JP4236085B2 - 往復送り装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、可動体を所望の微小ストロークで往復移動させる往復送り装置、詳しくは可動体を微小ストロークで往復移動させる際に該可動体を摺動支持するガイド軸、軸受のボールやガイドブッシュがフレッチング磨耗するのを防止する可動体の摺動支持構造に関する。
【0002】
【従来技術】
本出願人は、特許文献1に示すように基台上にて往復移動可能に支持されるレール支持部材と、レール支持部材を往復移動する支持用駆動部材と、レール支持部材に設けられる走行レールと、該走行レールに対して走行用直線転がり軸受を介して往復移動可能に支持される走行体と、該走行体をレール支持部材と独立して所望のストロークで往復移動する走行用駆動部材とを備え、走行レールに対して走行体を、走行用直線転がり軸受の転動部材が潤滑油切れする所望のストロークで往復移動する際にレール支持部材を走行用直線転がり軸受の各転動部材に潤滑油を付着させる所定のストロークで往復移動し、走行用直線転がり軸受に内蔵された転動部材の磨耗を防止することができる往復送り装置を提案した。
【0003】
【特許文献1】
特開平2002−221224号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記装置にあっては、走行体の移動に同期してレール支持部材を移動して転動部材の転動周長が、少なくとも走行体の移動ストローク以上になるように転動部材を回転させることにより潤滑油の付着状態を保って転動部材やガイドブッシュのフレッチング磨耗を防止しているが、可動体と共にレール支持部材を移動するように支持する必要から基台が長尺状になり、装置自体が大型化する問題を有していた。
【0005】
また、上記装置にあっては、可動体及びレール支持部材の2個の部材を同時に高い精度で直線出しして組立てる必要があるが、同時に2個の部材を高い精度で直線出しするには、組立て作業者に高い熟練度が要求されると共に組立て作業に手間や時間がかかり、製作コストを増大させる要因になっていた。
【0006】
本発明は、上記した従来の欠点を解決するために発明されたもので、その課題とする処は、装置自体の小型化を図りながらガイド軸、軸受のボールやガイドブッシュが潤滑油切れによりフレッチング磨耗するのを防止して可動体を長期にわたって安定的に往復移動させることができる往復送り装置を提供することにある。
【0007】
本発明の他の課題は、高精度に直線出しする部材数を低減して低い熟練度の作業者でも簡易に組立てることができ、製造コストを低減することができる往復送り装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基台に軸端部がそれぞれ支持されたガイド軸と、ガイド軸に軸線方向へ往復移動可能に支持される可動体と、該可動体に連結されて軸線方向へ往復移動する走行駆動部材とを備えた往復送り装置において、ガイド軸を正逆いずれかの方向へ回転させる回転駆動部材と、ガイド軸に挿通される円筒部材に設けられた多数のボールポケットにそれぞれ設けられ、ガイド軸及び可動体のガイドブッシュにそれぞれ当接して回転するボールを有し、ガイド軸に対して可動体を軸線方向へ摺動可能に支持する軸受とを備え、可動体をボール径の約2倍以下のストロークで往復移動させる際に、回転駆動部材を駆動してガイド軸を正逆いずれかの方向へ回転させることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施形態】
以下に実施形態を示す図に従って本発明を説明する。
図1〜図3に示すように、往復送り装置1の基台3には互いに平行で、長手方向に軸線を有した2本のガイド軸5・7が回転可能に支持され、これらガイド軸5・7は連結された回転駆動部材9により同一回転方向へ同期回転される。
【0010】
回転駆動部材9としては、図に示すようにガイド軸5・7の一方軸端部に設けられた歯車5a・7aに、基台3に設けられた電動モータ11の回転軸に固定された駆動歯車11aを噛み合わせてガイド軸5・7を同一回転方向へ同期回転させる構造、ガイド軸5・7の一方軸端部に設けられた歯付きプーリやスプロケット等の回転体と電動モータの回転軸に固定された駆動回転体とをタイミングベルトやチェーンで連結した構造または公知のリンクレバー機構やクランク機構等のように直線運動を回転運動へ変換する各種機構(いずれも図示せず)であってもよい。
【0011】
各ガイド軸5・7には可動体13が後述するボールケージ軸受15・17を介して軸線方向へ摺動可能に支持され、該可動体13は水平駆動機構により軸線方向へ往復移動される。水平駆動機構としては、図示するようにガイド軸5・7と平行な軸線を有して基台3に回転可能に支持され、一方端部にサーボモータ等の電動モータ21が連結された送りねじ23を、可動体13に設けられたナット25に噛み合わせた送りねじ構造、基台3の軸線方向両端部に回転可能に支持され、一方にサーボモータ等の電動モータが連結された一対の歯付きプーリ等からなる回転体にタイミングベルトやワイヤ(いずれも図示せず)を巻き付け、その一部を可動体13に固定した機構等の何れであってもよい。
【0012】
また、水平駆動機構としては、長手方向がガイド軸5・7の軸線と一致して基台3に設けられ、上面に可動体13の移動分解能に応じた間隔で多数の永久磁石からなる極歯を配列した固定子と、該固定子に相対して可動体13に設けられ、可動体13の移動分解能に応じた間隔で多数の電磁石からなる極歯を設けた可動子とからなるリニアサーボモータ(図示せず)であってもよい。
【0013】
上記したように可動体13はそれぞれのガイド軸5・7に対してボールケージ軸受15・17を介して摺動可能に支持される。各ボールケージ軸受15・17はガイド軸5・7の外径より若干大径の円筒体で、周面に多数のボールポケット15a・17aが所定の間隔をおいて形成されたケージ15b・17bと、夫々のボールポケット15a・17aに回転可能で、かつ抜け止めされた状態で装着され、夫々のガイド軸5・7の外周面及び可動体13に設けられたガイドブッシュ27・29の内周面に対してそれぞれ点接触して回転するボール15c・17cとから構成される。
【0014】
そして各ケージ15b・17b内周面と対応するそれぞれのガイド軸5・7外周面の間にはボール15c・17cの外周面に付着されるグリース等の潤滑油(図示せず)が充填されており、ボール15c・17cの回転に伴って常に外周面に潤滑油が付着するように構成される。
【0015】
尚、上記した可動体13にあっては、往復送り装置1を、例えば金属プレス機に装着し、ワークを順次供給して搬出するための往復送り機構として使用する場合には、ワークを順送りするための治具(図示せず)を装着して使用する。
【0016】
次に、上記のように構成された往復送り装置1の作用を説明する。
基台3に対して可動体13を、ボールケージ軸受15・17のボール15c・17cが潤滑油切れを発生させる、例えばボール15c・17c外径の約2倍以下のストロークで往復移動させる微小往復送り時における作用に付いて説明すると、電動モータ21を正転または逆転駆動して送りねじ23を上記微小ストロークに応じた回転量になるように夫々の方向へ回転してガイド軸5・7に支持された可動体13を上記した微小ストロークで往復移動させる。
【0017】
このとき、ガイドブッシュ27・29の内周面に点接触するボールケージ軸受15・17のボール15c・17cは可動体13の移動に伴って回転して可動体13を摺動案内することにより少ない摺動抵抗で可動体13を走行案内することになるが、図4に示すように可動体13の移動時には上記した電動モータ21の駆動に同期して電動モータ11を正転または逆転駆動してガイド軸5・7を夫々の方向へ回転させてボール15c・17cを回転させることにより可動体13を摺動支持するボール15c・17c箇所に常に潤滑油の付着状態を保つことができる。
【0018】
これによりボール15c・17cに対する潤滑油の付着状態を保ってガイド軸5・7、ボール15c・17cやガイドブッシュ27・29がフレッチング磨耗するのを防止する。
【0019】
尚、ガイド軸5・7の回転に伴ってケージ15b・17bも可動体13と共に移動するが、可動体13の往復移動時には常にガイドブッシュ27・29の内周面に対し、常にボール15c・17cを当接させることができるようにケージ15b・17bの軸線長さを設定すればよい。
【0020】
本実施形態は、従来技術で引用した特許文献1の往復送り装置のように走行体の往復移動に伴ってレール支持部材を往復移動させることにより転がり軸受の転動部材の潤滑油切れを防止する場合と比較し、レール支持部材を移動させる代わりにガイド軸5・7を回転させることによりボール15c・17cの潤滑油切れを防止することができ、装置自体を小型化することができる。
【0021】
また、従来技術で引用した特許文献1の往復送り装置にあっては、組立て時に走行体及びレール支持部材の双方を同時に高い精度で直線出しする必要があるが、本実施形態は可動体13のみについて直線出しして組立てればよく、熟練度が低い作業者であっても組立て作業を効率的に行うことができ、製造コストを低減することができる。
【0022】
本発明は、以下のように変更実施することができる。
1.上記説明は、可動体13が移動する毎にガイド軸5・7をそれぞれの方向へ回転駆動させる構成としたが、可動体13の往復移動によりボール15c・17cが潤滑油の付着状態を保つことができる可動体13の移動回数毎、従って潤滑油切れが発生する可動体13の所定の移動回数より少ない回数毎にガイド軸5・7を回転させてボール15c・17cの外周面に対する潤滑油の付着状態を保つようにしてもよい。
【0023】
2.上記説明は、可動体13をボール15c・17cの外径の2倍以下のストローク往復移動させる際にガイド軸5・7を回転させてボール15c・17cに対する潤滑油の付着状態を保つ作用について説明したが、可動体13を上記ストローク以上で往復移動させる場合は、ガイド軸5・7を回転させなくてもボール15c・17cに対する潤滑油の付着状態を保つことができる。
このため、可動体13をボール15c・17cの外径の2倍以上のストローク往復移動させる際には、ガイド軸5・7を非回転状態に保ってもよい。
【0024】
【発明の効果】
本発明は、装置自体の小型化を図りながらガイド軸、軸受のボールやガイドブッシュが潤滑油切れによりフレッチング磨耗するのを防止して可動体を長期にわたって安定的に往復移動させることができる。また、高精度に直線出しする部材数を低減して低い熟練度の作業者でも簡易に組立てることができ、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】往復送り装置の全体斜視図である。
【図2】ボールケージ軸受による可動体の支持状態を示す分解斜視図である。
【図3】ガイド軸に対する可動体の支持状態を示す拡大縦断面図である。
【図4】摺動支持作用を示す説明図である。
【符号の説明】
1−往復送り装置、3−基台、5・7−ガイド軸、9−回転駆動部材、13−可動体、15・17−ボールケージ軸受、15a・17a−ボールポケット、15b・17b−ケージ、15c・17c−ボール、21−電動モータ、23−送りねじ、27・29−ガイドブッシュ
Claims (3)
- 基台に軸端部がそれぞれ支持されたガイド軸と、
ガイド軸に軸線方向へ往復移動可能に支持される可動体と、
該可動体に連結されて軸線方向へ往復移動する走行駆動部材と、
を備えた往復送り装置において、
ガイド軸を正逆いずれかの方向へ回転させる回転駆動部材と、
ガイド軸に挿通される円筒部材に設けられた多数のボールポケットにそれぞれ設けられ、ガイド軸及び可動体のガイドブッシュにそれぞれ当接して回転するボールを有し、ガイド軸に対して可動体を軸線方向へ摺動可能に支持する軸受と、
を備え、可動体をボール径の約2倍以下のストロークで往復移動させる際に、回転駆動部材を駆動してガイド軸を正逆いずれかの方向へ回転させることを特徴とする往復送り装置。 - 請求項1において、可動体の移動に同期して回転駆動部材を駆動してガイド軸を正逆いずれかの方向へ回転させる往復送り装置。
- 請求項1において、可動体の所定移動回数毎に回転駆動部材を駆動してガイド軸を正逆いずれかの方向へ回転させる往復送り装置。
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