JP4239663B2 - 遮光性黒色レジスト組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モニターやテレビ等の表示に用いられる液晶表示装置や、デジタルカメラ、ビデオ等に用いられる固体撮像素子などに利用されるカラーフィルタのブラックマトリックス形成用の遮光性黒色レジスト組成物に係り、詳しくは保存安定性に優れ、且つ高感度で良好なパターンが形成可能な遮光性黒色レジスト組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
表示装置用のカラーフィルタは様々なものがあるが、ここでは液晶表示装置用カラーフィルタを代表例として説明する。液晶表示装置は、時計、カメラ等の小面積のものから、コンピュータ端末表示装置、テレビ画像表示装置などの大面積のものまで広く使用されており、近年大面積の用途を中心としてカラー表示化が急速に進んでいる。
カラーフィルタは液晶表示装置のカラー表示化には必要不可欠で、カラー液晶表示装置の性能を決める重要な部品であり、高精細な画像を表示するために様々な形に細かくパターニングされたものが用いられている。
【0003】
カラーフィルタは、ガラスやプラスチックなどの透明基板上に遮光性のブラックマトリックスを形成し、続いてブラックマトリックスがない透明部分に赤、緑、青色などの着色層を形成し製造している。従来、カラーフィルタの製造方法としては、染色法やインクジェット法、印刷法、フォトリソグラフィー法、エッチング法などが知られている。
このうち、フォトリソグラフィー法は分光特性のコントロール、再現性が容易に得られ、さらに解像度が高く、より高精彩なカラーフィルタを作製することが可能であることから、近年、カラーフィルタの製造において主流になっている方法である。
【0004】
フォトリソグラフィー法によりカラーフィルタを得る方法は、一般にアルカリ可溶性樹脂、重合性モノマー、光重合開始剤、着色剤及び溶剤から構成された感光性着色組成物が用いられ、ガラス基板等に塗布した後、紫外線露光に続くアルカリ水溶液による現像でパターン形成するものであり、特開平7−98409号公報等に開示されている。
一方、コントラストを向上のために各着色パターンの間に形成されるブラックマトリックスは、従来クロムや酸化クロム等の金属多層膜を蒸着した後、エッチング法によってパターニングすることによって形成していた。しかし、高コストであること、さらにエッチング廃液による環境問題などから、近年、チタンやカーボン等の遮光性顔料を分散した感光性樹脂組成物(遮光性黒色レジスト組成物)を用いる方法が着目され、実用に至っている。
【0005】
遮光性黒色レジスト組成物に対しては、より低いエネルギーで硬化するもの、より早く硬化するもの、より精細なパターンを形成できるもの、より保存性能の高いものが求められている。しかしながら、遮光性黒色レジスト組成物を用いて金属多層膜同様の遮光性を得るためには、多量の遮光性顔料を混合し、且つ厚膜(1μm前後)にする必要がある。これにより、多くの照射光が極表面で吸収されるため、感度の低下は必至であり、良好なパターン形状を得ることが難しい。
【0006】
このような問題に対して、より大きなエネルギーの照射や過剰量の光重合開始剤の添加、酸素遮断膜の設置などの工夫がなされているが、省エネルギーや生産コストの低減のためにも、より光硬化性に優れた遮光性黒色レジスト組成物が求められている。
上記の問題に対して、特開平10−253816には多官能チオールを含有した光重合開始剤を用いた遮光性黒色レジスト組成物が開示されている。しかし、開示、使用されている多官能チオールは直鎖のものであり、多官能チオールにより高感度化を達成しようとすると保存性が犠牲になるといった問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−98409号公報
【特許文献2】
特開平10−253816号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、高感度で、且つ保存安定性に優れた遮光性黒色レジスト組成物を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、バインダ樹脂、エチレン性不飽和二重結合を分子内に少なくとも1個有する化合物、光重合開始剤、黒色顔料、溶剤、及びチオール基に対してα位および/またはβ位の炭素で分岐した構造を少なくとも一つ有するチオール化合物を含有することを特徴とする遮光性黒色レジスト組成物であって、前記バインダ樹脂が、カルド樹脂であることを特徴とする遮光性黒色レジスト組成物である。
【0010】
また、本発明は、上記発明による遮光性黒色レジスト組成物において、前記チオール化合物が、チオール基に対してα位および/またはβ位の置換基の少なくとも一つがアルキル基であることを特徴とする遮光性黒色レジスト組成物である。
【0011】
また、本発明は、上記発明による遮光性黒色レジスト組成物において、前記チオール化合物が、化学式(1)で表わされる部分構造を有するチオール化合物であることを特徴とする遮光性黒色レジスト組成物である。
【0012】
【化3】
【0013】
また、本発明は、上記発明による遮光性黒色レジスト組成物において、前記チオール化合物が、化学式(2)で表わされるカルボン酸と多官能アルコール類とのエステルであることを特徴とする遮光性黒色レジスト組成物である。
【0014】
【化4】
【0015】
また、本発明は、上記発明による遮光性黒色レジスト組成物において、前記多官能アルコール類が、アルキレングリコール(但し、アルキレン基の炭素数は2〜10で枝分かれしていてもよい)、ジエチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトールから選ばれる化合物の1種または2種以上であることを特徴とする遮光性黒色レジスト組成物である。
【0016】
また、本発明は、上記発明による遮光性黒色レジスト組成物において、前記多官能アルコール類とカルボン酸とのエステルが、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトイソブチレート)から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする遮光性黒色レジスト組成物である。
【0020】
また、本発明は、上記発明による遮光性黒色レジスト組成物において、前記黒色顔料が、カーボンブラックであることを特徴とする遮光性黒色レジスト組成物である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明者らは、チオール基に対してα位および/またはβ位の炭素で分岐した構造を有するチオール化合物を使用することにより高感度で、酸素による重合阻害も受けにくく、保存安定性にも優れた遮光性黒色レジスト組成物となることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0022】
本発明に用いられる、チオール基に対してα位および/またはβ位の炭素で分岐した構造を有するチオール化合物とは、チオール基のα位および/またはβ位の炭素が水素以外の原子3つ以上と結合している、いわゆる枝分かれした構造を有するチオール化合物であり、例えば、チオール基に対してα位および/またはβ位の主鎖以外の置換基の少なくとも一つがアルキル基であるチオール化合物である。ここで、主鎖とは、チオール基を含む水素以外の原子で構成される最も長鎖の構造である。その中で特に化学式(1)で表される部分構造を有している化合物が好ましい。また、チオール基に対してα位および/またはβ位の炭素で分岐した構造を2個以上有している多官能チオール化合物がより好ましい。
【0023】
【化5】
【0024】
また、多官能であることにより単官能化合物と比較して、より高感度とすることが可能である。更に言えば、化学式(1)の部分構造を化学式(2)のカルボン酸誘導体構造として有しているチオール化合物が特に好ましい。
【0025】
【化6】
【0026】
化学式(2)のカルボン酸は、アルコール化合物とエステル結合を有していることが好ましいが、多官能チオールが好ましいことから多官能アルコールとのエステルがより好ましい。多官能アルコールとしては、アルキレングリコール(但し、アルキレン基の炭素数は2〜10で枝分かれしていてもよい。)、ジエチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が例示できる。
【0027】
本発明で使用できるチオール化合物を具体的に例示すると、以下のような化合物をあげることができる。
炭化水素ジチオールとして、2、5−ヘキサンジチオール、2,9−デカンジチオール、1,4−ビス(1−メルカプトエチル)ベンゼン等を例示することができる。
【0028】
化学式(2)のカルボン酸誘導体として、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、オクタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、ノナンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(2−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(2−メルカプトプロピオネート)、オクタンジオールビス(2−メルカプトプロピオネート)、ノナンジオールビス(2−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、オクタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ノナンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトイソブチレート)、エチレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(2−メルカプトイソブチレート)、オクタンジオールビス(2−メルカプトイソブチレート)、ノナンジオールビス(2−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトイソブチレート)、エチレングリコールビス(4−メルカプトバレレート)、ジエチレングリコールビス(4−メルカプトバレレート)、ブタンジオールビス(4−メルカプトバレレート)、オクタンジオールビス(4−メルカプトバレレート)、ノナンジオールビス(4−メルカプトバレレート)、トリメチロールプロパントリス(4−メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(4−メルカプトバレレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(4−メルカプトバレレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトバレレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトバレレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトバレレート)、オクタンジオールビス(3−メルカプトバレレート)、ノナンジオールビス(3−メルカプトバレレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトバレレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトバレレート)等が例示できる。
【0029】
化学式(1)の構造を有するアルコールを含む化合物として、フタル酸ジ(1−メルカプトエチルエステル)、フタル酸ジ(2−メルカプトプロピルエステル)、フタル酸ジ(3−メルカプトブチルエステル)、フタル酸ジ(3−メルカプトイソブチルエステル)などが例示できる。
【0030】
好ましくはエチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、オクタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、オクタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトイソブチレート)があげられる。さらに好ましくは、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)が、重合開始能力、保存性の面から望ましい。これらのチオール化合物は単独もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0031】
本発明において、チオール化合物は、エチレン性不飽和二重結合を分子内に少なくとも1個有する化合物100重量部に対して、一般に1〜200重量部、好ましくは10〜100重量部となるように配合する。少なすぎると重合開始が効率よく進まないことがあり、多すぎても重合開始機能の向上が見込めない上、レジスト物性に悪影響を及ぼすことがあるのでいずれも好ましくない。
【0032】
通常、ラジカル重合による光硬化は、空気との界面では空気中の酸素による重合阻害のために完全硬化は困難となる。しかし、本発明の遮光性黒色レジスト組成物は酸素の有無にかかわらず十分な硬化性を示す。
本発明のようなα位および/またはβ位にいわゆる枝分かれの構造を有するチオール化合物は、既存の光重合開始剤と組み合わせて用いることにより高感度を維持、向上させることと、保存性の向上を両立することができる。
【0033】
従来の様な直鎖型チオール(ラウリルメルカプタン、オクタンチオール、HSCH2CH2COOH誘導体等)では高感度化を達成できても、保存安定性が悪く、量産ベースでの使用が困難であった。また、メルカプトベンゾチアゾールのような芳香族チオールでは高感度にならない。
また、本発明の遮光性黒色レジスト組成物は、現像性、基板との密着性、皮膜特性等を付与させるためにバインダ樹脂を含有する。
【0034】
本発明で使用するバインダ樹脂としては、光照射部或いは遮光部において有機溶剤、アルカリ水溶液、水に溶解可能なもので有ればよく、特に限定されるものではない。しかし、作業環境や地球レベルでの環境問題がクローズアップされていることを考慮すると、水或いはアルカリ水溶液に溶解可能であるものがより望ましい。このような高分子結合体としては、一般に(メタ)アクリル酸や2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、N−ビニルピロリドンやアンモニウム塩を有するモノマーなどに代表されるような親水性のモノマーと、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチレン、N-ビニルカルバゾールなどに代表されるような親油性のモノマーとを適度な混合比で既知の手法で共重合したものが知られている。
【0035】
具体的な事例としては、特開昭57−16408、特開昭59−2009、特開平2−181704、特開平2−199403などに開示されているようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。バインダー樹脂はエチレン性不飽和二重結合を分子内に少なくとも1個有する化合物100重量部に対し、50〜1000重量部、より好ましくは50〜400重量部となるように配合する。少なすぎると皮膜特性が劣化し、多すぎると感度が低下するのでいずれも好ましくない。
【0036】
エチレン性不飽和二重結合を分子内に少なくとも1個有する化合物は、光重合開始剤の光分解で生じる活性種によって重合する物質であり、1官能であるビニルモノマーの他に多官能ビニルモノマーを含むものであり、またこれらの混合物であってもよい。また、エチレン性不飽和二重結合を有するダイマーやオリゴマーを含むものである。
【0037】
具体的には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の高沸点ビニルモノマー、さらには、脂肪族ポリヒドロキシ化合物、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトールなどのジあるいはポリ(メタ)アクリル酸エステル類等やジメチロールトリシクロデカンモノアクリレートやジメチロールトリシクロデカンジアクリレート等の脂環式モノマーや、芳香族ポリヒドロキシ化合物、例えば、ヒドロキノン、レゾルシン、カテコール、ピロガロール、ビスフェノールA等のジあるいはポリ(メタ)アクリル酸エステル、イソシアヌル酸のエチレンオキシド変性(メタ)アクリル酸エステルなどを挙げられるが、これらに限定されるものではない。この内常圧で沸点が100℃以上であるものがより好ましい。また、これらは必要に応じて2種類以上を混合して用いても構わない。
【0038】
また、本発明においては、光照射によりエチレン性不飽和二重結合を分子内に少なくとも1個有する化合物の重合反応を開始させる活性種を発生する光重合開始剤を含有する。
このような光重合発生剤としては、tert-ブチルペルオキシ-iso-ブタレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルジオキシ)ヘキサン、1,4-ビス[α-(tert-ブチルジオキシ)-iso-プロポキシ]ベンゼン、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルジオキシ)ヘキセンヒドロペルオキシド、α-(iso-プロピルフェニル)-iso-プロピルヒドロペルオキシド、2,5-ビス(ヒドロペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、tert-ブチルヒドロペルオキシド、1,1-ビス(tert-ブチルジオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ブチル-4,4-ビス(t-ブチルジオキシ)バレレート、シクロヘキサノンペルオキシド、2,2',5,5'-テトラ(tert-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'-テトラ(tert-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'-テトラ(tert-アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'-テトラ(tert-ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3'-ビス(tert-ブチルペルオキシカルボニル)-4,4'-ジカルボキシベンゾフェノン、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジ-tert-ブチルジペルオキシイソフタレートなどの有機過酸化物や、9,10-アンスラキノン、1-クロロアンスラキノン、2-クロロアンスラキノン、オクタメチルアンスラキノン、1,2-ベンズアンスラキノンなどのキノン類や、ベンゾインメチル、ベンゾインエチルエーテル、α-メチルベンゾイン、α-フェニルベンゾインなどのベンゾイン誘導体などを挙げることができる。また、市販のものとしては、チバガイギー社製のイルガキュア651、184、1173、907、369、819、784、1850、1800、1700などが知られている。
【0039】
本発明に使用する黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、アセチレンブラック、アニリンブラックなどを挙げることができる。これらの中で、特にカーボンブラックが遮光性及びコスト的な観点から好ましい。カーボンブラックとしては、MA7、MA8、MA11、MA100、MA220、MA230、#45、#47、#50、#52、#900、#990、#1000、#2200、#2650、32700(以上、三菱化学(株)製)、Monarch120、Monarch280、Monarch430、Monarch460、Monarch800、Monarch4630、REGAL99、REGAL250、REGAL250R、REGAL415、REGAL415R(以上、キャボット社製)、RAVEN11、RAVEN15、RAVEN30、RAVEN35、RAVEN40、RAVEN410、RAVEN420、RAVEN450、RAVEN500、RAVEN780、RAVEN850、RAVEN1000、RAVEN1020、RAVEN1040(以上、コロンビヤン・カーボン社製)、などを挙げることができる。
上記のカーボンブラックは単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いても構わない。また、分散性の向上や抵抗値の制御を目的にカーボンブラックの表面を樹脂等で被覆してから使用してもよい。
【0040】
本発明における遮光性黒色レジスト組成物の各成分の配合量は、固形分全量に対してバインダ樹脂が10〜40重量部、エチレン性不飽和二重結合を分子内に少なくとも1個有する化合物が5〜40重量部、光重合開始剤が1〜10重量部、黒色顔料が30〜60重量部、及びチオール基に対してα位および/またはβ位の炭素で分岐した構造を有するチオール化合物が0.2〜3重量部であることが好ましい。尚、黒色顔料を配合する際は適当量の分散剤を加えても構わない。
【0041】
また、本発明の遮光性黒色レジスト組成物は、さらに目的に応じて、レベリング剤、消泡剤、界面活性剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防かび剤、帯電防止剤、磁性体、導電材料等を添加しても良い。また、本発明の遮光性黒色レジスト組成物は、保存時の重合を防止する目的で、熱重合防止剤を添加することが出来る。熱重合防止剤の具体例としては、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、カテコール、tert−ブチルカテコール、フェノチアジン、メトキノン等を挙げることが出来る。
【0042】
本発明に使用する溶剤は、塗布する基材が溶解、膨潤、白濁および侵食等の影響を受けないようなものであればよく、一般に使用されている有機溶剤のほとんどを使用することができる。
具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、2−メチルプロピルアルコール、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、エチルメチルケトン、酢酸エチル、アセトニトリル、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、n−ペンタン、n−ヘプタン、n−ヘキサン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルエーテル、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアセテート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアセテート、2−フェノキシエタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、上記要件を満たす溶剤なら用いることができる。また、必要に応じて2種類以上の溶剤を混合して用いても構わない。
【0043】
本発明の遮光性黒色レジスト組成物は、各構成固形成分をこれらの溶剤に分散、溶解させることによって得ることができるが、その固形分濃度は塗布性を考え5〜40wt%にすることが好ましく、さらには10〜30wt%にすることがより好ましい。
本発明の遮光性黒色レジスト組成物を用いたブラックマトリクスは、透明基板上に塗布、乾燥、露光、現像、ポストベークする工程によって形成することができる。
【0044】
該遮光性黒色レジスト組成物は酸素阻害を受けにくいため、酸素遮断膜を設けなくとも超高圧水銀灯で100mJ/cm2 以下の露光によって容易にパターン形成できる。また、直鎖の多官能チオールを用いると、特に25℃以上の温度での保存による劣化(感度低下、現像速度変化など)が顕著であったが、本発明のチオール基に対してα位および/またはβ位の炭素で分岐した構造を有するチオール化合物を用いたレジスト組成物においては25℃で30日以上経っても劣化が見られなかった。これは、立体障害のない直鎖の多官能チオールが黒色顔料等の配合成分に吸着するためと推測される。
【0045】
次に、本発明の遮光性黒色レジスト組成物の作製方法は、最初に黒色顔料を溶剤中に分散した分散溶液を調製する。分散は、ボールミル、ロールミル、ジェットミル、ペイントコンディショナー、サンドグラインダー等を用いて行うことができる。分散するときは分散剤等の分散助剤を添加してもよい。また、必要に応じてバインダ樹脂を添加して分散してもよい。
続いて、該分散溶液にバインダ樹脂、エチレン性不飽和二重結合を分子内に少なくとも1個有する化合物、光重合開始剤、及びチオール基に対してα位および/またはβ位の炭素で分岐した構造を有するチオール化合物、さらに粘度調整のために溶剤を追加し、均一溶液なるまで攪拌し遮光性黒色レジスト組成物を得る。この時、目的に応じて、レベリング剤、消泡剤、界面活性剤を添加してもよい。
【0046】
本発明の遮光性黒色レジスト組成物を用いたブラックマトリックスの形成方法について説明する。本発明の遮光性黒色レジスト組成物をガラス、プラスチック等の透明基板上に塗布し、乾燥させる。塗布は、スピンコーター、ロールコーター、ワイヤーバー、アプリケーター、スプレーコーターなどを用いて行う。
また、乾燥は風乾、減圧乾燥、あるいはホットプレート、オーブンなどによる加熱乾燥によって行う。加熱によって乾燥するときは、100℃以下で行うことが望ましい。この時の温度が高すぎたり、乾燥時間が長すぎると、一部重合あるいは架橋が起こり、未露光部の現像液に対する溶解性が低下し、いわゆる焼きつきを引き起こすことがあるので好ましくない。
【0047】
乾燥した塗膜にパターンを有するフォトマスクを介して紫外線露光を行う。光源としては一般に超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が用いられ、用途や基板の種類によっては熱線カットフィルターや波長カットフィルターを使用しても良い。塗膜を露光後、現像液により未硬化部分を除去することで、基板上にブラックマトリクスを形成することができる。更にその後に形成されたパターンの化学的あるいは物理的耐性を付与する目的で加熱処理(ポストベーク)を行っても良い。
得られたブラックマトリックス基板は、その後、赤色、緑色、青色などの着色パターンを付与することでモニターやテレビ等の表示に用いられる液晶表示装置やデジタルカメラ、ビデオ等に用いられる固体撮像素子などに必須なカラーフィルタに利用される。
【0048】
【実施例】
以下に実施例により本発明を具体的に説明する。本発明は実施例により何ら制限されるものではない。以下の実施例中、実施例1〜4、7、8、10、11、13、14、16、17、19、20、22、23、25、26、28、29、31、32は、参考例である。
【0049】
[アルカリ可溶性のアクリル樹脂溶液の合成]
(アクリル樹脂溶液A1)
1リットル容の4つ口フラスコに、シクロヘキサノン2000g、シクロヘキシルメタクリレート7.4g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート6.6g、メタクリル酸10g、メタクリル酸メチル6.0g、メタクリル酸ブチル20gを仕込み、90℃に加熱し、予めシクロヘキサノン150g、シクロヘキシルメタクリレート7.4g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート6.6g、メタクリル酸10g、メタクリル酸メチル6.0g、メタクリル酸ブチル20gとアゾビスイソブチロニトリル0.50gを混合溶解したものを3時間で滴下し、90℃にて3時間さらに反応させた。さらに、アゾビスイソブチロニトリル0.21gをシクロヘキサノン6.0gに溶解させたものを添加し、さらに1時間反応を続け、樹脂溶液を合成した。さらに、この樹脂の不揮発分が20重量%となるようにシクロヘキサンノンで調製し、アクリル樹脂溶液A1を得た。
【0050】
(アクリル樹脂溶液A2)
1リットル容の4つ口フラスコに、シクロヘキサノン200g、シクロヘキシルメタクリレート7.4g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12g、メタクリル酸10g、メタクリル酸ブチル20gを仕込み90℃に加熱し、予めシクロヘキサノン150g、シクロヘキシルメタクリレート7.4g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12g、メタクリル酸10g、メタクリル酸ブチル20gとアゾビスイソブチロニトリル0.5gを混合溶解したものを3時間で滴下し、90℃にて3時間さらに反応させた。さらに、アゾビスイソブチロニトリル0.21gをシクロヘキサノン6gに溶解させたものを添加し、さらに1時間反応を続け、樹脂溶液を合成した。次いで、フラスコ内温を80℃として、イソシアネートエチルメタクリレート7g、オクチル酸スズ0.03gをシクロヘキサン10gで溶解したものを約10分で滴下し、滴下後30分反応させて側鎖に重合性のメタクリロイル基を有する樹脂溶液を合成した。さらに、この樹脂の不揮発分が20重量%となるようにシクロヘキサノンで調製し、アクリル樹脂溶液A2を得た。
【0051】
[黒色顔料を溶剤中に分散した分散溶液の調製]
(カーボンブラック分散液CB1、CB2)
キャボット社製カーボンブラックMonarch800 20g、樹脂型分散剤Byk161(ビックケミー社製)5g、アクリル樹脂A1 9.7g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート65.3gを混合し、500gのジルコニアビーズを加えてサンドミルで8時間攪拌することによってカーボンブラック分散液CB1を調製した。また、キャボット社製カーボンブラックREGAL250Rを用いて同様にカーボンブラック分散液CB2を調製した。
【0052】
(カーボンブラック分散液CB3、CB4)
キャボット社製カーボンブラックMonarch800 20g、樹脂型分散剤Byk161(ビックケミー社製)5g、アクリル樹脂A2 9.7g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート65.3gを混合し、500gのジルコニアビーズを加えてサンドミルで8時間攪拌することによってカーボンブラック分散液CB3を調製した。また、キャボット社製カーボンブラックREGAL250Rを用いて同様にカーボンブラック分散液CB4を調製した。
【0053】
(カーボンブラック分散液CB5、CB6)
キャボット社製カーボンブラックMonarch800 20g、樹脂型分散剤Byk161(ビックケミー社製)5g、新日鉄化学社製カルド樹脂V−259 3.5g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート71.5gを混合し、500gのジルコニアビーズを加えてサンドミルで8時間攪拌することによってカーボンブラック分散液CB5を調製した。また、キャボット社製カーボンブラックREGAL250Rを用いて同様にカーボンブラック分散液CB6を調製した。
【0054】
[遮光性黒色レジスト組成物の調製、及び黒色細線の形成]
<実施例1>
カーボンブラック分散液CB1に、エチレン性不飽和二重結合を分子内に少なくとも1個有する化合物として東亜合成社製アロニックスM402、光重合開始剤としてチバガイギー社製Irgacure907、日本化薬社製DTEX、チオール基に対してα位および/またはβ位の炭素で分岐した構造を有するチオール化合物としてトリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)及びアクリル樹脂溶液A1と溶剤を表1に示す割合で混合し、固形分濃度が26重量%、固形分中の顔料濃度が40重量%になる遮光性黒色レジスト組成物を調製した。
【0055】
調製した遮光性黒色レジスト組成物をガラス基板上に乾燥塗膜が1.0μmになるようにスピンコーターで塗布し、減圧乾燥した後更に70℃のクリーンオーブンで10分間プリベークした。次に、超高圧水銀灯を光源とする光を用い、細線パターンを有するフォトマスクを通して露光した。この時、フォトマスクと塗膜表面との間は100μmに保持した。その後、下記の現像液にてシャワー現像し、水洗スプレーでリンス後、230℃で20分熱硬化することによって細線パターンを形成した。
得られた黒色細線はシャープな端面形状を有し、8μmの細線においても綺麗な直線性を再現していた。また、用いた遮光性黒色レジスト組成物を25℃の環境下で30日保存した後も劣化することなく、同様にして黒色細線を形成してすることができた。適正感度、残膜率、現像マージンなどのレジスト特性も変化なく、また、作製した黒色細線のパターン形状、細線の直線性、線幅及び光学濃度等の特性に変もわりはなかった。
【0056】
尚、実施例1〜33、及び比較例1〜10での黒色細線の形成には、いずれも以下の組成からなる現像液を使用した。
炭酸ナトリウム 1.5wt%
炭酸水素ナトリウム 0.5wt%
陰イオン系界面活性剤(花王・ペリレックスNBL) 8.0wt%
水 90wt%
【0057】
<実施例2〜33>
表1〜表6に示すカーボンブラック分散液、エチレン性不飽和二重結合を分子内に少なくとも1個有する化合物、光重合開始剤、チオール基に対してα位および/またはβ位の炭素で分岐した構造を有するチオール化合物及び樹脂溶液と溶剤を表1に記載した割合で混合し、実施例1と同様にして黒色細線の形成をした。
得られた黒色細線はシャープな端面形状を有し、8μmの細線においても綺麗な直線性を再現していた。また、用いた遮光性黒色レジスト組成物を25℃の環境下で30日保存した後も劣化することなく、同様にして黒色細線を形成することができた。適正感度、残膜率、現像マージンなどのレジスト特性も変化なく、また、作製した黒色細線のパターン形状、細線の直線性、線幅及び光学濃度等の特性に変もわりはなかった。結果をまとめて表7〜表9に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
【0064】
尚、表7〜表9中の残膜率、飽和感度、適正感度、現像マージン、パターン形状及び細線直線性は次のようなことを意味する。
・残膜率:遮光性黒色レジスト組成物を基板上に塗布、乾燥した後、露光及び現像を施して得られた膜の厚さ(T1)の塗布膜厚(T0)に対する比を百分率で示した値であり、次式によって求めることができる。すなわち、残膜率=(現像後の膜厚(T1)/塗布膜厚(T0))×100
・飽和感度:一定以上の光照射を施しても照射露光量に対して残膜率がさほど変わらなくなった時の露光量を意味する。
・適正感度:残膜率が95%以上で、且つ幅20μmのフォトマスクの細線開口部からの光によって露光、現像した時に20μmの黒色細線が得られるのに必要な露光量を意味する。
・現像マージン:未露光部分のレジストが完全に除去される適正現像時間をD0、黒色細線のパターン形状、直線性、線幅、残膜率等の特性が安定して得られる限界の現像時間をD1としたとき、D1−D0を現像マージンとした。すなわち、良好な黒色細線パターンが得られる許容現像時間の幅を意味する。
・パターン形状:得られた黒色細線のパターンエッジの形状及び表面荒れの有無を意味する。
・細線直線性:得られた黒色細線(幅20μm)の長さ方向の直線性(フリンジ等によるガタツキの程度)を意味する。
【0065】
【表7】
【0066】
【表8】
【0067】
【表9】
【0068】
<比較例1>
実施例1のトリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)の代わりにトリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)を用い、実施例1と同様にして黒色細線を形成した。初期における諸特性は、パターンに若干のギザツキが見られる以外は同様の感度、残膜率を示した。
しかしながら、25℃保存において15日経過後では、大きく感度が低下し、それに伴って残膜率も低減した。その原因ついて明確な答えは得られていないが、経時後のレジスト組成物を分析した結果、チオール成分減少が見られることから、チオール化合物が顔料、樹脂、モノマーなどに化学的あるいは物理的に吸着することによるためと推測している。チオール基に対してα位および/またはβ位の炭素で分岐した構造を有するチオール化合物で劣化が見られない理由として立体障害によって吸着が抑えられるものと思われる。
【0069】
<比較例2〜10>
表10〜表11に示す組成の遮光性黒色レジスト組成物を調製した。調製直後、また、25℃の環境下で保存した後に、それぞれ実施例1〜33と同様にして黒色細線の形成をした。結果を表12にまとめて示す。何れの組成物も、初期あるいは25℃15日後において感度や残膜率の低下、あるいはパターン形状、細線の直線性などの問題が確認された。
【0070】
【表10】
【0071】
【表11】
【0072】
【表12】
【0073】
【発明の効果】
上述のように、本発明による遮光性黒色レジスト組成物は、高感度で、且つ保存安定性に優れた遮光性黒色レジスト組成物となる。
Claims (7)
- バインダ樹脂、エチレン性不飽和二重結合を分子内に少なくとも1個有する化合物、光重合開始剤、黒色顔料、溶剤、及びチオール基に対してα位および/またはβ位の炭素で分岐した構造を少なくとも一つ有するチオール化合物を含有することを特徴とする遮光性黒色レジスト組成物であって、前記バインダ樹脂が、カルド樹脂であることを特徴とする遮光性黒色レジスト組成物。
- 前記チオール化合物が、チオール基に対してα位および/またはβ位の置換基の少なくとも一つがアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の遮光性黒色レジスト組成物。
- 前記多官能アルコール類が、アルキレングリコール(但し、アルキルレン基の炭素数は2〜10で枝分かれしていてもよい)、ジエチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトールから選ばれる化合物の1種または2種以上であることを特徴とする請求項4に記載の遮光性黒色レジスト組成物。
- 前記多官能アルコール類とカルボン酸とのエステルが、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトイソブチレート)から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項5に記載の遮光性黒色レジスト組成物。
- 前記黒色顔料が、カーボンブラックであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の遮光性黒色レジスト組成物。
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