JP4241198B2 - 効果付与装置及びプログラム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、入力信号の振幅レベルを規定のレベル以下に抑えることによって入力信号に対して音響的な効果を付与する、所謂リミッタと呼ばれる効果付与装置及びプログラムに関する。特に、効果付与の際に波形歪みの少ない出力信号を簡単な構成で効率的に生成することのできるようにした効果付与装置及びプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平11−55056号公報
従来から、オーディオ信号などの入力信号の振幅レベルが規定のレベルを超える区間において規定のレベル以下の値に振幅レベルを減衰させたり、あるいは広い音量差(ダイナミックレンジ)のオーディオ信号の振幅レベルを狭いレンジの中に圧縮して均一に近い状態に持っていくことにより、演奏とは別の方法で抑揚をつけられるようにあるいは奏法をフォローする形で、入力されたオーディオ信号を加工して音響効果を付与する効果付与装置(リミッタエフェクタとも呼ぶ)が知られている。こうした効果付与装置においては、音響的な効果を付与するために実行される上記したようなオーディオ信号の振幅リミット技術として「コンプ法」又は「飽和非線形法」の少なくとも一方の方法が用いられていることが一般的である。
【0003】
オーディオ信号の振幅リミット技術の1つである「コンプ法」は所謂コンプレッサと基本原理が同じものであり(「コンプ法」を用いたリミッタエフェクタを特にコンプ・リミッタなどと呼ぶ)、例えば図5に示す例のように絶対値回路Z、平滑化回路(エンベロープ検出回路)H、ゲインリダクション(ゲイン変換回路)GR、遅延回路DB、乗算器Y等の各種回路を含んで構成されてなる効果付与装置であって、上記したような音響的な効果の付与を実現する。この図5に示した効果付与装置の動作について簡単に説明すると、まず入力端子1から入力されたオーディオ信号の振幅レベルを絶対値回路Zにより絶対値化することでオーディオ信号を全波整流し、これをアタック・リリース形成の充放電回路からなる平滑化回路Hに対して供給する。該平滑化回路Hでは前記絶対値回路Zにより全波整流されたオーディオ信号に基づいて該信号の振幅エンベロープを形成して、該形成した振幅エンベロープをゲインリダクションGRに通す。ゲインリダクションGRはオリジナルのオーディオ信号の振幅エンベロープをキャンセルするために、逆数的なカーブを持つ関数(後述の図2参照)に従って振幅エンベロープのレベルの大きさに応じたゲインシグナル(ゲイン係数)を決定するものである。すなわち、平滑化回路Hで生成した振幅エンベロープをゲインリダクションGRに通すことによって、ゲインリダクションGRからは所定のゲインシグナルが得られる。
【0004】
一方、こうした信号経路(パス)とは別のパスとしてオリジナルのオーディオ信号をそのまま通すパスが形成されており、当該パス側には遅延回路DBのみが配置される。平滑化回路Hにおいて、入力されたオリジナルのオーディオ信号のアタック部分において充電回路が立ち上がるまでには時間がかかることから、この遅延回路DBではオリジナルのオーディオ信号を上記平滑化回路Hにより形成された振幅エンベロープに対して時間的に遅らせるように出力制御することで、入力オーディオ信号の規定のレベルを超える振幅ピークをつぶしきれないことを回避する。そして、ゲインリダクションGRから得られたゲインシグナルと前記遅延回路DBにより時間的に遅延されたオリジナルのオーディオ信号とを乗算器Yにより乗算する。こうすることにより、入力オーディオ信号の振幅レベルが規定のレベルを超える区間において規定のレベル以下の値に振幅を制限するようにしている。
【0005】
また、上記「コンプ法」とは異なるオーディオ信号の振幅リミット技術である「飽和非線形法」は単純に図6に示すような飽和型の非線形なカーブをもつ非線形回路(図示せず)に対して入力オーディオ信号を通すことで、規定のレベル付近における入力オーディオ信号の振幅レベルが大きい箇所についてのみ波形を歪ませるようにして振幅を制限するようにしたものである。すなわち、入力オーディオ信号の振幅レベルを規定のレベルを超える付近の区間においてのみ、規定のレベル以下の値に振幅レベルを減衰させる。こうした「飽和非線形法」は当然に出力波形に歪みを生むものである。したがって、従来では例えば極めて振幅レベルの大きなピークで上記した「コンプ法」でも除去しきれなかったピークについても最大レベルをキープするための最終手段という形でのみ、当該「飽和非線形法」は用いられることが多いものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したような「コンプ法」又は「飽和非線形法」にはそれぞれ以下に示すような問題点が挙げられる。すなわち、「コンプ法」においては、アタック・リリース形成の充放電回路からの出力信号である振幅エンベロープにリップルが乗りやすく、リップルが乗るとゲイン信号が変動してしまうことから出力信号に波形歪みが発生する原因となる。そこで、アタック・リリースにかかる時間を長めにとるようにすると、振幅エンベロープに乗るリップルが減少することに伴って出力波形に発生する波形歪みを減らすことができるようになる。しかし、このようにアタック・リリースにかかる時間を長めにとると平滑化回路Hの応答性が極めて悪くなってゲイン変化が非常に遅くなってしまうことから、ゲインを絞ったということが明らかになってしまう出力信号が生成されてしまい非常に都合が悪い。このように、「コンプ法」ではゲイン変化の速さとリップルの少なさとを両立させることが非常に困難である、という問題点があった。
他方、「飽和非線形法」においてはゲイン変化は早いし振幅エンベロープにリップルが乗ることもなくよいが、上述したようにそもそも飽和型の非線形なカーブをもつ非線形回路により振幅レベルを制限するものであることから出力信号に対して当然に波形歪みを生むものである、という問題点があった。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、入力信号の振幅レベルを規定のレベル以下に制限することによって入力信号に対して音響的な効果を付与する際において、従来にない簡単な構成で波形歪みの少ない出力信号を生成することのできるようにした効果付与装置及びプログラムを提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る効果付与装置は、入力された信号の所定複数サンプルの各振幅値に対して予め対応付けられている重み付け係数を夫々個別に乗算する複数の乗算手段であって、前記重み付け係数は、1又は連続するいくつかの複数サンプルにおいて最大値を、それに前後するサンプルにおいてサンプル毎に順次段階的に小さくなる値をとるよう各乗算手段に対応付けられるものと、前記各サンプルの乗算結果の中から最大振幅値を選択し、該選択した最大振幅値が所定のスレッショルドレベルを超えるまではゲイン係数を前記最大振幅値に関わらずに所定の固定値に決定する一方で、所定のスレッショルドレベルを超えた場合にはゲイン係数を所定の特性に従って前記最大振幅値に応じて変化する値のいずれかに決定するゲイン決定手段と、前記決定されたゲイン係数で前記入力された信号の振幅値のレベルを制御するレベル制御手段とを具える。
【0009】
この発明によれば、入力された信号の所定複数サンプルの各振幅値に対して予め対応付けられている重み付け係数を夫々個別に乗算し、前記各サンプルの乗算結果の中から最大振幅値を選択し、該選択した最大振幅値に基づきゲイン係数を決定する。この際には、最大振幅値が所定のスレッショルドレベルを超えるまではゲイン係数を前記最大振幅値に関わらずに所定の固定値に決定する一方で、所定のスレッショルドレベルを超えた場合にはゲイン係数を所定の特性に従って前記最大振幅値に応じて変化する値のいずれかに決定する。そして、決定されたゲイン係数で前記入力された信号の振幅値のレベルを制御することにより出力信号を生成するようにした。すなわち、入力された信号の所定複数サンプルの各振幅値に対して重み付けをした上で、重み付けをした結果の最大の振幅値に応じてゲイン係数を決定する。このようにして、本発明に係る効果付与装置では、入力された信号の所定複数サンプル毎の振幅レベルに対して重み付けを行い、該重み付けされた複数サンプル毎の振幅レベルに従って適用すべきゲイン係数を決定することによって、入力信号の振幅レベルを規定のレベル以下に抑えて音響的な効果を付与した出力信号を歪みの少ない波形で生成することが従来にない簡単な構成でできるようになる。
【0011】
この発明は装置の発明として構成し実施することができるのみならず、方法の発明として構成し実施することができる。また、本発明はコンピュータまたはDSP等のプロセッサのプログラムの形態で実施することができるし、そのようなプログラムを記憶した記録媒体の形態で実施することもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照してこの発明の一実施例について説明する。
【0013】
図1は、この発明に係る効果付与装置(リミッタエフェクタ)の実施の形態を示すハード構成ブロック図である。この実施例に示す効果付与装置は、入力されたオリジナルのオーディオ信号に対して非線型のリミッタ処理を施し振幅レベルの制御を実行することによって、リミッタ処理を施したオーディオ信号、つまり音響的な効果を付与したオーディオ信号を出力信号として生成するリミッタエフェクタ装置である。この図1に示す効果付与装置は、入力されたオリジナルのオーディオ信号の振幅レベルを制御する際において、特に波形の歪みを少なくすることで音質が損なわれることのない出力信号を生成することを、従来にない簡単な構成で実現するものである。
【0014】
図1に示した効果付与装置は、入力端子1から供給された入力信号であるオリジナルのオーディオ信号(以下、これを簡略して単にオリジナル信号と呼ぶ)の振幅レベルの絶対値をとることによりオリジナル信号の全波整流を行う絶対値回路Zと、前記絶対値回路Zにより全波整流されたオリジナル信号の絶対振幅レベルに応じて所定の係数からなるゲイン信号(ゲインシグナル)を決定するゲインシグナル決定回路Xと、入力端子1から供給されたオリジナル信号を所定のサンプリング周期分(ここに示した実施例では3サンプリング周期分)だけ遅延させてから後続の乗算器Yに供給する遅延回路DAと、前記ゲインシグナル決定回路Xで生成したゲインシグナルと前記遅延回路DAで所定のサンプリング周期分だけ遅延されたオリジナル信号とを乗算して出力信号である音響的な効果を付与したオーディオ信号を生成する乗算器Yとにより構成される。
【0015】
入力端子1からオリジナル信号が供給されると、絶対値回路Zでは該オリジナル信号の各順次サンプル毎に絶対振幅レベルを検出してオリジナル信号を全波整流する。次に該全波整流されたオリジナル信号は、ゲインシグナル決定回路Xに入力される。ゲインシグナル決定回路Xは直列的に多段(ここに示した実施例では7段)に配置された複数の遅延回路D1〜D7と、これらの遅延回路D1〜D7のそれぞれに入力又は出力される各サンプルの振幅レベルに対して所定の重み付け係数を乗算する乗算器K1〜K8と、前記乗算器K1〜K8から出力された重み付け係数を乗算済みの複数のサンプルの中から最大値を持つサンプルのみを選択的に出力する最大値選択回路Mと、ゲインリダクション(ゲイン変換回路)GRとにより構成される。
【0016】
ゲインシグナル決定回路Xでは、前記複数の遅延回路D1〜D7のそれぞれに入力した1サンプル分の各入力信号の振幅レベルに基づいて決定されたゲインシグナルの中から最大値であるゲインシグナルを1つ決定する。乗算器K1〜K8に対しては各遅延回路D1〜D7に対して入力又は出力される各サンプルに対して段々大きくなってまた小さくなるように設定された固定値を乗算するように所定の重み付け係数が入力されており、該重み付け係数を乗算した結果の全てのサンプルを1つの最大値選択回路Mに導くことによって、入力された複数のサンプルの中から最大値を持つサンプルのみを選択的に出力する。この実施例では、各乗算器K1〜K8のそれぞれに対して順に、0.25、0.75、1.0、1.0、1.0、1.0、0.75、0.25といった固定値からなる重み付け係数が入力されている。このように、乗算すべき重み付け係数を各遅延回路D1〜D7に対して入力又は出力される各サンプル毎に適宜に異ならせることによって、各サンプルに対し現在サンプル位置に相対的に対応する(相前後する)各サンプル位置毎に各々固有の重み付けを加えることができる。これにより、この実施例においては1段目K1及び2段目K2、7段目K7及び8段目K8の各乗算器は3段目K3〜6段目K6の各乗算器に比べて「感度」が鈍くなっている。
【0017】
ゲインリダクションGRは既に説明済みの従来と同様のものであって、図2に示したグラフのように逆数的なカーブを持つ関数に従って入力信号の振幅レベルに応じて所定のゲインシグナルを得るためのものである。この図2から理解できるように、入力信号レベルがスレッショルドレベルと呼ばれる所定の大きさを持つ振幅レベルを超えるまではゲインシグナルは1.0で一定値をとるが、スレッショルドレベルを超えると入力信号の振幅レベルが大きくなるにつれ図示のような非線形である逆数的なカーブである特性に従ってゲインシグナルは1.0以下の値をとる。このように、この実施例に示すゲインシグナル決定回路Xにおいては、複数の遅延回路D1〜D7に供給されて所定の係数が乗算された複数サンプル周期分の入力信号のうち最大の振幅を持つ入力信号に基づきゲインシグナルを決定する。すなわち、ゲインシグナル決定回路Xは入力信号の現在値の近傍の信号の中から振幅が最大のものを得るためのものである。
【0018】
なお、遅延回路DAによる遅延サンプル数は遅延回路D1〜D7に対して入力又は出力される各サンプルに対して設定される重み付け係数分布の最大値に対応する略中央位置とし、この実施例では入力端子1から供給されたオリジナル信号を3サンプリング周期分だけ遅延させてから後続の乗算器Yに供給する。すなわち、ゲインシグナル決定回路Xにおける乗算器K4に入力されたサンプルと同じサンプルが、遅延回路DAから現在サンプルとして乗算器Yに供給されることになる。
【0019】
図1に示した効果付与装置に対して図3(A)に示すようなオーディオ信号を入力した場合には、図3(B)に示すような出力オーディオ信号が結果として得られる。そこで、上述した効果付与装置の動作について図3を用いて簡単に説明する。ただし、ここでは入力信号としてアナログのオーディオ信号を所定の周期でデジタル化したパルシブなサンプル波形(例えばPCM波形など)を用いて説明を行うものとする。すなわち、入力波形は図3(A)に示すように、所定の周期間隔の各時間において適宜の大きさの振幅を持つ信号である。なお、ここでは説明を理解しやすくするために、図中の各サンプル波形に対して「1」から順に数字を付している。
【0020】
図3(A)に示すような入力信号において点4、点5のサンプルのみが最大レベル(スレッショルドレベル)を超えている場合、従来知られた「飽和非線形法」においては点4、点5のサンプルの振幅レベルがスレッショルドレベルにより限定される振幅レベルまで大きく抑えられる(図示しない)。したがって、その結果として波形が大きく歪むことになる。こうした波形の歪みは大きな倍音を生み出し、これが非常に耳障りな高調波を生み出す原因となる。例えばサイン波(正弦波)を入力信号として供給した場合が典型的であり、そうした場合には基音に対して奇数次の倍音が大きく現れる。こうした振幅だけの歪みは、必ず聴感上の「歪み」も生むことから都合が悪いものである。
【0021】
そこで、上記したような本発明に係る効果付与装置においては上述した図1に示すような構成とすることにより、最大レベルを超えている点のレベルを下げるためにはその前の点から徐々にゲインを下げ、またその後は徐々にゲインを戻す処理を行うことができ、波形の歪みを生じることなくかつ有効に振幅のピークを抑えることができるようにしている。すなわち、図3(B)に示す出力信号のように、点4及び点5において振幅のピークが最大値を超えている場合に、ゲインの減衰を点4及び点5は勿論のこと、これらの前のサンプルである点2から起こすようにし、また点4及び点5の後のサンプルである点6〜点8までゲインの減衰を持続させている。そして、この図3(B)から理解できるように、点4、点5の振幅のピークの影響は点9及び点10以降の各サンプルには及ばない。すなわち、点10はそれ自身、最大値を超えていないのでけっしてゲインの減衰を起こさせないようにしている。
【0022】
なお、重み付け係数を例えばこの実施例に示すように4点などの複数のサンプルにわたって「1.0」で最大の重み付けを行うように設定しておけば、例えば4点の半波の幅の正弦波、すなわち1周期8点の長さの正弦波まで(例えば、44.1kHzなら5.5kHz以上)は完全にリップルのないゲインの減衰を起こさせることができるようになり、この点で非常に歪みの少ない出力信号を生成することが可能なリミッタを構成することができることになる、という利点がある。
【0023】
以上のように、このような本発明に係る効果付与装置(リミッタ)においては、サンプルの振幅レベルが最大値(スレッショルドレベル)を超えた点ではその前後のサンプルから徐々にゲインを下げることにより各サンプルの振幅のピークを完全に最大値(スレッショルドレベル)以内におさめると共に、相前後するサンプルから徐々にゲインを下げることにより聴感に聞こえるような歪み成分が極めて僅少な出力信号を生成することができるようになる。特に、任意のサンプルの振幅のピークが突出して大きいような入力信号において、波形を歪ませることなく振幅のピークを完全に最大値内に制限できるようになる場合に顕著に効果が現れる。また、リップルも非常に少なくするようにして出力信号を生成することができるようになる。さらに、振幅のピークが最大値に極めて近いがそれを超えてはいないようなサンプルでは、従来の飽和非線形法では当該サンプルに対するゲインの減衰に伴い波形歪みを起こすものであったが、本発明に係る効果付与装置においてはそうしたサンプルにおいては一切振幅レベルに対するゲインの減衰が起きない。言いかえるならば、そのような場合には一切波形歪みやゲインの揺動は起きることがない。
【0024】
上述した実施例においてはゲインリダクションGRを最大値選択回路Mの後にいれているが、ゲインリダクションGRを絶対値回路Zの直後に配置し、さらに最大値選択回路Mを最小値選択回路Nに交換した構成によっても上記したものと同様の作用により波形歪みの少ない出力信号を得ることができる。そこで、図4に、この発明に係る効果付与装置の他の実施例を示す。この図4に示す効果付与装置においては、オリジナル信号の各順次サンプル毎の振幅レベルに応じたゲインシグナルを取得しておき、該取得したゲインシグナルの中から最小値を持つゲインシグナルを選択的に出力するように構成する。そして、最小値選択回路Nから出力されたゲインシグナルと遅延回路DAにより3サンプル周期分だけ遅延されたオリジナル信号の各サンプルとを乗算器Yにより乗算して出力信号を得る。このようにしても、図3の実施例に示した構成の効果付与装置と同様に、非常に簡単な構成で、入力されたオリジナルのオーディオ信号の振幅レベルを制御する際において、特にゲイン変動が少なくかつ波形の歪みを少なくすることができ、音質を損なうことなく出力信号を生成することができるようになる。
【0025】
なお、上述した実施例においては、乗算器K1〜K7において各サンプルと乗算する重み付け係数は出力波形制御の要求に応じて様々なバリエーションが考えられることから固定値でなくてもよく、必要とする出力信号にあわせて適宜に変更可能であってよい。また、最適な波形制御を行うことが可能な重み付け係数の組み合わせをデータとして複数記憶しておき、必要に応じて該データを選択的に読み出して使用することができるようにしてもよい。
なお、上述した実施例においては7段構成の遅延回路D1〜D7を備えたゲインシグナル決定回路Xを示したがこれに限らない。また、ルックアヘッド用の遅延回路DAについても上述した実施例のような3サンプル周期分遅延するものだけに限らない。すなわち、ゲインシグナル決定回路Xを構成する遅延回路D1〜D7や乗算器K1〜K8の構成、ルックアヘッド用の遅延回路DA、あるいは乗算器K1〜K8に対してそれぞれ入力する重み付け係数などはいずれかの構成の変更にあわせて適宜に変更できるように構成してあってよい。
なお、上述した実施例では、ゲインシグナル決定回路Xにおいて最大値選択回路又は最小値選択回路を用いた例を示したがこれに限らない。
【0026】
なお、上述した実施例においては効果付与装置としてディスクリート回路又は集積回路若しくは大規模集積回路等を含んで構成される専用ハードウエア装置の形態で実施したものを示したがこれに限らず、コンピュータソフトウエアの形態や、DSP(Digital Signal Processor)によって処理されるマイクロプログラムの形態などで実施するようにしてもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上の通り、この発明によれば入力された信号の複数サンプルのそれぞれを考慮して適用すべきゲイン係数を決定し、該決定したゲイン係数と特定のオリジナル信号とを乗算することによって出力信号を生成するようにした。こうすることにより、従来にない簡単な構成で入力信号の振幅レベルを規定のレベル以下に抑えて音響的な効果を付与した出力信号を歪みの少ない波形で生成することができる、という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る効果付与装置の実施の形態を示すハード構成ブロック図である。
【図2】 入力信号レベルとゲインシグナルとの関係を示すグラフである。
【図3】 効果付与装置の動作を説明するための波形図であり、図3(A)は入力信号の一実施例、図3(B)は該入力信号に応じて得られる出力信号をそれぞれ示す。
【図4】 この発明に係る効果付与装置の他の実施例を示すハードブロック図である。
【図5】 従来知られた効果付与装置の一実施例を示すハード構成ブロック図である。
【図6】 飽和非線形法における非線形回路の特性を示す概念図である。
【符号の説明】
1…入力端子、2…出力端子、D1〜D7、DA、DB…遅延回路、K1〜K8、Y…乗算器、M…最大値選択回路、N…最小値選択回路、GR…ゲインリダクション、X…ゲインシグナル決定回路、H…平滑化回路

Claims (4)

  1. 入力された信号の所定複数サンプルの各振幅値に対して予め対応付けられている重み付け係数を夫々個別に乗算する複数の乗算手段であって、前記重み付け係数は、1又は連続するいくつかの複数サンプルにおいて最大値を、それに前後するサンプルにおいてサンプル毎に順次段階的に小さくなる値をとるよう各乗算手段に対応付けられるものと、
    前記各サンプルの乗算結果の中から最大振幅値を選択し、該選択した最大振幅値が所定のスレッショルドレベルを超えるまではゲイン係数を前記最大振幅値に関わらずに所定の固定値に決定する一方で、所定のスレッショルドレベルを超えた場合にはゲイン係数を所定の特性に従って前記最大振幅値に応じて変化する値のいずれかに決定するゲイン決定手段と、
    前記決定されたゲイン係数で前記入力された信号の振幅値のレベルを制御するレベル制御手段と
    を具える効果付与装置。
  2. 前記レベル制御手段は、前記決定されたゲイン係数で前記入力された信号の前記所定複数サンプル中の前記最大の重み付け係数が対応付けられた乗算手段のいずれかに入力された前記1又は連続する複数サンプルのいずれかに該当する特定サンプルに関する振幅値のレベルを制御することを特徴とする請求項1に記載の効果付与装置。
  3. 前記入力された信号を順次遅延する複数遅延段から成る第1の遅延手段と、前記入力された信号を前記特定サンプルに相当する遅延段数だけ遅延する第2の遅延手段とを有し、
    前記乗算手段では、前記第1の遅延手段を介して出力される該信号の前記所定複数サンプルに関して前記重み付け係数を夫々乗算し、
    前記レベル制御手段では、前記第2の遅延手段から出力される前記入力された信号の前記特定サンプルに対して前記決定されたゲイン係数を乗算することを特徴とする請求項に記載の効果付与装置。
  4. コンピュータに、
    入力された信号の所定複数サンプルの各振幅値に対して予め対応付けられている重み付け係数を夫々個別に乗算する手順であって、前記重み付け係数は、1又は連続するいくつかの複数サンプルにおいて最大値を、それに前後するサンプルにおいてサンプル毎に順次段階的に小さくなる値をとるように対応付けられるものと、
    前記各サンプルの乗算結果の中から最大振幅値を選択し、該選択した最大振幅値が所定のスレッショルドレベルを超えるまではゲイン係数を前記最大振幅値に関わらずに所定の固定値に決定する一方で、所定のスレッショルドレベルを超えた場合にはゲイン係数を所定の特性に従って前記最大振幅値に応じて変化する値のいずれかに決定する手順と、
    前記決定されたゲイン係数で前記入力された信号の振幅値のレベルを制御する手順と
    を実行させるためのプログラム。
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