JP4233017B2 - 両面の風合いが異なる窯業製品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は一般に、窯業製品の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、両面の風合いが異なる窯業製品の製造方法に関する。なお、本発明における窯業製品には、レンガ、タイルの他、ブロック材、かわら材などが含まれる。また、語「風合い」は、色、粗度、手触り、風化度などを意味する。
【0002】
【従来の技術】
典型的な窯業製品であるレンガには、表面と裏面があり、表面を使用可能な面として製造するため、一般的には、裏面に一定の風合いを持たせるように製造することはない。また、タイルは、裏面が接着専用面として用いられるため、そもそも裏面に風合いを持たせるという発想がない。さらに、他の窯業製品も、裏面を使用できるようには製造されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、窯業製品に関するこのような現状に鑑みて、案出されたものであって、両面の風合いが異なる窯業製品を供給することによって、住宅購入者には施工直前まで外壁の変更が可能であり、住宅建築業者にとっては在庫管理が容易になる等の種々の利点を提供することを企図したものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ワイヤで切断した原材料のピースを平積みから縦積みに積み替えて強制乾燥させると、乾燥による原材料の収縮によって、ピース間に好ましい隙間が発生し、この状態で原材料を焼成することによって、両面の風合いが異なる窯業製品を容易に製造することができることを見い出した。
【0005】
本願請求項1に記載の、原材料を成型する成型工程と、成型された原材料を乾燥させる自然乾燥工程及び強制乾燥工程と、乾燥した原材料を焼成する焼成工程とを含む、両面の風合いが異なる窯業製品の製造方法は、原材料を切断して複数のピースにし、前記ピースの一面同士を向き合わせて1組となし、縦積みして乾燥させることにより、向き合わせた面に隙間を発生させ、焼成することによって、ピースの両面に異なる風合いを生じさせることを特徴とするものである。
【0006】
本願請求項2に記載の両面の風合いが異なる窯業製品の製造方法は、原材料を切断して複数のピースにする成型工程と、前記ピースを平積み状態で自然乾燥させる自然乾燥工程と、自然乾燥させた前記ピースを一面同士を向き合わせて1組となし、平積み状態から縦積み状態に積み替える積み替え工程と、前記縦積み状態にしたピースを強制乾燥させることにより、前記ピースの向き合わせた面に隙間を発生させる強制乾燥工程と、前記隙間が発生した状態で焼成する焼成工程とを含むことを特徴とするものである。
【0007】
本願請求項3に記載の両面の風合いが異なる窯業製品の製造方法は、原材料を切断して複数のピースにする成型工程と、前記ピースを平積み状態で自然乾燥させる自然乾燥工程と、前記平積み状態にしたピースを温風乾燥させる前期強制乾燥工程と、温風乾燥させた前記ピースを一面同士を向き合わせて1組となし、平積み状態から縦積み状態に積み替える積み替え工程と、前記縦積み状態にしたピースを乾燥炉内で強制乾燥させることにより、前記ピースの向き合わせた面に隙間を発生させる後期強制乾燥工程と、前記隙間が発生した状態で焼成する焼成工程とを含むことを特徴とするものである。
【0008】
本願請求項4に記載の両面の風合いが異なる窯業製品の製造方法は、前記請求項2又は3の製造方法において、前記原材料の切断が成型機の出口に張られたワイヤによって行われることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、レンガを例として、本発明の好ましい実施の形態に係る両面の風合いが異なるレンガの製造方法について詳細に説明する。図1は、本製造方法の工程を示したフロー図である。まず、成型機を用いてレンガの原材料(以下「レンガ原材料」という)を成型する。図2は、本製造方法の使用される成型機を概略的に示した図である。この成型機は、金属製の箱形の本体を備えている。本体の出口部分には、製造しようとするレンガの寸法・形状に従って、ワイヤ(例えば、ピアノ線)が水平方向に張られている。成型工程は、成型機の本体に原材料を入れ、図2の矢印で示されるように、ワイヤが張られている出口に向かって押し出すことによって行われる。原材料は、出口から押し出される際にワイヤによって(図示される例では4つのピースに)切断される。なお、図示されている成型機自体は、ワイヤが張られていることを除いて、公知の装置である。
【0010】
図3(a)は、成型工程によって得られたレンガ原材料を平積みにした状態を示した図である。成型工程に引き続き、1次乾燥工程を実施する。1次乾燥工程では、レンガ原材料を図3(a)に示されるようにラックに平積みにした状態で自然乾燥させる。1次乾燥工程に要する時間は、夏期で3週間程度、冬期で4週間程度である。1次乾燥工程は、レンガに亀裂が発生することを避けるために行われる。成型後の水分含有率が約16重量%〜約18重量%であるレンガ原材料は、1次乾燥によって、水分含有率が約12重量%となる。ここで、水分含有率とは、レンガ原材料の(湿潤重量−乾燥重量)/(湿潤重量)によって定義される値である。
【0011】
次いで、2次乾燥工程を実施する。2次乾燥工程では、レンガ原材料をラックに平積みにした状態で温風乾燥させる。2次乾燥に要する時間は、3日間程度であり、約25°Cから開始して約40°Cまで温風の温度を上昇させる。2次乾燥によって、水分含有率が約6重量%となる。
【0012】
次いで、積替え工程を実施する。積替え工程では、レンガ原材料を、図3(b)に示されるように、焼成用台車上に縦積みにする。なお、図3(b)に示される例では、レンガ原材料が2段に縦積みにされているが、縦積みの段数を1段にしてもよく、適当な保持手段があれば、3段以上にしてもよい。積替え工程の時点では、隣接するレンガ原材料の間には隙間がなく、密接している。
【0013】
次いで、3次乾燥工程を実施する。3次乾燥工程では、縦積みにされたレンガ原材料を乾燥炉内で乾燥させる。3次乾燥に要する時間は、2日間程度であり、約40°Cから開始して約160°Cまで温風の温度を上昇させる。3次乾燥工程が終了した時点で、乾燥による原材料の収縮のため、隣接するレンガ原材料の間に隙間W(約2mm〜約3mm)が発生する。3次乾燥によって、水分含有率が約1重量%となる。なお、積替え工程において、レンガ原材料を縦積みにした理由は、レンガ原材料を平積みにしたままでは、レンガ原材料の自重のため、収縮による隙間が発生しないからである。
【0014】
次いで、焼成工程を実施する。焼成工程では、レンガ原材料をキルン内で所定時間(通常は、60時間程度)、所定温度で(通常は、焼成開始後約30時間経過時に最高温度約1170°Cまで上昇させ、その後、時間をかけて約60°Cまで温度をゆっくり下降させる)焼成する。レンガ原材料の間に隙間Wが設けられているので、焼成されたレンガは、両面の風合いが異なる。
【0015】
このようにして得られたレンガをパッキングして、出荷に備える。
【0016】
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0017】
たとえば、前記実施の形態では、乾燥工程が1次から3次までの3工程に分かれているが、乾燥工程を自然乾燥工程と強制乾燥工程の2工程に分けた場合にも、本製造方法を適用することができる。その際には、自然乾燥工程と強制乾燥工程との間に、積替え工程を実施する。
【0018】
また、前記実施の形態では、成型工程でレンガ原材料を4つのピースに切断しているが、4つ以外の任意の数のピースに切断してもよい。また、成型機のワイヤが水平方向に張られているが、ワイヤを垂直方向に張ってもよい。
【0019】
さらに、前記実施の形態では、レンガを例として説明されているが、レンガ以外の他の窯業製品、例えば、タイル、ブロック材、かわら材などにも、本製造方法を適用することができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明により、両面の風合いが異なる窯業製品を容易に提供することができる。両面の風合いが異なる窯業製品は、1種類の製品でA面、B面、AB混合面の3パターンの風合いを表現することが可能であり、これにより、住宅建築業者にとっては、在庫管理が容易になる他、顧客へのアピール度を増すことができ、また、住宅購入者にとっては施工直前まで外壁の変更が可能である等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましい実施の形態に係る製造方法の工程を示したフロー図である。
【図2】 本発明の製造方法に用いられる成型機の一例を概略的に示した図である。
【図3】 各工程におけるレンガ原材料の積み方を示した図であって、(a)は、2次乾燥工程までの状態を示した図、(b)は、積替え工程における積替えの状態を示した図、(c)は、3次乾燥工程終了時点における状態を示した図である。
Claims (4)
- 両面の風合いが異なる窯業製品の製造方法であって、原材料を成型する成型工程と、成型された原材料を乾燥させる自然乾燥工程及び強制乾燥工程と、乾燥した原材料を焼成する焼成工程とを含む製造方法において、
原材料を切断して複数のピースにし、前記ピースの一面同士を向き合わせて1組となし、縦積みして乾燥させることにより、向き合わせた面に隙間を発生させ、焼成することによって、ピースの両面に異なる風合いを生じさせることを特徴とする方法。 - 両面の風合いが異なる窯業製品の製造方法であって、
原材料を切断して複数のピースにする成型工程と、
前記ピースを平積み状態で自然乾燥させる自然乾燥工程と、
自然乾燥させた前記ピースを一面同士を向き合わせて1組となし、平積み状態から縦積み状態に積み替える積み替え工程と、
前記縦積み状態にしたピースを強制乾燥させることにより、前記ピースの向き合わせた面に隙間を発生させる強制乾燥工程と、
前記隙間が発生した状態で焼成する焼成工程と、
を含むことを特徴とする方法。 - 両面の風合いが異なる窯業製品の製造方法であって、
原材料を切断して複数のピースにする成型工程と、
前記ピースを平積み状態で自然乾燥させる自然乾燥工程と、
前記平積み状態にしたピースを温風乾燥させる前期強制乾燥工程と、
温風乾燥させた前記ピースを一面同士を向き合わせて1組となし、平積み状態から縦積み状態に積み替える積み替え工程と、
前記縦積み状態にしたピースを乾燥炉内で強制乾燥させることにより、前記ピースの向き合わせた面に隙間を発生させる後期強制乾燥工程と、
前記隙間が発生した状態で焼成する焼成工程と、
を含むことを特徴とする方法。 - 前記原材料の切断が成型機の出口に張られたワイヤによって行われることを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
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