JP3722961B2 - 回転翼航空機の回転翼羽根 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転翼航空機の回転翼羽根に係り、特に最大揚力係数、抵抗発散マッハ数等によって評価される回転翼羽根の基本性能を高いレベルで維持しつつ、先行する回転翼羽根の翼端渦に後続する回転翼羽根が干渉することによって生じる騒音を低減する回転翼航空機の回転翼羽根に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、回転翼航空機の回転翼羽根の断面形状として、NACA(NASA米航空宇宙局の前身)によって開発された翼型が広く採用されてきた。NACAの翼型の代表的なものとしては、NACA0012及びNACA23012が知られている。
【0003】
これに対して、本願出願人は先に特願平3−131428号出願により、回転翼航空機の翼型としてより高性能な翼型を提案した。この翼型は、上記NACAの翼型より高い最大揚力係数Clmax及び零揚力抵抗発散マッハ数Mddを有しているものであった。
【0004】
図10は、上記特願平3−131428の翼型のうち、U896H−10,U896H−10UR,U896H−08,U896H−09,U896H−12という翼型の断面形状を示している。これらの翼型は、翼前縁から約30%弦長の点までの部分を正キャンバーの形状とし、翼の約30%弦長の点から約90%弦長の点までの部分を実質的に上下面対称な形状としている。これら翼型は、上記断面形状により、最大揚力係数Clmaxを大きくし、かつ対気速度が大きく(この条件を以下「高マッハ数」の状態ということにする)、迎角が小さい(揚力係数が零となる条件が客観的な評価に好都合であるので、揚力係数が零となる条件を基準にする。この条件を以下「零揚力係数」ということにする)という条件で、零揚力抵抗発散マッハ数Mddを大きくすることができる。
【0005】
図11に、上記特願平3−131428の翼型とNACAの翼型の最大揚力係数Clmaxと零揚力抵抗発散マッハ数Mddを比較したグラフを示す。
【0006】
図11のグラフは、縦軸にマッハ数0.4における最大揚力係数Clmax、横軸に零揚力抵抗発散マッハ数Mddを示し、座標面上に各翼型をプロットしたものである。回転翼航空機の回転翼羽根としては、揚力が大きくかつ抵抗が小さい翼型、すなわち、最大揚力係数Clmaxが大きくかつ零揚力抵抗発散マッハ数Mddが大きい翼型が高性能の翼型ということができる。
【0007】
図11のグラフに示すように、特願平3−131428の翼型は翼型NACA0012、NACA23012に比べ、最大揚力係数Clmaxまたは零揚力抵抗発散マッハ数Mddが高く、高性能な翼型であるということができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、回転航空機が着陸のため降下する時は、図12に模式的に示すように、先行する回転翼羽根の翼端渦に後続する回転翼羽根が干渉・衝突することがある。
【0009】
上記先行する回転翼羽根によって引き起される翼端渦は渦状の速度場を誘起し、後続回転翼羽根がこれと干渉・衝突する時に後続回転翼羽根が回転翼航空機の前進方向側にあると、渦状速度場との相乗効果によって後続回転翼羽根が高マッハ数かつ高揚力係数の気流状態に置かれる。図13に後続回転翼羽根が高マッハ数かつ高揚力係数に置かれる様子を示す。
【0010】
高マッハ数かつ高揚力係数状態では、衝撃波の発生と成長を原因とする失速が生じ、回転翼羽根表面の圧力が急激に変化して大きな騒音を発生する。このようにして発生する騒音は回転翼羽根/渦干渉騒音と呼ばれ、回転翼航空機の降下中に地域住民に与える騒音の大部分を占めている。
【0011】
本願出願人が先に提案した特願平3−131428の翼型は高マッハ数かつ零揚力係数状態において著しい抵抗の低減を達成するため、この状態での衝撃波の発生と成長の抑制を実現しているが、高マッハ数かつ高揚力状態における回転翼羽根/渦干渉騒音の低減についてはなお改善の余地があった。
【0012】
回転翼羽根/渦干渉騒音は回転翼羽根の翼面の衝撃失速によるところが大きい。一般に、迎角を一定にして一様流のマッハ数を増加させていくと、回転翼羽根表面に衝撃波が発生し、さらに成長して局所マッハ数ピークが高くなり、回転翼羽根の表面の流れが不安定となる。そして局所マッハ数が所定の値を超えると衝撃失速を生じる。図14に衝撃失速が生じるまでの様子を示す。
【0013】
翼型の衝撃失速に対する性能の評価として衝撃失速境界がある。図15は縦軸に揚力係数Cl、横軸に一様流のマッハ数をとり、衝撃失速境界を示したものである。
【0014】
図15から明らかなように、回転翼羽根/渦干渉騒音の低減のためには、衝撃失速を抑制すること、すなわち局所マッハ数ピークを抑制することが要求される。
【0015】
特願平3−131428の翼型は、高マッハ数かつ零揚力係数における局所マッハ数ピークの抑制を効果的に行っている。しかし、高マッハ数かつ高揚力係数状態(マッハ数:0.6〜0.8、揚力係数:1.0〜0.6)における局所マッハ数ピークの抑制にはなお改良の余地があった。
【0016】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、マッハ数0.6〜0.8、揚力係数1.0〜0.6付近の局所マッハ数ピークを抑制し、衝撃失速を起こしにくくすることにより、回転翼羽根/渦干渉騒音の低減を実現し、かつ、高い翼型性能を有する回転翼航空機の回転翼羽根を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明による回転翼航空機の回転翼羽根は特願平3−131428に示された翼型U896H−10を基本として軽減アフト・キャンバーをつけ、最小限の縦揺モーメント特性を有するようにドループを緩和するとともに、後縁で著しい剥離を生じない程度にはね上げを設けたものである。具体的には特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載する翼断面形状を有するものである。なお、軽減アフト・キャンバーを図16に示す。
【0018】
アフト・キャンバーの作用、すなわちアフト・キャンバーを設けたことによる局所マッハ数の分布の変化を図17に示す。
【0019】
図17に示すように、アフト・キャンバーの適用により、遷音速領域で翼型上面の超音速部分が翼後縁にまで引き伸ばされ、その効果により翼型上面の局所マッハ数ピークが下げられ、衝撃失速が抑制される。
【0020】
本発明による翼型は、アフト・キャンバーとして図16に示すように、最大キャンバー位置を完全にスーパー・クリティカル翼型のアフト・キャンバーのそれよりも前方である70%弦長の点に位置させ、25%弦長と最大キャンバー位置間のモーメント・アームを短くした軽減アフト・キャンバーを採用している。この軽減アフト・キャンバーの採用は、上述した局所マッハ数ピークの引き下げを可能にするとともに、縦揺モーメントの増加を抑制することができる。
【0021】
また、本発明による回転翼羽根において、翼型U896H−10と比較して最大揚力係数と同時に縦揺モーメントも増加させるドループ(翼型の前縁形状における頭下げ形状)を緩和したこと、すなわち翼型の前縁形状の頭下げ形状を少なくしたこと、及び翼型後縁で下向きの空気力を発生して翼型に頭上げの縦揺モーメントを付与する効果があるはね上げをつけたことによって、縦揺モーメントの増加をさらに抑制することができる。
【0022】
上記諸作用により、本発明は従来の翼型U896H−10を基本として、その特長である高い零揚力抵抗係数と最大揚力係数を同等に維持しつつ、衝撃失速を起こりにくくする一方、縦揺モーメントも同等に維持した回転翼航空機の回転翼羽根を提供することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について添付の図面を参照して説明する。
本発明の目的は、回転翼羽根/渦干渉騒音の低減のため、衝撃失速を起こりにくくする点にあるが、回転翼航空機の翼型に要求される基本性能である零揚力抵抗発散マッハ数、最大揚力係数、縦揺れモーメントとの高レベルでのバランスにも配慮している。最初にこれらの翼型性能について説明する。
[零揚力抵抗発散マッハ数と最大揚力係数]
図9は飛行中の回転翼航空機の回転翼羽根の先端部及び中央部に作用する気流の迎角αとマッハ数Mの関係を示している。図中矢印Pは回転翼航空機の進行方向を示しており、矢印Rは回転翼羽根の回転方向を示している。迎角αとマッハ数Mの関係を示すグラフでは、縦軸に迎角α、横軸にマッハ数Mをとり、曲線Aは回転翼羽根の先端部a,a′、曲線Bは回転翼羽根の中央部b,b′のそれぞれの気流に対する迎角αとマッハ数Mの関係を経時的に示している。
【0024】
曲線A,Bからもわかるように、回転翼羽根に作用する迎角とマッハ数は、飛行中に回転翼羽根が方向Rに回転することと、回転翼羽根の回転面が回転航空機の飛行方向Pに傾斜していることにより、回転翼羽根が回転翼航空機の進行方向Pに向かって移動しているときは対気速度(マッハ数M)が大きく、迎角αが小さい。一方、回転翼羽根が回転航空機の進行方向Pと反対の方向に向かって移動しているときは、対気速度(マッハ数M)は小さく、迎角αは大きい。
【0025】
上述したような気流条件中で作用するため、回転翼羽根の翼型の性能は、対気速度(マッハ数M)が大きく迎角αが小さいときにおける抵抗と、対気速度(マッハ数M)が小さく迎角αが大きいときにおける揚力とにより第一義的に評価される。
【0026】
高マッハ数かつ低迎角における抵抗の評価は零揚力抵抗発散マッハ数Mddの高低を用いて行う。零揚力抵抗発散マッハ数Mddは、一般に抵抗係数Cd がマッハ数Mの増加とともに急激に増加する性質を有していることにより、Cd とMの関係を示す曲線の傾きd(Cd )/d(M)が0.1となるマッハ数をいう。Mddが高い翼型ほど高マッハ数かつ零揚力係数における抵抗が小さい。
【0027】
一方、低マッハ数かつ高迎角における揚力の評価は、一般に最大揚力係数Clmaxによって評価する。
[縦揺モーメント]
縦揺モーメントは翼の頭上げ・頭下げモーメントであるが、回転翼航空機では前進飛行時に回転翼羽根が前進側と後退側とでは流速が異なるため、縦揺モーメントが大きいと周期的な大きな捩じり荷重が回転翼羽根に加わる。この大きな捩じり荷重の変動は回転翼羽根の振動を生じる。従って、回転翼羽根には、縦揺モーメントが小さいことが要求される。
【0028】
図1は、本願請求項1または2の実施形態である翼型U958Q−10の断面形状を示している。この翼型U958Q−10を座標系で表わせば、基礎翼厚を10%弦長として下記の表1のようになる。
【0029】
図1において、cは翼弦長、XU ,XL は翼前縁からの距離、YU ,YL は翼上面と翼下面の翼弦からの垂直距離とする。なお、翼型U958Q−10の翼型中心線の翼後縁のはね上げ角は、翼弦を水平面として約0.05°である。
【0030】
上記翼型U958Q−10と、特願平3−131428の翼型U896H−10の中心線を比較したものを図2に示す。図2に示すように、本発明に係る翼型U958Q−10は、約30%弦長の点から後方の部分に余弦曲線を組み合わせた軽減アフト・キャンバーを採用している。この軽減アフト・キャンバーにより、翼型U958Q−10においては衝撃失速を抑制することができる。衝撃失速の抑制により騒音の発生を抑制することができる。
【0031】
また、翼型U958Q−10は、ドループを緩和していること、はね上げをつけていることによって縦揺モーメントを更に抑制することができる。
【0032】
図3に本実施形態の翼型U958Q−10と、特願平3−131428の翼型U896H−10の翼厚分布を比較したものを示す。図3から明らかなように、本実施形態の翼型U958Q−10は後縁厚さを絞り込んでいる。
【0033】
図4に本実施形態による翼型U958Q−10と特願平3−131428の翼型U896H−10の衝撃失速境界を比較したものを示す。図4は、縦軸に揚力係数C1、横軸に一様流のマッハ数Mをとり、翼型U958Q−10と翼型U896H−10の衝撃失速を生じる点をプロットしてつなげたものである。図から明らかなように、本実施形態の翼型U958Q−10は、従来の翼型U896H−10と比較してマッハ数0.6〜0.8で衝撃失速境界の揚力係数C1が平均で+0.1増加しており、増加が最も少ない所でも+0.05増加している。
【0034】
図5に本実施形態による翼型U958Q−10と特願平3−131428の翼型U896H−10の零揚力縦揺モーメント係数を比較したものを示す。図5は、縦軸に25%弦長点における零揚力縦揺モーメント係数Cm1/4 、横軸に一様流のマッハ数Mをとり、翼型U958Q−10と翼型U896H−10の各マッハ数における零揚力縦揺モーメント係数をプロットしたものである。図5から明らかなように、翼型U958Q−10は翼型U896H−10と同程度に縦揺モーメントを抑えている。
【0035】
図6に本実施形態の翼型U958Q−10と従来の翼型の最大揚力係数Clmax(マッハ数0.4)及び零揚力抵抗発散マッハ数Mddによる翼型性能比較図を示す。
【0036】
図6は、縦軸にマッハ数0.4における最大揚力係数Clmax、横軸に零揚力抵抗発散マッハMddをとり、座標面上に本実施形態の翼型U958Q−10と従来の翼型NACA0012、NACA23012、特願平3−131428の翼型U896H−10、U896H−10UR、U896H−08、U896H−09、U896H−12のそれぞれの該当点をプロットしたものである。
【0037】
図6から明らかなように、本実施形態の翼型U958Q−10は特願平3−131428の各翼型に比べて零揚力抵抗発散マッハ数Mdd及び最大揚力係数Clmaxがやや低いものの、新世代翼型の性能を有している。
【0038】
図7は本発明の第二の実施形態による翼型U958Q−08の断面形状を示している。
【0039】
図8は本発明の第三の実施形態による翼型U958Q−12の断面形状を示している。
【0040】
上記翼型U958Q−08と翼型U958Q−12は、表1に示した第一実施形態の翼型U958Q−10のYU 、YL の値にそれぞれ係数8/10と12/10を乗じた断面形状を有しているものである。これらの翼型U958Q−08、U958Q−12は、翼型性能において第一実施形態の翼型U958Q−10とほぼ共通している。
【0041】
なお、上述した実施形態の翼型U958Q−10,U958Q−08,U958Q−12は、翼の後縁付近に微小なはね上げを付加することによって頭下げモーメントを小さくなるようにしているが、本願発明はこれに限られず、ある程度の頭下げモーメントを許容できる場合は、翼の後縁付近を若干下げることにより、一層大きい最大揚力係数を有する翼型を得ることができる。
【0042】
また、翼型U958Q−08,U958Q−12は翼型U958Q−10の翼面のY座標YU ,YL にそれぞれ係数8/10と12/10を乗じているが、乗じる係数は上記値に限られず、5/10ないし15/10の任意の値を乗じることができる。
【0043】
【発明の効果】
上記説明から明らかなように、本発明による回転翼羽根の翼型は、回転翼羽根の基本性能において、新世代翼型と同等に高い零揚力の抵抗発散マッハ数と最大揚力係数を有している。
【0044】
また、本発明による回転翼羽根は、アフト・キャンバーをつけることにより衝撃失速を起こりにくくし、回転翼羽根/渦干渉騒音の低減を達成することができる。しかも、最大キャンバーを70%弦長に位置させた軽減アフト・キャンバーとすることにより、頭下げ縦揺モーメントの増加を抑制することができる。
【0045】
また、翼後縁部にはね上げを設けた本発明の回転翼羽根によれば、上記本発明の回転翼羽根の効果を加えて翼後縁部のはね上げによりさらに頭下げの縦揺れモーメントを抑制することができる。
【0046】
さらに、本発明の翼型は回転翼羽根の長さ方向にそって各位置に最適な性能の翼型にすることができる。すなわち、回転翼羽根の回転面の各半径方向の位置に応じて翼型の後縁付近に微小なはね上げ、下げ、あるいは翼弦から翼面までの距離に所定の係数を乗じて翼厚を調整することにより、回転翼羽根回転面の半径方向位置に最適な性能や特性を有する翼型群からなる回転翼航空機の回転翼羽根を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態による翼型の断面形状を示した図。
【図2】本発明の第一実施形態による翼型と特願平3−131428の翼型の中心線の翼弦からの垂直距離を比較して示した図。
【図3】本発明の第一実施形態による翼型と特願平3−131428の翼型の翼厚を比較して示した図。
【図4】本発明の第一実施形態による翼型の特願平3−131428の翼型の衝撃失速境界を比較して示した図。
【図5】本発明の第一実施形態による翼型と特願平3−131428の翼型の零揚力縦揺モーメント係数を比較して示した図。
【図6】本発明の第一実施形態による翼型と従来の翼型の最大揚力係数と零揚力抵抗発散マッハ数を比較して示した図。
【図7】本発明の第二実施形態による翼型の断面形状を示した図。
【図8】本発明の第三実施形態による翼型の断面形状を示した図。
【図9】前進飛行中の回転翼航空機の回転翼羽根の外翼部及び内翼部に作用する気流の迎角とマッハ数の関係を示した図。
【図10】特願平3−131428による翼型の断面形状を示した図。
【図11】特願平3−131428による翼型の最大揚力係数と零揚力抵抗発散マッハ数を示した図。
【図12】回転翼航空機の降下時の先行回転翼羽根の翼端渦と後続回転翼羽根とが干渉する様子を示した図。
【図13】先行回転翼羽根の翼端渦と干渉する後続回転翼羽根の周りの気流の様子と干渉によって高マッハ数高揚力係数となることを示した図。
【図14】一様流の流速の増加によって局所マッハ数ピークが高くなった結果翼上面で衝撃失速が生じる様子を示した図。
【図15】衝撃失速境界の揚力係数とマッハ数の関係を示した図。
【図16】通常の翼型と完全なスーパークリティカル翼型と軽減アフト・キャンバーを設けた翼型のキャンバーを比較して示した図。
【図17】揚力係数が同一の通常の翼型とアフト・キャンバーを設けた翼型の局所マッハ数を比較して示した図。
【符号の説明】
c 翼弦長
Clmax 最大揚力係数
Cm1/4 零揚力縦揺モーメント
M マッハ数
Mdd 零揚力抵抗発散マッハ数
XU 翼の前縁からの距離(上面)
XL 翼の前縁からの距離(下面)
YU 翼上面の翼弦からの垂直距離(上面)
YL 翼下面の翼弦からの垂直距離(上面)
Y 中心線(翼弦からの垂直距離)
t 翼厚(翼弦に対する垂直方向の厚さ)
U958Q−10 本発明の第一実施形態による翼型
U958Q−08 本発明の第二実施形態による翼型
U958Q−12 本発明の第三実施形態による翼型
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転翼航空機の回転翼羽根に係り、特に最大揚力係数、抵抗発散マッハ数等によって評価される回転翼羽根の基本性能を高いレベルで維持しつつ、先行する回転翼羽根の翼端渦に後続する回転翼羽根が干渉することによって生じる騒音を低減する回転翼航空機の回転翼羽根に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、回転翼航空機の回転翼羽根の断面形状として、NACA(NASA米航空宇宙局の前身)によって開発された翼型が広く採用されてきた。NACAの翼型の代表的なものとしては、NACA0012及びNACA23012が知られている。
【0003】
これに対して、本願出願人は先に特願平3−131428号出願により、回転翼航空機の翼型としてより高性能な翼型を提案した。この翼型は、上記NACAの翼型より高い最大揚力係数Clmax及び零揚力抵抗発散マッハ数Mddを有しているものであった。
【0004】
図10は、上記特願平3−131428の翼型のうち、U896H−10,U896H−10UR,U896H−08,U896H−09,U896H−12という翼型の断面形状を示している。これらの翼型は、翼前縁から約30%弦長の点までの部分を正キャンバーの形状とし、翼の約30%弦長の点から約90%弦長の点までの部分を実質的に上下面対称な形状としている。これら翼型は、上記断面形状により、最大揚力係数Clmaxを大きくし、かつ対気速度が大きく(この条件を以下「高マッハ数」の状態ということにする)、迎角が小さい(揚力係数が零となる条件が客観的な評価に好都合であるので、揚力係数が零となる条件を基準にする。この条件を以下「零揚力係数」ということにする)という条件で、零揚力抵抗発散マッハ数Mddを大きくすることができる。
【0005】
図11に、上記特願平3−131428の翼型とNACAの翼型の最大揚力係数Clmaxと零揚力抵抗発散マッハ数Mddを比較したグラフを示す。
【0006】
図11のグラフは、縦軸にマッハ数0.4における最大揚力係数Clmax、横軸に零揚力抵抗発散マッハ数Mddを示し、座標面上に各翼型をプロットしたものである。回転翼航空機の回転翼羽根としては、揚力が大きくかつ抵抗が小さい翼型、すなわち、最大揚力係数Clmaxが大きくかつ零揚力抵抗発散マッハ数Mddが大きい翼型が高性能の翼型ということができる。
【0007】
図11のグラフに示すように、特願平3−131428の翼型は翼型NACA0012、NACA23012に比べ、最大揚力係数Clmaxまたは零揚力抵抗発散マッハ数Mddが高く、高性能な翼型であるということができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、回転航空機が着陸のため降下する時は、図12に模式的に示すように、先行する回転翼羽根の翼端渦に後続する回転翼羽根が干渉・衝突することがある。
【0009】
上記先行する回転翼羽根によって引き起される翼端渦は渦状の速度場を誘起し、後続回転翼羽根がこれと干渉・衝突する時に後続回転翼羽根が回転翼航空機の前進方向側にあると、渦状速度場との相乗効果によって後続回転翼羽根が高マッハ数かつ高揚力係数の気流状態に置かれる。図13に後続回転翼羽根が高マッハ数かつ高揚力係数に置かれる様子を示す。
【0010】
高マッハ数かつ高揚力係数状態では、衝撃波の発生と成長を原因とする失速が生じ、回転翼羽根表面の圧力が急激に変化して大きな騒音を発生する。このようにして発生する騒音は回転翼羽根/渦干渉騒音と呼ばれ、回転翼航空機の降下中に地域住民に与える騒音の大部分を占めている。
【0011】
本願出願人が先に提案した特願平3−131428の翼型は高マッハ数かつ零揚力係数状態において著しい抵抗の低減を達成するため、この状態での衝撃波の発生と成長の抑制を実現しているが、高マッハ数かつ高揚力状態における回転翼羽根/渦干渉騒音の低減についてはなお改善の余地があった。
【0012】
回転翼羽根/渦干渉騒音は回転翼羽根の翼面の衝撃失速によるところが大きい。一般に、迎角を一定にして一様流のマッハ数を増加させていくと、回転翼羽根表面に衝撃波が発生し、さらに成長して局所マッハ数ピークが高くなり、回転翼羽根の表面の流れが不安定となる。そして局所マッハ数が所定の値を超えると衝撃失速を生じる。図14に衝撃失速が生じるまでの様子を示す。
【0013】
翼型の衝撃失速に対する性能の評価として衝撃失速境界がある。図15は縦軸に揚力係数Cl、横軸に一様流のマッハ数をとり、衝撃失速境界を示したものである。
【0014】
図15から明らかなように、回転翼羽根/渦干渉騒音の低減のためには、衝撃失速を抑制すること、すなわち局所マッハ数ピークを抑制することが要求される。
【0015】
特願平3−131428の翼型は、高マッハ数かつ零揚力係数における局所マッハ数ピークの抑制を効果的に行っている。しかし、高マッハ数かつ高揚力係数状態(マッハ数:0.6〜0.8、揚力係数:1.0〜0.6)における局所マッハ数ピークの抑制にはなお改良の余地があった。
【0016】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、マッハ数0.6〜0.8、揚力係数1.0〜0.6付近の局所マッハ数ピークを抑制し、衝撃失速を起こしにくくすることにより、回転翼羽根/渦干渉騒音の低減を実現し、かつ、高い翼型性能を有する回転翼航空機の回転翼羽根を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明による回転翼航空機の回転翼羽根は特願平3−131428に示された翼型U896H−10を基本として軽減アフト・キャンバーをつけ、最小限の縦揺モーメント特性を有するようにドループを緩和するとともに、後縁で著しい剥離を生じない程度にはね上げを設けたものである。具体的には特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載する翼断面形状を有するものである。なお、軽減アフト・キャンバーを図16に示す。
【0018】
アフト・キャンバーの作用、すなわちアフト・キャンバーを設けたことによる局所マッハ数の分布の変化を図17に示す。
【0019】
図17に示すように、アフト・キャンバーの適用により、遷音速領域で翼型上面の超音速部分が翼後縁にまで引き伸ばされ、その効果により翼型上面の局所マッハ数ピークが下げられ、衝撃失速が抑制される。
【0020】
本発明による翼型は、アフト・キャンバーとして図16に示すように、最大キャンバー位置を完全にスーパー・クリティカル翼型のアフト・キャンバーのそれよりも前方である70%弦長の点に位置させ、25%弦長と最大キャンバー位置間のモーメント・アームを短くした軽減アフト・キャンバーを採用している。この軽減アフト・キャンバーの採用は、上述した局所マッハ数ピークの引き下げを可能にするとともに、縦揺モーメントの増加を抑制することができる。
【0021】
また、本発明による回転翼羽根において、翼型U896H−10と比較して最大揚力係数と同時に縦揺モーメントも増加させるドループ(翼型の前縁形状における頭下げ形状)を緩和したこと、すなわち翼型の前縁形状の頭下げ形状を少なくしたこと、及び翼型後縁で下向きの空気力を発生して翼型に頭上げの縦揺モーメントを付与する効果があるはね上げをつけたことによって、縦揺モーメントの増加をさらに抑制することができる。
【0022】
上記諸作用により、本発明は従来の翼型U896H−10を基本として、その特長である高い零揚力抵抗係数と最大揚力係数を同等に維持しつつ、衝撃失速を起こりにくくする一方、縦揺モーメントも同等に維持した回転翼航空機の回転翼羽根を提供することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について添付の図面を参照して説明する。
本発明の目的は、回転翼羽根/渦干渉騒音の低減のため、衝撃失速を起こりにくくする点にあるが、回転翼航空機の翼型に要求される基本性能である零揚力抵抗発散マッハ数、最大揚力係数、縦揺れモーメントとの高レベルでのバランスにも配慮している。最初にこれらの翼型性能について説明する。
[零揚力抵抗発散マッハ数と最大揚力係数]
図9は飛行中の回転翼航空機の回転翼羽根の先端部及び中央部に作用する気流の迎角αとマッハ数Mの関係を示している。図中矢印Pは回転翼航空機の進行方向を示しており、矢印Rは回転翼羽根の回転方向を示している。迎角αとマッハ数Mの関係を示すグラフでは、縦軸に迎角α、横軸にマッハ数Mをとり、曲線Aは回転翼羽根の先端部a,a′、曲線Bは回転翼羽根の中央部b,b′のそれぞれの気流に対する迎角αとマッハ数Mの関係を経時的に示している。
【0024】
曲線A,Bからもわかるように、回転翼羽根に作用する迎角とマッハ数は、飛行中に回転翼羽根が方向Rに回転することと、回転翼羽根の回転面が回転航空機の飛行方向Pに傾斜していることにより、回転翼羽根が回転翼航空機の進行方向Pに向かって移動しているときは対気速度(マッハ数M)が大きく、迎角αが小さい。一方、回転翼羽根が回転航空機の進行方向Pと反対の方向に向かって移動しているときは、対気速度(マッハ数M)は小さく、迎角αは大きい。
【0025】
上述したような気流条件中で作用するため、回転翼羽根の翼型の性能は、対気速度(マッハ数M)が大きく迎角αが小さいときにおける抵抗と、対気速度(マッハ数M)が小さく迎角αが大きいときにおける揚力とにより第一義的に評価される。
【0026】
高マッハ数かつ低迎角における抵抗の評価は零揚力抵抗発散マッハ数Mddの高低を用いて行う。零揚力抵抗発散マッハ数Mddは、一般に抵抗係数Cd がマッハ数Mの増加とともに急激に増加する性質を有していることにより、Cd とMの関係を示す曲線の傾きd(Cd )/d(M)が0.1となるマッハ数をいう。Mddが高い翼型ほど高マッハ数かつ零揚力係数における抵抗が小さい。
【0027】
一方、低マッハ数かつ高迎角における揚力の評価は、一般に最大揚力係数Clmaxによって評価する。
[縦揺モーメント]
縦揺モーメントは翼の頭上げ・頭下げモーメントであるが、回転翼航空機では前進飛行時に回転翼羽根が前進側と後退側とでは流速が異なるため、縦揺モーメントが大きいと周期的な大きな捩じり荷重が回転翼羽根に加わる。この大きな捩じり荷重の変動は回転翼羽根の振動を生じる。従って、回転翼羽根には、縦揺モーメントが小さいことが要求される。
【0028】
図1は、本願請求項1または2の実施形態である翼型U958Q−10の断面形状を示している。この翼型U958Q−10を座標系で表わせば、基礎翼厚を10%弦長として下記の表1のようになる。
【0029】
図1において、cは翼弦長、XU ,XL は翼前縁からの距離、YU ,YL は翼上面と翼下面の翼弦からの垂直距離とする。なお、翼型U958Q−10の翼型中心線の翼後縁のはね上げ角は、翼弦を水平面として約0.05°である。
【0030】
上記翼型U958Q−10と、特願平3−131428の翼型U896H−10の中心線を比較したものを図2に示す。図2に示すように、本発明に係る翼型U958Q−10は、約30%弦長の点から後方の部分に余弦曲線を組み合わせた軽減アフト・キャンバーを採用している。この軽減アフト・キャンバーにより、翼型U958Q−10においては衝撃失速を抑制することができる。衝撃失速の抑制により騒音の発生を抑制することができる。
【0031】
また、翼型U958Q−10は、ドループを緩和していること、はね上げをつけていることによって縦揺モーメントを更に抑制することができる。
【0032】
図3に本実施形態の翼型U958Q−10と、特願平3−131428の翼型U896H−10の翼厚分布を比較したものを示す。図3から明らかなように、本実施形態の翼型U958Q−10は後縁厚さを絞り込んでいる。
【0033】
図4に本実施形態による翼型U958Q−10と特願平3−131428の翼型U896H−10の衝撃失速境界を比較したものを示す。図4は、縦軸に揚力係数C1、横軸に一様流のマッハ数Mをとり、翼型U958Q−10と翼型U896H−10の衝撃失速を生じる点をプロットしてつなげたものである。図から明らかなように、本実施形態の翼型U958Q−10は、従来の翼型U896H−10と比較してマッハ数0.6〜0.8で衝撃失速境界の揚力係数C1が平均で+0.1増加しており、増加が最も少ない所でも+0.05増加している。
【0034】
図5に本実施形態による翼型U958Q−10と特願平3−131428の翼型U896H−10の零揚力縦揺モーメント係数を比較したものを示す。図5は、縦軸に25%弦長点における零揚力縦揺モーメント係数Cm1/4 、横軸に一様流のマッハ数Mをとり、翼型U958Q−10と翼型U896H−10の各マッハ数における零揚力縦揺モーメント係数をプロットしたものである。図5から明らかなように、翼型U958Q−10は翼型U896H−10と同程度に縦揺モーメントを抑えている。
【0035】
図6に本実施形態の翼型U958Q−10と従来の翼型の最大揚力係数Clmax(マッハ数0.4)及び零揚力抵抗発散マッハ数Mddによる翼型性能比較図を示す。
【0036】
図6は、縦軸にマッハ数0.4における最大揚力係数Clmax、横軸に零揚力抵抗発散マッハMddをとり、座標面上に本実施形態の翼型U958Q−10と従来の翼型NACA0012、NACA23012、特願平3−131428の翼型U896H−10、U896H−10UR、U896H−08、U896H−09、U896H−12のそれぞれの該当点をプロットしたものである。
【0037】
図6から明らかなように、本実施形態の翼型U958Q−10は特願平3−131428の各翼型に比べて零揚力抵抗発散マッハ数Mdd及び最大揚力係数Clmaxがやや低いものの、新世代翼型の性能を有している。
【0038】
図7は本発明の第二の実施形態による翼型U958Q−08の断面形状を示している。
【0039】
図8は本発明の第三の実施形態による翼型U958Q−12の断面形状を示している。
【0040】
上記翼型U958Q−08と翼型U958Q−12は、表1に示した第一実施形態の翼型U958Q−10のYU 、YL の値にそれぞれ係数8/10と12/10を乗じた断面形状を有しているものである。これらの翼型U958Q−08、U958Q−12は、翼型性能において第一実施形態の翼型U958Q−10とほぼ共通している。
【0041】
なお、上述した実施形態の翼型U958Q−10,U958Q−08,U958Q−12は、翼の後縁付近に微小なはね上げを付加することによって頭下げモーメントを小さくなるようにしているが、本願発明はこれに限られず、ある程度の頭下げモーメントを許容できる場合は、翼の後縁付近を若干下げることにより、一層大きい最大揚力係数を有する翼型を得ることができる。
【0042】
また、翼型U958Q−08,U958Q−12は翼型U958Q−10の翼面のY座標YU ,YL にそれぞれ係数8/10と12/10を乗じているが、乗じる係数は上記値に限られず、5/10ないし15/10の任意の値を乗じることができる。
【0043】
【発明の効果】
上記説明から明らかなように、本発明による回転翼羽根の翼型は、回転翼羽根の基本性能において、新世代翼型と同等に高い零揚力の抵抗発散マッハ数と最大揚力係数を有している。
【0044】
また、本発明による回転翼羽根は、アフト・キャンバーをつけることにより衝撃失速を起こりにくくし、回転翼羽根/渦干渉騒音の低減を達成することができる。しかも、最大キャンバーを70%弦長に位置させた軽減アフト・キャンバーとすることにより、頭下げ縦揺モーメントの増加を抑制することができる。
【0045】
また、翼後縁部にはね上げを設けた本発明の回転翼羽根によれば、上記本発明の回転翼羽根の効果を加えて翼後縁部のはね上げによりさらに頭下げの縦揺れモーメントを抑制することができる。
【0046】
さらに、本発明の翼型は回転翼羽根の長さ方向にそって各位置に最適な性能の翼型にすることができる。すなわち、回転翼羽根の回転面の各半径方向の位置に応じて翼型の後縁付近に微小なはね上げ、下げ、あるいは翼弦から翼面までの距離に所定の係数を乗じて翼厚を調整することにより、回転翼羽根回転面の半径方向位置に最適な性能や特性を有する翼型群からなる回転翼航空機の回転翼羽根を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態による翼型の断面形状を示した図。
【図2】本発明の第一実施形態による翼型と特願平3−131428の翼型の中心線の翼弦からの垂直距離を比較して示した図。
【図3】本発明の第一実施形態による翼型と特願平3−131428の翼型の翼厚を比較して示した図。
【図4】本発明の第一実施形態による翼型の特願平3−131428の翼型の衝撃失速境界を比較して示した図。
【図5】本発明の第一実施形態による翼型と特願平3−131428の翼型の零揚力縦揺モーメント係数を比較して示した図。
【図6】本発明の第一実施形態による翼型と従来の翼型の最大揚力係数と零揚力抵抗発散マッハ数を比較して示した図。
【図7】本発明の第二実施形態による翼型の断面形状を示した図。
【図8】本発明の第三実施形態による翼型の断面形状を示した図。
【図9】前進飛行中の回転翼航空機の回転翼羽根の外翼部及び内翼部に作用する気流の迎角とマッハ数の関係を示した図。
【図10】特願平3−131428による翼型の断面形状を示した図。
【図11】特願平3−131428による翼型の最大揚力係数と零揚力抵抗発散マッハ数を示した図。
【図12】回転翼航空機の降下時の先行回転翼羽根の翼端渦と後続回転翼羽根とが干渉する様子を示した図。
【図13】先行回転翼羽根の翼端渦と干渉する後続回転翼羽根の周りの気流の様子と干渉によって高マッハ数高揚力係数となることを示した図。
【図14】一様流の流速の増加によって局所マッハ数ピークが高くなった結果翼上面で衝撃失速が生じる様子を示した図。
【図15】衝撃失速境界の揚力係数とマッハ数の関係を示した図。
【図16】通常の翼型と完全なスーパークリティカル翼型と軽減アフト・キャンバーを設けた翼型のキャンバーを比較して示した図。
【図17】揚力係数が同一の通常の翼型とアフト・キャンバーを設けた翼型の局所マッハ数を比較して示した図。
【符号の説明】
c 翼弦長
Clmax 最大揚力係数
Cm1/4 零揚力縦揺モーメント
M マッハ数
Mdd 零揚力抵抗発散マッハ数
XU 翼の前縁からの距離(上面)
XL 翼の前縁からの距離(下面)
YU 翼上面の翼弦からの垂直距離(上面)
YL 翼下面の翼弦からの垂直距離(上面)
Y 中心線(翼弦からの垂直距離)
t 翼厚(翼弦に対する垂直方向の厚さ)
U958Q−10 本発明の第一実施形態による翼型
U958Q−08 本発明の第二実施形態による翼型
U958Q−12 本発明の第三実施形態による翼型
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