JP4242628B2 - コンベアチェーン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対のレールからなる軌道に沿って移動されるコンベアチェーンに関する。
【0002】
【従来の技術】
物品を搬送するコンベア装置の一つであるチェーンコンベアは、多数のリンクを連結ピンで連結してなる無端環状のコンベアチェーンが軌道に沿って移動されるように構成されている。前記連結ピンは例えばステンレス鋼からなり、各リンクの挿通孔に挿通した後、その両端部をかしめることにより前記挿通孔に対して抜け止め状態で固定されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、一般にコンベアチェーンは全長が長く、構成するリンクの数も多い。このため、上述のように連結ピンの両端部をかしめて挿通孔に固定する方法では、作業が面倒であり時間がかかる。また、かしめた部分が邪魔となるため、挿通孔から連結ピンを簡単に取り外すことができないという問題があった。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、リンクの挿通孔に対して連結ピンを簡単且つ確実に固定でき、しかも、挿通孔から連結ピンを簡単に取り外すことができるコンベアチェーンを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1のコンベアチェーンは、リンクを相互に連結する連結ピンを、略円筒状をなし、その周壁部に軸方向一端部から他端部まで延びるギャップを設けると共に前記ギャップ幅が小さくなる方向に弾性変形可能に構成し、前記リンクの移動方向両端部に設けられ断面略円形状をなし前記連結ピンが挿通される挿通孔の一方を他方よりも内径寸法が小さく構成すると共に前記連結ピンが弾性変形して圧入されるように構成したことを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、連結ピンを内径寸法が小さい一方の挿通孔に対して圧入状態で固定することができるため、作業を簡単且つ短時間で行うことが出来る。しかも、固定のために連結ピンの両端部をかしめていた従来と異なり、挿通孔から連結ピンを簡単に取り外すことができる。
【0007】
本発明の請求項2のコンベアチェーンは、上面に物品が載置されるトッププレート及び前記トッププレートの下部に設けられ挿通孔を有する連結部から前記リンクを構成し、前記連結ピンを前記連結部よりも硬い材料から構成したところに特徴を有する。
【0008】
上記構成によれば、連結部よりも連結ピンの方が硬いため、連結部が連結ピンの外周面に擦れても傷が付くことがない。
【0009】
この場合、連結ピン及び連結部は、いずれも金属材料から構成されていることが好ましい(請求項3の発明)。
【0010】
また、連結ピン及び連結部を同じ金属材料から構成し、前記連結ピンを焼き入れにより前記連結部よりも硬くすることも良い構成である(請求項4の発明)。上記構成によれば、連結ピン及び連結部の材料の選定が容易になる。
【0011】
この場合、連結ピン及び連結部は、いずれもステンレス鋼から構成すると良い(請求項5の発明)。上記構成によれば、連結ピン及び連結部に錆が発生することを防止できる。また、ステンレス鋼は焼入れにより非常に硬く且つ強くすることができるため、連結ピンの強度の向上を図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。図1及び図2は本実施例に係るチェーンコンベアの一部の概略的な構成を示すものである。前記チェーンコンベア1は、対向配置された一対のレール2,2からなる軌道3と、これら軌道3に沿って移動されるコンベアチェーン4から構成されている。
【0013】
一般に、前記レール2,2は支持台(図示せず)の上部に固定されており、前記支持台の内部であって軌道3の進行方向両端部には駆動スプロケット及び従動スプロケット(いずれも図示せず)がそれぞれ配置されている。コンベアチェーン4は多数のリンク5が連結ピン6によって無端環状に連結されたもので、前記スプロケット間に掛け渡されている。
【0014】
前記軌道3は、チェーンコンベア1の用途や設置場所の制約等によって直線部や曲線部が適宜組み合わせて構成されている。図1は、軌道3の曲線部分を示しており、この部分では断面が略台形状の一対のプラスチック製レール2が用いられている。前記レール2の上面は水平面状の移送面2aとされ、内側面は上部から下部に向かって外側に傾斜する案内面2bとされている。尚、図示しないが、軌道3の直線部は断面L字状のレールから構成されている。
【0015】
図3及び図4はコンベアチェーン4の一部を示している。前記リンク5はステンレス鋼からなりレール2の移送面2aに載置される平板状のトッププレート7を有している。前記トッププレート7の移動方向(図3及び図4において矢印Aで示す方向)の前後端部には、それぞれ第1及び第2の連結部8及び9が設けられている。
【0016】
具体的には、トッププレート7の前端部の中央には略矩形状の切欠部10が設けられており、その両側下部に第1の連結部8が設けられている。前記連結部8は、トッププレート7の前端部に延設された一対の舌状片部を当該トッププレー7の下面側に円筒状に曲げ加工することにより構成されている。
【0017】
第2の連結部9はトッププレート7の後端部の中央から後方に突出しており、第1の連結部8と同様にトッププレート7から延設された舌状片部をトッププレート7の下面側に円筒状に曲げ加工することにより構成されている。第2の連結部9は切欠部10内に若干の隙間を介して位置するように、その幅寸法及び突出寸法が設定されている。
【0018】
上記構成により、第1及び第2の連結部8,9は、いずれもトッププレート7と一体的に設けられ、また、その内部にトッププレート7の上面と平行な挿通孔11,12が形成される。このとき、前記挿通孔11の内径寸法は、挿通孔12の内径寸法よりも小さくなるように構成されている。
【0019】
また、トッププレート7の下面には、移動方向と直交する向きに対向する一対のリブ13が設けられている。前記リブ13は、トッププレート7が前記レール2上を移動するときに案内面2bによって案内されるようになっている。
【0020】
次に図5を参照しながら連結ピン6の構成について説明する。連結ピン6は、平板状のステンレス鋼を丸めて略円筒状に加工したもので、その周壁部6aの一部に軸方向の一端部から他端部まで延びるギャップ14を有している。前記ギャップ14を挟んで対向する周壁部6aの端面は鋸歯状をなしており、一方の端面の歯が他方の端面の歯間に入り込むように構成されている。従って、ギャップ14はジグザグ状をなしている。
【0021】
また、連結ピン6の軸方向両端部は先細状に構成されており、挿通孔11,12への挿通が容易になっている。
【0022】
上記構成の連結ピン6は、略円筒状に曲げ加工した後、焼入れにより非常に硬く且つ強くなるように処理されている。これにより、連結ピン6は連結部8,9よりも硬く、また、ギャップ14を挟んで対向する両端面を近接させてギャップ14幅を小さくする方向に弾性変形可能になっている。焼入れ処理された連結ピン6の外径寸法は、挿通孔11の内径寸法よりも大きく且つ挿通孔12の内径寸法よりも小さく設定されている。
【0023】
さて、前記リンク5は、その第2の連結部9を隣接するリンク5の切欠部10内に配置し、挿通孔11,12の軸心を略合致させた状態で連結ピン6を一方の挿通孔11、挿通孔12、他方の挿通孔11に順に挿入することにより隣接するリンク5と連結される。
【0024】
このとき、連結ピン6は、その外径寸法が挿通孔11よりも大きいため、一方の挿通孔11に進入する際に弾性変形し、この状態で挿通孔12及び他方の挿通孔11に挿入される。この結果、連結ピン6は、その復元力によって各挿通孔11に圧入状態で固定される。これに対して、連結ピン6は、その外径寸法が挿通孔12よりも小さいため挿通孔12に対して遊挿される。
【0025】
また、連結ピン6は、ギャップ14が移動方向の前部或いは後部に位置するように挿通孔11,12に挿通される。これにより、連結ピン6に対して移動方向両側に引っ張る力が作用しても、前記連結ピン6が弾性変形することを極力防止できる。尚、図4では説明の便宜上、ギャップ14が下部に位置するように連結ピン6を図示している。
【0026】
一方、連結ピン6は、その端部を強く押圧することにより、挿通孔11,12から簡単に抜き出すことができる。
【0027】
このような本実施例によれば、連結ピン6を、その周壁部6aにギャップ14を設けて弾性変形可能に構成し、挿通孔11,12に対して圧入により固定するようにしたので、固定作業及び取り外し作業を簡単且つ短時間で行うことができる。しかも、挿通孔11,12に対して繰り返し着脱することができる。
【0028】
また、連結ピン6のギャップ14をジグザグ状にしたので、連結ピン6の外周面を擬似的な円周面とすることができる。これにより、ギャップ14により第2の連結部9の円滑な回動が妨げられることを極力抑えることができる。
【0029】
ところで、曲線状のレール2に沿って移動するリンク5は隣接するリンク5と移動方向が異なっており、連結ピン6の軸中心と挿通孔12の軸中心とが一致しない。このため、連結ピン6の外周面の傷によってトッププレート7が小さく振動し、トッププレート7上の被搬送物の落下を招く。このような現象を防止するために連結ピン6と挿通孔12との間に給油することが考えられるが、被搬送物が例えば食品や薬品等の場合は、衛生上、潤滑油を使用できない。
【0030】
これに対して、本実施例では、連結ピン6を連結部8,9よりも硬くしたため、潤滑油が無くてもリンク5の回動により連結ピン6と連結部9とが擦れ合って連結ピン6の外周面に傷が付くことがない。
【0031】
また、本実施例では、リンク5及び連結ピン6の両方をステンレス鋼から構成し、焼入れ処理により連結ピン6を硬くした。従って、コンベアチェーン4の全体を耐水性及び耐薬品性に優れたものとすることができる。
【0032】
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような変形が可能である。
リンクはトッププレートと連結部とを別体に構成しても良い。また、連結ピン及び連結部は異なる金属から構成しても良い。更に、連結ピン及び連結部は金属以外の材料、例えば樹脂から構成することも可能である。
【0033】
連結ピンの周壁部に設けるギャップは、螺旋状や直線状にしても良い。特に、トッププレートと連結部とが一体成形された樹脂製リンクの場合、挿通孔の断面形状は一般に略D字状をなしている。この場合は、ギャップを直線状に構成すると共に挿通孔の内周面のうち平面状部分に前記ギャップが位置するように連結ピンを挿通すると良い。このような構成によれば、連結ピンを回り止め状態で挿通孔に固定できるという効果が得られる。
【0034】
【発明の効果】
本発明は以上の説明から明らかなように、連結ピンをリンクの挿通孔に対して弾性変形により圧入するようにしたので、挿通孔に対する連結ピンの固定作業を簡単且つ短時間で行うことができ、しかも、挿通孔に対する連結ピンの着脱作業を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すチェーンコンベアの一部の概略的な斜視図
【図2】図1を矢印方向から見て示す図
【図3】コンベアチェーンの一部を示す側面図
【図4】連結部の一部を破断して示すコンベアチェーンの一部の下面図
【図5】連結ピンの斜視図
【符号の説明】
図中、1はチェーンコンベア、2はレール、3は軌道、4はコンベアチェーン、5はリンク、6は連結ピン、6aは周壁部、7はトッププレート、8は第1の連結部、9は第2の連結部、11,12は挿通孔、14はギャップを示す。
Claims (5)
- 連結ピンによって相互に連結された多数のリンクから成り一対の相隔てられたレールからなる軌道に沿って移動されるコンベアチェーンにおいて、
前記連結ピンは、略円筒状をなすと共にその周壁部に軸方向一端部から他端部まで延びるギャップを有し、前記ギャップ幅が小さくなる方向に弾性変形可能に構成され、
前記リンクは、その移動方向両端部に断面略円形状をなし前記連結ピンが挿通される挿通孔を有し、前記挿通孔の一方は他方よりも内径寸法が小さく前記連結ピンが弾性変形して圧入されるように構成されていることを特徴とするコンベアチェーン。 - リンクは、上面に物品が載置されるトッププレートと、前記トッププレートの移動方向両端部に設けられ挿通孔を有する連結部とを備え、
連結ピンは、前記連結部よりも硬い材料から構成されていることを特徴とする請求項1記載のコンベアチェーン。 - 連結ピン及び連結部は、いずれも金属材料から構成されていることを特徴とする請求項2記載のコンベアチェーン。
- 連結ピン及び連結部は同じ金属材料から構成され、前記連結ピンは焼き入れにより前記連結部よりも硬くなるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のコンベアチェーン。
- 連結ピン及び連結部は、いずれもステンレス鋼から構成されていることを特徴とする請求項4記載のコンベアチェーン。
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