ設計支援装置。
  18. 前記音圧演算手段、前記振幅演算手段、前記インピーダンス演算手段の全部又は一部は、汎用されているソフトウェアを利用して演算又は計算を行なう手段である請求項4、5、7のいずれかに記載のスピーカ設計支援装置。
  19. 前記磁気回路設計手段、及び前記等価回路設計手段の全部又は一部は、汎用されているソフトウェアを利用して演算又は計算を行なう手段である請求項10に記載のスピーカ設計支援装置。
  20. 少なくともボイスコイルと、磁気回路と、振動板とを備えたスピーカの設計をコンピュータにより支援するスピーカ設計支援方法であって、
    ボイスコイルを設計するための必要事項、磁気回路を設計するための必要事項、及び振動板を設計するための必要事項を、ユーザーの入力を受けて記憶する記憶ステップと、
    前記コンピュータが、前記各必要事項に基づいて、少なくとも前記ボイスコイルの形態、前記磁気回路の形態、及び前記磁気回路の磁束密度分布を、それぞれコイル計算式、回路計算式及び磁束密度計算式により計算する計算ステップと、
    前記コンピュータが、前記ボイスコイルの形態及び前記磁気回路の形態を基にして、前記磁束密度計算式に適用することができるデータを生成する磁束密度演算用データ生成ステップと、
    前記コンピュータが、前記入力ステップにて入力されたデータを前記計算ステップに適用して、少なくとも前記入力されたデータに基づく前記ボイスコイルの形態、前記磁気回路の形態、及び前記磁束密度分布を演算により得る演算ステップと、
    その演算手段によって得られた結果を前記コンピュータのディスプレイに表示する表示ステップとを備えた
    ことを特徴とするスピーカ設計支援方法。
  21. 前記演算ステップにおいて、前記振動板を設計するための必要事項を振幅計算式に適用して、スピーカを構成する振動板の最大振幅及び振幅余裕の概算値を演算により得る請求項20に記載のスピーカ設計支援方法。
  22. 少なくともボイスコイルと、磁気回路と、振動板とを備えたスピーカの設計をコンピュータにより支援するスピーカ設計支援方法であって、
    ボイスコイルを設計するための必要事項と、磁気回路を設計するための必要事項との一部をユーザーの入力を受けて記憶する記憶ステップと、
    前記コンピュータが、前記各必要事項の残部を前処理演算用データベースから読み出す読出ステップと、
    前記コンピュータが、前記必要事項の一部と前記必要事項の残部とに基づいて、前記ボイスコイルの形態と前記磁気回路の形態とを、それぞれコイル計算式、磁気回路計算式によって計算する前処理ステップと、
    前記コンピュータが、前記ボイスコイルの形態と、前記磁気回路の形態とに基づいて磁気回路の磁束密度分布を得る磁気回路設計ステップと、
    前記コンピュータが、前記ボイスコイルの形態と、前記磁気回路の形態と、前記磁気回路の磁束密度分布とに基づいて、ボイスコイルに働く力の係数と有効振動系質量とを得る中間処理ステップと、
    前記コンピュータが、前記ボイスコイルの形態、前記磁気回路の形態、前記ボイスコイルに働く力の係数、及び前記有効振動系質量に基づいて、スピーカの等価回路を得る等価回路設計ステップとを備えた
    ことを特徴とするスピーカ設計支援方法
  23. 振動板を設計するための必要事項に基づいて、スピーカを構成する振動板の最大振幅及び振幅余裕の概算値を前記コンピュータが計算する簡易振幅計算ステップを備えた請求項22に記載のスピーカ設計支援方法。
  24. 少なくともボイスコイルと、磁気回路と、振動板とを備えたスピーカの設計を支援するプログラムであって、
    ボイスコイルを設計するための必要事項、磁気回路を設計するための必要事項、及び振動板を設計するための必要事項をユーザーが入力する入力手段と、
    前記各必要事項に基づいて、少なくとも前記ボイスコイルの形態、前記磁気回路の形態、及び前記磁気回路の磁束密度分布をそれぞれ演算により得るための、コイル計算式、回路計算式及び磁束密度計算式を記憶した計算式記憶手段と、
    前記ボイスコイルの形態及び前記磁気回路の形態を基にして、前記磁束密度計算式に適用することができるデータを生成する磁束密度演算用データ生成手段と、
    前記入力手段に入力されたデータを前記計算式記憶手段に記憶されている前記各計算式に適用して、少なくとも前記入力されたデータに基づく前記ボイスコイルの形態、前記磁気回路の形態、及び前記磁束密度分布を演算により得る演算手段と、
    その演算手段によって得られた結果を表示する表示手段
    としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
  25. 少なくともボイスコイルと、磁気回路と、振動板とを備えたスピーカの設計を支援するスピーカの設計を支援するプログラムであって、
    ボイスコイルを設計するための必要事項と、磁気回路を設計するための必要事項との一部をユーザーが入力する入力手段と、
    前記各必要事項の残部を記憶している前処理演算用データベースと、
    前記必要事項の一部と前記必要事項の残部とに基づいて、前記ボイスコイルの形態と前記磁気回路の形態とを、それぞれコイル計算式、磁気回路計算式によって計算する前処理手段と、
    前記ボイスコイルの形態と、前記磁気回路の形態とに基づいて磁気回路の磁束密度分布を得る磁気回路設計手段と、
    前記ボイスコイルの形態と、前記磁気回路の形態と、前記磁気回路の磁束密度分布とに基づいて、ボイスコイルに働く力の係数と有効振動系質量とを得る中間処理手段と、
    前記ボイスコイルの形態、前記磁気回路の形態、前記ボイスコイルに働く力の係数、及び前記有効振動系質量に基づいて、スピーカの等価回路を得る等価回路設計手段
    としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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