JP4232460B2 - 車両の伝達トルク制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の駆動源から左輪及び右輪へのトルク伝達率をそれぞれ可変とする左側及び右側の2つの制御カップリング機構を備える車両の伝達トルク制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、そうした伝達トルク制御装置として、車両の前輪又は後輪の車軸上に2つの制御カップリング機構を併設した構成のトルク制御装置が知られている(例えば、特許文献1)。各制御カップリング機構は、例えば多板式のクラッチ機構などにより構成されており、車両の駆動源から左輪及び右輪へのトルク伝達率をそれぞれ可変としている。またそれらの制御カップリング機構には、それらを駆動するための制御機構がそれぞれ個別に設けられている。
【0003】
制御機構としては、電磁式の制御機構や油圧式の制御機構などが用いられている。電磁式の制御機構は、外部からの給電により励磁されるコイルと、そのコイルの励磁により発生する電磁吸引力により吸引されて動作するアーマチャとを備えて構成されている。電磁吸引力に基づくアーマチャの動作は、例えばコントロールクラッチ、カム機構等からなる動力変換部により、最終的に制御カップリング機構に作用させる駆動力、すなわち最終駆動力に変換される。そしてコイルへの給電制御により、電磁吸引力の大きさを調整することで、制御カップリング機構のトルク伝達率の制御が行われる。すなわち電磁式の制御機構は、電磁吸引力を初期駆動力として出力して、制御カップリング機構を駆動させている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−194002号公報(第2及び3頁、第2,4,5及び7図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両を安定して直進走行させるには、左右の車輪に均等にトルクを分配する必要がある。よって上記従来の伝達トルク制御装置では、車両の直進安定性の確保のため、左車輪及び右車輪の両制御カップリング機構のトルク伝達率を均等とすることが求められる。
【0006】
一方、それら制御カップリング機構を駆動させる制御機構は、経時変化や製造時の寸法交差などのため、その出力特性を一律に保持することは困難となっている。特に上記のようなコイル及びアーマチャを備える電磁式の制御機構では、コイルとアーマチャとのクリアランスの大きさがそれらの間に発生する電磁吸引力の大きさに大きく影響するため、その出力特性に個体差が生じ易くなっている。
【0007】
そうした個体差のため、左車輪側と右車輪側の制御機構の出力特性に差が生じてしまうと、左右の制御カップリング機構のトルク伝達率にも差が生じてしまうことになる。したがって、上記従来の伝達トルク制御装置では、各制御機構のコイルへの供給電力を個別に制御するなど、両制御機構の出力特性の差違に配慮した複雑な制御を適用しなければ、車両の直進安定性を良好に維持できなくなるおそれがある。
【0008】
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであって、比較的簡易な構成で、左右両輪への均等なトルク伝達を好適に行うことのできる車両の伝達トルク制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果を記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、車両の駆動源から左輪及び右輪へのトルク伝達率をそれぞれ可変とする左側及び右側の2つの制御カップリング機構を同一の回転中心軸線上に直列に配置し、この2つの制御カップリング機構を制御機構の出力する同一の初期駆動力にて連動して駆動させる車両の伝達トルク制御装置において、前記制御機構は、前記回転中心軸線と直交する方向において前記2つの制御カップリング機構の外周側に位置する態様、且つその一部が前記回転中心軸線と直交する方向において前記制御カップリング機構の一方と対向する態様で設けられることを要旨としている。
【0010】
上記発明では、制御機構の出力する同一の初期駆動力により、左側及び右側の2つの制御カップリング機構を連動して駆動することで、車両の駆動源から左輪及び右輪へのトルク伝達率が可変とされる。すなわち、2つの制御カップリング機構は、それらの駆動に係る初期駆動力を出力する制御機構を共用する構成となっている。
こうした構成では、同一の初期駆動力により2つの制御カップリング機構が連動して駆動されるため、2つの制御カップリング機構には、制御機構の出力特性の個体差に起因したトルク伝達率の差は生じ得ない。したがって、比較的簡易な構成で、左右両輪への均等なトルク伝達を好適に行うことができる。ちなみに、上記構成によれば、2つの制御カップリング機構に対して1つの制御機構のみを設ければよいため、伝達トルク制御装置の構成をより簡易とすることができるようにもなる。
【0011】
また、2つの制御カップリング機構の配設された回転中心軸線に対して、それら制御カップリング機構の外周側に制御機構が配設されるため、伝達トルク制御装置の回転中心軸線方向の長さを比較的容易に短縮することができる。
ちなみにここでの制御機構とは、制御カップリング機構のトルク伝達率の制御に際してその大きさが操作される初期駆動力を出力する機構を指す。こうした制御機構としては、例えば、コイルの励磁による電磁吸引力を初期駆動力として発生する電磁式の制御機構や、制御カップリング機構の駆動制御のために調圧された油圧を初期駆動力として出力する油圧式の制御機構などがある。
【0012】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両の伝達トルク制御装置において、前記制御機構は、その一部が前記2つの制御カップリング機構のうちの前記一方のみと対向する態様で設けられることを要旨としている。
(3)請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両の伝達トルク制御装置において、前記2つの制御カップリング機構及び前記制御機構からなる機構群は、車両のプロペラシャフトに対して車両左右方向に偏倚する態様で設けられ、前記制御機構は、前記2つの制御カップリング機構のうちの前記プロペラシャフトから離れている方の制御カップリング機構のみと対向する態様で設けられることを要旨としている。
【0013】
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両の伝達トルク制御装置において、前記制御機構は、前記回転中心軸線に沿う方向においての左側制御カップリング機構の前記左輪側の端から右側制御カップリング機構の前記右輪側の端までの範囲内に設けられることを要旨としている。
(5)請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の車両の伝達トルク制御装置において、前記制御機構は、前記回転中心軸線に沿う方向においての左側制御カップリング機構の前記左輪側の端から右側制御カップリング機構の前記左輪側の端までの範囲内、及び前記回転中心軸線に沿う方向においての右側制御カップリング機構の前記右輪側の端から左側制御カップリング機構の前記右輪側の端までの範囲内のいずれかに設けられることを要旨としている。
【0014】
(6)請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両の伝達トルク制御装置において、当該伝達トルク制御装置は、車両のプロペラシャフトとともに回転する駆動側ギアから回転が入力される従動側ギアと、この従動側ギアとともに回転する車軸側構造体とを備え、前記駆動側ギアから前記従動側ギアへの回転の伝達にともない前記プロペラシャフトまわりの回転を前記左輪及び前記右輪の車軸まわりの回転に変換し、これを前記車軸側構造体から前記2つの制御カップリング機構を介して前記左輪及び前記右輪の車軸のそれぞれに伝達し、前記2つの制御カップリング機構により前記車軸側構造体と前記車軸との間でトルク伝達率を可変とするものであることを要旨としている。
【0015】
(7)請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の車両の伝達トルク制御装置において、前記制御機構と前記従動側ギアとが前記回転中心軸線に沿う方向において直列に配置されることを要旨としている。
(8)請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の車両の伝達トルク制御装置において、前記制御機構と前記駆動側ギアとが前記回転中心軸線に沿う方向において直列に配置されることを要旨としている。
【0016】
(9)請求項9に記載の発明は、請求項6〜8のいずれか一項に記載の車両の伝達トルク制御装置において、前記制御機構は、その一部が前記2つの制御カップリング機構のうちの前記一方のみと対向する態様で設けられ、前記従動側ギアは、前記2つの制御カップリング機構のうちの前記制御機構とは対向しない方の制御カップリング機構のみと対向する態様で設けられることを要旨としている。
【0017】
(10)請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の車両の伝達トルク制御装置において、前記制御機構は、外部からの給電により励磁されるコイルと、その励磁による電磁吸引力にて動作するアーマチャとを備え、その電磁吸引力を前記初期駆動力として出力することを要旨としている。
【0018】
上記発明では、コイル及びアーマチャを備え、コイルの励磁による電磁吸引力を初期駆動力として出力する電磁式の制御機構により、2つの制御カップリング機構が連動して駆動される。こうした電磁式の制御機構では、その出力特性に個体差が生じ易いが、上記のように2つの制御カップリング機構が制御機構を共用する構成とすれば、左右両輪への均等なトルク伝達を比較的容易に行うことができる。
【0019】
(11)請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の車両の伝達トルク制御装置において、前記初期駆動力は、単一の動力変換部を介して前記2つの制御カップリング機構にそれぞれ作用する最終駆動力に変換されることを要旨としている。
【0020】
上記発明では、制御機構の出力する初期駆動力を、制御カップリング機構に作用させる最終駆動力に変換する動力変換部についても、2つの制御カップリング機構で共用するため、その駆動力の変換過程で各制御カップリング機構に作用される最終駆動力に差が生じることも好適に抑制される。更に、2つの制御カップリング機構に対して1つの動力変換部のみを設ければよいため、伝達トルク制御装置の構成の簡易化が図られるようにもなる。したがって、左右両輪への均等なトルク伝達を、更に容易且つ確実に確保することができる。
【0021】
(12)請求項12に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の車両の伝達トルク制御装置において、前記初期駆動力は、前記2つの制御カップリング機構のそれぞれに個別に設けられた動力変換部を介して、各制御カップリング機構に作用する最終駆動力に変換されることを要旨としている。
【0022】
上記発明では、制御機構の出力する初期駆動力の最終駆動力への変換が、2つの制御カップリング機構のそれぞれに個別に設けられた動力変換部を通じて行われるため、各制御カップリング機構の駆動制御をより的確に行うことができる。そしてそれにより、例えば左右いずれか一方の車輪が空転した場合に左右双方の車輪へのトルク伝達量が共に低下することを抑止するなど、より好適な態様でのトルク伝達を容易に実現することができる。
【0023】
(13)請求項13に記載の発明は、請求項11または12に記載の車両の伝達トルク制御装置において、前記動力変換部は、前記初期駆動力にて作動するコントロールクラッチと、そのコントロールクラッチの作動に応じて前記最終駆動力を発生するカム機構とを備えて構成されることを要旨としている。
【0024】
上記発明では、制御機構の出力する初期駆動力により、コントロールクラッチが作動され、その作動に応じてカム機構が最終駆動力を発生して2つの制御カップリング機構を駆動させている。このように構成された動力変換部の採用により、制御カップリング機構の駆動制御を適切に行うことができる。
【0025】
(14)請求項14に記載の発明は、請求項12に記載の車両の伝達トルク制御装置において、前記各動力変換部は、前記初期駆動力にて作動するコントロールクラッチと、そのコントロールクラッチの作動に応じて前記最終駆動力を発生するカム機構とを備えて構成され、前記コントロールクラッチは、前記各動力変換部において共用されることを要旨としている。
【0026】
上記発明では、2つの制御カップリング機構に作用される最終駆動力が、各制御カップリング機構にそれぞれ個別に設定されたカム機構を通じて行われるため、各制御カップリング機構の駆動制御をより的確に行うことができる。そしてそれにより、例えば左右いずれか一方の車輪が空転した場合に左右双方の車輪へのトルク伝達量が共に低下することを抑止するなど、より好適な態様でのトルク伝達を容易に実現することができる。しかも、両カム機構を作動させるコントロールクラッチについては、2つの制御カップリング機構が共用する構成となるため、伝達トルク制御装置の構成の簡易化を図ることができるようにもなる。
【0027】
(15)請求項15に記載の発明は、請求項13または14に記載の車両の伝達トルク制御装置において、前記カム機構は、前記2つの制御カップリング機構の間に設けられることを要旨としている。
【0028】
上記発明のように2つの制御カップリング機構の間にカム機構を介設させる構成とすることで、当該伝達トルク制御装置を、より簡易な構成で具現とすることができる。例えば2つの制御カップリング機構に、コントロールクラッチ及びカム機構を共用させる構成にあっては、上記カム機構の配置により、そのカム機構の発生する最終駆動力を、より容易且つ適切に両制御カップリング機構に作用させることができる。また2つの制御カップリング機構のそれぞれに個別のコントロールクラッチ及びカム機構を設定する構成にあっても、2つのコントロールクラッチを近接して配置することができるようになり、それらを単一の制御機構にて作動させる構成の実現を、より容易とすることができる。
【0029】
(16)請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の車両の伝達トルク制御装置において、前記カム機構は、前記2つの制御カップリング機構にそれぞれ接触し、各制御カップリング機構に前記最終駆動力を作用させる左側及び右側の押圧部材を有してなることを要旨としている。
【0030】
上記発明では、2つの制御カップリング機構に対してそれぞれ個別の押圧部材が設けられているため、各制御カップリング機構にカム機構の発生した最終駆動力を、より容易且つ確実に作用させることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
ここではまず、図1を参照して、本実施形態の適用される車両11のトルク伝達系の構成を説明する。
【0032】
同図1に示される車両11は、その車体前部に駆動源であるエンジン12が配設され、左右の前輪15L,15Rを主駆動輪とし、左右の後輪19L,19Rを補助駆動輪として走行する四輪駆動車として構成されている。エンジン12の発生するトルクは、変速機13を介して左右の前輪15L,15Rに伝達されるようになっている。またエンジン12のトルクは、トランスファ装置16、及びプロペラシャフト17を介して、後輪車軸上に配設された伝達トルク制御装置18にも伝達されるようになっている。
【0033】
伝達トルク制御装置18には、左後輪19Lと右後輪19Rとがそれぞれ駆動連結されている。そして伝達トルク制御装置18は、エンジン12からプロペラシャフト17等を通じて入力されたトルクの左右後輪19L,19Rへの伝達率を、すなわちトルク伝達率を調整している。
【0034】
次に、こうした伝達トルク制御装置18の概略構成を説明する。
図2に示されるように伝達トルク制御装置18は、車体に固定されるハウジング21内に収容されている。このハウジング21には、入力軸22が一対のテーパローラベアリング23,24を介して支持されている。入力軸22は、その前端に固定された継ぎ手部25を介して、プロペラシャフト17(図1参照)に一体回転可能に連結される。また入力軸22の後端には、駆動側ベベルギア32が設けられている。
【0035】
ハウジング21内に収容された伝達トルク制御装置18は、大きくは、従動側ベベルギア30、ケース26、左側及び右側の2つの制御カップリング機構、制御機構、及び動作変換部を備えて構成されている。
【0036】
従動側ベベルギア30は、上記の駆動側ベベルギア32に噛合わされており、プロペラシャフト17(図1参照)を通じてその駆動側ベベルギア32に入力された回転を後輪車軸回りの回転に変換してケース26に伝達する。これにより、エンジン12の発生したトルクがケース26に伝達されるようになっている。
【0037】
また左側及び右側の制御カップリング機構は、エンジン12から左右後輪19L,19Rへのトルク伝達経路において、そのケース26と左右後輪19L,19Rの各車軸36,35との間にそれぞれ介設されている。そしてそれらの制御カップリング機構は、ケース26から両車軸36,35へのトルク伝達率をそれぞれ可変としている。すなわち本実施形態では、これら左右後輪19L,19Rが、2つの制御カップリング機構によるトルク伝達率の可変の対象となる上記「左輪」及び「右輪」にそれぞれ対応する構成となっている。なお、本実施形態では、そうした制御カップリング機構として多板式のクラッチ機構41,42が採用されている。
【0038】
さらに制御機構は、それらクラッチ機構41,42の駆動にかかる初期駆動力を発生する役割を担っている。ここでは、そうした制御機構として、外部からの給電により励磁されるコイル61と、その励磁による電磁吸引力にて動作するアーマチャ63とを備え、その電磁吸引力を上記初期駆動力として出力する電磁式の制御機構が採用されている。そして動作変換部は、そうしたアーマチャ63の動作を、最終的にクラッチ機構41,42に作用させてそれらを駆動させるための駆動力、すなわち最終駆動力となる押圧力に変換する役割を担っている。
【0039】
以下、こうした伝達トルク制御装置18の詳細な構成を、図2及び図3を併せ参照して詳細に説明する。
同図2に示されるように、伝達トルク制御装置18のケース26は、ハウジング21内において、一対のテーパローラベアリング27,28を介して車軸35,36の回転中心軸線CL回りに回転可能に支持されている。
【0040】
ケース26は、回転中心軸線CL方向に相互に並設された、右側構成体26aと左側構成体26bとからなっている。これら両構成体26a,26bは、ボルトによって互いに接合されている。ケース26の内部には上記クラッチ機構41,42等の収容される収容室29が形成されている。そしてそのケース26の右側構成体26aの外面には、上記従動側ベベルギア30が複数(図2及び図3では2つのみ図示)のボルト31によって一体回転可能に固定されている。
【0041】
さらにケース26の各構成体26a,26bには、回転中心軸線CLを中心軸線とする円筒内周面を有する挿通孔33,34がそれぞれ設けられている。各挿通孔33,34には、右後輪19Rの車軸35、及び左後輪19Lの車軸36がそれぞれ挿通されている。各車軸35,36は、ハウジング21及びケース26に対して、相対回転可能となっている。各車軸35,36は、ハウジング21外において、各後輪19L,19Rがそれぞれ一体回転可能に連結されている。なお、ハウジング21と各車軸35,36との隙間は、それぞれシール部材39によって封止されるようになっている。
【0042】
続いて、そうしたケース26内に収容されたクラッチ機構41,42の詳細を、図3を併せ参照して説明する。
同図3に示されるように、クラッチ機構41,42は、複数の駆動側クラッチ板43、及び複数の従動側クラッチ板44をそれぞれ備えて構成されている。それら駆動側クラッチ板43と従動側クラッチ板44は、上記回転中心軸線CL方向において交互に重なり合うように配設されている。
【0043】
より詳しくは、各駆動側クラッチ板43は、ケース26の右側構成体26a及び左側構成体26bの内周面にそれぞれスプライン係合されて、ケース26と一体回転可能、かつ回転中心軸線CL方向に往復動可能に配設されている。また、各クラッチ機構41,42の各従動側クラッチ板44は、各車軸35,36の端部にそれぞれ一体回転可能に装着された略円筒状の装着部材37,38の外周面にスプライン係合されて、各車軸35,36と一体回転可能、かつ回転中心軸線CL方向に往復動可能にそれぞれ配設されている。
【0044】
右側クラッチ機構41において最も右側に配置されたクラッチ板(ここでは駆動側クラッチ板43の一つ)及び、左側クラッチ機構42において最も左側に配置されたクラッチ板(ここでは駆動側クラッチ板43の一つ)は、ケース26の右壁47及び左壁48に形成された受承部49にそれぞれ当接されている。そして受承部49との当接により、それら最右側及び最左側のクラッチ板の回転中心軸線CL方向の移動が制限されるようになっている。
【0045】
こうしたクラッチ機構41,42では、各駆動側クラッチ板43と各従動側クラッチ板44とを互いに圧接させるように上記回転中心軸線CL方向に押圧力を付勢することで、それらクラッチ板43,44間に摩擦力が発生する。そしてその摩擦力により、ケース26から各車軸35,36へのトルク伝達が行われる。よって、上記押圧力を調整することで、ケース26から各車軸35,36へのトルク伝達率を変更することができる。
【0046】
さて、本実施形態の伝達トルク制御装置18では、これら2つのクラッチ機構41,42を、コイル61及びアーマチャ63からなる電磁式の制御機構にて駆動させるようにしている。そうした電磁式の制御機構は、前述したように出力特性に個体差が生じ易く、それにより駆動されるクラッチ機構のトルク伝達率にばらつきが生じ易くなっている。
【0047】
一方、上記のように左右2つのクラッチ機構41,42を備えて構成された伝達トルク制御装置18では、左右後輪19L,19Rに均等にトルクを伝達すべく、両クラッチ機構41,42のトルク伝達率を均等化することが求められる。しかしながら、それらのクラッチ機構41,42を、出力特性の個体差が生じ易い電磁式の制御機構を用いてそれぞれ個別に駆動したのでは、それらのトルク伝達率の均等化は困難である。
【0048】
そこで本実施形態では、それら2つのクラッチ機構41,42を、単一の制御機構(コイル61、アーマチャ63)により連動して駆動させることで、そうした出力特性の個体差によるトルク伝達率の差違の発生を回避して、左右均等なトルク伝達率の確保を図るようにしている。
【0049】
続いて、そうした本実施形態の伝達トルク制御装置18におけるクラッチ機構41,42の駆動にかかる制御機構、及び動作変換部の詳細を、同図3を参照して説明する。
【0050】
上記制御機構を構成するコイル61は、ハウジング21内部において、左側クラッチ機構42の外周側に固定された基部62に配設されている。また同じく制御機構を構成するアーマチャ63は、ケース26の内部において、そのコイル61の右方に位置するように配設されている。すなわち、これらコイル61及びアーマチャ63は、各車軸35,36の回転中心軸線CLの径方向において、各クラッチ機構41,42の外周側に配設されている。
【0051】
アーマチャ63は、ケース26の内周にスプライン係合されており、そのケース26と一体回転可能、かつ上記回転中心軸線CL方向に往復動可能となっている。そしてアーマチャ63は、コイル61の励磁に伴って、コイル61側への、すなわち同図の左側への電磁吸引力の作用を受け、そのコイル61側に動作されるようになっている。
【0052】
なおコイル61には、その励磁に係る電力が外部電源60から給電されるようになっている。外部電源60からコイル61への給電量は、外部電源60からコイル61への給電配線の途中に設けられた電子制御装置59によって制御されている。そしてその給電量の制御により、アーマチャ63に対するコイル61の電磁吸引力の大きさが変更され、その回転中心軸線CL方向の位置が決定されるようになっている。
【0053】
こうしたアーマチャ63の動作は、コントロールクラッチ69及びカム機構51などにより構成された動作変換部により、各クラッチ機構41,42のクラッチ板43,44を付勢する押圧力に変換されるようになっている。
【0054】
カム機構51は、右側クラッチ機構41と左側クラッチ機構42との間に配設されており、回転入力部材52と右側及び左側の押圧部材53,54とを備えて構成されている。これら回転入力部材52、及び押圧部材53、54は、右側の車軸35の端部に装着された装着部材37にあって、その左端部に一体形成された円筒状の延出部37aの外周面上にそれぞれ配設されている。
【0055】
回転入力部材52は、装着部材37、即ち車軸35に相対回転可能、かつ回転中心軸線CL方向に往復動可能に配設されている。
右側押圧部材53は、装着部材37の外周にスプライン係合されて、車軸35と一体回転可能、かつ回転中心軸線CL方向に往復動可能に配設されている。また、左側押圧部材54は、ケース26の内周にスプライン係合され、車軸35に相対回転可能、ケース26と一体回転可能で、かつ回転中心軸線CL方向に往復動可能に配設されている。左側押圧部材54は、回転入力部材52に対して環状のシム(スペーサ)58を介して当接されている。
【0056】
さらに、回転入力部材52と右側押圧部材53の対向面には、カム溝55,56(図4参照)がそれぞれ形成され、それらカム溝55,56間には、ボール57が配設されている。これらのカム溝55,56は、上記回転中心軸線CLの周方向において図4に示される形状に形成されている。すなわち、各カム溝55,56は、上記周方向の中央側に向かうほど溝深さが大きくなり、その周方向の両端部に向かうほど溝深さが小さくなるように傾斜して形成されている。回転入力部材52と右側押圧部材53の対向面間には、こうしたカム溝55,56及びボール57が上記周方向に均等な間隔をおいて、それぞれ複数設けられている。
【0057】
これらカム溝55,56及びボール57が対向面間に設けられた回転入力部材52と右側押圧部材53との回転中心軸線CL方向の間隔は、それらの回転位相差に応じて変化する。例えば溝深さの最も大きいカム溝55,56の中央部分が互いに一致する回転位相にあるときには、回転入力部材52及び右側押圧部材53の間隔は最も小さくなる。
【0058】
ここでカム溝55,56の中央部分の位相が互いにずらされると、各カム溝55,56のボール57との接触位置での溝深さが小さくなるため、ボール57によって各カム溝55,56は互いに離間させる側へと押圧されるようになる。そしてそのボール57の押圧により、右側押圧部材53及び左側押圧部材54は、互いに離間させる側に付勢され、それぞれの隣接するクラッチ機構41,42のクラッチ板43に押圧力を作用させる。こうして回転入力部材52及び右側押圧部材53との相対回動に応じて、最終的に各クラッチ機構41,42に作用させる最終駆動力となる押圧力が発生されるようになる。
【0059】
ちなみに、左側押圧部材54と回転入力部材52との間に介設される上記シム58は、伝達トルク制御装置18の組立時に、適宜な厚さのものが選択されて装着されている。そうしたシム58の厚さの選択は、上記カム溝55,56の中央部分が互いに一致する回転位相にある状態において、右側及び左側の押圧部材53,54と右側及び左側のクラッチ機構41,42との間の隙間が丁度生じなくなるように行われている。
【0060】
一方、コントロールクラッチ69は、カム機構51の外周側に配設され、回転中心軸線CL方向に交互に重なり合うように配設された複数の環状の駆動側クラッチ板65、及び従動側クラッチ板66を備えて構成されている。これらコントロールクラッチ69の各クラッチ板65,66は、コイル61とアーマチャ63との間に介設されている。各駆動側クラッチ板65は、ケース26の内周にスプライン係合されており、そのケース26と一体回転可能、かつ回転中心軸線CL方向に往復動可能に配設されている。また、各従動側クラッチ板66は、カム機構51の回転入力部材52の外周にスプライン係合されており、その回転入力部材52と一体回転可能、かつ回転中心軸線CL方向に往復動可能に配設されている。
【0061】
両クラッチ板65,66は、コイル61の励磁によるアーマチャ63のコイル61側への移動に応じて、そのアーマチャ63とケース26の左側構成体26bに形成された受承部68との間に挟み込まれて互いに押圧されるようになっている。そしてこの押圧により発生する両クラッチ板65,66間の摩擦力によって、ケース26の回転トルクがカム機構51の回転入力部材52に伝達されるようになっている。
【0062】
次に、以上のように構成された伝達トルク制御装置18の作用について説明する。
エンジン12の発生したトルクがプロペラシャフト17を介して入力軸22に伝達されると、このトルクは駆動側ベベルギア32を介して従動側ベベルギア30に伝達され、ケース26が回転中心軸線CLを中心として回転される。
【0063】
この状態でコイル61が励磁されると、この励磁に基づきアーマチャ63が電磁吸引力を受けて移動して、コントロールクラッチ69の両クラッチ板65,66を押圧する。そしてその押圧により両クラッチ板65,66間に発生した摩擦力によりケース26の回転トルクがカム機構51の回転入力部材52に伝達される。
【0064】
こうして回転入力部材52にケース26の回転トルクが伝達されると、その回転入力部材52と右側押圧部材53とが相対回動されて、上記カム溝55,56の中央部分の位相が互いにずらされる。それにより、カム機構51の回転入力部材52と右側押圧部材53との回転中心軸線CL方向の間隔が広げられ、右側及び左側の押圧部材53,54はそれぞれ隣接する右側及び左側のクラッチ機構41,42を押圧するようになる。こうしてコイル61の発生する電磁吸引力に基づくアーマチャ63の動作が、コントロールクラッチ69及びカム機構51によって、右側及び左側の2つのクラッチ機構41,42のそれぞれに対する押圧力に変換される。
【0065】
そうした押圧力の作用を受けると、右側及び左側のクラッチ機構41,42の駆動側クラッチ板43と従動側クラッチ板44とは、互いに圧接されるように付勢される。そしてその圧接に応じてそれらのクラッチ板43,44間に発生する摩擦力によって、エンジン12からケース26に伝達されたトルクが各クラッチ機構41,42を通じて左右の車軸35,36に伝達され、ひいては左右の後輪19L,19Rに伝えられるようになる。
【0066】
なおコイル61への給電量を変更すれば、アーマチャ63への電磁吸引力が変化され、そのアーマチャ63によるコントロールクラッチ69の各クラッチ板65,66への押圧力が変化されるようになる。またそうした押圧力の変化は、ケース26から回転入力部材52に伝達される回転トルクの大きさを変化させ、回転入力部材52と右側押圧部材53との相対回動の大きさを変更させることとなる。そして更には、各押圧部材53,54による各クラッチ機構41,42への押圧力が変更されるようになる。よって、上記給電量の制御により、ひいては各クラッチ機構41,42を通じたエンジン12から各後輪19L,19Rへのトルク伝達率を変更することができる。
【0067】
ちなみに本実施形態の伝達トルク制御装置18では、電子制御装置59は、車両の走行状況に応じてコイル61への給電量を制御して、各クラッチ機構41,42のトルク伝達率を適宜調整するようにしている。
【0068】
このように本実施形態の伝達トルク制御装置18では、左右2つのクラッチ機構41,42は、コイル61とアーマチャ63との間に作用する電磁吸引力を初期駆動力として連動して駆動されるようになっている。すなわち、この伝達トルク制御装置18では、2つのクラッチ機構41,42が、単一の制御機構(コイル61及びアーマチャ63)を共用する構成となっている。そのため、両クラッチ機構41,42のトルク伝達率に、制御機構の出力特性の個体差に起因した格差は、生じ得ないようになっている。
【0069】
さらにこの伝達トルク制御装置18では、そのコイル61及びアーマチャ63により発生された初期駆動力を、クラッチ機構41,42の各クラッチ板43,44に作用させる押圧力に変換するコントロールクラッチ69及びカム機構51についても、両クラッチ機構41,42で共用する構成となっている。そのため、上記初期駆動力(電磁吸引力)を変換して発生される各クラッチ板43,44への押圧力についても、両クラッチ機構41,42間で格差が生じないようになっている。
【0070】
ところで、この伝達トルク制御装置18の制御カップリング機構として採用されているような多板式のクラッチ機構は、一般に以下のような特性を有している。
【0071】
押圧部材を通じてクラッチ機構に付与された押圧力は、その内部に配列された各クラッチ板に対して、その配列方向に順次伝達されていく。このとき、各クラッチ板は、押圧力の付与に伴って弾性変形してその力の一部を歪みエネルギとして吸収するため、クラッチ板に伝達される押圧力は、その押圧力の入力部から離間されるに従って減少されてしまう。そのため、押圧力の入力部から離間した位置に配設されたクラッチ板ほど、クラッチ板間の摩擦力が低下して、トルクの伝達効率が低下する傾向にある。そしてそうした伝達効率の低下は、トルク伝達率の変更にかかるクラッチ機構の応答性の低下を招くこととなる。したがって、1つの押圧部材により押圧を受けるクラッチ板の枚数を減らし、その押圧部材による押圧力の伝達距離を短縮することが、トルク伝達の効率化、及びクラッチ機構の応答性の確保に有効である。
【0072】
その点、本実施形態の伝達トルク制御装置18では、左右のクラッチ機構41,42にそれぞれ個別の押圧部材53,54を設け、それら両クラッチ機構41,42にカム機構51の発生する押圧力をそれぞれ個別に付与するようにしている。そのため、単一の押圧部材で左右のクラッチ機構のクラッチ板の全てを押圧する構成と比較して、1つの押圧部材により押圧を受けるクラッチ板の枚数を削減し、クラッチ機構41,42のトルク伝達効率や応答性を向上することができる。またその結果、要求されるトルク伝達効率や応答性の確保に必要な各クラッチ機構41,42のクラッチ板の枚数が削減されることともなるため、クラッチ機構41,42の小型化にも有利である。
【0073】
さらに本実施形態の伝達トルク制御装置18では、カム機構51を両クラッチ機構41,42の間に介設するようにしている。そのため、両クラッチ機構41,42にそれぞれ個別に押圧部材53,54を設定しながらも、ボール57及びカム溝55,56や、コントロールクラッチ69などの押圧力を発生させる機構をそれら2つの押圧部材53,54に共用させる構成を容易に実現することができる。本実施形態では、こうした構成の採用により、部品点数の削減、装置の軽量化、及び車軸方向における装置幅の短縮が図られている。
【0074】
ちなみに、この伝達トルク制御装置18では、両車軸35,36の径方向において各クラッチ機構41,42の外周側に、コイル61及びアーマチャ63を配設する構成となっており、これによっても車軸方向における装置長さの短縮が図られている。
【0075】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、各単一のコイル61及びアーマチャ63により発生された電磁吸引力を初期駆動力として、左右2つのクラッチ機構41,42を連動して駆動するようにしている。すなわち、左右2つのクラッチ機構41,42を、制御機構の出力する同一の初期駆動力で連動して駆動制御するようにしている。したがって、両クラッチ機構41,42のトルク伝達率の均等化を図って、左右の後輪19L,19Rに均等にトルクを伝達することを、より容易且つ的確に実現することができる。
【0076】
(2)本実施形態では更に、上記電磁吸引力によるアーマチャ63の動作を両クラッチ機構41,42に作用させる押圧力に変換するコントロールクラッチ69及びカム機構51についても、両クラッチ機構41,42に共用させている。したがって、上記左右後輪19L,19Rへのトルク伝達の均等化を更に好適に図ることができる。
【0077】
(3)本実施形態では、2つのクラッチ機構41,42に対して、それらを駆動させるための制御機構(コイル61、アーマチャ63)及び動作変換部(コントロールクラッチ69、カム機構51など)が各1つであるため、部品点数の削減や装置の軽量化を図ることができる。
【0078】
(4)本実施形態では、両クラッチ機構41,42に対してそれぞれ個別の押圧部材53,54を設けているため、クラッチ機構41,42のトルク伝達効率や応答性の確保が容易となる。
【0079】
(5)本実施形態では、両クラッチ機構41,42の間にカム機構51を介設しているため、両クラッチ機構41,42のカム機構51及びコントロールクラッチ69を共用する構成を容易に実現することができるようになる。
【0080】
(6)また両クラッチ機構41,42の間にカム機構51を介設することで、単一のカム機構51によって、個別の押圧部材53,54によって両クラッチ機構41,42にそれぞれ別途に押圧力を付与する構成を容易に実現することができるようにもなる。
【0081】
(7)本実施形態では、車軸35,36の径方向において各クラッチ機構41,42の外周側にコイル61及びアーマチャ63を配設しているため、車軸方向に2つのクラッチ機構41,42を直列に配設したことによる伝達トルク制御装置18の車軸方向長さの増大を抑えることができる。
【0082】
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態について、上記実施形態との相違点を中心に説明する。
【0083】
第1実施形態では、コイル61,アーマチャ63間の電磁吸引力をクラッチ板43,44を付勢する押圧力に変換する動力変換部を、左右2つのクラッチ機構41,42で共用する構成としている。こうした構成では、2つのクラッチ機構41,42に対して動力変換部を一つだけ設ければ良いため、伝達トルク制御装置18の構成の簡易化を図ることができる。
【0084】
ところでそうした構成では、接地面とのスリップなどにより右後輪19Rが空転してしまうような状況下では、左右両後輪19L,19Rへのトルク伝達が同時に維持できなくなってしまうことがある。即ち、そうした状況下では、空転中の右後輪19Rの車軸35に回転抵抗がほとんど生じないため、コントロールクラッチ69を作動させて回転入力部材52にケース26の回転トルクを伝達しても、車軸35は押圧部材53及び装着部材37を介してケース26にほぼ一体となって連れ回されるだけとなる。このとき、回転入力部材52と右側の押圧部材53との相対回動が生じ難くなることから、カム機構51は上記押圧力をほとんど発生しなくなってしまう。第1実施形態の伝達トルク制御装置18は、その押圧力により左右2つのクラッチ機構41,42を連動して駆動させる構成であるため、右後輪19Rの空転により左右両後輪19L,19Rへのトルク伝達量が共に低下してしまう。
【0085】
そこで本実施形態では、左右2つのクラッチ機構41,42に、それぞれ個別に動力変換部を設けることで、左右後輪19L,19Rのいずれか一方が空転しても、他方へのトルク伝達が十分維持され得るようにしている。以下、こうした本実施形態の詳細を、図5を併せ参照して説明する。
【0086】
同図5に示すように、本実施形態の伝達トルク制御装置118は、右側及び左側の2つのコントロールクラッチ80,81と、同じく右側及び左側の2つのカム機構70,71とを備えて構成されている。
【0087】
右側及び左側のカム機構70,71は、回転入力部材72,73、押圧部材74,75、及びボール76、77をそれぞれ備えて構成されている。各カム機構70,71の回転入力部材72,73及び押圧部材74,75は、右後輪19R及び左後輪19Lの端部にそれぞれ装着された装着部材37,38の先端にそれぞれ形成された延出部37a,38aにそれぞれ配設されている。各回転入力部材72,73はそれぞれ、延出部37a,38aの外周面に、回転中心軸線CL方向への往復動が許容された状態で、車軸35,36に対して相対回転可能に配設されている。また延出部37a,38aの先端部には、止め金78がそれぞれ嵌合固定されており、それにより延出部37a,38a先端側への各回転入力部材72,73の移動が規制されている。
【0088】
また右側及び左側の各押圧部材74,75は、各対応する側の回転入力部材72,73とクラッチ機構41,42との間に介設されている。各押圧部材74,75は、装着部材37,38の外周にそれぞれスプライン係合されており、それにより延出部37a,38aの外周面に、回転中心軸線CL方向への往復動が許容された状態で、車軸35,36に対して一体回転可能に配設されている。そして右側及び左側の回転入力部材72,73及び押圧部材74,75の対向面には、図4に示したものと同様のカム溝がそれぞれ形成され、ボール76,77がそれぞれ介設されている。
【0089】
一方、右側及び左側のコントロールクラッチ80,81は、回転中心軸線CL方向において互いに重なり合うように配設された各複数の駆動側クラッチ板82及び従動側クラッチ板83をそれぞれ備えて構成されている。これらのコントロールクラッチ80,81は、第1実施形態のものとほぼ同様の構成となっている。すなわち、各コントロールクラッチ80,81の駆動側クラッチ板82は、ケース26の内周面にそれぞれスプライン係合されており、回転中心軸線CL方向に往復動可能な状態で、同ケース26に一体回転可能に配設されている。また右側のコントロールクラッチ80の従動側クラッチ板83は、右側のカム機構70の回転入力部材72の外周にスプライン係合されており、その回転入力部材72と一体回転可能な状態で、回転中心軸線CL方向に往復動可能に配設されている。更に左側のコントロールクラッチ81の従動側クラッチ板83は、左側のカム機構71の回転入力部材73の外周にスプライン係合されており、その回転入力部材73と一体回転可能な状態で、回転中心軸線CL方向に往復動可能に配設されている。
【0090】
これら両コントロールクラッチ80,81は、回転中心軸線CL方向において、コイル61とアーマチャ63との間に介設されている。またこれら両コントロールクラッチ80,81の間には、非磁性体からなる環状のスペーサ84が介設されている。このスペーサ84は、ケース26の内周にスプライン係合されており、同ケース26と一体回転可能な状態で、回転中心軸線CL方向に往復動可能に配設されている。よって、コイル61の励磁により、コイル61,アーマチャ63間に電磁吸引力が発生されると、右側のコントロールクラッチ80はアーマチャ63とスペーサ84とによって、左側のコントロールクラッチ81はスペーサ84とケース26の受承部68とによって、それぞれ挟み込まれるようになる。
【0091】
こうした本実施形態の伝達トルク制御装置118では、給電によりコイル61を励磁させると、上記の挟み込みにより、各コントロールクラッチ80,81の各クラッチ板82,83が互いに圧接される。そして、その圧接により発生する摩擦力により、各カム機構70,71の回転入力部材72,73には、ケース26から回転トルクがそれぞれ伝達される。
【0092】
こうしてケース26の回転トルクが伝達されると、ケース26と各車軸35,36の回転速度差により、回転入力部材72,73は、各カム機構70,71の押圧部材74,75に対して相対回動されるようになる。そして上記カム溝とボール76,77との相互干渉を通じて、各カム機構70,71には、回転入力部材72,73と押圧部材74,75とを互いに離間させる側に作用する押圧力が各発生される。このとき、回転入力部材72,73の車軸35,36先端側、すなわちクラッチ機構41,42から離間する側への移動が上記止め金78によりそれぞれ規制されていることから、押圧部材74,75により各対応するクラッチ機構41,42に対して押圧力が付与される。したがって、本実施形態の伝達トルク制御装置118においても、各単一のコイル61及びアーマチャ63により発生された電磁吸引力を初期駆動力として、左右2つのクラッチ機構41,42が連動して駆動されるようになっている。
【0093】
次に、こうした伝達トルク制御装置118の採用された車両において、右後輪19Rが路面とのスリップなどにより空転したときの動作態様を説明する。
右後輪19Rが空転すると、コントロールクラッチ80を通じてケース26の回転トルクを右側のカム機構70の回転入力部材72に伝達しても、右後輪19Rの車軸35はケース26にほぼ一体となって連れ回されてしまう。そのため、右側のカム機構70は、右側のクラッチ機構41に対する押圧力をほとんど発生しなくなってしまう。
【0094】
一方、このときの左後輪19Lの路面との接地面との摩擦が十分にあれば、その車軸36は十分な回転抵抗を有している。そのため、左側のカム機構71では、コントロールクラッチ81を通じてケース26の回転トルクを回転入力部材73に伝達することで、回転入力部材73を押圧部材75に対して相対回動させることができる。したがって、右後輪19Rが空転したとしても、それに合わせて左側のクラッチ機構42に付与される押圧力が低下することはなく、左後輪19Lへのトルク伝達は維持される。
【0095】
ちなみに、左後輪19Lが空転したときにも、同様にして右後輪19Rへのトルク伝達を維持することができる。すなわち、本実施形態の伝達トルク制御装置118は、左右後輪19L,19Rのいずれか一方が空転したときに、他方へのトルク伝達を維持すべくそれら両輪の差動を制限する差動制限装置としても機能する。
【0096】
以上説明した本実施形態によれば、上記(1)(3)(4)(7)に記載の各効果と同様或いはそれに準じた効果に加え、更に次の効果を得ることができる。
(8)本実施形態では、左右2つのクラッチ機構41,42のそれぞれに、動力変換部を個別に設けるようにしている。そのため、左右後輪19L,19Rのいずれか一方が空転したときにも、他方へのトルク伝達を維持することができる。したがって、本実施形態によれば、伝達トルク制御装置118の機能の更なる向上を図ることができる。
【0097】
(9)本実施形態では、2つのカム機構70,71を、2つのクラッチ機構41,42の間に介設するようにしている。そのため、2つのコントロールクラッチ80,81を互いに近接して配設することができる、及びそれらを連動して作動させる制御機構を比較的簡易な構成とすることができるなど、伝達トルク制御装置118の小型化やその構成の簡易化を図ることができる。
【0098】
なお、図6に例示するような構成によっても、上記実施形態と同等の効果を得ることができる。同図6に示す伝達トルク制御装置218は、コントロールクラッチ90を左右のクラッチ機構41,42で共用する構成となっている。また左右のカム機構91,92は、回転入力部材93を共用する構成となっている。
【0099】
この伝達トルク制御装置218では、回転入力部材93は、右後輪19Rの車軸35の端部に装着された装着部材37の延出部37aの外周面に、回転中心軸線CL方向に往復動可能な状態で、車軸35に対して相対回動可能に配設されている。またその装着部材37の延出部37aには、右側の押圧部材94が回転中心軸線CL方向に往復動可能な状態で、車軸35に一体回転可能に配設されている。さらに左後輪19Lの車軸36の端部に装着された装着部材38の延出部38aには、左側の押圧部材95が回転中心軸線CL方向に往復動可能な状態で、車軸36に一体回転可能に配設されている。そして回転入力部材93と右側及び左側の各押圧部材94,95との対向面には、図4に示したようなカム溝がそれぞれ形成されており、ボール96,97がそれぞれ介設されている。
【0100】
一方、コントロールクラッチ90は、上記各実施形態のものと同様に、交互に重なり合うように配設された複数の駆動側クラッチ板98と従動側クラッチ板99とを備えて構成されている。そしてその従動側クラッチ板99は、回転入力部材93の外周面に、回転中心軸線CL方向に往復動可能な状態で、その回転入力部材93と一体回転可能に配設されている。
【0101】
こうした構成では、たとえ左右後輪19L,19Rのいずれか一方が空転したとしても、コントロールクラッチ90を通じた回転入力部材93へのケース26の回転トルクの伝達により、回転入力部材93は、空転していない側の押圧部材(94,95)に対して相対回動されるようになる。そして、このとき発生する押圧力は、左右の両クラッチ機構41,42の双方に付与されるようになる。したがって、こうした構成では、左右後輪19L,19Rのいずれか一方が空転したときにも、左右後輪19L,19R双方へのトルク伝達を共に維持することができる。しかも、こうした構成では、第2実施形態の構成に比して、コントロールクラッチ、及び回転入力部材を各1つずつ省くことができ、更なる構成の簡易化を図ることができるようにもなっている。
【0102】
なお、以上説明した各実施形態は、次のように変更しても良い。
・第1の実施形態では、カム機構51を2つのクラッチ機構41,42の間に介設し、また両クラッチ機構41,42にそれぞれ個別の押圧部材53,54を設定することで、各クラッチ機構41,42を効率的に駆動させている。両クラッチ機構41,42のトルク伝達率を十分に確保可能であれば、カム機構51を、右側クラッチ機構41の右方、或いは左側クラッチ機構42の左方に配設し、単一の押圧部材によりそれら2つのクラッチ機構41,42に押圧力を付与するようにしてもよい。こうした場合にも、2つのクラッチ機構41,42は、各単一の制御機構及び動力変換部により、連動して駆動されるようになる。
【0103】
・また第2の実施形態において左右のクラッチ機構41,42の間に介設された2つのカム機構70,71を、それぞれ対応する右側クラッチ機構41の右方や左側クラッチ機構42の左方に配設するようにしてもよい。その場合にも、それらのカム機構70,71を、共に同一の制御機構の発生する初期駆動力で作動されるようにすれば、左右の後輪19L,19Rのトルク伝達の均等化を、より容易且つ的確に実現することができる。またそうした場合にも、左右後輪19L,19Rのいずれか一方の空転時に、他方へのトルク伝達を維持することはできる。
【0104】
・上記実施形態では、四輪駆動車として構成された車両11の左右後輪19L,19Rへのトルク伝達率を可変とする伝達トルク制御装置への適用例を説明したが、そうした車両11の左右前輪15L,15Rへのトルク伝達率を可変とする装置としてもよい。また必要があれば、四輪駆動車以外の車両にも、上記実施形態の伝達トルク制御装置を適用することができる。さらに上記実施形態では、駆動源としてエンジン12を搭載する車両への適用例を説明したが、モータ等、エンジン以外の駆動源を採用する車両や、エンジンと他の駆動源とを組み合わせて使用する車両にも、上記実施形態の伝達トルク制御装置は同様に適用可能である。そして、適用される車両の形式やその車両に搭載される駆動源の種別に拘わらず、対象とする左右輪へのトルク伝達について、上記実施形態と同様或いはそれに準じた作用効果を奏することができる。
【0105】
・上記実施形態では、コントロールクラッチ及びカム機構を備えて構成された動力変換部によって、制御機構(コイル61、アーマチャ63)の出力する初期駆動力(電磁吸引力)を、両クラッチ機構41,42に付与される最終駆動力(押圧力)に変換するようにしている。しかし、動力変換部の構成は、これに限らず適宜変更してもよい。その場合にも、制御機構の発生する初期駆動力を、クラッチ機構41,42に付与される最終駆動力に変換することができ、且つその初期駆動力の変化に応じて最終駆動力を変更可能であれば、上記実施形態と同様、或いはそれに準じた作用効果を奏することはできる。
【0106】
・上記実施形態では、コイル61及びアーマチャ63を備えて構成された電磁式の制御機構を採用するようにしているが、例えばクラッチ機構41,42を駆動させるための初期駆動力として油圧を発生する油圧式の制御機構等、他のタイプの制御機構を採用してもよい。その場合にも、その制御機構の発生する同一の初期駆動力で、左右2つのクラッチ機構41,42を連動して駆動させるようにすれば、その制御機構の有する出力特性の個体差に拘わらず、左右輪へのトルク伝達の均等化を容易に図ることができる。
【0107】
・上記実施形態の伝達トルク制御装置では、多板式のクラッチ機構41,42を採用しているが、車両の駆動源から左右輪へのトルク伝達率をそれぞれ可変する制御カップリング機構として、ビスカス(粘性)カップリングなどの他のタイプの制御カップリング機構を採用してもよい。要は、トルク伝達率を可変制御可能な制御カップリング機構であれば、多板式のクラッチ機構41,42に代えて採用することができる。その場合にも、左右輪に対してそれぞれ個別に設定された2つの制御カップリング機構を、単一の制御機構の発生する初期駆動力によって連動して駆動させるようにすれば、その制御機構の有する出力特性の個体差に拘わらず、左右輪へのトルク伝達の均等化を容易に図ることができる。
【0108】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)前記2つの制御カップリング機構は、多板式のクラッチ機構によりそれぞれ構成されている請求項1〜10のいずれかに記載の車両の伝達トルク制御装置。
【0109】
(ロ)前記2つの制御カップリング機構は、ビスカスカップリングによりそれぞれ構成されている請求項1〜10のいずれかに記載の車両の伝達トルク制御装置。
【0110】
(ハ)前記初期駆動力は、前記トルク伝達率の変更に際してその大きさが調整される請求項1〜9のいずれかに記載の車両の伝達トルク制御装置。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の適用される車両のトルク伝達系の模式図。
【図2】同実施形態の伝達トルク制御装置の平面断面図。
【図3】同伝達トルク制御装置の拡大断面図。
【図4】図3のA−A線に沿った断面図。
【図5】本発明の第2実施形態の伝達トルク制御装置の拡大断面図。
【図6】同実施形態の変形例についてその拡大断面図。
【符号の説明】
11…車両、12…エンジン、18,118,218…伝達トルク制御装置、19L,19R…後輪、26…ケース、41…右側クラッチ機構、42…左側クラッチ機構、43…駆動側クラッチ板、44…従動側クラッチ板、51,70,71,91,92…カム機構、52,72,73,93…回転入力部材、53,74,94…右側押圧部材、54,75,95…左側押圧部材、55,56…カム溝、57,76,77,96,97…ボール、61…コイル、63…アーマチャ、69,80,81,90…コントロールクラッチ、CL…回転中心軸線。
Claims (16)
- 車両の駆動源から左輪及び右輪へのトルク伝達率をそれぞれ可変とする左側及び右側の2つの制御カップリング機構を同一の回転中心軸線上に直列に配置し、この2つの制御カップリング機構を制御機構の出力する同一の初期駆動力にて連動して駆動させる車両の伝達トルク制御装置において、
前記制御機構は、前記回転中心軸線と直交する方向において前記2つの制御カップリング機構の外周側に位置する態様、且つその一部が前記回転中心軸線と直交する方向において前記制御カップリング機構の一方と対向する態様で設けられる
ことを特徴とする車両の伝達トルク制御装置。 - 請求項1に記載の車両の伝達トルク制御装置において、
前記制御機構は、その一部が前記2つの制御カップリング機構のうちの前記一方のみと対向する態様で設けられる
ことを特徴とする車両の伝達トルク制御装置。 - 請求項2に記載の車両の伝達トルク制御装置において、
前記2つの制御カップリング機構及び前記制御機構からなる機構群は、車両のプロペラシャフトに対して車両左右方向に偏倚する態様で設けられ、
前記制御機構は、前記2つの制御カップリング機構のうちの前記プロペラシャフトから離れている方の制御カップリング機構のみと対向する態様で設けられる
ことを特徴とする車両の伝達トルク制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両の伝達トルク制御装置において、
前記制御機構は、前記回転中心軸線に沿う方向においての左側制御カップリング機構の前記左輪側の端から右側制御カップリング機構の前記右輪側の端までの範囲内に設けられる
ことを特徴とする車両の伝達トルク制御装置。 - 請求項4に記載の車両の伝達トルク制御装置において、
前記制御機構は、前記回転中心軸線に沿う方向においての左側制御カップリング機構の前記左輪側の端から右側制御カップリング機構の前記左輪側の端までの範囲内、及び前記回転中心軸線に沿う方向においての右側制御カップリング機構の前記右輪側の端から左側制御カップリング機構の前記右輪側の端までの範囲内のいずれかに設けられる
ことを特徴とする車両の伝達トルク制御装置。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両の伝達トルク制御装置において、
当該伝達トルク制御装置は、車両のプロペラシャフトとともに回転する駆動側ギアから回転が入力される従動側ギアと、この従動側ギアとともに回転する車軸側構造体とを備え、前記駆動側ギアから前記従動側ギアへの回転の伝達にともない前記プロペラシャフトまわりの回転を前記左輪及び前記右輪の車軸まわりの回転に変換し、これを前記車軸側構造体から前記2つの制御カップリング機構を介して前記左輪及び前記右輪の車軸のそれぞれに伝達し、前記2つの制御カップリング機構により前記車軸側構造体と前記車軸との間でトルク伝達率を可変とするものである
ことを特徴とする車両の伝達トルク制御装置。 - 請求項6に記載の車両の伝達トルク制御装置において、
前記制御機構と前記従動側ギアとが前記回転中心軸線に沿う方向において直列に配置される
ことを特徴とする車両の伝達トルク制御装置。 - 請求項6または7に記載の車両の伝達トルク制御装置において、
前記制御機構と前記駆動側ギアとが前記回転中心軸線に沿う方向において直列に配置される
ことを特徴とする車両の伝達トルク制御装置。 - 請求項6〜8のいずれか一項に記載の車両の伝達トルク制御装置におい て、
前記制御機構は、その一部が前記2つの制御カップリング機構のうちの前記一方のみと対向する態様で設けられ、
前記従動側ギアは、前記2つの制御カップリング機構のうちの前記制御機構とは対向しない方の制御カップリング機構のみと対向する態様で設けられる
ことを特徴とする車両の伝達トルク制御装置。 - 請求項1〜9のいずれか一項に記載の車両の伝達トルク制御装置において、
前記制御機構は、外部からの給電により励磁されるコイルと、その励磁による電磁吸引力にて動作するアーマチャとを備え、その電磁吸引力を前記初期駆動力として出力する
ことを特徴とする車両の伝達トルク制御装置。 - 請求項1〜10のいずれか一項に記載の車両の伝達トルク制御装置において、
前記初期駆動力は、単一の動力変換部を介して前記2つの制御カップリング機構にそれぞれ作用する最終駆動力に変換される
ことを特徴とする車両の伝達トルク制御装置。 - 請求項1〜10のいずれか一項に記載の車両の伝達トルク制御装置において、
前記初期駆動力は、前記2つの制御カップリング機構のそれぞれに個別に設けられた動力変換部を介して、各制御カップリング機構に作用する最終駆動力に変換される
ことを特徴とする車両の伝達トルク制御装置。 - 請求項11または12に記載の車両の伝達トルク制御装置において、
前記動力変換部は、前記初期駆動力にて作動するコントロールクラッチと、そのコントロールクラッチの作動に応じて前記最終駆動力を発生するカム機構とを備えて構成される
ことを特徴とする車両の伝達トルク制御装置。 - 請求項12に記載の車両の伝達トルク制御装置において、
前記各動力変換部は、前記初期駆動力にて作動するコントロールクラッチと、そのコントロールクラッチの作動に応じて前記最終駆動力を発生するカム機構とを備えて構成され、
前記コントロールクラッチは、前記各動力変換部において共用される
ことを特徴とする車両の伝達トルク制御装置。 - 請求項13または14に記載の車両の伝達トルク制御装置において、
前記カム機構は、前記2つの制御カップリング機構の間に設けられる
ことを特徴とする車両の伝達トルク制御装置。 - 請求項15に記載の車両の伝達トルク制御装置において、
前記カム機構は、前記2つの制御カップリング機構にそれぞれ接触し、各制御カップリング機構に前記最終駆動力を作用させる左側及び右側の押圧部材を有してなる
ことを特徴とする車両の伝達トルク制御装置。
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