JP4240355B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は複写機、プリンタまたはファクシミリ等の画像形成装置に関し、特に、定着装置内における結露による不具合を改善した画像形成装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、電子写真方式により感光体上に形成したトナー画像を転写手段を用いて普通紙等の用紙に転写し、定着装置によりトナー粉末を溶融して前記用紙に定着する構成の画像形成装置における1つの問題として結露があった。
【0003】
高温高湿の環境条件は結露を生じやすく、例えば、結露が感光体表面に生じると表面抵抗が低下して表面電荷が移動し易くなり、潜像を乱していわゆる画像流れという画像不良を発生してしまう。
【0004】
斯様な不具合に対して、例えば、環境温度に応じて感光体温度の加熱設定温度を制御し、感光体を最も感度の良好な状態に維持することで、安定した品質の画像を得る技術が特開昭57−109013号公報等により提案されている。
【0005】
上記のような結露は、例えば、加熱源を内蔵した定着上ローラと、当該定着上ローラと圧接(圧着)しながら回転する定着下ローラとを有する定着装置を採用した構成においても問題を惹起する。
【0006】
即ち、高温高湿の環境においてはトレイ等に収納されている用紙の含水率が高くなり、このような用紙、換言すれば、転写処理によりトナー像を担持するに至った用紙を、例えば、表面温度が190℃のような高温の定着ローラ対で加圧、加熱すると水蒸気が発生する。
【0007】
一方、定着装置の構成として、前記の定着ローラ対に近接した下流位置には、通常、ガイド部材が設けてあり、このガイド部材上に前記水蒸気が付着して結露を引き起こす。
【0008】
定着処理直後の前記用紙は、前記ガイド部材で支持され、その表面上を滑りながら移動するので、部分的に水滴で濡れてしまう。
【0009】
用紙への水滴付着は、用紙の搬送性を低下せしめ、あるいは、両面複写(両面記録)時における転写の際に転写抜け(裏面転写抜け)を発生しやすくする。
【0010】
また、水滴の付着した記録物はユーザにとって快いものではない。
このような問題に対して、例えば、板金で作ったガイド部材の表面に窪み(凹部)を設けて用紙との接触面積を少なくしたり、その表面にメッキ等のコーティングを施したりすることが提案されているが、満足な結果を得るには不十分であった。
【0011】
例えば、ガイド部材表面に窪みをつけた構成の場合、その窪みに水滴を流れ込ませることができるので、用紙が接触する表面に付着する水滴量は減少できるものの、多量な複写が連続的に行われた場合、前記の窪みでは収容しきれないことがあり、その場合、過分な量の水滴がガイド部材の表面から滴れ落ちて装置内を汚染してしまう。
【0012】
また、窪みのサイズを大きくし、深さを深くして相当に多量な水分量でも収容できるように構成した場合、単にデッドスペースを広げることになりかねず、また、水分がなくなるまでに長時間を要するため、斯様な現象の頻度が高いとメッキ層の剥がれや錆を誘発し、ガイド部材としての寿命を短くしてしまう。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、定着処理時に用紙(転写材)から出される水分に起因して発生する、定着処理手段の近傍に設けられるガイド部材上の結露を効率よく排除し、以て、品質のよい画像を用紙の両面に形成できる画像形成装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は下記の構成要件により達成することができる。
【0015】
(1)トナー像を担持する用紙を加圧、加熱せしめることによりトナー像を用紙上に定着する定着上ローラ及び定着下ローラと、前記定着上ローラ及び定着下ローラによりトナー像が定着された用紙の移動をガイドする下ガイド部材とを有する画像形成装置において、前記下ガイド部材は、斜面ガイド面を備える第1部材と、一方向が開放されている樋状の第2部材と、を有し、前記第1部材の斜面ガイド面は、前記用紙の移動方向における上流側の高さ位置よりも下流側の高さ位置が高くなるような傾きを有しており、前記第2部材は、開放されている側が前記斜面ガイド面の上流側端部方向を向くように、前記斜面ガイド面の上流側端部に対向した位置であり、かつ、桶状を形成する部分の中で最も高さ位置が低い箇所の高さ位置が、前記斜面ガイド面の上流側端部の高さ位置よりも低い位置であり、かつ、前記第1部材と接触する位置に配置され、桶状を形成する辺のうち最上部に位置する辺を上辺としたとき、該上辺は、前記用紙の移動方向における上流側の高さ位置よりも下流側の高さ位置が高くなるような傾きを有しており、前記斜面ガイド面には前記上流側端部を含む領域にわたって窪んだ段差部が形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【0017】
(2)前記第2部材は、前記上辺の下流側端部の高さ位置が前記斜面ガイド面の上流側端部の高さ位置よりも高くなるように配置されることを特徴とする(1)に記載の画像形成装置。
【0019】
)前記定着下ローラの長手方向には、当該定着下ローラの周面一部に対向させた複数の分離爪が設置してあり、前記段差部は、前記分離爪と分離爪との間に対応する前記斜面ガイド面上に形成してあることを特徴とする(1)または(2)に記載の画像形成装置。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面を用いて説明する。
【0021】
図1はデジタル式複写機からなる画像形成装置の構成を示す模式図である。
本実施の形態の画像形成装置は、自動原稿送り装置1、画像読取装置2、画像形成部3、用紙収納部4、給紙部5、反転排紙・再給紙部6、および反転搬送部8を有している。
【0022】
前記自動原稿送り装置1は、原稿を一枚ずつ送り出し、原稿を画像読取位置へと搬送し、画像読取が終わった原稿を所定の場所に排紙処理する装置である。
【0023】
前記自動原稿送り装置1は、原稿を載置する原稿載置台11、原稿載置台11上に載置された原稿を分離する原稿分離手段12、原稿分離手段12で分離された原稿を搬送する複数のローラを含む原稿搬送手段13、原稿搬送手段13で搬送された原稿を排紙する原稿排紙手段14、原稿排紙手段14によって排紙された原稿を載置する原稿排紙台15、および、両面複写モードにおいて原稿の表裏を反転させるための反転ローラ対からなる原稿反転手段16を有している。
【0024】
前記原稿載置台11上に載置された複数枚の原稿(不図示)は、原稿分離手段12によって1枚づつ分離され、前記原稿搬送手段13によって画像読取位置に向けて搬送される。
【0025】
原稿読取位置は前記原稿搬送手段13の下方に設けられており、画像読み取り装置2のスリット21を通して原稿の画像が読み取られるようになっている。
【0026】
画像が読み取られた原稿は、原稿排紙手段14によって原稿排紙台15上へと排紙される。
【0027】
一方、原稿の両面の画像を読み取る際には、一度片面の画像が読み取られた原稿を原稿反転手段16に導き、原稿の後端が前記原稿反転手段16を構成する反転ローラ対に挟持された状態において当該反転ローラ対を逆回転させて原稿の表裏を反転し、再度、前記原稿搬送手段13で搬送することにより、前記原稿読取位置において他の面(第2面)の画像を読み取ることができる。
【0028】
このような工程が原稿載置台11上に載置された原稿の枚数分繰り返される。また、前記自動原稿送り装置1は可倒式に構成されており、この自動原稿送り装置1を起こしてプラテンガラス22上を開放し、当該プラテンガラス22上に原稿を直接載置して複写を行うこともできるように構成してある。
【0029】
画像読取装置2は、原稿の画像を読み取って画像データを得るための装置であり、前記スリット21を介して原稿を照射するランプ231と原稿からの反射光を反射させる第1ミラー232とを一体化してなる第1ミラーユニット23と、前記第1ミラー232からの光を反射させる第2ミラー241と第3ミラー242とを一体化してなる第2ミラーユニット24と、当該第2ミラーユニット24からの反射光を、撮像素子であるCCD(後記)に結像させる結像レンズ25、および、結像レンズ25によって結像された光像を光電変換して画像データを得るライン状のCCD26を有している。
【0030】
前記画像データは、適宜の画像処理を施された後、一旦、図示しないメモリに蓄積されるようになっている。
【0031】
前記自動原稿送り装置1によって送られる原稿を、画像読取装置2で読み取る態様においては、前記第1ミラーユニット23、および、前記第2ミラーユニット24は、図示の如き位置に固定される。
【0032】
なお、前記プラテンガラス22上に直接載置された原稿の画像を読み取る態様においては、前記第1ミラーユニット23と前記第2ミラーユニット24とを、光路長を保ちながら、プラテンガラス22に沿って移動させることにより行う。
【0033】
画像形成部3は、電子写真プロセスを用いて画像形成するものであり、像担持体としての光導電性感光層を表面に有する感光体ドラム31、当該感光体ドラム31の表面を一様帯電させる帯電器32、画像処理後の画像データに基いて作動され、前記感光体ドラム31上を露光して静電荷潜像を形成するための露光手段であるレーザー書込系33、前記感光体ドラム31上に形成される静電荷潜像を反転現像してトナー像となす現像器34、顕像化された前記トナー像を用紙上に転写せしめる転写極35、トナー像が転写された用紙の裏面からACコロナ放電を行い、前記感光体ドラム31上からの用紙の分離を促進する除電器36、および、転写工程終了後の前記感光体ドラム31を清掃するためのクリーニング手段37等を有する。
【0034】
参照符号38は分離後の用紙を、加熱ローラ型の定着装置9に向けて搬送する搬送ベルト、61は定着排出ローラ、63は排紙ローラであり、これらは前記除電器36と略同一水平線上に備えられている。
【0035】
前記定着装置9は、加熱源Hを内蔵し、その周囲を独立回転する定着上ローラ900と、前記定着上ローラ900と圧接しながら回転する定着下ローラ903からなる定着処理手段を主要素とし、これら両ローラに対する出口側(下流側)には、本発明に係わる構成のガイド部材を配してあるが、具体的構成については後記することとする。
【0036】
なお、Cは前記定着上ローラ900の表面を介して両ローラ表面を清掃するクリーニングウェブで、例えば、装置作動中における適宜の時間間隔で図の左側に示す巻き取り芯上に少しづつ巻き取られるようになっている。
【0037】
上記構成による画像形成は、適宜の駆動手段によって矢示の方向に回転する感光体ドラム31を帯電器32により順次帯電した後、レーザー書込系33によるドット露光で原稿画像に対応した静電荷潜像を形成し、現像器34により前記静電荷潜像をトナー像となし、その後、第2給紙手段としてのレジストローラ56の回転開始により給送される用紙上に、前記転写極35の作用を介して転写させることで達成される。
【0038】
実際には、前記レジストローラ56に用紙が到達している状態で、当該レジストローラ56の回転開始に伴う給紙にタイミングを合わせて、前記感光体ドラム31上にトナー像を形成するためのプロセスを開始するようになっている。
【0039】
そのために、前記転写極35のある転写領域でトナー像と用紙とが重畳するように、露光部から転写極までの距離とレジストローラから転写極までの距離を同一に設定するとともに、感光体ドラム31、レジストローラ56、転写前ローラ57の線速度を同一に設定してある。
【0040】
転写後の用紙は除電器36の作用により前記感光体ドラム31上から分離され、前記定着装置9の加熱・加圧作用を受けた後、機外に排出される。
【0041】
一方、転写領域を通過した感光体ドラム31は更に回転を続け、クリーニング手段37によって残留トナーが除去されて次の画像形成への準備がなされる。
【0042】
構成の説明に戻って、用紙収納部4には、用紙Pを積層状態で収納する給紙トレイ400、410、420が上下方向に配列してあり(用紙Pは給紙トレイ400においてのみ図示)、また、それぞれの給紙トレイは、専用の給紙ローラ401、411、421と重層防止用の分離手段である一対の分離ローラ403、413、423とを一体的に引き出し可能に設けてある。
【0043】
給紙部5には、前記給紙トレイ400、410、420のそれぞれから前記画像形成部3へと用紙Pを搬送するための搬送手段として、搬送ローラ対(以下、搬送ローラともいう)R1、R2、R3、R4、R5、R6を設けてある。
【0044】
前記搬送ローラR1乃至R3は、プレレジストローラとして前記給紙トレイ400、410、420と一体的に設けることが好ましく、本実施の形態においては一体構成としてある。
【0045】
PSはフォトセンサで、例えば、給紙トレイ400から給紙ローラ401により給紙された用紙Pが前記分離ローラ403の下流に設けてある前記搬送ローラ対R1に到達したか否かを検知する機能を有し、搬送ローラR1の直前の位置に配設してある。
【0046】
55は前記用紙Pの搬送方向にみて前記搬送ローラR4の下流に設けた搬送ローラで、反転搬送部8を介して送り出される用紙の搬送路と、例えば、給紙トレイ400から給紙される用紙の搬送路との合流部に設けてある。
【0047】
56は第2給紙手段としてのレジストローラ、57は転写前ローラである。
反転排紙・再給紙部6は、転写・定着後の用紙Pを反転排紙したり、両面画像形成モードに従って用紙Pを再給紙するための領域であり、定着排出ローラ61により排出された用紙Pをそのまま機外へ排出する場合と、表裏反転させた後に排出する場合と、用紙Pの裏面(第2面)に画像形成するために当該用紙Pを前記レジストローラ56に向けて再給紙する場合とにおいて搬送路を切り替える搬送路切替手段(以下、単に切替手段という)62を有している。
【0048】
画像形成された用紙Pをそのまま、即ち、画像面を上側にして排出する場合は、前記切替手段62を図において一点鎖線で示す位置に保持させ、また、画像形成された用紙Pの表裏を反転させて排出する場合は、前記切替手段62を図において実線で示す位置に保持させて、前記定着排出ローラ61により搬送される用紙Pを搬送ローラ600、610が付設されている搬送路中に送り込み、後端が前記搬送ローラ600の手前位置に到達するタイミングで前記ローラ群の作動を停止させ、しかる後、前記搬送ローラ600の回転方向を前記と逆方向に回転せしめることにより、前記切替手段62の左側を通過せしめ、排紙ローラ63を介して、機外の排紙トレイ64へと排出する。
【0049】
更に、第1面に引き続き用紙Pの第2面に画像を形成する両面画像形成モードの場合は、前記切替手段62を図において実線で示す位置に保持させ、定着排出ローラ61により搬送される用紙を、排紙モータで駆動される反転排紙・再給紙部6の各搬送ローラ600、610を介して反転搬送部8に送り込み、当該反転搬送部8において用紙Pの表裏を反転させた後、前記レジストローラ56に向けて送り出すことになる。
【0050】
前記用紙Pの第2面に転写画像を得る間でのプロセスは前述と同じであり、定着処理後の用紙Pの排紙については、前記したいずれかの形態による。
【0051】
なお、前記反転搬送部8は、前記搬送ローラ610により搬送される用紙Pを更に右方向に送り込み、その後端を挟持しているタイミングで回転停止した後、逆回転するように駆動制御される搬送ローラ対800を有し、当該搬送ローラ対800の逆回転による左方向への搬送途上から上方に弧を描いた後、右方向に延びる搬送路に沿って搬送される。
【0052】
搬送ローラ対800を含み、803、805、807、809、811は前記反転搬送部8の搬送路上に設けた複数の搬送ローラ対(以下、単に、搬送ローラという)である。
【0053】
図2は定着装置の主要部の構成を拡大して示す説明用の図であり、図の右側が転写処理後の用紙の入口にあたる。
【0054】
なお、既出の部材(手段)と同じ部材(手段)には同一の参照符号を付してあり、必要のない限り、重複した説明は省略する。
【0055】
参照符号905および907は、入り口側の上ガイドおよび下ガイドである。前述した定着上ローラ900は、例えば、中空のアルミニウムからなる芯金上にPFA層を設け、更に、その表面にフッ素コーティングを施した構成を有し、定着下ローラ903は鉄の芯金上にシリコンゴム層を設けた構成を有する。
【0056】
前記した両定着ローラの出口側には、位置固定の上ガイド部材910と、下ガイド部材920とが対向配置してある。
【0057】
前記上ガイド部材910は、前記定着上ローラ900に近接した位置から、用紙の移動方向にみて、下流に行くに従って降下した後、略水平となるガイド面を有する。
【0058】
913は上分離爪で、その先端は前記定着上ローラ900の周面一部に対して近接、または、軽圧接するように、不図示のコイルスプリングとストッパとで制御してある。
【0059】
また、前記上分離爪913は、前記定着上ローラ900の長手方向に適宜の間隔をもって複数個設けてある。
【0060】
上記構成により、定着処理後の用紙が前記定着上ローラ900に付着して上昇移動しても、前記上分離爪913で用紙先端が定着上ローラ900の周面から引き離され、当該上分離爪913の下腹部(ガイド部)や前記上ガイド部材910のガイド斜面911に規制されながら左方に送り出され、やがて、前記下ガイド部材920のガイド部に支持されながら送り出されるようになる。
【0061】
前記下ガイド部材920は、位置固定の第1部材921と垂直方向に可動な第2部材925とを有する。
【0062】
具体的には、前記第1部材921は前記定着下ローラ903の側における垂直な壁の上部(上流側エッジともいう)922から下流(図において左側)に行くに従って上昇した後、略水平なガイド面に連なり、その端部(下流側エッジともいう)923で終わっている。
【0063】
換言すれば、用紙の移動方向に見て上流側エッジ922の高さ位置よりも下流側エッジ923の高さ位置が高くなるように構成してある。
【0064】
これは、前記第1部材921の上流側エッジ922から始まる斜面ガイド面上に水蒸気が付着し、水滴となって当該斜面ガイド面上に滞留することを極力防止しうる角度を得るためであり、本実施の形態においては、前記した斜面ガイド面と水平線とのなす角度を20度とした。
【0065】
この角度は、第1部材の材質、サイズ、表面加工等の種々の条件によって異なるが、転写抜け等の不具合をできる限り減少させることができるように、少なくとも20度は確保することが好ましい。また、例えば、図2又は図3に示す第1部材のエッジ間距離は20mmである。
【0066】
前記第1部材921は、金属、具体的には鉄の板材からなり、絞り加工により形成した複数の段差部や窪み等を斜面ガイド面(斜面のガイド部)に有し、ニッケルメッキによる表面処理を施してある。
【0067】
詳細は後で図3を用いて説明するが、参照符号700は段差部、710は窪み、720は隆起部を示す。
【0068】
前記第2部材925は前記第1部材921よりも板厚は薄いが、同じ材料、同じ表面処理を施してなる。
【0069】
形状は樋状を有し、かつ、全体が前記第1部材921よりも前記定着下ローラ903側に位置するとともに、前記第1部材921との間に設けたコイルスプリング(不図示)により当該第1部材921と一体化してある。
【0070】
また、前記第2部材925は、前記第1部材921に対して垂直方向(上下方向)に動くことができるように構成してある。
【0071】
例えば、前記第1部材921の垂直な壁に、上下方向に延びるスリットを穿つとともに、第2部材925の垂直壁に設けたビスの貫通部分(突出部分の意)を前記スリットに嵌合させることにより、前記第2部材925の可動を達成することができる。
【0072】
前記第2部材925の幅の狭い上辺は、前記定着下ローラ903に近接する壁の上部(上流側エッジともいう)926から下流(図において左側)に行くに従い上昇する平面を有し、端部(下流側エッジともいう)927で終わっている。
【0073】
前記第2部材925の上辺と水平線とのなす角度は、本実施の形態においては約30度とした。
【0074】
図から明らかなように、前記第2部材が上昇位置(定位置)にあるとき、当該第2部材の下流側エッジ927の高さ位置は、当該下流側エッジと対向する関係にある前記第1部材921の上流側エッジ922の高さ位置よりも高く、従って、両者間には間隙Sが形成される。
【0075】
前記間隙Sは、前記第1部材921のガイド面から流れ落ちる水滴を容易に前記第2部材925に流れ込ませる機能を有する。
【0076】
前記第2部材925に流れ込んだ水滴は適宜のボトル等に回収する。
また、前記第2部材925の上流側エッジ926の高さ位置は、前記第1部材の上流側エッジ922よりも低い高さ位置、換言すれば、前記第1部材の斜面ガイド面の延長線上にある。
【0077】
上記の如く、第1部材921および第2部材925のガイド面は、それぞれにおいて上流側エッジ(922、926)よりも下流側エッジ(923、927)の方が高さ位置が高く、下ガイド部材920として見た場合でも、上流側エッジ926よりも下流側エッジ923の方が高い位置にある。
【0078】
なお、前記第2部材の下流側エッジ927は、図2で示すように、前記第1部材の上流側エッジ922と重なる位置をしめる必要はなく、第2部材925に水滴が流れ落ちることができる間隙(開口)を協同して作りうる態様であれば、前記下流側エッジ927の高さ位置を前記上流側エッジ922と同じ高さ位置となるように傾斜させて設けることができる。
【0079】
参照符号929で示されるのは下分離爪であり、その先端が前記定着下ローラ903の周面一部に対して近接、または、軽圧接するように、前記第1部材921および第2部材925で支持している。
【0080】
具体的には、前記第1部材921に設けた係止部材(分離爪の上部側の肉厚が薄い部分を利用して突出させ、上部側の厚さよりも厚く形成してある基部側は突出できないように間隔を以て設けた2個の突片部材:図3における参照符号724が相当する)と前記第2部材925の樋状の底辺との間に落とし込み、前記部材間に設けた前述のコイルスプリングの作用で前記下分離爪929の底部を前記第2部材925で押し上げ、分離爪の基部側の一部と前記係止部との係止を介して所定の姿勢を保たせる。
【0081】
前記下分離爪929は、前記定着下ローラ903の長手方向に適宜の間隔をもって複数個設けてある。
【0082】
なお、本実施の形態における前記下分離爪929の頂部(上辺)は、前記第2部材925の上辺が占める用紙搬送方向における領域をほぼ覆う大きさを有し、かつ、高さ位置も高く、また、下流に行くに従って上昇する斜面を形成する。
【0083】
この構成は、例えば、定着処理済みの用紙を当該下分離爪929の上辺で案内することにより、それよりも面積が大きくならざるを得ない構成の前記第1および第2部材921、925との接触の機会(時間的要因も含む)を積極的に減少せしめ、以て、水滴付着に起因する不具合から遠ざけようとする意図を具現化したものである。
【0084】
換言すれば、自重落下する用紙は前記下分離爪929に支持される形で搬送され、やがて第1部材921のガイド面に案内されるようになるので、第2部材925のガイド部材としての負担は少ない。
【0085】
参照符号61および62は、定着排出ローラおよび切替手段であり、定着排出ローラについてはローラ対の一方のローラを省略してある。
【0086】
図における前記切替手段62は、定着処理後の用紙を反転排紙または再給紙部のための部位に向ける位置にある。
【0087】
前記切替手段62の1つのガイド面620と対向するガイド面650を有するのは規制手段65であり、両ガイド面により、前記定着排出ローラ61により搬送されてくる用紙の先端をカール矯正手段68に対する所定位置に向けさせるように規制する。
【0088】
図3は下ガイド部材の平面図で、特に、第1部材のガイド表面の構成を説明するための図である。
【0089】
第1部材921は金属の板材からなり、絞り加工により形成された複数の段差部700、複数の窪み710および複数の隆起部720を長手方向に有する。
【0090】
ここで、「段差部」とは、斜面ガイド面928内の下流位置から上流側に向かって延び、上流側エッジ922を含む領域(底面が上流側エッジまで含んでいる意)にわたって形成した窪みである。
【0091】
また、「窪み」とは、斜面ガイド面928の領域内に形成した凹部(陥没部)であり、「隆起部」とは、加工前の斜面ガイド面を基準としたとき、前記段差部700および前記窪み710が形成される側と反対側に形成された突出部で、前記斜面ガイド面928の領域内にある。
【0092】
前記段差部700は前記下分離爪929と位相をズラした位置に設けてあり、前記窪み710は前記下分離爪とほぼ位相が同じ位置に設けてあり、更に、前記隆起部720は前記段差部および窪みの左右に設けてある。
【0093】
参照符号724は前記第2部材925と協同して前記下分離爪を支持するための係止部材で前記第1部材の一部で構成してあり、また、750はコイルスプリングで、前記第1部材921と第2部材925とを相対的移動可能に一体化せしめる要素であり、これらについては図2の説明において言及した。
【0094】
図3に示す下ガイド部材920を備えた図2の構成において、転写処理後の用紙Pが入り口側のガイド905、907に規制されながら搬送され、次いで定着上ローラ900と定着下ローラ903とにより加熱、加圧作用を受けると、当該用紙P上で像を形成しているトナー粉末が溶融され、用紙P上に定着される。
【0095】
本実施形態においては、前記定着上ローラ900と定着下ローラ903との軸芯をずらすことにより、用紙Pに斜め上方向に向かう搬送力を与えるように構成してあるので、定着処理後の用紙Pの先端は、例えば、下分離爪929の上辺に案内される形で搬送され、上分離爪913のガイド部あるいは上ガイド部材910に当接し、やがて、重力に従って下降して下ガイド部材920や前記下分離爪929の上辺等に支持されながら送り出され、定着排出ローラ61による搬送力と切替手段62とにより反転排紙・再給紙部6に向けられ、規制手段65等の規制を受けながらカール矯正手段68に導かれ、そこでカールを矯正する作用を受ける。
【0096】
画像形成プロセスが両面に画像を形成するモードである場合、前記用紙Pは再度、転写領域に向けられ、図1の説明の通りに処理される。
【0097】
ところで、定着処理の際、前記用紙Pが前記定着上ローラ900あるいは定着下ローラ903にオフセット吸着した場合、上分離爪913または下分離爪929が作用して前記用紙Pを強制的にローラ周面から分離させる。
【0098】
分離がうまくいかない場合には、公知のジャム検知方法を採用し、装置の作動を停止させることができる。
【0099】
この際、前記用紙P中の水分は付与された熱に奪われ、また、水分量が多い(含水率が高い)場合には前記定着上ローラ900および定着下ローラ903の出口側の近傍空間部に水蒸気となって飛散し、下ガイド部材920を構成する第2部材925の上辺や第1部材921の表面(ガイド面)上等に沈着する。
【0100】
前記第1部材921および前記第2部材925のガイド面に結露した水滴は、それら部材上から除去される。
【0101】
例えば、定着用のローラに近い前記第2部材925の上辺にできた水滴は加熱源Hの熱に除去される。
【0102】
また、前記第1部材921の表面にできた水滴、例えば、主体的に用紙Pを支持するように働く前記隆起部720は表面積が小さく、更に、形状が殆ど曲面からなるので水滴が留まることがない。
【0103】
あるいは、幾分かの水滴ができたとしても、直ぐに斜面ガイド面928上に流れ落ち、かつ、当該斜面を伝って流れ、当該斜面ガイド面上の水滴とともに間隙Sを介して前記第2部材925に流れ落ちることにより除去される。
【0104】
あるいは、その一部は、前記斜面ガイド面928上の水滴と一緒になって前記段差部700に流れ込み、その底面を伝って前記第2部材925に流れ落ちる。
【0105】
前記窪み710の幅に対応する前記斜面ガイド面928上の水滴は、当該窪みに流れ込み、あるいは、面上を滑って前記第2部材925に流れ込む。
【0106】
このように、用紙Pが接触するガイド面上の水滴を迅速に除去できるので、例えば、定着中の用紙Pの後端領域を濡らしたり、あるいは連続多量複写の場合のように、後続する用紙Pを濡らしてしまい、転写抜けや搬送性の低下を招く原因を大幅に減少させることができる。
【0107】
なお、前記隆起部720の数は、用紙は斜面ガイド面に接触しない程度に多い方が好ましいが、例えば、ガイド面にコーティングを施したり、用紙の搬送方向における幅を小さくしたりして、画像形成に影響を与える水滴の滞留時間をできるだけ作らないようにできれば、その数を減らしてもよい。
【0108】
即ち、用紙Pとの接触面積を減らしたガイド面、および/または水滴の滞留することを減少させる構成を採ることが肝要であり、また、前記構成において、段差部、窪み、あるいは隆起部の大きさ等は種々の条件に応じて変更することができる。
【0114】
なお、本実施の形態における第1部材は、所期の効果が期待できるものであれば樹脂成型品とすることもでき、斯様に、ガイド部材としての構造、および、構成材料等を包含する設計の自由度は広い。
【0115】
【発明の効果】
含水率が高くなった用紙を転写材として用いる環境下においても、当該用紙が接触するガイド面上の接触部位に付着する水滴(結露)の量を極力少なくでき、かつ、迅速に除去できるので、用紙の両面に画像を形成するモードにおいても、画像の品質を良好に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】デジタル式複写機からなる画像形成装置の構成を示す模式図である。
【図2】定着装置の主要部の構成を拡大して示す説明用の図である。
【図3】下ガイド部材の平面図である。
【符号の説明】
1 自動原稿送り装置
6 反転排紙・再給紙部
9 定着装置
900 定着上ローラ
903 定着下ローラ
920 下ガイド部材
921 第1部材
925 第2部材
929 下分離爪

Claims (3)

  1. トナー像を担持する用紙を加圧、加熱せしめることによりトナー像を用紙上に定着する定着上ローラ及び定着下ローラと、前記定着上ローラ及び定着下ローラによりトナー像が定着された用紙の移動をガイドする下ガイド部材とを有する画像形成装置において、
    前記下ガイド部材は、斜面ガイド面を備える第1部材と、一方向が開放されている樋状の第2部材と、を有し、
    前記第1部材の斜面ガイド面は、前記用紙の移動方向における上流側の高さ位置よりも下流側の高さ位置が高くなるような傾きを有しており、
    前記第2部材は、開放されている側が前記斜面ガイド面の上流側端部方向を向くように、
    前記斜面ガイド面の上流側端部に対向した位置であり、
    かつ、桶状を形成する部分の中で最も高さ位置が低い箇所の高さ位置が、前記斜面ガイド面の上流側端部の高さ位置よりも低い位置であり、
    かつ、前記第1部材と接触する位置に配置され、
    桶状を形成する辺のうち最上部に位置する辺を上辺としたとき、該上辺は、前記用紙の移動方向における上流側の高さ位置よりも下流側の高さ位置が高くなるような傾きを有しており、
    前記斜面ガイド面には前記上流側端部を含む領域にわたって窪んだ段差部が形成されていることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記第2部材は、前記上辺の下流側端部の高さ位置が前記斜面ガイド面の上流側端部の高さ位置よりも高くなるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記定着下ローラの長手方向には、当該定着下ローラの周面一部に対向させた複数の分離爪が設置してあり、前記段差部は、前記分離爪と分離爪との間に対応する前記斜面ガイド面上に形成してあることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
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