JP4240754B2 - テレセントリック光学系 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はテレセントリック光学系に関するものであり、例えば、ワーキングディスタンス(物体から最も物体側のレンズまでの距離)やレンズバック(最も像面側のレンズから像面までの距離)が変化しても、倍率が一定であることが必要な投影光学系(例えば形状寸法測定機用の対物レンズ等)として用いられるテレセントリック光学系と、それを用いた3次元形状測定機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
3次元形状計測に用いられる方式の一つとして、共焦点検出方式が知られている。共焦点検出方式には、ピンホール方式とスリット方式がある。ピンホール方式には、物体を照明するための光を射出する照明用ピンホールと、物体からの反射光を検出用センサーに導く検出用ピンホールと、が用いられる。照明用ピンホールから射出した照明光はビームスプリッターと光学系を通過して物体を照明し、物体からの反射光は光学系を通過した後、ビームスプリッターで反射されて検出用ピンホールに入射する。照明用ピンホールと検出用ピンホールは共役な位置(すなわち、対物光学系について光学的に等価な位置)に配置されており、これらのピンホールが共に物体に対して共役な位置(合焦位置)にあるとき、検出用ピンホールを通過する光量が最大となる。この状態からワーキングディスタンスが変化すれば、検出用ピンホールを通過する光量は著しく減少することになる。したがって、光軸に平行な方向の物体寸法(高さ)を精度良く検出することができる。
【0003】
しかし、上記ピンホール方式では一度に1点の高さ情報しか得られないため、実際に物体の3次元形状を測定するには、1点ごとに各ピンホールと物体とが共役な位置関係になる状態を検出し、各高さ情報を得ながら光学系又は物体を光軸に垂直な面内で2次元的に走査しなければならない。この問題を解決したのがスリット方式である。スリット方式の走査は1次元的であるため、この方式を採用すれば物体高さの測定精度を満足しながら走査機構を減らし、一度に多点の高さ情報を得ることができる。しかし、スリット方式を実現するためには、スリットの長さを投影するのに十分な像高の範囲において、常に物体側・像側共にテレセントリックで、かつ、要求仕様を満足する光学系が必要である。
【0004】
また共焦点検出方式には、光軸に平行な方向の物体寸法を検出するために、測定する物体(測定対象物)を光軸方向に移動させる走査方式、あるいは光学系を光軸方向に移動させる走査方式が一般に採用されている。前者の走査方式の場合、測定対象物の大きさ・重さにより走査システムへの負荷が大きくなるため、測定対象物が制限される。また、精密な測定を行うためには、測定対象物をしっかり固定しておかなければならないという問題もある。
【0005】
一方、後者の走査方式の場合、像高をもった位置において共役距離(物体から像までの距離)が変化しても、常に同じ倍率で物体像を像面に投影する必要がある。このためには、共役距離が変化しても物体側・像側の両方でテレセントリック性を常に保つ光学系が必要となる。このような両テレセントリック光学系の全体を光軸方向に移動させながら合焦状態を検出する方式を採用した場合、移動部材が大きくなって走査機構への負担も大きくなる。したがって、装置を構成する上では、移動レンズ群が少なく、かつ、できるだけ軽量であることが要求される。
【0006】
共役距離が変化しても一部のレンズの移動により物体側・像側の両テレセントリック性を常に保つ光学系が、特公平2−51165号公報で提案されている。この光学系は、複数のレンズ群から成るアフォーカル系と、その両側にそれぞれ同軸に配置された2つの正レンズ群と、で構成されている。そして、一方の正レンズ群とアフォーカル系とがそれぞれ独立に移動可能に構成されており、共役距離が変化した場合、正レンズ群とアフォーカル系とを所定の関係で移動させることにより、ワーキングディスタンス及びレンズバックを常に一定に保ちながら、2組の共役関係を維持する構成となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特公平2−51165号公報で提案されている光学系では、一方の正レンズ群とアフォーカル系との2つのレンズ群を移動させる必要がある。2つのレンズ群を移動させるためには、2組の駆動系を用い各々を独立して移動させる方法と、2つのレンズ群をカム等で連動させて1つの駆動系で移動させる方法と、が考えられる。しかし、いずれの方法を採用しても装置の複雑化を招くため、上記光学系は高速・高精度で繰り返し共役距離を変化させるような用途には向いていない。またこの光学系は、両テレセントリック性を保つために、ワーキングディスタンスとレンズバックを常に一定に保ちながら光学系全長を変化させる構成となっているため、ワーキングディスタンスやレンズバックを変化させるようなシステムには使用することができない。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的は、共役距離が変化しても、一つの小さなレンズ群の移動により、物体側・像側の両テレセントリック性を常に保ったまま合焦を行うことが可能なテレセントリック光学系と、それを用いた3次元形状測定機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の発明のテレセントリック光学系は、物体側より順に、アフォーカル光学系から成る固定レンズ群と、アフォーカル光学系から成る移動レンズ群と、で構成された物体側・像側共にテレセントリックな光学系であって、前記固定レンズ群が、正のパワーを有する第1群と、正のパワーを有する第2群と、から成るとともに前記第1群の後ろ側焦点位置に開口絞りを有し、前記移動レンズ群が、正又は負のパワーを有する第3群と、その第3群とは逆のパワーを有する第4群と、から成るとともに以下の条件式を満足し、前記テレセントリックな状態を保持したまま異なる物体距離に対する合焦を行うために移動可能に構成されたフォーカスレンズ群であることを特徴とする。
f3≠−f4
ただし、
f3:第3群の焦点距離、
f4:第4群の焦点距離、
である。
【0010】
第2の発明のテレセントリック光学系は、上記第1の発明の構成において、更に以下の条件式を満足することを特徴とする。
102≦H・β2/|d・(βR2−1)|≦106
ただし、
β :全系の倍率、
βR:移動レンズ群の倍率、
H :合焦可能な物体位置の範囲、
d :移動レンズ群の移動量検出ピッチ、
である。
【0011】
第3の発明の3次元形状測定機は、3次元物体の像を形成する第1の発明のテレセントリック光学系と、複数の受光素子で構成された受光面を有するとともにその受光面上に前記像が投影されるように配置された2次元センサーと、前記移動レンズ群を光軸に沿って移動させる移動手段と、前記移動レンズ群の移動量を検出する検出手段と、を備えた3次元形状測定機であって、前記移動手段で前記移動レンズ群を移動させながら、前記検出手段による前記移動レンズ群の移動量の検出と、前記各受光素子による合焦状態の検出と、を行うことにより、3次元物体の形状寸法を測定することを特徴とする。
【0012】
第4の発明の3次元形状測定機は、光源と、その光源からの照明光を射出するスリットを備えたスリット部材と、前記スリットから射出されたスリット状の照明光を3次元物体に照射し、かつ、3次元物体からの反射光を透過させることにより3次元物体の像を形成する第1の発明のテレセントリック光学系と、複数の受光素子で構成された受光面を前記スリットの共焦点位置に有するとともにその受光面上に前記像が投影されるように配置された1次元センサーと、前記移動レンズ群を光軸に沿って移動させる移動手段と、前記移動レンズ群の移動量を検出する検出手段と、前記スリット及び光軸に対して垂直な方向に、3次元物体とその3次元物体に対する照明光との相対位置を変化させることにより、3次元物体の走査を行う走査手段と、を備えた3次元形状測定機であって、前記走査手段による前記3次元物体の走査と前記移動手段による前記移動レンズ群の移動とを行いながら、前記検出手段による前記移動レンズ群の移動量の検出と、前記各受光素子による合焦状態の検出と、を行うことにより、3次元物体の形状寸法を測定することを特徴とする。
【0013】
第5の発明の3次元形状測定機は、光源と、その光源からの照明光を射出する複数のピンホールを備えた第1マルチピンホール部材と、前記各ピンホールから射出された照明光を3次元物体に照射し、かつ、3次元物体からの反射光を透過させることにより3次元物体の像を形成する第1の発明のテレセントリック光学系と、前記第1マルチピンホール部材の各ピンホールの共焦点位置にピンホールを備えた第2マルチピンホール部材と、その第2マルチピンホール部材の近傍に複数の受光素子で構成された受光面を有するとともに、前記第2マルチピンホール部材の各ピンホールを通過した光で前記受光面上に前記像が投影されるように配置された2次元センサーと、前記移動レンズ群を光軸に沿って移動させる移動手段と、前記移動レンズ群の移動量を検出する検出手段と、光軸に対して垂直な面内で、3次元物体とその3次元物体に対する照明光との相対位置を変化させることにより、3次元物体の走査を行う走査手段と、を備えた3次元形状測定機であって、前記走査手段による前記3次元物体の走査と前記移動手段による前記移動レンズ群の移動とを行いながら、前記検出手段による前記移動レンズ群の移動量の検出と、前記第2マルチピンホール部材の各ピンホールに対応した前記各受光素子による合焦状態の検出と、を行うことにより、3次元物体の形状寸法を測定することを特徴とする。
【0014】
第6の発明のテレセントリック光学系は、物体側より順に、アフォーカル光学系から成る固定レンズ群と、アフォーカル光学系から成る移動レンズ群と、で構成された物体側・像側共にテレセントリックな光学系であって、前記固定レンズ群が、物体側より順に、正のパワーを有する第1群と、正のパワーを有する第2群と、から成るとともに、第1群の後ろ側焦点位置に開口絞りを有し、前記移動レンズ群が、物体側より順に、負のパワーを有する第3群と、正のパワーを有する第4群と、から成るとともに、異なる物体距離に対する合焦を行うために移動可能に構成され、以下の条件式を満足することを特徴とする。
0.1<|βF|/βR<0.7
ただし、
βF:固定レンズ群の倍率、
βR:移動レンズ群の倍率、
である。
【0015】
第7の発明のテレセントリック光学系は、上記第6の発明の構成において、さらに以下の条件式を満足することを特徴とする。
|βF|×WDL<f1<WDL
ただし、
f1:第1群の焦点距離、
WDL:最長物体距離、
である。
【0016】
第8の発明の3次元形状測定機は、上記第6又は第7の発明のテレセントリック光学系を用いて測定対象物の形状を計測することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施したテレセントリック光学系と3次元形状測定機を、図面を参照しつつ説明する。なお、光学系に関しては簡単のために薄肉レンズで考えることにする。
【0018】
図5に、テレセントリック光学系の一実施の形態を示す。このテレセントリック光学系は、物体側より順に、アフォーカル光学系から成る固定レンズ群(GrF)と、アフォーカル光学系から成る移動レンズ群(GrR)と、で構成されており、物体側・像側共にテレセントリックな構成を有している。図中、OBが物体面、IMが像面、AXが光軸である。固定レンズ群(GrF)は、正のパワーを有する第1群(Gr1)と、正のパワーを有する第2群(Gr2)と、から成るとともに、第1群(Gr1)の後ろ側焦点位置に開口絞り(SP)を有している。移動レンズ群(GrR)は、負のパワーを有する第3群(Gr3)と、正のパワーを有する第4群(Gr4)と、から成るとともに、以下の条件式(i)を満足している。そしてこの移動レンズ群(GrR)は、上記テレセントリックな状態を保持したまま異なる物体距離に対する合焦を行うために、フォーカスレンズ群として移動可能に構成されている。
f3≠−f4 …(i)
ただし、
f3:第3群(Gr3)の焦点距離、
f4:第4群(Gr4)の焦点距離、
である。
【0019】
上記固定レンズ群(GrF),移動レンズ群(GrR)の各機能を以下に詳述する。まず固定レンズ群(GrF)は、図1(A)に示すように、ケプラータイプのアフォーカル光学系を両テレセントリック光学系として使用した場合と考えることができる。
この固定レンズ群(GrF)について、
βF :固定レンズ群(GrF)の倍率、
f1:第1群(Gr1)の焦点距離、
f2:第2群(Gr2)の焦点距離、
d1:物体面(OB)から第1群(Gr1)までの距離、
d2:第2群(Gr2)から結像面(IM)までの距離、
とし、2つのレンズ群(Gr1,Gr2)の間隔をf1+f2とする。
【0020】
そして、図1(A)の状態から図1(B)の状態へと、物体(OB)が第1群(Gr1)側にΔd1だけ移動したとき、第2群(Gr2)から結像面(IM)までの距離がΔd2だけ変化したとする。つまり、
Δd1:物体面(OB)から第1群(Gr1)までの距離d1の変化量、
Δd2:第2群(Gr2)から結像面(IM)までの距離d2の変化量、
である。このとき、縦倍率の関係から以下の式(E1)が成立する。
Δd2=βF2×Δd1 …(E1)
【0021】
また、
L1:図1(A)の状態での共役距離、
L2:図1(B)の状態での共役距離、
ΔL:共役距離の変化量、
とすると、2つのレンズ群(Gr1,Gr2)の間隔はf1+f2であるため共役距離L1は以下の式(E2)で表され、式(E1)により共役距離L2は以下の式(E3)で表され、式(E2),(E3)により変化量ΔLは以下の式(E4)で表される。式(E4)から分かるように、βF=±1のときのみ共役距離は変化しない(ΔL=0)。逆に言えば、レンズが等倍でないとき、距離d1又はd2が変化すると共役距離も変化することになる。また式(E1),(E4)から、Δd2とΔLとの関係は以下の式(E5)で表される。
【0022】
【0023】
ところで、移動レンズ群(GrR)も上述した固定レンズ群(GrF)と同様、図2(A)に示すように、ケプラータイプのアフォーカル光学系を両テレセントリック光学系として使用した場合と考えることができる。この移動レンズ群(GrR)について、
βR :移動レンズ群(GrR)の倍率、
f3:第3群(Gr3)の焦点距離、
f4:第4群(Gr4)の焦点距離、
d3:物体面(OB)から第3群(Gr3)までの距離、
d4:第4群(Gr4)から結像面(IM)までの距離、
とし、2つのレンズ群(Gr3,Gr4)の間隔をf3+f4とする。
【0024】
そして、図2(A)の状態から図2(B)の状態へと、移動レンズ群(GrR)が物体(OB)側にDだけ移動したとき、像面(IM)上で結像する物体(OB)が第1群(Gr1)側にΔd3だけ移動したとする。つまり、
Δd3:物体面(OB)から第3群(Gr3)までの距離d3の変化量{すなわち、共役距離の変化量}、
D :第4群(Gr4)から結像面(IM)までの距離d4の変化量{すなわち、移動レンズ群(GrR)の移動量}、
である。
【0025】
図2(A),(B)から分かるように、等倍ではない両テレセントリック光学系は、異なる共役距離で物体(OB)を投影する場合のフォーカスレンズ群として使用することができる。つまり、前記条件式(i):f3≠−f4を満たせばよいことになる。また、固定レンズ群(GrF)における変化量Δd2,ΔLが、移動レンズ群(GrR)におけるD,Δd3にそれぞれ対応することから、前記式(E5)に基づいて以下の式(E6)で表される関係が得られる。式(E6)より、フォーカス移動量Dは移動レンズ群(GrR)の倍率βRにのみ依存することが分かる。
D={βR2/(1−βR2)}×Δd3 …(E6)
【0026】
上記移動レンズ群(GrR)のようなフォーカスレンズ群としての両テレセントリック光学系では、レンズ内に開口絞り(SP)を配置する必要がないため、必ずしも図2に示すようなケプラータイプである必要はない。むしろ、負・正(図3)や正・負(図4)のガリレイタイプの方が、正・正(図2)のケプラータイプよりも望ましい。ガリレイタイプでは、第3群(Gr3)と第4群(Gr4)との間隔が各焦点距離(f3,f4)の絶対値の差であるため、レンズ群間隔が各焦点距離(f3,f4)の和であるケプラータイプよりも、移動レンズ群(GrR)の小型化・軽量化を図ることができ、また、移動レンズ群(GrR)の共役距離も短くすることができる。図5に示すテレセントリック光学系には、図3に示すガリレイタイプ(負・正)の移動レンズ群(GrR)が用いられており、これに対し図6に示すテレセントリック光学系には、図2に示すケプラータイプ(正・正)の移動レンズ群(GrR)が用いられている。この2つのタイプのテレセントリック光学系を比較すれば分かるように、ガリレイタイプの移動レンズ群(GrR)をフォーカスレンズ群として用いれば、テレセントリック光学系全体の小型化・軽量化を実現することができる。
【0027】
図5に示すテレセントリック光学系には、図3に示す負・正のガリレイタイプの移動レンズ群(GrR)が用いられているが、上記説明から明らかなように、図4に示す正・負のガリレイタイプの移動レンズ群(GrR)を用いてもよい。つまり移動レンズ群(GrR)は、正又は負のパワーを有する第3群(Gr3)と、その第3群(Gr3)とは逆のパワーを有する第4群(Gr4)と、から成るのが望ましいのである。移動レンズ群(GrR)の各群(Gr3,Gr4)のパワー配置を、正・負,負・正のどちらにするかは、移動レンズ群(GrR)の倍率を拡大倍率とするか縮小倍率とするかにより決定される。
【0028】
図5に示すテレセントリック光学系が成立するためには、物体(OB)がΔd1(図1)だけ移動したときの固定レンズ群(GrF)のバック変動量Δd2(図1)と、移動レンズ群(GrR)を移動量Dだけ移動させたときの移動レンズ群(GrR)の共役距離変動量Δd3(図3)と、が一致すればよい。したがって、式(E6)を変形した式(E6')と式(E1)とから、Δd2=Δd3を表す式(E7)が得られ、その式(E7)を変形すると移動量Dを表す式(E7')が導き出される。
Δd2=βF2×Δd1 …(E1)
Δd3={(1−βR2)/βR2}×D …(E6')
βF2×Δd1={(1−βR2)/βR2}×D …(E7)
D={βR2/(1−βR2)}×βF2×Δd1 …(E7')
【0029】
ここで、図5に示すテレセントリック光学系ついて、
ΔOWD:共役距離の変化量、
とすると、式(E7')中のΔd1をΔOWDに書き換えれば以下の式(E7")が得られる。また、
β:テレセントリック光学系全体の倍率、
とすると、以下の式(E8)が成り立つので、式(E7")と式(E8)から以下の式(E9)が得られる。
D={βR2/(1−βR2)}×βF2×ΔOWD …(E7")
β=βF×βR …(E8)
D/ΔOWD=β2/(1−βR2) …(E9)
【0030】
上式(E9)が表す関係によると、共役距離が短くなるとき(すなわちΔOWDが増大するとき)、|βR|<1ならばD>0となるので、移動レンズ群(GrR)は像(IM)側から物体(OB)側へ移動することになり、|βR|>1ならばD<0となるので、移動レンズ群(GrR)は物体(OB)側から像(IM)側へ移動することになる。以上のように、共役距離が変化しても、一つの小さなレンズ群(GrR)のみの移動により、物体側・像側の両テレセントリック性を常に保ったまま、物体(OB)位置を検出するためのフォーカシング(つまり合焦)を行うことが可能である。また、移動レンズ群(GrR)の軽量化・小型化が可能であり、しかも移動するレンズ群(GrR)が一つでよいため、シンプルな装置でシステムを構成することができる。したがって、高速・高精度で共役距離を変化させるような用途,ワーキングディスタンスやレンズバックが固定でない用途等でも、このテレセントリック光学系(OP)を使用することが可能である。
【0031】
上述したテレセントリック光学系においては、更に以下の条件式(ii)を満足することが望ましい。
102≦H・β2/|d・(βR2−1)|≦106 …(ii)
ただし、
β :全系の倍率、
βR:移動レンズ群(GrR)の倍率、
H :合焦可能な物体(OB)位置の範囲、
d :移動レンズ群(GrR)の移動量検出ピッチ、
である。
【0032】
前述したテレセントリック光学系を用いれば、物体(OB)の3次元形状を非接触で測定することができる。上記条件式(ii)はそのための望ましい条件を規定しており、図7に示す3次元形状測定機はその測定を行うための一実施の形態を示している。図7に示す3次元形状測定機は、先に詳述したテレセントリック光学系(OP),2次元センサー(2),移動手段(M),リニアスケール(3),制御ユニット(4)等で構成されている。この測定機により、3次元物体である測定対象物(1)の3次元形状を測定することができる。なお、照明系を有しない構成となっているので、測定対象物(1)は系外からの光で照明される。
【0033】
テレセントリック光学系(OP)は、測定対象物(1)の像を形成するための光学系であって、先に詳述したように固定レンズ群(GrF)と移動レンズ群(GrR)とで構成されている。軸上光のみを用いて一点ずつ物体高さ(光軸(AX)に平行方向の物体寸法)の測定を行う場合には、軸上光学性能のみが仕様を満足していればよく、したがって光学系としてテレセントリック光学系(OP)を用いる必要はない。しかし、軸外光まで用いて測定対象物(1)上の複数点の高さを一度に測定しようとすれば、使用する像高での光学性能が仕様を満足していることに加え、物体側・像側共にテレセントリックであることが必要となる。物体側・像側共にテレセントリックな光学系(OP)を用いれば、軸外で異なる高さの点を測定したときに、投影倍率を一定に保ち、かつ、光軸(AX)に垂直な面内での測定分解能を一定に保つことができる。このため、異なった物体距離を持つ測定対象物(1)の表面形状を高い精度で計測することが可能となる。また、移動レンズ群(GrR)のみを移動させればよいため、移動手段(M)を構成している移動部材の軽量化・小型化を図ることができ、結果として計測の高速化を図ることができる。
【0034】
2次元センサー(2)は、エリアCCD(Charge Coupled Device)から成り、複数の受光素子で構成された受光面(2a)を有するとともに、その受光面(2a)上に測定対象物(1)の像が投影されるように固定配置されている。移動手段(M)は移動レンズ群(GrR)を光軸(AX)に沿って移動させる手段であって、物体高さを検出するための走査は、この移動手段(M)で移動レンズ群(GrR)を光軸(AX)に沿って移動させることにより行われる。また移動手段(M)はモーター等の駆動装置や駆動力伝達機構等で構成されているが、移動レンズ群(GrR)を光軸(AX)に沿って移動させるための機構を備えていれば、その移動を手動操作により行うようにしてもよく、制御ユニット(4)で駆動制御するようにしてもよい。リニアスケール(3)は、移動レンズ群(GrR)の位置を検出することにより、移動レンズ群(GrR)の移動量Dを検出する検出手段である。このリニアスケール(3)で検出された移動量Dの演算や2次元センサー(2)のCCD駆動は、制御ユニット(4)により行われる。
【0035】
測定対象物(1)の3次元形状の測定において、光軸(AX)に対して垂直な面内での3次元物体寸法は、テレセントリック光学系(OP)によって2次元センサー(2)の受光面(2a)上に投影された像の寸法から求められる。一方、光軸(AX)に対して平行な方向の3次元物体寸法(高さ)は、移動手段(M)で移動レンズ群(GrR)を光軸(AX)に沿って移動させながら、2次元センサー(2)の各受光素子からの出力変動を読み取り、測定対象物(1)が受光面(2a)で合焦したとき{つまり、測定対象物(1)と受光面(2a)との共役関係の成立により出力がピークになったとき}の移動レンズ群(GrR)の位置(つまり移動量D)をリニアスケール(3)で検出することにより求められる。したがって、移動レンズ群(GrR)を一度動かすだけで、2次元センサー(2)の受光面(2a)の面積に対応した測定対象物(1)の高さ情報を得ることができる。例えば、2次元センサー(2)の受光面(2a)の長さをaとすると、測定可能な測定対象物(1)の底面の長さはa/βであり、高さは共役距離の変化量ΔOWDである。
【0036】
今、
H:測定対象物(1)の高さ{すなわち合焦可能な物体(OB)位置の範囲}、
h:測定したい高さ方向の分解能、
d:移動レンズ群(GrR)の位置検出精度(すなわち移動量検出ピッチ)、
とすると、H=ΔOWDであるため、前記式(E9)から以下の式(E10)が得られる。
D/H=d/h=β2/|1−βR2| …(E10)
【0037】
ここで、上式(E10)におけるD,d,H,hの関係を以下の式(E11)のようにnで定義する。移動レンズ群(GrR)の全移動量Dと移動レンズ群(GrR)の位置検出精度dに注目すると、nは位置検出に用いるリニアスケール(3)の分割数に等しくなる。一般的なリニアスケール(3)の最小分解能は0.1μm以上であり、全長は100mm以下である。この範囲よりも小さな分解能をもつリニアスケール(3)は高価である。また、この範囲より長いリニアスケール(3)を使用すると、移動レンズ群(GrR)の移動量Dが長くなり、移動手段(M)も大きくなりすぎてしまうため、実用には向かない。したがって、以下の条件式(iii)を満足することが望ましい。
n=D/d=H/h …(E11)
n=D/d≦106 …(iii)
【0038】
また、測定対象物(1)の高さHとその測定分解能hに注目した場合、以下の条件式(iv)を満足することが望ましい。n<102の3次元形状測定機は、前述したテレセントリック光学系(OP)が適用されるシステムよりも簡素な装置で実現可能であり、このテレセントリック光学系(OP)の用途には適していない。
n=H/h≧102 …(iv)
【0039】
式(iii)と式(iv)から、テレセントリック光学系(OP)を寸法計測の目的で使用する場合には、nが以下の条件式(v)を満足する範囲で使用されることが望ましい。
102≦n≦106 …(v)
【0040】
前記式(E10)を変形すると以下の式(E10')が得られ、前記式(E11)を変形すると以下の式(E11')が得られる。式(E10')と式(E11')から、以下の式(E12)が得られる。
H/D=|1−βR2|/β2 …(E10')
h=(d/D)×H …(E11')
h={|1−βR2|/β2}×d …(E12)
【0041】
式(E11)と式(E12)から、以下の式(E13)が得られる。この式(E13)を用いて条件式(v)を表現すれば、前記条件式(ii)が得られる。つまり、測定対象物(1)の寸法を測定する用途でテレセントリック光学系(OP)を用いる場合には、条件式(ii)を満足する倍率β,βRであることが望ましい。具体的なシステム構成としては、例えば以下の表1に示す各値を有するものが挙げられる。
102≦H・β2/|d・(βR2−1)|≦106 …(ii)
【0042】
【表1】
【0043】
3次元形状測定機に共焦点検出方式を採用すれば、前述した3次元形状測定機(図7)よりも精度良く高さ測定を行うことができる。また、共焦点検出方式にはポイント方式とスリット方式があるが、高さ情報を多点同時に測定するスリット方式の方が、ピンホール方式に比べて高速に測定を行うことができる。このスリット共焦点検出方式は、実開平5−75607号公報記載の走査型検出装置に採用されている。しかし、光学系全体を光軸に沿って移動させる構成になっているため、そのための移動部材が大きくならざるを得ないという問題がある。図8に示す3次元形状測定機は、スリット共焦点検出方式を採用するとともに前述したテレセントリック光学系(OP)を用いることにより、移動部材の小型化・軽量化を達成するものである。
【0044】
図8に示す3次元形状測定機は、先に詳述したテレセントリック光学系(OP),1次元センサー(12),移動手段(M),リニアスケール(13),制御ユニット(14),走査ステージ(15),ビームスプリッター(16),スリット部材(17),シリンドリカルレンズ(18),コリメータレンズ(19),光源(20)等で構成されている。この測定機により、3次元物体である測定対象物(11)の3次元形状を測定することができる。なお、テレセントリック光学系(OP)や移動手段(M)は先に説明したものと構成は同じであり、また、リニアスケール(13)も先に説明したリニアスケール(3)と同様、移動レンズ群(GrR)の移動量を検出する検出手段の一例である。
【0045】
点光源(20)から出た照明光は、コリメータレンズ(19)とシリンドリカルレンズ(18)を通って直線状に結像する。その結像位置にスリット(17a)が位置するように{図8中、スリット(17a)の方向は紙面に対して垂直な方向である。}、スリット部材(17)が配置されている。したがって、スリット(17a)を射出した光は、スリット状の照明光となる。この照明光は、ビームスプリッター(16)を透過した後、テレセントリック光学系(OP)に入射する。テレセントリック光学系(OP)は、スリット(17a)から射出されたスリット状の照明光を測定対象物(11)に照射し、かつ、測定対象物(11)からの反射光を透過させることにより測定対象物(11)の像を形成する。
【0046】
テレセントリック光学系(OP)を透過した反射光は、ビームスプリッター(16)で反射されて、1次元センサー(12)の受光面(12a)に入射する。1次元センサー(12)はラインCCDから成り、複数の受光素子で構成された受光面(12a)をスリット(17a)の共焦点位置に有するとともに、その受光面(12a)上に測定対象物(11)の像が投影されるように固定配置されている。つまり、スリット(17a)と受光面(12a)は、共に測定対象物(11)に対して共役な位置関係{すなわちテレセントリック光学系(OP)について光学的に等価な位置}に配置されているのである。
【0047】
走査ステージ(15)は、載置された測定対象物(11)と共に、スリット(17a)及び光軸(AX)に対して垂直な方向に移動する走査手段である。つまり、スリット(17a)及び光軸(AX)に対して垂直な方向に、測定対象物(11)とその測定対象物(11)に対する照明光との相対位置を変化させることにより、測定対象物(11)の走査を行う走査手段である。走査ステージ(15)で測定対象物(11)を移動させる代わりに、光源(20)からテレセントリック光学系(OP)までの光学系を測定対象物(11)に対して相対的に移動させてもよい。またガルバノミラー,ポリゴンミラー等の偏向装置を用いて、スリット(17a)及び光軸(AX)に対して垂直な方向に、スリット状の照明光を偏向走査する構成としてもよい。この走査ステージ(15)の制御,リニアスケール(13)で検出された移動量Dの演算,1次元センサー(12)のCCD駆動等は、制御ユニット(14)により行われる。
【0048】
測定対象物(11)の3次元形状の測定において、スリット(17a)方向の3次元物体寸法は、テレセントリック光学系(OP)により受光面(12a)上に投影された像の寸法から求められ、スリット(17a)及び光軸(AX)に対して垂直な方向の3次元物体寸法は、走査ステージ(15)による測定対象物(11)の移動走査により求められる。一方、光軸(AX)に対して平行な方向の3次元物体の断面寸法(高さ)は、移動手段(M)で移動レンズ群(GrR)を光軸(AX)に沿って移動させながら、1次元センサー(12)の各受光素子からの出力変動を読み取り、測定対象物(11)が受光面(12a)で合焦したとき{つまり、測定対象物(11)と受光面(12a)との共役関係の成立により出力がピークになったとき}の移動レンズ群(GrR)の位置(つまり移動量D)をリニアスケール(13)で検出することにより求められる。したがって、走査ステージ(15)で測定対象物(11)を移動させながら移動手段(M)で移動レンズ群(GrR)を移動させると、測定対象物(11)の断面形状が順次検出されて、制御ユニット(14)での演算により測定対象物(11)の3次元形状が測定される。
【0049】
ところでピンホール方式には、一度に1点の高さ情報を得る前述の1ピンホールタイプのほかに、複数のピンホールを用いて一度に多点の高さ情報を得るマルチピンホールタイプがある。このマルチピンホール共焦点検出方式は特開平9−126739号公報記載の立体形状計測装置に採用されており、多点の高さ情報を高精度で測定することを可能にしている。しかし、測定対象物と対物レンズとの間に厚さの異なる平行平板ガラスを挿入することにより、異なる物体高さに対する合焦を行う構成になっているため、高さ分解能は平行平板ガラスの厚さピッチに依存することになる。したがって、連続的な高さ情報を得ることはできない。図9に示す3次元形状測定機は、マルチピンホール共焦点検出方式を採用するとともに前述したテレセントリック光学系(OP)を用いることにより、連続的に高さ情報を得ることを可能にするものである。
【0050】
図9に示す3次元形状測定機は、先に詳述したテレセントリック光学系(OP),2次元センサー(22),移動手段(M),リニアスケール(23),制御ユニット(24),走査ステージ(25),ビームスプリッター(26),第1マルチピンホール部材(27),マルチレンズアレイ(28),コリメータレンズ(29),光源(30),第2マルチピンホール部材(31)等で構成されている。この測定機により、3次元物体である測定対象物(21)の3次元形状を測定することができる。なお、テレセントリック光学系(OP)や移動手段(M)は先に説明したものと構成は同じであり、また、リニアスケール(23)も先に説明したリニアスケール(3,13)と同様、移動レンズ群(GrR)の移動量を検出する検出手段の一例である。
【0051】
点光源(30)から出た照明光は、コリメータレンズ(29)とマルチレンズアレイ(28)を通って結像し、2次元的に配列された複数の点光源となる。その各結像位置にピンホール(27a)が位置するように、第1マルチピンホール部材(27)が配置されている。したがって、複数のピンホール(27a)を射出した光は、マルチスポット状の照明光となる。複数のピンホール(27a)から射出した照明光は、ビームスプリッター(26)を透過した後、テレセントリック光学系(OP)に入射する。テレセントリック光学系(OP)は、各ピンホール(27a)から射出された照明光を(マルチスポット状に)測定対象物(21)に照射し、かつ、測定対象物(21)からの反射光を透過させることにより測定対象物(21)の像を形成する。
【0052】
テレセントリック光学系(OP)を透過した反射光は、ビームスプリッター(26)で反射されて、第2マルチピンホール部材(31)の各ピンホール(31a)を通過した後、2次元センサー(22)の受光面(22a)に入射する。第2マルチピンホール部材(31)は、第1マルチピンホール部材(27)の各ピンホール(27a)の共焦点位置にピンホール(31a)を備えている。つまり、第1マルチピンホール部材(27)の各ピンホール(27a)と第2マルチピンホール部材(31)の各ピンホール(31a)は、共に測定対象物(21)に対して共役な位置関係{すなわちテレセントリック光学系(OP)について光学的に等価な位置}に配置されているのである。2次元センサー(22)はエリアCCDから成り、第2マルチピンホール部材(31)の近傍に複数の受光素子で構成された受光面(22a)を有するとともに、第2マルチピンホール部材(31)の各ピンホール(31a)を通過した光で、受光面(22a)上に測定対象物(21)の像が投影されるように固定配置されている。
【0053】
走査ステージ(25)は、載置された測定対象物(21)と共に、光軸(AX)に対して垂直な2方向に移動する走査手段である。つまり、光軸(AX)に対して垂直な面内で、測定対象物(21)とその測定対象物(21)に対する照明光との相対位置を変化させることにより、測定対象物(21)の走査を行う走査手段である。受光面(22a)上に形成される像は、測定対象物(21)に対する照明光のマルチスポットに対応しているので、走査ステージ(25)の移動はピンホール(27a,31a)のピッチよりも微小なピッチで行われる。走査ステージ(25)で測定対象物(21)を移動させる代わりに、光源(30)からテレセントリック光学系(OP)までの光学系を測定対象物(21)に対して相対的に移動させてもよい。またガルバノミラー,ポリゴンミラー等の偏向装置を用いて、光軸(AX)に対して垂直な面内で、マルチスポット状の照明光を偏向走査する構成としてもよい。この走査ステージ(25)の制御,リニアスケール(23)で検出された移動量Dの演算,2次元センサー(22)のCCD駆動等は、制御ユニット(24)により行われる。
【0054】
測定対象物(21)の3次元形状の測定において、光軸(AX)に対して垂直な面内での3次元物体寸法は、走査ステージ(25)による測定対象物(21)の移動走査により求められる。一方、光軸(AX)に対して平行な方向の3次元物体寸法(高さ)は、移動手段(M)で移動レンズ群(GrR)を光軸(AX)に沿って移動させながら、第2マルチピンホール部材(31)の各ピンホール(31a)に対応した、2次元センサー(22)の各受光素子からの出力変動を読み取り、測定対象物(21)が第2マルチピンホール部材(31)のピンホール面で合焦したとき{つまり、測定対象物(21)と第2マルチピンホール部材(31)のピンホール面との共役関係の成立により出力がピークになったとき}の移動レンズ群(GrR)の位置(つまり移動量D)をリニアスケール(23)で検出することにより求められる。したがって、走査ステージ(25)で測定対象物(21)を移動させながら移動手段(M)で移動レンズ群(GrR)を移動させると、測定対象物(21)の複数ポイントでの高さが順次検出されて、制御ユニット(24)での演算により測定対象物(21)の3次元形状が測定される。
【0055】
ところで、上述した非接触で形状計測を行う3次元形状測定機(図7〜図9)では、測定対象物(1,11,21)の表面の凹凸差が大きければ測定範囲が大きくなり、ワーキングディスタンスを長く、光学系を大型にしなければならないが、テレセントリック光学系(OP)全体の小型化が要望され、ワーキングディスタンスが長くても、小型のテレセントリック光学系(OP)が必要となる。
【0056】
物体側より順に、アフォーカル光学系から成る固定レンズ群(GrF)と、アフォーカル光学系から成る移動レンズ群(GrR)と、で構成される物体側・像側共にテレセントリックな光学系においては、そのテレセントリック光学系(OP)全体に占める固定レンズ群(GrF)の大きさの割合は相対的に大きくなる。つまり、テレセントリック光学系(OP)全体の大きさは、固定レンズ群(GrF)の大きさに依存することになる。薄肉レンズで考えた場合、固定レンズ群(GrF)の大きさLFは式:LF=f1+f2=f1(1+|βF|)で表される。ここで、第1群(Gr1)の焦点距離f1はワーキングディスタンス{言い換えれば光軸(AX)方向の測定範囲}に依存し、ワーキングディスタンスに比べて極端に小さい値をとることはできない。焦点距離f1が極端に小さい(つまり正のパワーが強い)と、収差補正が難しくなるばかりでなく、レンズバックを確保することも難しくなるからである。したがって、ワーキングディスタンスの長いテレセントリック光学系(OP)においては、|βF|を小さくすることがテレセントリック光学系(OP)の全長を短くする上で有効である。
【0057】
|βF|を小さくするためには、固定レンズ群(GrF)をケプラータイプの縮小系とし、移動レンズ群(GrR)をガリレイタイプの拡大系とすることが望ましい。例えば図5に示す両テレセントリック光学系のように、物体側より順に、正のパワーを有する第1群(Gr1)と、正のパワーを有する第2群(Gr2)と、で固定レンズ群(GrF)を構成するとともに、第1群(Gr1)の後ろ側焦点位置に開口絞り(SP)を配置し、一方、物体側より順に、負のパワーを有する第3群(Gr3)と、正のパワーを有する第4群(Gr4)と、で移動レンズ群(GrR)を構成する(つまり|βR|=|f4/f3|>1となる。)とともに、異なる物体距離に対する合焦を行うために移動可能な構成にすることが望ましい。
【0058】
この(正・正)・(負・正)のテレセントリック光学系(OP)の構成によれば、常に両側テレセントリック性を保ったまま異なる物体距離に対する合焦が可能となり、ワーキングディスタンスが比較的長くても、移動レンズ群(GrR)及びテレセントリック光学系(OP)全体のサイズを小型化することが可能となる。また、合焦のための移動レンズ群(GrR)をガリレイタイプのアフォーカル光学系とすることにより、移動レンズ群(GrR)の小型化が可能となるため、フォーカス駆動部への負担を軽くすることができる。
【0059】
そして、上記(正・正)・(負・正)のテレセントリック光学系(OP)の構成においては、以下の条件式(vi)を満足することが更に望ましい。条件式(vi)を満たすように固定レンズ群(GrF)の倍率を最適化すれば、小型化と共に高い光学性能をも達成することができる。
0.1<|βF|/βR<0.7 …(vi)
ただし、
βF:固定レンズ群(GrF)の倍率、
βR:移動レンズ群(GrR)の倍率、
である。
【0060】
条件式(vi)の下限を超えて|βF|が小さくなりすぎると、移動レンズ群(GrR)の合焦移動量が小さくなりすぎるため、高さ方向{すなわち光軸(AX)方向}の分解能が悪くなる。条件式(vi)の下限を超えてβRが大きくなりすぎると(つまり拡大率が上がると)、諸収差を補正するために移動レンズ群(GrR)を構成するレンズ枚数が必然的に増えることになる。このため、移動レンズ群(GrR)のサイズが大きくなり、本来の目的であるテレセントリック光学系(OP)全体の小型化を達成することが難しくなる。条件式(vi)の上限を超えると、テレセントリック光学系(OP)の大きさが必要以上に大きくなる。また、移動レンズ群(GrR)の移動量が大きくなり、合焦範囲全域(すなわち測定範囲全域)にわたって諸収差を補正することが難しくなる。
【0061】
さらに以下の条件式(vii)を満足することが望ましい。
|βF|×WDL<f1<WDL …(vii)
ただし、
f1:第1群(Gr1)の焦点距離、
WDL:最長物体距離、
である。
【0062】
条件式(vii)の下限を超えて第1群(Gr1)の焦点距離が小さくなると(|βF|×WDL≧f1)、固定レンズ群(GrF)のパワーが強くなるので、諸収差の補正が難しくなる。無理なく収差を補正しようとするとレンズ枚数が多くなり、結果として全長を短くすることができなくなる。また、レンズバックを確保するのが難しくなる。テレセントリック光学系(OP)の長さはf1にほぼ比例して長くなる傾向にあるので、条件式(vii)の上限を超えて第1群(Gr1)の焦点距離(f1)が大きくなると(f1≧WDL)、テレセントリック光学系(OP)全体が必要以上に大きくなりすぎてしまう。
【0063】
上記のように条件式(vi)を満たし、更に好ましくは条件式(vii)を満たすように構成されたテレセントリック光学系(OP)を、3次元形状測定機に用いることが望ましい。上述したようにワーキングディスタンスの長い小型のテレセントリック光学系(OP)を用いることにより、測定対象物(1,11,21)の表面の凹凸差が大きくてもその形状を非接触で計測することが可能となり、またテレセントリック光学系(OP)の小型化により、3次元形状測定機全体の大きさも比較的小さくすることが可能となる。このようなテレセントリック光学系(OP)を備えた3次元形状測定機の例を図19と図20に示す。
【0064】
図19に示す3次元形状測定機は、載物台である走査ステージ(35)が光軸(AX)方向に移動可能になっており、図20に示す3次元形状測定機は、テレセントリック光学系(OP)等で構成された光学ユニット全体から成る測定ヘッド(HD)が光軸(AX)方向に移動可能になっている。つまり図19と図20に示す3次元形状測定機は、測定対象物(1M)とテレセントリック光学系(OP)との間隔(つまり相対位置)を変化させる点で共通した機能を備えている。そして、図19に示す走査ステージ(35)や図20に示す測定ヘッド(HD)は、移動手段(MA)によって移動し、リニアスケール(3A)によって位置が検出される構成になっている。また、移動手段(MA)と移動手段(M)とは移動ピッチが異なるほかは同一の構成を有しており、リニアスケール(3A)とリニアスケール(3)とは検出範囲が異なるほかは同一の構成を有している。なお他の構成要素は、前述した図7の3次元形状測定機と基本的に同じであり、同一の符号を付してある。
【0065】
図19と図20に示す3次元形状測定機において、例えば、ワーキングディスタンスを20cm以上とし、移動レンズ群(GrR)のフォーカス移動による合焦範囲を5cmとする。測定対象物(1M)の表面の凹凸差が合焦範囲の5cmよりも大きいと、移動レンズ群(GrR)のフォーカス移動のみでは測定対象物(1M)の3次元形状全体を計測することができない。そこで、テレセントリック光学系(OP)の最長物体距離の状態で、走査ステージ(35)の上面に合焦する位置まで測定対象物(1M)とテレセントリック光学系(OP)とを近づける。そして、測定対象物(1M)とテレセントリック光学系(OP)との間隔が5cmずつ大きくなるように、走査ステージ(35,図19)又は測定ヘッド(HD,図20)を光軸(AX)に沿って4回移動させる。そして、5cmピッチの移動ごとに移動レンズ群(GrR)を光軸(AX)に沿って移動させることにより、合焦範囲5cmにおける物体高さの検出走査を行う。4回の検出走査によって実質的な合焦範囲が4倍になるため、走査ステージ(35)の上面から20cmの高さまでの測定対象物(1M)の3次元形状データが得られる。
【0066】
上記のように走査ステージ(35)の上面からの物体高さを検出走査する代わりに、最も深い凹部表面からの物体高さを検出走査するようにしてもよい。また、最も高い凸部表面から検出走査を開始してもよく、その場合、上記のように測定対象物(1M)とテレセントリック光学系(OP)との間隔を所定ピッチで大きくする代わりに、測定対象物(1M)とテレセントリック光学系(OP)との間隔を所定ピッチで小さくするようにすればよい。なお、上述した3次元形状測定機(図19と図20)は、測定対象物(1M)とテレセントリック光学系(OP)との相対位置を変化させる構成を、図7の3次元形状測定機に適用した例であるが、スリット共焦点検出方式(図8)やマルチピンホール共焦点検出方式(図9)の3次元形状測定機についても、上記相対位置を変化させる構成を同様に適用することが可能である。
【0067】
図19と図20に示す3次元形状測定機に用いられているテレセントリック光学系(OP)は、移動レンズ群(GrR)の合焦範囲に対応する測定範囲に比べてワーキングディスタンスが長くなっている。このため、測定対象物(1M)表面の光軸(AX)方向の凹凸差が大きくても、上記のように測定対象物(1M)とテレセントリック光学系(OP)との相対位置を変化させることが可能となる。この相対位置変化により、移動レンズ群(GrR)のフォーカス移動のみでは合焦不可能な測定範囲が補われるため、走査ステージ(35)又は測定ヘッド(HD)の移動回数に応じた広い範囲の合焦が可能となる。したがって、測定対象物(1M)の凹凸差がワーキングディスタンスと同等であっても、その3次元形状寸法を測定することができる。さらに、光軸(AX)に対して垂直な面内で走査ステージ(35)を移動させる構成にすれば、更に面積の大きな測定対象物(1M)の3次元形状寸法を測定することができる。
【0068】
図20に示す3次元形状測定機に比べて図19に示す3次元形状測定機の方がテレセントリック光学系(OP)周囲の構成は簡単になるが、図20に示す3次元形状測定機の場合、2つの移動手段(M,MA)の兼用等により、装置内の駆動部を測定ヘッド(HD)側に集約することが可能になる。また、測定対象物(1M)が金型のように重い場合には、測定ヘッド(HD)の移動で検出走査を行う、図20の3次元形状測定機の方が、駆動部への負担が軽くて済むというメリットがある。
【0069】
【実施例】
以下、本発明を実施したテレセントリック光学系の構成等を更に具体的に説明する。図10,図13,図16に、実施例1〜実施例3の光路及びレンズ構成をそれぞれ示す。図中、(A)は最長物体距離(WDL)での合焦状態を示しており、(B)は最短物体距離(WDS)での合焦状態を示している。
【0070】
いずれの実施例も、物体側より順に、正のパワーを有する第1群(Gr1)と、正のパワーを有する第2群(Gr2)と、負のパワーを有する第3群(Gr3)と、正のパワーを有する第4群(Gr4)と、から成る両側(物体側・像側)テレセントリック光学系である。第1群(Gr1),開口絞り(SP)及び第2群(Gr2)は、アフォーカル光学系から成る前記固定レンズ群(GrF)を構成している。また、第3群(Gr3)及び第4群(Gr4)は、アフォーカル光学系から成る前記移動レンズ群(GrR)を構成するフォーカスレンズ群であり、図中の矢印は最長物体距離(WDL)の合焦状態から最短物体距離(WDS)の合焦状態へのフォーカス移動(フォーカシングにおいて両側テレセントリック状態は保持される)を示している。各実施例における条件式(vi),(vii)の対応値及び関連データを表2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】
図11,図14,図17は、実施例1〜実施例3の収差図である。図中、(A)〜(C)は最長物体距離(WDL)での諸収差、(D)〜(F)は最短物体距離(WDS)での諸収差を示しており、(A)及び(D)は球面収差(LONGITUDINAL SPHERICAL ABER.)、(B)及び(E)は非点収差(ASTIGMATIC FIELD CURVES)、(C)及び(F)は歪曲収差(DISTORTION)を示している。球面収差{横軸:近軸像面からの光軸方向のズレ量(mm)}の縦軸は、瞳への入射高さをその最大高さで規格化した値を表しており、非点収差{横軸:近軸像面からの光軸方向のズレ量(mm)}及び歪曲収差{横軸(%)}の縦軸は物高{OBJ HT(mm),0.00〜-20.00}を表している。また非点収差図中、実線(S)はサジタル面での像面湾曲を表しており、破線(T)はタンジェンシャル面での像面湾曲を表している。
【0073】
図12,図15,図18は実施例1〜実施例3の横収差図(mm)である。図中、(A)〜(H)は最長物体距離(WDL)での横収差、(I)〜(P)は最短物体距離(WDS)での横収差を示しており、(A)〜(D)及び(I)〜(L)はタンジェンシャル光束での横収差(TANGENTIAL)、(E)〜(H)及び(M)〜(P)はサジタル光束での横収差(SAGITTAL)を示している。また、(A),(E),(I)及び(M)はOBJ HT=-20.00(最軸外)での横収差、(B),(F),(J)及び(N)はOBJ HT=-14.00での横収差、(C),(G),(K)及び(O)はOBJ HT=-10.00での横収差、(D),(H),(L)及び(P)はOBJ HT=0.00(軸上)での横収差を示している。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るテレセントリック光学系によれば、共役距離が変化しても、一つの小さなレンズ群の移動により、物体側・像側の両テレセントリック性を常に保ったまま合焦を行うことが可能である。移動するレンズ群が小さく、しかも一つでよいため、シンプルな装置でシステムを構成することができ、高速・高精度で共役距離を変化させるような用途,ワーキングディスタンスやレンズバックが固定でない用途等でも使用可能である。したがって、このテレセントリック光学系を用いた3次元形状測定機によれば、測定対象物の3次元形状を高速・高精度で計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】テレセントリック光学系を構成する固定レンズ群を模式的に示す光学構成図。
【図2】テレセントリック光学系を構成するケプラータイプ(正・正)の移動レンズ群を模式的に示す光学構成図。
【図3】テレセントリック光学系を構成するガリレイタイプ(負・正)の移動レンズ群を模式的に示す光学構成図。
【図4】テレセントリック光学系を構成するガリレイタイプ(正・負)の移動レンズ群を模式的に示す光学構成図。
【図5】ガリレイタイプ(負・正)の移動レンズ群を有するテレセントリック光学系を模式的に示す光学構成図。
【図6】ケプラータイプ(正・正)の移動レンズ群を有するテレセントリック光学系を模式的に示す光学構成図。
【図7】系外の照明光を用いる方式の3次元形状測定機を示す概略構成図。
【図8】スリット共焦点検出方式の3次元形状測定機を示す概略構成図。
【図9】マルチピンホール共焦点検出方式の3次元形状測定機を示す概略構成図。
【図10】実施例1の光路図。
【図11】実施例1の球面収差,非点収差及び歪曲収差を示す収差図。
【図12】実施例1の横収差図。
【図13】実施例2の光路図。
【図14】実施例2の球面収差,非点収差及び歪曲収差を示す収差図。
【図15】実施例2の横収差図。
【図16】実施例3の光路図。
【図17】実施例3の球面収差,非点収差及び歪曲収差を示す収差図。
【図18】実施例3の横収差図。
【図19】走査ステージが光軸方向に移動可能な3次元形状測定機を示す概略構成図。
【図20】測定ヘッドが光軸方向に移動可能な3次元形状測定機を示す概略構成図。
【符号の説明】
GrF …固定レンズ群
Gr1 …第1群
SP …開口絞り
Gr2 …第2群
GrR …移動レンズ群
Gr3 …第3群
Gr4 …第4群
OB …物体面(物体)
IM …像面(結像面)
AX …光軸
M …移動手段
1 …測定対象物(3次元物体)
2 …2次元センサー
2a …受光面
3 …検出手段(リニアスケール)
4 …制御ユニット
11 …測定対象物(3次元物体)
12 …1次元センサー
12a …受光面
13 …検出手段(リニアスケール)
14 …制御ユニット
15 …走査ステージ(走査手段)
16 …ビームスプリッター
17 …スリット部材
17a …スリット
18 …シリンドリカルレンズ
19 …コリメータレンズ
20 …光源
21 …測定対象物(3次元物体)
22 …2次元センサー
22a …受光面
23 …検出手段(リニアスケール)
24 …制御ユニット
25 …走査ステージ(走査手段)
26 …ビームスプリッター
27 …第1マルチピンホール部材
27a …ピンホール
28 …マルチレンズアレイ
29 …コリメータレンズ
30 …光源
31 …第2マルチピンホール部材
31a …ピンホール
Claims (8)
- 物体側より順に、アフォーカル光学系から成る固定レンズ群と、アフォーカル光学系から成る移動レンズ群と、で構成された物体側・像側共にテレセントリックな光学系であって、
前記固定レンズ群が、正のパワーを有する第1群と、正のパワーを有する第2群と、から成るとともに前記第1群の後ろ側焦点位置に開口絞りを有し、
前記移動レンズ群が、正又は負のパワーを有する第3群と、その第3群とは逆のパワーを有する第4群と、から成るとともに以下の条件式を満足し、前記テレセントリックな状態を保持したまま異なる物体距離に対する合焦を行うために移動可能に構成されたフォーカスレンズ群であることを特徴とするテレセントリック光学系;
f3≠−f4
ただし、
f3:第3群の焦点距離、
f4:第4群の焦点距離、
である。 - 更に以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1記載のテレセントリック光学系;
102≦H・β2/|d・(βR2−1)|≦106
ただし、
β :全系の倍率、
βR:移動レンズ群の倍率、
H :合焦可能な物体位置の範囲、
d :移動レンズ群の移動量検出ピッチ、
である。 - 3次元物体の像を形成する請求項1記載のテレセントリック光学系と、複数の受光素子で構成された受光面を有するとともにその受光面上に前記像が投影されるように配置された2次元センサーと、前記移動レンズ群を光軸に沿って移動させる移動手段と、前記移動レンズ群の移動量を検出する検出手段と、を備えた3次元形状測定機であって、
前記移動手段で前記移動レンズ群を移動させながら、前記検出手段による前記移動レンズ群の移動量の検出と、前記各受光素子による合焦状態の検出と、を行うことにより、3次元物体の形状寸法を測定することを特徴とする3次元形状測定機。 - 光源と、その光源からの照明光を射出するスリットを備えたスリット部材と、前記スリットから射出されたスリット状の照明光を3次元物体に照射し、かつ、3次元物体からの反射光を透過させることにより3次元物体の像を形成する請求項1記載のテレセントリック光学系と、複数の受光素子で構成された受光面を前記スリットの共焦点位置に有するとともにその受光面上に前記像が投影されるように配置された1次元センサーと、前記移動レンズ群を光軸に沿って移動させる移動手段と、前記移動レンズ群の移動量を検出する検出手段と、前記スリット及び光軸に対して垂直な方向に、3次元物体とその3次元物体に対する照明光との相対位置を変化させることにより、3次元物体の走査を行う走査手段と、を備えた3次元形状測定機であって、
前記走査手段による前記3次元物体の走査と前記移動手段による前記移動レンズ群の移動とを行いながら、前記検出手段による前記移動レンズ群の移動量の検出と、前記各受光素子による合焦状態の検出と、を行うことにより、3次元物体の形状寸法を測定することを特徴とする3次元形状測定機。 - 光源と、その光源からの照明光を射出する複数のピンホールを備えた第1マルチピンホール部材と、前記各ピンホールから射出された照明光を3次元物体に照射し、かつ、3次元物体からの反射光を透過させることにより3次元物体の像を形成する請求項1記載のテレセントリック光学系と、前記第1マルチピンホール部材の各ピンホールの共焦点位置にピンホールを備えた第2マルチピンホール部材と、その第2マルチピンホール部材の近傍に複数の受光素子で構成された受光面を有するとともに、前記第2マルチピンホール部材の各ピンホールを通過した光で前記受光面上に前記像が投影されるように配置された2次元センサーと、前記移動レンズ群を光軸に沿って移動させる移動手段と、前記移動レンズ群の移動量を検出する検出手段と、光軸に対して垂直な面内で、3次元物体とその3次元物体に対する照明光との相対位置を変化させることにより、3次元物体の走査を行う走査手段と、を備えた3次元形状測定機であって、
前記走査手段による前記3次元物体の走査と前記移動手段による前記移動レンズ群の移動とを行いながら、前記検出手段による前記移動レンズ群の移動量の検出と、前記第2マルチピンホール部材の各ピンホールに対応した前記各受光素子による合焦状態の検出と、を行うことにより、3次元物体の形状寸法を測定することを特徴とする3次元形状測定機。 - 物体側より順に、アフォーカル光学系から成る固定レンズ群と、アフォーカル光学系から成る移動レンズ群と、で構成された物体側・像側共にテレセントリックな光学系であって、
前記固定レンズ群が、物体側より順に、正のパワーを有する第1群と、正のパワーを有する第2群と、から成るとともに、第1群の後ろ側焦点位置に開口絞りを有し、
前記移動レンズ群が、物体側より順に、負のパワーを有する第3群と、正のパワーを有する第4群と、から成るとともに、異なる物体距離に対する合焦を行うために移動可能に構成され、
以下の条件式を満足することを特徴とするテレセントリック光学系;
0.1<|βF|/βR<0.7
ただし、
βF:固定レンズ群の倍率、
βR:移動レンズ群の倍率、
である。 - さらに以下の条件式を満足することを特徴とする請求項6記載のテレセントリック光学系;
|βF|×WDL<f1<WDL
ただし、
f1:第1群の焦点距離、
WDL:最長物体距離、
である。 - 請求項6又は請求項7記載のテレセントリック光学系を用いて測定対象物の形状を計測することを特徴とする3次元形状測定機。
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