JP4232430B2 - 画像処理装置および方法、記録媒体、並びに、プログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理装置および方法、記録媒体、並びに、プログラムに関し、特に、ユーザの嗜好に合う画質に自動的に調整することができるようにした画像処理装置および方法、記録媒体、並びに、プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハイビジョン方式の開発に伴い、NTSC(National Television System Committee)方式のビデオ信号(走査線数が525本であり、縦横比が3:4である)を、ハイビジョン方式のビデオ信号(走査線数1125本であり、縦横比が9:16である)に変換する方法が開発されている。
【0003】
しかしながら、この方法においては、ハイビジョン方式のビデオ信号による画像の解像度は固定されており、例えば、従来のコントラストやシャープネス等の調整のように、画像内容に応じて、画像の解像度を変更することができないという課題があった。
【0004】
そこで、本出願人は、ハイビジョン方式のビデオ信号により表示される画像の解像度を、調整できるようにすることを先に提案している(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−238185号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示されている方法においては、画像毎にユーザが嗜好する解像度に合わせる必要があり、手間がかかるという課題があった。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ユーザの嗜好に合う画質に迅速に調整するようにするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像処理装置は、入力された第1の画像から、その特徴である、平均輝度、エッジ量、動き量、および、輝度分布の少なくとも1つの特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、ユーザにより入力された第1の画像の水平解像度、垂直解像度、またはノイズ除去度の調整に対応する値であるボリューム値を記憶するとともに、特徴量抽出手段により抽出された特徴量をボリューム値に対応して記憶する記憶手段と、ユーザにより、ボリューム値が入力されてこない場合、記憶手段に記憶されている複数のボリューム値および特徴量の値、並びにそのとき入力されている第1の画像の特徴量の値を用いて、そのとき入力されている第1の画像のボリューム値を算出するボリューム値算出手段と、ユーザにより、ボリューム値が入力されてこない場合、そのとき入力されている第1の画像の水平解像度、垂直解像度、またはノイズ除去度を、ボリューム値算出手段により算出されたボリューム値に対応する値に調整し、値が調整された第2の画像を出力する画像処理手段とを備える。
【0010】
ボリューム値算出手段は、記憶手段に記憶されている複数のボリューム値および特徴量の値を用いた線形式に最小自乗法を適用して線形式の係数を求め、係数が求められた線形式とそのとき入力されている第1の画像の特徴量の値から、そのとき入力されている第1の画像のボリューム値を算出することができる。
【0011】
ボリューム値算出手段は、係数の算出を、画像処理装置の電源がオフされているとき行うことができる。
【0012】
ボリューム値算出手段は、記憶手段に記憶されている複数の特徴量の値と、そのとき入力されている第1の画像の特徴量の値との距離を演算し、記憶手段に記憶されている複数の特徴量の値のうち、演算された距離が最小になる特徴量の値に対応するボリューム値を、そのとき入力されている第1の画像のボリューム値として算出することができる。
【0013】
本発明の画像処理方法は、画像処理装置が、入力された第1の画像から、その特徴である、平均輝度、エッジ量、動き量、および、輝度分布の少なくとも1つの特徴量を抽出し、ユーザにより入力された第1の画像の水平解像度、垂直解像度、またはノイズ除去度の調整に対応する値であるボリューム値を記憶するとともに、抽出された特徴量をボリューム値に対応して記憶手段に記憶し、ユーザにより、ボリューム値が入力されてこない場合、記憶手段に記憶されている複数のボリューム値および特徴量の値、並びにそのとき入力されている第1の画像の特徴量の値を用いて、そのとき入力されている第1の画像のボリューム値を算出し、ユーザにより、ボリューム値が入力されてこない場合、そのとき入力されている第1の画像の水平解像度、垂直解像度、またはノイズ除去度を、算出されたボリューム値に対応する値に調整し、値が調整された第2の画像を出力するステップを含む。
【0014】
本発明の記録媒体に記録されているプログラムは、入力された第1の画像から、その特徴である、平均輝度、エッジ量、動き量、および、輝度分布の少なくとも1つの特徴量を抽出し、ユーザにより入力された第1の画像の水平解像度、垂直解像度、またはノイズ除去度の調整に対応する値であるボリューム値を記憶するとともに、抽出された特徴量をボリューム値に対応して記憶手段に記憶させ、ユーザにより、ボリューム値が入力されてこない場合、記憶手段に記憶されている複数のボリューム値および特徴量の値、並びにそのとき入力されている第1の画像の特徴量の値を用いて、そのとき入力されている第1の画像のボリューム値を算出し、ユーザにより、ボリューム値が入力されてこない場合、そのとき入力されている第1の画像の水平解像度、垂直解像度、またはノイズ除去度を、算出されたボリューム値に対応する値に調整し、値が調整された第2の画像を出力するステップを含む処理をコンピュータに実行させる。
【0015】
本発明のプログラムは、入力された第1の画像から、その特徴である、平均輝度、エッジ量、動き量、および、輝度分布の少なくとも1つの特徴量を抽出し、ユーザにより入力された第1の画像の水平解像度、垂直解像度、またはノイズ除去度の調整に対応する値であるボリューム値を記憶するとともに、抽出された特徴量をボリューム値に対応して記憶手段に記憶させ、ユーザにより、ボリューム値が入力されてこない場合、記憶手段に記憶されている複数のボリューム値および特徴量の値、並びにそのとき入力されている第1の画像の特徴量の値を用いて、そのとき入力されている第1の画像のボリューム値を算出し、ユーザにより、ボリューム値が入力されてこない場合、そのとき入力されている第1の画像の水平解像度、垂直解像度、またはノイズ除去度を、算出されたボリューム値に対応する値に調整し、値が調整された第2の画像を出力するステップを含む処理をコンピュータに実行させる。
【0016】
本発明においては、入力された第1の画像から、その特徴である、平均輝度、エッジ量、動き量、および、輝度分布の少なくとも1つの特徴量が抽出され、ユーザにより入力された第1の画像の水平解像度、垂直解像度、またはノイズ除去度の調整に対応する値であるボリューム値が記憶されるとともに、抽出された特徴量をボリューム値に対応して記憶手段に記憶される。そして、ユーザにより、ボリューム値が入力されてこない場合、記憶手段に記憶されている複数のボリューム値および特徴量の値、並びにそのとき入力されている第1の画像の特徴量の値を用いて、そのとき入力されている第1の画像のボリューム値が算出され、ユーザにより、ボリューム値が入力されてこない場合、そのとき入力されている第1の画像の水平解像度、垂直解像度、またはノイズ除去度が、算出されたボリューム値に対応する値に調整され、値が調整された第2の画像が出力される。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を適用したテレビジョン受像機1の構成例を示すブロック図である。
【0018】
このテレビジョン受像機1は、チューナ12により受信される放送信号、すなわち、SD(Standard Definition)信号(525i信号(ライン数が525本でインターレース方式の画像信号))を、HD(High Definition)信号(525p信号(ライン数が525本でプログレッシブ方式の画像信号)または1050i信号(ライン数が1050本でインターレース方式の画像信号))に変換し、(表示部32に)表示する機能を有している。
【0019】
テレビジョン受像機1においては、内部バス11を介して、チューナ12、デコーダ13、CPU(Central Processing Unit)14、RAM(Random Access Memory)15、ROM(Read Only Memory)16、信号処理部17、DRC(Digital Reality Creation)回路18、および入出力インターフェース19が相互に接続されている他、必要に応じて、ドライブ20がさらに接続される。
【0020】
入出力インターフェース19には、受光部31、表示部32、HDD(Hard Disk Drive)33、および操作部34が接続されている。
【0021】
ユーザが後述する図7のリモートコントローラ200を操作して出力する信号は、受光部31から入力される。また、ユーザは、操作部34を操作することで指令を入力することもできる。CPU14は、受信した指令に基づく処理を実行する。ユーザは、リモートコントローラ(後述する図7のリモートコントローラ200)または操作部34を操作することにより、入力画像の画質を調整するための調整値を入力することができる。
【0022】
CPU14は、ROM16に記憶されているプログラム、または、HDD33からRAM15にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM15にはまた、CPU14が各種の処理を実行する上において必要なデータなどが適宜記憶される。HDD33は、CPU14が実行するOS(Operating Systems)やアプリケーションプログラムを格納する他、チューナ12から受信した放送信号に基づくデータを記憶する。
【0023】
CPU14は、ユーザの操作に基づいて、リモートコントローラ(後述する図7のリモートコントローラ200)から赤外線信号(後述する図7のRM)が受光部31に入力されるか、または、ユーザにより操作部34に指令が入力されると、チューナ12に図示せぬ放送局からの放送信号を受信させ、デコーダ13にデコードさせる。デコーダ13は、デコードした放送信号に基づくビデオデータを、内部バス11を介して信号処理部17およびDRC回路18に出力する。
【0024】
信号処理部17は、ビデオデータを受信し、ユーザからボリューム値が入力されない場合(後述する図3のステップS13においてNOとされた場合)、ユーザの嗜好に合わせたボリューム値を算出し、DRC回路18に通知する(後述する図3のステップS22の処理)。DRC回路18は、ビデオデータを受信し、ユーザにより指令されたボリューム値、または、信号処理部17から通知されたボリューム値に基づいて、例えば、水平解像度と垂直解像度を所定の値に設定、変更するとともに、ノイズ除去度を、その解像度に合った値に設定変更する。
【0025】
なお、DRC回路18の構成例については、図6を参照して後述する。DRC回路18により処理されたビデオデータは、内部バス11および入出力インターフェース19を介して、表示部32に出力される(後述する図4の処理)。表示部32は、供給されたビデオデータに基づく画像を表示する。
【0026】
内部バス11は、必要に応じてドライブ20に接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリなどによりなるリムーバブルメディア51が適宜装着され、それから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じてHDD33にインストールされる。
【0027】
図2は、図1の信号処理部17の機能的構成を示すブロック図である。
【0028】
信号処理部17には、特徴量抽出部71、記憶部72、およびボリューム算出部73が設けられている。
【0029】
特徴量抽出部71は、入力画像(チューナ12により受信され、デコーダ13によりデコードされたビデオ信号に基づく画像)を取得し、特徴量を抽出する。このとき、抽出される特徴量は、平均輝度、エッジ量、動き量、および、輝度分布などである。その詳細は、図5を参照して後述する。
【0030】
記憶部72は、特徴量抽出部71により抽出された特徴量と、ユーザがリモートコントローラ(後述する図7のリモートコントローラ200)または操作部34を操作することで入力されたボリューム値を記憶する。すなわち、記憶部72には、ボリューム値と、それに対応する特徴量の履歴が記憶される。
【0031】
ボリューム算出部73は、記憶部72に記憶されている過去の特徴量およびボリューム値の履歴に基づいて、任意の入力画像の特徴量に対するボリューム値を演算するための係数を算出し、記憶部72に記憶させる。ユーザによりボリューム値が入力されない場合(後述する図3のステップS13においてNOとされる場合)、ボリューム算出部73は、このボリューム値を算出するための係数を記憶部72から読み出し、この係数と、と特徴量抽出部71により新たに抽出された特徴量(その時点における入力画像の特徴量)に基づいて、そのとき出力する画像の最適ボリューム値を算出し、算出したボリューム値をDRC回路18に通知する。
【0032】
DRC回路18は、通知されたボリューム値(信号処理部17のボリューム算出部73により算出されたボリューム値)に基づいて、ビデオデータを処理し(SD信号を、ボリューム値に対応する信号に変換し)、表示部32に出力し、表示させる。
【0033】
なお、記憶部72は、不揮発性メモリまたはHDDなど、記憶できるものであれば何でもよい。
【0034】
次に、図3と図4のフローチャートを参照して、信号処理部17とDRC回路18における処理について説明する。最初に、図3のフローチャートを参照して、信号処理部17における処理について説明する。なお、この処理は、ユーザによりテレビジョン受像機1の電源のオンが指令されたとき(受光部31にリモートコントローラ(後述する図7のリモートコントローラ200)からの指令が入力されたとき、または、操作部34に指令が入力されたとき)開始される。
【0035】
ステップS11において、特徴量抽出部71は、入力画像(チューナ12により受信され、デコーダ13によりデコードされたビデオ信号に基づく画像)を取得する。
【0036】
ステップS12において、特徴量抽出部71は、入力画像の特徴量を抽出する。このとき、特徴量としては、図5に示されるように、平均輝度、エッジ量、動き量、および、輝度分布が抽出される。図5の例では、第1回目の特徴量として、平均輝度188、エッジ量42、動き量0.1012、および輝度分布が2900.94の各値が抽出されている(図5の1行目)。
【0037】
ステップS13において、ボリューム算出部73は、ユーザによりボリューム値が入力されたか否かを判定する。ユーザは、上述したように、リモートコントローラ(後述する図7のリモートコントローラ200)または操作部34を操作することにより、入力画像の画質(出力状態)を調整する値であるボリューム値を入力することができる。ボリューム値が入力されたと判定された場合、処理はステップS14に進み、ボリューム算出部73は、ユーザにより入力されたボリューム値をDRC回路18に通知する。図5の例の場合、ボリューム値165が通知される。この通知を受けたとき、DRC回路18は、ユーザにより入力されたボリューム値を取得し、入力されたボリューム値に基づいてビデオデータを処理し(水平解像度、垂直解像度、およびノイズ除去度をボリューム値に対応する値に調整し)、画像を出力する(後述する図4のステップS52乃至S54の処理)。
【0038】
ステップS15において、ボリューム算出部73は、ユーザによりボリューム値の入力が終了したか否かを判定する。具体的には、例えば、ステップS14の処理により取得されたボリュームが、一定の期間変更されなかったとき、ボリュームの入力が終了したと判定される。ボリューム値の入力が終了していないと判定された場合、処理はステップS14に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0039】
ステップS15において、ボリューム値の入力が終了したと判定された場合、ステップS16において、ボリューム算出部73は、最終的に決定された最終ボリューム値を記憶部72に記憶させる。またこのとき、ボリューム算出部73は、最終ボリューム値が決定されたタイミングにおいて特徴量抽出部71により抽出された特徴量を最終ボリューム値に対応して記憶部72に記憶させる。
【0040】
すなわち、記憶部72には、最終ボリューム値(ステップS14の処理により取得され、ステップS15の処理においてYESとされた場合のボリューム値)(図5の例の場合、ボリューム値は165)と、特徴量(ステップS12の処理により抽出された特徴量)(図5の例の場合、平均輝度188、エッジ量42、動き量0.1012、および輝度分布2900.94)が対応して記憶される。
【0041】
以上のステップS13乃至ステップS16の処理が繰り返されることにより、記憶部72には、図5に示されるように、ボリューム値62に対応して、平均輝度105、エッジ量34、動き量0.7823、および輝度分布542.92が記憶され、ボリューム値10に対応して、平均輝度119、エッジ量81、動き量4.6323、および輝度分布1953.34が記憶される。なお、このステップS13乃至ステップS16の処理を、以下、学習処理と称する。
【0042】
ステップS17において、ボリューム算出部73は、テレビジョン受像機1の電源がオフされたか否かを判定し、オフされていないと判定した場合、処理をステップS11に戻し、それ以降の処理を繰り返す。ステップS17において、電源がオフされたと判定された場合、ステップS18において、ボリューム算出部73は、ステップS16の処理により記憶されたボリューム値と特徴量に基づいて、ボリューム値を求める式を更新する。学習処理が繰り返されることにより(ユーザからのボリューム値の入力が繰り返されることにより)、記憶部72には、複数のボリューム値とそれに対応する特徴量が記憶される(図5)。そこで、ボリューム算出部73は、この過去のボリューム値と特徴量に基づいて、ボリューム値を求める式を作成する。その後、作成されたボリューム値を求める式は、記憶部72に記憶され(前回記憶した式が残っていた場合、更新される)、処理は終了される。
【0043】
特徴量からボリューム値を算出する方法(ボリューム値を求める式の作成方法)としては、例えば、特徴量(ステップS12の処理により取得された特徴量、以下、入力特徴量と称する)に基づいて、ボリューム値を線形式に基づいて類推する方法(1番目の方法)と、過去の特徴量(図5に示されるような特徴量、すなわち、ステップS13乃至ステップS16の処理により記憶された特徴量)との距離計算による最近距離至上方法(2番目の方法)が挙げられる。
【0044】
入力特徴量に基づいて、ボリューム値を類推する方法(1番目の方法)が使用される場合、ステップS18の処理では、式(1)に示される線形式が作成される。
V=A0X0+A1X1+・・・+AnXn・・・(1)
【0045】
式(1)において、Vは推定ボリューム値を表わし、いまの場合、水平解像度、垂直解像度またはノイズ除去度のいずれかとされる。また、式(1)において、A0乃至Anは定数係数を表わし、X0乃至Xnは、入力特徴量を表わす。
【0046】
式(1)において、A0乃至Anの定数係数を求める式が式(2)に示されている。すなわち、記憶部72に記憶されている過去のボリューム値(最終ボリューム値)と特徴量(図5に示されているボリューム値と特徴量)の値の組が、式(2)の行列式に足し込まれ、これを最小自乗法により解くことにより、定数係数が求められる。
【0047】
【数1】
【0048】
すなわち、ステップS18の処理では、式(2)に基づいて式(1)の定数係数が演算され、式(1)が更新される。後述するステップS21において、式(1)に対応する特徴量が代入されることにより、最適ボリューム値が求められる。
【0049】
また、過去の特徴量(図5に示されるような特徴量、すなわち、ステップS13乃至ステップS16の学習処理により記憶された特徴量)との距離計算による最近距離至上方法(2番目の方法)が使用される場合、ステップS18の処理では、式(3)が作成される。
D=|X1-Yk1|+|X2-Yk2|+・・・+|Xn-Ykn|・・・(3)
【0050】
式(3)に示されるX1乃至Xnは、入力特徴量を表わし、Yk1乃至Yknは、登録されているk番目の画像の特徴量(過去の特徴量)を表わす。例えば、k=2とされる場合、図5に示されるボリューム値62、平均輝度105、エッジ量34、動き量0.7823、および輝度分布542.92が特徴量とされる。
【0051】
距離Dが最小のもの、すなわち、いままでに登録されている過去の特徴量の中で一番近いものが選択され、その特徴量に対応する最適ボリューム値が求められる。
【0052】
ステップS18の処理(ボリューム値を求める式の作成)は、時間を要するため、テレビジョン受像機1の電源のオフ時に実行される。そのため、テレビジョン受像機1の電源がオンされているときは、ステップS17の処理の後、処理が終了される。また、テレビジョン受像機1の電源がオンされているときは、ステップS11に戻り、それ以降の処理が繰り返される。すなわち、最適ボリューム値と特徴量の記憶のみが行なわれる。これにより、テレビジョン受像機1に負担をかけることなく、処理を実行することができる。
【0053】
ステップS13に戻って、ユーザによりボリューム値が入力されていないと判定された場合、処理はステップS19に進み、ボリューム算出部73は、ステップS12の処理により、特徴量抽出部71により抽出された特徴量(入力特徴量)を取得する。
【0054】
ステップS20において、ボリューム算出部73は、ステップS18の処理により算出され、記憶部72に記憶されているボリューム値を求める式(式(1)、または、式(3))を取得する。
【0055】
ステップS21において、ボリューム算出部73は、ステップS20の処理により取得したボリューム値を求める式(式(1)、または、式(3))に基づいて、最適ボリューム値を算出する。
【0056】
例えば、上述したように、式(1)に、そのとき出力される画像の特徴量が代入されることにより、最適ボリューム値が求められる。また、例えば、式(3)に、そのとき出力される画像の特徴量が代入され、求められた値が一番近い過去の特徴量に対応するボリューム値が算出されることにより、最適ボリューム値が求められる。
【0057】
ステップS22において、ボリューム算出部73は、ステップS21の処理により求めた最適ボリューム値をDRC回路18に通知する。その後、処理はステップS11に戻り、それ以降の処理が繰り返される。DRC回路18は、通知されたボリューム値に基づいて、画像処理を実行し、画像を出力する(後述する図4のステップS52乃至S54の処理)。
【0058】
ステップS19乃至ステップS22の処理は、上述した学習処理に対して、自動ボリューム処理と称する。なお、テレビジョン受像機1が初期状態にある場合(商品購入後、最初に電源をオンした場合)、学習処理が先に行なわれる。これは、自動ボリューム処理が、学習処理により記憶部72に記憶された過去のボリューム値と特徴量に基づいて行なわれる為である。
【0059】
図3の処理により、ユーザによりボリューム値が入力された場合(ステップS13においてYESとされた場合)、信号処理部17は、その値を記憶して学習するようにし、ユーザによりボリューム値が入力されない場合(ステップS13においてNOとされた場合)、信号処理部17は、過去の特徴量に基づいて、自動的に最適ボリューム値を算出するようにしたので、ユーザによりボリューム値が入力されない場合においても、ユーザの過去の履歴に基づいて、ユーザが嗜好するボリューム値を設定することができる。
【0060】
次に、図4のフローチャートを参照して、図3の処理(信号処理部17が実行する処理)に対応するDRC回路18における処理を説明する。なお、この処理は、テレビジョン受像機1の電源がオンされたとき開始される。
【0061】
ステップS51において、DRC回路18は、ボリューム算出部73よりボリューム値が通知されたか否かを判定する。ボリューム値が通知されたと判定された場合、ステップS52において、DRC回路18は、通知されたボリューム値を内部のメモリに記憶する(既に記憶されているボリューム値を更新する)。
【0062】
ステップS51において、ボリューム値が通知されていないと判定された場合、ステップS52の処理はスキップされる。
【0063】
その後、ステップS53において、DRC回路18は、記憶されている(設定されている)ボリューム値に基づいて、水平解像度、垂直解像度、およびノイズ除去度を設定し、その設定値に基づいて、ステップS54において、DRC回路18は、ステップS53の処理により変更されたビデオデータを、内部バス11および入出力インターフェース19を介して、表示部32に出力する。表示部32は、データに対応する画像を表示する。その後、処理は、ステップS51に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0064】
図4の処理により、ユーザによりボリューム値が入力されない場合においても、信号処理部17から通知されるボリューム値に対応して画像を変更する(解像度を変更する)ことができる。
【0065】
以上の処理により、ユーザによりボリューム値が入力された場合、そのボリューム値とそれに対応する特徴量が記憶され、複数のボリューム値とそれに対応する特徴量に基づいて、最適ボリューム値を求める式が算出されることにより、ユーザによりボリューム値が入力されない場合においても、ユーザが嗜好するボリューム値(最適ボリューム値)を求めることができ、もって、ユーザの嗜好に合う画質に自動的に調整することができる。
【0066】
次に、DRC回路18の構成例について説明する。
【0067】
図6は、DRC回路18の詳細な構成例を示すブロック図である。このDRC回路18は、デコーダ13から内部バス11を介して送信されてきたSD信号(525i信号)より、HD信号(1050i信号または525p信号)に係る注目画素の周辺に位置する複数のSD画素のデータを選択的に取り出して出力する第1乃至第3のタップ選択回路121乃至123を有している。
【0068】
第1のタップ選択回路121は、予測に使用するSD画素(「予測タップ」と称する)のデータを選択的に取り出すものである。第2のタップ選択回路122は、SD信号を構成する画素データ(以下、SD画素データと称する)のレベル分布パターンに対応するクラス分類に使用するSD画素(「空間クラスタップ」と称する)のデータを選択的に取り出すものである。第3のタップ選択回路123は、動きに対応するクラス分類に使用するSD画素(「動きクラスタップ」と称する)のデータを選択的に取り出するものである。なお、空間クラスを複数フィールドに属するSD画素データを使用して決定する場合には、この空間クラスにも動き情報が含まれることになる。
【0069】
また、上述したように、ユーザは、リモートコントローラ(後述する図7のリモートコントローラ200)または操作部34を操作することにより、入力画像の画質を調整するための調整値を入力することができる。DRC回路18では、後述するように、HD信号を構成する画素データ(以下、HD画素データと称する)が推定式によって算出されるが、この推定式の係数データとして、ユーザからのリモートコントローラの操作によって調整された水平、垂直の解像度を決めるパラメータh,vに対応したものが、これらパラメータh,vを含む生成式によって生成されて使用される。これにより、DRC回路18より出力されるHD信号による画像の水平、垂直の解像度は、調整されたパラメータh,vに対応したものとなる。
【0070】
図7は、パラメータh,vを調整するためのユーザインタフェースの一例を示している。調整時には、表示部32に、パラメータh,vの調整位置を☆印のアイコン115aで示した調整画面115が、OSD表示される。また、リモートコントローラ200は、ユーザ操作手段としてのジョイスティック200aを備えている。
【0071】
ユーザは、ジョイスティック200aを操作することで、調整画面115上でアイコン115aの位置を動かすことができ、水平、垂直の解像度を決定するパラメータh,vの値を任意に調整できる。図8は、調整画面115の部分を拡大して示している。アイコン115aが左右に動かされることで水平解像度を決定するパラメータhの値が調整され、一方アイコン115aが上下に動かされることで垂直解像度を決定するパラメータvの値が調整される。ユーザは、表示部32に表示される調整画面115を参照してパラメータh,vの値を調整でき、その調整を容易に行うことができる。
【0072】
なお、リモートコントローラ200は、ジョイスティック200aの代わりに、マウスやトラックボール等のその他のポインティングデバイスを備えていてもよい。さらに、ユーザによって調整されたパラメータh,vの値を、調整画面115上に数値表示してもよい。
【0073】
図9は、525i信号および525p信号の、あるフレーム(F)の奇数(o)フィールドの画素位置関係を示している。大きなドットが525i信号の画素であり、小さいドットが出力される525p信号の画素である。偶数(e)フィールドでは、525i信号のラインが空間的に0.5ラインずれたものとなる。図9から分かるように、525p信号の画素データとしては、525i信号のラインと同一位置のラインデータL1と、525i信号の上下のラインの中間位置のラインデータL2とが存在する。また、525p信号の各ラインの画素数は、525i信号の各ラインの画素数の2倍である。
【0074】
図10は、525i信号および1050i信号のあるフレーム(F)の画素位置関係を示すものであり、奇数(o)フィールドの画素位置を実線で示し、偶数(e)フィールドの画素位置を破線で示している。大きなドットが525i信号の画素であり、小さいドットが出力される1050i信号の画素である。図10から分かるように、1050i信号の画素データとしては、525i信号のラインに近い位置のラインデータL1,L1′と、525i信号のラインから遠い位置のラインデータL2,L2′とが存在する。ここで、L1,L2は奇数フィールドのラインデータ、L1′,L2′は偶数フィールドのラインデータである。また、1050i信号の各ラインの画素数は、525i信号の各ラインの画素数の2倍である。
【0075】
図11および図12は、525i信号から525p信号に変換する場合に、第1のタップ選択回路121で選択される予測タップ(SD画素)の具体例を示している。図11および図12は、時間的に連続するフレームF-1,F,F+1の奇数(o)、偶数(e)のフィールドの垂直方向の画素位置関係を示している。
【0076】
図11に示すように、フィールドF/oのラインデータL1,L2を予測するときの予測タップは、次のフィールドF/eに含まれ、作成すべき525p信号の画素(注目画素)に対して空間的に近傍位置のSD画素T1,T2,T3と、フィールドF/oに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T4,T5,T6と、前のフィールドF-1/eに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T7,T8,T9と、さらに前のフィールドF-1/oに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T10である。
【0077】
図12に示すように、フィールドF/eのラインデータL1,L2を予測するときの予測タップは、次のフィールドF+1/oに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T1,T2,T3と、フィールドF/eに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T4,T5,T6と、前のフィールドF/oに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T7,T8,T9と、さらに前のF-1/eに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T10である。
【0078】
なお、ラインデータL1を予測する際にはSD画素T9を予測タップとして選択しないようにし、一方ラインデータL2を予測する際にはSD画素T4を予測タップとして選択しないようにしてもよい。
【0079】
図13および図14は、525i信号から1050i信号に変換する場合に、第1のタップ選択回路121で選択される予測タップ(SD画素)の具体例を示している。図13および図14は、時間的に連続するフレームF-1,F,F+1の奇数(o)、偶数(e)のフィールドの垂直方向の画素位置関係を示している。
【0080】
図13に示すように、フィールドF/oのラインデータL1,L2を予測するときの予測タップは、次のフィールドF/eに含まれ、作成すべき1050i信号の画素(注目画素)に対して空間的に近傍位置のSD画素T1,T2と、フィールドF/oに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T3,T4,T5,T6と、前のフィールドF-1/eに含まれ、作成すべき1050i信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T7,T8である。
【0081】
図14に示すように、フィールドF/eのラインデータL1′,L2′を予測するときの予測タップは、次のフィールドF+1/oに含まれ、作成すべき1050ip信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T1,T2と、フィールドF/eに含まれ、作成すべき1050i信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T3,T4,T5,T6と、前のフィールドF/oに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T7,T8である。
【0082】
なお、ラインデータL1,L1′を予測する際にはSD画素T6を予測タップとして選択しないようにし、一方ラインデータL2,L2′を予測する際にはSD画素T3を予測タップとして選択しないようにしてもよい。
【0083】
さらに、図11乃至図14に示すように複数フィールドの同一位置にあるSD画素に加えて、水平方向の一または複数のSD画素を、予測タップとして選択するようにしてもよい。
【0084】
図15および図16は、525i信号から525p信号に変換する場合に、第2のタップ選択回路122で選択される空間クラスタップ(SD画素)の具体例を示している。図15および図16は、時間的に連続するフレームF-1,F,F+1の奇数(o)、偶数(e)のフィールドの垂直方向の画素位置関係を示している。
【0085】
図15に示すように、フィールドF/oのラインデータL1,L2を予測するときの空間クラスタップは、次のフィールドF/eに含まれ、作成すべき525p信号の画素(注目画素)に対して空間的に近傍位置のSD画素T1,T2と、フィールドF/oに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T3,T4,T5と、前のフィールドF-1/eに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T6,T7である。
【0086】
図16に示すように、フィールドF/eのラインデータL1,L2を予測するときの空間クラスタップは、次のフィールドF+1/oに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T1,T2と、フィールドF/eに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T3,T4,T5,T6と、前のフィールドF/oに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T6,T7である。
【0087】
なお、ラインデータL1を予測する際にはSD画素T7を空間クラスタップとして選択しないようにし、一方ラインデータL2を予測する際にはSD画素T6を空間クラスタップとして選択しないようにしてもよい。
【0088】
図17および図18は、525i信号から1050i信号に変換する場合に、第2のタップ選択回路122で選択される空間クラスタップ(SD画素)の具体例を示している。図17および図18は、時間的に連続するフレームF-1,F,F+1の奇数(o)、偶数(e)のフィールドの垂直方向の画素位置関係を示している。
【0089】
図17に示すように、フィールドF/oのラインデータL1,L2を予測するときの空間クラスタップは、フィールドF/oに含まれ、作成すべき1050i信号の画素(注目画素)に対して空間的に近傍位置のSD画素T1,T2,T3と、前のフィールドF-1/eに含まれ、作成すべき1050i信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T4,T5,T6,T7である。
【0090】
図18に示すように、フィールドF/eのラインデータL1′,L2′を予測するときの空間クラスタップは、フィールドF/eに含まれ、作成すべき1050i信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T1,T2,T3と、前のフィールドF/oに含まれ、作成すべき1050i信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T4,T5,T6,T7である。
【0091】
なお、ラインデータL1,L1′を予測する際にはSD画素T7を空間クラスタップとして選択しないようにし、一方ラインデータL2,L2′を予測する際にはSD画素T4を空間クラスタップとして選択しないようにしてもよい。
【0092】
さらに、図15乃至図18に示すように複数フィールドの同一位置にあるSD画素に加えて、水平方向の一または複数のSD画素を、空間クラスタップとして選択するようにしてもよい。
【0093】
図19は、525i信号から525p信号に変換する場合に、第3のタップ選択回路123で選択される動きクラスタップ(SD画素)の具体例を示している。図19は、時間的に連続するフレームF-1,Fの奇数(o)、偶数(e)のフィールドの垂直方向の画素位置関係を示している。図19に示すように、フィールドF/oのラインデータL1,L2を予測するときの動きクラスタップは、次のフィールドF/eに含まれ、作成すべき525p信号の画素(注目画素)に対して空間的に近傍位置のSD画素n2,n4,n6と、フィールドF/oに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素n1,n3,n5と、前のフィールドF-1/eに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素m2,m4,m6と、さらに前のフィールドF-1/oに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素m1,m3,m5である。SD画素n1乃至n6のそれぞれの垂直方向の位置は、SD画素m1乃至m6のそれぞれの垂直方向の位置は一致する。
【0094】
図20は、525i信号から1050i信号に変換する場合に、第3のタップ選択回路123で選択される動きクラスタップ(SD画素)の具体例を示している。図20は、時間的に連続するフレームF-1,Fの奇数(o)、偶数(e)のフィールドの垂直方向の画素位置関係を示している。図20に示すように、フィールドF/oのラインデータL1,L2を予測するときの動きクラスタップは、次のフィールドF/eに含まれ、作成すべき1050i信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素n2,n4,n6と、フィールドF/oに含まれ、作成すべき1050i信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素n1,n3,n5と、前のフィールドF-1/eに含まれ、作成すべき1050i信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素m2,m4,m6と、さらに前のフィールドF-1/oに含まれ、作成すべき1050i信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素m1,m3,m5である。SD画素n1乃至n6のそれぞれの垂直方向の位置は、SD画素m1乃至m6のそれぞれの垂直方向の位置は一致する。
【0095】
図6に戻って、また、DRC回路18は、第2のタップ選択回路122で選択的に取り出される空間クラスタップのデータ(SD画素データ)のレベル分布パターンを検出し、このレベル分布パターンに基づいて空間クラスを検出し、そのクラス情報を出力する空間クラス検出回路124を有している。
【0096】
空間クラス検出回路124では、例えば、各SD画素データを、8ビットデータから2ビットデータに圧縮するような演算が行われる。そして、空間クラス検出回路124からは、各SD画素データに対応した圧縮データが空間クラスのクラス情報として出力される。本実施の形態においては、ADRC(Adaptive Dynamic Range Coding)によって、データ圧縮が行われる。なお、情報圧縮手段としては、ADRC以外にDPCM(予測符号化)、VQ(ベクトル量子化)等を用いてもよい。
【0097】
本来、ADRCは、VTR(Video Tape Recorder)向け高性能符号化用に開発された適応再量子化法であるが、信号レベルの局所的なパターンを短い語長で効率的に表現できるので、上述したデータ圧縮に使用して好適なものである。ADRCを使用する場合、空間クラスタップのデータ(SD画素データ)の最大値をMAX、その最小値をMIN、空間クラスタップのデータのダイナミックレンジをDR(=MAX-MIN+1)、再量子化ビット数をPとすると、空間クラスタップのデータとしての各SD画素データkiに対して、式(4)の演算により、圧縮データとしての再量子化コードQiが得られる。ただし、式(4)において、[ ]は切り捨て処理を意味している。空間クラスタップのデータとして、Na個のSD画素データがあるとき、i=1乃至Naである。
【0098】
Qi=[(ki-MIN+0.5).2P/DR] ・・・(4)
また、DRC回路18は、第3のタップ選択回路123で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)より、主に動きの程度を表すための動きクラスを検出し、そのクラス情報を出力する動きクラス検出回路125を有している。
【0099】
この動きクラス検出回路125では、第3のタップ選択回路123で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)mi,niからフレーム間差分が算出され、さらにその差分の絶対値の平均値に対してしきい値処理が行われて動きの指標である動きクラスが検出される。すなわち、動きクラス検出回路125では、式(5)によって、差分の絶対値の平均値AVが算出される。第3のタップ選択回路123で、例えば上述したように12個のSD画素データm1乃至m6,n1乃至n6が取り出されるとき、式(5)におけるNbは6である。
【0100】
【数2】
【0101】
そして、動きクラス検出回路125では、上述したように算出された平均値AVが1個または複数個のしきい値と比較されて動きクラスのクラス情報MVが得られる。例えば、3個のしきい値th1,th2,th3(th1<th2<th3)が用意され、4つの動きクラスを検出する場合、AV≦th1のときはMV=0、th1<AV≦th2のときはMV=1、th2<AV≦th3のときはMV=2、th3<AVのときはMV=3とされる。
【0102】
また、DRC回路18は、空間クラス検出回路124より出力される空間クラスのクラス情報としての再量子化コードQiと、動きクラス検出回路125より出力される動きクラスのクラス情報MVに基づき、作成すべきHD信号(525p信号または1050i信号)の画素(注目画素)が属するクラスを示すクラスコードCLを得るためのクラス合成回路126を有している。
【0103】
このクラス合成回路126では、式(6)によって、クラスコードCLの演算が行われる。なお、式(6)において、Naは空間クラスタップのデータ(SD画素データ)の個数、PはADRCにおける再量子化ビット数を示している。
【0104】
【数3】
【0105】
また、DRC回路18は、レジスタ130乃至133と、係数メモリ134とを有している。後述する線順次変換回路129は、525p信号を出力する場合と、1050i信号を出力する場合とで、その動作を切り換える必要がある。レジスタ130は、線順次変換回路129の動作を指定する動作指定情報を格納するものである。線順次変換回路129は、レジスタ130より供給される動作指定情報に従った動作をする。
【0106】
レジスタ131は、第1のタップ選択回路121で選択される予測タップのタップ位置情報を格納するものである。第1のタップ選択回路121は、レジスタ131より供給されるタップ位置情報に従って予測タップを選択する。タップ位置情報は、例えば選択される可能性のある複数のSD画素に対して番号付けを行い、選択するSD画素の番号を指定するものである。以下のタップ位置情報においても同様である。
【0107】
レジスタ132は、第2のタップ選択回路122で選択される空間クラスタップのタップ位置情報を格納するものである。第2のタップ選択回路122は、レジスタ132より供給されるタップ位置情報に従って空間クラスタップを選択する。
【0108】
ここで、レジスタ132には、動きが比較的小さい場合のタップ位置情報Aと、動きが比較的大きい場合のタップ位置情報Bとが格納される。これらタップ位置情報A,Bのいずれを第2のタップ選択回路122に供給するかは、動きクラス検出回路125より出力される動きクラスのクラス情報MVによって選択される。
【0109】
すなわち、動きがないか、あるいは動きが小さいためにMV=0またはMV=1であるときは、タップ位置情報Aが第2のタップ選択回路122に供給され、この第2のタップ選択回路122で選択される空間クラスタップは、図15乃至図18に示すように、複数フィールドに跨るものとされる。また、動きが比較的大きいためにMV=2またはMV=3であるときは、タップ位置情報Bが第2のタップ選択回路122に供給され、この第2のタップ選択回路122で選択される空間クラスタップは、図示せずも、作成すべき画素と同一フィールド内のSD画素のみとされる。
【0110】
なお、上述したレジスタ131にも動きが比較的小さい場合のタップ位置情報と、動きが比較的大きい場合のタップ位置情報が格納されるようにし、第1のタップ選択回路121に供給されるタップ位置情報が動きクラス検出回路125より出力される動きクラスのクラス情報MVによって選択されるようにしてもよい。
【0111】
レジスタ133は、第3のタップ選択回路123で選択される動きクラスタップのタップ位置情報を格納するものである。第3のタップ選択回路123は、レジスタ133より供給されるタップ位置情報に従って動きクラスタップを選択する。
【0112】
さらに、係数メモリ134は、後述する推定予測演算回路127で使用される推定式の係数データを、クラス毎に、格納するものである。この係数データは、SD信号としての525i信号を、HD信号としての525p信号または1050i信号に変換するための情報である。係数メモリ134には上述したクラス合成回路126より出力されるクラスコードCLが読み出しアドレス情報として供給され、この係数メモリ134からはクラスコードCLに対応した係数データが読み出され、推定予測演算回路127に供給されることとなる。
【0113】
また、DRC回路18は、情報メモリバンク135を有している。この情報メモリバンク135には、レジスタ130に格納するための動作指定情報と、レジスタ131乃至133に格納するためのタップ位置情報が予め蓄えられている。
【0114】
ここで、レジスタ130に格納するための動作指定情報として、情報メモリバンク135には、線順次変換回路129を525p信号を出力するように動作させるための第1の動作指定情報と、線順次変換回路129を1050i信号を出力するように動作させるための第2の動作指定情報とが予め蓄えられている。
【0115】
ユーザはリモートコントローラ200を操作することで、HD信号として525p信号を出力する第1の変換方法、またはHD信号として1050i信号を出力する第2の変換方法を選択できる。情報メモリバンク135にはCPU14または信号処理部17よりその変換方法の選択情報が供給され、この情報メモリバンク135よりレジスタ130にはその選択情報に従って第1の動作指定情報または第2の動作指定情報がロードされる。
【0116】
また、情報メモリバンク135には、レジスタ131に格納するための予測タップのタップ位置情報として、第1の変換方法(525p)に対応する第1のタップ位置情報と、第2の変換方法(1050i)に対応する第2のタップ位置情報とが予め蓄えられている。この情報メモリバンク135よりレジスタ131には、上述した変換方法の選択情報に従って第1のタップ位置情報または第2のタップ位置情報がロードされる。
【0117】
また、情報メモリバンク135には、レジスタ132に格納するための空間クラスタップのタップ位置情報として、第1の変換方法(525p)に対応する第1のタップ位置情報と、第2の変換方法(1050i)に対応する第2のタップ位置情報とが予め蓄えられている。なお、第1および第2のタップ位置情報は、それぞれ動きが比較的小さい場合のタップ位置情報と、動きが比較的大きい場合のタップ位置情報とからなっている。この情報メモリバンク135よりレジスタ132には、上述した変換方法の選択情報に従って第1のタップ位置情報または第2のタップ位置情報がロードされる。
【0118】
また、情報メモリバンク135には、レジスタ133に格納するための動きクラスタップのタップ位置情報として、第1の変換方法(525p)に対応する第1のタップ位置情報と、第2の変換方法(1050i)に対応する第2のタップ位置情報とが予め蓄えられている。この情報メモリバンク135よりレジスタ133には、上述した変換方法の選択情報に従って第1のタップ位置情報または第2のタップ位置情報がロードされる。
【0119】
また、情報メモリバンク135には、第1および第2の変換方法のそれぞれに対応した各クラスの係数種データが予め蓄えられている。この係数種データは、上述した係数メモリ134に格納するための係数データを生成するための生成式の係数データである。
【0120】
後述する推定予測演算回路127では、予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、係数メモリ134より読み出される係数データWiとから、式(7)の推定式によって、作成すべきHD信号を構成する画素データ(以下、HD画素データと称する)yが演算される。第1のタップ選択回路121で選択される予測タップが、図9および図12に示すように10個であるとき、式(7)におけるnは10となる。
【0121】
【数4】
【0122】
そして、この推定式の係数データWi(i=1乃至n)は、式(8)に示すように、パラメータh,vを含む生成式によって生成される。情報メモリバンク135には、この生成式の係数データである係数種データw10乃至wn9が、変換方法毎かつクラス毎に、記憶されている。この係数種データの生成方法については後述する。
【0123】
【数5】
【0124】
また、DRC回路18は、各クラスの係数種データおよびパラメータh,vの値とを用い、式(8)によって、クラス毎に、パラメータh,vの値に対応した推定式の係数データWi(i=1乃至n)を生成する係数生成回路136を有している。この係数生成回路136には、情報メモリバンク135より、上述した変換方法の選択情報に従って第1の変換方法または第2の変換方法に対応した各クラスの係数種データがロードされる。また、この係数生成回路136には、信号処理部17より、パラメータh,vの値が供給される。
【0125】
この係数生成回路136で生成される各クラスの係数データWi(i=1乃至n)は、上述した係数メモリ134に格納される。この係数生成回路136における各クラスの係数データWiの生成は、例えば各垂直ブランキング期間で行われる。これにより、ユーザのリモートコントローラ200の操作によってパラメータh,vの値が変更されても、係数メモリ134に格納される各クラスの係数データWiを、そのパラメータh,vの値に対応したものに即座に変更でき、ユーザによる解像度の調整がスムーズに行われる。
【0126】
また、DRC回路18は、係数生成回路136で生成される各クラスの係数データWi(i=1乃至n)に対応した正規化係数Sを、式(9)によって、演算する正規化係数生成回路137と、ここで生成された正規化係数Sを、クラス毎に格納する正規化係数メモリ138を有している。正規化係数メモリ138には上述したクラス合成回路126より出力されるクラスコードCLが読み出しアドレス情報として供給され、この正規化係数メモリ138からはクラスコードCLに対応した正規化係数Sが読み出され、後述する正規化演算回路128に供給されることとなる。
【0127】
【数6】
【0128】
また、DRC回路18は、第1のタップ選択回路121で選択的に取り出される予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、係数メモリ134より読み出される係数データWiとから、作成すべきHD信号の画素(注目画素)のデータを演算する推定予測演算回路127を有している。
【0129】
この推定予測演算回路127では、525p信号を出力する場合、上述した図9に示すように、奇数(o)フィールドおよび偶数(e)フィールドで、525i信号のラインと同一位置のラインデータL1と、525i信号の上下のラインの中間位置のラインデータL2とを生成し、また各ラインの画素数を2倍とする必要がある。また、この推定予測演算回路127では、1050i信号を出力する場合、上述した図10に示すように、奇数(o)フィールドおよび偶数(e)フィールドで、525i信号のラインに近い位置のラインデータL1,L1′と、525i信号のラインから遠い位置のラインデータL2,L2′とを生成し、また各ラインの画素数を2倍とする必要がある。
【0130】
従って、推定予測演算回路127では、HD信号を構成する4画素のデータが同時的に生成される。例えば、4画素のデータはそれぞれ係数データを異にする推定式を使用して同時的に生成されるものであり、係数メモリ134からはそれぞれの推定式の係数データが供給される。ここで、推定予測演算回路127では、予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、係数メモリ134より読み出される係数データWiとから、上述の式(7)の推定式によって、作成すべきHD画素データyが演算される。
【0131】
また、DRC回路18は、推定予測演算回路127より出力されるラインデータL1,L2(L1′,L2′)を構成する各HD画素データyを、正規化係数メモリ138より読み出され、それぞれの生成に使用された係数データWi(i=1乃至n)に対応した正規化係数Sで除算して正規化する正規化演算回路128を有している。上述せずも、係数生成回路136で係数種データより生成式で推定式の係数データを求めるものであるが、生成される係数データは丸め誤差を含み、係数データWi(i=1乃至n)の総和が1.0になることは保証されない。そのため、推定予測演算回路127で演算されるHD画素データyは、丸め誤差によってレベル変動したものとなる。上述したように、正規化演算回路128で正規化することで、その変動を除去できる。
【0132】
また、DRC回路18は、水平周期を1/2倍とするライン倍速処理を行って、推定予測演算回路127より正規化演算回路128を介して供給されるラインデータL1,L2(L1′,L2′)を線順次化する線順次変換回路129を有している。
【0133】
図21は、525p信号を出力する場合のライン倍速処理をアナログ波形を用いて示すものである。上述したように、推定予測演算回路127によってラインデータL1,L2が生成される。ラインデータL1には順にa1,a2,a3,・・・のラインが含まれ、ラインデータL2には順にb1,b2,b3,・・・のラインが含まれる。線順次変換回路129は、各ラインのデータを時間軸方向に1/2に圧縮し、圧縮されたデータを交互に選択することによって、線順次出力a0,b0,a1,b1,・・・を形成する。
【0134】
なお、1050i信号を出力する場合には、奇数フィールドおよび偶数フィールドでインタレース関係を満たすように、線順次変換回路129が線順次出力を発生する。したがって、線順次変換回路129は、525p信号を出力する場合と、1050i信号を出力する場合とで、その動作を切り換える必要がある。その動作指定情報は、上述したようにレジスタ130より供給される。
【0135】
次に、DRC回路18の動作を説明する。
【0136】
デコーダ13から内部バス11を介して送信されてきたSD信号(525i信号)より、第2のタップ選択回路122で、空間クラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この場合、第2のタップ選択回路122では、レジスタ132より供給される、ユーザによって選択された変換方法、および動きクラス検出回路125で検出される動きクラスに対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
【0137】
この第2のタップ選択回路122で選択的に取り出される空間クラスタップのデータ(SD画素データ)は空間クラス検出回路124に供給される。この空間クラス検出回路124では、空間クラスタップのデータとしての各SD画素データに対してADRC処理が施されて空間クラス(主に空間内の波形表現のためのクラス分類)のクラス情報としての再量子化コードQiが得られる(式(4)参照)。
【0138】
また、デコーダ13から内部バス11を介して送信されてきたSD信号(525i信号)より、第3のタップ選択回路123で、動きクラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この場合、第3のタップ選択回路123では、レジスタ133より供給される、ユーザによって選択された変換方法に対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
【0139】
この第3のタップ選択回路123で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)は動きクラス検出回路125に供給される。この動きクラス検出回路125では、動きクラスタップのデータとしての各SD画素データより動きクラス(主に動きの程度を表すためのクラス分類)のクラス情報MVが得られる。
【0140】
この動き情報MVと上述した再量子化コードQiはクラス合成回路126に供給される。このクラス合成回路126では、これら動き情報MVと再量子化コードQiとから、作成すべきHD信号(525p信号または1050i信号)の画素(注目画素)が属するクラスを示すクラスコードCLが得られる(式(6)参照)。そして、このクラスコードCLは、係数メモリ134および正規化係数メモリ138に読み出しアドレス情報として供給される。
【0141】
係数メモリ134には、例えば各垂直ブランキング期間に、ユーザによって調整されたパラメータh,vの値に対応した各クラスの推定式の係数データWi(i=1乃至n)が係数生成回路136で生成されて格納される。また、正規化係数メモリ138には、上述したように係数生成回路136で生成された各クラスの係数データWi(i=1乃至n)に対応した正規化係数Sが正規化係数生成回路137で生成されて格納される。
【0142】
係数メモリ134に上述したようにクラスコードCLが読み出しアドレス情報として供給されることで、この係数メモリ134からクラスコードCLに対応した係数データWiが読み出されて推定予測演算回路127に供給される。また、デコーダ13から内部バス11を介して送信されてきたSD信号(525i信号)より、第1のタップ選択回路121で、予測タップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この場合、第1のタップ選択回路121では、レジスタ131より供給される、ユーザによって選択された変換方法に対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。この第1のタップ選択回路121で選択的に取り出される予測タップのデータ(SD画素データ)xiは推定予測演算回路127に供給される。
【0143】
推定予測演算回路127では、予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、係数メモリ134より読み出される係数データWiとから、作成すべきHD信号の画素(注目画素)のデータ(HD画素データ)yが演算される(式(7)参照)。この場合、HD信号を構成する4画素のデータが同時的に生成される。
【0144】
これにより、525p信号を出力する第1の変換方法が選択されているときは、奇数(o)フィールドおよび偶数(e)フィールドで、525i信号のラインと同一位置のラインデータL1と、525i信号の上下のラインの中間位置のラインデータL2とが生成される(図9参照)。また、1050i信号を出力する第2の変換方法が選択されているときは、奇数(o)フィールドおよび偶数(e)フィールドで、525i信号のラインに近い位置のラインデータL1,L1′と、525i信号のラインから遠い位置のラインデータL2,L2′とが生成される(図10参照)。
【0145】
このように推定予測演算回路127で生成されたラインデータL1,L2(L1′,L2′)は正規化演算回路128に供給される。正規化係数メモリ138に上述したようにクラスコードCLが読み出しアドレス情報として供給されることで、この正規化係数メモリ138からクラスコードCLに対応した正規化係数S、つまり推定予測演算回路127より出力されるラインデータL1,L2(L1′,L2′)を構成する各HD画素データyの生成に使用された係数データWi(i=1乃至n)に対応した正規化係数Sが読み出されて推定予測演算回路127に供給される。正規化演算回路128では、推定予測演算回路127より出力されるラインデータL1,L2(L1′,L2′)を構成する各HD画素データyがそれぞれ対応する正規化係数Sで除算されて正規化される。これにより、係数種データを用いて生成式(式(8)参照)で推定式(式(7)参照)の係数データを求める際の丸め誤差による注目点の情報データのレベル変動が除去される。
【0146】
このように正規化演算回路128で正規化されたラインデータL1,L2(L1′,L2′)は、線順次変換回路129に供給される。そして、この線順次変換回路129では、ラインデータL1,L2(L1′,L2′)が線順次化されてHD信号が生成される。この場合、線順次変換回路129は、レジスタ130より供給される、ユーザによって選択された変換方法に対応した動作指示情報に従った動作をする。そのため、ユーザによって第1の変換方法(525p)が選択されているときは、線順次変換回路129より525p信号が出力される。一方、ユーザによって第2の変換方法(1050i)が選択されているときは、線順次変換回路129より1050i信号が出力される。
【0147】
上述したように、係数生成回路136で、情報メモリバンク135よりロードされる係数種データを用いて、クラス毎に、パラメータh,vの値に対応した推定式の係数データWi(i=1乃至n)が生成され、これが係数メモリ134に格納される。そして、この係数メモリ134より、クラスコードCLに対応して読み出される係数データWi(i=1乃至n)を用いて推定予測演算回路127でHD画素データyが演算される。
【0148】
このように、DRC回路18では、調整された複数種類のパラメータh,vの値に対応した推定式の係数データWi(i=1乃至n)が使用されて、HD画素データyが演算される。したがって、ユーザは、パラメータh,vの値を調整することで、HD信号による画像の画質を水平解像度および垂直解像度の軸で自由に調整できる。また、ユーザは、パラメータh,vの値を調整することで、HD信号による画像の水平および垂直の画質を、無段階になめらかに調整することができる。なお、この場合、調整されたパラメータh,vの値に対応した各クラスの係数データをその都度係数生成回路136で生成して使用するものであり、大量の係数データを格納しておくメモリを必要としない。
【0149】
上述したように、情報メモリバンク135には、係数種データが、変換方法毎かつクラス毎に、記憶されている。この係数種データは、予め学習によって生成されたものである。
【0150】
まず、この生成方法の一例について説明する。式(8)の生成式における係数データである係数種データw10乃至wn9を求める例を示すものとする。
【0151】
ここで、以下の説明のため、式(10)のように、ti(i=0乃至9)を定義する。
【0152】
t0=1,t1=v,t2=h,t3=v2,t4=vh,t5=h2,t6=v3,t7=v2h,t8=vh2,t9=h3
・・・(10)
この式(10)を用いると、式(8)は、式(11)のように書き換えられる。
【0153】
【数7】
【0154】
最終的に、学習によって未定係数wxyを求める。すなわち、変換方法毎かつクラス毎に、複数のSD画素データとHD画素データを用いて、二乗誤差を最小にする係数値を決定する。いわゆる最小二乗法による解法である。学習数をm、k(1≦k≦m)番目の学習データにおける残差をek、二乗誤差の総和をEとすると、式(7)および式(8)を用いて、Eは式(12)で表される。ここで、xikはSD画像のi番目の予測タップ位置におけるk番目の画素データ、ykはそれに対応するk番目のHD画像の画素データを表している。
【0155】
【数8】
【0156】
最小二乗法による解法では、式(12)のwxyによる偏微分が0になるようなwxyを求める。これは、式(13)で示される。
【0157】
【数9】
【0158】
以下、式(14)、式(15)のように、Xipjq、Yipを定義すると、式(13)は、行列を用いて式(16)のように書き換えられる。
【0159】
【数10】
【0160】
【数11】
【0161】
この方程式は一般に正規方程式と呼ばれている。この正規方程式は、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)等を用いて、wxyについて解かれ、係数種データが算出される。
【0162】
図22は、上述した係数種データの生成方法の概念を示している。HD信号から複数のSD信号を生成する。例えば、HD信号からSD信号を生成する際に使用するフィルタの水平帯域と垂直帯域を可変するパラメータh,vをそれぞれ9段階に可変して、合計81種類のSD信号を生成している。このようにして生成した複数のSD信号とHD信号との間で学習を行って係数種データを生成する。
【0163】
図23は、上述した概念で係数種データを生成する係数種データ生成装置150の構成を示している。
【0164】
この係数種データ生成装置150は、教師信号としてのHD信号(525p信号/1050i信号)が入力される入力端子151と、このHD信号に対して水平および垂直の間引き処理を行って、入力信号としてのSD信号を得るSD信号生成回路152とを有している。
【0165】
このSD信号生成回路152には、変換方法選択信号が制御信号として供給される。第1の変換方法(図6のDRC回路18で525i信号より525p信号を得る)が選択される場合、SD信号生成回路152では525p信号に対して間引き処理が施されてSD信号が生成される(図9参照)。一方、第2の変換方法(図6のDRC回路18で525i信号より1050i信号を得る)が選択される場合、SD信号生成回路152では1050i信号に対して間引き処理が施されてSD信号が生成される(図10参照)。
【0166】
また、SD信号生成回路152には、パラメータh,vが制御信号として供給される。このパラメータh,vに対応して、HD信号からSD信号を生成する際に使用するフィルタの水平帯域と垂直帯域とが可変される。ここで、フィルタの詳細について、いくつかの例を示す。
【0167】
例えば、フィルタを、水平帯域を制限する帯域フィルタと垂直帯域を制限する帯域フィルタとから構成することが考えられる。この場合、図24に示すように、パラメータhまたはvの段階的な値に対応した周波数特性を設計し、逆フーリエ変換をすることにより、パラメータhまたはvの段階的な値に対応した周波数特性を持つ1次元フィルタを得ることができる。
【0168】
また例えば、フィルタを、水平帯域を制限する1次元ガウシアンフィルタと垂直帯域を制限する1次元ガウシアンフィルタとから構成することが考えられる。この1次元ガウシアンフィルタは式(17)で示される。この場合、パラメータhまたはvの段階的な値に対応して標準偏差σの値を段階的に変えることにより、パラメータhまたはvの段階的な値に対応した周波数特性を持つ1次元ガウシアンフィルタを得ることができる。
【0169】
【数12】
【0170】
また例えば、フィルタを、パラメータh,vの両方で水平および垂直の周波数特性が決まる2次元フィルタF(h,v)で構成することが考えられる。この2次元フィルタの生成方法は、上述した1次元フィルタと同様に、パラメータh,vの段階的な値に対応した2次元周波数特性を設計し、2次元の逆フーリエ変換をすることにより、パラメータh,vの段階的な値に対応した2次元周波数特性を持つ2次元フィルタを得ることができる。
【0171】
また、係数種データ生成装置150は、SD信号生成回路152より出力されるSD信号(525i信号)より、HD信号(1050i信号または525p信号)に係る注目画素の周辺に位置する複数のSD画素のデータを選択的に取り出して出力する第1乃至第3のタップ選択回路153乃至155を有している。
【0172】
これら第1乃至第3のタップ選択回路153乃至155は、上述したDRC回路18の第1乃至第3のタップ選択回路121乃至123と同様に構成される。これら第1乃至第3のタップ選択回路153乃至155で選択されるタップは、タップ選択制御部156からのタップ位置情報によって指定される。
【0173】
タップ選択制御回路156には、変換方法選択信号が制御信号として供給される。第1の変換方法が選択される場合と第2の変換方法が選択される場合とで、第1乃至第3のタップ選択回路153乃至155に供給されるタップ位置情報が異なるようにされている。また、タップ選択制御回路156には後述する動きクラス検出回路158より出力される動きクラスのクラス情報MVが供給される。これにより、第2のタップ選択回路154に供給されるタップ位置情報が動きが大きいか小さいかによって異なるようにされる。
【0174】
また、係数種データ生成装置150は、第2のタップ選択回路154で選択的に取り出される空間クラスタップのデータ(SD画素データ)のレベル分布パターンを検出し、このレベル分布パターンに基づいて空間クラスを検出し、そのクラス情報を出力する空間クラス検出回路157を有している。この空間クラス検出回路157は、上述したDRC回路18の空間クラス検出回路124と同様に構成される。この空間クラス検出回路157からは、空間クラスタップのデータとしての各SD画素データ毎の再量子化コードQiが空間クラスを示すクラス情報として出力される。
【0175】
また、係数種データ生成装置150は、第3のタップ選択回路155で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)より、主に動きの程度を表すための動きクラスを検出し、そのクラス情報MVを出力する動きクラス検出回路158を有している。この動きクラス検出回路158は、上述したDRC回路18の動きクラス検出回路125と同様に構成される。この動きクラス検出回路158では、第3のタップ選択回路155で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)からフレーム間差分が算出され、さらにその差分の絶対値の平均値に対してしきい値処理が行われて動きの指標である動きクラスが検出される。
【0176】
また、係数種データ生成装置150は、空間クラス検出回路157より出力される空間クラスのクラス情報としての再量子化コードQiと、動きクラス検出回路158より出力される動きクラスのクラス情報MVに基づき、HD信号(525p信号または1050i信号)に係る注目画素が属するクラスを示すクラスコードCLを得るためのクラス合成回路159を有している。このクラス合成回路159も、上述したDRC回路18のクラス合成回路126と同様に構成される。
【0177】
また、係数種データ生成装置150は、入力端子151に供給されるHD信号より得られる注目画素データとしての各HD画素データyと、この各HD画素データyにそれぞれ対応して第1のタップ選択回路153で選択的に取り出される予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、各HD画素データyにそれぞれ対応してクラス合成回路159より出力されるクラスコードCLとから、各クラス毎に、係数種データw10乃至wn9を得るための正規方程式(式(16)参照)を生成する正規方程式生成部160を有している。
【0178】
この場合、一個のHD画素データyとそれに対応するn個の予測タップ画素データとの組み合わせで学習データが生成されるが、SD信号生成回路152へのパラメータh,vが順次変更されていって水平および垂直の帯域が段階的に変化した複数のSD信号が順次生成されていき、これにより正規方程式生成部160では多くの学習データが登録された正規方程式が生成される。
【0179】
ここで、HD信号と、そのHD信号から帯域が狭いフィルタを作用させて生成したSD信号との間で学習して算出した係数種データは、解像度の高いHD信号を得るためのものとなる。逆に、HD信号と、そのHD信号から帯域が広いフィルタを作用させて生成したSD信号との間で学習して算出した係数種データは解像度の低いHD信号を得るためのものとなる。上述したように複数のSD信号を順次生成して学習データを登録することで、連続した解像度のHD信号を得るための係数種データを求めることが可能となる。
【0180】
なお、図示せずも、第1のタップ選択回路153の前段に時間合わせ用の遅延回路を配置することで、この第1のタップ選択回路153から正規方程式生成部160に供給されるSD画素データxiのタイミング合わせを行うことができる。
【0181】
また、係数種データ生成装置150は、正規方程式生成部160でクラス毎に生成された正規方程式のデータが供給され、クラス毎に正規方程式を解いて、各クラスの係数種データw10乃至wn9を求める係数種データ決定部161と、この求められた係数種データw10乃至wn9を記憶する係数種メモリ162とを有している。係数種データ決定部161では、正規方程式が例えば掃き出し法などによって解かれて、係数データw10乃至wn9が求められる。
【0182】
図23に示す係数種データ生成装置150の動作を説明する。入力端子151には教師信号としてのHD信号(525p信号または1050i信号)が供給され、そしてこのHD信号に対してSD信号生成回路152で水平および垂直の間引き処理が行われて入力信号としてのSD信号(525i信号)が生成される。
【0183】
この場合、第1の変換方法(図6のDRC回路18で525i信号より525p信号を得る)が選択される場合、SD信号生成回路152では525p信号に対して間引き処理が施されてSD信号が生成される。一方、第2の変換方法(図6のDRC回路18で525i信号より1050i信号を得る)が選択される場合、SD信号生成回路152では1050i信号に対して間引き処理が施されてSD信号が生成される。またこの場合、SD信号生成回路152にはパラメータh,vが制御信号として供給され、水平および垂直の帯域が段階的に変化した複数のSD信号が順次生成されていく。
【0184】
このSD信号(525i信号)より、第2のタップ選択回路154で、HD信号(525p信号または1050i信号)に係る注目画素の周辺に位置する空間クラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この第2のタップ選択回路154では、タップ選択制御回路156より供給される、選択された変換方法、および動きクラス検出回路158で検出される動きクラスに対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
【0185】
この第2のタップ選択回路154で選択的に取り出される空間クラスタップのデータ(SD画素データ)は空間クラス検出回路157に供給される。この空間クラス検出回路157では、空間クラスタップのデータとしての各SD画素データに対してADRC処理が施されて空間クラス(主に空間内の波形表現のためのクラス分類)のクラス情報としての再量子化コードQiが得られる(式(4)参照)。
【0186】
また、SD信号生成回路152で生成されたSD信号より、第3のタップ選択回路155で、HD信号に係る注目画素の周辺に位置する動きクラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この場合、第3のタップ選択回路155では、タップ選択制御回路156より供給される、選択された変換方法に対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
【0187】
この第3のタップ選択回路155で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)は動きクラス検出回路158に供給される。この動きクラス検出回路158では、動きクラスタップのデータとしての各SD画素データより動きクラス(主に動きの程度を表すためのクラス分類)のクラス情報MVが得られる。
【0188】
この動き情報MVと上述した再量子化コードQiはクラス合成回路159に供給される。このクラス合成回路159では、これら動き情報MVと再量子化コードQiとから、HD信号(525p信号または1050i信号)に係る注目画素が属するクラスを示すクラスコードCLが得られる(式(6)参照)。
【0189】
また、SD信号生成回路152で生成されるSD信号より、第1のタップ選択回路153で、HD信号に係る注目画素の周辺に位置する予測タップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この場合、第1のタップ選択回路153では、タップ選択制御回路156より供給される、選択された変換方法に対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
【0190】
そして、入力端子151に供給されるHD信号より得られる注目画素データとしての各HD画素データyと、この各HD画素データyにそれぞれ対応して第1のタップ選択回路153で選択的に取り出される予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、各HD画素データyにそれぞれ対応してクラス合成回路159より出力されるクラスコードCLとから、正規方程式生成部160では、各クラス毎に、係数種データw10乃至wn9を生成するための正規方程式(式(16)参照)が生成される。
【0191】
そして、係数種データ決定部161でその正規方程式が解かれ、各クラス毎の係数種データw10乃至wn9が求められ、その係数種データw10乃至wn9はクラス別にアドレス分割された係数種メモリ162に記憶される。
【0192】
このように、図23に示す係数種データ生成装置150においては、図6のDRC回路18の情報メモリバンク135に記憶される各クラスの係数種データw10乃至wn9を生成することができる。この場合、SD信号生成回路152では、選択された変換方法によって525p信号または1050i信号を使用してSD信号(525i信号)が生成されるものであり、第1の変換方法(DRC回路18で525i信号より525p信号を得る)および第2の変換方法(DRC回路18で525i信号より1050i信号を得る)に対応した係数種データを生成できる。
【0193】
次に、係数種データの生成方法の他の例について説明する。この例においても、上述した式(8)の生成式における係数データである係数種データw10乃至wn9を求める例を示すものとする。
【0194】
図25は、この例の概念を示している。HD信号から複数のSD信号を生成する。例えば、HD信号からSD信号を生成する際に使用するフィルタの水平帯域と垂直帯域を可変するパラメータh,vをそれぞれ9段階に可変して、合計81種類のSD信号を生成する。このようにして生成した各SD信号とHD信号との間で学習を行って、式(7)の推定式の係数データWiを生成する。そして、各SD信号に対応して生成された係数データWiを使用して係数種データを生成する。
【0195】
まず、推定式の係数データの求め方を説明する。ここでは、式(7)の推定式の係数データWi(i=1乃至n)を最小二乗法により求める例を示すものとする。一般化した例として、Xを入力データ、Wを係数データ、Yを予測値として、式(18)の観測方程式を考える。この式(18)において、mは学習データの数を示し、nは予測タップの数を示している。
【0196】
【数13】
【0197】
式(18)の観測方程式により収集されたデータに最小二乗法を適用する。この式(18)の観測方程式をもとに、式(19)の残差方程式を考える。
【0198】
【数14】
【0199】
式(19)の残差方程式から、各Wiの最確値は、式(20)のe2を最小にする条件が成り立つ場合と考えられる。すなわち、式(21)の条件を考慮すればよいわけである。
【0200】
【数15】
【0201】
つまり、式(21)のiに基づくn個の条件を考え、これを満たす、W1,W2,・・・,Wnを算出すればよい。そこで、式(19)の残差方程式から、式(22)が得られる。さらに、式(22)と式(18)とから、式(23)が得られる。
【0202】
【数16】
【0203】
そして、式(19)と式(23)とから、式(24)の正規方程式が得られる。
【0204】
【数17】
【0205】
式(24)の正規方程式は、未知数の数nと同じ数の方程式を立てることが可能であるので、各Wiの最確値を求めることができる。この場合、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)等を用いて連立方程式を解くことになる。
【0206】
次に、各SD信号に対応して生成された係数データを使用して、係数種データの求め方を説明する。
【0207】
パラメータh,vに対応したSD信号を用いた学習による、あるクラスの係数データが、kvhiとなったとする。ここで、iは予測タップの番号である。このkvhiから、このクラスの係数種データを求める。
【0208】
各係数データWi(i=1乃至n)は、係数種データw10乃至wn9を使って、上述した式(8)で表現される。ここで、係数データWiに対して最小二乗法を使用することを考えると、残差は、式(25)で表される。
【0209】
【数18】
【0210】
ここで、tjは、上述の式(10)に示されている。式(25)に最小二乗法を作用させると、式(26)が得られる。
【0211】
【数19】
【0212】
ここで、Xjk,Yjをそれぞれ式(27)、式(28)のように定義すると、式(26)は式(29)のように書き換えられる。この式(29)も正規方程式であり、この式を掃き出し法等の一般解法で解くことにより、係数種データw10乃至wn9を算出することができる。
【0213】
【数20】
【0214】
図26は、図25に示す概念に基づいて係数種データを生成する係数種データ生成装置150′の構成を示している。この図26において、図25と対応する部分には同一符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0215】
係数種データ生成装置150′は、入力端子151に供給されるHD信号より得られる注目画素データとしての各HD画素データyと、この各HD画素データyにそれぞれ対応して第1のタップ選択回路153で選択的に取り出される予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、各HD画素データyにそれぞれ対応してクラス合成回路159より出力されるクラスコードCLとから、クラス毎に、係数データWi(i=1乃至n)を得るための正規方程式(式(24)参照)を生成する正規方程式生成部171を有している。
【0216】
この場合、一個のHD画素データyとそれに対応するn個の予測タップ画素データとの組み合わせで学習データが生成されるが、SD信号生成回路152へのパラメータh,vが順次変更されていって水平および垂直の帯域が段階的に変化した複数のSD信号が順次生成されていき、HD信号と各SD信号との間でそれぞれ学習データの生成が行われる。これにより、正規方程式生成部171では、各SD信号のそれぞれ対応して、クラス毎に、係数データWi(i=1乃至n)を得るための正規方程式が生成される。
【0217】
また、係数種データ生成装置150′は、正規方程式生成部171で生成された正規方程式のデータが供給され、その正規方程式を解いて、各SD信号にそれぞれ対応した各クラスの係数データWiを求める係数データ決定部172と、この各SD信号に対応した各クラスの係数データWiを使用して、クラス毎に、係数種データw10乃至wn9を得るための正規方程式(式(29)参照)を生成する正規方程式生成部173とを有している。
【0218】
また、係数種データ生成装置150′は、正規方程式生成部173でクラス毎に生成された正規方程式のデータが供給され、クラス毎に正規方程式を解いて、各クラスの係数種データw10乃至wn9を求める係数種データ決定部174と、この求められた係数種データw10乃至wn9を記憶する係数種メモリ162とを有している。
【0219】
図26に示す係数種データ生成装置150′のその他は、図23に示す係数種データ生成装置150と同様に構成される。
【0220】
図26に示す係数種データ生成装置150′の動作を説明する。入力端子151には教師信号としてのHD信号(525p信号または1050i信号)が供給され、そしてこのHD信号に対してSD信号生成回路152で水平および垂直の間引き処理が行われて入力信号としてのSD信号(525i信号)が生成される。
【0221】
この場合、第1の変換方法(図6のDRC回路18で525i信号より525p信号を得る)が選択される場合、SD信号生成回路152では525p信号に対して間引き処理が施されてSD信号が生成される。一方、第2の変換方法(図6のDRC回路18で525i信号より1050i信号を得る)が選択される場合、SD信号生成回路152では1050i信号に対して間引き処理が施されてSD信号が生成される。またこの場合、SD信号生成回路152にはパラメータh,vが制御信号として供給され、水平および垂直の帯域が段階的に変化した複数のSD信号が順次生成されていく。
【0222】
このSD信号(525i信号)より、第2のタップ選択回路154で、HD信号(525p信号または1050i信号)に係る注目画素の周辺に位置する空間クラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この第2のタップ選択回路154では、タップ選択制御回路156より供給される、選択された変換方法、および動きクラス検出回路158で検出される動きクラスに対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
【0223】
この第2のタップ選択回路154で選択的に取り出される空間クラスタップのデータ(SD画素データ)は空間クラス検出回路157に供給される。この空間クラス検出回路157では、空間クラスタップのデータとしての各SD画素データに対してADRC処理が施されて空間クラス(主に空間内の波形表現のためのクラス分類)のクラス情報としての再量子化コードQiが得られる(式(4)参照)。
【0224】
また、SD信号生成回路152で生成されたSD信号より、第3のタップ選択回路155で、HD信号に係る注目画素の周辺に位置する動きクラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この場合、第3のタップ選択回路155では、タップ選択制御回路156より供給される、選択された変換方法に対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
【0225】
この第3のタップ選択回路155で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)は動きクラス検出回路158に供給される。この動きクラス検出回路158では、動きクラスタップのデータとしての各SD画素データより動きクラス(主に動きの程度を表すためのクラス分類)のクラス情報MVが得られる。
【0226】
この動き情報MVと上述した再量子化コードQiはクラス合成回路159に供給される。このクラス合成回路159では、これら動き情報MVと再量子化コードQiとから、HD信号(525p信号または1050i信号)に係る注目画素が属するクラスを示すクラスコードCLが得られる(式(6)参照)。
【0227】
また、SD信号生成回路152で生成されるSD信号より、第1のタップ選択回路153で、HD信号に係る注目画素の周辺に位置する予測タップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この場合、第1のタップ選択回路153では、タップ選択制御回路156より供給される、選択された変換方法に対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
【0228】
そして、入力端子151に供給されるHD信号より得られる注目画素データとしての各HD画素データyと、この各HD画素データyにそれぞれ対応して第1のタップ選択回路153で選択的に取り出される予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、各HD画素データyにそれぞれ対応してクラス合成回路159より出力されるクラスコードCLとから、正規方程式生成部171では、SD信号生成回路152で生成される各SD信号のそれぞれ対応して、クラス毎に、係数データWi(i=1乃至n)を得るための正規方程式(式(24)参照)が生成される。
【0229】
そして、係数データ決定部172でその正規方程式が解かれ、各SD信号にそれぞれ対応した各クラスの係数データWiが求められる。正規方程式生成部173では、この各SD信号にそれぞれ対応した各クラスの係数データWiから、クラス毎に、係数種データw10乃至wn9を得るための正規方程式(式(29)参照)が生成される。
【0230】
そして、係数種データ決定部174でその正規方程式が解かれ、各クラスの係数種データw10乃至wn9が求められ、その係数種データw10乃至wn9はクラス別にアドレス分割された係数種メモリ162に記憶される。
【0231】
このように、図26に示す係数種データ生成装置150′においても、図6のDRC回路18の情報メモリバンク135に記憶される各クラスの係数種データw10乃至wn9を生成することができる。この場合、SD信号生成回路152では、選択された変換方法によって525p信号または1050i信号を使用してSD信号(525i信号)が生成されるものであり、第1の変換方法(DRC回路18で525i信号より525p信号を得る)および第2の変換方法(DRC回路18で525i信号より1050i信号を得る)に対応した係数種データを生成できる。
【0232】
なお、図6のDRC回路18では、係数データWi(i=1乃至n)を生成するために式(8)の生成式を使用したが、例えば、式(30)、式(31)などを使用してもよく、さらに次数の異なった多項式や、他の関数で表現される式でも実現可能である。
【0233】
【数21】
【0234】
また、図6のDRC回路18では、水平解像度を指定するパラメータhと垂直解像度を指定するパラメータvとを設定し、これら複数種類のパラメータh,vの値を調整することで画像の水平および垂直の解像度を調整し得るものを示したが、例えばノイズ除去度(ノイズ低減度)を指定するパラメータzを設け、このパラメータzの値を調整することで画像のノイズ除去度を調整し得るものも同様に構成することができる。
【0235】
この場合、係数データWi(i=1乃至n)を生成する生成式として、例えば、式(32)、式(33)などを使用でき、さらに次数の異なった多項式や、他の関数で表現される式でも実現可能である。
【0236】
【数22】
【0237】
なお、上述したようにパラメータzを含む生成式の係数データである係数種データは、上述したパラメータh,vを含む生成式の係数データである係数種データを生成する場合と同様に、図23に示す係数種データ生成装置150あるいは図26に示す係数種データ生成装置150′により生成できる。
【0238】
その場合、SD信号生成回路152には、パラメータzが制御信号として供給され、このパラメータzの値に対応して、HD信号からSD信号を生成する際に、SD信号に対するノイズ付加状態が段階的に可変される。このようにSD信号に対するノイズ付加状態を段階的に可変させて学習データを登録することで、連続したノイズ除去度を得るための係数種データを生成することができる。
【0239】
ここで、パラメータzの値に対応したノイズ付加方法の詳細について、いくつかの例を示す。
【0240】
例えば、図27Aに示すように、SD信号に振幅レベルを段階的に変化させたノイズ信号を加えて、段階的にノイズレベルが変化するSD信号を生成する。
【0241】
また例えば、図27Bに示すように、SD信号に一定振幅レベルのノイズ信号を加えるが、加える画面領域を段階的に可変する。
【0242】
さらに例えば、図27Cに示すように、SD信号(1画面分)として、ノイズが含まれていないものと、ノイズが含まれているものとを用意する。そして、正規方程式を生成する際に、それぞれのSD信号に対して複数回の学習を行う。
【0243】
例えば、「ノイズ0」ではノイズなしのSD信号に対して100回の学習を行い、「ノイズi」ではノイズなしのSD信号に対して30回の学習を行うと共にノイズありのSD信号に対して70回の学習を行う。この場合、「ノイズi」の方がノイズ除去度が高い係数種データを算出する学習系になる。このように、ノイズなしとノイズありのSD信号に対する学習回数を段階的に変化させて学習を行うことにより、連続したノイズ除去度を得るための係数種データを得ることができる。
【0244】
この手法を、上述せずも、正規方程式の加算という形で実現することもできる。
【0245】
まず、「ノイズ0」乃至「ノイズi」における推定式の係数データを算出するような学習を行う。このときの正規方程式は、上述した式(24)に示すようになる。ここで、Pij,Qjをそれぞれ式(34)、式(35)のように定義すると、式(24)は式(36)のように書き換えられる。ここで、xijはj番目の予測タップ位置のSD画素データのi番目の学習値、yiはHD画素データのi番目の学習値、Wiは係数を表している。
【0246】
【数23】
【0247】
このような学習を用いて、ノイズなしのSD信号を学習した場合における、式(36)の左辺を[P1ij]、右辺を[Q1i]と定義し、同様に、ノイズありのSD信号を学習した場合における、式(36)の左辺を[P2ij]、右辺を[Q2i]と定義する。このような場合に、式(37)、式(38)のように、[Paij]、[Qai]を定義する。ただし、a(0≦a≦1)である。
【0248】
[Paij]=(1-a)[P1ij]+a[P2ij] ・・・(37)
[Qai]=(1-a)[Q1i]+a[Q2i] ・・・(38)
ここで、a=0の場合の正規方程式は式(39)で表され、これは図27Cの「ノイズ0」の場合の正規方程式と等価になり、a=0.7の場合は「ノイズi」の場合の正規方程式と等価になる。
【0249】
[Paij][Wi]=[Qai] ・・・(39)
このaを段階的に変化させて各ノイズレベルの正規方程式を作ることにより、目的とする係数種データを得ることができる。この場合、図26の係数種データ生成装置150′で説明したと同様に、各ノイズレベルの正規方程式よりそれぞれ係数データをWiを算出し、この各段階の係数データを使用して係数種データを求めることができる。
【0250】
また、各ノイズレベルの正規方程式を組み合わせることにより、上述した式(16)のような係数種データを得るための正規方程式を生成することも可能である。この手法については、以下に具体的に説明する。ここでは、上述した式(33)を用いて、係数種データを求める正規方程式を生成する場合を考える。
【0251】
予め、予め何種類かのパラメータzに対応したノイズレベルのSD信号を生成して学習を行い、上述した式(37)、式(38)に表される[P]、[Q]を用意しておく。それらを、[Pnij]、[Qni]と表す。また、また、上述した式(10)は、式(40)のように書き換えられる。
【0252】
t0=1,t1=z,t2=z2 ・・・(40)
この場合、上述した式(27)、式(28)は、それぞれ式(41)、式(42)のように書き換えられる。これらの式に対し、式(43)を解くことで、係数種データwijを求めることができる。ここで、予測タップの総数を表す変数はmに書き換えている。
【0253】
【数24】
【0254】
また、図6のDRC回路18では、水平解像度を指定するパラメータhと垂直解像度を指定するパラメータvとを設定し、これら複数種類のパラメータh,vの値を調整することで画像の水平および垂直の解像度を調整し得るものを示したが、水平および垂直の解像度を1個のパラメータで調整するように構成することもできる。例えば、水平および垂直の解像度を指定する1個のパラメータrを設定する。この場合、例えば、r=1はh=1、v=1、r=2はh=2、v=2、・・・、あるいはr=1はh=1、v=2、r=2はh=2、v=3、・・・のような対応関係とされる。この場合、係数データWi(i=1乃至n)を生成する生成式としては、rの多項式等が使用されることとなる。
【0255】
また、図6のDRC回路18では、水平解像度を指定するパラメータhと垂直解像度を指定するパラメータvとを設定し、これら複数種類のパラメータh,vの値を調整することで画像の水平および垂直の解像度を調整し得るものを示したが、上述した水平および垂直の解像度を指定するパラメータrと、上述ノイズ除去度(ノイズ低減度)を指定するパラメータzとを設定し、これら複数種類のパラメータr,zの値を調整することで、画像の水平および垂直の解像度とノイズ除去度とを調整し得るものも同様に構成することができる。
【0256】
この場合、係数データWi(i=1乃至n)を生成する生成式として、例えば、式(44)等を使用でき、さらに次数の異なった多項式や、他の関数で表現される式でも実現可能である。
【0257】
【数25】
【0258】
このように複数種類のパラメータr,zを調整するためのユーザインタフェースも、図7に示すように構成できる。ユーザは、ジョイスティック200aを操作することで、調整画面115上でアイコン115aの位置を動かすことができ、解像度を指定するパラメータrの値とノイズ除去度(ノイズ低減度)を指定するパラメータzの値とを任意に調整できる。図29は、調整画面115の部分を拡大して示している。アイコン115aが左右に動かされることで解像度を決定するパラメータrの値が調整され、一方アイコン115aが上下に動かされることでノイズ除去度を決定するパラメータzの値が調整される。
【0259】
ユーザは、表示部32(図7参照)に表示される調整画面115を参照してパラメータr,zを調整でき、その調整を容易に行うことができる。なお、ユーザによって調整されたパラメータr,zの値を、調整画面115上に数値表示してもよい。
【0260】
このようにパラメータr,zを含む生成式の係数データである係数種データは、上述したパラメータh,vを含む生成式の係数データである係数種データを生成する場合と同様に、図23に示す係数種データ生成装置150あるいは図26に示す係数種データ生成装置150′により生成できる。
【0261】
その場合、SD信号生成回路152には、パラメータr,zが制御信号として供給され、このパラメータr,zの値に対応して、HD信号からSD信号を生成する際に、SD信号の水平、垂直の帯域と、SD信号に対するノイズ付加状態とが段階的に可変される。
【0262】
図28は、パラメータr,zの値に対応したSD信号の生成例を示している。この例では、パラメータr,zはそれぞれ9段階に可変され、合計81種類のSD信号が生成される。なお、パラメータr,zを9段階よりもさらに多くの段階に可変するようにしてもよい。その場合には、算出される係数種データの精度は良くなるが、計算量は増えることとなる。
【0263】
また、図6のDRC回路18では、水平解像度を指定するパラメータhと垂直解像度を指定するパラメータvとを設定し、これら複数種類のパラメータh,vの値を調整することで画像の水平および垂直の解像度を調整し得るものを示したが、これらパラメータh,vの他に、さらに上述したノイズ除去度(ノイズ低減度)を指定するパラメータzを設定し、これら複数種類のパラメータh,v,zの値を調整することで、画像の水平および垂直の解像度とノイズ除去度とを調整し得るものも同様に構成することができる。
【0264】
この場合、係数データWi(i=1乃至n)を生成する生成式として、例えば、式(45)等を使用でき、さらに次数の異なった多項式や、他の関数で表現される式でも実現可能である。
【0265】
【数26】
【0266】
このようにパラメータh,v,zを調整するためのユーザインタフェースも、図7に示すように構成できる。ユーザは、ジョイスティック200aを操作することで、調整画面115上でアイコン115aの位置を動かすことができ、解像度を指定するパラメータh,vの値とノイズ除去度(ノイズ低減度)を指定するパラメータzの値とを任意に調整できる。
【0267】
図31は、調整画面115の部分を拡大して示している。アイコン115aが左右に動かされることで水平の解像度を決定するパラメータhの値が調整され、一方アイコン115aが上下に動かされることで垂直の解像度を決定するパラメータvの値が調整され、さらにアイコン115aが奥行き方向に動かされることでノイズ除去度を決定するパラメータzの値が調整される。アイコン115aを奥行き方向に動かすには、例えばジョイスティック200aを斜め方向に操作すればよい。
【0268】
この場合、アイコン115aの大きさや色の濃さ、あるいは色合い等を変化させることで、奥行き方向を表現することが可能である。図中の破線で示されるアイコン115aは、その大きさを変えることで、実線で示されるアイコン115aが奥行き方向に移動された状態を示している。
【0269】
ユーザは、表示部32(図7参照)に表示される調整画面115を参照してパラメータh,v,zを調整でき、その調整を容易に行うことができる。なお、ユーザによって調整されたパラメータh,v,zの値を、調整画面115上に数値表示してもよい。
【0270】
このようにパラメータh,v,zを含む生成式の係数データである係数種データは、上述したパラメータh,vを含む生成式の係数データである係数種データを生成する場合と同様に、図23に示す係数種データ生成装置150あるいは図26に示す係数種データ生成装置150′により生成できる。
【0271】
その場合、SD信号生成回路152には、パラメータh,v,zが制御信号として供給され、このパラメータh,v,zの値に対応して、HD信号からSD信号を生成する際に、SD信号の水平、垂直の帯域と、SD信号に対するノイズ付加状態とが段階的に可変される。
【0272】
図30は、パラメータh,v,zの値に対応したSD信号の生成例を示している。この例では、パラメータh,v,zはそれぞれ9段階に可変され、合計729種類のSD信号が生成される。なお、パラメータh,v,zを9段階よりもさらに多くの段階に可変するようにしてもよい。その場合には、算出される係数種データの精度は良くなるが、計算量は増えることとなる。
【0273】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどの、記録媒体からインストールされる。
【0274】
この記録媒体は、図1に示されるように、コンピュータとは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されているリムーバブルメディア51よりなるパッケージメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROM16やHDD33などで構成される。
【0275】
以上においては、ビデオデータを処理する場合を例としたが、オーディオデータ、その他のコンテンツデータを処理するコンテンツ処理装置に本発明は適用することができる。
【0276】
なお、本明細書において、コンピュータプログラムを記述するステップは、記載された順序に従って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0277】
【発明の効果】
以上の如く、本願発明によれば、ユーザによりボリューム値が入力されない場合に、ボリューム値を算出することができる。特に、本願発明によれば、ユーザの嗜好に合う画質を自動的に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したテレビジョン受像機の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の信号処理部の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】図2の信号処理部における処理を説明するフローチャートである。
【図4】図1のDRC回路における処理を説明するフローチャートである。
【図5】図2の記憶部に記憶されるボリューム値と特徴量を説明する図である。
【図6】 DRC回路の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図7】画質を調整するためのユーザインタフェース例を示す図である。
【図8】調整画面を拡大して示した図である。
【図9】525i信号と525p信号の画素位置関係を説明するための図である。
【図10】525i信号と1050i信号の画素位置関係を説明するための図である。
【図11】525iと525pの画素位置関係と、予測タップの一例を示す図である。
【図12】525iと525pの画素位置関係と、予測タップの一例を示す図である。
【図13】525iと1050iの画素位置関係と、予測タップの一例を示す図である。
【図14】525iと1050iの画素位置関係と、予測タップの一例を示す図である。
【図15】525iと525pの画素位置関係と、空間クラスタップの一例を示す図である。
【図16】525iと525pの画素位置関係と、空間クラスタップの一例を示す図である。
【図17】525iと1050iの画素位置関係と、空間クラスタップの一例を示す図である。
【図18】525iと1050iの画素位置関係と、空間クラスタップの一例を示す図である。
【図19】525iと525pの画素位置関係と、動きクラスタップの一例を示す図である。
【図20】525iと1050iの画素位置関係と、動きクラスタップの一例を示す図である。
【図21】525p信号を出力する場合のライン倍速処理を説明するための図である。
【図22】係数種データの生成方法の一例の概念を示す図である。
【図23】係数種データ生成装置の構成例を示すブロック図である。
【図24】帯域フィルタの周波数特性の一例を示す図である。
【図25】係数種データの生成方法の他の例の概念を示す図である。
【図26】係数種データ生成装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図27】ノイズ付加方法を説明するための図である。
【図28】SD信号(パラメータr,z)の生成例を示す図である。
【図29】パラメータr,zの調整画面の一例を示す図である。
【図30】SD信号(パラメータh,v,z)の生成例を示す図である。
【図31】パラメータh,v,zの調整画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 テレビジョン受像機, 17 信号処理部, 18 DRC回路, 71 特徴量抽出部, 72 記憶部, 73 ボリューム算出部
Claims (7)
- 入力された第1の画像から、その特徴である、平均輝度、エッジ量、動き量、および、輝度分布の少なくとも1つの特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
ユーザにより入力された前記第1の画像の水平解像度、垂直解像度、またはノイズ除去度の調整に対応する値であるボリューム値を記憶するとともに、前記特徴量抽出手段により抽出された前記特徴量を前記ボリューム値に対応して記憶する記憶手段と、
ユーザにより、前記ボリューム値が入力されてこない場合、前記記憶手段に記憶されている複数の前記ボリューム値および前記特徴量の値、並びにそのとき入力されている前記第1の画像の特徴量の値を用いて、そのとき入力されている前記第1の画像の前記ボリューム値を算出するボリューム値算出手段と、
ユーザにより、前記ボリューム値が入力されてこない場合、そのとき入力されている前記第1の画像の水平解像度、垂直解像度、またはノイズ除去度を、前記ボリューム値算出手段により算出された前記ボリューム値に対応する値に調整し、前記値が調整された第2の画像を出力する画像処理手段と
を備える画像処理装置。 - 前記ボリューム値算出手段は、前記記憶手段に記憶されている複数の前記ボリューム値および前記特徴量の値を用いた線形式に最小自乗法を適用して前記線形式の係数を求め、前記係数が求められた前記線形式とそのとき入力されている前記第1の画像の特徴量の値から、そのとき入力されている前記第1の画像の前記ボリューム値を算出する
請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記ボリューム値算出手段は、前記係数の算出を、前記画像処理装置の電源がオフされているとき行う
請求項2に記載の画像処理装置。 - 前記ボリューム値算出手段は、前記記憶手段に記憶されている複数の前記特徴量の値と、そのとき入力されている前記第1の画像の前記特徴量の値との距離を演算し、前記記憶手段に記憶されている複数の前記特徴量の値のうち、演算された前記距離が最小になる前記特徴量の値に対応する前記ボリューム値を、そのとき入力されている前記第1の画像の前記ボリューム値として算出する
請求項1に記載の画像処理装置。 - 画像処理装置が、
入力された第1の画像から、その特徴である、平均輝度、エッジ量、動き量、および、輝度分布の少なくとも1つの特徴量を抽出し、
ユーザにより入力された前記第1の画像の水平解像度、垂直解像度、またはノイズ除去度の調整に対応する値であるボリューム値を記憶するとともに、抽出された前記特徴量を前記ボリューム値に対応して記憶手段に記憶し、
ユーザにより、前記ボリューム値が入力されてこない場合、前記記憶手段に記憶されている複数の前記ボリューム値および前記特徴量の値、並びにそのとき入力されている前記第1の画像の特徴量の値を用いて、そのとき入力されている前記第1の画像の前記ボリューム値を算出し、
ユーザにより、前記ボリューム値が入力されてこない場合、そのとき入力されている前記第1の画像の水平解像度、垂直解像度、またはノイズ除去度を、算出された前記ボリューム値に対応する値に調整し、前記値が調整された第2の画像を出力する
ステップを含む画像処理方法。 - 入力された第1の画像から、その特徴である、平均輝度、エッジ量、動き量、および、輝度分布の少なくとも1つの特徴量を抽出し、
ユーザにより入力された前記第1の画像の水平解像度、垂直解像度、またはノイズ除去度の調整に対応する値であるボリューム値を記憶するとともに、抽出された前記特徴量を前記ボリューム値に対応して記憶手段に記憶させ、
ユーザにより、前記ボリューム値が入力されてこない場合、前記記憶手段に記憶されている複数の前記ボリューム値および前記特徴量の値、並びにそのとき入力されている前記第1の画像の特徴量の値を用いて、そのとき入力されている前記第1の画像の前記ボリューム値を算出し、
ユーザにより、前記ボリューム値が入力されてこない場合、そのとき入力されている前記第1の画像の水平解像度、垂直解像度、またはノイズ除去度を、算出された前記ボリューム値に対応する値に調整し、前記値が調整された第2の画像を出力する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムが記録されている記録媒体。 - 入力された第1の画像から、その特徴である、平均輝度、エッジ量、動き量、および、輝度分布の少なくとも1つの特徴量を抽出し、
ユーザにより入力された前記第1の画像の水平解像度、垂直解像度、またはノイズ除去度の調整に対応する値であるボリューム値を記憶するとともに、抽出された前記特徴量を前記ボリューム値に対応して記憶手段に記憶させ、
ユーザにより、前記ボリューム値が入力されてこない場合、前記記憶手段に記憶されている複数の前記ボリューム値および前記特徴量の値、並びにそのとき入力されている前記第1の画像の特徴量の値を用いて、そのとき入力されている前記第1の画像の前記ボリューム値を算出し、
ユーザにより、前記ボリューム値が入力されてこない場合、そのとき入力されている前記第1の画像の水平解像度、垂直解像度、またはノイズ除去度を、算出された前記ボリューム値に対応する値に調整し、前記値が調整された第2の画像を出力する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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