JP4241351B2 - 可変圧縮比内燃機関の制御装置及び制御方法 - Google Patents

可変圧縮比内燃機関の制御装置及び制御方法 Download PDF

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Description

この発明は、機関圧縮比を変更可能な可変圧縮比内燃機関に関する。
機関圧縮比を変更可能なエンジンすなわち内燃機関では、圧縮比を高くするほど、燃料消費率が向上する一方、特に高負荷運転域でノッキング(単にノックとも呼ぶ)が発生し易くなる。そこで、特許文献1には、低負荷運転時には高圧縮比とし、高負荷運転時には低圧縮比とすることによって、ノッキングを生じることなく燃料消費率を向上する試みが開示されている。
特開平7−229431号公報
図15を参照して、機関加速時のように低負荷運転域から高負荷運転域に移行する際には、ノッキングの発生を回避するために、典型的には負荷の増加に合わせて圧縮比を低下する。この際、望ましくはスロットル開度や過給圧等による吸気系の応答遅れ、つまり機関負荷・吸気量の応答遅れを考慮して圧縮比の目標値を設定する。例えば、加速初期段階のように、吸気系の応答遅れにより実際の負荷が定常的に到達すべき目標負荷よりも低い状態であれば、圧縮比の目標値を増加側に補正すれば良い。
但し、圧縮比の変化には、圧縮比を変化させる機構やそのアクチュエータに依存して、不可避的に応答遅れを伴う。このような圧縮比の応答遅れに起因して、上述したように吸気系の応答遅れを考慮して圧縮比を制御しても、実際の圧縮比が目標圧縮比に対して偏差・ばらつきを生じ、機関運転性に支障をきたすおそれがある。例えば、加速状態において、上記のようにノックが生じない範囲で実負荷に応じて圧縮比を増加側に補正している場合、ノックに対する圧縮比の余裕が少なく、過渡的に実圧縮比が目標圧縮比よりも大きくなると、ノックを生じるおそれがある。このような圧縮比の応答遅れに起因する制御精度の低下を防止するために、例えば圧縮比の応答性を高めようとすると、アクチュエータの大型化やコスト増加を招いてしまう。本発明は、このような課題に鑑みてなされたものである。
機関運転状態に基づいて推定エンジン負荷を推定し、この推定エンジン負荷に基づいて、第1の目標圧縮比を設定し、この第1の目標圧縮比に対し、圧縮比の応答遅れを考慮した位相進み処理を行って、第2の目標圧縮比を設定し、この第2の目標圧縮比へ向けて圧縮比を制御する。
実際のエンジン負荷に基づいて推定エンジン負荷を推定し、この推定エンジン負荷に基づいて、吸気系の応答遅れ等を考慮した本来の目標値である第1の目標圧縮比を求め、この第1の目標圧縮比に対して、圧縮比の応答遅れを考慮した位相進み処理を行って、最終的な目標圧縮比である第2の目標圧縮比を演算している。従って、圧縮比を変化させる機構やそのアクチュエータに起因して、圧縮比の応答性が比較的遅い場合であっても、実際の圧縮比を、本来の目標値である第1の目標圧縮比に十分に近づけることができる。その結果、圧縮比の制御精度が向上し、ノックの発生を回避しつつ燃費等の機関性能を向上することができる。
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図2は、本発明に係る可変圧縮比内燃機関1の一例を示している。クランクシャフト31は、複数のジャーナル部32とクランクピン33とカウンタウエィト部31aとを備えている。ジャーナル部32は機関本体となる図示せぬシリンダブロックの主軸受に回転自在に支持されている。クランクピン33は、ジャーナル部32から所定量偏心している。シリンダブロックのシリンダ39には燃焼圧力を受けるピストン38が昇降可能に嵌合している。シリンダ39の上部には、クランクシャフト31の回転に同期して吸気ポート44を開閉する吸気弁43と、同じくクランクシャフト31の回転に同期して排気ポート46を開閉する排気弁45と、が配置されている。
この内燃機関1は、複リンク式のピストン−クランク機構を利用した可変圧縮比機構を備えている。この可変圧縮比機構は、クランクピン33に回転可能に嵌合するロアリンク34と、このロアリンク34とピストン38とを連係するアッパリンク35と、ロアリンク34に一端が連結された制御リンク40と、を有し、この制御リンク40を介してロアリンク34の運動拘束条件を変化させることにより機関圧縮比を可変とする。
ロアリンク34は、略T字形をなすもので、その本体34aとキャップ34bとから分割可能に構成された略中央の連結孔に、クランクピン33が嵌合している。アッパリンク35は、下端側が連結ピン36によりロアリンク34に回動可能に連結され、上端側がピストンピン37によりピストン38に回動可能に連結されている。制御リンク40は、上端側が連結ピン41によりロアリンク34に回動可能に連結され、下端側が制御軸42を介して機関本体としての例えばシリンダブロックの適宜位置に回動可能に連結されている。詳しくは、制御軸42は、小径部42bを中心として回転するように機関本体に支持されており、この小径部42bに対して偏心している大径部42aに、制御リンク40下端部が回転可能に嵌合している。
制御軸42は、後述する圧縮比制御アクチュエータによって回動位置が制御される。この圧縮比制御アクチュエータは、制御リンク40から加わる反力に抗して、任意の回動位置で制御軸42を保持することができるようになっている。制御軸42が圧縮比制御アクチュエータによって回動されると、小径部42bに対して偏心している大径部42aの軸中心位置、特に、機関本体に対する相対位置が変化する。これにより、制御リンク40の下端の揺動支持位置が変化し、ロアリンク34の運動拘束条件が変化し、ピストン38のストローク特性が変化して、機関圧縮比が変化する。
このような可変圧縮比機構は、機関運転状態に応じて機関圧縮比を連続的に変更・制御できることに加え、次のような作用効果を奏する。ピストン38とクランクピン33とを複数のリンク部品(アッパリンク及びロアリンク)により連係する複リンク式のピストン−クランク機構であるため、ピストンとクランクピンとを一本のコンロッドにより連係する単リンク式のピストン−クランク機構に比して、ピストンのストローク特性そのものを例えば単振動特性のような適正な特性に近づけることが可能である。制御リンク40をロアリンク34からほぼ下方に延びるように配置しているため、制御軸42を比較的スペースに余裕のあるクランクシャフト31の斜め下方のクランクケース内に配置することができる。従って、制御軸42及びそのアクチュエータや制御リンク40をクランクケース内に容易に収容・配置することが可能で、機関搭載性に優れている。
また、この内燃機関1は、過給機としてターボ過給機51を備えている。このターボ過給機51は、排気通路54に位置するタービン52と吸気通路55に位置するコンプレッサ53とを同軸状に配置した構成であり、運転条件に応じて過給圧を制御するために、タービン52の上流側から排気の一部をバイパスさせる排気バイパス弁56を備えている。
図1は、内燃機関1の制御装置のシステム構成を示す説明図である。吸気通路55のコンプレッサ53上流には、吸気量(吸入空気量)を検出するエアフロメータ2が配置され、コンプレッサ53の下流にはインタクーラ3が配設され、更にその下流側に実過給圧を検出する吸気圧センサ4が配置されている。また、機関のクランク角を検出するクランク角センサ5と、排気組成に応答する酸素センサ6と、冷却水温を検出する水温センサ7と、ノッキングを検出するノッキングセンサ8と、吸気通路を開閉して吸気量を調整するスロットル弁9の開度を検出するスロットル開度センサ10と、アクセルペダルの操作量すなわちアクセル開度を検出するアクセル開度センサ21と、等を備えている。これらのセンサ類の検出信号は、エンジンコントロールモジュール(ECM)11に入力されている。
また主要なアクチュエータ類として、排気バイパス弁56のダイヤフラム部56Aへの負圧供給を制御する電磁式の過給圧コントロールバルブ12と、前述した制御軸42を動かして圧縮比を制御する圧縮比制御アクチュエータ13と、吸気バイパス通路14を介して導入される補助空気量を制御するAACバルブ15と、を備えている。なお、スロットル弁9は、アクセル開度とは独立して開度を制御可能な電制スロットルであり、図示せぬアクチュエータにより駆動制御される。これらのアクチュエータ類はエンジンコントロールモジュール11の出力信号によって制御される。圧縮比制御アクチュエータ13は、例えばステップモータからなる。AACバルブ15は、主にアイドル回転数のフィードバック制御や補機駆動トルクの相殺のために用いられる。そのほか、燃料噴射弁16の噴射量や噴射時期、さらには点火プラグ17による点火時期、等もエンジンコントロールモジュール11によって制御される。なお、図1において、18はエアクリーナ、19は触媒コンバータ、20は排気消音器、をそれぞれ示している。
上記の構成においては、機関運転条件に応じて過給圧の目標値としての定常到達過給圧が求められ、この定常到達過給圧に応じた過給圧制御信号(デューティ信号)がエンジンコントロールモジュール11から過給圧コントロールバルブ12へ出力されて、過給圧が制御される。この過給圧は、高速高負荷域ほど高過給圧に制御される。
一方、圧縮比は、やはり機関運転条件に応じて最適となるように、圧縮比制御アクチュエータ13を介して目標圧縮比へ向けて制御される。この圧縮比制御は、基本的には、高過給圧となる条件ほど低圧縮比に、低過給圧となる条件ほど高圧縮比に、制御される。すなわち、高過給運転時はノッキング回避のため圧縮比を低くし、低過給運転時は熱効率向上(燃費向上)のために圧縮比を高く保つようにしている。
図3及び図4は、本発明の第1実施例に係る制御ルーチンを示す制御ブロック図及びフローチャートである。このような制御ルーチンは、エンジンコントロールモジュール11内で所定期間毎(例えば10ms毎あるいは所定のクランク角毎)に繰り返し実行される。なお、図6や図7等のマップ類は予め設定されてエンジンコントロールモジュール11のメモリ内に記憶・格納されている。後述する第2実施例でも同様である。
ステップ(図ではSと略す)1では、図5に示すサブルーチンにより、実際のエンジン負荷に相当する推定エンジン負荷を推定する(エンジン負荷推定手段)。詳しくは、ステップ11では、アクセル開度及びエンジン回転数に基づいて、図6に示す定常エンジン負荷推定マップを検索(ルックアップ)して、定常的に到達すべき静的なエンジン負荷の目標値に相当する定常エンジン負荷を演算する。アクセル開度は上記のアクセル開度センサ21により検出される。エンジン回転数はクランク角センサ5の検出信号を利用して演算される。
ステップ12では、下記の式(1)により、上記の定常エンジン負荷に対して実際の負荷の応答遅れ、つまり吸気系の応答遅れを考慮した推定エンジン負荷を演算する。つまり、この第1実施例では、推定エンジン負荷は、実際のエンジン負荷の応答遅れを考慮した推定値である。式(1)は、定常エンジン負荷と推定エンジン負荷との関係が1次遅れの関係で表されるものとした場合の推定式である。この式(1)は、連続時間系の伝達関数を用いて、式(2)で表される定常エンジン負荷と推定エンジン負荷との関係を離散化し、差分方程式化したものである。
Figure 0004241351
ステップ2では、エンジン回転数と推定エンジントルク(負荷)とに基づいて、図7に示す第1の目標圧縮比設定マップを検索して、第1の目標圧縮比を演算・設定する(第1の目標圧縮比設定手段)。図7に示すように、高回転域では、エンジン回転数の増加に伴って第1の目標圧縮比が低くなる。
ステップ3では、第1の目標圧縮比に対し、下記の式(3)により圧縮比の応答遅れを考慮した位相進み処理(位相補正処理)を行って、第2の目標圧縮比を演算・設定する(第2の目標圧縮比設定手段)。この式(3)は、連続時間系の伝達関数を用いて、式(4)で表される第1の目標圧縮比と第2の目標圧縮比との関係を離散化し、差分方程式化したものである。
Figure 0004241351
ステップ4では、最終的な目標圧縮比である第2の目標圧縮比に応じた指令信号を圧縮比制御アクチュエータ13へ出力し、機関圧縮比を第2の目標圧縮比へ向けて操作・制御する(圧縮比制御(操作)手段)。
図8及び図9は、本発明の第2実施例に係る制御ルーチンを示す制御ブロック図及びフローチャートである。
ステップ21では、図10に示すサブルーチンにより、推定エンジン負荷を推定する(エンジン負荷推定手段)。詳しくは、ステップ31では、アクセル開度及びエンジン回転数に基づいて、図11に示す定常エンジン負荷推定マップを検索(ルックアップ)して、定常的に達成すべき静的なエンジントルクの目標値である定常エンジン負荷を演算する(定常エンジン負荷演算手段)。アクセル開度は上記のアクセル開度センサ21により検出される。エンジン回転数はクランク角センサ5の検出信号を利用して演算される。
ステップ32では、エンジン回転数とアクセル開度とに基づいて、図12に示す定常過給圧推定マップを検索して、定常的に到達すべき静的な過給圧の目標値に相当する定常過給圧を演算・推定する(定常過給圧演算手段)。ステップ33では、下記の式(5)により、上記の定常過給圧に基づいて、実際の過給圧に相当する実過給圧を推定する(過給圧推定手段)。この式(5)では、定常過給圧と実過給圧とが一次遅れの関係にあるものとして推定を行っている。式(5)は、連続時間系の伝達関数を用いて、式(6)で表される定常過給圧と実過給圧との関係を離散化し、差分方程式化したものである。
Figure 0004241351
ステップ34では、下記の式(7)により、定常エンジン負荷と実過給圧とに基づいて、推定エンジン負荷を演算する(エンジン負荷演算手段)。具体的には、定常エンジン負荷に対し、定常過給圧と実過給圧との比を乗じて推定エンジン負荷を求める。この第2実施例では、推定エンジン負荷が、コレクタ等によって生じる吸気系の動的な応答遅れの分、実際のエンジン負荷に対して位相の進んだエンジン負荷に相当する。
Figure 0004241351
再び図8及び図9を参照して、ステップ22では、エンジン回転数と推定エンジン負荷とに基づいて、図13に示す第1の目標圧縮比設定マップを検索して、第1の目標圧縮比を演算・設定する(第1の目標圧縮比設定手段)。図13に示すように、高回転域では、エンジン回転数の増加に伴って第1の目標圧縮比が低くなる。
ステップ23では、第1の目標圧縮比に対し、下記の式(8)により圧縮比の応答遅れを考慮した位相補正処理(位相進み処理)を行って、第2の目標圧縮比を演算・設定する(第2の目標圧縮比設定手段)。この式(8)は、連続時間系の伝達関数を用いて、式(9)で表される第1の目標圧縮比と第2の目標圧縮比との関係を離散化し、差分方程式化したものである。
Figure 0004241351
第2実施例の特徴として、これら式(8)及び(9)において、単なる制御用パラメータである第1実施例の位相進み処理用パラメータτεに代えて、吸気系の応答遅れに対応するコレクタ充填遅れ相当の時定数τcを用いている。この時定数τcは、コレクタ容量,エンジン回転数及び排気容積等に応じて設定される。この時定数τcを用いることにより、第1の目標圧縮比の設定に吸気系の応答遅れを反映させつつ、圧縮比の応答遅れを考慮した位相進め処理による第2の目標圧縮比の演算・設定を容易かつ精度良く行うことが可能となる。
ステップ24では、最終的な目標圧縮比である第2の目標圧縮比に応じた指令信号を圧縮比制御アクチュエータ13へ出力し、機関圧縮比を第2の目標圧縮比へ向けて操作・制御する(圧縮比制御手段)。
以上の実施例より把握し得る発明を、その作用効果とともに列記する。なお、対応する実施例を付記している。
(1)第1発明(第1実施例)
機関運転状態に基づいて、実際のエンジン負荷に相当する推定エンジン負荷を推定するエンジン負荷推定手段と、上記推定エンジン負荷に基づいて、第1の目標圧縮比を設定する第1の目標圧縮比設定手段と、上記第1の目標圧縮比に対し、圧縮比の応答遅れを考慮した位相進み処理を行って、第2の目標圧縮比を設定する第2の目標圧縮比設定手段と、上記第2の目標圧縮比へ向けて圧縮比を制御する圧縮比制御手段と、を有する。
実際のエンジン負荷に相当する推定エンジン負荷に基づいて、吸気の応答遅れを考慮した第1の目標圧縮比を求め、この第1の目標圧縮比に対して、圧縮比の応答遅れを考慮した位相進み処理を行って、最終的な目標圧縮比である第2の目標圧縮比を演算している。従って、圧縮比を変化させる機構やそのアクチュエータに起因して、圧縮比の応答性が比較的遅い場合であっても、実際の圧縮比を、本来の目標値である第1の目標圧縮比に十分に近づけることができる。具体的には、図14に示すように、機関加速時においても、実際の圧縮比と第1の目標圧縮比との差・ばらつきが、図15に示す参考例に比して十分に小さく抑制される。このように、圧縮比の制御精度が向上するために、ノックの発生を回避しつつ燃費等の機関運転性能を向上することができる。
(2)第2発明(第2実施例)
機関運転状態に基づいて、実際のエンジン負荷に対し、吸気系の応答遅れ分、位相の進んだ推定エンジン負荷を推定するエンジン負荷推定手段と、上記推定エンジン負荷に基づいて、第1の目標圧縮比を設定する第1の目標圧縮比設定手段と、上記第1の目標圧縮比に対し、圧縮比の応答遅れと吸気系の応答遅れとを考慮した位相補正処理を行って、第2の目標圧縮比を演算する第2の目標圧縮比設定手段と、上記第2の目標圧縮比へ向けて圧縮比を制御する圧縮比制御手段と、を有する。
上記の位相補正処理に関し、分子次数が分母次数を超える伝達関数は、実際のコントローラ上での処理が非常に困難である。従って、位相補正処理の伝達関数は、圧縮比の応答性に相当する伝達関数の逆系に完全に一致させることができないだけでなく、演算も非常に煩雑になる傾向にある。第2発明は、このような課題を解消するものであり、簡素な演算処理でありながら、実現させたい圧縮比である第1の目標圧縮比と実際の圧縮比とを精度良く一致させることができる。その理由について説明する。
実現させたいのは、実際の圧縮比rεを実際のトルク(エンジン負荷)rTeと同位相で操作・制御することである。よって実現させたい理想圧縮比iεは、動特性を含まない関数fを用いて、下記の式(10)で表される。
Figure 0004241351
第1の目標圧縮比tε1は下記の式(11)で演算される。推定エンジントルク(負荷)yTeは、実トルクrTeに対してコレクタの充填遅れ分、つまり吸気系の応答遅れ分、位相の進んだエンジントルクに相当する。従って、推定エンジントルクと実トルクとは下記の式(12)の関係で表される。なお、τcは、上述したように、コレクタ充填遅れ、つまり吸気系の応答遅れに相当する時定数である。
Figure 0004241351
実圧縮比rεは、最終的な目標圧縮比である第2の目標圧縮比tε2に対し、時定数τvcrの遅れで追従するものとすると、下記の式(13)で表される。
Figure 0004241351
第2の目標圧縮比tε2は、下記の式(14)により、第1の目標圧縮比に対して圧縮比の応答遅れと吸気系の応答遅れとを考慮した位相補正処理(位相進み処理)を行って演算される。ここで、伝達関数の分母側で用いる係数として、上述した時定数τcを用いる。
Figure 0004241351
上記の式(13)と式(14)から、実圧縮比は下記の式(15)で表すことができる。
Figure 0004241351
さらに、式(11)と式(15)から、実圧縮比は式(16)で表すことができる。
Figure 0004241351
ここで、トルクと圧縮比の静的な関係を表す関数fが式(17)のような1次式の関係で表されるものとする。
Figure 0004241351
上記の式(16)と式(17)から式(18)が求められる。
Figure 0004241351
式(18)の右辺第2項は、実際にはBに収束していくことから、式(19)のように変更できる。
Figure 0004241351
式(19)の右辺第1項に式(12)を代入して、式(20)が求められる。
Figure 0004241351
関数fを用いると式(20)は式(21)のように変更できる。
Figure 0004241351
式(17)のように、トルクと圧縮比の関係が線形であるならば、式(10)と式(21)とにより、この第2発明により実現される実際の圧縮比は、式(10)で表される理想圧縮比と精度良く一致する。従って、この第2発明によれば、簡素な演算処理でありながら、圧縮比の応答遅れと吸気系の応答遅れとを考慮して圧縮比の制御精度を著しく向上することができる。
(3)第3発明(第2実施例)
第2発明のエンジン負荷推定手段が、アクセル開度に基づいて、定常的に到達すべき定常エンジン負荷を演算する定常エンジン負荷演算手段と、アクセル開度に基づいて、定常的に到達すべき定常過給圧を演算する定常過給圧演算手段と、アクセル開度と定常過給圧とに基づいて、実際の過給圧に相当する実過給圧を推定する過給圧推定手段と、上記定常過給圧と実過給圧とに基づいて上記定常エンジン負荷を補正することにより、上記推定エンジン負荷を演算するエンジン負荷演算手段と、を有する。
この第3発明は、過給機付きエンジンにおいて、過給を含めた吸気系の動的な遅れ分、位相の進んだエンジン負荷を推定する方法を特定したものである。
(4)第4発明
クランクシャフトのクランクピンに回転可能に嵌合するロアリンクと、このロアリンクとピストンとを連係するアッパリンクと、ロアリンクに一端が連結された制御リンクと、を有し、この制御リンクを介してロアリンクの運動拘束条件を変化させることにより機関圧縮比を可変とする可変圧縮比機構を有する。
この可変圧縮比機構は、機関圧縮比を連続的に変更できることに加え、コンパクトで機関搭載性に優れ、かつ、ピストンストローク特性そのものを適正化することができる。
この発明に係る可変圧縮比内燃機関の制御装置の全体構成を示す説明図。 可変圧縮比機構の構成を示す構成説明図。 本発明の第1実施例に係る制御の流れを示すブロック図。 上記第1実施例に係る制御の流れを示すフローチャート。 エンジン負荷推定サブルーチン。 定常エンジン負荷推定マップ。 第1の目標圧縮比設定マップ。 本発明の第2実施例に係る制御の流れを示すブロック図。 上記第2実施例に係る制御の流れを示すフローチャート。 エンジン負荷推定サブルーチン。 定常エンジン負荷推定マップ。 定常過給圧推定マップ。 第1の目標圧縮比設定マップ。 本発明に係る機関加速時の圧縮比等の変化を示す作用説明図。 参考例に係る機関加速時の圧縮比等の変化を示す作用説明図。
符号の説明
1…可変圧縮比内燃機関
11…エンジンコントロールモジュール
13…圧縮比制御アクチュエータ
51…ターボ過給機

Claims (6)

  1. 圧縮比を可変とする可変圧縮比機構を備えた可変圧縮比内燃機関の制御装置において、
    機関運転状態に基づいて、定常的に到達すべき静的なエンジン負荷の目標値に相当する定常エンジン負荷を算出する定常エンジン負荷算出手段と
    上記定常エンジン負荷に対し、実際のエンジン負荷の応答遅れを考慮した補正処理を行って、推定エンジン負荷を推定するエンジン負荷推定手段と、
    上記推定エンジン負荷に基づいて、第1の目標圧縮比を設定する第1の目標圧縮比設定手段と、
    上記第1の目標圧縮比に対し、上記可変圧縮比機構による圧縮比の応答遅れ考慮した位相進み処理を行って、第2の目標圧縮比を演算する第2の目標圧縮比設定手段と、
    上記第2の目標圧縮比へ向けて圧縮比を制御する圧縮比制御手段と、
    を有する可変圧縮比内燃機関の制御装置。
  2. 圧縮比を可変とする可変圧縮比機構を備えた可変圧縮比内燃機関の制御装置において、
    機関運転状態に基づいて、定常的に到達すべき静的なエンジン負荷の目標値に相当する定常エンジン負荷を算出する定常エンジン負荷算出手段と
    上記定常エンジン負荷に対し、実際のエンジン負荷の応答遅れを考慮した補正処理を行って、推定エンジン負荷を推定するエンジン負荷推定手段と、
    上記推定エンジン負荷に基づいて、第1の目標圧縮比を設定する第1の目標圧縮比設定手段と、
    上記第1の目標圧縮比に対し、上記可変圧縮比機構による圧縮比の応答遅れと吸気系の応答遅れとを考慮した位相補正処理を行って、第2の目標圧縮比を演算する第2の目標圧縮比設定手段と、
    上記第2の目標圧縮比へ向けて圧縮比を制御する圧縮比制御手段と、
    を有する可変圧縮比内燃機関の制御装置。
  3. 上記第2の目標圧縮比設定手段による位相補正処理では、エンジン回転数及び排気容積に応じて設定される吸気応答遅れに対応する時定数が用いられる請求項2に記載の可変圧縮比内燃機関の制御装置。
  4. 上記エンジン負荷推定手段が、
    アクセル開度に基づいて、定常的に到達すべき定常エンジン負荷を演算する定常エンジン負荷演算手段と、
    アクセル開度に基づいて、定常的に到達すべき定常過給圧を演算する定常過給圧演算手段と、
    アクセル開度と定常過給圧とに基づいて、実際の過給圧に相当する実過給圧を推定する過給圧推定手段と、
    上記定常過給圧と実過給圧とに基づいて上記定常エンジン負荷を補正することにより、上記推定エンジン負荷を演算するエンジン負荷演算手段と、
    を有する請求項2又は3に記載の可変圧縮比内燃機関の制御装置。
  5. クランクシャフトのクランクピンに回転可能に嵌合するロアリンクと、このロアリンクとピストンとを連係するアッパリンクと、ロアリンクに一端が連結された制御リンクと、を有し、この制御リンクを介してロアリンクの運動拘束条件を変化させることにより機関圧縮比を可変とする可変圧縮比機構を有する請求項1〜のいずれかに記載の可変圧縮比内燃機関の制御装置。
  6. 圧縮比を可変とする可変圧縮比機構を備えた可変圧縮比内燃機関の制御方法において、
    機関運転状態に基づいて、定常的に到達すべき静的なエンジン負荷の目標値に相当する定常エンジン負荷を算出し、
    上記定常エンジン負荷に対し、実際のエンジン負荷の応答遅れを考慮した補正処理を行って推定エンジン負荷を推定し、
    この推定エンジン負荷に基づいて、第1の目標圧縮比を設定し、
    この第1の目標圧縮比に対し、上記可変圧縮比機構による圧縮比の応答遅れを考慮した位相進み処理を行って、第2の目標圧縮比を設定し、
    この第2の目標圧縮比へ向けて圧縮比を制御する、
    可変圧縮比内燃機関の制御方法。
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