JP4237420B2 - オゾン発生器用ガラス電極およびオゾン発生器用放電管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘電体ガラスを有するオゾン発生器用ガラス電極、およびこのオゾン発生器用ガラス電極とオゾン発生器用金属電極とを備えたオゾン発生器用放電管に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7(a)は従来のオゾン発生器用放電管を示す構成図であり、図7(b)は図7(a)のA−A部分の断面図であり、図8(a)はオゾン発生器用放電管を備えたオゾン発生器を示す側面図であり、図8(b)はオゾン発生器用放電管を備えたオゾン発生器を示す正面図である。
【0003】
図7(a)(b)に示すように、オゾン発生器用放電管12は、オゾン発生器用ガラス電極10と、オゾン発生器用ガラス電極10の対向位置に設けられたオゾン発生器用金属電極11とを備えており、オゾン発生器用ガラス電極10とオゾン発生器用金属電極11とは同軸円筒状に配置されている。オゾン発生器用ガラス電極10は、円筒状に設けられた誘電体ガラスの一つであるほう珪酸ガラスから成るガラス電極誘電層1と、ガラス電極誘電層1の一方の面に被覆されたステンレスから成るガラス電極導電層3とから構成されている。
【0004】
図7に示すオゾン発生器用放電管12において、以下のようにしてオゾンが生成される。
【0005】
すなわち、オゾン発生器用ガラス電極10とオゾン発生器用金属電極11との間に、酸素原子を含む原料ガス20を流すとともに、両電極10、11間に電源22から高周波、高電圧を印可する。電源22から高周波、高電圧が印可されると、オゾン発生器用ガラス電極10とオゾン発生器用金属電極11との間で無声放電が生じ、この無声放電により、原料ガス20中の酸素原子は電子エネルギーが付与されて励起し、その結果として、オゾンが生成される。
【0006】
また、上述の無声放電が行われる際には、窒素原子が励起して発光する。このように放電時の発光である放電光が発生する際には、放電現象で生じた物理エネルギーの一部が費やされる。しかしながら、放電現象で生じた物理エネルギーのうち可視光である放電光に変換されるのはごく一部であり、オゾン生成に寄与する物理エネルギーを除いた大部分は、最終的には熱に変換される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように放電現象を利用してオゾンを生成する際には、図8に示すオゾン発生器13に設けた覗き窓21から、オゾン発生器13の内部に設けられたオゾン発生器用放電管12内の放電光を目視にて観察し、オゾン発生器用放電管12にて生じる放電現象を監視する。
【0008】
しかしながら、上述のように、放電現象により生じる物理エネルギーのうち可視光に変換されるエネルギーはごく一部である。従って、この放電現象を目視により捕らえることは難しい。
【0009】
他方、放電現象により発生する物理エネルギーのうち大部分は熱に変換される。従って、この熱によりオゾン発生器13等の周辺機器の温度が上昇するので、この熱を冷却する必要がある。
【0010】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、オゾン生成の際の放電現象により発生する物理エネルギーのうち、可視光に変換されるエネルギーを増加させて、熱に変換されるエネルギーを減少させるオゾン発生器用ガラス電極およびオゾン発生器用放電管を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、誘電体ガラスから成るガラス電極誘電層と、ガラス電極誘電層の一方の面に設けられた蛍光体から成る蛍光体層と、ガラス電極誘電層の他方の面に設けられたガラス電極導電層と、を備えたことを特徴とするオゾン発生器用ガラス電極である。
【0012】
本発明によれば、放電現象により発生する物理エネルギーの一部が費やされて、蛍光体により励起光として可視光に変換される。これにより、放電現象の際の放電光を増強し、熱に変換される物理エネルギーを減少させることができる。
【0013】
また、本発明は、誘電体ガラスから成るガラス電極誘電層と、ガラス電極誘電層の一方の面に設けられたエネルギー変換素子および発光ダイオードと、ガラス電極誘電層の他方の面に設けられたガラス電極導電層と、を備えたことを特徴とするオゾン発生器用ガラス電極である。
【0014】
本発明によれば、放電現象により発生する物理エネルギーの一部が費やされて、エネルギー変換素子中の伝導電子が運動し、この伝導電子と発光ダイオードとの非弾性衝突により発光ダイオードの発光中心が励起したりイオン化されて発光する。これにより、放電現象の際の放電光を増強し、熱に変換される物理エネルギーを減少させることができる。
【0015】
また、本発明は、上述したオゾン発生器用ガラス電極と、オゾン発生器用ガラス電極の対向位置に設けられたオゾン発生器用金属電極と、を備え、オゾン発生器用ガラス電極とオゾン発生器用金属電極との間に電圧を印加して、オゾン発生器用ガラス電極とオゾン発生器用金属電極との間を流れる原料ガスに含まれる酸素原子を励起してオゾンを生成することを特徴とするオゾン発生器用放電管である。
【0016】
【発明の実施の形態】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図1は本発明の第1の実施の形態を示す図である。ここで図1(a)はオゾン発生器用放電管を示す構成図であり、図1(b)は図1(a)のA−A部分の断面図である。
【0018】
図1(a)(b)において、オゾン発生器用放電管12は、オゾン発生器用ガラス電極10と、オゾン発生器用ガラス電極10の外周側の対向位置に配置されたオゾン発生器用金属電極11とを備え、このオゾン発生器用ガラス電極10とオゾン発生器用金属電極11とは同軸円筒状に配置されている。
【0019】
オゾン発生器用ガラス電極10は、円筒状に設けられた誘電体ガラスから成るガラス電極誘電層1と、ガラス電極誘電層1の内周側の表面に被覆されたステンレスから成るガラス電極導電層3とを有する。また、ガラス電極誘電層1の外周側には誘電体ガラスから成る誘電ガラス被覆層(被覆防護材)7aが円筒状に設けられ、さらに、ガラス電極誘電層1と誘電ガラス被覆層7aとの間には、蛍光体から成る蛍光体層2が円筒状に設けられている。
【0020】
なお、ガラス電極誘電層1の蛍光体層2側の面は一方の面となり、ガラス電極誘電層1のガラス電極導電層3側の面は他方の面となる。また、誘電ガラス被覆層7aは必ずしも設ける必要はない。
【0021】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0022】
図1に示すオゾン発生器用放電管12において、以下のようにしてオゾンが生成される。
【0023】
すなわち、オゾン発生器用ガラス電極10とオゾン発生器用金属電極11との間には、酸素原子を含む原料ガス20が流されるとともに、両電極10、11間に電源22から高周波、高電圧が印可される。これにより、オゾン発生器用ガラス電極10とオゾン発生器用金属電極11との間で無声放電が生じる。この無声放電により、原料ガス20中の酸素原子は電子エネルギーが付与されて、励起し、その結果として、オゾンが生成される。
【0024】
このように、放電現象を利用してオゾンを生成する場合には、放電時に生じる紫外線が共鳴放射されて、蛍光体により、物理エネルギーの一部が励起光として可視光に変換される。
【0025】
すなわち、オゾン発生器用ガラス電極10とオゾン発生器用金属電極11との間に電源22から高周波、高電圧が印可されると、両電極10、11間では無声放電という放電現象が生じる。この放電現象時には、オゾン発生器用ガラス電極10とオゾン発生器用金属電極11との間での原料ガス20中のガス分子−電子の衝突、あるいは生成したオゾンが分解する際に、紫外線が生じる。この放電現象により生じた紫外線は共鳴放射され、蛍光体層2内の蛍光体は、この紫外線の共鳴放射により励起して、発光する。
【0026】
このような放電現象時の蛍光体の発光現象により、蛍光体層2を光源として活用して、放電光を増強することができる。
【0027】
また、一般に、放電現象により発生する物理エネルギーのうち可視光に変換されないエネルギーは、ガス分子やオゾン発生器用放電管12の壁面等に吸収されて、熱に変換される。
【0028】
これに対して、本発明によれば、上述のように、放電現象により発生する物理エネルギーの一部が、蛍光体により励起光として可視光に変換されて費やされる。従って、放電現象により生じる物理エネルギーのうち、蛍光体により励起光として可視光に変換する際に費やされるエネルギーを、熱に変換することなく可視光として取り出すことができるので、放電現象による発熱を抑制することができる。
【0029】
なお、蛍光体により励起光として可視光に変換する際のエネルギー量は、以下のようにして推定される。
【0030】
すなわち、放電が行われるオゾン発生器用ガラス電極10とオゾン発生器用金属電極11との間の電界をE(Td)、電界E(Td)におけるガス中の電子エネルギー分布関数をf(e)、原料ガス20が紫外線を発生する衝突断面積をQ1(e)、オゾン分子が電子や他分子と衝突分解する衝突断面積をQ2(e)とする。
【0031】
このとき、衝突断面積Q1(e)、Q2(e)の和(Q1(e)+Q2(e))に対して、e・f(e)・(Q1(e)+Q2(e))で表されるエネルギー式を積分して得られるエネルギー量が、紫外線を生成するのに費やされる。このように表されるエネルギー量を有する紫外線が蛍光体により可視光に変換されると仮定し、また、紫外線から可視光への変換効率をaとすると、
a・∫e・(e)・(Q1(e)+Q2(e))de
で表されるエネルギー量を、蛍光体により励起光として可視光に変換する際のエネルギー量として推定することができる。
【0032】
ところで、ガラス電極誘電層1の外周側の面である放電面に蛍光体層2を設けただけの場合には、蛍光体層2は、オゾン生成の際の放電、あるいは生成されたオゾンにより、ガラス電極誘電層1の放電面から剥離することも考えられる。
【0033】
これに対して、蛍光体から成る蛍光体層2を、誘電体ガラスから成る誘電ガラス被覆層7aで被覆することにより、放電や生成したオゾンから保護することができる。
【0034】
次に、上記第1の実施の形態の一変形例について説明する。図2は本実施の形態の一変形例を示す図であり、オゾン発生器用放電管を示す構成図である。
【0035】
図2に示すように、オゾン発生器用ガラス電極10と、オゾン発生器用金属電極11と、を平行平板状に配置してもよい。すなわち、オゾン発生器用ガラス電極10は、平行平板状に設けられた誘電体ガラスから成るガラス電極誘電層1と、ガラス電極誘電層1の内周側の表面に被覆されたステンレスから成るガラス電極導電層3とを有する。また、ガラス電極誘電層1の外周側には誘電体ガラスから成る誘電ガラス被覆層7aが平行平板状に設けられ、さらに、ガラス電極誘電層1と誘電ガラス被覆層7aとの間には、蛍光体から成る蛍光体層2が平行平板状に設けられている。
【0036】
本変形例においても、物理エネルギーの一部が、蛍光体により励起光として可視光に変換されるので、蛍光体から成る蛍光体層2を光源として活用して、放電光を増強することができる。また、この物理エネルギーの一部は蛍光体により可視光として取り出されるので、放電時の発熱を抑制することができる。また、蛍光体層2は誘電体ガラスから成る誘電ガラス被覆層7aという被覆防護材により被覆されているので、放電や生成したオゾンにより蛍光体層2がガラス電極誘電層1から剥離することもない。
【0037】
更に他の変形例について説明する。図3は本実施の形態の他の変形例を示す図であり、オゾン発生器用放電管を示す構成図である。
【0038】
図3に示すように、被覆防護材として酸化マグネシウムから成る酸化マグネシウム被覆層7bを有するオゾン発生器用ガラス電極10と、オゾン発生器用金属電極11と、を平行平板状に配置してもよい。すなわち、オゾン発生器用ガラス電極10は、平行平板状に設けられた誘電体ガラスから成るガラス電極誘電層1と、ガラス電極誘電層1の内周側の表面に被覆されたステンレスから成るガラス電極導電層3とを有する。また、ガラス電極誘電層1の外周側には酸化マグネシウムから成る酸化マグネシウム被覆層7bが平行平板状に設けられ、さらに、ガラス電極誘電層1と酸化マグネシウム被覆層7bとの間には、蛍光体から成る蛍光体層2が設けられている。
【0039】
本変形例においても、物理エネルギーの一部が、蛍光体により励起光として可視光に変換されるので、蛍光体から成る蛍光体層2を光源として活用して、放電光を増強することができる。また、この物理エネルギーの一部は蛍光体により可視光として取り出されるので、放電時の発熱を抑制することができる。また、蛍光体層2は酸化マグネシウムから成る酸化マグネシウム被覆層7bという被覆防護材により被覆されているので、放電や生成したオゾンにより蛍光体層2がガラス電極誘電層1から剥離することもない。
【0040】
以上説明したように本実施の形態によれば、物理エネルギーの一部が蛍光体により励起光として可視光に変換されるので、蛍光体から成る蛍光体層2を光源として活用し、放電光を増強することができる。また、この物理エネルギーの一部は蛍光体により可視光として取り出されるので、放電時の発熱を抑制することができる。また、蛍光体層2は、誘電体ガラスから成る誘電ガラス被覆層7a、あるいは酸化マグネシウムから成る酸化マグネシウム被覆層7bという被覆防護材により被覆されているので、オゾン生成の際の放電や生成したオゾンにより蛍光体層2がガラス電極誘電層1から剥離することもない。
【0041】
第2の実施の形態
次に図4により本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0042】
図4は本発明の第2の実施の形態を示す図である。ここで図4(a)はオゾン発生器用放電管を示す構成図であり、図4(b)は図4(a)のA−A部分の断面図である。
【0043】
図4(a)(b)に示すオゾン発生器用放電管12は、蛍光体から成る蛍光体層2の代わりに、エネルギー変換素子である圧電素子4aと発光ダイオード5とから成る発光層6が、ガラス電極誘電層1と誘電ガラス被覆層7aとの間に設けられている点が異なるのみであり、他の構成は図1に示す第1の実施の形態と略同一である。図1に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0044】
図4に示すオゾン発生器用放電管12によりオゾンを生成する際には、放電時のガス分子がオゾン発生器用ガラス電極10またはオゾン発生器用金属電極11に衝突し、このときの衝突エネルギーが利用されて圧電素子4a中の伝導電子が運動し、この伝導電子により発光ダイオード5の発光中心が励起したりイオン化されて発光する。
【0045】
すなわち、オゾン発生器用ガラス電極10とオゾン発生器用金属電極11との間に電源22から高周波、高電圧が印可されると無声放電が生じる。このとき放電空間であるオゾン発生器用ガラス電極10とオゾン発生器用金属電極11との間では、電子やイオンが加速される。この加速された電子やイオンは、オゾン発生器用ガラス電極10とオゾン発生器用金属電極11との間に流された原料ガス20のガス分子と衝突を繰り返す。このことにより、放電現象により生じた物理エネルギーの一部が、励起種としての内部エネルギーや運動エネルギーとしてガス分子に注入される。
【0046】
一般に、内部エネルギーや運動エネルギーが注入されたガス分子は、オゾン発生器用放電管12の電極10、11に衝突するため、電極10、11に熱エネルギーが伝導し、周辺機器の温度が上昇することも考えられる。
【0047】
これに対して、本発明によれば、放電時のガス分子の電極10、11への衝突エネルギーは、オゾン発生器用ガラス電極10の圧電素子4a中の伝導電子の運動に変換される。このとき伝導電子が発光ダイオード5の発光中心に非弾性衝突することにより、発光中心が励起したりイオン化されて発光する。
【0048】
このようにして、放電時のガス分子の電極10、11への衝突エネルギーを、圧電素子4aおよび発光ダイオード5から成る発光層6を介して可視光に変換することができる。
【0049】
このため圧電素子4aおよび発光ダイオード5から成る発光層6の発光現象を利用し、発光層6を光源として活用して放電光を増強することができる。
【0050】
このように、放電現象により発生する物理エネルギーの一部を、熱に変換することなく、発光層6を介して可視光である放電光へ変換することができるので、放電現象による発熱を抑制することができる。
【0051】
ところで、ガラス電極誘電層1の外周側の面の放電面に発光層6を設けただけの場合には、発光層6を構成する発光ダイオード5が、オゾン生成の際の放電や、生成されたオゾンにより、ガラス電極誘電層1の放電面から剥離することも考えられる。
【0052】
これに対して、圧電素子4aおよび発光ダイオード5から成る発光層6を、誘電体ガラスから成る誘電ガラス被覆層7aで被覆することにより、放電や生成したオゾンから保護することができる。
【0053】
次に、上記第2の実施の形態の一変形例について説明する。図5は本実施の形態の一変形例を示す図であり、オゾン発生器用放電管を示す構成図である。
【0054】
図5に示すように、オゾン発生器用ガラス電極10と、オゾン発生器用金属電極11と、は平行平板状に配置されてもよい。すなわち、オゾン発生器用ガラス電極10は、平行平板状に設けられた誘電体ガラスから成るガラス電極誘電層1と、ガラス電極誘電層1の内周側の表面に被覆されたステンレスから成るガラス電極導電層3とを有する。また、ガラス電極誘電層1の外周側には誘電体ガラスから成る誘電ガラス被覆層7aが平行平板状に設けられ、さらに、ガラス電極誘電層1と誘電ガラス被覆層7aとの間には、圧電素子4aおよび発光ダイオード5から成る発光層6が設けられている。
【0055】
本変形例においても、放電時のガス分子の電極10、11への衝突エネルギーが、発光層6を構成する圧電素子4a中の伝導電子の運動に変換される。このとき伝導電子が発光ダイオード5の発光中心に非弾性衝突して、発光中心が励起したりイオン化されて発光する。従って、圧電素子4aおよび発光ダイオード5から成る発光層6を光源として活用し、放電光を増強することができる。また、放電時のガス分子の電極10、11への衝突エネルギーを可視光である放電光として取り出すことにより、放電時の発熱を抑制することができる。また、発光層6は誘電体ガラスという被覆防護材により被覆されているので、放電や生成したオゾンにより発光層6がガラス電極誘電層1から剥離することもない。
【0056】
更に他の変形例について説明する。図6は本実施の形態の他の変形例を示す図であり、オゾン発生器用放電管を示す構成図である。
【0057】
図6に示すように、被覆防護材として酸化マグネシウムから成る酸化マグネシウム被覆層7bを有するオゾン発生器用ガラス電極10と、オゾン発生器用金属電極11と、が平行平板状に配置されてもよい。すなわち、オゾン発生器用ガラス電極10は、平行平板状に設けられた誘電体ガラスから成るガラス電極誘電層1と、ガラス電極誘電層1の内周側の表面に被覆されたステンレスから成るガラス電極導電層3とを有する。また、ガラス電極誘電層1の外周側には酸化マグネシウムから成る酸化マグネシウム被覆層7bが平行平板状に設けられ、さらに、ガラス電極誘電層1と酸化マグネシウム被覆層7bとの間には、圧電素子4aおよび発光ダイオード5から成る発光層6が設けられている。
【0058】
本変形例においても、放電時のガス分子の電極10、11への衝突エネルギーが、発光層6を構成する圧電素子4a中の伝導電子の運動に変換され、この伝導電子が発光ダイオード5の発光中心に非弾性衝突することにより、発光中心が励起したりイオン化されて発光する。従って、圧電素子4aおよび発光ダイオード5から成る発光層6を光源として活用し、放電光を増強することができる。また、圧電素子4aおよび発光ダイオード5により可視光に変換されるガス分子の電極10、11への衝突エネルギーを、可視光である放電光として取り出すことにより、放電時の発熱を抑制することができる。また、発光層6は酸化マグネシウムから成る酸化マグネシウム被覆層7bという被覆防護材により被覆されているので、放電や生成したオゾンにより発光層6がガラス電極誘電層1から剥離することもない。
【0059】
なお、圧電素子4aの代わりに熱伝対素子4bを用いてもよい。この場合も、放電時のガス分子の電極10、11への衝突エネルギーが、発光層6を構成する熱伝対素子4b中の伝導電子の運動に変換され、この伝導電子が発光ダイオード5の発光中心に非弾性衝突して、発光中心が励起したりイオン化されて発光する。
【0060】
以上説明したように本実施の形態によれば、放電時のガス分子の衝突エネルギーが、圧電素子4a、あるいは熱伝対素子4b中の伝導電子の運動に変換され、この伝導電子が発光ダイオード5の発光中心に非弾性衝突することにより、発光ダイオード5は発光する。従って、圧電素子4aあるいは熱伝対素子4bと、発光ダイオード5とから成る発光層6を光源として活用して、放電光を増強することができる。また、可視光に変換されたガス分子の衝突エネルギーを可視光として取り出すので、放電時の発熱を抑制することができる。また、発光層6は、誘電体ガラスから成る誘電ガラス被覆層7a、あるいは酸化マグネシウムから成る酸化マグネシウム被覆層7bという被覆防護材により被覆されているので、放電や生成したオゾンにより蛍光体層2がガラス電極誘電層1から剥離することもない。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、物理エネルギーの一部が励起光として蛍光体により可視光に変換されるので、蛍光体から成る蛍光体層を光源として活用し、放電光を増強することができる。また、ガス分子の衝突エネルギーが、エネルギー変換素子および発光ダイオードにより可視光に変換されるので、エネルギー変換素子および発光ダイオードを光源として活用し、放電光を増強することができる。これにより、放電現象を利用してオゾンを生成する際のオゾン発生器用放電管にて生じる放電現象を、例えば低負荷運転時においても監視することが容易となり、オゾン生成の状態監視を強化することができる。
【0062】
また、蛍光体により励起光として可視光に変換する際に費やされるエネルギー量、あるいはガス分子の衝突エネルギーを可視光に変換する際に費やされるエネルギー量が、可視光として取り出される。これにより、放電時の発熱を抑制することができ、オゾン発生器の冷却水量の低減や冷却のための消費電力の抑制等という冷却効率を向上することができる。
【0063】
さらに、蛍光体層、あるいはエネルギー変換素子および発光ダイオードは、誘電体ガラスから成る誘電ガラス被覆層、あるいは酸化マグネシウムから成る酸化マグネシウム被覆層という被覆防護材により被覆されている。これにより、蛍光体層あるいは発光ダイオードは、オゾン生成の際の放電や生成したオゾンによりガラス電極誘電層から剥離することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるオゾン発生器用放電管を示す構成図。
【図2】本発明の第1の実施の形態の一変形例におけるオゾン発生器用放電管を示す構成図。
【図3】本発明の第1の実施の形態の他の変形例におけるオゾン発生器用放電管を示す構成図。
【図4】本発明の第2の実施の形態におけるオゾン発生器用放電管を示す構成図。
【図5】本発明の第2の実施の形態の一変形例におけるオゾン発生器用放電管を示す構成図。
【図6】本発明の第2の実施の形態の他の変形例におけるオゾン発生器用放電管を示す構成図。
【図7】従来のオゾン発生器用放電管を示す構成図。
【図8】オゾン発生器用放電管を備えたオゾン発生器を示す図。
【符号の説明】
1 ガラス電極誘電層
2 蛍光体層
3 ガラス電極導電層
4a 圧電素子
4b 熱伝対素子
5 発光ダイオード
6 発光層
7a 誘電ガラス被覆層
7b 酸化マグネシウム被覆層
10 オゾン発生器用ガラス電極
11 オゾン発生器用金属電極
12 オゾン発生器用放電管
13 オゾン発生器
20 原料ガス
21 覗き窓
22 電源
Claims (10)
- 誘電体ガラスから成るガラス電極誘電層と、
ガラス電極誘電層の一方の面に設けられたエネルギー変換素子および発光ダイオードと、
ガラス電極誘電層の他方の面に設けられたガラス電極導電層と、を備えたことを特徴とするオゾン発生器用ガラス電極。 - 誘電体ガラスから成るガラス電極誘電層と、
ガラス電極誘電層の一方の面に設けられた蛍光体から成る蛍光体層と、
ガラス電極誘電層の他方の面に設けられたガラス電極導電層と、を備え、
蛍光体層は、被覆防護材により被覆されていることを特徴とするオゾン発生器用ガラス電極。 - エネルギー変換素子および発光ダイオードは、被覆防護材により被覆されていることを特徴とする請求項1記載のオゾン発生器用ガラス電極。
- 被覆防護材は、誘電体ガラスから成ることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載のオゾン発生器用ガラス電極。
- 被覆防護材は、酸化マグネシウムから成ることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載のオゾン発生器用ガラス電極。
- ガラス電極誘電層と、蛍光体層と、ガラス電極導電層とは、同軸円筒状に配置されたことを特徴とする請求項2、4または5のいずれかに記載のオゾン発生器用ガラス電極。
- ガラス電極誘電層と、蛍光体層と、ガラス電極導電層とは、平行平板状に配置されたことを特徴とする請求項2、4または5のいずれかに記載のオゾン発生器用ガラス電極。
- ガラス電極誘電層と、エネルギー変換素子および発光ダイオードと、ガラス電極導電層とは、同軸円筒状に配置されたことを特徴とする請求項1または3乃至5のいずれかに記載のオゾン発生器用ガラス電極。
- ガラス電極誘電層と、エネルギー変換素子および発光ダイオードと、ガラス電極導電層とは、平行平板状に配置されたことを特徴とする請求項1または3乃至5のいずれかに記載のオゾン発生器用ガラス電極。
- 請求項1乃至9のいずれかに記載のオゾン発生器用ガラス電極と、
オゾン発生器用ガラス電極の対向位置に設けられたオゾン発生器用金属電極と、を備え、
オゾン発生器用ガラス電極とオゾン発生器用金属電極との間に電圧を印加して、オゾン発生器用ガラス電極とオゾン発生器用金属電極との間を流れる原料ガスに含まれる酸素原子を励起してオゾンを生成することを特徴とするオゾン発生器用放電管。
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