JP7113168B2 - 音圧計算方法、および音圧計算プログラム - Google Patents

音圧計算方法、および音圧計算プログラム Download PDF

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Description

本開示は、スピーカの音圧計算方法に関する。
スピーカシステムの再生音圧特性を計算する方法として、スピーカユニットのTSパラメータ(Thiele and Small parameters)と、筐体の音響構造や音響負荷を、等価な電気回路部品に置換した集中定数等価回路を作成し、その回路動作シミュレーションから音圧を計算する方法が広く実施されている(例えば特許文献1)。
また、スピーカユニットが装着される筐体の音響構造が複雑な場合や、構造体の変形振動が無視できない場合の音圧計算に有効な、FEM解析(有限要素法解析)を用いた音響振動解析と、前記のTSパラメータを用いた集中定数等価回路とを連成させて、音圧特性を計算する方法が開示されている(例えば非特許文献1)。
これら音響振動モデルと電気系を連成させる方法では、スピーカユニットの電気機械エネルギー変換器であるボイスコイルの駆動電流と振動速度を未知のパラメータとして、音響振動系と電気系の連成解析が実施される。これにより、音響系および機械系の物理現象と、電気系の物理現象との相互影響が計算されるので、たとえば、振動板の振動エネルギーが電気回路の内部抵抗で消費される電磁制動の物理現象が再現できる。したがって、振動板の振動減衰量の見積もり精度が向上し、振動板に伝播する音響共振並びに機械共振に起因する音圧変動の計算精度が向上できる。
特開2003-242199号公報
Markus BRANDSTETTER, Ze ZHOU, Gregory LIELENS, " Numerical Methods for Loudspeaker Installation Effects Prediction: Detailed Evaluation on a Car Door Model",Proseedings of inter.noise, HONG KONG, 27-30 AUGUST 2017
しかしながら、これら特許文献1および非特許文献1で開示の方法では、電気系で参照される機械系のパラメータがボイスコイルの振動速度のみなので、たとえば、筐体振動に対する電磁制動現象は、筐体振動のエネルギーが一旦ボイスコイルの振動に伝播したものだけが電気回路で消費されるモデルになり、筐体振動の影響は、電気回路動作に直接には反映されない。したがって、振動板に伝播しない筐体振動の減推量見積もりの精度が十分ではないため、特に筐体の剛性が十分大きくない場合には、音圧計算の精度が不足するという課題を有していた。
また、ボイスコイルの、駆動電流と振動速度を未知のパラメータとした連成解析では、音響振動系と電気系に変数分離が出来ないため、すべてのパラメータを強連成させた大規模な数学モデルを作成するか、あるいは音響系、機械系、電気系、を弱連成で連結し、それぞれの系をパラメータに初期値を与えて順にといて収束計算を実施する必要があるため、計算規模や計算時間が大きくなる課題もあった。
本開示は、上述の事情を鑑みてなされたもので、スピーカシステムの音圧特性を、計算規模や計算時間を大きくすること無く、精度よく計算することができる音圧特性計算方法を提供する。
本発明の一態様に係る電気機械エネルギー変換器を用いたスピーカの所定電圧(Eo)印加時の音圧観測点での音圧(Ps)を求める計算方法は、前記電気機械エネルギー変換器が発生する駆動力が作用する作用点の振動速度(v)と前記駆動力の反力が作用する反作用点の振動速度(vm)との速度差である相対振動速度差(v-vm)を、前記駆動力で正規化して、正規化相対振動速度データ(vci-vmci)を算出する正規化工程1と、前記音圧観測点での音圧(Ps)を前記駆動力で正規化した正規化音圧データ(Psci)を算出する正規化工程2と、前記正規化相対振動速度データ(vci-vmci)と、前記電気機械エネルギー変換器の電気インピーダンス値(ze)と、前記電気機械エネルギー変換器の力係数(A)と、前記所定電圧(Eo)とから、前記音圧観測点での音圧(Ps)を求めるための駆動力補正係数(Fce)を(1)式により算出する補正係数算出工程と、
Figure 0007113168000001
・・・(1)
前記正規化音圧データ(Psci)と、前記駆動力補正係数(Fce)から、前記音圧観測点での音圧(Ps)を(2)式により算出する音圧算出工程と、
Figure 0007113168000002
・・・(2)
を含む。
本発明の一態様に係る電気機械エネルギー変換器を用いたスピーカの所定電圧(Eo)印加時の音圧観測点での音圧(Ps)を求める計算方法は、前記電気機械エネルギー変換器が発生する駆動力が作用する作用点の振動速度(v)と前記駆動力の反力が作用する反作用点の振動速度(vm)を、前記駆動力で正規化して、正規化作用点振動速度データ(vci)と正規化反作用点振動速度データ(vmci)とを算出する正規化工程1と、
前記音圧観測点での音圧(Ps)を前記駆動力で正規化した正規化音圧データ(Psci)を算出する正規化工程2と、前記正規化作用点振動速度データ(vci)と、前記正規化反作用点振動速度データ(vmci)と、前記電気機械エネルギー変換器の電気インピーダンス値(ze)と、前記電気機械エネルギー変換器の力係数(A)と、前記所定電圧(Eo)とから、前記音圧観測点での音圧(Ps)を求めるための駆動力補正係数(Fce)を(1)式により算出する補正係数算出工程と、前記正規化音圧データ(Psci)と、前記駆動力補正係数(Fce)から、前記音圧観測点での音圧(Ps)を(2)式により算出する音圧算出工程と、を含む。
本発明の一態様に係る電気機械エネルギー変換器を用いたスピーカの所定電圧(Eo)印加時の音圧観測点での音圧(Ps)を求める計算方法は、前記電気機械エネルギー変換器が発生する任意駆動力が作用する作用点の振動速度データ(v)と、前記任意駆動力の反力が作用する反作用点の振動速度データ(vm)と、前記音圧観測点での音圧データ(Ps)と、前記任意駆動力データとを算出する正規化工程1と、作用点の振動速度データ(v)と、前記任意駆動力の反力が作用する反作用点の振動速度データ(vm)と、前記音圧観測点での音圧データ(Ps)とを、前記任意駆動力データで除して、正規化作用点振動速度データ(vci)と、正規化反作用点振動速度データ(vmci)と、正規化音圧データ(Psci)と、を算出する正規化工程2と、前記正規化作用点振動速度データ(vci)と、前記正規化反作用点振動速度データ(vmci)と、前記電気機械エネルギー変換器の電気インピーダンス値(ze)と、前記電気機械エネルギー変換器の力係数(A)と、前記所定電圧(Eo)とから、前記音圧観測点での音圧(Ps)を求めるための駆動力補正係数(Fce)を(1)式により算出する補正係数算出工程と、前記正規化音圧データ(Psci)と、前記駆動力補正係数(Fce)から、前記音圧観測点での音圧(Ps)を(2)式により算出する音圧算出工程と、を含む。
本発明の一態様に係る電気機械エネルギー変換器を用いたスピーカの所定電圧(Eo)印加時の音圧観測点での音圧(Ps)を求める計算方法は、前記電気機械エネルギー変換器が発生する任意駆動力(F)と、前記電気機械エネルギー変換器が発生する任意駆動力(F)が作用する作用点の振動速度データ(vn)と、前記任意駆動力(F)の反力が作用する反作用点の振動速度データ(vmn)と、前記任意駆動力(F)が働いている状態での前記音圧観測点での音圧データ(Psn)と、前記電気機械エネルギー変換器の電気インピーダンス値(ze)と、前記電気機械エネルギー変換器の力係数(A)と、前記所定電圧(Eo)とから、前記音圧観測点での音圧(Ps)を(3)式により算出する音圧算出工程を含む。
Figure 0007113168000003
・・・(3)
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
本開示における音圧計算方法は、スピーカシステムの再生音圧特性を精度よく計算することができる。
図1は、実施の形態における音響特性評価システムの構成の一例を示す図である。 図2は、本開示の解析に用いた、自由空間に置かれた密閉型金属筐体スピーカシステムのFEMモデル324の一例を示す図である。 図3は、補正計算部515の入出力データを含む表計算ソフト画面の一例を示す図である。 図4は、W列の観測点音圧Ps330の計算結果のグラフである。 図5は、O列の駆動力補正係数Fce309のグラフである。 図6は、補正計算部515の入出力データを含む表計算ソフト画面の一例を示す図である。 図7は、非特許文献1のスピーカシステムの電気機械変換の状況を等価回路でモデル化した等価回路モデル図である。 図8は、スピーカユニット11が、無限に広がる剛性と密度が無限大と仮定した剛体バッフル板12に取り付けられた、理想的な状態のスピーカシステム10の断面図である。 図9は、スピーカシステム10の電気機械エネルギー変換の動作を表す集中定数物理モデルを示す図である。 図10は、スピーカシステム集中定数物理モデル25の動作を等価回路で表した図である。 図11は、ボイスコイルの振動を定電流駆動ボイスコイル速度vci260と定義したときの等価回路を示す図である。 図12は、スピーカユニット31が、弾性体キャビネット32に取り付けられた、現実的な状態のスピーカシステム30の断面図である。 図13は、スピーカシステム30の電気機械エネルギー変換の動作を表す集中定数物理モデルを示す図である。 図14は、スピーカシステム集中定数物理モデル45の動作を等価回路で表した図である。 図15は、定電流駆動時の状態を表す等価回路を示す図である。
(本開示の基礎となった知見)
本開示の実施形態を説明する前に、本開示の基礎となった知見を説明する。
図7は、非特許文献1のスピーカシステムの電気機械変換の状況を等価回路でモデル化した等価回路モデル図である。
図7において、等価回路モデル100は、スピーカユニットの電気的、機械的、音響的動作特性を表すスピーカシステムモデル122に、外部にある電圧源101から駆動電圧Eo102で駆動電流Io103が供給される状況を表している。等価回路モデル100は、スピーカユニットの電気機械エネルギー変換の状況を電気回路上のトランス動作であらわした電気機械変換仮想トランス106と、機械音響エネルギー変換の状況を電気回路上のトランス動作であらわした機械音響変換仮想トランス112によって、3つの次元の回路に分離されている。3つの回路中の第1の回路は、電気機械変換仮想トランス106の左側にある、電気系の等価回路である。第2の回路は、電気機械変換仮想トランス106の右側で、機械音響変換仮想トランス112の左側にある、機械系の等価回路である。第3の回路は、機械音響変換仮想トランス112の右側にある音響系の等価回路である。
第1の回路は、介在変数が電圧で通過変数が電流の回路で、電圧源101と、スピーカユニットのボイスコイル直流抵抗Re104と、ボイスコイルインダクタンスLe105と、電気機械変換仮想トランス106の1次側端子とが、直列に接続された閉回路を構成している。
第2の回路は、電圧表記される介在変数が機械振動速度で、電流表記される通過変数が力になっていて、電気機械変換仮想トランス106の2次側端子と、スピーカユニットの振動板機械系インピーダンスYmと、機械音響変換仮想トランス112の1次側端子とが、並列に接続されている。尚、非特許文献1の原典では、当該のスピーカユニットの振動板機械系インピーダンスYmを機械系アドミッタンスと表記しているが、原典と同様に、第2の回路の、電圧表記される介在変数をボイスコイル速度とし、電流表記される通過変数をボイスコイルに働く力とすると、接続される素子の次元は 質量/時間 となり、機械力学で扱われる機械インピーダンスの次元となる。したがって、素子Ym111は、回路上アドミッタンスだが、物理次元としては機械インピーダンスとして扱うほうがふさわしいので、本願では素子Ym111は振動板機械系インピーダンスと表記する。
第3の回路は、電圧表記される介在変数が音響体積流速度で、電流表記される通過変数が音圧になっていて、機械音響変換仮想トランス112の2次側端子と、スピーカユニットの振動板にかかる音響抵抗アドミッタンスが直接接続されて閉回路を構成している。
電気機械変換仮想トランス106は、1次側と2次側の巻き線比が、スピーカユニットの力係数Bl:1である理想トランスで、1次側流入電流Ioの力係数Bl倍に等しい2次側電流が、電磁駆動力f109として流れる。また2次側電圧であるボイスコイル速度v110の力係数BL倍である誘導起電圧Ucが、1次側流入電流Ioの流入方向とは逆方向に発生する。
機械音響変換仮想トランス112は、1次側と2次側の巻き線比が、1:スピーカユニットの振動板面積Sdである理想トランスで、1次側電圧のボイスコイル速度v110に振動板面積Sdを乗じた体積速度Uaの音響流が、音圧体積流アドミッタンスがZa116である音響抵抗に対して注入される。尚、非特許文献1の原典では、当該の音響抵抗を音響インピーダンスと表記しているが、原典と同様に、第3の回路の、電圧表記される介在変数を音響体積流速度で、電流表記される通過変数を音圧とすると、接続される素子の次元は、長さ×時間/質量 となり、音響学で扱われる体積流音響インピーダンスの逆数の次元となる。したがって、音響抵抗は、回路上インピーダンスだが、ではなく物理次元としてはアドミッタンスとして扱うほうがふさわしいので、本願では右端に配置の音響抵抗は音圧体積流アドミッタンスYaと表記する。
ここで、非特許文献1に記載の等価回路モデル100の動作状況を表す方程式を導く。まず第1の回路に沿ってキルヒホッフの電圧法則を適応し、誘導起電圧Uc106が逆起電力であることに注意して第2の回路の変数であるボイスコイル速度vを用いて、閉回路の電圧総和が0になる式を立てると、複素数表記の式として(4)式を得る。
Figure 0007113168000004
・・・(4)
ここでjは虚数単位、ωは角振動数である。 次に、第2の回路で、キルヒホッフの電流法則を適応し、電気機械変換仮想トランス106の2次側出力電流である電磁駆動力f109と、振動板機械系インピーダンス111への流入電流と、機械音響変換仮想トランス112の1次側電流fd117の総和が0になる式を立てると、(5)式となる。
Figure 0007113168000005

・・・(5)
ここで、機械音響変換仮想トランス112の1次側電流fd117は、機械音響変換仮想トランス112の巻き線比と音響抵抗アドミッタンス116を用いて(6)式であらわされる。
Figure 0007113168000006
・・・(6)
この式は、振動板から見た音響抵抗の反力であり、これと、
Figure 0007113168000007
・・・(7)
を(5)式に代入すると、
Figure 0007113168000008
・・・(8)
を得るので、上記(4)式と(8)式が、先行非特許文献1におけるスピーカシステムの動作を求める場合の基礎方程式になる。
ところで、前述のように、先行非特許文献1の表記法は、回路表記における介在変数及び通過変数の選択や、インピーダンス及びアドミッタンスの定義方法が、一般的ではないので、ここで、先行特許文献1で開示の等価回路に準じた表記方法を用いて、筐体の剛性が十分大きくマグネット振動が無視できる場合のスピーカシステムの動作方程式を求めて、(4)式と(8)式の連立方程式に等しいことを示す。
図8は、スピーカユニット11が、無限に広がる剛性と密度が無限大と仮定した剛体バッフル板12に取り付けられた、理想的な状態のスピーカシステム10の断面図で、図9は、スピーカシステム10の電気機械エネルギー変換の動作を表す集中定数物理モデルである。
図8、図9においては、図7と共通する構成要素には、共通の番号を振り当てて説明を省略する。
スピーカユニット11は、振動板13に連結されたボイスコイル14とマグネット16
の間に、端子15から流入する駆動電流Io103によって電磁駆動力f109が発生し、ボイスコイルに振動速度v210が発生する。このボイスコイル速度v210で振動板13が振動すると振動板から音響放射20が発生し、スピーカの前面音響空間19を伝播して音圧観測点23での音圧Ps220が発生する。この時のボイスコイル速度v210と観測点音圧Ps220との関係は、音圧伝達関数H(v)221であらわされる。また、音響放射20の反力として、振動板表面、裏面それぞれに、振動板表面音響反力Far21、振動板背面音響反力Fac18が発生し、トータルとしては振動板音響反力Fa22として振動板13に作用する。振動板表面音響反力Far21は、スピーカの前面音響空間19の音響インピーダンスが力に変換されたもので、主には空気の負荷質量成分である。また、振動板背面音響反力Fac18は、スピーカの背面音響空間17の音響インピーダンスが力に変換されたもので、密閉型キャビネットの場合には、閉空間の空気ばねのスティフネス成分が主である。振動板13は、力学的には図9に示すスピーカシステム集中定数物理モデル25のように、振動板支持系剛性/Cms210、振動板支持系機械抵抗Rms212、振動板質量Mmd213を用いて1自由度のばねマス系として表現できる。パラメータのボイスコイル速度は、振動板前面に向かう方向を正とし、振動板支持系剛性/Cms210と振動板支持系機械抵抗Rms212は物理モデルでは並列接続され、一端が振動板質量Mmd213に連結し、他端は剛壁であるバッフル板12に固着されている。
このスピーカシステム集中定数物理モデル25の動作を等価回路で表したのが、図10である。但し、ボイスコイル電気インピーダンスze204は、前述のボイスコイル直流抵抗Re104とボイスコイルインダクタンスLe105を、(9)式でまとめて表記している。
Figure 0007113168000009
・・・(9)
また、振動板の機械系総合インピーダンスZd217も、振動板音響抵抗等価インピーダンスZma215と、振動板機械系インピーダンスZs216を用いて(10)式のようにまとめて表現してある。
Figure 0007113168000010
・・・(10)
等価回路モデル200は、非特許文献1の等価回路モデル100と次の点が異なる。等価回路モデル100では、機械音響エネルギー変換の状況を、電気機械変換仮想トランス106を用いてあらわしているが、本願では、電気機械変換仮想ジャイレータ206を用いている。ジャイレータ206は、端子間の伝達特性が、力係数A=Bl107を用いて、(11)式のインピーダンス行列で記述される。
Figure 0007113168000011
・・・(11)
このジャイレータ206を用いることで、2次側回路のパラメータを、一般に用いられている、電圧表記される介在変数が力で、電流表記される通過変数が振動速度にすることが出来るので、回路上のパラメータ表記と物理次元との乖離が発生しにくくなる。
等価回路モデル200は、ジャイレータ206の左側に、電圧源101と、ボイスコイル電気インピーダンスze204と、ジャイレータ206の1次側端子とが、直列に接続された閉回路が構成され、右側にジャイレータ206の1次側端子と、振動板の機械系総合インピーダンスZd217が直列に接続された閉回路が構成されている。
ここで、この等価回路モデル200の動作状況を表す方程式を導く。ジャイレータ206の両側の閉回路に沿って、それぞれキルヒホッフの電圧法則を適応し、それぞれの電流の方向に注意して、閉回路の電圧総和が0になる式を立てると、複素数表記の式として次式を得る。
Figure 0007113168000012
・・・(12)
この式と、前述の非特許文献1の等価回路動作を記述する(4)式と(8)式の連立方程式とを比較すると(9)式を考慮して、
Figure 0007113168000013
・・・(13)
と表記すれば両者は完全に一致する。ここでZs206もYm111も同じ振動板の機械系インピーダンスであり、Zma215も(13)式第2項のSd/Yaも音響抵抗等価インピーダンスであるので、両者は等価とおくことが出来る。
以上により、非特許文献1で開示の音圧計算方法は、すなわち(12)式の連立方程式を解くことに他ならない。特に所定の駆動電圧を与えた場合の音圧計算は、Eo102を既知数とし、Io103,v210を未知数として解いて、音圧伝達関数H221にv210を代入するなど観測点音圧Ps220を求めることになる。しかし、(12)式の連立方程式は、筐体振動が無いことを仮定して導いた式であるので、第1の課題として、電気系で参照される機械系のパラメータがボイスコイルの振動速度のみであるため、筐体振動の影響は、電気回路動作に直接には反映されず、特に筐体の剛性が十分大きくなく、筐体振動の影響が大きいモデルでは、音圧計算の精度が不足するという課題を有している。
また、第2の課題として、ボイスコイルの、駆動電流と振動速度を未知のパラメータとした連成解析は、すべてのパラメータを強連成させた大規模な数学モデルを作成するか、あるいは音響系、機械系、電気系、を弱連成で連結し、それぞれの系をパラメータに初期値を与えて順にといて収束計算を実施する必要があるため、計算規模や計算時間が大きくなる課題もある。
(参考例)
ここで、第2の課題に対して、参考例として、(12)式を、ボイスコイルの電磁駆動力f109で規格化した定電流駆動ボイスコイル速度vci260を用いて、変数分離を実施し、計算負荷を軽減できることを示す。
(12)式をIo,vを未知数として解くと、(14)式を得る。
Figure 0007113168000014
・・・(14)
式中のA107及びze204は、スピーカユニットのTSパラメータとして計測あるいは算出可能であるので、振動板機械系総合インピーダンスZd217がたとえばFEM等で求まれば、スピーカシステムの定電圧駆動時の動作を確定できる。
ここで、定電流駆動時の動作を考えると、Ioを既知数として扱えるので、(12)式の下段の式のみを解くだけでvが、(15)式のように求まる。
Figure 0007113168000015
・・・(15)
さらに、駆動力として単位駆動力Fci259A×Io=1が働く場合を考え、その時のボイスコイルの振動を、(16)式を用いて、ボイスコイルの振動を定電流駆動ボイスコイル速度vci260と、定義すると等価回路は、図11のように簡略化される。この図では、定電流単位駆動力259を発生する駆動力源251が、振動板機械系総合インピーダンスZd217に直結し、回路には定電流駆動ボイスコイル速度vci260が流れている。
Figure 0007113168000016
・・・(16)
(16)式の逆数を取ると、
Figure 0007113168000017
・・・(17)
となるので、(17)式を(14)式に代入し、定電圧駆動時の電磁駆動力すなわち駆動力補正係数Fce209を求めると、(18)式が得られる。
Figure 0007113168000018
・・・(18)
定電圧駆動時のボイスコイル振動速度v210は、ここで求めた駆動力補正係数Fce209を用いると、定電流駆動時の振動速度vci260に駆動力補正係数Fce209を乗じて求められる。さらに、任意の観測点における音圧Ps220は、v210の関数H221として表現できるので、同様に、定電流駆動を仮定して単位駆動力Fci259A×Io=1が働く場合の観測点音圧をPsci225とすると、Psci225に駆動力補正係数Fce209を乗じて、(19)式で求められる。
Figure 0007113168000019
・・・(19)
この参考例の手順を用いると、音圧計算は、(12)式の連立方程式を解く必要がなくなり、特にFEMなどの大規模計算を実施する場合には、単位駆動力入力で音響振動解析を1回だけ実施すればvci260が求まり、観測点音圧Ps220は簡単な代入式で算出できるので、計算規模ならびに計算時間を小さくする事ができる。しかし、駆動力補正係数Fce209を求める(18)式では、モデルの部分速度は定電流駆動ボイスコイル速度vci260しか考慮していない。その結果、筐体振動の影響反映が不十分であるという課題は解決されない。
そこで、本開示では、筐体に直結するマグネットの振動速度もパラメータに加えた3自由度の等価回路を考慮して、計算精度の向上を図った。
(実施の形態1)
図12は、スピーカユニット31が、弾性体キャビネット32に取り付けられた、現実的な状態のスピーカシステム30の断面図で、図13は、スピーカシステム30の電気機械エネルギー変換の動作を表す集中定数物理モデルである。
図12、図13においては、図7~14と共通する構成要素には、共通の番号を振り当てて説明を省略する。
弾性体キャビネット32は、本実施例では、密閉型のキャビネットで、たとえば所定の厚みの、所定の材料定数(ヤング率、密度、減衰係数など)を有する鉄板などで構成され、音響空間を、キャビネット内部音響空間Vc37と外部音響空間39に分割する。スピーカユニット31は、振動板13に連結されたボイスコイル14とマグネット16の間に、端子15から流入する駆動電流Io303によって電磁駆動力Fce309が発生し、ボイスコイルに振動速度v310が発生すると同時に、反作用としてマグネット反力-Fce323が発生し、代表点としてたとえば磁気回路の重心点34に作用するとすると、磁気回路の質量も含む質量がマグネット質量Mmm319であるマグネット36が加振され、マグネット速度vm311が発生する。ボイスコイル速度v310とマグネット速度vm311は、図12、図13で右手方向を正方向となるように定義される。この発生したボイスコイル速度v310で振動板13が振動すると、振動板から振動板前面に音響放射40が発生する。加えて、振動板13の主には背面に発生した音圧は、キャビネット内部空間Vc37の音響構造を介してキャビネット32を加振し、キャビネットからの音響放射43を発生させる。また、マグネット速度vm311で励起される振動はスピーカ11の取付部より筐体反力Fc322を介してキャビネット32に伝播し、キャビネット表面から音響放射43を発生させる。発生した音波は、外部音響空間39を伝播し、音圧観測点23に到達する。加えて、キャビネット32に伝播した振動は、キャビネット背面から、キャビネット内部空間Vc37に伝播し内部音圧を発生させ、キャビネット内部の音響構造を介して振動板13を振動させて振動板前面に音響放射40を発生させる。このように、音圧観測点23に到達する音波の音圧Ps330は、振動板からの伝播も、ボイスコイルからの伝播も、どちらもボイスコイル速度v310ならびにマグネット速度vm311の両方の影響を受けるので、これを伝達関数で表記すると、(20)式のようになる。
Figure 0007113168000020
・・・(20)
ここで、H(v,vm)331は音圧伝達関数、Hd(v,vm)332は振動板からの音圧伝達関数、Hc(v,vm)333はキャビネットからの音圧伝達関数である。このように、本願が開示する音圧方法では、振動板からの音圧伝達関数Hd(v,vm)332とキャビネットからの音圧伝達関数Hc(v,vm)333の両方ともにマグネット速度vm311の関数になっており、マグネット速度vm311の変化が観測点音圧Ps330により正確に反映される。
音響放射40は反力として、振動板表面、裏面それぞれに、振動板表面音響反力Far41、振動板背面音響反力Fac38が発生し、トータルとしては振動板音響反力Fa42として振動板13に作用する。振動板表面音響反力Far41は、スピーカの前面音響空間Vr39の音響インピーダンスが力に変換されたもので、主には空気の負荷質量成分であるが、前面音響空間Vr39を介してキャビネット32が加振されるインピーダンス成分も一部含まれる。また、振動板背面音響反力Fac38は、スピーカの背面音響空間Vc37の音響インピーダンスが力に変換されたもので、密閉型キャビネットの場合には、閉空間の空気ばねのスティフネス成分が主であるが、背面音響空間Vc37を介してキャビネット32が加振されるインピーダンス成分も一部含まれる。振動板13は、力学的には図9および図13に示すスピーカシステム集中定数物理モデル25および45のように、振動板支持系剛性/Cms210、振動板支持系機械抵抗Rms212、振動板質量Mmd213を用いてばねマス系として表現できる。図13に示すスピーカシステム集中定数物理モデル45では、マグネットは質量Mmm319を有する集中質量モデルで表され、スピーカユニット11のフレームなども含んだ振動板13以外のすべての構造系の磁気回路重心34に対する力学的応答は、筐体機械インピーダンスZmc320表現される。尚、この筐体機械インピーダンスZmc320からの筐体反力Fc322には、筐体表面からの音響放射の影響と、筐体裏面に働くスピーカの背面音響空間Vc37からの音響インピーダンス反力と、スピーカの背面音響空間Vc37および振動板13を介した振動板の音響放射インピーダンスの影響も含まれる。
このスピーカシステム集中定数物理モデル45の動作を等価回路で表したのが、図14である。この等価回路において、ボイスコイル電気インピーダンスze204は、図10にて前述のボイスコイル電気インピーダンスze204と同じであるが、振動板13のモデルは、ボイスコイルとマグネットの速度が異なるため、振動板機械系インピーダンスZs216は、振動板支持系インピーダンスZss214と、振動板質量Mmd213に分けてモデル化する。
ジャイレータ206より左一次側の電気回路は図10と同じであるが、ジャイレータ右辺に流入する電流は、ボイスコイル速度ではなくボイスコイル速度v310とマグネット速度vm311の差をとった相対速度v-vm312となっている。したがって、ジャイレータ206の右二次側の機械振動系の動作を表す回路では、振動板支持系インピーダンスZss214の右辺側で、相対速度v-vm312を表す電流は、ボイスコイル速度v310とマグネット速度vm311に分岐している。ボイスコイル速度v310が流れる右端の回路には、振動板13に働く振動板音響反力Fa42に対しての音響インピーダンスである振動板音響抵抗等価インピーダンスZma317と、振動板質量Mmd213が、直列に接続された、振動板機械系総合インピーダンスZd318が接続され、マグネット速度vm311が流れる中央部の回路には、筐体機械インピーダンスZmc320と、マグネット質量Mmm319が直列に接続されたマグネット機械インピーダンスZm321が接続されていている。そして、振動板機械系総合インピーダンスZd318とマグネット機械インピーダンスZm321は並列接続され、その並列接続された合成インピーダンスに、振動板支持系インピーダンスZss214が直列に接続された回路が、ジャイレータ二次側出力電圧である電磁駆動力Fce309に対する負荷を形成している。
ここで、音圧観測点23に到達する音波の音圧Ps330と、等価回路モデル300に流れる電流表記の振動速度との関係を整理すると、(21)式のようになる。
Figure 0007113168000021
・・・(21)
ここで、Hv(v)は、ボイスコイル速度v310と観測点音圧Ps330との関係を表すボイスコイル速度音圧伝達関数Hv(v)334で、Hvm(vm)は、マグネット速度vm311と観測点音圧Ps330との関係を表すキャビネット音圧伝達関数Hvm(vm)333である。この(21)式と(20)式は、同じ音圧Ps330を表しているので、伝達関数が線形であると仮定して、振動板機械系総合インピーダンスZd318とマグネット機械インピーダンスZm321に流れる電流の方向に注意して、音圧伝達関数H(v,vm)331をマトリクスで表記すると、(22)式のようになる。
Figure 0007113168000022
・・・(22)
ここで、この等価回路モデル300の動作状況を表す方程式を導く。ジャイレータ206の左側の駆動電流Io303が流れる閉回路と、右側の相対速度v-vm312からマグネット速度vm311につながる閉回路と、相対速度v-vm312からボイスコイル速度v310につながる閉回路の3つの閉回路に沿って、それぞれキルヒホッフの電圧法則を適応し、それぞれの電流の方向に注意して、閉回路の電圧総和が0になる式を立てると、(23)次式を得る。
Figure 0007113168000023
・・・(23)
したがって、定電圧駆動時の観測点音圧Ps330を求める場合は、(23)式のEoを既知数とし、Io,v,vmを未知数として解いて、v,vmを求めて、(22)式に代入して求めればよいが、未知数が先行例のIo,vにvmが追加されるので計算規模は大きくなる。
そこで、参考例と同様に、(23)式を部分的に解いて変数分離を実施し、計算負荷を軽減できることを示す。まず、最初に、(23)式をそのまま解くと、(24)式を得る。
Figure 0007113168000024
・・・(24)
式中のA107及びze204,Zss214は、スピーカユニットのTSパラメータとして計測あるいは算出可能であるので、マグネット振動インピーダンスZm321と振動板機械系総合インピーダンスZd318がたとえばFEM等で求まれば、スピーカシステムの定電圧駆動時の動作を確定できる。
ここで、上記のv,vmの記述式を観察すると、分母が共通で、v:vm=Zm:Zdの比例関係になっていることが分かる。そこで、Ioを既知数として、(23)式の中段及び下段の式のみを用いてv,vmを解くと機械系のインピーダンスのみで簡略化された(25)式を得る。
Figure 0007113168000025
・・・(25)
さらに、駆動力として単位駆動力Fci359A×Io=1が働く場合を考え、その場合のボイスコイル振動速度とマグネット振動速度を、(25)式からvci360,vmci361として定義すると(26)式となる。
Figure 0007113168000026
・・・(26)
これらのパラメータを用いると、300の等価回路は、定電流駆動時の状態を表す図15のように簡略化される。この図では、定電流単位駆動力359を発生する駆動力源251が機械音響系総合インピーダンスZcae324に直結し、回路にはvci-vmci,vci,vmciが流れている。
(26)式からZd,Zmを逆算すると、
Figure 0007113168000027
・・・(27)
と書けるので、これを(24)式上段の駆動電流Ioの式に代入して定電圧駆動時の駆動力Fce309を求めると、Zss214の項は消えて(28)式のような簡単な式になる。
Figure 0007113168000028
・・・(28)
この式は、ボイスコイル振動速度のみを考慮した場合の定電圧駆動への補正式(18)式のvciを、相対速度(vci-vmci)で置き換えた形式をしている。
ここで求めた駆動力補正係数Fce309を用いると、定電圧駆動時のボイスコイル速度v310ならびにマグネット速度vm311は、次式のように、vci,vmciにFceを乗じて求められる。
Figure 0007113168000029
・・・(29)
さらに、任意の観測点における音圧Ps330は、(22)式に示すように、v,vmの関数として表現できる。したがって、v,vmと同様に、駆動力として定電流駆動を仮定して単位振力A×Io=1が働く場合の観測点音圧を、定電流駆動観測点音圧Psciとすると、PsciにFceを乗じることで、観測点における音圧Ps330が(30)式のように求められる。
Figure 0007113168000030
・・・(30)
以上のように、本開示の方法によれば、(28)式と(30)式を用いることで、正規化された単位駆動力Fci359A×Io=1が働く場合のスピーカシステムのFEM音響振動練成解析を1回実施すれば、所定電圧駆動時の動作は、計算結果に駆動力補正係数Fce309を乗ずるだけですべて算出できる。
尚、(28)式と(30)式を用いた定電圧駆動時の観測点音圧Ps330は、任意の駆動力F530を用いてFEM音響振動連成解析を実施する場合には、任意の駆動力F530印加時のボイスコイル振動速度vn531と、任意の駆動力F530印加時のマグネット振動速度vmn532と、任意の駆動力F530印加時の観測点音圧Psn533とを用いて(31)式の変換を介して(3)式ように、変換できるので、所定電圧駆動時の観測点音圧は、(3)式を用いて計算してもよい。
Figure 0007113168000031
・・・(31)
また、(3)式において、マグネット振動速度vmn532が無視できる場合には、所定電圧駆動時の観測点音圧は、(32)式を用いて計算してもよい。
Figure 0007113168000032
・・・(32)
具体的には、以下の手順で音圧計算を実施する。
図1に本開示の計算に用いた音圧計算システムの一例を示す。また、図2に本開示の解析に用いた、自由空間に置かれた密閉型金属筐体スピーカシステムのFEMモデル324の一例を示す。
音圧計算システム500は、モデル作成部511と、シミュレーション部513と、補正計算部515と、TSパラメータ入力部516と、表示装置517から構成される。モデル作成部511は、たとえばコンピュータ上で作動するソフトウエアで構成され、あらかじめ入力されたCADデータや、材料物性データベース及びオペレータからの指示入力などに基づき、有限要素法などの数値計算方法を用いて、音響振動連成解析を実施するためのFEMモデル324を出力する。
図2において、(a)は、スピーカユニット11における弾性体キャビネット32の縦断面モデルで、(b)はキャビネット内部音響空間Vc37の縦断面モデルで、(c)は外部音響空間39のFEMモデルである。FEMモデル324は、スピーカユニット11と、弾性体キャビネット32に対して2次元あるいは3次元構造要素を用いた要素分割により離散化された構造モデル520と、キャビネット内部音響空間Vc37と、外部音響空間39に対して3次元の空間音響要素を用いた要素分割により離散化された空間モデル521から構成されており、構造モデル520と空間モデル521は、少なくとも振動板の表面、裏面、キャビネットの表表面、裏表面において、空間モデルの空気粒子速度と構造モデルの表面法線方向速度が一致するよう境界条件が設定されている。また、空間モデル521は、外部音響空間39に対する空間モデルには、スピーカユニット11がおかれた中心部から所定の距離離れた球面状の最外面部に、中心からの距離に対応した球面波の複素音響インピーダンスが設定された吸音面522が定義されており、スピーカーシステムが無限空間に設置された場合の計算が可能となっている。また、空間モデル521には、スピーカユニット前方1mの位置に、音圧観測点23が設定され、音圧観測点23の音圧は、シミュレーション部513が計算を実行した場合に結果を出力するデータとして認識されている。
構造モデル520は、ボイスコイルまたは振動板のモデル上の要素あるいは仮想的に連結された少なくとも1箇所、たとえば振動版の中心点35の要素または節点が、駆動力作用点として識別され、マグネットまたはマグネットの磁気回路上の1点たとえば磁気回路の重心点34が、駆動力の反力の作用点として識別されている。スピーカユニット11が、軸対称構造を有する場合には、好適には、駆動力作用点と駆動力の反力の作用点は、たとえば、振動板の中心点35と磁気回路重心点34のように、対称軸上に配置される。駆動力作用点である振動板中心35と駆動力反作用点である磁気回路重心点34には、両点ともに少なくとも対称軸方向の運動自由度がフリーに設定され、荷重条件として所定の振動駆動力が、同じ大きさでそれぞれ逆方向に設定されている。振動板中心35と磁気回路重心点34の対称軸方向の振動速度は、シミュレーション部513が計算を実行した場合に結果を出力するデータとして認識されている。また、荷重条件として設定される振動駆動力は、シミュレーション部513が計算を実行する場合の計算条件として、シミュレーション部513が計算を実行した場合に結果を出力するデータとして認識されている。
尚、ここではキャビネットは密閉式キャビネットのモデルを用いたが、ャビネット内部音響空間Vc37と、外部音響空間39が空間要素で連結された、バスレフポート、音響ホーン等の音響要素を含むキャビネットでもよい。また、振動板と同様の境界条件を設定すれば、ドロンコーン、などの設定も可能である。
また、空間モデル521は、中心部から所定距離離れた球面状の最外面に吸音面522を設定し、その内部に音圧観測点23を配置したが、同等の吸音効果を奏する無限要素を併用し、空間モデルをキャビネット周辺のみに限定し、音圧観測点23を空間モデル521の外部に設置するモデルであってもよい。
シミュレーション部513は、たとえばコンピュータ上で作動するソフトウエアで構成され、モデル作成部511が作成したFEMモデル324を読み込んで数値計算を実行し、FEMモデル324で指定されたデータとして、駆動力が1の場合の計算を実施し、駆動力作用点と駆動力反力作用点の正規化された相対振動速度vci-vmci352または、正規化された作用点振動速度データ(vci)360および前記正規化反作用点振動速度データ(vmci)361と、さらには音圧評価点での正規化音圧Psci340を、補正計算部が読み込むデータとして出力する。FEMモデル324で、任意の駆動力での計算が指定される場合には、補正計算部が読み込むシミュレーション部513の出力データに、計算時に用いた任意の駆動力のデータ530を追加し、正規化されない任意駆動力相対振動速度vn-vmnまたは、正規化されない作用点の任意駆動力振動速度データvn531と、正規化されない反作用点の任意駆動力振動速度データvmn532と、さらには音圧評価点での正規化されない任意駆動力音圧Psn533を、補正計算部が読み込むデータとして出力し、補正計算部内部で規格化できるようにしてもよい。
補正計算部515は、たとえばコンピュータ上で作動する表計算ソフトウエアで構成され、シミュレーション部513が出力した、駆動力作用点と駆動力反力作用点の正規化相対振動速度vci-vmci352と、音圧評価点での定電流駆動時の正規化評価点音圧Psci340のデータと、TSパラメータ入力部516が取り込んだスピーカユニット11のTSパラメータの一部であるボイスコイル電気インピーダンスze204と、力係数A107と、駆動電圧Eo102を、読み込むあるいは入力されると、まず、(28)式を用いて駆動力補正係数Fce309を算出し、その駆動力補正係数Fce309を定電流駆動観測点音圧Psci340に乗じて、定電圧駆動時の観測点音圧Ps330を算出する。
尚、前述のとおり、シミュレーション部513が任意の駆動力での計算される場合には、シミュレーション部513の出力データに、計算時に用いた任意の駆動力のデータ530を追加し、正規化されない任意駆動力相対振動速度vn-vmnまたは、正規化されない作用点の任意駆動力振動速度データvn531と、正規化されない反作用点の任意駆動力振動速度データvmn532と、さらには音圧評価点での正規化されない任意駆動力音圧Psn533を、読み込み、補正計算部内部515で駆動力のデータ530で除して規格化を実施してから(28)式の計算を実行してもよい。あるいは、正規化は実施せず、(3)式を用いて直接定電圧駆動時の観測点音圧Ps330を算出してもよい。TSパラメータ入力部516は、たとえばコンピュータ上で作動するソフトウエアまたは表計算ソフトウエアの一部で構成され、あらかじめコンピュータの記憶装置に格納されたデータあるいはコンピュータの入力装置から、スピーカユニット11のTSパラメータの一部であるボイスコイル電気インピーダンスze204と、力係数A107と、駆動電圧Eo102を、取り込んで補正計算部515に出力する。具体的には、補正計算部515を構成する表計算ソフトの入力セルに書き込まれたデータを計算セルへ参照させる機能でよい。
表示装置517は、モデル作成部511、シミュレーション部513、補正計算部515、TSパラメータ入力部、の各部における動作状況や動作結果を表示する。たとえば、図3は、補正計算部515の入出力データを含む表計算ソフト画面の一例を示す。図中A列は、計算周波数、B,C列は駆動力データ530で本実施例では絶対値が1で位相遅れ0の定電流駆動の事例になっている。D,E列は定電流駆動ボイスコイル速度360、F,G列は定電流駆動マグネット速度361、H,I列は定電流駆動観測点音圧Psci340、J,K列はボイスコイル電気インピーダンスze204、L列は力係数A107、M列は駆動電圧Eo102、O,P列はFce309の計算結果、W,Z列は観測点音圧Ps330の計算結果である。
尚、図6のように、B,C列の駆動力データ530が任意の場合には、D,E列、F,G列、H,I列は、それぞれ任意駆動力ボイスコイル振動速度vn531、任意駆動力マグネット振動速度vmn532、任意駆動力観測点音圧Psn532が入力できて、表計算ソフト内で正規化計算が実施された後、O,P列のFce309及びW,Z列の観測点音圧Ps330が計算される。
図4は、W列の観測点音圧Ps330の計算結果のグラフ表示で、図5は、O列の駆動力補正係数Fce309のグラフ表示である。
<効果>
図5の駆動力補正係数Fceの計算結果には、キャビネットの振動に起因する山谷がよく現れており、その影響で図4の音圧計算結果にも急峻なピークがいくつも発生していて、出弾性キャビネットに取り付けられたスピーカに現れる特徴がよく現れている。これより、マグネットの振動速度を補正手順に組み込んだ定電圧駆動音圧計算手順は、物理現象をよく再現し、所定の精度を有していることが分かる。
本明細書に開示された音圧計算方法は、弾性キャビネットに設置されたスピーカユニット、スピーカシステムなどの解析技術であってもよい。
10:スピーカシステム
11:スピーカユニット(スピーカ)
12:剛体バッフル板(バッフル板)
13:振動板
14:ボイスコイル
15:端子
16:マグネット
17:背面音響空間
18:振動板背面音響反力Fac
19:前面音響空間
20:音響放射
21:振動板表面音響反力Far
22:振動板音響反力Fa
23:音圧観測点
25:スピーカシステム集中定数物理モデル
30:スピーカシステム
31:スピーカユニット
32:弾性体キャビネット(キャビネット)
34:磁気回路重心点(磁気回路重心、重心点)
35:振動板中心(中心点)
36:マグネット
37:キャビネット内部空間Vc(キャビネット内部音響空間Vc、背面音響空間Vc)
38:振動板背面音響反力Fac
39:外部音響空間(前面音響空間Vr)
40:音響放射
41:振動板表面音響反力Far
42:振動板音響反力Fa
43:音響放射
45:スピーカシステム集中定数物理モデル
100:等価回路モデル
101:電圧源
102:駆動電圧Eo
103:駆動電流Io
104:ボイスコイル直流抵抗Re
105:ボイスコイルインダクタンスLe
106:電気機械変換仮想トランス
109:電磁駆動力f
110:ボイスコイル速度v
112:機械音響変換仮想トランス
113:振動板変位体積速度
114:体積速度変換定数
115:振動板表面圧力
116:音響抵抗アドミッタンス
120:スピーカユニットモデル
122:スピーカシステムモデル
124:FEMモデル
200:等価回路モデル
204:ボイスコイル電気インピーダンスze
206:電気機械変換仮想ジャイレータ(ジャイレータ)
209:電磁駆動力(駆動力補正係数Fce)
210:ボイスコイル速度v
211:振動板支持系剛性
212:振動板支持系機械抵抗Rms
213:振動板質量Mmd
214:振動板支持系インピーダンスZss
215:振動板音響抵抗等価インピーダンスZma
217:振動板機械系総合インピーダンスZd
220:観測点音圧Ps
221:音圧伝達関数H
250:機械系等価回路モデル(200から抜粋)
251:駆動力源
259:定電流単位駆動力
260:定電流駆動ボイスコイル速度vci
300:等価回路モデル
303:駆動電流Io
309:電磁駆動力Fce(駆動力補正係数Fce)
310:電圧駆動ボイスコイル速度v(ボイスコイル速度v)
311:電圧駆動マグネット速度
312:電圧駆動相対速度
317:振動板音響抵抗等価インピーダンスZma
318:振動板機械系総合インピーダンスZd
319:マグネット質量Mmm
320:筐体機械インピーダンスZmc
321:マグネット機械インピーダンスZm
322:筐体反力Fc
323:マグネット反力
324:機械音響系総合インピーダンスZcae(FEMモデル)(FEMモデルの等価回路)
330:観測点音圧Ps
331:音圧伝達関数H
332:音圧伝達関数Hd
333:キャビネット音圧伝達関数Hc(キャビネット音圧伝達関数Hvm、音圧伝達関数Hc)
334:ボイスコイル速度音圧伝達関数Hv
335:マグネット速度音圧伝達関数
340:定電流駆動観測点音圧Psci
343:定電流駆動キャビネット音圧伝達関数
344:定電流駆動ボイスコイル速度音圧伝達関数
345:定電流駆動マグネット速度音圧伝達関数
350:機械系等価回路モデル(300から抜粋)
352:定電流駆動相対速度
359:定電流単位駆動力
360:定電流駆動ボイスコイル速度(定電流ボイスコイル速度)
361:定電流駆動マグネット速度
500:音圧計算システム
511:モデル作成部
513:シミュレーション部
515:補正計算部内部(補正計算部)
516:TSパラメータ入力部
517:表示装置
520:構造モデル
521:空間モデル
530:駆動力データ(データ)
531:任意駆動力ボイスコイル振動速度vn
532:任意駆動力マグネット振動速度Psn
533:観測点音圧Psn

Claims (12)

  1. 電気機械エネルギー変換器を用いたスピーカの所定電圧(Eo)印加時の音圧観測点での音圧(Ps)をコンピュータが算出する方法であって
    前記電気機械エネルギー変換器が発生する駆動力が作用する作用点の振動速度(v)と前記駆動力の反力が作用する反作用点の振動速度(vm)との速度差である相対振動速度差(v-vm)を、前記駆動力で正規化して、正規化相対振動速度データ(vci-vmci)を前記コンピュータによって算出する第1の正規化工程と
    前記音圧観測点での音圧(Ps)を前記駆動力で正規化した正規化音圧データ(Psci)を前記コンピュータによって算出する第2の正規化工程と
    前記正規化相対振動速度データ(vci-vmci)と、前記電気機械エネルギー変換器の電気インピーダンス値(ze)と、前記電気機械エネルギー変換器の力係数(A)と、前記所定電圧(Eo)とから、前記音圧観測点での音圧(Ps)を求めるための駆動力補正係数(Fce)を(1)式により前記コンピュータによって算出する補正係数算出工程と、
    Figure 0007113168000033

    ・・・(1)
    前記正規化音圧データ(Psci)と、前記駆動力補正係数(Fce)から、前記音圧観測点での音圧(Ps)を(2)式により前記コンピュータによって算出する音圧算出工程と、
    Figure 0007113168000034

    ・・・(2)
    を含む音圧計算方法。
  2. 電気機械エネルギー変換器を用いたスピーカの所定電圧(Eo)印加時の音圧観測点での音圧(Ps)をコンピュータが算出する方法であって
    前記電気機械エネルギー変換器が発生する駆動力が作用する作用点の振動速度(v)と前記駆動力の反力が作用する反作用点の振動速度(vm)を、前記駆動力で正規化して、正規化作用点振動速度データ(vci)と正規化反作用点振動速度データ(vmci)とを前記コンピュータによって算出する第1の正規化工程と
    前記音圧観測点での音圧(Ps)を前記駆動力で正規化した正規化音圧データ(Psci)を前記コンピュータによって算出する第2の正規化工程と
    前記正規化作用点振動速度データ(vci)と、前記正規化反作用点振動速度データ(vmci)と、前記電気機械エネルギー変換器の電気インピーダンス値(ze)と、前記電気機械エネルギー変換器の力係数(A)と、前記所定電圧(Eo)とから、前記音圧観測点での音圧(Ps)を求めるための駆動力補正係数(Fce)を(1)式により前記コンピュータによって算出する補正係数算出工程と、
    前記正規化音圧データ(Psci)と、前記駆動力補正係数(Fce)から、前記音圧観測点での音圧(Ps)を(2)式により前記コンピュータによって算出する音圧算出工程と、
    を含む音圧計算方法。
  3. 電気機械エネルギー変換器を用いたスピーカの所定電圧(Eo)印加時の音圧観測点での音圧(Ps)をコンピュータが算出する方法であって
    前記電気機械エネルギー変換器が発生する任意駆動力が作用する作用点の振動速度データ(v)と、前記任意駆動力の反力が作用する反作用点の振動速度データ(vm)と、前記音圧観測点での音圧データ(Ps)と、前記任意駆動力データとを前記コンピュータによって算出する第1の正規化工程と
    作用点の振動速度データ(v)と、前記任意駆動力の反力が作用する反作用点の振動速度データ(vm)と、前記音圧観測点での音圧データ(Ps)とを、前記任意駆動力データで除して、正規化作用点振動速度データ(vci)と、正規化反作用点振動速度データ(vmci)と、正規化音圧データ(Psci)と、を前記コンピュータによって算出する第2の正規化工程と
    前記正規化作用点振動速度データ(vci)と、前記正規化反作用点振動速度データ(vmci)と、前記電気機械エネルギー変換器の電気インピーダンス値(ze)と、前記電気機械エネルギー変換器の力係数(A)と、前記所定電圧(Eo)とから、前記音圧観測点での音圧(Ps)を求めるための駆動力補正係数(Fce)を(1)式により前記コンピュータによって算出する補正係数算出工程と、
    前記正規化音圧データ(Psci)と、前記駆動力補正係数(Fce)から、前記音圧観測点での音圧(Ps)を(2)式により前記コンピュータによって算出する音圧算出工程と、
    を含む音圧計算方法。
  4. 電気機械エネルギー変換器を用いたスピーカの所定電圧(Eo)印加時の音圧観測点での音圧(Ps)をコンピュータが算出する方法であって
    前記電気機械エネルギー変換器が発生する任意駆動力(F)と、前記電気機械エネルギー変換器が発生する任意駆動力(F)が作用する作用点の振動速度データ(vn)と、前記任意駆動力(F)の反力が作用する反作用点の振動速度データ(vmn)と、前記任意駆動力(F)が働いている状態での前記音圧観測点での音圧データ(Psn)と、
    前記電気機械エネルギー変換器の電気インピーダンス値(ze)と、前記電気機械エネルギー変換器の力係数(A)と、前記所定電圧(Eo)とから、前記音圧観測点での音圧(Ps)を(3)式により前記コンピュータによって算出する音圧算出工程を含む音圧計算方法。
    Figure 0007113168000035

    ・・・(3)
  5. 前記電気機械エネルギー変換器の電気インピーダンス値(ze)と、前記電気機械エネルギー変換器の力係数(A)と、前記所定電圧(Eo)とを、前記コンピュータの入力装置から取り込む工程と、を含む、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の音圧計算方法。
  6. 前記第1の正規化工程と、前記第2の正規化工程と、前記補正係算出工程と、前記音圧算出工程のうち、少なくとも一つの工程の算出結果を表示装置に表示する工程と、を含む、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の音圧計算方法。
  7. 電気機械エネルギー変換器を用いたスピーカの所定電圧(Eo)印加時の音圧観測点での音圧(Ps)をコンピュータが算出する各ステップを処理するプログラムであって、
    前記電気機械エネルギー変換器が発生する駆動力が作用する作用点の振動速度(v)と前記駆動力の反力が作用する反作用点の振動速度(vm)との速度差である相対振動速度差(v-vm)を、前記駆動力で正規化して、正規化相対振動速度データ(vci-vmci)を算出する第1の正規化ステップと、
    前記音圧観測点での音圧(Ps)を前記駆動力で正規化した正規化音圧データ(Psci)を算出する第2の正規化ステップと、
    前記正規化相対振動速度データ(vci-vmci)と、前記電気機械エネルギー変換器の電気インピーダンス値(ze)と、前記電気機械エネルギー変換器の力係数(A)と、
    前記所定電圧(Eo)とから、前記音圧観測点での音圧(Ps)を求めるための駆動力補正係数(Fce)を(1)式により算出する補正係数算出ステップと、
    前記正規化音圧データ(Psci)と、前記駆動力補正係数(Fce)から、前記音圧観測点での音圧(Ps)を(2)式により算出する音圧算出ステップと、
    を含む音圧計算プログラム。
  8. 電気機械エネルギー変換器を用いたスピーカの所定電圧(Eo)印加時の音圧観測点での音圧(Ps)をコンピュータが算出する各ステップを処理するプログラムであって、
    前記電気機械エネルギー変換器が発生する駆動力が作用する作用点の振動速度(v)と前記駆動力の反力が作用する反作用点の振動速度(vm)を、前記駆動力で正規化して、正規化作用点振動速度データ(vci)と正規化反作用点振動速度データ(vmci)とを算出する第1の正規化ステップと、
    前記音圧観測点での音圧(Ps)を前記駆動力で正規化した正規化音圧データ(Psci)を算出する第2の正規化ステップと、
    前記正規化作用点振動速度データ(vci)と、前記正規化反作用点振動速度データ(vmci)と、前記電気機械エネルギー変換器の電気インピーダンス値(ze)と、前記電気機械エネルギー変換器の力係数(A)と、前記所定電圧(Eo)とから、前記音圧観測点での音圧(Ps)を求めるための駆動力補正係数(Fce)を(1)式により算出する補正係数算出ステップと、
    前記正規化音圧データ(Psci)と、前記駆動力補正係数(Fce)から、前記音圧観測点での音圧(Ps)を(2)式により算出する音圧算出ステップと、
    を含む音圧計算プログラム。
  9. 電気機械エネルギー変換器を用いたスピーカの所定電圧(Eo)印加時の音圧観測点での音圧(Ps)をコンピュータが算出する各ステップを処理するプログラムであって、
    前記電気機械エネルギー変換器が発生する任意駆動力が作用する作用点の振動速度データ(v)と、前記任意駆動力の反力が作用する反作用点の振動速度データ(vm)と、前記音圧観測点での音圧データ(Ps)と、前記任意駆動力データと、を算出する第1の正規化ステップと、
    作用点の振動速度データ(v)と、前記任意駆動力の反力が作用する反作用点の振動速度データ(vm)と、前記音圧観測点での音圧データ(Ps)とを、前記任意駆動力データで除して、正規化作用点振動速度データ(vci)と、正規化反作用点振動速度データ(vmci)と、正規化音圧データ(Psci)と、を算出する第2の正規化ステップと、
    前記正規化作用点振動速度データ(vci)と、前記正規化反作用点振動速度データ(vmci)と、前記電気機械エネルギー変換器の電気インピーダンス値(ze)と、前記電気機械エネルギー変換器の力係数(A)と、前記所定電圧(Eo)とから、前記音圧観測点での音圧(Ps)を求めるための駆動力補正係数(Fce)を(1)式により算出する補正係数算出ステップと、
    前記正規化音圧データ(Psci)と、前記駆動力補正係数(Fce)から、前記音圧観測点での音圧(Ps)を(2)式により算出する音圧算出ステップと、
    を含む音圧計算プログラム。
  10. 電気機械エネルギー変換器を用いたスピーカの所定電圧(Eo)印加時の音圧観測点での音圧(Ps)をコンピュータが算出する各ステップを処理するプログラムであって、
    前記電気機械エネルギー変換器が発生する任意駆動力(F)と、前記電気機械エネルギー変換器が発生する任意駆動力(F)が作用する作用点の振動速度データ(vn)と、前記任意駆動力(F)の反力が作用する反作用点の振動速度データ(vmn)と、前記任意駆動力(F)が働いている状態での前記音圧観測点での音圧データ(Psn)と、
    前記電気機械エネルギー変換器の電気インピーダンス値(ze)と、前記電気機械エネルギー変換器の力係数(A)と、前記所定電圧(Eo)とから、前記音圧観測点での音圧(Ps)を(3)式により算出する音圧算出ステップと、
    を含む音圧計算プログラム。
  11. 前記電気機械エネルギー変換器の電気インピーダンス値(ze)と、前記電気機械エネルギー変換器の力係数(A)と、前記所定電圧(Eo)とを、コンピュータの入力装置から取り込むステップと、を含む、
    請求項7から10のいずれか一項に記載の音圧計算プログラム。
  12. 前記第1の正規化ステップと、前記第2の正規化ステップと、前記補正係算出工ステップと、前記音圧算出ステップのうち、少なくとも一つのステップの算出結果を表示装置に表示するステップと、を含む、
    請求項7から11のいずれか一項に記載の音圧計算プログラム。
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