JP4235873B2 - 摩擦撹拌接合法の加熱装置 - Google Patents
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Description
【発明の所属する技術分野】
この発明は摩擦撹拌接合法の加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術の摩擦撹拌接合における接合を促進させる加熱装置は、円筒形のツールをその中心軸円周方向に回転させながら被接合部材の接合線に沿って圧着、移動させ、その際にツールと母材間に生ずる摩擦熱により被接合部材を接合する摩擦撹拌接合法にあって、レーザやガス炎を利用して摩擦熱の発生を補助していた。第1の従来例として、レーザ光を用いた加熱装置について述べる。
特許第2712838号には摩擦溶接方法、特許第3081808号には摩擦撹拌接合法の加熱装置が記載されている。図5は、加熱装置にレーザ光を用いた摩擦撹拌接合法を示す模式図である。図において、1、2は同一平面内において幅方向の一端面を突合わせ状態に配置されたアルミニウム等の金属からなる2枚の板状接合部材であり、この突合わせ部を接合部13とするものである。
3は接合装置であり、径大の円柱状回転子60の端部軸線上に径小のピン状プローブ62が突出して一体に設けられたものであり、回転子60を高速回転させることによりプローブ62も高速回転させうるものとなされている。なお、プローブ62及び回転子60は、被接合部材1、2よりも硬質でかつ接合時に発生する摩擦熱に耐えうる耐熱材料によって形成されている。
63は加熱装置であって、CO2レーザやYAGレーザ等の各種レーザ光64を熱源として両被接合部材1、2を加熱するものである。この加熱装置63は、レーザ光を出すレーザ発振器(図示せず)と、該発振器から出たレーザ光を集光したり、加熱すべき箇所にレーザ光の照準を合わせたりする光学系(図示せず)とを備えている。そして、レーザ光64が照射される略円筒状のノズル部65は、前記プローブ62の移動方向前方の近傍部位に配置されると共に、前記プローブ62の動きと連動するものとなされ、接合部13におけるレーザ照射位置が常に前記プローブ62の移動方向前方に位置するものとなされている。レーザ光64の照射幅は、回転子60先端の平坦状肩部61の径と略同一寸法に設定されており、接合部13のうちプローブ62近傍の部分だけを加熱して、この部分及びその周辺の温度を上昇させるものとなされている。
つぎに、レーザ光を用いた加熱装置の動作について述べる。
加熱装置63のレーザ発振器を作動させてノズル部65からレーザ光64を照射させると共に、接合装置の回転子60を回転させてこれと一体回転するプローブ62を接合部13又はその近傍に接触させる。そして、その摩擦熱により接触部分を軟化可塑化させ、更にプローブ62を押し付けて該プローブ62を被接合部材1、2の厚さ方向内部に挿入していく。プローブ62の挿入状態で、回転子60の肩部61を被接合部材1、2の表面に圧着させる。肩部61の当接により、接合開始時あるいは接合途中の軟化部分の素材の飛散を防止し得て均一な接合状態を実現し得ると共に、被接合部材1、2と肩部61との摺動による摩擦熱を生ぜじめて、プローブ62との接触部あるいはその近傍の軟化を促進し、さらに被接合部材1、2表面の凹凸形成を防止する。プローブ62の挿入後、接合部13に沿って回転子60を移動させる。すると、これに連動して加熱装置63のノズル部65が接合部13に沿って移動し、これに伴いレーザ照射位置も移動する。プローブ62及び回転子60の回転により、プローブ62との接触部分周辺において、被接合部材1、2が摩擦熱によって軟化し且つ撹拌される。そして、プローブ62の移動によって、軟化撹拌部分がプローブ62の進行圧力を受けてプローブ62の通過溝を埋めるようにプローブ62の進行方向後方へと回り込む態様で塑性流動したのち、摩擦熱を急速に失って急冷固化される。
図5に示した加熱装置63を用いた摩擦撹拌接合では、レーザ光64の照射によって接合部13が加熱され、プローブ62及び肩部61との接触部を迅速に軟化させ、プローブ62による接合を容易とすることを狙いとしている。
第2の従来例としてレーザ光を用いた加熱装置について述べる。
図6は、加熱装置にガス炎を用いた摩擦撹拌接合法を示す模式図である。酸素アセチレン、酸素プロパン、酸素天然ガス等の各種ガス炎70を熱源として両被接合部材1、2を加熱するものである。この加熱装置72も同様に、ガス炎70が噴射される略円筒状のノズル部71は、前記プローブ62の移動方向前方の近傍部位に配置されると共に、前記プローブ62の動きと連動するものとなされ、接合部13におけるガス炎70噴射位置が常に前記接合装置の移動方向前方に位置するものとなされている。また、ガス炎70の噴射幅は、被接合部材1、2の表面にぶつかってその先端部が広がった状態になったときに回転子60の肩部61の径と略同一寸法になるように設定されており、接合部13のうちプローブ近傍の部分だけを加熱して、この部分及びその周辺の温度を上昇させるものとなされている。
つぎに、ガス炎を用いた加熱装置の動作について述べる。
加熱装置72のノズル部71からガス炎70を噴射させると共に、接合装置3の回転子60を回転させてこれと一体回転するプローブ62を接合部13に挿入し、プローブ挿入状態のまま突合せ部に沿ってプローブ62を被接合部材1、2に対し相対的に移動させることにより被接合部材1、2が接合される。図6に示した加熱装置72を用いた摩擦撹拌接合では、ガス炎70の熱によって接合部が加熱され、プローブ62及び肩部61との接触部を迅速に軟化させ、プローブによる接合を容易とすることを狙いとしている。
このように、従来の摩擦擦撹拌接合では施工を行う際に、摩擦熱のみでは被接合部材に対する昇温速度が遅いため、補助熱源としてレーザあるいはガス炎を用いている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の摩擦撹拌接合法の加熱装置では、プローブ62の移動方向前方に加熱源を配置しているが、プローブ62の移動方向後方での摩擦撹拌接合後の被接合部材の加熱機構すなわち接合部13の温度冷却速度の制御機構を持たないため、被接合部材1、2の接合部13が急冷されて接合部13に生ずる内部応力による被接合部材の凝固割れの発生を回避することができなかった。
又、加熱装置としてレーザを使用した場合次に述べる問題が発生した。レーザは熱源の照射半径が極めて小さいため、接合線上に照射する際の位置ずれ誤差の裕度が狭く、被接合部材の微小な変形等により接合線への焦点が定まらない場合、余熱温度にばらつきが生じた。さらに、レーザ光は人体に対して極めて危険であり、特にアルミニウム材の接合ではアルミニウム材の反射率が高いため、レーザ光および反射光の散乱により人体への危険度が増加する。又、レーザ装置は高価でありコスト面で問題がある。
又、加熱装置としてガス炎を使用した場合次に述べる問題が発生した。ガス炎は被接合部材に対する熱源の照射半径が大きいため、被接合部材の接合線上に照射できる位置ずれ誤差の裕度は広いが、投入熱量の管理が難しく、加熱時にガス炎は被接合部材1、2の接合部13以外の範囲も加熱し軟化させた。又、ガス炎は指向性が良くないため、周囲の風によって照射の狙い位置が外れる可能性がある。
そこで、本発明は、摩擦撹拌接合を開始するまでの時間を短縮でき、接合部位の割れがなく、かつ安全で、安価に実現できる摩擦撹拌接合法の加熱装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1記載の摩擦撹拌接合法の加熱装置は、被接合部材1、2の接合部13に、回転する回転子60の先端から突出しているプローブ62を挿入し、前記プローブ62との接触部を摩擦熱にて軟化させ撹拌しながら、前記プローブ62を挿入状態で前記接合部13に沿って相対的に移動させることにより前記被接合部材1、2を接合する際、接合時に前記プローブ62の移動方向前方部分を加熱しながら移動する加熱熱源を有する摩擦撹拌接合法の加熱装置において、
前記加熱装置は、前記接合部13上を前記プローブ62の移動方向前方および後方部分に前記プローブ62と同時に移動する非消耗電極32、33を有する溶接トーチ30、31と、前記非消耗電極32、33と前記被接合部材1、2間に電圧を印加する溶接電源34、35と、前記接合部13の温度を設定する温度設定手段40、41と、前記接合部13が前記温度設定手段40、41により設定された温度となるように前記溶接電源34、35に与える溶接指令値を演算し出力する溶接指令値演算手段36、37とを具備し、前記温度設定手段40により設定された温度に対応する溶接指令値を前記溶接指令値演算手段36により算出し、前記溶接指令値に基づいて前記溶接電源34によって前記溶接トーチ30の前記非消耗電極32と前記被接合部材1、2間に電圧を印加して前記プローブ62の移動方向前方部分の所定の間隔を介した接合部13を前記温度設定手段により設定された第1の設定温度で加熱し、前記温度設定手段41により設定された温度に対応する溶接指令値を前記溶接指令値演算手段37により算出し、前記溶接指令値に基づいて前記溶接電源35によって前記溶接トーチ31の前記非消耗電極33と前記被接合部材1、2間に電圧を印加して前記プローブ62の移動方向後方部分の所定の間隔を介した接合部13を前記温度設定手段により設定された第 2 の設定温度で加熱するものである。請求項1記載の摩擦撹拌接合法の加熱装置によれば、プローブ62の移動方向前方に非消耗電極32を有する溶接トーチ30を配置し、溶接電源34により非消耗電極32と被接合部材1、2間に電圧を印加することにより接合部13を加熱したので、被接合部材が摩擦撹拌接合可能な状態に軟化するための加熱時間の短縮と加熱範囲及び制御の裕度を増加させることができる。又、プローブ62の移動方向後方に非消耗電極33を有する溶接トーチ31を配置し、溶接電源35により非消耗電極33と被接合部材1、2間に電圧を印加することにより接合部13を加熱したので、接合後の冷却時間を制御することで接合部位の割れを防止することができる。又、加熱装置として非消耗電極式溶接装置を使用したので、接合部の温度制御が容易であり、照射の狙い位置ずれを起こさず、人体に危害を与える恐れがなく、安価な手段で接合部を加熱することができる。請求項2記載の摩擦撹拌接合法の加熱装置は、前記プローブ62により摩擦撹拌接合される直前の接合部13の温度を計測する非接触温度センサ6と、前記プローブ62により摩擦撹拌接合された直後の接合部13の温度を計測する非接触温度センサ9と、前記各非接触式温度センサ6、9からのフィードバック情報を処理するフィードバック機構7、11とを具備し、前記非接触温度センサ6は前記プローブ62の移動方向前方、前記非接触温度センサ9は前記プローブ62の移動方向後方に配置し、前記フィードバック機構7、11は、前記溶接電源34、35によって接合部13に与えられる加熱量が前記温度設定手段40、41により予め設定された前記設定温度になるように、前記非接触温度センサ6、9が計測した接合部13の温度をもとに前記溶接電源34、35から出力される電圧の溶接指令値を制御するものである。請求項2記載の摩擦撹拌接合法の加熱装置によれば、前記プローブ62により摩擦撹拌接合される直前の接合部13の温度および前記プローブ62により摩擦撹拌接合された直後の接合部13の温度を非接触温度センサ6、9により計測し、前記非接触温度センサからの温度情報をフィードバック機構7、11によりフィードバック制御し、正確に設定温度に加熱量を調整することができ、前記加熱装置による接合物の過剰加熱を防止し被接合部材の変形を防止することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態を図1および図2に示す。図1は、摩擦撹拌接合法の加熱装置の示す構成図、図2は図1における摩擦撹拌接合法の加熱装置のブロック図である。接合装置3、回転子60、肩部61、プローブ62は摩擦撹拌接合装置を構成するものであり、図5を用いて説明した従来技術と同様に作用する。すなわち、被接合材1、2の接合部13又はその近傍に、回転する回転子60の先端から突出している前記プローブ62を挿入し、前記プローブ62との接触部を摩擦熱にて軟化させ撹拌しながら、前記プローブ62を挿入状態で接合部13に沿って相対移動させることにより、被接合材1、2を接合する。
本実施形態では、プローブ62の移動方向前方に非消耗電極32を有する溶接トーチ30、プローブ62の移動方向後方に非消耗電極33を有する溶接トーチ31を配置し、それぞれの非消耗電極32、33に電力を供給する溶接電源34、35、接合部13の加熱温度を設定する温度設定手段40、41、設定温度に対応する溶接指令値を演算し溶接電源34、35に指令値を与える溶接指令値演算手段36、37を有する。このような加熱装置を構成する非消耗電極を使用した溶接装置は、具体的にはティグ溶接装置あるいはプラズマ溶接装置である。
加熱装置の働きを図2を用いて説明する。まず、作業者は接合部13の加熱温度を温度設定手段40、41を使用して設定する。温度設定手段40、41にて設定する温度は、特に摂氏100度から摂氏300度の範囲が好ましい。接合部13の加熱温度が100度未満では加熱の効果が少なく溶接速度を高速化できず、又、接合部13の加熱温度が摂氏300度を超えると入熱過多となり熱歪みが生じてしまうからである。温度設定手段40、41にて設定された設定温度は、溶接指令値演算手段36、37に入力され、設定温度に対応した溶接指令値が算出される。具体的には、溶接指令値は溶接電流、パルス周波数である。設定加熱温度が高い場合溶接指令値を大きくして入熱量を増大させ、設定加熱温度が低い場合溶接指令値を小さくして入熱量を減少させる。算出された溶接指令値をもとに溶接電源34、35は非消耗電極32、33を通じて、接合部13を設定温度に加熱する。
次に、摩擦撹拌接合時の動作について述べる。まず、温度設定手段40、41により設定された温度となるような溶接指令値をそれぞれ溶接指令値演算手段36、37により算出する。算出された溶接指令値にしたがって溶接電源34が溶接トーチ30の非消耗電極32を通じて被接合部材1、2の接合部13を加熱する。接合部13が設定温度に加熱されると軟化を始め、プローブ62が容易に挿入できる状態となる。このような状態となった時に、接合部13に回転する回転子60の先端から突出している前記プローブ62を挿入し、前記プローブ62との接触部を摩擦熱にて軟化させ撹拌しながら、前記プローブ62を挿入状態で接合部13に沿って相対移動させる。前記プローブ62が通過した被接合部材1、2の接合部13は接合されて、プローブ62の摩擦熱を失って接合部13が急冷される。接合部13が急冷されると接合部13に凝固割れが発生しやすくなるため、凝固割れを防止することを目的として溶接トーチ31の非消耗電極33を通じて算出された溶接指令値にしたがって溶接電源35により接合部13が設定温度に加熱される。このように摩擦撹拌接合後の接合部13を設定温度に加熱することにより、接合部13の冷却速度が緩和され凝固割れが生じなくなる。溶接トーチ30の非消耗電極32、溶接トーチ31の非消耗電極33による接合部の加熱は、被接合部材1、2の摩擦撹拌接合が完了するまで継続される。加熱状態は非消耗電極溶接装置を用いているので、加熱範囲の狙いずれが発生することなく、温度制御性も良好である。又、人体に危害を与える恐れがなく、安価であり設備を導入しやすい。
以上述べたように本実施形態によれば、プローブ62の移動方向前方に非消耗電極32を有する溶接トーチ30を配置し、溶接電源34により非消耗電極32と被接合部材1、2間に電圧を印加することにより接合部13を加熱したので、被接合部材が摩擦撹拌接合可能な状態に軟化するための加熱時間の短縮と加熱範囲及び制御の裕度を増加させた。又、プローブ62の移動方向後方に非消耗電極33を有する溶接トーチ31を配置し、溶接電源35により非消耗電極33と被接合部材1、2間に電圧を印加することにより接合部13を加熱したので、接合後の冷却時間を制御することで接合部位の割れを防止することができる。又、加熱装置として非消耗電極式溶接装置を使用したので、接合部の温度制御が容易であり、照射の狙い位置ずれを起こさず、人体に危害を与える恐れがなく、安価な手段で接合部を加熱することができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態を図3および図4に示す。図3は、摩擦撹拌接合法の加熱装置を示す構成図、図4は図3における摩擦撹拌接合法の加熱装置のブロック図である。
前述の図1で示したように、プローブ62の移動方向前方に非消耗電極32を有する溶接トーチ30、プローブ62の移動方向後方に非消耗電極33を有する溶接トーチ31を配置し、それぞれの非消耗電極32、33に電力を供給する溶接電源34、35、接合部13の加熱温度を設定する温度設定手段40、41、設定温度に対応する溶接指令値を演算し溶接電源34、35に指令値を与える溶接指令値演算手段36、37を有する第一の実施例に、プローブ62の移動方向前方の接合部13の温度を検出する非接触温度センサ6、プローブ62の移動方向後方の接合部13の温度を検出する非接触温度センサ9、非接触温度センサ6、9から得られる情報を基に接合部13の温度を設定温度に制御するフィードバック機構7、11を付加した点が特徴である。
加熱装置の働きを図4を用いて説明する。まず、作業者は接合部13の加熱温度を温度設定手段40、41を使用して設定する。温度設定手段40、41にて設定された設定温度は、溶接指令値演算手段36、37に入力され、設定温度に対応した溶接指令値が算出される。設定加熱温度が高い場合溶接指令値を大きくして入熱量を増大させ、設定加熱温度が低い場合溶接指令値を小さくして入熱量を減少させる。算出された溶接指令値をもとに溶接電源34、35は非消耗電極32、33を通じて、接合部13を設定温度に加熱する。加熱された接合部13の温度は、非接触温度センサ6、9により検出され、フィードバック機構7、11によって設定温度と比較され実際の加熱温度が設定温度となるように設定指令を補正する。このようなフィードバック機構7、11により、実際の加熱温度が正確に設定温度に保たれる。
次に、摩擦撹拌接合時の動作について説明する。まず、温度設定手段40、41により設定された温度となるような溶接指令値をそれぞれ溶接指令値演算手段36、37により算出する。算出された溶接指令値にしたがって溶接電源34が溶接トーチ30の非消耗電極32を通じて被接合部材1、2の接合部13を加熱する。加熱された接合部13の温度は、非接触温度センサ6により検出され、フィードバック機構7によって設定温度と比較され実際の加熱温度が設定温度となるように指令値を補正する。接合部13が設定温度に加熱されると軟化を始め、プローブ62が容易に挿入できる状態となる。このような状態となった時に、接合部13に回転する回転子60の先端から突出している前記プローブ62を挿入し、前記プローブ62との接触部を摩擦熱にて軟化させ撹拌しながら、前記プローブ62を挿入状態で接合部13に沿って相対移動させる。前記プローブ62が通過した被接合部材1、2の接合部13は接合されて、プローブ62の摩擦熱を失って接合部13が急冷される。接合部13が急冷されると接合部13に凝固割れが発生しやすくなるため、凝固割れを防止することを目的として溶接トーチ31の非消耗電極33を通じて算出された溶接指令値にしたがって溶接電源35によって接合部13が設定温度に加熱される。加熱された接合部13の温度は、非接触温度センサ9により検出され、フィードバック機構11によって設定温度と比較され実際の加熱温度が設定温度となるように設定指令を補正する。このように摩擦撹拌接合後の接合部13を設定温度に加熱することにより、接合部13の冷却速度が緩和され凝固割れが生じなくなる。溶接トーチ30の非消耗電極32、溶接トーチ31の非消耗電極33による接合部の加熱は、被接合部材1、2の摩擦撹拌接合が完了するまで継続され、非接触温度センサ6、9により常に加熱温度が監視されフィードバック機構7、11により設定温度となるように正確に加熱温度が制御され、接合物の過剰加熱を防止し被接合部材の変形を防止することができる。
以上述べたように本実施形態によれば、前記プローブ62により摩擦撹拌接合される直前の接合部13の温度および前記プローブ62により摩擦撹拌接合された直後の接合部13の温度を非接触温度センサ6、9により計測し、前記非接触温度センサからの温度情報をフィードバック機構7、11によりフィードバック制御し、正確に設定温度に加熱量を調整することができ、前記加熱装置による接合物の過剰加熱を防止し被接合部材の変形を防止することができる。
【0006】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1記載の摩擦撹拌接合法の加熱装置によれば、プローブ62の移動方向前方に非消耗電極32を有する溶接トーチ30を配置し、溶接電源34により非消耗電極32と被接合部材1、2間に電圧を印加することにより接合部13を加熱したので、被接合部材が摩擦撹拌接合可能な状態に軟化するための加熱時間の短縮と加熱範囲及び制御の裕度を増加させた。又、プローブ62の移動方向後方に非消耗電極33を有する溶接トーチ31を配置し、溶接電源35により非消耗電極33と被接合部材1、2間に電圧を印加することにより接合部13を加熱したので、接合後の冷却時間を制御することで接合部位の割れを防止することができる。又、加熱装置として非消耗電極式溶接装置を使用したので、接合部の温度制御が容易であり、照射の狙い位置ずれを起こさず、人体に危害を与える恐れがなく、安価な手段で接合部を加熱することができる。
請求項2記載の摩擦撹拌接合法の加熱装置によれば、プローブ62により摩擦撹拌接合される直前の接合部13の温度および前記プローブ62により摩擦撹拌接合された直後の接合部13の温度を非接触温度センサ6、9により計測し、非接触温度センサからの温度情報をフィードバック機構7、11によりフィードバック制御し、正確に設定温度に加熱量を調整することができ、加熱装置による接合物の過剰加熱を防止し被接合部材の変形を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す摩擦撹拌接合法の加熱装置の構成図
【図2】本発明の第1の実施形態を示す摩擦撹拌接合法の加熱装置のブロック図
【図3】本発明の第2の実施形態を示す摩擦撹拌接合法の加熱装置の構成図
【図4】本発明の第2の実施形態を示す摩擦撹拌接合法の加熱装置のブロック図
【図5】従来の第1の実施例を示す摩擦撹拌接合法の加熱装置の模式図
【図6】従来の第2の実施例を示す摩擦撹拌接合法の加熱装置の模式図
【符号の説明】
1:被接合部材
2:被接合部材
3:接合装置
6:非接触温度センサ
7:フィードバック機構
9:非接触温度センサ
11:フィードバック機構
13:接合部
30:溶接トーチ
31:溶接トーチ
32:非消耗電極
33:非消耗電極
34:溶接電源
35:溶接電源
36:溶接指令値演算手段
37:溶接指令値演算手段
40:温度設定手段
41:温度設定手段
60:回転子
61:肩部
62:プローブ
63:加熱装置
64:レーザ光
65:ノズル部
70:ガス炎
71:ノズル部
72:加熱装置
Claims (2)
- 被接合部材1、2の接合部13に、回転する回転子60の先端から突出しているプローブ62を挿入し、前記プローブ62との接触部を摩擦熱にて軟化させ撹拌しながら、前記プローブ62を挿入状態で前記接合部13に沿って相対的に移動させることにより前記被接合部材1、2を接合する際、接合時に前記プローブ62の移動方向前方部分を加熱しながら移動する加熱熱源を有する摩擦撹拌接合法の加熱装置において、
前記加熱装置は、前記接合部13上を前記プローブ62の移動方向前方および後方部分に前記プローブ62と同時に移動する非消耗電極32、33を有する溶接トーチ30、31と、前記非消耗電極32、33と前記被接合部材1、2間に電圧を印加する溶接電源34、35と、前記接合部13の温度を設定する温度設定手段40、41と、前記接合部13が前記温度設定手段40、41により設定された温度となるように前記溶接電源34、35に与える溶接指令値を演算し出力する溶接指令値演算手段36、37とを具備し、前記温度設定手段40により設定された温度に対応する溶接指令値を前記溶接指令値演算手段36により算出し、前記溶接指令値に基づいて前記溶接電源34によって前記溶接トーチ30の前記非消耗電極32と前記被接合部材1、2間に電圧を印加して前記プローブ62の移動方向前方部分の所定の間隔を介した接合部13を前記温度設定手段により設定された第1の設定温度で加熱し、前記温度設定手段41により設定された温度に対応する溶接指令値を前記溶接指令値演算手段37により算出し、前記溶接指令値に基づいて前記溶接電源35によって前記溶接トーチ31の前記非消耗電極33と前記被接合部材1、2間に電圧を印加して前記プローブ62の移動方向後方部分の所定の間隔を介した接合部13を前記温度設定手段により設定された第 2 の設定温度で加熱することを特徴とする摩擦撹拌接合法の加熱装置。 - 前記摩擦撹拌接合時に、前記プローブ62により摩擦撹拌接合される直前の接合部13の温度を計測する非接触温度センサ6と、前記プローブ62により摩擦撹拌接合された直後の接合部13の温度を計測する非接触温度センサ9と、前記各非接触式温度センサ6、9からのフィードバック情報を処理するフィードバック機構7、11とを具備し、前記非接触温度センサ6は前記プローブ62の移動方向前方に、前記非接触温度センサ9は前記プローブ62の移動方向後方に配置し、前記フィードバック機構7、11は、前記溶接電源34、35によって接合部13に与えられる加熱量が前記温度設定手段40、41により予め設定された前記設定温度になるように、前記非接触温度センサ6、9が計測した接合部13の温度をもとに前記溶接電源34、35から出力される電圧の溶接指令値を制御することを特徴とする請求項1記載の摩擦撹拌接合法の加熱装置。
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