JP4237980B2 - 飛行機の主翼用層流翼型 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、層流翼に特有の問題である空力中心まわりの頭下げピッチングモーメントを低減することが可能な新規な飛行機の主翼用層流翼型に関する。
【0002】
【従来の技術】
飛行機の主翼の表面の境界層は前縁側では層流境界層であるが、後縁側に移行するに伴って層流境界層から乱流境界層に変化する。主翼の表面の摩擦抵抗は層流境界層の方が乱流境界層よりも小さいため、主翼の抗力を低減するためには、層流境界層から乱流境界層に変化する遷移点を後縁側に移動させて層流境界層の領域をできるだけ長くすることが望ましい。
【0003】
1940年代初期にNACAが開発した「6シリーズ」の層流翼型は、従来の翼型に比べて抗力の低減が可能であったが、前縁近傍の翼表面がラフな場合に最大揚力が大幅に低減する傾向があり、これが離着陸時に重要な障害となる問題があった。
【0004】
その後、NASAは1977年および1983年にそれぞれNLF(1)−0215FおよびNLF(1)−0414Fを開発した。これらの層流翼型は抗力の低減を可能にしたが、大きな頭下げピッチングモーメントを発生する問題があり、しかもこれらの層流翼型は低速領域を対象としているために亜音速領域で早期に抗力発散現象が発生する問題があった。
【0005】
1984年にNASAが高亜音速領域用として開発したHSNLF(1)−0213は抗力発散現象が発生し難く、また頭下げピッチングモーメントも小さいが、低レイノルズ数領域での最大揚力が小さく、しかも翼厚が13%程度しかないために翼内燃料タンクの容量が不充分になり、航続距離を確保することが難しいという問題があった。
【0006】
後縁部の形状に特徴を有する翼型として、米国特許第4858852号明細書、米国特許第5318249号明細書に記載されたものが公知である。
【0007】
米国特許第4858852号明細書に記載されたものは、遷音速領域用の翼型の後縁部が厚みを持つ鈍い形状であり、かつ後縁部の近傍で翼上面および翼下面は後縁部に向かって厚さが増加するように発散しており、これにより揚力の増加と抗力の低減とを図っている。
【0008】
米国特許第5318249号明細書に記載されたものは、遷音速領域用の翼型の後縁部の近傍の上面および下面が下方に大きく湾曲しており、これにより遷音速領域での翼上面からの剥離防止を図っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、層流境界層の領域が後縁側に長く延びている層流翼型では、翼上面の負圧が後縁側においても大きくなるため、翼全体の揚力のうち後縁側の揚力が占める割合が多くなる。その結果、空力中心まわりの頭下げピッチングモーメントが大きくなる問題があり、この頭下げピッチングモーメントを相殺するために水平尾翼が発生する負の揚力を増加させる必要がある。このように水平尾翼が発生する負の揚力を増加させると、飛行機全体の揚力が低減するだけでなく、水平尾翼の抗力が増加して飛行機全体の抗力が増加する問題がある。また水平尾翼の面積を増加させたり、重心位置から水平尾翼までのモーメントアームを増加させたりする必要があるため、更なる重量の増加や抗力の増加を招く問題がある。
【0010】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、飛行機の主翼用層流翼型の抗力低減効果を維持しながら、望ましくない頭下げピッチングモーメントを低減することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、翼上面部、翼下面部、前縁部および後縁部からなり、最大翼厚が翼弦長の15%以上である層流翼型において、翼上面部が、前縁部から翼弦長の30%〜50%の範囲にある最大翼厚部にわたって設けられた正の曲率半径を有する前方輪郭部により層流境界層を形成し、最大翼厚部から、最大翼厚部との翼厚差を最大翼厚部からの翼弦方向の距離で除した値が0.12以下である翼弦長の90%近傍の位置にわたって設けられた正の曲率半径を有する中央輪郭部により、前記最大翼厚部から翼弦長の90%近傍の位置にわたってなだらかな圧力勾配を形成して境界層の剥離を抑制し、翼弦長の95%近傍の位置から後縁部にわたって設けられた負の曲率半径を有するか、あるいは直線よりなる後方輪郭部により、翼弦長の95%近傍の位置から後縁部にわたって中央輪郭部における圧力勾配よりも急な圧力勾配を生じさせて境界層の微小な剥離を誘発し、もって空力中心まわりの頭下げピッチングモーメントを低減することを特徴とする飛行機の主翼用層流翼型が提案される。
【0012】
上記構成によれば、飛行機の主翼用層流翼型の翼上面部の前方輪郭部の後端の最大翼厚部を、従来の層流翼型よりも前縁部寄りである翼弦長の30%〜50%の範囲に設定することで、最大翼厚部から翼弦長の90%近傍の位置にわたる中央輪郭部の圧力勾配を従来の層流翼型よりもなだらかにして乱流境界層を安定させ、望ましくない剥離の発生を抑制して揚力の増加および抗力の低減を達成することができる。また翼上面部における翼弦長の95%近傍の位置から後縁部にわたって負の曲率半径を有する(あるいは直線よりなる)後方輪郭部を設けたので、この後方輪郭部で気流の流速を急激に低下させて積極的に乱流境界層の剥離を促進することができる。その結果、層流翼型の後縁部近傍の揚力を低減して頭下げピッチングモーメントを低減することができる。乱流境界層の剥離による揚力の低減および抗力の増加は無視できる程度に小さくても、剥離が発生する後縁部近傍は空力中心からの距離が大きいので、前記僅かな揚力の低減でも頭下げピッチングモーメントを大幅に低減することができる。しかも最大翼厚が翼弦長の15%以上であるため、翼内燃料タンクの容量を充分に増加させて必要な航続距離を確保することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0014】
図1〜図7は本発明の一実施例を示すもので、図1は本実施例の層流翼型を示す図、図2は図1の2部拡大図、図3は本実施例の層流翼型の理論的設計圧力分布を示す図、図4は揚力係数Clに対するピッチングモーメント係数Cmの特性の実験値および理論値を示すグラフ、図5は主翼の前縁構造体および翼中央構造体の結合部の分解断面図、図6は主翼の前縁構造体および翼中央構造体の結合部の拡大断面図、図7は翼上面の段差の大きさおよびその位置に対する抗力係数変化量ΔCdの関係を示すグラフである。
【0015】
図1に示すように、本実施例の飛行機の主翼用層流翼型の輪郭は翼上面部Su、翼下面部Sl、前縁部Elおよび後縁部Etから構成されている。コードラインから測った翼上面部Su側の最大翼厚位置Tuは、本実施例において翼弦長Cの38%位置にあって層流境界層領域を形成し、最大翼厚位置Tuの近傍には層流境界層領域から乱流境界層領域へ移行する遷移点TPuが存在し、その遷移点TPuは翼弦長Cの42%位置付近にある。またコードラインから測った翼下面部Sl側の最大翼厚位置Tlは、本実施例において翼弦長Cの49%位置にあって層流境界層領域を形成し、最大翼厚位置Tlの近傍には層流境界層領域から乱流境界層領域へ移行する遷移点TPlが存在し、その遷移点TPlは翼弦長Cの63%位置付近にある。
【0016】
尚、遷移点TPu,TPlの位置を「付近」と定めた理由は、レイノルズ数、マッハ数、飛行姿勢等の飛行条件によって遷移点TPu,TPlの位置が変化してしまうからである。
【0017】
従来の層流翼型、例えばNACA「6シリーズ」の層流翼型では、翼上面部Suおよび翼下面部Slの層流境界層領域の長さを同一とするのが一般的であり、遷移点の位置は翼弦長Cの50%程度であった。それに対して、本実施例の層流翼型では翼上面部Suの最大翼厚位置Tuを翼弦長Cの38%位置まで前進、即ち、最大翼厚位置Tuと関連性のある遷移点TPuの位置を翼弦長Cの42%位置付近まで前進させることで失速特性を改善し、翼上面部Suでの遷移点TPuの位置の前進に伴う抗力の増加を、翼下面部Slの最大翼厚位置Tlを翼弦長Cの49%位置まで後退、即ち、最大翼厚位置Tlと関連性のある遷移点TPlの位置を翼弦長Cの63%位置付近まで後退させたことによる抗力の低減で補っている。
【0018】
翼上面部Suにおいて、前縁Elから最大翼厚位置Tuまでの領域は本発明の前方輪郭部Cfを構成しており、この前方輪郭部Cfが層流境界層を形成している。尚、前方輪郭部Cfは正の曲率半径を有しており、外側に凸に湾曲している。
【0019】
翼上面部Suにおいて、最大翼厚位置Tuから翼弦長Cの90%近傍までの領域は本発明の中央輪郭部Ccを構成しており、この中央輪郭部Ccにて層流境界層から遷移された乱流境界層が発達していく。尚、中央輪郭部Ccは正の曲率半径を有しており、外側に凸に湾曲している。但し、中央輪郭部Ccは、その前部(38%位置、最大翼厚位置Tu相当)との翼厚差Δtを、最大翼厚位置Tu(38%位置、中央輪郭部Ccの前部相当)から中央輪郭部Ccの後部(90%位置)までの翼弦方向の距離Lで除した値(翼厚差Δt/距離L)が0.12以下に設定している。つまり中央輪郭部Ccは前部から後部に向かってなだらかに傾斜している。
【0020】
その結果、図3を参照すると明らかなように、翼上面部Suの中央輪郭部Ccにおける圧力勾配が負圧から正圧に向かってなだらかに回復するようになり、その部分の乱流境界層を安定させて剥離の発生を防止することで、揚力の低減や抗力の増加を防止することができる。仮に、最大翼厚位置Tuが本実施例の層流翼型よりも後方にあり、その結果として中央輪郭部Ccにおける圧力勾配が急になると乱流境界層が不安定になり、中央輪郭部Ccの任意の位置で不用意に剥離が発生して揚力の低減や抗力の増加を招く虞があり、特に剥離点が前縁部El側に近いほど揚力の低減や抗力の増加が顕著になる。
【0021】
本実施例の層流翼型の後縁部Etの近傍を拡大した図2から明らかなように、翼上面部Suにおける翼弦長Cの95%位置から後縁部Etにわたって設けられた後方輪郭部Crは、その曲率半径が負であって外側に凹に湾曲している。図3を参照すると明らかなように、負の曲率半径を有する後方輪郭部Crにおいて気流の流速が急激に低下することで、その部分の圧力勾配が強くなって負圧から正圧への急な圧力回復が発生している。これにより、後方輪郭部Crの近傍において乱流境界層の剥離が促進されて後縁部Et近傍の揚力が低減するため、空力中心ACまわりの頭下げピッチングモーメントが低減する。翼弦長Cの25%位置にある空力中心ACから後縁部Etまでのモーメントアームは長いため、後縁部Et近傍の揚力が僅かに低減するだけでも、頭下げピッチングモーメントを大幅に低減することができる。
【0022】
このようにして頭下げピッチングモーメントが低減すると、ピッチ軸まわりの釣り合いを保つために水平尾翼が発生する負の揚力を低減することができる。これにより、水平尾翼の負の揚力によって飛行機全体の揚力が低減したり、水平尾翼の抗力が増加して飛行機全体の抗力が増加したりするのを防止できるだけでなく、水平尾翼の面積を増加させたり、重心位置から水平尾翼までのモーメントアームを増加させたりする必要がなくなって重量の増加や抗力の増加を回避することができる。しかも後方輪郭部Crにおいて発生する剥離は微小なものであるため、剥離に伴う揚力の低減や抗力の増加は問題とならない。
【0023】
図4は頭下げピッチングモーメントの低減効果を説明するものである。同図における○は実機を用いた実験値(マッハ数:0.62〜0.64、レイノルズ数:11.5〜16.7×106 )であり、□は遷音速風洞を用いた実験値(マッハ数:0.64、レイノルズ数:8×106 )であり、△は同じ遷音速風洞を用いた実験値(マッハ数:0.7、レイノルズ数:8×106 )であり、実線および破線は、衝撃波や抗力発散を考慮した高速領域での翼型の解析手法の一つである、オイラー法とen 法とを組み合わせた手法(以降MSES)を用いた理論値であり、実線は後方輪郭部Crの近傍における乱流境界層の剥離を考慮した場合であり、破線は考慮しない場合である。
【0024】
同図から明らかなように、飛行実験および風洞実験の結果は乱流境界層の剥離を考慮したMSESの理論値(実線参照)と良く一致しており、乱流境界層の剥離を考慮しないMSESの理論値(破線参照)に対して頭下げピッチングモーメントが大幅に低減していることが理解される。
【0025】
尚、本実施例の層流翼型の最大翼厚(翼上面部Suおよび翼下面部Sl間の翼厚)は翼弦長Cの15%であり、翼内燃料タンクの容量を充分に増加させて必要な航続距離を確保することができる。
【0026】
図5および図6に示すように、本実施例の層流翼型を採用した飛行機の主翼は、別個に組み立てられた前縁構造体11および翼中央構造体12を備える。前縁構造体11は、断面チャンネル状の前縁スパー13と、前縁スパー13の前面に結合された複数のリブ14…と、前縁スパー13およびリブ14…を覆うスキン15とを備える。翼中央構造体12に臨む前縁スパー13の後上部にスキン15およびピアノヒンジ16…がリベット17…で共締めされ、また翼中央構造体12に臨む前縁スパー13の後下部にスキン15およびピアノヒンジ18…がリベット19…で共締めされる。
【0027】
翼中央構造体12は、断面チャンネル状のフロントスパー20と、フロントスパー20の後面に結合された複数のリブ21…と、フロントスパー20およびリブ21…を覆うアッパースキン22およびロアスキン23とを備える。アッパースキン22およびロアスキン23はフロントスパー20にリベット24…,25…で締結される。また前縁構造体11に臨むフロントスパー20の前上部にピアノヒンジ26…がリベット27…で締結され、また前縁構造体11に臨むフロントスパー20の前下部にピアノヒンジ28…がリベット29…で締結される。
【0028】
そして翼中央構造体12の前面に前縁構造体11の後面を突き合わせ、対応する前縁構造体11側のピアノヒンジ16…,18…と、翼中央構造体12側のピアノヒンジ26…,28…とにピン30…を挿通することで、翼中央構造体12および前縁構造体11が一体に結合される。このとき、製造上の誤差により前縁構造体11のスキン15の後端と、翼中央構造体12アッパースキン22およびロアスキン23の前端との間に若干の隙間αや段差βが発生することが避けられない。
【0029】
図7のグラフは、本実施例の層流翼型の上面に段差を設けた場合の抗力係数変化量ΔCdを示すものである。具体的には、実機の主翼上面における翼弦長Cの10%位置または20%位置に、高さの異なる段差を設けて飛行試験を行い、段差を設けない場合と比較して抗力係数変化量ΔCdを算出した。例えば、段差が0.19mmのとき、レイノルズ数が13×106 未満の領域において、翼弦長Cの10%位置に段差を設けた場合の抗力係数変化量ΔCdは約30カウントであるのに対し、翼弦長Cの20%位置に段差を設けた場合の抗力係数変化量ΔCdはその10分の1の約3カウントであり、段差の影響が劇的に低減していることが分かる。レイノルズ数が13.5×106 になると効果は多少薄れるものの、翼弦長Cの20%位置に段差を設けた場合の抗力係数変化量ΔCdは、翼弦長Cの10%位置に段差を設けた場合の30カウントから7カウントへと大幅に低減している。
【0030】
このように、本実施例の層流翼型を採用した場合には、翼弦長Cの20%位置に段差を配置すると抗力の増加が最小限に抑えられるため、隙間αや段差βが発生することが避けられない前縁構造体11と翼中央構造体12との結合部を翼弦長Cの20%位置に配置することで、前記隙間αや段差βに起因する抗力の増加を最小限に抑えることができる。
【0031】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0032】
例えば、実施例では後方輪郭部Crが負の曲率半径を有しているが、それが直線であっても良い。
【0033】
また実施例では翼上面部Suにおける最大翼厚位置Tuを翼弦長Cの38%位置に設定しているが、それを翼弦長Cの30%位置から50%位置の間に設定することができる。
【0034】
更には、既に実在する本発明に含まれない翼型であっても、その翼表面に肉盛りや肉削りを施して本発明に含まれる翼型に改修すれば、同様の効果が期待できる。
【0035】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、飛行機の主翼用層流翼型の翼上面部の前方輪郭部の後端の最大翼厚部を、従来の層流翼型よりも前縁部寄りである翼弦長の30%〜50%の範囲に設定することで、最大翼厚部から翼弦長の90%近傍の位置にわたる中央輪郭部の圧力勾配を従来の層流翼型よりもなだらかにして乱流境界層を安定させ、望ましくない剥離の発生を抑制して揚力の増加および抗力の低減を達成することができる。また翼上面部における翼弦長の95%近傍の位置から後縁部にわたって負の曲率半径を有する(あるいは直線よりなる)後方輪郭部を設けたので、この後方輪郭部で気流の流速を急激に低下させて積極的に乱流境界層の剥離を促進することができる。その結果、層流翼型の後縁部近傍の揚力を低減して頭下げピッチングモーメントを低減することができる。乱流境界層の剥離による揚力の低減および抗力の増加は無視できる程度に小さくても、剥離が発生する後縁部近傍は空力中心からの距離が大きいので、前記僅かな揚力の低減でも頭下げピッチングモーメントを大幅に低減することができる。しかも最大翼厚が翼弦長の15%以上であるため、翼内燃料タンクの容量を充分に増加させて必要な航続距離を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例の層流翼型を示す図
【図2】 図1の2部拡大図
【図3】 本実施例の層流翼型の理論的設計圧力分布を示す図
【図4】 揚力係数Clに対するピッチングモーメント係数Cmの特性の実験値および理論値を示すグラフ
【図5】 主翼の前縁構造体および翼中央構造体の結合部の分解断面図
【図6】 主翼の前縁構造体および翼中央構造体の結合部の拡大断面図
【図7】 翼上面の段差の大きさおよびその位置に対する抗力係数変化量ΔCdの関係を示すグラフ
【符号の説明】
AC 空力中心
C 翼弦長
Cf 前方輪郭部
Cc 中央輪郭部
Cr 後方輪郭部
El 前縁部
Et 後縁部
L 距離
Su 翼上面部
Sl 翼下面部
Tu 最大翼厚部
Δt 翼厚差
Claims (1)
- 翼上面部(Su)、翼下面部(Sl)、前縁部(El)および後縁部(Et)からなり、最大翼厚が翼弦長(C)の15%以上である飛行機の主翼用層流翼型において、
翼上面部(Su)が、
前縁部(El)から翼弦長(C)の30%〜50%の範囲にある最大翼厚部(Tu)にわたって設けられた正の曲率半径を有する前方輪郭部(Cf)により層流境界層を形成し、
最大翼厚部(Tu)から、最大翼厚部(Tu)との翼厚差(Δt)を最大翼厚部(Tu)からの翼弦方向の距離(L)で除した値が0.12以下である翼弦長(C)の90%近傍の位置にわたって設けられた正の曲率半径を有する中央輪郭部(Cc)により、前記最大翼厚部(Tu)から翼弦長(C)の90%近傍の位置にわたってなだらかな圧力勾配を形成して境界層の剥離を抑制し、
翼弦長(C)の95%近傍の位置から後縁部(Et)にわたって設けられた負の曲率半径を有するか、あるいは直線よりなる後方輪郭部(Cr)により、翼弦長(C)の95%近傍の位置から後縁部(Et)にわたって中央輪郭部(Cc)における圧力勾配よりも急な圧力勾配を生じさせて境界層の微小な剥離を誘発し、もって空力中心(AC)まわりの頭下げピッチングモーメントを低減することを特徴とする飛行機の主翼用層流翼型。
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